JP4680530B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関するものである。
燃料電池は、使用する電解質の種類によって、燐酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらの中で、低温で動作が可能で、出力密度が高いという特徴を有する固体高分子型燃料電池(PEFC)は、車載用電源や家庭用コージェネレーションシステム等において実用化されつつある。
さらに、この種の燃料電池の中でも、常温で液体の燃料を水素に改質することなく、電極において直接酸化して電気エネルギーを取り出すことができる直接燃料酸化型燃料電池は、改質器が不要で電源の小型化が容易である点から、各種携帯端末用電源として期待されている。このタイプの固体高分子型燃料電池の燃料としては、低分子量のアルコールやエーテル類が検討されている。中でも高エネルギー効率及び高出力が得られるメタノールが最も有望視されている。このメタノールを燃料とする燃料電池は、ダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCで表す)と分類されている。
固体高分子型燃料電池の電解質としては、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子であるデュポン社製のナフィオン(Nafion;登録商標)が一般的に使用されている。しかしながら、DMFCの電解質膜としてパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子を用いた場合には、燃料が電解質膜を透過してカソードに達して、その出力電圧が大幅に減少するクロスオーバー現象という問題が起こる。
そこで、DMFCの研究開発では、燃料のクロスオーバーを大幅に低減するような電解質膜の開発に重点が置かれている。しかし、現在のところ、クロスオーバーの低減とプロトン伝導度がトレードオフの関係にあり、これらを両立させたDMFCに適した電解質膜が未だ開発されていないのが実状である。
DMFCのアノードでの反応は、式(1)のように、燃料と水との反応よりなる。一方、カソードでの反応は、式(2)のように、プロトンと酸素から水が生成される反応である。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-・・・(1)
3/2O2+6H++6e-→3H2O ・・・・(2)
上記の反応式からわかるように、アノードにはメタノールと水が等モル存在する溶液、すなわち50モル%のメタノール水溶液が供給されることが理想的である。しかし、メタノールクロスオーバーは電解質膜内のメタノール水溶液の濃度差を推進力とした濃度拡散の要素が大きいため、アノードに供給するメタノール水溶液の濃度が小さいほどクロスオーバー量が低減される。従って、アノードに供給されるメタノール水溶液の濃度は式(1)から求められる化学量論量である50モル%よりも低くすることが、現在のDMFCの出力を最大限に発揮するためには必要である。
しかし、濃度の低いメタノール水溶液を燃料として燃料電池システム内部に貯蔵することは、体積エネルギー効率の低下という致命的な性能低下につながってしまう。
そこで、純粋な燃料を貯蔵する燃料タンクと、水タンクと、希釈された燃料水溶液を貯蔵する希釈燃料タンクとを有し、希釈燃料タンク内の燃料の濃度をコントロールするようにしたシステムが、特許文献1で提案されている。
水溶液中のメタノール濃度を測定する手段としては、水溶液の密度、光の屈折率、導電率などを測定することがあげられる。しかし、それぞれ応答速度が遅い、精度不足、不純物の混入による誤差などの問題がある。また、昨今では、赤外線の透過量を測るものや、超音波の音速を測るものなどが開発され、それらを使用した濃度計測器が市販されている。この他にも、水と燃料の熱容量の差を利用した方法(特許文献2)や、燃料と電解質の静電容量を測定する方法(特許文献3)も提案されている。
前記のような直接燃料酸化型燃料電池では、希釈された燃料の濃度を維持管理することが、安定した性能を発揮するために不可欠である。
しかし、前記のように、希釈燃料の濃度を直接測定する方法では、測定結果の精度が持続的に安定して得られず、濃度の維持管理は困難である。その理由は、次の2点があげられる。
第1は、温度の影響に関するものである。一般的に、密度、導電率、音速等の液体の物性値は、温度によって数値が変化するため、液体の温度を正確に測定して、その測定値をもとに補正して濃度を求める必要がある。しかし、燃料電池の希釈タンクに供給される燃料の温度と希釈タンク内の希釈燃料水溶液の温度が等しいとは限らず、燃料が希釈タンクに供給された後に希釈タンク内の希釈燃料水溶液が均一な温度になるまでの間は、濃度測定には誤差はまぬがれない。また、メタノールと水などのように極性溶媒同士を混合させた場合は、混合熱が生じるため、温度変化はさらに大きくなる。
第2は、不純物の混入に関するものである。直接燃料酸化型燃料電池システムは、燃料がメタノールである場合を例にとれば、式(1)に示されるように、アノードにおいて二酸化炭素が発生する。発生した二酸化炭素のほとんどは気体として外部に排出されるが、二酸化炭素は水に極めて多量に溶解するため、一部は燃料水溶液に溶解してしまう。また、特に、メタノールの電気化学的な触媒酸化反応では、微量ではあるが副生成物としてホルムアルデヒドや蟻酸が発生することが知られている。それらは電極近傍の燃料水溶液に非常によく溶解してしまう。このように、これらの不純物が燃料水溶液に溶解した場合、密度、導電率、音速等、濃度の計測に利用されているほとんどの物性値が変化してしまう。
