JP3696171B2 - 直接型液体燃料電池発電装置の検査方法、検査装置、及び直接型液体燃料電池発電装置 - Google Patents

直接型液体燃料電池発電装置の検査方法、検査装置、及び直接型液体燃料電池発電装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料と酸化剤とを供給して発電する直接型液体燃料電池発電装置の検査方法、前記検査方法を用いた直接型液体燃料電池発電装置検査装置、および前記燃料電池発電装置検査装置を具備した直接型液体燃料電池発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は化学エネルギー(燃焼反応の自由エネルギー)を直接電気エネルギーに変える発電機である。このため、火力発電などに比べて高い変換効率が期待されている。また火力発電では小規模になると効率が低下するのに対し、燃料電池による発電では効率が低下しない。従って小規模な電力の発生にも適している。
この燃料電池の内、イオン交換樹脂膜を電解質として用いる固体高分子型燃料電池は、電気自動車用の電源や、住宅用の電源として、近年開発が加速されている燃料電池である。この固体高分子型燃料電池は、アノード側に水素を含むガス、カソード側に酸素ガスあるいは空気を導入する。アノード・カソードにおいて、それぞれ、下記の化学式1、化学式2に示す反応がおこなわれ、起電力が発生する。
【0003】
【化1】
Figure 0003696171
【0004】
すなわち、アノード内部の触媒により、水素から電子とプロトンが生成される。電子は外部回路により取り出されて発電に用いられる。プロトンは固体電解質膜内を拡散により移動してカソードに到達する。そして、カソード内部の触媒により、発電に用いられた電子とプロトンと酸素とが反応して水が生成される。このような電池反応によって発電が行われる。
【0005】
一方、近年は直接型メタノール燃料電池が注目を集めている。図1に、直接型メタノール燃料電池の構造を示す。直接メタノール燃料電池の構成は、プロトン導電性電解質の膜(パーフルフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜であり、デュポン社製Nafionなどが好ましく用いられる)をアノード電極とカソード電極とで挟持したものとなっている。おのおのの電極は、基板と触媒層とで構成されており、触媒層は、触媒と前記プロトン導電性電解質の樹脂とで構成される。触媒は一般に貴金属触媒あるいはその合金で、カーボンブラックなどの担体に担持して用いられたり、あるいは担持しないで用いられたりする。アノードの触媒としてはPt−Ru合金、またカソードの触媒としてはPtが好ましく用いられる。動作の際には、アノード側にメタノールと水、カソードに酸素ガスあるいは空気を導入する。アノード・カソードそれぞれで下記の化学式3及び化学式4に示す反応が生じている。
【0006】
【化2】
Figure 0003696171
【0007】
すなわち、アノード触媒層中の触媒により、メタノールと水から電子とプロトンと二酸化炭素が生成され、生成した二酸化炭素は大気中に放出される。電子は外部回路により取り出されて発電に用いられる。また、プロトンはプロトン導電性電解質膜を移動してカソードに到達する。カソード触媒層中では、発電により用いられた電子および酸素と反応して水が生成される。この直接型メタノール燃料電池の作動温度は、一般的に50℃ないし120℃となっている。
【0008】
前述の固体高分子型燃料電池のように水素を含んだガスを燃料に用いる場合には、一般にメタノールや天然ガス、あるいはガソリンなどを改質して水素ガスを含有する燃料を得ているため、燃料電池システムに改質機を備える必要があり、システム全体が大型になってしまうという欠点があった。また改質プロセスは一般的に250℃〜300℃という高温でおこなわれる。これに対して直接型メタノール燃料電池の場合には、改質機を必要としないため、システムそのものがコンパクトになる。また、発電に必要なプロセスを比較的低い温度でおこなうことが出来る。そのために近年、直接型メタノール燃料電池のこのような長所に注目して、携帯用電源や電気自動車用電源などとしての応用を目指した開発がおこなわれている。
【0009】
ところで、直接型メタノール燃料電池発電装置において、メタノールと水とを燃料電池に送る方法としては、メタノール水溶液を送る方法と、メタノールと水とを気化させて送る方法とがある。このうち、メタノールと水とを気化させて送る方法の場合には、気化装置を燃料電池の補機として備える必要があるため、燃料電池システム全体としては大きなものになってしまう。これに対してメタノール水溶液を送液する場合には、気化装置を必要としないためにシステムをより小さくすることができる。
【0010】
しかしながら、このような直接型メタノール燃料電池においても、固体高分子型燃料電池に比較して困難な課題が多い。
その一つは、電極に供給された燃料は、電極内部を移動し、プロトン導電性電解質内に入って前記電解質内部を移動して触媒に到達し、ここで発電に用いられる。プロトン導電性電解質は、含水されることによりプロトン導電性を示す。これまでの研究により、メタノールが導入されるとプロトン導電性が低下することが明らかになっている(たとえばT.?J.Chou and A.Tanioka J.Phys.Chem.B102(1998)129.)。燃料であるメタノール、水および酸素は触媒層中のプロトン導電性電解質に含水された水に溶け込んで移動する。プロトン導電性が低下すると、プロトンに引きずられて動く水の拡散が悪くなる。このためアノード電極においては、水の移動度および水と非常に良く混合するメタノールの拡散が悪くなる。またカソード電極においては、アノード電極に供給されたメタノールがプロトン導電性電解質膜をとおり、カソード電極に到達してきたメタノールが存在する。このため、カソード触媒層内部におけるプロトン導電性電解質中の水の拡散が悪くなる。酸素はプロトン導電性電解質中の水に溶け込んで電極内部を拡散するため、結果として酸素の拡散が悪くなる。すなわち、燃料であるメタノール、水および酸素すべての拡散が悪くなるという深刻な問題に直面する。従って、燃料の拡散の度合いと密接に関連し、簡易に測定できる特性量を明らかにすることが、実用化の上で必要不可欠である。
