JP2005310509A - 高分子電解質型燃料電池の試験方法、および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池の試験方法、および高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池運転時の高分子電解質の劣化現象を事前に把握して、燃料電池の性能を保証するための高分子電解質型燃料電池の試験方法と、この試験方法を用いた信頼性の高い高分子電解質型燃料電池を提供すること。
【解決手段】燃料電池に燃料ガスと酸化剤ガスを供給し、定格運転時よりも低い電流密度で運転するステップと、低い電流密度で運転する際に、排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量を検出するステップとを備えた、高分子電解質型燃料電池の試験方法を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池の試験方法、およびこれを用いた高分子電解質型燃料電池に関するものである。例えば、携帯機器用電源、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージェネシステム等に使用される高分子電解質型燃料電池の加速試験方法、およびこれを用いた高分子電解質型燃料電池に関するものである。
高分子電解質型燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスをガス拡散電極によって電気化学的に反応させ、発電を行うものである。このような高分子電解質型燃料電池の一般的な構成を図1に示した。
図1に於いて、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜3の両面には、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層2が密着して配置されている。さらに触媒反応層2の外面には、ガス通気性と導電性を兼ね備えた一対の拡散層1が、触媒反応層2に密着して配置されている。この拡散層1と触媒反応層2により電極9が構成される。そして、高分子電解質膜3と、その両面に配置された電極9で、電極電解質接合体(以下、MEAとする)10が形成されている。
電極9の外側には、MEA10を機械的に固定するとともに、隣接するMEA10同士を互いに電気的に直列に接続する導電性セパレータ板4aおよび4bが配置されている。そして、導電性セパレータ板4aおよび4bのそれぞれの一方の面には、電極9に反応ガスを供給し、かつ反応により発生したガスや余剰のガスを運び去るためのガス流路5が形成されている。ガス流路5は、セパレータ板4aおよび4bと別に設けることもできるが、セパレータ板の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
セパレータ板4aおよび4bのそれぞれの他方の面には、電池温度を一定に保つための冷却水を循環させる冷却水流路7が設けられている。このように冷却水を循環させることにより、反応により発生した熱エネルギーを、温水などの形で利用することができる。
また、水素や空気が電池外にリークしたり、互いに混合したりしないように、さらには冷却水が電池外にリークしないように、電極9の周囲には高分子電解質膜3を挟んでガスシール材13やOリング14が配置されている。
周知の如く、燃料電池は長期間運転を行うと経時的に劣化することが知られている。劣化部位としては、電極触媒、高分子電解質膜、ガス拡散層などがある。リン酸型燃料電池では、電極触媒の粒径増大や、電極部の濡れ性の変化が劣化原因として考えられている。また、高分子電解質型燃料電池の場合、高分子電解質膜が劣化することでも電池性能が低下する。高分子電解質膜の劣化メカニズムは十分に解明されていないが、電極触媒反応の副反応で生成する過酸化水素などの過酸化物が、ラジカル化して電解質膜を浸食し劣化を促進すると考えられている。
高分子電解質膜としては、通常パーフルオロカーボンスルホン酸膜(例えば、米国デュポン社製、商品名:ナフィオン膜)を用いるのが一般的である。このようなフッ素系電解質膜は耐酸化性に優れた材料と考えられているが、近年このような膜であってもラジカル反応により劣化することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、フッ素系の電解質膜よりも安価な炭化水素系電解質膜も開発されているが、一般的にはフッ素系電解質膜よりも耐酸化性が低くなると考えられている。
高分子電解質膜に欠陥等があり、このような劣化が加速進行した場合には、短時間で高分子電解質膜が致命的なダメージを受け、電池運転が不能になる危険性がある。燃料電池を長期間作動させる時には、このような電池性能の低下や電解質膜の破損などの危険を、電池運転前に適切に検査しておくことが必要である。また、高分子電解質膜の劣化現象を短時間で的確に判断し、燃料電池としての性能を予め保証しておくことは、燃料電池の品質を保証する上で必須である。
これまで高分子電解質型燃料電池の電池性能を保証する方法としては、燃料ガス流路、酸化剤ガス流路等にヘリウムガスを注入して、ガスもれ量を事前に的確に検知する方法があった(例えば、特許文献1参照)。
この方法を用いれば、燃料電池のガスもれ量の把握が出来るため、ガスシール性の良否を事前に判断することが出来る。このように、燃料電池の供給ガス流路にヘリウムガス等を注入して、燃料電池のガスもれ量を事前に判断することは、品質保証の観点からも重要である。また、この方法は、燃料電池に用いられる各種シール材のガスシール性の評価や、MEAの物理的欠陥等による初期もれ量を判断する方法としても有効である。