一般的に、直接燃料酸化型燃料電池では、希釈タンクから燃料電池のセルに供給された燃料水溶液が全て電極での反応に寄与することは難しい。従って、未反応の燃料を回収して再利用することが多い。具体的には、電極から排出された燃料水溶液を再び燃料希釈タンクに返し、繰り返し利用する。このように、燃料が再利用されると、前記のような燃料水溶液への不純物の混入量が、燃料電池システムの運転を続けていくにつれて増加する。そのため、二酸化炭素やホルムアルデヒド、蟻酸の燃料水溶液への溶解が飽和に達するまで進行し続ける。
以上の2点は、液体の濃度測定を行う限りは不可避な問題である。従って、直接燃料酸化型燃料電池の希釈タンクの燃料濃度を直接測定することにより、希釈タンク内の燃料濃度を安定させて維持管理することは困難である。
特開平5−258760号公報 特表2003−511833号公報 特表2003−507859号公報
本発明は、以上に鑑み、希釈タンクの燃料濃度を直接測定することなく、希釈タンクへ供給すべき燃料および水の量を正確に制御できる制御手段を具備する燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードとの間で循環させる希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;前記燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測し、その結果を出力するガス検知部;前記燃料電池の発電量を計測し、その結果を出力する電流検知部;および前記ガス検知部と前記電流検知部の出力結果をもとに前記第一の制御部および第二の制御部をコントロールするコントローラを具備する燃料電池システムを提供する。
本発明は、また、高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードへ供給する希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;前記燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測し、その結果を出力するガス検知部;前記燃料電池の発電量を計測し、その結果を出力する電流検知部;前記燃料電池のアノードから排出される前記水溶液中の燃料量を測定する排出燃料の検知部;および前記ガス検知部と前記排出燃料の検知部と前記電流検知部の出力結果をもとに前記第一の制御部および第二の制御部をコントロールするコントローラを具備する燃料電池システムを提供する。
前記ガス検知部は、ガスの成分とともにガスの流量を計測し、それらの結果を出力するのが好ましい。
前記ガス検知部は、好ましい実施の形態において、二酸化炭素の濃度を測定する。二酸化炭素の濃度は、赤外線の吸収を利用して測定するのが好ましい。
前記ガス検知部は、他の好ましい実施の形態において、酸素の濃度を測定する。
前記ガス検知部は、さらに他の好ましい実施の形態において、水蒸気の濃度を測定する。
前記ガス検知部は、さらに他の好ましい実施の形態において、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸、および一酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種の濃度を測定する。
以上のように、本発明によれば、燃料および水の消費量を正確に測定する手段と、そこで計測された量の燃料および水を燃料タンクから希釈タンクへ供給するような制御手段を有することで、電極に供給される燃料の濃度を安定させて維持管理することを可能にし、さらには安定した出力を得ることが可能な燃料電池システムを提供できる。
本発明は、高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードへ供給する希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;および電流検知部を有する制御手段を具備する燃料電池システムに関する。
この電流検知部は、燃料電池の発電量から燃料電池で消費される燃料量を計測する。計測された燃料消費量に基づいて制御手段は前記第一の制御部を制御する。制御手段は、さらに、燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測することにより、アノードからカソードにクロスオーバーした燃料量を算出し、その算出値に基づいて前記燃料消費量を補正する補正手段を具備する。
燃料電池の燃料消費量は、燃料電池の発電量を計測し、その結果を出力する電流検知部によって提供される。
本発明の1つの特徴は、燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測することにより、燃料がアノードから高分子電解質膜を透過してカソードにクロスオーバーする量を定量することである。
燃料水溶液を燃料電池のアノードと希釈タンクとの間で循環させる第1のシステムにおいては、燃料電池で消費される燃料量は、前記電流検知部で計測される、発電に寄与した燃料量、および前記のクロスオーバーする燃料量の合計である。
この第1のシステムでは、前記電流検知部の出力から燃料電池の水消費量をも算出することができる。従って、その算出値に基づいて第二の制御部をコントロールし、適切な量の水を希釈タンクに供給することができる。
一方、燃料水溶液を燃料電池のアノードから排出し、再利用しない第2のシステムにおいては、第1のシステムにおいて計測する燃料量に加えて、アノードから排出される未使用燃料を計測する必要がある。