【0011】
また、直接型メタノール燃料電池発電装置を稼動する場合には、運転がおこなわれていない間に、プロトン導電性電解質に含水された水が乾燥してしまうため、運転再開直後は燃料の拡散が悪く負荷変動に対する応答が非常に悪い状態で機器を駆動することになるという問題がある。特に携帯機器用発電装置や電気自動車用発電装置など、断続運転が日常的におこなわれ、かつ負荷変動が頻繁におこる発電装置の場合は、負荷変動に対する応答が非常に悪くなり、機器駆動に支障が生じる。結果として、人命を左右しかねない深刻な事故につながる危険性もある。従って、発電をおこなう前、および発電をおこなっている最中に、負荷変動に対する応答がどのようになっているのか、また電池性能はどの程度かを確認する必要があるという問題もある。
【0012】
さらに、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、含水されることにより膨張する。メタノールを含んだ場合には、膨張の仕方はより大きくなる。このため何らかの原因で濃度の濃いメタノール水溶液が供給された場合には、プロトン導電性電解質膜や触媒層が過度に膨張してダメージを与え、電池性能が大幅に低下してしまう。
このため、直接型メタノール燃料電池発電装置においては、発電しながら簡易に電池性能を判定する手段の開発の重要性も認識されていた。
【0013】
このように、直接型メタノール燃料電池発電装置においては、プロトン導電性電解質膜の状態、すなわち燃料の拡散の状態によっては電池に決定的なダメージを与えることがあり、常に燃料電池の状態を把握する検査方法が重要となっている。
これまで、燃料電池の特性評価は、一般に前記I−Vカーブの測定によりおこなわれることが多かった。しかしながらI−Vカーブの場合には、触媒活性や内部抵抗などの、燃料拡散の度合い以外の情報も含んだ結果が観測されてしまう。また、I−Vカーブの測定をおこなうためには、広い電流密度範囲において端子間電圧を測定する必要がある。特に、長期にわたって定常運転をおこなっている燃料電池のI−Vカーブを測定する場合には、当然のことながら定常運転を止めなければならない。このため大変手間がかかるし、評価や検査のために容易におこなえる手段とはなりえなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、燃料の拡散の度合いと密接に関連する情報を、燃料電池の発電中に簡易に得られ、かつ性能特性を的確に判定できる直接型メタノール燃料電池発電装置の検査方法を提供することを目的としている。
また、この検査方法を実現する簡便で精度の高い燃料電池発電装置検査装置、および前記検査装置を具備した直接型メタノール燃料電池発電装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極に液体燃料および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置の検査方法において、
発電中の前記直接型液体燃料電池発電装置を構成する任意数の直列に連続した起電部から取り出される電流密度I(mA/cm)を、10−5≦Δt≦0.5の条件を満足する時間Δt(sec)の間に、0.2≦ΔI≦5の条件を満足するΔIもしくは−ΔI(ΔI(mA/cm)は正の量)の電流密度変化を発生させることにより生じる起電部単位1個の電圧V(V)の時間変化を観測し、その結果を基に燃料電池の良否判定をおこなうことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置の検査方法である。
【0016】
前記第1の本発明において、直接型メタノール燃料電池発電装置の良否を判定する基準としては、電流密度IにΔIの変化を発生させはじめてから、電圧Vが最小の値をとるまでに経過した時間、もしくは電流密度Iに−ΔIの変化を発生させはじめてから、電圧Vが最大の値をとるまでに経過した時間が予め定められた時間内にあることによって判定を行うことができる。
【0017】
第2の本発明は、アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極に液体燃料および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置の検査装置において、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、出力電力を消費する負荷装置と、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、負荷を制御することによって、出力電流密度を変化させる手段と、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力の電圧を測定する手段と、
前記電流密度を制御する手段、および電圧検出手段に接続され、電流密度変化を生起せしめた時間と、出力電圧の変化の測定結果から、前記燃料電池発電装置の状態を判別するための判断装置を備えたことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置の検査装置である。
【0018】