特開2002−334713号公報 FCDICシンポジウム委員会、「第10回燃料電池シンポジウム予稿集」、燃料電池開発情報センター、2003年5月13日、p.261−p.264
しかしながら、特許文献1に示される方法でガスもれ検知を行うためには、ヘリウムガスやリークディテクタ等の特別な検査装置が必要である。また、発電状態ではない検査方法を用いているため、電池運転時の高分子電解質膜の劣化に関する品質保証を行うことは困難である。
以上のことから、燃料電池運転時の高分子電解質膜の劣化を模擬した加速試験方法、またこのような劣化現象を事前に把握して燃料電池の性能を保証するための燃料電池の試験方法、およびこれを用いた信頼性の高い燃料電池が望まれている。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、運転時の高分子電解質膜の劣化現象を事前に把握して燃料電池の性能を保証できる、高分子電解質型燃料電池の試験方法、および高分子電解質型燃料電池を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
燃料電池に燃料ガスと酸化剤ガスを供給し、定格運転時よりも低い電流密度で運転するステップと、
前記低い電流密度で運転する際に、排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量を検出するステップとを備えた、高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第2の本発明は、
前記低い電流密度を0とする、第1の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第3の本発明は、
前記低い電流密度は、定格運転時の1/n倍(n>1)の電流密度であり、
さらに、前記分解生成物の量が、基準の燃料電池の定格運転時における分解生成物の量の所定倍未満であれば、前記燃料電池を良品と判定するステップを備えた、第1の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第4の本発明は、
前記基準の燃料電池は、複数のロットの燃料電池のそれぞれの定格運転時における排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量のうち、最も量が少ないロットの燃料電池とする、第3の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第5の本発明は、
前記所定倍は、1.5βn倍(βは運転条件によって決まる定数)である、第4の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第6の本発明は、
前記電流密度を低くすればするほど、前記燃料電池を良品と判定するための閾値とする分解生成物の量を大きくして判定する、第3の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第7の本発明は、
前記高分子電解質膜の分解生成物は、フッ素イオンである、第1の本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法である。
第8の本発明は、
高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟んで配置された燃料極、および酸素極で構成された電解質膜電極接合体に、燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスが供給され、電気化学反応により電力を発生する高分子電解質型燃料電池において、
電流密度を定格運転時の1/n倍(n>1)にして運転したときの前記高分子電解質型燃料電池から排出されるオフガス中の前記高分子電解質膜の分解生成物の量が、基準の燃料電池の定格運転時に排出される分解生成物の量の、(1)式で示されるY倍未満であり、前記基準の燃料電池は、複数のロットの燃料電池のそれぞれの定格運転時における排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量のうち、最も量が少ないロットの燃料電池とする、高分子電解質型燃料電池である。
Y = αβn …………(1)
α=1.5
β:運転条件によって決まる定数
第9の本発明は、
前記分解生成物は、フッ素イオンである、第8の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
本発明により、運転時の高分子電解質膜の劣化現象を事前に把握して燃料電池の性能を保証できる、高分子電解質型燃料電池の試験方法、および高分子電解質型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1および図2を用いて、本発明の実施の形態1の高分子電解質型燃料電池の試験方法について説明する。図1は、一般的な高分子電解質型燃料電池の構成を示しており、図2は、本実施の形態1の高分子電解質型燃料電池の試験方法を行う際の燃料電池システムの構成を示している。
図2では、燃料電池15を運転する際のアノードおよびカソード排ガスが、それぞれ、アノードドレインタンク16およびカソードドレインタンク17で採取できるようになっている。そして、アノードドレインタンク16内のアノードドレイン水が、ポンプ18によってカソードドレインタンク17に送られ、採取した合計のドレイン水中のフッ素イオン量が経時的に測定できるようになっている。
なお、燃料電池15を運転する際のアノードおよびカソード排ガスが、本発明の、排出されるオフガスの一例である。
