JPWO2007110969A1 - 燃料電池のクロスオーバー損失の測定方法および測定装置 - Google Patents
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Abstract
ゴテスフェルド法による透過電流密度測定や、ガスクロマトグラフ,液クロマトグラフによるメタノール透過係数測定では、クロスオーバー量の目安にはなるが、クロスオーバー損失との相関は不明であり、クロスオーバー損失がどの程度であるか見積もることができなかった。本発明は、メタノールクロスオーバー損失を直接測定できる新規な測定方法を提供することを目的とする。メタノール燃料電池用MEAに対して、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧と、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧の差からクロスオーバー損失を測定することを特徴とする測定方法である。
Description
本発明は、燃料電池用膜電極接合体に対する新規クロスオーバー損失測定方法に関するものである。また、その測定方法に基づいた測定装置に関するものである。また、その測定方法に基づいたさまざまな応用機器に関するものである。
近年、リチウムイオン二次電池に代わる携帯機器用電源として、メタノールを燃料に使う直接型メタノール燃料電池DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)が期待されており、実用化を目指して盛んに開発が行われている。
DMFCの発電部分は、プロトン導電性の固体高分子電解質膜の表裏にカソード触媒層およびアノード触媒層を配した構造となっている。これを膜電極接合体MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ。カソード触媒層およびアノード触媒層は触媒担持カーボンと固体高分子電解質が適度に混ざり合ったマトリクスになっており、カーボン上の触媒と固体高分子電解質および反応物質が接触する三相界面において電極反応がおこなわれる。また、カーボンのつながりが電子の通り道であり、固体高分子電解質のつながりがプロトンの通り道となる。
DMFCは、アノード触媒層およびカソード触媒層でそれぞれ(1)及び(2)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e− (1)
O2+4H++4e−→2H2O (2)
(1)(2)を合わせた全体の反応式は次式となる。
CH3OH+3/2O2→CO2+H2O (3)
DMFCは理論的にリチウムイオン二次電池の約10倍のエネルギー密度を持つとされている。しかし、現状ではリチウムイオン二次電池と比べてMEAの出力が低く、実用化に至っていない。
MEAの出力向上には、構成材料である触媒および電解質膜の改良、MEA構造の最適化といったアプローチがある。中でも電解質膜の改良がMEAの出力向上のカギを握っている。電解質膜に求められる性能としては、(1)プロトン導電率が高い、(2)メタノール透過量が低い、の2点が挙げられる。(1)のプロトン導電率は電解質膜の抵抗に関わっている。プロトン導電率が低いと抵抗が増大し出力低下を招いてしまう。(2)のメタノール透過量は、アノードのメタノールが電解質膜を透過してカソードに達してしまう、いわゆる「クロスオーバー」に関わっている。カソードに達したメタノールは、カソード触媒上で酸素と化学的に反応して熱を発する。このクロスオーバーにより、カソードの過電圧の増大を招き、MEAの出力が低下してしまう。クロスオーバーにより引き起こされる出力電圧の低下分を「クロスオーバー損失」と呼んでいる。
クロスオーバー量の測定方法としては、(i)ゴテスフェルド法による透過電流密度測定(文献 J.Electrochem.Soc.,147(2)466(2000))、(ii)ガスクロマトグラフによるメタノール透過係数測定、(iii)液クロマトグラフによるメタノール透過係数測定、などがある。
(i)の方法によると、電極反応がDMFCの電極反応と異なるために、MEAの出力電圧の低下分であるクロスオーバー損失を見積もることができない。すなわち、実際のDMFC反応式とは違う反応の電流を測定していることになる。
また、(ii)(iii)では、膜厚や時間などから、メタノール透過係数を算出してメタノールクロスオーバー量の大小を比較する。
メタノール透過電流や、メタノール透過係数はクロスオーバー量の目安にはなるが、クロスオーバー損失との相関は不明であり、クロスオーバー損失がどの程度であるか見積もることができない。
このように、実際の燃料電池においてはクロスオーバー損失が出力を決める重要な要素であるにも関わらず、現在までの所、直接的に測定する方法がないため、他のクロスオーバー量を目安にしている。そして、測定された透過電流密度や透過係数にどれだけの意味があるのかは不明である。例えば、それらの値を1/2にしても、クロスオーバー損失が1/2になるわけではない。
DMFCの発電部分は、プロトン導電性の固体高分子電解質膜の表裏にカソード触媒層およびアノード触媒層を配した構造となっている。これを膜電極接合体MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ。カソード触媒層およびアノード触媒層は触媒担持カーボンと固体高分子電解質が適度に混ざり合ったマトリクスになっており、カーボン上の触媒と固体高分子電解質および反応物質が接触する三相界面において電極反応がおこなわれる。また、カーボンのつながりが電子の通り道であり、固体高分子電解質のつながりがプロトンの通り道となる。
DMFCは、アノード触媒層およびカソード触媒層でそれぞれ(1)及び(2)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e− (1)
O2+4H++4e−→2H2O (2)
(1)(2)を合わせた全体の反応式は次式となる。
CH3OH+3/2O2→CO2+H2O (3)
DMFCは理論的にリチウムイオン二次電池の約10倍のエネルギー密度を持つとされている。しかし、現状ではリチウムイオン二次電池と比べてMEAの出力が低く、実用化に至っていない。
MEAの出力向上には、構成材料である触媒および電解質膜の改良、MEA構造の最適化といったアプローチがある。中でも電解質膜の改良がMEAの出力向上のカギを握っている。電解質膜に求められる性能としては、(1)プロトン導電率が高い、(2)メタノール透過量が低い、の2点が挙げられる。(1)のプロトン導電率は電解質膜の抵抗に関わっている。プロトン導電率が低いと抵抗が増大し出力低下を招いてしまう。(2)のメタノール透過量は、アノードのメタノールが電解質膜を透過してカソードに達してしまう、いわゆる「クロスオーバー」に関わっている。カソードに達したメタノールは、カソード触媒上で酸素と化学的に反応して熱を発する。このクロスオーバーにより、カソードの過電圧の増大を招き、MEAの出力が低下してしまう。クロスオーバーにより引き起こされる出力電圧の低下分を「クロスオーバー損失」と呼んでいる。
クロスオーバー量の測定方法としては、(i)ゴテスフェルド法による透過電流密度測定(文献 J.Electrochem.Soc.,147(2)466(2000))、(ii)ガスクロマトグラフによるメタノール透過係数測定、(iii)液クロマトグラフによるメタノール透過係数測定、などがある。
(i)の方法によると、電極反応がDMFCの電極反応と異なるために、MEAの出力電圧の低下分であるクロスオーバー損失を見積もることができない。すなわち、実際のDMFC反応式とは違う反応の電流を測定していることになる。
また、(ii)(iii)では、膜厚や時間などから、メタノール透過係数を算出してメタノールクロスオーバー量の大小を比較する。
メタノール透過電流や、メタノール透過係数はクロスオーバー量の目安にはなるが、クロスオーバー損失との相関は不明であり、クロスオーバー損失がどの程度であるか見積もることができない。
このように、実際の燃料電池においてはクロスオーバー損失が出力を決める重要な要素であるにも関わらず、現在までの所、直接的に測定する方法がないため、他のクロスオーバー量を目安にしている。そして、測定された透過電流密度や透過係数にどれだけの意味があるのかは不明である。例えば、それらの値を1/2にしても、クロスオーバー損失が1/2になるわけではない。
以上を鑑み、本発明は、メタノールクロスオーバー損失を直接測定できる新規な測定方法を供給することを目的とする。
酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対してメタノールのクロスオーバー量を電圧で評価する測定方法である。
酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対してメタノールのクロスオーバー量を電圧で評価する測定方法である。
第1図は本発明に係る測定方法のフローチャートを示す図、第2図は本発明にかかる電圧変化のグラフを示す図、第3図は本発明にかかる測定装置を示す図、第4図ないし第6図は本発明にかかる燃料電池を示す図、第7図ないし第14図は本発明にかかる実施例又は比較例を表すグラフである。
本発明による実施形態について図面を用いて詳しく述べる。
本実施の形態は、メタノール燃料電池用MEAに対して、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧と、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧の差からクロスオーバー損失を測定することを特徴とする測定方法である。
メタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧を測定するため、アノードにメタノール水溶液、カソードに不活性ガスを満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、アノードからカソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化することを特徴とする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給し、その開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)の変移を測定することを特徴とする測定方法である。この測定方法において、カソードに空気もしくは酸素を供給した直後に測定される最高電圧がカソード触媒層のメタノールがほぼ0の電圧であり、メタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧である。そのまま放置すると、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧となり、一定電圧となる。それらの電圧の差がクロスオーバー損失に相当する。また、本実施の形態は上記の測定原理に基づいた測定装置であり、直接クロスオーバー損失を測定することが可能になる。
ここで、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧とは、カソード触媒層中のメタノール水溶液が理想的には0、または0に近い状態の電圧をいう。また、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧とは、アノードからカソードにメタノールがクロスオーバーした結果、カソードの過電圧が大きくなって出力電圧が低下し、ある値で一定になった電圧のことをいう。
第1図に本実施の形態の新規メタノールクロスオーバー損失測定方法のフローチャートを示す。まず、新規クロスオーバー損失測定方法では、ゴテスフェルド法の測定をおこなう。すなわち、カソード側に不活性ガスを供給し、アノード側にメタノール水溶液を満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷する。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法では、このゴテスフェルド法の直後には、瞬間的にカソード触媒層中のメタノールがほぼ0になることに着目した。すなわち、ゴテスフェルド法では、カソード触媒層中のメタノール水溶液を電気化学的に反応させて消費していることに相当する。第1図のフローチャートに示すように、この状態でカソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)を測定すると、空気もしくは酸素を供給した直後に最高電圧が測定されるが、この電圧がカソード触媒層中のメタノール水溶液がほぼ0の状態の電圧である。(この電圧をトップ電圧と定義する。)そして、そのまま保持すると、アノードのメタノールがカソードに透過していき、ある時間後には電圧が一定となる。(この一定電圧をプラトー電圧と定義する。)この一定電圧は、アノードからカソードにメタノールがクロスオーバーしカソード触媒層がメタノールの影響を受けた電圧である。第2図のように、トップ電圧とプラトー電圧の差がクロスオーバー損失に相当する。
実際には、メタノール濃度が高い場合には、測定されるトップ電圧は、カソード触媒層のメタノールが厳密に0の電圧ではない。すなわち、メタノール濃度が高い場合には、ゴテスフェルド法直後でも、触媒担体であるカーボン表面や細孔内にメタノール水溶液が残っていると考えられ、また、電解質膜内にもメタノールが含まれる。これらのメタノール水溶液が、ゴテスフェルド法終了時に瞬間的に電圧に影響を及ぼすと考えられる。よってトップ電圧を測定する際のメタノール濃度はできるだけ低い方が望ましい。具体的には1wt%以下が望ましい。さらには、0.5wt%以下が望ましい。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法では、トップ電圧とプラトー電圧の差がクロスオーバー損失に相当するが、トップ電圧測定とプラトー電圧測定でメタノール濃度が異なる場合、補正が必要となる。すなわち、メタノール濃度の違いによりアノード電位にずれが生じるため、その分を補正する必要がある。補正にはネルンスト式を用いることができる。(3)式の平衡起電力Eはネルンスト式より下記のように表される。
E=E0+2.303×(RT/nF)log[aCH3OH×PO2 3/2/aH2O2×PCO2] (6)
(E0:理論起電力、a:活量、P:分圧)
トップ電圧を測定した時のメタノール濃度をwt(wt%)、プラトー電圧を測定した時のメタノール濃度をwp(wt%)とした場合、メタノール濃度の違いによる電圧差ΔV濃度はネルンスト式を考慮すると下記のようになる。
ΔV濃度=Ewp−Ewt=2.303×(RT/nF)log[aCH3OH、wp/aCH3OH、wt]
(Ewp:wpにおける電圧、Ewt:wtにおける電圧、aCH3OH、wp:wpにおける活量、aCH3OH、wt:wtにおける活量)
=0.01×log(wp/wt) (7)
上記を考慮すると、メタノールクロスオーバー損失ΔVクロスオーバー損失は次式で求めることができる。
ΔVクロスオーバー損失=Ewt t−Ewp p+ΔV濃度 (8)
(Ewt t:wtにおけるトップ電圧、Ewp p:wpにおけるプラトー電圧)
また、ゴテスフェルド法において、アノード/カソード間に負荷する電圧が低すぎると、測定される電流は、MEAのアノード側からカソード側へのメタノールのクロスオーバーが律速になるのではなく、触媒層における(4)もしくは(5)の反応が律速になる。そのため、測定される電流は、「透過電流」には相当しない。アノード/カソード間に負荷する電圧は0.7V以上が望ましい。また、アノード/カソード間に負荷する電圧が高すぎると電解質や水の電気分解を起こしてしまう。そのため、0.9V以下が望ましい。
また、アノード/カソード間に電圧を負荷する時間は測定される透過電流値が一定になるまでであり、1分以上2時間以下が望ましい。
また、ゴテスフェルド法で供給する不活性ガスの種類は、窒素ガス,アルゴンガス,ヘリウムガスなどを用いることができる。その流量はカソード内に均一にいきわたる流量であればよく、10〜1000ml/分が望ましい。また、ゴテスフェルド法直後に、空気または酸素を供給する流量は10〜1000ml/分が望ましい。また、ゴテスフェルド法直後にカソードを開放系にして、空気を自然吸気させて開回路電圧OCVを測定することも可能である。
また、本実施の形態では、ゴテスフェルド法後、カソードに空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCVを測定するが、その測定時間はMEAの条件、例えば、触媒量,触媒層厚さ,電解質膜種類によって異なる。プラトー電圧になるまでの測定時間として、2分以上10時間以内が望ましい。さらには、電圧変化を外挿してプラトー電圧を予測することで、測定時間を短縮することも可能である。