この第2のシステムは、燃料電池のアノードから排出される水溶液中の燃料を測定する、排出燃料の検知部を有し、未使用燃料は、未使用燃料を含む排出水溶液を燃焼装置に導入して完全酸化させ、燃焼装置から排出されるガスの成分を計測することにより定量することができる。前記未使用燃料を完全酸化するのは、液体のままでも上記の状態れでもよい。この第2のシステムにおいては、燃料電池で消費される水の量を測定せず、消費された燃料量に基づいて第二の制御部をコントロールし、適切な量の水を希釈タンクに供給することができる。
本発明は、上記のように、希釈タンクの燃料濃度を直接測定することなく、希釈タンクへ供給すべき燃料および水の量を正確に制御できる燃料電池システムを提供する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。この燃料電池システムは、燃料電池スタック1、および燃料水溶液を収容する希釈タンク3を備える。燃料であるメタノールを貯蔵する燃料タンク2は、その燃料供給路が、メタノールの供給量を制御する第一の制御部4を介して希釈タンク3に接続されている。メタノールを希釈するための水を貯蔵する水タンク8は、その水供給路が、水の供給量を制御する第二の制御部9を介して希釈タンク3に接続されている。
燃料電池スタック1は、直接燃料酸化型燃料電池のセルの複数個が直列に接続されたものである。セルは、水素イオン伝導性の高分子電解質膜および前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソードから構成される。各セルのアノードには、燃料の入口側マニホールドから並列に燃料水溶液が供給され、出口側マニホールドに排出される。入口側マニホールドおよび出口側マニホールドは、それぞれ希釈タンク3の出口および入口に接続され、希釈タンク3内の燃料水溶液が、30で示すように、燃料電池スタック1に供給され、排出液は、31のように、希釈タンク3内に戻される。これらの液の駆動は、図示しない適当な駆動手段により行われる。
燃料電池スタック1には、20で示すように、適当な空気供給手段により空気が入口側マニホールドに供給される。その空気は、各セルのカソードに並列に供給され、出口側マニホールドから排出される。その排出ガスは、21で示すように、ガス検知部5に導入され、ガス成分や流量が測定される。その後、ガス検知部5から、22で示されるように、外部へ排出される。
電流検出部6は、燃料電池スタック1の発電量を出力電流によって計測する。ガス検知部5および電流検知部6は、それぞれ測定結果を出力し、それらはコントローラ7に入力される。コントローラ7は、入力された信号に基づいて、第一の制御部4と第二の制御部9へ信号を出力し、希釈タンク3へ供給するメタノールと水の量をコントロールする。
以上のように構成された燃料電池システムにおいて、ガス検知部と電流検知部の機能について以下に詳しく説明する。
前記のように燃料水溶液を燃料電池のアノードと希釈タンクとの間で循環させるシステムにおいては、燃料および水の消費量を正確に測定することが重要である。式(1)に示されるように、電気化学反応においては、燃料であるメタノールのアノードでの消費量は、測定された発電電流量から発生した電子の数を計算して求めることができる。しかし、現在開発されている多くの直接燃料酸化型燃料電池、特にDMFCでは、燃料のクロスオーバーによってアノードからカソード側へ燃料が電解質膜を透過していく分、余分な消費量が発生する。従って、燃料の消費量を正確に求めるには、電解質膜をクロスオーバー量を正確に求めることが不可欠である。
クロスオーバーしたメタノールがカソードに到達すると、カソードの触媒に接触し、カソード側に存在する酸化性ガスにより容易に接触酸化される。その反応は、式(3)のようになる。
CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O ・・・(3)
上記式(3)のように、クロスオーバーした燃料の一部は二酸化炭素まで酸化されず、一酸化炭素を副生成物として生成するが、その量は二酸化炭素の量に比べて極めて微量である。従って、カソードから排出されるガス中の二酸化炭素の濃度を正確に測定し、供給される空気中の二酸化炭素濃度を差し引いた値、すなわちカソード通過前後の二酸化炭素の濃度の差を求める。そして、カソードのガス流量から単位時間当たりの二酸化炭素量を計算すれば、メタノールのクロスオーバー量を把握することが可能である。
カソードのガス流量については通常、DMFCの運転条件に関するパラメータとして重要な要素であるため、あらかじめ設定された量に制御されていることが多いのでその数値を使用することができる。測定精度をさらに向上させるためには、流量を測定することが有効である。その場合は、カソードに供給されるガス流量を測定するよりもカソードから排出されるガス流量を測定することが好ましい。これは次理由による。すなわち、式(3)からわかるように、カソードに供給される酸素3/2モルから1モルの二酸化炭素が生成される。同時に生成される水は、100℃未満の温度では、多くは液体となってセルから排出される。このため、カソードに供給されるガスの流量に比べて、カソードから排出されるガスの流量は小さくなる。
前記のように、カソードから排出されるガス中の二酸化炭素の濃度を測った上で、さらにカソードからの排出ガス流量を測定することで、メタノールのクロスオーバー量、ひいてはメタノールの消費量が正確に把握できる。