第3の本発明は、アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極にメタノール水溶液および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置と、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、出力電力を消費する負荷装置と、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、負荷を制御することによって、出力電流密度を変化させる手段と、
前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力の電圧を測定する手段と、
前記電流密度を制御する手段、および電圧検出手段に接続され、電流密度変化を生起せしめた時間と、出力電圧の変化の測定結果から、前記燃料電池発電装置の状態を判別するための判断装置を備えたことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
[燃料電池]
図1に、本発明を適用するのに適した燃料電池の1例を示す。図1に見られるように、この燃料電池は、アノード基板1、およびアノード触媒層2を含むアノード電極3と、カソード触媒層4、およびカソード基板5を含むカソード電極6と、前記アノード電極3および前記カソード電極6の間に配置されるプロトン導電性電解質膜7を備えた起電部単位を複数個備え、その電極にそれぞれ図示しない端子部を取り付け、さらに前記アノード電極にメタノール水溶液からなる燃料を、また前記カソード電極に酸化剤ガスを供給する手段を配設した構成を有する直接型メタノール燃料電池であり、前記端子部には、後述する検査装置および外部負荷装置が接続されるようになっている。
すなわち、本発明を適用するのに適した燃料電池は、複数の起電部単位と、この起電部単位にメタノール水溶液を供給するための燃料タンクを含む燃料供給部、酸化剤供給部、及び、この燃料電池発電部の電力端子部からなるものであるが、この燃料電池の起電部単位としては、図1に示すもの以外にも、公知の構造及び材料の燃料電池を採用することができる。
【0020】
[検査方法]
以下、本発明の検査方法の原理を説明するためのグラフである図2を用いて説明する。
図2(A)は、燃料電池に接続された負荷に流れる電流密度に、ΔIの変化を発生させたときに生じる電圧Vの時間Tに依存する変化を示すグラフである。負荷に流れる電流密度に電流変化ΔIを発生させた直後、電圧は急激に減少する。この電流変化は、時間の経過につれて減少の仕方は緩やかになり、T=T1において電圧は最小値をとる。T>T1において電圧は単調に増加する。さらに時間が経過すると、電圧は一定の値に落ち着く。
この現象は、以下のようにして生じると考えられる。すなわち、T=0において電流密度が増加したために、触媒表面とその近傍において局所的に燃料不足が発生する。このため、拡散分極により電圧が時間経過とともに降下する。一方、時間経過と共に不足した燃料が、触媒とその近傍に供給され、燃料不足が解消される。これに伴い、T=T1を境にして電圧は時間経過と共に増加し、一定の値に落ち着くことになる。
【0021】
図2(B)は燃料電池に接続された負荷を流れる電流密度に、−ΔIの変化、すなわち、電流密度を減少させたときに生じる電圧Vの時間Tに依存する変化を示すグラフである。−ΔIの電流変化を発生させた直後、電圧は急激に増加する。次いで、時間の経過につれて増加の仕方は緩やかになり、T=T1において電圧は最大値をとる。T>T1において電圧は単調に減少する。さらに時間が経過すると、電圧は一定の値に落ち着く。
この現象は、以下のようにして生じると考えられる。すなわち、T=0において電流密度が減少したために、電極内部の触媒表面とその近傍において、燃料がそれまでと比較して過剰に存在することになる。このため、拡散分極が小さくなり、電圧が時間経過とともに増加する。一方、時間経過と共に過剰な燃料が触媒とその近傍から移動し、局所的な燃料過剰が解消される。これに伴い、T=T1を境にして電圧は時間経過と共に減少し、一定の値に落ち着くことになる。
【0022】
上記説明から明らかなように、図2(A)および図2(B)に示した電流密度の変化に伴う起電圧の変化は、燃料の拡散の度合いをあらわすため、これを用いて簡易に燃料電池の検査ができる。すなわち、電流変化によって引き起こされる電圧が、極小もしくは極大の値を示す時間であるT1が、予め定められた時間よりも大きいことは、燃料の拡散が非常に悪いことを示し、燃料電池の駆動時に負荷が変動した場合の起電力の追従性にかける装置となってしまう。このように、電流変化によって引き起こされる電圧変化を測定し、その極大値もしくは極小値を示す時間が所定の範囲を越えるような電池は、性能が劣る燃料電池となることは明かであり、このような判定方法によれば、T1が設定時間内にあることを基準とすることにより、簡易で客観的な検査ができる。
【0023】
本発明において、電流密度に変化を生じさせる時間であるΔtは、あまりにも長いと図2(A)および図2(B)に示した挙動が鈍くなってしまうため、正確な検査が出来なくなってしまう。一方、逆にあまりにも短くしようとすると、検査装置の構造が複雑で高価なものになってしまうために、実用上好ましくない。この電流密度変化を生じさせる時間Δtの値が、10−5≦Δt≦0.5の範囲であれば、図2(A)および図2(B)に示した変化が、本発明で提供する検査が十分おこなえる程度に明瞭に得られ、また、安価に検査装置が作製できるため好ましい。さらに。10−5≦Δt≦2×10−3の範囲内であれば、より明瞭に前記変化が観測されるため、きわめて好ましい。
【0024】
本発明において、電流密度変化であるΔIは、あまりにも小さいと発生する電圧変化がきわめて小さくなってしまうため検査が困難になる。一方、ΔIがあまりにも大きい場合には、検査のためだけに燃料電池発電装置が無駄な発電をするため燃料が無駄に消費されたり、あるいは発電している状態が過度に乱されることが生じたりするため、実用上好ましくない。0.2≦ΔI≦5であれば好ましい。さらに0.2≦ΔI≦2であれば、発電状態にある燃料電池発電装置の乱れが大変少なくなるため、特に好ましい。