また、アノードのメタノール水溶液の供給方法として、一定量のメタノール水溶液を満たしておくタンク式や、あるいは一定流量のメタノールを流すフロー式を用いることができる。フロー式の場合、メタノール水溶液の流量は、5〜500ml/分が望ましい。
第3図に本実施の形態の新規メタノールクロスオーバー損失測定装置を示す。カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、またアノード側には燃料としてメタノール水溶液を供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えている装置である。カソードに不活性ガスを満たした状態で電圧を負荷することで、カソード側にクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、開回路電圧OCVを測定する装置である。測定されたトップ電圧とプラトー電圧の差からメタノールクロスオーバー損失を算出できる装置である。また、トップ電圧,プラトー電圧を測定した時のメタノール濃度の違いによる補正を自動的に算出する装置を備えていることが望ましい。また、カソード触媒層のメタノールが0になったのを自動的に感知して、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給する制御装置を備えているのは望ましい。また、プラトー電圧の測定において、電圧変化を外挿して、プラトー電圧を予測する装置を備えているのは望ましい。
測定セルは特に限定されるものではなく、例えば第4図のような単セルを用いることができる。第4図中、51がセパレータ、52が電解質膜、53がアノード触媒層、54がカソード触媒層、55が拡散層、56がガスケットである。アノード触媒層53及びカソード触媒層54を電解質膜52に接合したものがMEAである。セパレータ51は導電性を有し、その材質は、緻密黒鉛プレート,黒鉛やカーボンブラックなどの炭素材料を樹脂によって成形したカーボンプレート,ステンレス鋼やチタン等の耐食性の優れた金属材料が望ましい。また、セパレータ51の表面を貴金属メッキしたり、耐食性,耐熱性の優れた導電性塗料を塗布し表面処理することも望ましい。セパレータ51の、アノード触媒層53及びカソード触媒層54に面する部分には溝が形成されており、アノード側には燃料であるメタノール水溶液を供給し、カソード側には不活性ガスおよび空気もしくは酸素を供給する。
また、本実施の形態は、水素を燃料とするPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)に用いることができる。PEFCおよびDMFCでは、アノード触媒層において電極反応により生成したH+はアノード触媒層からカソード触媒層に電解質膜中を移動するが、そのH+に同伴して水も電解質膜中を動く。DMFCでは、燃料であるメタノールは水とサイズが同じであり互いに溶け合うため、電解質膜中を通過してしまう。一方、PEFCにおいても、水素ガスは多少水に溶解するため、水の動きに伴いクロスオーバーする。また、電解質膜の細孔からもクロスオーバーする。DMFC同様、クロスオーバーした水素はカソードの過電圧を増大させ出力電圧を低下させてしまうクロスオーバー損失を引き起こす。
本実施の形態はPEFCに対して水素クロスオーバー損失の測定にも用いることができる。水素クロスオーバー損失測定のためには、ゴテスフェルド法の測定をおこなう。すなわち、アノードに水素ガスを供給し、カソードに不活性ガスを供給し、アノード/カソード間にある一定電圧を負荷する。その反応式として、カソード側では、アノード側からクロスオーバーした水素ガスが次式の反応を起こし、
H2→2H++2e− (9)
できたプロトンH+がアノード側で次式の反応を起こす。
2H++2e−→H2 (10)
DMFC同様、このゴテスフェルド法の直後には、瞬間的にカソード触媒層中の水素がほぼ0になる。すなわち、ゴテスフェルド法では、カソード触媒層中の水素を電気化学的に反応させて消費していることに相当する。第1図のフローチャート同様に、この状態でカソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCVを測定すると、空気もしくは酸素を供給した直後に最高電圧が測定されるが、この電圧がカソード触媒層中のメタノール水溶液がほぼ0の状態の電圧である。(この電圧をトップ電圧と定義する。)そして、そのまま保持すると、アノードの水素がカソードに透過していき、ある時間後には電圧が一定となる。(この一定電圧をプラトー電圧と定義する。)第2図同様に、トップ電圧とプラトー電圧の差が水素のクロスオーバー損失に相当する。
また、本実施の形態は、新規水素クロスオーバー測定方法の原理に基づいた測定装置である。第3図に本実施の形態の新規水素クロスオーバー損失測定装置を示す。カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、またアノード側には燃料として水素ガスを供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えている装置である。カソードに不活性ガスを満たした状態で電圧を負荷することで、カソード側にクロスオーバーした水素を電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、開回路電圧OCV変化を測定する装置である。測定されたトップ電圧とプラトー電圧の差から水素クロスオーバー損失を算出できる装置である。また、カソードの水素が0になったのを自動的に感知して、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給する制御装置を備えているのは望ましい。また、プラトー電圧の測定において、電圧変化を外挿して、プラトー電圧を予測する装置を備えているのは望ましい。
また、本実施の形態のクロスオーバー損失測定の原理を応用して、厳密ではないがより簡便な測定方法を得ることができる。本実施の形態のクロスオーバー損失測定では、カソードに不活性ガスを満たして、アノード/カソード間に電圧を負荷する。しかし、不活性ガスを供給するのは、装置が複雑になり、時間もかかり、また、カソードが強制吸気ではないいわゆるパッシプ型のDMFCセルでは測定不能である。そこで、カソードを不活性ガスで満たす代わりに、一定電流を負荷することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げることが考えられる。すなわち、電流を負荷することで、カソードにおいてDMFC電池反応の(2)式を起こしてやり酸素を消費することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げる。その後、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、アノードからカソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してやり、カソード触媒層中のメタノールをほぼ0にする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給し、その開回路電圧OCVの変移を測定することでトップ電圧,プラトー電圧を測定してクロスオーバー損失を測定することができる。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いて、MEAの寿命を評価することができる。MEAの寿命には、電解質膜の劣化、特にクロスオーバー損失の増大が大きく影響している。本実施の形態の測定方法ではクロスオーバー損失を直接測定できるため、MEAの寿命を評価することができる。本実施の形態は、新規クロスオーバー測定方法の原理を用いて寿命を評価することができる装置である。その寿命評価装置は、第5図,第7図のようなDMFCに用いることができる。第5図はその部品構成を示す。カートリッジホルダー67を備えた燃料室61の両面に、アノード端板62,ガスケット63,拡散層付MEA64,ガスケット63,カソード端板65の順に積層し、該積層体を面内の加圧力が略均一になるようにネジ68で一体化,固定して構成される。アノード端板およびカソード端板からはそれぞれ端子66がでており、電力が取り出せるようになっている。第6図に、第5図の部品構成を積層,固定したDMFCを示す。燃料室71の両面には複数のMEAが直列接合され、該両面の直列MEA群は、さらに接続端子74で直列接合され、出力端子76から電力を取り出す構造になっている。