ただし、セルの運転温度が100℃を超える場合や、100℃以下でも比較的高い温度である場合は、生成水の水蒸気によって排出ガスの湿度が著しく上昇し、二酸化炭素濃度の測定精度の低下や水蒸気による流量の増加が生じる。従って、排出ガスを熱交換器などによって冷却してから、二酸化炭素濃度やガス流量を測定することが好ましい。また、水分を除去して測定する機能を有した濃度計で測定しても良い。
また、前記のようにクロスオーバーしたメタノールの量に応じて、酸素の消費量が変化することから、二酸化炭素の濃度を測定する替わりに、カソードから排出されるガス中の酸素濃度を測定し、供給される空気中の酸素濃度との差を求めて、クロスオーバー量を求めることも可能である。
あるいは、クロスオーバー量をより正確に測定するために、二酸化炭素の濃度だけでなく、水蒸気の濃度、すなわち湿度の測定を併用したり、一酸化炭素の濃度を同時に測定したりして、クロスオーバー量を補正してもよい。
安全上の理由から、排気ガスの測定成分を追加しても良い。すなわち、通常のDMFCの運転条件では、カソードに供給される空気の量は、式(2)と(3)で示されるような化学量論的な必要量よりも大幅に過剰であることが一般的である。しかし、そのようにすると、電解質膜が破損したりカソードへのガス供給装置にトラブルが生じたりした場合、クロスオーバーしたメタノール量が酸素供給量を上回り、一酸化炭素の発生量が増加したり、カソードの排出ガスにメタノール蒸気が多量に混入したりし、これらが排気ガスと共に燃料電池システム外部に排出される危険性が考えられる。
一方、前記のようにDMFCの反応副生成物としてホルムアルデヒドと蟻酸が生成され、それらのほとんどは電極に存在する水に溶解していると考えられる。何らかのトラブルによって、水分の消失や温度の過剰上昇が発生した場合、ホルムアルデヒドと蟻酸が気化してセルからの排気ガスに混入する可能性がある。一酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸は、いずれも健康上へ悪影響を与える物質であり、システム外部に放出されることは、好ましくない。
従って、一酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸の濃度を測定し、それらの濃度が設定された限界値を上回った場合は、コントローラ7を通して第一の制御部4に燃料の供給を停止させ、燃料電池の発電を停止させるのが好ましい。
ガス検知部5は、ガスの濃度を測定して、それに相関する信号をコントローラ7に出力することができるものであればよい。前記のように、多成分の気体濃度を測定する場合には、単成分のガス濃度計を複数併用してもよく、複数の成分を測定することができるガス濃度計を単独または複数併用してもよい。
ガス濃度計については、赤外線の吸収を利用したものが、応答性が高い上、二酸化炭素、一酸化炭素、メタノールなどの化学結合種が異なる物質については、その吸収波長が異なるため、混在する場合でも区別して測定することができ、精度が高い。
燃料電池スタック1は、アノード電極とカソード電極とそれらに挟まれた電解質膜とからなる発電部と、その両側に配置され、燃料あるいは酸化剤ガスを電極に均一に分散させるための拡散部と、燃料と酸化剤ガスを遮蔽するためのセパレータなどから構成される。燃料電池は、単セルでもよいが、一般的には電気的に接続され、積層または並列配置された複数セルのスタックとして用いられる。
燃料タンク2は、燃料が無くなったときに、燃料タンク2ごと燃料電池システムから取り外して、燃料の入ったタンクと交換するようなカートリッジタイプのものでもよい。また、内容物は体積的な効率を考えれば、純粋な燃料を貯蔵することが望ましいが、あらかじめ水で希釈した燃料を用いてもよい。
希釈タンク3は、図1において単独で構成されているが、これに限定されるものではなく、アノードと接した位置にあって、タンク内の液がアノード内部へ直接流通することができるようなタイプであってもよい。また、電極で使用されなかった燃料を希釈タンク3へ返して再利用する循環タイプでも、希釈タンク3あるいは燃料タンク2から供給された燃料が電極で全て使用されるかまたは廃棄されるような非循環タイプのどちらでもよい。
第一の制御部4は、コントローラ7からの信号によって燃料供給量を制御することが可能な装置であればよい。具体的には、燃料の流れをON/OFF制御するような弁体であってもよく、連続的に流体の流量を制御するようなマスフローコントローラのようなものでもよい。また、それ自体が燃料の供給手段を兼ねたものでもよく、排出量を任意に変化させることができる液体ポンプであってもよい。
電流検知部6は、電流値を計測して、それに相関する信号をコントローラ7に出力することができるものであればよく、回路に直列に接続するような電流計でもよく、非接続のクランプメーターのようなものでもよい。
コントローラ7は、電流検知部6から出力された電流値またはそれに相関する信号に含まれる数値Aから電極反応によるメタノールの消費量Xと、ガス検知部5から出力された濃度またはそれに相関する信号に含まれる数値Bからクロスオーバーによるメタノール消費量Yを算出し、それらの合計であるメタノールの消費量Zを算出する。そして、消費量Zに相当する量のメタノールを燃料タンク2から希釈タンク3へ送るように第一の制御部4に指示するような信号Wを発信することができればよい。
ここで、メタノールの消費量Xは、電流値に比例することより、式(4)の関係が成立する。メタノール消費量Yの演算式は、ガス検知部5において測定される項目によって異なる。数値Bが二酸化炭素の濃度Cのみである場合は、演算式(5)の関係で示される。精度を向上させるためには、カソードからの排気ガスの流量Dを測定した場合は、式(6)のようになる。