【0025】
上記図2(A)および図2(B)においては、電流密度の変化を直線状に発生させる例を示したが、電流密度を他のパターンで変化させてもかまわない。たとえば、曲線状に変化させたり、変化が2段階以上の他段階なものであってもかまわないし、あるいは単調な増加や単調な減少でなくても差し支えない。
【0026】
本発明の検査方法は、燃料電池発電装置が出力する電流密度Iが零ではない有限の値をとる過程のみでおこなわれる必要がある。具体的に説明すると、図3のグラフに見られるように、燃料電池に接続されている負荷に流れる電流密度を0mA/cmから5mA/cm、5mA/cmから10mA/cm、および10mA/cmから15mA/cmまで変化させたときの電圧の時間変化を示す。電流密度を5mA/cmから10mA/cmまで増加させた場合、および10mA/cmから15mA/cmまで変化させた場合には、電流密度変化によって引き起こされる燃料電池の出力電圧の極小値を示す時間であるT1は、4秒から5秒の範囲にある。一方、電流密度を0mA/cmから5mA/cmまで増加させた場合には、このT1は、78秒とはるかに長くなる。
本発明者達が実験を繰り返しおこなったところ、電流密度の変化過程に、電流密度が0mA/cmである条件が1回以上存在した場合には、電流密度が零である過程を1回も取らない場合と比較して、はるかに長い電圧が極小もしくは極大になる時間T1が観測されることが明らかになった。このように、電圧変化が極小もしくは極大となる時間が長いと、検査効率が低下し、かつ検査結果に対する信頼性が損なわれるので、本発明が提供する検査方法は用いられない。
【0027】
従来、燃料電池発電装置の検査・評価に一般に用いられている方法として、負荷装置と接続されていることによって生じている電流密度を、非常に短い時間(一般に数μsecの程度)の間ゼロに変化させ、その後再びゼロに落とす直前と同じ大きさの電流を負荷し、前後に観測される電圧変化などから検査・評価をおこなう電流遮断法としばしば表記される方法がある。当然のことながら、この方法と本発明で提供する検査方法とは全く異なるものである。なぜならこの場合には、電流密度の変化過程が零を経由するものであり、前述のように検査結果が混乱し確度の高い検査が困難になるためである。
【0028】
燃料電池の良否判定の基準となる電圧が極小もしくは極大となる時間T1の大きさについては、検査する燃料電池に求められる特性、電極触媒層や電解質膜の構造・触媒・電解質膜の組成、電極面積、燃料流量や温度、燃料を流す流路板の構造、運転温度、IやΔIなどに依存して変化するため、これらの条件を考慮に入れ適宜設定する事ができる。ただし、本発明者達が行った実験によると、T1の設定時間は15秒より短い時間となることが実用上きわめて好ましい。15秒を超える場合には燃料電池の性能が著しく悪いため、このような燃料電池を実用に用いることは困難となる。
【0029】
[検査装置:第1の検査装置]
本発明の検査装置の1例を図8に示す。
図8に示される検査装置17は、燃料電池11からの出力と接続された外部負荷装置18と、燃料電池11の出力電圧を測定する電圧検出装置14と、外部負荷装置18の負荷を制御し、かつ、電圧検出装置14が測定する電圧変化を入力して判定を行う判断装置15と、この判断装置15の判断結果を表示するための指示装置16とからなっている。
この検査装置17において、外部負荷装置18は、燃料電池の出力電力を消費する装置であって、かつ判断装置15からの制御信号に基づき、負荷量を制御することができる装置である。具体的には、市販の電子負荷装置(富士通電装株式会社製EML−150L負荷モジュールとEML−03Bフレームの組み合わせ)などを用いることができる。
電圧検出装置14は、燃料電池11が出力する電力の電圧を信号処理可能な形態に変換する装置であり、例えば、印加電圧をアナログディジタル変換装置によってディジタル信号として出力する装置を用いることができる。
判断装置15は、外部負荷装置18の負荷量を制御して、燃料電池11からの出力電力の電流密度を所定の時間、及び所定の大きさで変化させ、これによって当該燃料電池11の出力電圧を変化させるとともに、当該電圧検出装置14からの出力電圧値をリアルタイムに入力し、この変化に基づいて、検査対象である燃料電池の性能の良否を判断する装置で、このような装置は1チップコンピュータや、汎用マイクロコンピュータ、あるいはロジック回路によって実現することができる。
また、指示装置16は、この判断装置15の結果を表示もしくは、光、音響、振動などの手段で通知するもので、CRT、液晶などのディスプレイ装置、LEDなどのランプ類、スピーカなどの装置を用いることができる。
図18に示す燃料電池から出力される電力は、4端子で出力するよう示しているが、これは、正負極がそれぞれ1端子の計2端子として構成することもできる。燃料電池に接続されている外部負荷装置が大容量の電流の装置である場合には、2端子で構成すると、電圧検出装置に印加される電力の電圧降下が大きく、検出結果に影響を及ぼすこととなるため、このような場合には4端子とすることが好ましい。
【0030】
次に、上記検査装置を用いた場合の検査手順を、その流れ図である図9を用いて説明する。
図9において、検査開始後(S101)、検査対象である燃料電池の良否判定基準となる電圧が極小もしくは極大を示す最小限の時間T1min、電圧が極小もしくは極大を示す最大限の時間T1max、及び電流密度Iおよび電流密度変化±ΔIを設定する(S102)。ここで前記T1minおよびT1maxは、T1の最小許容時間および最大許容時間を設定するものである。