第6図の場合、MEAは12直列である。第6図において、メタノール水溶液は、燃料カートリッジ78から高圧液化ガス,高圧ガスまたはバネなどによって加圧供給され、アノードで生成したCO2は、排ガス口75から排出される。この排ガス口75は、気液分離機能を持ち、気体は通すが液体は通さない。一方、酸化剤である空気はカソード端板73の空気拡散スリットからの拡散で供給され、カソードで生成した水はこのスリットを通して拡散,排気される。電池を一体化するための締め付け方法はネジ77による締め付けに限定されるものではなく、この電池を筐体内に挿入して筐体からの圧縮力による締め付け方法を用いることができる。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いた寿命評価装置は、第6図のようなDMFCの内部に内蔵できるものでも、必要に応じてDMFCに接触させるものでもよい。その寿命評価装置においては、寿命を表示する機能や、寿命がきた時を知らせるアラーム機能がついたものが望ましい。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いて、不良品のMEAを選別することが可能になる。MEA量産においては、一定量の不良品が発生するが、その不良の一因として、電解質膜の不良がある。例えば、電解質膜の厚さにむらがあるなどにより、クロスオーバー損失が大きくなってしまった不良品のMEAが発生する。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いれば、不良品の選別をおこなうことができる。本実施の形態は、新規クロスオーバー損失測定方法の原理を用いた不良品のMEAの評価装置である。
また、本実施の形態を応用することで、MEAの高出力化をはかることが可能である。すなわち、カソード触媒層中のメタノールを0かそれに近くした後で、発電をおこなうと、メタノールクロスオーバー損失がない分、出力を向上させることができる。例えば、カソード側に不活性ガスを供給し、アノード側にメタノール水溶液を満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、カソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してカソード触媒層中のメタノールをほぼ0にする。その後、カソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して、発電をおこなう。あるいは、カソードを不活性ガスで満たす代わりに、一定電流を負荷することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げた後、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、カソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してカソード触媒層中のメタノールを0にする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給して、発電をおこなう。以上のプロセスにより、メタノールクロスオーバー損失を抑えられる分だけ出力向上が見込める。
MEAの劣化にはさまざまな要因が絡んでいるが、その中の一因として電解質膜の劣化、特にクロスオーバー損失の増大がある。これは、電解質膜の溶解や電解質膜内の構造変化などにより、クロスオーバー損失が増大するものである。クロスオーバー損失を直接測定できれば、寿命評価等が可能になる。
また、MEAの量産においては、一定量の不良品が発生するが、その不良の一因として、電解質膜の不良がある。例えば、電解質膜の厚さにむらがあるなどにより、クロスオーバー損失が大きくなってしまった不良品のMEAが発生する。クロスオーバー損失を直接測定できれば、そのような不良品の選別が可能になる。
以下、本実施の形態について実施例を用いて詳細に説明する。尚、本実施の形態は下記実施例に限定されるものではない。
本実施の形態は、メタノール燃料電池用MEAに対して、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧と、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧の差からクロスオーバー損失を測定することを特徴とする測定方法である。
メタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧を測定するため、アノードにメタノール水溶液、カソードに不活性ガスを満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、アノードからカソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化することを特徴とする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給し、その開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)の変移を測定することを特徴とする測定方法である。この測定方法において、カソードに空気もしくは酸素を供給した直後に測定される最高電圧がカソード触媒層のメタノールがほぼ0の電圧であり、メタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧である。そのまま放置すると、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧となり、一定電圧となる。それらの電圧の差がクロスオーバー損失に相当する。また、本実施の形態は上記の測定原理に基づいた測定装置であり、直接クロスオーバー損失を測定することが可能になる。
ここで、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧とは、カソード触媒層中のメタノール水溶液が理想的には0、または0に近い状態の電圧をいう。また、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧とは、アノードからカソードにメタノールがクロスオーバーした結果、カソードの過電圧が大きくなって出力電圧が低下し、ある値で一定になった電圧のことをいう。
第1図に本実施の形態の新規メタノールクロスオーバー損失測定方法のフローチャートを示す。まず、新規クロスオーバー損失測定方法では、ゴテスフェルド法の測定をおこなう。すなわち、カソード側に不活性ガスを供給し、アノード側にメタノール水溶液を満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷する。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法では、このゴテスフェルド法の直後には、瞬間的にカソード触媒層中のメタノールがほぼ0になることに着目した。すなわち、ゴテスフェルド法では、カソード触媒層中のメタノール水溶液を電気化学的に反応させて消費していることに相当する。第1図のフローチャートに示すように、この状態でカソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)を測定すると、空気もしくは酸素を供給した直後に最高電圧が測定されるが、この電圧がカソード触媒層中のメタノール水溶液がほぼ0の状態の電圧である。(この電圧をトップ電圧と定義する。)そして、そのまま保持すると、アノードのメタノールがカソードに透過していき、ある時間後には電圧が一定となる。(この一定電圧をプラトー電圧と定義する。)この一定電圧は、アノードからカソードにメタノールがクロスオーバーしカソード触媒層がメタノールの影響を受けた電圧である。第2図のように、トップ電圧とプラトー電圧の差がクロスオーバー損失に相当する。