X=aA(aは定数) (4)
Y=b(C−c)(b、cは定数) (5)
Y=d(C×D−e)(d、eは定数) (6)
Z=X+Y (7)
また、直接燃料酸化型燃料電池では、式(1)に示されるように、アノードの電気化学反応により、水も消費される。従って、燃料のみならず、水の消費量相当分も補給する必要がある。水の補給に関しては、式(2)あるいは(3)の反応によってカソードで生成した水をアノードへ電解質膜を通して拡散させ、アノード近傍の燃料濃度を希釈させるようなタイプのものも考えられる。しかし、現状ではメタノールのクロスオーバーが非常に多いために、燃料濃度は非常に小さく設定されることが多い。このため、水タンク8を設けて希釈するシステム構成が一般的である。
水の消費量についても、メタノールの場合と同様に、電流値とカソードでのガス成分から算出することができる。すなわち、式(1)に示されるように、電子の発生量と水分子の電極における反応量は、化学量論的相関があり、水の消費量は発電電流値から求められる。それ以外の消費として、一般的には水がメタノールと同様に、電解質膜中をアノードからカソードへ移動することがあげられる。この移動現象には、水自体の濃度拡散の要素と電解質膜をアノードからカソードへ移動するプロトンによって引き起こされる水の電気的移動の要素の双方が関与している。従って、カソードでは、式(2)および(3)の反応によって生成された水に加えて、アノードから移動して来た水が存在する。その水はカソードに供給される空気によって、一部は水蒸気として、一部は液体として排出される。
水の消費量を求める方法の例として、2つの方法が考えられ、カソード電極の水分量によって、使い分けることが有効である。
ひとつの方法は、水がアノードからカソードへ移動する量をメタノールのクロスオーバー量から求める方法である。すなわち、前記水の移動現象のうち、濃度拡散によるものはメタノールのクロスオーバー量と相関し、電気的移動現象によるものは、プロトンの移動量、すなわち発電電流量と相関する。これらの相関を実験的に求め、前記のように、カソードから排出される二酸化炭素濃度を測定するなどの方法でメタノールクロスのオーバー量を測定することで、アノードでの水の消費量を求めるものである。
もうひとつの方法は、カソードから排出されるガスの水蒸気濃度を測定する方法があげられる。カソードから排出されるガスの水蒸気濃度は、温度、圧力、気体の流量などにも依存するが、運転条件を一定にした定常状態においては、カソードの水分量に相関する。従って、アノードからカソードへ移動してくる水の量にも相関する。
水タンク8の水は、新たに燃料電池システム外部から供給される水を使用してもよく、またカソードで生成された水を水タンク8に貯蔵して用いてもよい。また、水タンク8は水が無くなったときに、水タンク8ごと燃料電池システムから取り外して、水の入ったタンクと交換するようなカートリッジタイプのものでもよい。
第二の制御部9は、コントローラ7からの信号によって水供給量を制御することが可能な装置であればよい。具体的には、水の流れをON/OFF制御するような弁体であってもよく、連続的に流体の流量を制御するようなマスフローコントローラのようなものでもよい。また、それ自体が水の供給手段を兼ねたものでもよく、排出量を任意に変化させることができる液体ポンプであってもよい。
コントローラ7は、電流検知部6から出力された電流値またはそれに相関する信号Aと、ガス検知部5から出力された濃度またはそれに相関する信号Bから、アノードにおける水の消費量Tを算出し、消費量Tに相当する量の水を水タンク8から希釈タンク3へ送るように第二の制御部9に指示するような信号を発信することができればよい。ここで、水の消費量Tはアノード電極反応によって消費される水の量とアノードからカソードへ移動した水の量Sの和である。式(1)からわかるように、前者は、アノードで消費されるメタノールの量Xに等しい。後者のSは、前記のように濃度拡散によるもの、すなわちメタノールのクロスオーバー量Yに相関する量、と電気的推進力によるもの、すなわち電流値に相関する量とに分けられる。従って、以下の式の演算を行えばよい。
T=X+S (8)
S=fY+gA(f、gは定数) (9)
実施の形態2
図2は、本実施の形態の燃料電池システムの概略構成を示す図である。
実施の形態1と異なる点は、燃料電池スタック1のアノードから排出される未使用の余剰燃料を含む水溶液31を希釈タンク3に戻すのではなく、燃焼装置10によって酸化させることである。燃焼装置10には、十分な量の酸素を含んだ空気が24で示されるように、送入される。燃焼装置10に導入された余剰の燃料は、反応式(3)と同様の反応によって二酸化炭素にまで完全酸化される。余剰の燃料が全て二酸化炭素にまで酸化されると、燃焼装置10から排出されるガス32に含まれる二酸化炭素濃度は、余剰燃料量と相関する。従って、燃料消費量を求めるためには、燃焼装置10から排出されるガス32の二酸化炭素を計測すればよく、そのための第二のガス検知部11が設けれている。33は第2のガス検知部11からの排出ガスを表す。
以上のように構成された燃料電池システムにおいて、燃料消費量の総和Zは、発電によって消費される燃料量Xと、クロスオーバーによって消費される燃料量Yと、余剰燃料として排出される燃料量Vとの総和であり、その演算式は下記の演算式(10)〜(12)のようになる。下記の演算式において、Eは第二のガス検知部11から出力された二酸化炭素濃度を示し、Fは燃焼装置10から排出されるガスの流量を示す。
V=k(E−m)(k、mは定数) (10)
V=n(E×F−p)(n、pは定数) (11)
Z=X+Y+V (12)