燃料電池を運転して(S103)、燃料電池に負荷装置8を接続して負荷電流を流し、負荷にかかる電圧の時間変化を記録する(S104)。この状態で負荷電流を変化させ(S105)、このときに発生した電圧変化を観測し、電圧が極小値もしくは極大値を示す時間であるT1を決定する(S106)。このT1が、予め定めた設定時間内にあるかどうかを判断し(S107)、設定時間内にない場合には、指示装置にて不良品であることを警告して(S108)、終了する(S109)。良品である場合には、良品であることを指示装置で指示して(S110)、終了する(S111)。なお、T1の設定範囲を2個以上設定し、検査された燃料電池発電装置をより詳しく分類し、より詳細に燃料電池の状態を判定することもできる。
【0031】
[検査装置:第2の検査装置]
また、本発明の検査装置の他の例を図15に示す。この図15において、図8と同等の構成については同じ符号を用いている。この装置は、前記図8とは異なり、燃料電池11からの電力出力は、これを消費する外部負荷装置12と、本発明の検査のための検査負荷装置13の2つに分配される。そして、判断装置15は、外部負荷装置12及び検査負荷装置13によって生じる負荷を測定すると共に、検査負荷装置13を制御して、燃料電池にかかる負荷を変化させ、出力電圧の変化を観測するものである。このような本実施の形態の検査装置は、燃料電池の負荷と、検査のための負荷を区分することが可能となり、より汎用性の高い燃料電池発電装置が実現できる特徴を有している。
【0032】
すなわち、図15に見られるように、燃料電池11にはメタノール水溶液と酸化剤燃料が供給されており、この燃料電池11の出力に接続された負荷12により負荷電流が流れるようにして運転されている。本実施例においては、検査装置17は、検査負荷装置13と、電圧検出装置14と、判断装置15と、指示装置16とで構成されている。検査負荷装置13は、燃料電池から流れる負荷電流を変化させるように負荷の値を変化させるために用いる。
また、図15の燃料電池においても出力電力は、4端子で取り出されているが、これは2端子でも良いことは、前述の図8と同様である。
【0033】
次に、この検査装置を用いた場合の検査手順を、その流れ図である図16を用いて説明する。図16のフローチャートに見られるように、開始後(S201)、負荷電流密度Iを読み取る(S202)。そしてこのIに基づいて、T1min、T1maxおよび±ΔIを設定する(S203)。なお、Iを読み取らずに設定することもできる。次いで、電圧検出装置4を用いて電圧を検出し、時間変化を記録する(S204)。検査負荷装置を用いて負荷電流密度に±ΔIの変化を加える(S205)。T1を決定し(S206)、設定値の範囲にあるか判定する(S207)。設定値の範囲外であれば指示装置を用いて警告し(S208)、安全の確保等のために負荷を制御し(S209)、不良があると判定して終わる(S210)。なお、負荷を制御しないほうが望ましい場合には、負荷を制御しなくとも良い。T1が設定値の範囲内にあれば(S211)、問題のない良品と判定して終わる(S212)。なお、T1の設定範囲を2個以上設定し、検査された燃料電池発電装置をより詳しく分類して負荷制御をおこなっても良い。
【0034】
[燃料電池発電装置]
本発明の燃料電池発電装置は、前述の直接型メタノール燃料電池に前述の検査装置を接続し、さらに外部負荷を接続できるようにしたものである。
本発明の燃料電池発電装置は、1つの筐体に収容して発電装置とすることもできるし、さらに複数の部材に分割し、相互に電気的あるいは機械的に接続して発電装置とすることもできる。携帯用電子機器の電源とするためには、筐体を一体化して発電装置とすることが好ましい。この発電装置を駆動する電源は、燃料電池自体から供給することもできるが、燃料電池の非運転時にも燃料電池の状態を表示するなど、各種制御装置を作動させる必要があり、他の電池を搭載することが好ましい。
この燃料電池発電装置の検査方法手順は、検査装置を構成する判断装置に組み込まれる不揮発性メモリに書き込まれたプログラムによって実現することが好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:直接型メタノール燃料電池の組み立て)
まず、本発明の実施例に用いた燃料電池発電装置の起電部である起電部単位の作製方法を述べる。公知の方法(R.Ramakumar et al.J.Power Sources69(1997)75.)により、アノード用触媒(Pt:Ru=1:1)担持カーボンブラックとカソード用触媒(Pt)担持カーボンブラックを作製した。触媒担持量は、カーボン100に対して重量比でアノードは30、カソードは15である。
【0036】
アノード電極は、前記プロセスにおいて作製したアノード用触媒担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液(Dupont社 Nafion溶液SE−20092)とイオン交換水を加え、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを作製した。このペーストを、撥水処理済カーボンペーパーTGPH−120(E−TEK社製)の上に塗布して乾燥させた。
【0037】
カソード電極は、前記プロセスにおいて作製したカソード用触媒担持カーボンブラックにパーフルオロカーボンスルホン酸溶液(Dupont社 Nafion溶液SE−20092)とイオン交換水を加え、前記触媒担持カーボンブラックを分散させてペーストを作製した。このペーストを、撥水処理済カーボンペーパーTGPH−090(E−TEK社製)の上に塗布して乾燥させた。
【0038】
図1に示す起電部単位は、市販のパーフルオロカーボンスルホン酸膜(Dupont社 Nafion117)の両面に、前記プロセスで作製したアノード電極とカソード電極をホットプレス(125℃、5分間)により接合して作製した。