実際には、メタノール濃度が高い場合には、測定されるトップ電圧は、カソード触媒層のメタノールが厳密に0の電圧ではない。すなわち、メタノール濃度が高い場合には、ゴテスフェルド法直後でも、触媒担体であるカーボン表面や細孔内にメタノール水溶液が残っていると考えられ、また、電解質膜内にもメタノールが含まれる。これらのメタノール水溶液が、ゴテスフェルド法終了時に瞬間的に電圧に影響を及ぼすと考えられる。よってトップ電圧を測定する際のメタノール濃度はできるだけ低い方が望ましい。具体的には1wt%以下が望ましい。さらには、0.5wt%以下が望ましい。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法では、トップ電圧とプラトー電圧の差がクロスオーバー損失に相当するが、トップ電圧測定とプラトー電圧測定でメタノール濃度が異なる場合、補正が必要となる。すなわち、メタノール濃度の違いによりアノード電位にずれが生じるため、その分を補正する必要がある。補正にはネルンスト式を用いることができる。(3)式の平衡起電力Eはネルンスト式より下記のように表される。
E=E0+2.303×(RT/nF)log[aCH3OH×PO2 3/2/aH2O2×PCO2] (6)
(E0:理論起電力、a:活量、P:分圧)
トップ電圧を測定した時のメタノール濃度をwt(wt%)、プラトー電圧を測定した時のメタノール濃度をwp(wt%)とした場合、メタノール濃度の違いによる電圧差ΔV濃度はネルンスト式を考慮すると下記のようになる。
ΔV濃度=Ewp−Ewt=2.303×(RT/nF)log[aCH3OH、wp/aCH3OH、wt]
(Ewp:wpにおける電圧、Ewt:wtにおける電圧、aCH3OH、wp:wpにおける活量、aCH3OH、wt:wtにおける活量)
=0.01×log(wp/wt) (7)
上記を考慮すると、メタノールクロスオーバー損失ΔVクロスオーバー損失は次式で求めることができる。
ΔVクロスオーバー損失=Ewt t−Ewp p+ΔV濃度 (8)
(Ewt t:wtにおけるトップ電圧、Ewp p:wpにおけるプラトー電圧)
また、ゴテスフェルド法において、アノード/カソード間に負荷する電圧が低すぎると、測定される電流は、MEAのアノード側からカソード側へのメタノールのクロスオーバーが律速になるのではなく、触媒層における(4)もしくは(5)の反応が律速になる。そのため、測定される電流は、「透過電流」には相当しない。アノード/カソード間に負荷する電圧は0.7V以上が望ましい。また、アノード/カソード間に負荷する電圧が高すぎると電解質や水の電気分解を起こしてしまう。そのため、0.9V以下が望ましい。
また、アノード/カソード間に電圧を負荷する時間は測定される透過電流値が一定になるまでであり、1分以上2時間以下が望ましい。
また、ゴテスフェルド法で供給する不活性ガスの種類は、窒素ガス,アルゴンガス,ヘリウムガスなどを用いることができる。その流量はカソード内に均一にいきわたる流量であればよく、10〜1000ml/分が望ましい。また、ゴテスフェルド法直後に、空気または酸素を供給する流量は10〜1000ml/分が望ましい。また、ゴテスフェルド法直後にカソードを開放系にして、空気を自然吸気させて開回路電圧OCVを測定することも可能である。
また、本実施の形態では、ゴテスフェルド法後、カソードに空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCVを測定するが、その測定時間はMEAの条件、例えば、触媒量,触媒層厚さ,電解質膜種類によって異なる。プラトー電圧になるまでの測定時間として、2分以上10時間以内が望ましい。さらには、電圧変化を外挿してプラトー電圧を予測することで、測定時間を短縮することも可能である。
また、アノードのメタノール水溶液の供給方法として、一定量のメタノール水溶液を満たしておくタンク式や、あるいは一定流量のメタノールを流すフロー式を用いることができる。フロー式の場合、メタノール水溶液の流量は、5〜500ml/分が望ましい。
第3図に本実施の形態の新規メタノールクロスオーバー損失測定装置を示す。カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、またアノード側には燃料としてメタノール水溶液を供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えている装置である。カソードに不活性ガスを満たした状態で電圧を負荷することで、カソード側にクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、開回路電圧OCVを測定する装置である。測定されたトップ電圧とプラトー電圧の差からメタノールクロスオーバー損失を算出できる装置である。また、トップ電圧,プラトー電圧を測定した時のメタノール濃度の違いによる補正を自動的に算出する装置を備えていることが望ましい。また、カソード触媒層のメタノールが0になったのを自動的に感知して、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給する制御装置を備えているのは望ましい。また、プラトー電圧の測定において、電圧変化を外挿して、プラトー電圧を予測する装置を備えているのは望ましい。
測定セルは特に限定されるものではなく、例えば第4図のような単セルを用いることができる。第4図中、51がセパレータ、52が電解質膜、53がアノード触媒層、54がカソード触媒層、55が拡散層、56がガスケットである。アノード触媒層53及びカソード触媒層54を電解質膜52に接合したものがMEAである。セパレータ51は導電性を有し、その材質は、緻密黒鉛プレート,黒鉛やカーボンブラックなどの炭素材料を樹脂によって成形したカーボンプレート,ステンレス鋼やチタン等の耐食性の優れた金属材料が望ましい。また、セパレータ51の表面を貴金属メッキしたり、耐食性,耐熱性の優れた導電性塗料を塗布し表面処理することも望ましい。セパレータ51の、アノード触媒層53及びカソード触媒層54に面する部分には溝が形成されており、アノード側には燃料であるメタノール水溶液を供給し、カソード側には不活性ガスおよび空気もしくは酸素を供給する。
また、本実施の形態は、水素を燃料とするPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)に用いることができる。PEFCおよびDMFCでは、アノード触媒層において電極反応により生成したH+はアノード触媒層からカソード触媒層に電解質膜中を移動するが、そのH+に同伴して水も電解質膜中を動く。DMFCでは、燃料であるメタノールは水とサイズが同じであり互いに溶け合うため、電解質膜中を通過してしまう。一方、PEFCにおいても、水素ガスは多少水に溶解するため、水の動きに伴いクロスオーバーする。また、電解質膜の細孔からもクロスオーバーする。DMFC同様、クロスオーバーした水素はカソードの過電圧を増大させ出力電圧を低下させてしまうクロスオーバー損失を引き起こす。
本実施の形態はPEFCに対して水素クロスオーバー損失の測定にも用いることができる。水素クロスオーバー損失測定のためには、ゴテスフェルド法の測定をおこなう。すなわち、アノードに水素ガスを供給し、カソードに不活性ガスを供給し、アノード/カソード間にある一定電圧を負荷する。その反応式として、カソード側では、アノード側からクロスオーバーした水素ガスが次式の反応を起こし、
H2→2H++2e− (9)
できたプロトンH+がアノード側で次式の反応を起こす。
2H++2e−→H2 (10)
DMFC同様、このゴテスフェルド法の直後には、瞬間的にカソード触媒層中の水素がほぼ0になる。すなわち、ゴテスフェルド法では、カソード触媒層中の水素を電気化学的に反応させて消費していることに相当する。第1図のフローチャート同様に、この状態でカソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して開回路電圧OCVを測定すると、空気もしくは酸素を供給した直後に最高電圧が測定されるが、この電圧がカソード触媒層中のメタノール水溶液がほぼ0の状態の電圧である。(この電圧をトップ電圧と定義する。)そして、そのまま保持すると、アノードの水素がカソードに透過していき、ある時間後には電圧が一定となる。(この一定電圧をプラトー電圧と定義する。)第2図同様に、トップ電圧とプラトー電圧の差が水素のクロスオーバー損失に相当する。