燃焼装置10は、余剰の燃料を完全酸化させることができればよいが、着火による燃焼では、熱管理の点から携帯用の小型機器の電源として使用する場合には不向きであり、白金触媒などを使用した触媒燃焼装置であることが好ましい。
本実施の形態においては、希釈タンクに供給すべき水の量は、希釈タンクに供給すべき燃料量に対応して決定すればよい。
実施の形態3
図3は、本実施の形態の燃料電池システムの概略構成を示す図である。
本実施の形態は、実施の形態2を簡素化したものである。燃料電池スタック1から排出される未使用の燃料水溶液を燃焼させる燃焼装置12には、酸化剤ガスとして、外部から空気を供給する代わりに燃料電池スタック1のカソードから排出されるガス21を使用する。
燃料電池の運転条件としては、カソードの酸素分圧を高く維持するとともに、カソードで生成する水を速やかに除去するために、反応式(2)で示される発電反応に必要な酸素量よりも過剰な空気をカソードに送ることが一般的である。そのため、カソードから排出されるガスは、酸素を多く含んでいる。従って、余剰の燃料を酸化するのに十分な酸素が残存している。
本実施の形態においては、カソードから排出されるガスが燃焼装置12を経て、ガス検知部13に送られるため、ガス検知部を複数設ける必要がなくなる。これによって、ガス検知部13で計測される二酸化炭素量は、クロスオーバーによって消費される燃料量Yと余剰燃料量Vの和である。したがって、燃料消費量Zを求める演算式は、次のようになり、演算式(4)および(12)は、そのまま適用することができる。
Y+V=q(E−r)(q、rは定数) (13)
Y+V=s(E×F−t)(s、tは定数) (14)
実施の形態4
本発明の他の実施の形態について説明する。
まず、式(1)と(2)から燃料電池の全反応式を導くと、式(3)になることがわかる。このことから、燃料電池内で消費される酸素の量は、式(3)に基づいて燃料の消費量と相関し、したがって発電量とクロスオーバー量を区別する必要がなくなることがわかる。従って、燃料電池スタックから排出されるガス中の二酸化炭素濃度を測定する代わりに、酸素濃度を測定することで、燃料の消費量を求めることができる。このことは、実施の形態2および3に記載のような余剰燃料を燃焼させて酸化する場合にも適用できる。
ただし、本実施の形態では、過剰の空気を供給しているため、酸素濃度の変化量が比較的小さく、変化量の大きい二酸化炭素の濃度を測定する場合に比べて、測定精度が低下する。従って、本実施の形態を適用する場合は、空気供給量が、必要酸素量から計算した最低酸素量に近いことが好ましい。一方、測定精度に関しても、現在一般的に購入することができるガス濃度計の精度は、二酸化炭素濃度計に比べて酸素濃度計の精度は低いといえる。これらの欠点を補うために、ガス流量計を正確に測定するなど、濃度測定以外の計測で精度を高めることが好ましい。
本実施の形態において、図1に示した燃料電池システムに適用される演算式は、以下のようになる。燃料電池スタックのカソードから排出されるガスを計測するガス検知部22での酸素濃度をG、ガス流量をHとしたとき、燃料消費量Zは、次式により求められる。
Z=u(G×H−v)(u、vは定数) (15)
さらに、図2に示した燃料電池システムに適用される演算式は、燃焼装置10から排出されるガスを計測する第2のガス検知部11での酸素濃度をJ、ガス流量をKとしたとき、次式で求められる。
Z=w(G×H+J×K−x)(w、xは定数) (16)
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
《実施例1》
メタノールを燃料として、図1に示される構成の燃料電池システムを作製した。そして、以下のようにシステムを稼動させ、希釈タンク3の燃料濃度の時間的変化をガスクロマトグラフ(島津製作所GC−14B)により測定した。
燃料電池は以下のようにして作製した。
まず、平均一次粒子径30nmを持つ導電性カーボン粒子に、白金を50重量%担持したものをカソード側の触媒担持粒子とした。前記と同じサイズのカーボン粒子に、原子比1:1の白金−ルテニウム合金を50重量%担持したものをアノード側の触媒担持粒子とした。これらの触媒担持粒子をそれぞれ水素イオン伝導性高分子電解質と混合し、触媒ペーストを作製した。このとき、触媒担持粒子中のカーボンと水素イオン伝導性高分子電解質の重量比を1:1とした。
次に、水素イオン伝導性高分子電解質膜(米国DuPont社製、Nafion117)の両面に、上記のアノードとカソードの触媒ペーストを印刷した。それによって形成されたそれぞれの触媒層の表面に、ガス拡散層としてカーボンペーパーを配置した。また、前記の高分子電解質膜のカーボンペーパーから露出している部分に、ゴム製のガスケットを配置した。これらの積層体をホットプレスしてカーボンペーパーおよびガスケットを高分子電解質膜側へ接合した。こうして組み立てられた膜電極接合体(MEA)を、アノード側セパレータ板およびカソード側セパレータ板で挟んで単電池とした。アノード側セパレータ板およびカソード側セパレータ板は、黒鉛板からできている。アノード側セパレータ板は、MEAのアノードと対向する面に、溝で形成された燃料の流路を有する。カソード側セパレータ板は、MEAのカソードと対向する面に、溝で形成された酸化剤ガスの流路を有する。
この単電池を10セル分積層した後、その両端に集電板および絶縁板を介して端板を配置し、端板同士をボルトとナットとバネを使用して締結して、燃料電池スタック1を形成した。