【0039】
(実施例2:検査条件の決定1)
上記方法によって作成した起電部単位を、5個直列に接続し、メタノール水溶液供給手段および酸化剤供給手段を接続して燃料電池を組み立てた。
この燃料電池を用いて、電流密度を変化させるのに要する時間であるΔTの大きさを、変化させて電流密度を変化させて燃料電池を稼働させた。この実験において、電流密度Iを145mA/cm、また電流密度差ΔIを5mA/cmとして、電流密度を145mA/cmから150mA/cmに変化させた。アノード電極には、2Mのメタノール水溶液を市販の送液ポンプを用いて送液した。カソード側には、市販のエアーポンプを用いて空気を送気した。空気の流量は、市販のマスフローコントローラーを用いて調整した。燃料電池の出力先である負荷としては、前述の市販の電子負荷機を用いた。また、電圧検出手段には、市販のデジタルマルチメーターを用いた。さらに、燃料電池の駆動温度を70℃に制御して、電極面積10cmの直接型メタノール燃料電池の運転をおこなった。
以上の稼働条件における燃料電池の発電試験の結果を、図4に示す。図4は、電流密度変化に要する時間に対する電圧の極小値もしくは極大値に至る時間をプロットしたものである。
図4中、実線はΔTを10−5秒、破線はΔTを0.5秒、また点線はΔTを3秒として電流密度を変化させたものである。ΔTが3秒の結果は、ΔTが10−5秒およびΔTが0.5秒のものとは明確に異なり、電圧降下およびその後におこる電圧増加が、きわめてゆるやかにおこっている。ΔTが10−5秒のときにT1は5.3秒、ΔTが0.5秒のときにT1は5.5秒、またΔTが3秒のときにT1は17秒の値が得られた。
図5に、T1のΔT依存性を示す。T1は、ΔTが0.5秒以下の範囲においてはほぼ一定の値をとるが、一方、ΔTが0.5秒よりも大きいときには、ΔTの増加と共にT1は単調に増加する。これより、ΔTが0.5秒よりも大きくなってしまうと、本発明で提供する電圧変化が鈍化してしまい、直接型メタノール発電装置の検査に用いることができないことがわかる。従って、ΔTの上限を0.5秒と設定することが好ましいことが判明した。
【0040】
(実施例3:検査条件の決定2)
上記実施例2で用いたものと同じ燃料電池を用いて、電流密度の変化量ΔIの大きさを変化させて、それによる電圧変化の極小値もしくは極大値に至る時間T1について検討した。
すなわち、電流密度Iを170mA/cmと設定し、電流密度を−ΔIだけ変化させた。アノード電極には、2Mのメタノール水溶液を市販の送液ポンプを用いて送液した。カソード側には、市販のエアーポンプを用いて空気を送気した。空気の流量は、市販のマスフローコントローラーを用いて調整した。燃料電池に接続する負荷としては、市販の電子負荷機を用いた。電圧検出手段には、市販のデジタルマルチメーターを用いた。燃料電池発電装置の稼働温度を80℃に制御して電極面積25cmの直接型メタノール燃料電池発電装置の運転をおこなった。
結果を図6に示す。図中で実線はΔIを2、破線はΔIを0.1と設定したものである。ΔIが2のときには電圧の極大値は明確であり、T1は6.5秒と判定することができた。一方、ΔIが0.1の場合には、電圧変化が極度に小さく、極大値を判別することができず、電流密度の変化量ΔIが2のときのように明確にT1を決定することができなかった。
図7に、T1のΔI依存性を示す。ΔIが0.2未満の場合は誤差棒が大きくなりすぎるため、T1を正確に判定することが困難であることがわかった。そこでΔIの下限を0.2と設定することが好ましいことが判明した。
【0041】
(実施例4:検査装置1)
図8に示した燃料電池発電装置を用いた燃料電池の検査を行った実施例を以下に説明する。
前記PC上で動作する市販のプログラミング言語を用いて、判断装置および指示装置としての動作をするプログラムを作製し、判断装置および指示装置として用いた。
作製条件の異なる下記の3種類の電池を作製し、本発明による検査装置を用いて検査をおこなった。
電池1:実施例1で作製した起電部単位をそのまま用いて、実施例2に記載した燃料電池を組み立てたものである。
電池2:実施例1で作製した起電部単位を、30時間の間4Mのメタノール水溶液に浸漬し、その後、実施例2に記載した燃料電池を組み立てたものである。
電池3:実施例1で作製した起電部単位を、30時間の間7Mのメタノール水溶液に浸漬し、その後、実施例2に記載した燃料電池を組み立てたものである。
【0042】
前記電池1ないし電池3を用いて、アノード側に2Mのメタノール水溶液を0.6ml/min.の流量で、市販の送液ポンプを用いて送液した。カソード側には、市販のエアーポンプを用いて空気を60ml/min.の流量で送気した。空気の流量は、市販のマスフローコントローラーを用いて調整した。負荷装置には市販の電子負荷機を用いた。電圧検出装置には、市販のデジタルマルチメーターを用いた。PCにGPIBインターフェイスを装着し、前記インターフェイスに市販のGPIBケーブルを用いて負荷と検査負荷および電圧検出装置を接続した。
【0043】
前記検査装置を用い、I=30mA/cm、ΔI=5mA/cmとし、電流密度を30mA/cmから35mA/cmに変化させた。Δt=10−4とした。市販の電流計を用いて確認したところ、10−4秒の間に負荷変化がおこっていることが確認された。T1minを1秒、T1maxは5秒と設定した。
【0044】
指示装置には市販のブザーを用い、T1が設定範囲にない場合には音が鳴るようにした。指示装置には、ブザー、チャイムなど音の鳴るもの、LEDやランプなど光るもの、バイブレーターなどの振動するもの、においのでるもの、あるいはこれらを2個以上組み合わせたものなどを用いることが出来る。なお、指示装置をつけなくとも良い。
【0045】