また、本実施の形態は、新規水素クロスオーバー測定方法の原理に基づいた測定装置である。第3図に本実施の形態の新規水素クロスオーバー損失測定装置を示す。カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、またアノード側には燃料として水素ガスを供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えている装置である。カソードに不活性ガスを満たした状態で電圧を負荷することで、カソード側にクロスオーバーした水素を電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、開回路電圧OCV変化を測定する装置である。測定されたトップ電圧とプラトー電圧の差から水素クロスオーバー損失を算出できる装置である。また、カソードの水素が0になったのを自動的に感知して、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給する制御装置を備えているのは望ましい。また、プラトー電圧の測定において、電圧変化を外挿して、プラトー電圧を予測する装置を備えているのは望ましい。
また、本実施の形態のクロスオーバー損失測定の原理を応用して、厳密ではないがより簡便な測定方法を得ることができる。本実施の形態のクロスオーバー損失測定では、カソードに不活性ガスを満たして、アノード/カソード間に電圧を負荷する。しかし、不活性ガスを供給するのは、装置が複雑になり、時間もかかり、また、カソードが強制吸気ではないいわゆるパッシプ型のDMFCセルでは測定不能である。そこで、カソードを不活性ガスで満たす代わりに、一定電流を負荷することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げることが考えられる。すなわち、電流を負荷することで、カソードにおいてDMFC電池反応の(2)式を起こしてやり酸素を消費することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げる。その後、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、アノードからカソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してやり、カソード触媒層中のメタノールをほぼ0にする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給し、その開回路電圧OCVの変移を測定することでトップ電圧,プラトー電圧を測定してクロスオーバー損失を測定することができる。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いて、MEAの寿命を評価することができる。MEAの寿命には、電解質膜の劣化、特にクロスオーバー損失の増大が大きく影響している。本実施の形態の測定方法ではクロスオーバー損失を直接測定できるため、MEAの寿命を評価することができる。本実施の形態は、新規クロスオーバー測定方法の原理を用いて寿命を評価することができる装置である。その寿命評価装置は、第5図,第7図のようなDMFCに用いることができる。第5図はその部品構成を示す。カートリッジホルダー67を備えた燃料室61の両面に、アノード端板62,ガスケット63,拡散層付MEA64,ガスケット63,カソード端板65の順に積層し、該積層体を面内の加圧力が略均一になるようにネジ68で一体化,固定して構成される。アノード端板およびカソード端板からはそれぞれ端子66がでており、電力が取り出せるようになっている。第6図に、第5図の部品構成を積層,固定したDMFCを示す。燃料室71の両面には複数のMEAが直列接合され、該両面の直列MEA群は、さらに接続端子74で直列接合され、出力端子76から電力を取り出す構造になっている。第6図の場合、MEAは12直列である。第6図において、メタノール水溶液は、燃料カートリッジ78から高圧液化ガス,高圧ガスまたはバネなどによって加圧供給され、アノードで生成したCO2は、排ガス口75から排出される。この排ガス口75は、気液分離機能を持ち、気体は通すが液体は通さない。一方、酸化剤である空気はカソード端板73の空気拡散スリットからの拡散で供給され、カソードで生成した水はこのスリットを通して拡散,排気される。電池を一体化するための締め付け方法はネジ77による締め付けに限定されるものではなく、この電池を筐体内に挿入して筐体からの圧縮力による締め付け方法を用いることができる。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いた寿命評価装置は、第6図のようなDMFCの内部に内蔵できるものでも、必要に応じてDMFCに接触させるものでもよい。その寿命評価装置においては、寿命を表示する機能や、寿命がきた時を知らせるアラーム機能がついたものが望ましい。
また、本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いて、不良品のMEAを選別することが可能になる。MEA量産においては、一定量の不良品が発生するが、その不良の一因として、電解質膜の不良がある。例えば、電解質膜の厚さにむらがあるなどにより、クロスオーバー損失が大きくなってしまった不良品のMEAが発生する。本実施の形態の新規クロスオーバー損失測定方法を用いれば、不良品の選別をおこなうことができる。本実施の形態は、新規クロスオーバー損失測定方法の原理を用いた不良品のMEAの評価装置である。
また、本実施の形態を応用することで、MEAの高出力化をはかることが可能である。すなわち、カソード触媒層中のメタノールを0かそれに近くした後で、発電をおこなうと、メタノールクロスオーバー損失がない分、出力を向上させることができる。例えば、カソード側に不活性ガスを供給し、アノード側にメタノール水溶液を満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、カソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してカソード触媒層中のメタノールをほぼ0にする。その後、カソードに不活性ガスに換えて空気もしくは酸素を供給して、発電をおこなう。あるいは、カソードを不活性ガスで満たす代わりに、一定電流を負荷することで、カソード触媒層表面の酸素濃度を下げた後、アノード/カソード間に電圧を負荷することで、カソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化してカソード触媒層中のメタノールを0にする。その後、カソードに空気もしくは酸素を供給して、発電をおこなう。以上のプロセスにより、メタノールクロスオーバー損失を抑えられる分だけ出力向上が見込める。
MEAの劣化にはさまざまな要因が絡んでいるが、その中の一因として電解質膜の劣化、特にクロスオーバー損失の増大がある。これは、電解質膜の溶解や電解質膜内の構造変化などにより、クロスオーバー損失が増大するものである。クロスオーバー損失を直接測定できれば、寿命評価等が可能になる。
また、MEAの量産においては、一定量の不良品が発生するが、その不良の一因として、電解質膜の不良がある。例えば、電解質膜の厚さにむらがあるなどにより、クロスオーバー損失が大きくなってしまった不良品のMEAが発生する。クロスオーバー損失を直接測定できれば、そのような不良品の選別が可能になる。
以下、本実施の形態について実施例を用いて詳細に説明する。尚、本実施の形態は下記実施例に限定されるものではない。
電解質膜としてS−PES(イオン交換容量1.3meq/g)を用いた。S−PES(イオン交換容量1.3meq/g)をジメチルアセトアミドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃1時間、120℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルアセトアミドを蒸発させた。その後、塗布した膜をガラス板上から剥がし、1MH2SO4水溶液に一晩浸漬することでプロトン化し、S−PES(イオン交換容量1.3meq/g)の単一電解質膜を得た。得られた電解質膜は透明であった。電解質膜の厚さは50μmとした。
MEAは以下のようにして作製した。カソード触媒として田中貴金属社製白金担持カーボンTEC10V50E(Pt担持量50wt%)、アノード触媒として田中貴金属社製白金ルテニウム担持カーボンTEC61V54(Pt担持量29wt%,Ru担持量23wt%)を用いた。これらの触媒に、水およびアルドリッチ社製5wt%ナフィオン溶液を添加し、混合・攪拌して触媒スラリーを作製した。触媒スラリーの重量比は、カソード;TEC10V50E:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:8.46、アノード;TEC61V54:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:7.9とした。それらの触媒スラリーをテフロンシート上にアプリケータを用いてそれぞれ塗布し、カソード触媒層,アノード触媒層を作製した。その後、ホットプレスにより、カソード触媒層,アノード触媒層を電解質膜に熱転写してMEAを作製した。触媒量は、アノード触媒PtRu1.8mg/cm2,カソード触媒Pt1.2mg/cm2とした。