上記の燃料電池スタック1を用いて構成した燃料電池システムにおいて、ガス検知部5では、カソードからの排気ガスを、氷水を循環させたガラス製のジムロート冷却管に通した後、赤外線吸収式の二酸化炭素濃度計(ヴァイサラ社製GM70)で二酸化炭素濃度を測定し、同時に石鹸膜流量計(エステック社製SFVP)を用いて排気ガスの単位時間当たりの流量を計測した(実際には、流量計内の測定容器のガス量が所定値に達する時間を測定した)。
電流検知部6には、チノー社製燃料電池評価システムを使用し、それに付属の電子負荷装置と電流計測器を使用した。この電流計測器により、燃料電池の出力電流を測定した。
コントローラ7には、市販のパーソナルコンピュータを用いて、二酸化炭素濃度計、流量計、および電流計から出力される数値を読み込ませ、式(4)、(6)および(7)によって燃料の消費量を算出し、第一の制御部4に信号を出力させた。各演算式において、定数値aは反応式(1)におけるメタノールと電子の化学量論比とファラデー定数から求められる数値であり、Aの単位をアンペア、Xの単位をmol/sとすれば、1.72×10-6(無次元)となる。
式(6)の定数値d、eは、モデルセルによる測定から実験的に求めた値を使用した。Cの単位をモル分率(無次元)、Dの単位をm3/s、Yの単位をmol/sとして、d=41(mol/m3・s)、e=5.5×10-9(m3/s)とした。
式(4)、(6)、(7)、および(9)によってコントローラ7は水の消費量を算出し、第二の制御部9に信号を出力させた。XおよびYの計算については、前記と同様の定数を用い、式(9)の定数値f、およびgは、モデルセルによる測定から実験的に求めた値を使用した。Aの単位をアンペア、Cの単位をモル分率(無次元)、X、Y、T、およびSの単位をmol/sとして、f=1.3(無次元)、g=3.2×10-5(無次元)とした。
第一の制御部4および第二の制御部9には、流量が可変な液体ポンプ(日本精密科学社製NP−KX−100)を用いた。
燃料タンク2、希釈タンク3、および水タンク8には、ポリテトラフルオロエチレン製の密閉容器を使用した。希釈タンク3から各セルのアノードへの希釈燃料の供給には、液体ポンプ(日本精密科学社製NP−KX−120)を用いた。カソードへは、マスフローコントローラで流量を制御した空気を一定量供給した。
《比較例1》
比較例として、図4に示すような燃料電池システムを作製した。
この燃料電池システムは、燃料電池スタック1に、燃料水溶液を供給する希釈タンク3が接続されている。燃料タンク2および水タンク8は、それぞれ第一の制御部4および第二の制御部9を介して希釈タンク3に接続されている。
燃料電池スタック1、燃料タンク2、希釈タンク3、第一の制御部4、コントローラ11、水タンク8、および第二の制御部9は、全て実施例1と同一の機器および部材を使用した。
希釈タンク3に接続された燃料濃度計10には、超音波式のものを用いた。濃度の計測値はコントローラ11へ出力される。コントローラ11は、設定値と計測値の差分を計算して、第一の制御部4および第二の制御部9へ信号を出力する。これによって、希釈タンクへ供給される燃料または水が制御され、希釈タンク3内の燃料濃度が調節される。
実施例1と同様に希釈タンクの燃料濃度の時間的変化をガスクロマトグラフで測定した。
以上の実施例1および比較例1の燃料電池システムについて、希釈タンクの燃料濃度の経時変化を計測した結果を図5に示す。図中、51は、本発明の実施例における濃度の経過時変化を示し、52は、比較例における濃度の経時変化を示す。なお、図中の比較例における濃度変化とは、濃度計の測定値ではなく、ガスクロマトグラフにより測定した値である。発電は、セル温度が60℃になるようにコントロールした状態で、電流密度にして100mA/cm2の電流を流した。希釈タンクの濃度の設定値は1mol/lとし、初期値は設定値と同一にした。計測は10分毎に行い、8時間運転した。
本発明の実施例1によるシステムでは、希釈タンクの濃度は設定値に対しての差異が小さく、安定していることがわかる。
これに比べて、比較例1では、運転開始直後に濃度が大きく振れているのに加えて、時間が経つにつれて設定値との乖離が大きくなっていることがわかる。比較例1のシステムにおいて、運転開始直後に濃度が大きく振れるのは、発電にともないアノードで発生した二酸化炭素が、希釈タンク内の燃料に溶解して濃度の測定値に誤差が生じているためであると考えられ、二酸化炭素の溶解が飽和に到達することで収束しているものと考えられる。経時的に乖離が大きくなっていくのは、電極で発生したホルムアルデヒド、蟻酸、蟻酸メチルなどの副生成物が希釈タンク内に蓄積されて、濃度計の計測値が実際の濃度よりも高く測定されているためと考えられる。
本発明によれば、希釈タンクの燃料濃度を直接測定することなく、希釈タンクへ供給すべき燃料および水の量を正確に制御できる。従って、直接燃料酸化型燃料電池の希釈タンク内の燃料濃度を安定させて維持管理するのに有益である。
本発明の実施の形態1における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 比較例1の燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 実施例1および比較例1における希釈タンク内の燃料濃度の経時変化を示す図である。

Claims (23)

  1. 高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードとの間で循環させる希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;前記燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測し、その結果を出力するガス検知部;前記燃料電池の発電量を計測し、その結果を出力する電流検知部;および前記ガス検知部と前記電流検知部の出力結果をもとに前記第一の制御部および第二の制御部をコントロールするコントローラを具備する燃料電池システム。