図10に、負荷電流変化の前後における電池1の電圧の時間変化を示す。この電池のT1は3個の電池の中で最も小さく、2.3秒であった。この結果から、電池1は良品と判定した。
図11に、負荷電流変化の前後における電池2の電圧の時間変化を示す。この電池のT1は6.7秒であった。この結果から、電池2は不良品と判定した。
図12に、負荷電流変化の前後における電池3の電圧の時間変化を示す。この電池のT1は140.5秒であった。この結果から、電池3は不良品と判定した。
図13に電池1と電池2および電池3のI−Vカーブの測定結果、図14に対応する出力密度の電流密度依存性を示す。本発明による検査結果のとおり、電池1は最も性能が高かった。電池3は最も性能が悪く、電池2はその中間の性能であった。これは、おのおのに用いられたプロトン導電性電解質が受けたダメージの違いによるものである。電池3は3つの電池の中で最も濃いメタノール水溶液に浸漬していたために最もダメージが大きい。電池2は比較的薄いメタノール水溶液のためにダメージが小さく、電池3より良好な性能を示す。電池1はダメージがないために、最も良好な性能を示す。ダメージの程度の違いが、プロトン導電性電解質内部における燃料の移動度に反映され、それが性能の差につながったものと考えられる。
【0046】
(実施例5:検査装置2)
本実施例においては、前述の燃料電池1ないし燃料電池3の起電部単位を用い、電極面積50cmのセルを10個直列につないだ直接型メタノール燃料電池を用いた。アノード側には各セルに2Mのメタノール水溶液を0.6ml/min.の流量で導入した。カソード側には、各セルに空気を2000ml/min.の流量で導入した。市販のマスフローコントローラーを用いて空気流量を調整した。I=20mA/cm、ΔI=5mA/cm、T1min=0.5およびT1max=3と設定し、10セルすべてに流れる電流を、50mA/cmから55mA/cmに変化させた。6番目のセル(以後セル6と表記)と8番目のセル(セル8と表記)の電圧変化を検出した。指示装置には市販のライトを用い、T1が設定範囲内にないときにはライトが点滅するようにした。指示装置には、ブザー、チャイムなど音の鳴るもの、LEDやランプなど光るもの、バイブレーターなどの振動するもの、においのでるもの、あるいはこれらを2個以上組み合わせたものなどを用いることが出来る。なお、指示装置をつけなくとも良い。
【0047】
図17に電圧の時間変化を示す。この結果より、セル6は不良と判定され、ランプが点滅した。一方セル8は良品と判定された。そこでI−Vカーブをとってみたところ、検査結果どおり、セル6の性能がセル8に比べて悪くなっていることがわかった。それを図18に示す。図19には出力密度の電流密度依存性を示すが、最高出力密度がセル8とセル6で大きく異なっている。
【0048】
なお、上記各実施例においては、触媒はカーボンブラック担体に担持させたものを用いたが、触媒は他の担体、たとえば酸化チタンなどに担持させてもかまわないし、担持させないで用いてもよい。また、プロトン導電性電解質にはNafion20092(Dupont社製)を用いたが、他のパーフルオロカーボンスルホン酸(ダウ・ケミカル社製膜、アシプレックス(旭化成工業(株)、フレミオン(旭硝子(株)))や、さらにスルホン化トリフルオロスチレン重合体、ETFE・FEP基材にスルホン化ポリスチレングラフト鎖を導入したグラフト重合電解質、スルホン化スチレン−ブタジエンランダムブロック共重合体、酸ドープポリベンズイミダゾール、耐熱性高分子(ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルキノキサレン、ポリベンズイミダゾール、フッ素化ポリイミド)をスルホン化したもの、あるいはイオン伝導性ビニルモノマー(ビニルスルホン酸ナトリウム、アルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)を含むイオン導電樹脂などを用いたものでも、本発明は適用できる。さらに本発明は、他の燃料、たとえばエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ホルムアルデヒド、ギ酸、ギ酸メチル、オルトギ酸メチル、トリオキサン、1−プロパノール、2−プロパノール、3−プロパノール、エチレングリコール、グリオキサール、グリセリン、およびそれらの水溶液をアノード側に導入する燃料電池発電装置においても有効である。また、本発明の検査方法、検査装置、および検査方法を具備した電池は、燃料電池発電装置だけではなく、電気化学的に水素を吸蔵・放出する水素吸蔵合金を主成分とする水素吸蔵合金電極と、水酸化ニッケルを主成分とするニッケル電極とを備えたニッケル水素蓄電池や、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出する正極と負極、および前記リチウムイオンを含む電解質を溶解させた有機電解液を具備し、前記正極および負極がセパレータを介して配置されたリチウムイオン二次電池などの二次電池においても適用できる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、簡易かつ客観的に燃料電池の性能・過渡応答などの特性を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 直接型メタノール燃料電池発電要素である起電部単位の構造を示す概略断面図。
【図2】 本発明の検査方法の原理を示すグラフ。
(A)負荷されている電流を時間T=0において増加させた場合にときに観測される、電圧の時間変化を示す図。(B)負荷されている電流を時間T=0において減少させた場合にときに観測される、電圧の時間変化を示す図。
【図3】 本発明の実施例である電流密度変化に対応する電圧の時間変化を示すグラフ。