作製したMEAを第4図に示すセルに組み込んだ。カソード側に窒素ガスを流量200ml/分で供給し、アノード側に濃度5wt%のメタノール水溶液を満たした。まず、ゴテスフェルド法の測定をおこなった。アノード,カソード間に電圧を0.1〜0.8V負荷することで、カソードに透過したメタノールを酸化し、その際に流れる電流値を測定した。各負荷電圧の保持時間は10分とした。第7図に測定結果を示す。第7図に示すように、0.7V以上電圧を負荷すると電流密度が一定となり、その値は9mA/cm2であった。
このMEAに対して、本実施例の新規クロスオーバー損失測定方法をおこなった。まず、電圧を0.8Vで10分間負荷し、その後、カソード側に、窒素ガスに換えて空気を200ml/分で供給し、OCVを測定した。メタノール濃度は、0.1,0.3,1,5,10,20wt%とした。第8図に各メタノール濃度に対するトップ電圧とプラトー電圧を示す。メタノール濃度0.1wt%ではトップ電圧,プラトー電圧ともに安定しなかった。カソードがメタノールクロスオーバーの影響を受けるプラトー電圧がメタノール濃度に依存するのは予想されることであるが、カソード触媒層中のメタノール濃度が0であるはずのトップ電圧もメタノール濃度に依存する結果となった。これは、メタノール濃度が高い場合には、ゴテスフェルド法終了時に厳密にメタノール濃度が0ではないことに起因する。すなわち、メタノール濃度が高い場合には、触媒担体であるカーボン表面や細孔内にメタノール水溶液が残っていると考えられ、また、電解質膜内にもメタノールが含まれる。これらのメタノール水溶液がゴテスフェルド法終了時に瞬間的に影響を及ぼすと考えられる。そのため、この場合、メタノール濃度を極限まで薄くした0.3wt%のメタノール水溶液を用いたトップ電圧をカソード触媒層中のメタノールがほぼ0の状態の電圧として基準とすることとした。
実際の電池電圧では、アノード電位もメタノール濃度の影響を受ける。すなわち、メタノール濃度の違いによりアノード電位にずれが生じるため、その分を補正する必要がある。補正には(7)式を用いることができる。以下、メタノール濃度10wt%のクロスオーバー損失を求める。0.3wt%と10wt%のメタノール濃度の違いによる電圧差ΔV濃度は、(7)式を用いると下記のようになる。
ΔV濃度=E10−E0.3=2.303×(RT/nF)log[aCH3OH、10/aCH3OH、0.3]
(E10:10wt%における電圧、E0.3:0.3wt%における電圧、aCH3OH、10:10wt%における活量、aCH3OH、0.3:0.3wt%における活量)
=0.01×log(10/0.3)
=0.015(V)
=15(mV)
よって、メタノール濃度10wt%の時のクロスオーバー損失は、(8)式により、メタノール濃度0.3wt%で測定したカソード触媒層中のメタノールが0のトップ電圧993mVに、メタノール濃度の違いによる電圧差15mVを加えたものから、メタノール濃度10wt%の時のプラトー電圧648mVを引くことにより、
ΔVクロスオーバー損失=E0.3 t−E10 p+ΔV濃度=993−648+15
=360(mV)
と算出することができる。同様にして0.3,1,5,20wt%におけるクロスオーバー損失を、カソード触媒層中のメタノールが0の電圧として0.3wt%のトップ電圧を用い、メタノール濃度による補正をして算出すると、第9図のようになった。
[比較例1]
MEAを実施例1と同様の条件で作製した。このMEAに対して従来のメタノール透過量を測定する手法であるゴテスフェルド法を用いて透過電流密度を測定した。測定条件として、カソードに窒素ガスを200ml/分で供給し、10分間0.8Vで電圧を負荷した。第10図に、横軸にメタノール濃度、縦軸に透過電流密度をとった測定結果を示す。メタノール濃度に対して、透過電流密度は比例の関係にあった。第11図は、実施例1で測定したクロスオーバー損失と、比較例1で測定した透過電流密度の関係である。第11図のように非線形の関係であることが分かった。すなわち、これまでメタノール透過量の目安としていた透過電流密度を半分にしても、クロスオーバー損失が半分になるわけではないことが、本実施例の測定方法により分かった。
MEAは以下のようにして作製した。カソード触媒として田中貴金属社製白金担持カーボンTEC10V50E(Pt担持量50wt%)、アノード触媒として田中貴金属社製白金ルテニウム担持カーボンTEC61V54(Pt担持量29wt%,Ru担持量23wt%)を用いた。これらの触媒に、水およびアルドリッチ社製5wt%ナフィオン溶液を添加し、混合・攪拌して触媒スラリーを作製した。触媒スラリーの重量比は、カソード;TEC10V50E:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:8.46、アノード;TEC61V54:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:7.9とした。それらの触媒スラリーをテフロンシート上にアプリケータを用いてそれぞれ塗布し、カソード触媒層,アノード触媒層を作製した。その後、ホットプレスにより、カソード触媒層,アノード触媒層を電解質膜に熱転写してMEAを作製した。触媒量は、アノード触媒PtRu1.8mg/cm2,カソード触媒Pt1.2mg/cm2とした。
作製したMEAを第4図に示すセルに組み込んだ。カソード側に窒素ガスを流量200ml/分で供給し、アノード側に濃度5wt%のメタノール水溶液を満たした。まず、ゴテスフェルド法の測定をおこなった。アノード,カソード間に電圧を0.1〜0.8V負荷することで、カソードに透過したメタノールを酸化し、その際に流れる電流値を測定した。各負荷電圧の保持時間は10分とした。第7図に測定結果を示す。第7図に示すように、0.7V以上電圧を負荷すると電流密度が一定となり、その値は9mA/cm2であった。
このMEAに対して、本実施例の新規クロスオーバー損失測定方法をおこなった。まず、電圧を0.8Vで10分間負荷し、その後、カソード側に、窒素ガスに換えて空気を200ml/分で供給し、OCVを測定した。メタノール濃度は、0.1,0.3,1,5,10,20wt%とした。第8図に各メタノール濃度に対するトップ電圧とプラトー電圧を示す。メタノール濃度0.1wt%ではトップ電圧,プラトー電圧ともに安定しなかった。カソードがメタノールクロスオーバーの影響を受けるプラトー電圧がメタノール濃度に依存するのは予想されることであるが、カソード触媒層中のメタノール濃度が0であるはずのトップ電圧もメタノール濃度に依存する結果となった。これは、メタノール濃度が高い場合には、ゴテスフェルド法終了時に厳密にメタノール濃度が0ではないことに起因する。すなわち、メタノール濃度が高い場合には、触媒担体であるカーボン表面や細孔内にメタノール水溶液が残っていると考えられ、また、電解質膜内にもメタノールが含まれる。これらのメタノール水溶液がゴテスフェルド法終了時に瞬間的に影響を及ぼすと考えられる。そのため、この場合、メタノール濃度を極限まで薄くした0.3wt%のメタノール水溶液を用いたトップ電圧をカソード触媒層中のメタノールがほぼ0の状態の電圧として基準とすることとした。
実際の電池電圧では、アノード電位もメタノール濃度の影響を受ける。すなわち、メタノール濃度の違いによりアノード電位にずれが生じるため、その分を補正する必要がある。補正には(7)式を用いることができる。以下、メタノール濃度10wt%のクロスオーバー損失を求める。0.3wt%と10wt%のメタノール濃度の違いによる電圧差ΔV濃度は、(7)式を用いると下記のようになる。
ΔV濃度=E10−E0.3=2.303×(RT/nF)log[aCH3OH、10/aCH3OH、0.3]
(E10:10wt%における電圧、E0.3:0.3wt%における電圧、aCH3OH、10:10wt%における活量、aCH3OH、0.3:0.3wt%における活量)
=0.01×log(10/0.3)
=0.015(V)
=15(mV)