  2. 前記ガス検知部は、ガスの成分とともにガスの流量を計測し、それらの結果を出力する請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記ガス検知部は、二酸化炭素の濃度を測定する請求項1記載の燃料電池システム。
  4. 前記ガス検知部は、酸素の濃度を測定する請求項1記載の燃料電池システム。
  5. 前記ガス検知部は、水蒸気の濃度を測定する請求項1記載の燃料電池システム。
  6. 前記ガス検知部は、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸、および一酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種の濃度を測定する請求項1記載の燃料電池システム。
  7. 前記ガス検知部は、赤外線の吸収を利用して二酸化炭素の濃度を測定する請求項3記載の燃料電池システム。
  8. 燃料がメタノールである請求項1記載の燃料電池システム。
  9. 高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードへ供給する希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;前記燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測し、その結果を出力するガス検知部;前記燃料電池の発電量を計測を計測し、その結果を出力する電流検知部;前記燃料電池のアノードから排出される未使用の燃料を計測し、その結果を出力する未使用燃料検出部;並びに前記ガス検知部、前記電流検知部、および未使用燃料検出部の出力結果をもとに前記第一の制御部および第二の制御部をコントロールするコントローラを具備する燃料電池システム。
  10. 前記ガス検知部は、二酸化炭素の濃度を測定する請求項9記載の燃料電池システム。
  11. 前記ガス検知部は、酸素の濃度を測定する請求項9記載の燃料電池システム。
  12. 前記ガス検知部は、水蒸気の濃度を測定する請求項9記載の燃料電池システム。
  13. 前記未使用燃料検出部が、燃料電池のアノードから排出される未使用の燃料を燃焼させる燃焼装置、および前記燃焼装置から排出されるガスの成分を計測し、その結果を出力する第2のガス検知部からなる請求項9記載の燃料電池システム。
  14. 前記第2のガス検知部が二酸化炭素の濃度を測定する請求項13記載の燃料電池システム。
  15. 前記ガス検知部は、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸、および一酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種の濃度を測定する請求項9記載の燃料電池システム。
  16. 前記ガス検知部は、赤外線の吸収を利用して二酸化炭素の濃度を測定する請求項10記載の燃料電池システム。
  17. 前記燃料電池のアノードから排出される未使用の燃料を燃焼させる燃焼装置を具備し、前記燃料電池のカソードから排出されるガスが前記燃焼装置に導入され、前記燃焼装置から排出されるガスが前記ガス検知部に導入されるように構成され、前記ガス検知部が、前記未使用燃料検出部を兼ねている請求項9記載の燃料電池システム。
  18. 燃料がメタノールである請求項9記載の燃料電池システム。
  19. 高分子電解質膜およびそれを挟むアノードおよびカソードからなるセルを備える燃料電池;前記燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する手段;液体燃料の水溶液を収容するとともに前記水溶液を前記燃料電池のアノードへ供給する希釈タンク;前記希釈タンクに第一の制御部を介して接続された燃料タンク;前記希釈タンクに第二の制御部を介して接続された水タンク;および前記燃料電池の発電量から燃料電池の燃料消費量を計測する電流検知部を含む制御手段を具備し、前記制御手段は燃料消費量の計測値に基づいて前記第一の制御部を制御し、さらに前記制御手段は、前記燃料電池のカソードから排出されるガスの成分を計測することにより、アノードからカソードにクロスオーバーした燃料量を算出し、その算出値に基づいて前記燃料消費量を補正する補正手段を具備する燃料電池システム。
  20. 前記補正手段が、燃料電池のカソードから排出されるガス中の二酸化炭素を計測する請求項19記載の燃料電池システム。
  21. 前記燃料電池のアノードから排出される、未使用燃料を含む水溶液を、前記希釈タンクに戻す手段をさらに具備する請求項19記載の燃料電池システム。
  22. 前記電流検出部の計測値から水の消費量が算出され、その算出値に基づいて前記第二の制御部がコントロールされる請求項21記載の燃料電池システム。
  23. さらに、前記燃料電池のアノードから排出される、未使用燃料を含む水溶液を導入する燃焼装置、および前記燃焼装置から排出されるガスの成分を計測するガス検知部を具備し、前記電流検知部およびガス検知部で計測された成分及びその量から前記燃料電池の燃料消費量が算出される請求項19記載の燃料電池システム。
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