負荷電流を0mA/cmから5mA/cm、5mA/cmから10mA/cmおよび10mA/cmから15mA/cmまで増加させたときの電圧の時間変化。
【図4】 電流密度を変化させる時間を変更した場合の電圧の応答を示すグラフ。
ΔTの大きさを10−5秒、0.5秒、および3秒として負荷電流を変化させたときの、電圧の時間変化。
【図5】 本発明の実施例であるT1のΔT依存性を示すグラフ。
【図6】 本発明の実施例であるΔIの大きさを変化させたときに観測した電圧の時間変化を示すグラフ。
【図7】 本発明の実施例であるT1のΔI依存性を示すグラフ。
【図8】 本発明の直接型メタノール燃料電池発電装置検査装置の1例を示す概略図。
【図9】 本発明の直接型メタノール燃料電池発電装置検査装置を用いて検査を行う手順を示すフローチャート。
【図10】 負荷電流変化の前後における電池1の電圧の時間変化を示すグラフ。
【図11】 負荷電流変化の前後における電池2の電圧の時間変化を示すグラフ。
【図12】 負荷電流変化の前後における電池3の電圧の時間変化を示すグラフ。
【図13】 電池1、電池2および電池3のI−Vカーブを示すグラフ。
【図14】 電池1、電池2および電池3における出力密度の電流密度依存性を示すグラフ。
【図15】 本発明の直接型メタノール燃料電池発電装置検査装置の他の例を示す概略図。
【図16】 本発明の直接型メタノール燃料電池発電装置検査装置を用いて検査を行う手順を示すフローチャート。
【図17】 負荷電流変化の前後におけるセル6とセル8の電圧の時間変化を示すグラフ。
【図18】 本発明の他の実施例における燃料電池のI−Vカーブを示すグラフ。
【図19】 本発明の他の実施例における出力密度の電流密度依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
1…燃料電池
2…外部負荷
3…検査負荷装置
4…電圧検出装置
5…判断装置
6…指示装置
7…検査装置
11…燃料電池
12…外部負荷装置
13…検査負荷装置
14…電圧検出装置
15…判断装置
16…指示装置
17…検査装置
18…外部負荷装置

Claims (4)

  1. アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極に液体燃料および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置の検査方法において、
    発電中の前記直接型液体燃料電池発電装置を構成する任意数の直列に連続した起電部から取り出される電流密度I(mA/cm)を、10−5≦Δt≦0.5の条件を満足する時間Δt(sec)の間に、0.2≦ΔI≦5の条件を満足するΔIもしくは−ΔI(ΔI(mA/cm)は正の量)の電流密度変化を発生させることにより生じる起電部単位1個の電圧V(V)の時間変化を観測し、その結果を基に燃料電池の良否判定をおこなうことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置の検査方法。
  2. 電流密度IにΔIの変化を発生させはじめてから、電圧Vが最小の値をとるまでに経過した時間、もしくは電流密度Iに−ΔIの変化を発生させはじめてから、電圧Vが最大の値をとるまでに経過した時間が予め定められた時間内にあることを判定の基準として検査をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の直接型液体燃料電池発電装置の検査方法。
  3. アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極に液体燃料および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置の検査装置において、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、出力電力を消費する負荷装置と、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、負荷を制御することによって、出力電流密度を変化させる手段と、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力の電圧を測定する手段と、
    前記電流密度を制御する手段、および電圧検出手段に接続され、電流密度変化を生起せしめた時間と、出力電圧の変化の測定結果から、前記燃料電池発電装置の状態を判別するための判断装置を備えたことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置の検査装置。
  4. アノード触媒層を含むアノード電極と、カソード触媒層を含むカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極の間に配置される電解質を備える起電部単位を複数個備え、前記アノード電極にメタノール水溶液および前記カソード電極に酸化剤ガスを供給することにより発電をおこなう直接型液体燃料電池発電装置と、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、出力電力を消費する負荷装置と、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力に接続され、負荷を制御することによって、出力電流密度を変化させる手段と、
    前記直接型液体燃料電池発電装置からの出力の電圧を測定する手段と、
    前記電流密度を制御する手段、および電圧検出手段に接続され、電流密度変化を生起せしめた時間と、出力電圧の変化の測定結果から、前記燃料電池発電装置の状態を判別するための判断装置を備えたことを特徴とする直接型液体燃料電池発電装置。
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