よって、メタノール濃度10wt%の時のクロスオーバー損失は、(8)式により、メタノール濃度0.3wt%で測定したカソード触媒層中のメタノールが0のトップ電圧993mVに、メタノール濃度の違いによる電圧差15mVを加えたものから、メタノール濃度10wt%の時のプラトー電圧648mVを引くことにより、
ΔVクロスオーバー損失=E0.3 t−E10 p+ΔV濃度=993−648+15
=360(mV)
と算出することができる。同様にして0.3,1,5,20wt%におけるクロスオーバー損失を、カソード触媒層中のメタノールが0の電圧として0.3wt%のトップ電圧を用い、メタノール濃度による補正をして算出すると、第9図のようになった。
[比較例1]
MEAを実施例1と同様の条件で作製した。このMEAに対して従来のメタノール透過量を測定する手法であるゴテスフェルド法を用いて透過電流密度を測定した。測定条件として、カソードに窒素ガスを200ml/分で供給し、10分間0.8Vで電圧を負荷した。第10図に、横軸にメタノール濃度、縦軸に透過電流密度をとった測定結果を示す。メタノール濃度に対して、透過電流密度は比例の関係にあった。第11図は、実施例1で測定したクロスオーバー損失と、比較例1で測定した透過電流密度の関係である。第11図のように非線形の関係であることが分かった。すなわち、これまでメタノール透過量の目安としていた透過電流密度を半分にしても、クロスオーバー損失が半分になるわけではないことが、本実施例の測定方法により分かった。
電解質膜として、デュポン社製ナフィオン112(膜厚約50μm)を用いた。実施例1と同様の条件・方法で作製した。これらのMEAに対して、本実施例の新規クロスオーバー損失測定方法によりクロスオーバー損失を測定した。第12図にメタノール濃度に対するクロスオーバー損失を示す。クロスオーバー損失とメタノール濃度の関係は非線形となった。
[比較例2]
実施例2のMEAに対してゴテスフェルド法による透過電流密度測定をおこなった。図にその結果を示す。第13図のようにゴテスフェルド法では直線関係にあった。第12図は、実施例2で測定したクロスオーバー損失と、比較例2で測定した透過電流密度の関係である。第14図のように非線形の関係にある。電解質膜の種類を変えても、透過電流密度とクロスオーバー損失の関係は非線形であることが分かった。
[比較例2]
実施例2のMEAに対してゴテスフェルド法による透過電流密度測定をおこなった。図にその結果を示す。第13図のようにゴテスフェルド法では直線関係にあった。第12図は、実施例2で測定したクロスオーバー損失と、比較例2で測定した透過電流密度の関係である。第14図のように非線形の関係にある。電解質膜の種類を変えても、透過電流密度とクロスオーバー損失の関係は非線形であることが分かった。
MEAを実施例1と同様の条件で作製した。このMEAを第4図に示すセルに組み込んだ。セルの温度は70℃とした。カソードに窒素ガス、アノードに水素ガスをそれぞれ70℃で加湿して供給した。この状態で、アノード/カソード間に電圧を0.8Vで10分間負荷した。流れた電流密度は0.3mA/cm2であった。その後、カソードに、窒素ガスに換えて空気を供給し、電圧を測定した。その結果、トップ電圧は1100mV、プラトー電圧は1050mVとなった。その結果、水素によるクロスオーバー損失は50mVと求められた。
Claims (18)
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、メタノールのクロスオーバー量を電圧で評価する測定方法。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けていない電圧と、カソード触媒層がメタノールクロスオーバーの影響を受けた電圧の差からメタノールクロスオーバー損失を測定する測定方法。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、アノード側にメタノール水溶液、カソード側に不活性ガスを満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することでアノード触媒層からカソード触媒層にクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化し、その後、カソード側に空気もしくは酸素を供給し、前記膜電極接合体の電圧変化を測定することを特徴とする測定方法。
- 請求項3において、カソード側に空気もしくは酸素を供給した後の最高電圧と、一定になった電圧の差からクロスオーバー損失を測定することを特徴とする測定方法。
- 請求項3において、負荷する電圧が0.7V以上0.9V以下であることを特徴とする測定方法。
- 請求項3において、電圧を負荷する保持時間が10秒以上であることを特徴とする測定方法。
- カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、アノード側に燃料を供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えているメタノール燃料電池用膜電極接合体の評価装置であって、カソード側に不活性ガスを供給して電圧を負荷することでカソード側にクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、前記膜電極接合体の電圧変化を測定する評価装置。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、および水素を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、水素のクロスオーバー量を電圧で評価する測定方法。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、および水素を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、カソード触媒層が水素クロスオーバーの影響を受けていない電圧と、カソード触媒層が水素クロスオーバーの影響を受けた電圧の差から水素のクロスオーバー損失を測定する測定方法。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、および水素を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、アノード側に水素ガス、カソード側に不活性ガスを満たした状態で、アノード/カソード間に電圧を負荷することでアノード触媒層からカソード触媒層にクロスオーバーした水素を電気化学的に酸化し、その後、カソード側に空気もしくは酸素を供給し、前記膜電極接合体の電圧変化を測定することを特徴とする測定方法。
- 請求項10において、カソード側に空気もしくは酸素を供給した後の最高電圧と、一定になった電圧の差からクロスオーバー損失を測定することを特徴とする測定方法。
- 請求項10において、負荷する電圧が0.01V以上0.9V以下であることを特徴とする測定方法。
- 請求項10において、負荷する電圧の保持時間が10秒以上であることを特徴とする測定方法。
- カソード側に対して不活性ガスおよび空気もしくは酸素を切り替えて供給できる装置を備え、アノード側に燃料を供給できる装置を備え、かつアノード/カソード間に電圧を負荷することができる装置を備えているPEFC用膜電極接合体の評価装置であって、カソード側に不活性ガスを供給して電圧を負荷することでカソード側にクロスオーバーした水素を電気化学的に酸化した後、カソード側に不活性ガスに代えて空気もしくは酸素を供給し、前記膜電極接合体の電圧変化を測定する評価装置。
- メタノール燃料電池用膜電極接合体に対して、電流を負荷した後、電圧を負荷することでアノードからカソードにクロスオーバーしたメタノールを電気化学的に酸化し、その後の電圧を測定する測定方法。
- メタノール燃料電池用膜電極接合体に対して、請求項3もしくは請求項15の原理を用いることでクロスオーバー損失を測定し、前記膜電極接合体の寿命を評価する装置。
- メタノール燃料電池用膜電極接合体に対して、請求項3もしくは請求項15の原理を用いることでクロスオーバー損失を測定し、前記膜電極接合体の不良品を選別する装置。
- 酸化ガスを還元するカソード触媒層、およびメタノール水溶液を酸化するアノード触媒層がプロトン導電性の固体高分子電解質膜を介して配置された膜電極接合体に対して、カソード触媒層がメタノールの影響を受けていない状態にして、発電をおこなうことを特徴とするメタノール燃料電池。
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