まず初めに、図1に示した燃料電池を用いて、定格運転(条件A)、および定格運転時に対して電流密度を低くした条件(条件B〜D)で電池運転を行った。定格運転は、10セル積層の燃料電池を用い、電池温度70℃、燃料極に水素ガス(燃料利用率80%、ガス露点70℃)、空気極に空気(空気利用率40%、ガス露点70℃)を流し、電流密度0.8A/cmで行った。基準となる定格運転(条件A)での電流密度を1としたとき、条件B、条件C、条件Dは、各々電流密度が、1/2倍、1/5倍、1/10倍となるように設定した。
そして、図2の燃料電池システムで経時的に測定したドレイン水中のフッ素イオン量から、各条件における時間当たりのフッ素イオン量を算出した。表1は、定格条件(条件A)で、1000h当たりのフッ素イオン量を1と規格化した場合の、他条件(条件B〜D)におけるフッ素イオン量を示している。
なお、ここで測定したドレイン中のフッ素イオンが、本発明の、高分子電解質膜の分解生成物の一例である。
Figure 2005310509
この結果より、条件A(定格運転)に対して電流密度を低くした条件B、C、Dでは、フッ素イオン量が増加することが分かった。これは、電流密度を低くすることにより、燃料電池運転で生じる生成水量が減少することから、これが高分子電解質膜の劣化に影響を及ぼしていると考えられる。
ここで、条件Aでの1000hまでの積算総フッ素イオン溶出量と同じ積算量になるまでの各条件での時間は、条件Bで約300h、条件Cで約120h、条件Dで約60hとなっていた。これより、条件B〜Dの試験を行うことにより、より短時間でフッ素イオン溶出をさせることが可能になる。
また、定格条件での電流密度とフッ素イオン溶出量を1と規格化したときの、電流密度の逆数とフッ素イオン溶出量の関係を図3に示した。図3より、フッ素イオン溶出量は電流密度の逆数に比例することが分かった。この時のグラフの傾きは約1.7であったことから、電流密度を(1/n)倍した各条件でのフッ素イオン溶出量は1.7n倍になることが分かった。
さらに、電流密度を0にした条件(条件E)でも同様に試験を行ったところ、定格運転時のフッ素イオン溶出量を1としたとき、25というフッ素イオン溶出量の値が得られた。これは、電流密度を定格運転時の1/10倍にした条件Dのときの値よりも、さらに大きい値となっている。電流密度が0、つまり開回路時においては、燃料電池運転による生成水が全く発生しないことから、さらに高分子電解質膜の劣化が加速されたと考えられる。これより、開回路時においても定格運転時の加速試験が行えることが分かった。
ここでは、電流密度条件を1/2〜1/10倍に設定したが、これ以外の設定にすることもでき、本発明の適用範囲内、つまり電流0〜規格運転未満の電流であればどんな条件でも構わないが、実用的には電流密度1/2〜1/50程度が望ましい。
また、本実施の形態1では、電流密度を1/n倍したときのフッ素イオン溶出量は1.7n倍となったが、定格条件の電流密度値が異なったり、運転温度や加湿条件等が異なる場合には、この1.7という係数は変化するため、定格運転時の運転条件によって係数を調べた上で任意に設定する。
以上のことから、
本実施の形態1の高分子電解質型燃料電池の試験方法を用いて、電流密度を定格条件よりも低く設定することで、燃料電池の高分子電解質膜の劣化を加速させることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態1の高分子電解質型燃料電池の試験方法を用いた高分子電解質型燃料電池について述べる。
実施の形態1で使用した条件A(定格運転)に対して電流密度を1/5倍にした条件Cを用いて、作製ロットの異なる10種類のMEA(a〜j)を試験評価した。このうち、実施の形態1で使用したMEAロットはaである。また、各々のMEA(a〜j)について、定格運転の条件Aについても試験を行った。
この時の条件Aと条件Cの各電池から排出されるフッ素イオン溶出量の関係を図4に示した。図4では、条件Cにおけるフッ素イオン溶出量が最も少なかった作製ロットaのMEAを基準の燃料電池とし、条件Aで作製ロットaのMEAを用いた場合のフッ素イオン量を1として、各々の条件およびMEA(a〜j)におけるフッ素イオン量の関係を示している。
図4より、条件Cでのフッ素イオン量が12.7以上のMEA(ロットb、c、f、h、i)を用いた場合には、条件A(定格運転時)でのフッ素イオン量が1.05以上となっており、条件Aでのフッ素イオン量も増加することが分かった。実施の形態1より、作製ロットaのMEAを用いた場合、条件A(定格運転)に対して電流密度を1/5倍にした条件Cのフッ素イオン溶出量は、5×1.7で約8.5倍となる。これを、図4より条件A(定格運転)でのフッ素イオン溶出量が多くなったときの条件Cでのフッ素イオン溶出量12.7と比較してみると約1.5倍となることが分かった。この1.5倍という数値が、本発明の所定倍の一例である。
これより、条件Cでのフッ素イオン量が、基準のMEAの定格運転時におけるフッ素イオン量の12.7倍より小さいMEAを使用することが、品質保証の観点から最適であることが分かった。
同様に、実施の形態1で行った条件B、Dについても作製ロットの異なる10種類のMEA(a〜j)について評価したところ、電流密度を条件A(定格運転)の1/n倍にしたときのフッ素イオン量が、概ね1.5×1.7×n倍以上の場合に、定格条件でのフッ素イオン量が増大することがわかった。つまり、電流密度条件を変えた条件BやDでも、フッ素イオン溶出量が、基準とする作製ロットaのMEAの場合の1.5倍より小さいMEAを使用することが、品質保証の観点からは最適であることが分かった。なお、本実施の形態2における、この1.7という数値が、本発明の、運転条件によって決まる定数βの一例である。
したがって、電流密度を低くした運転条件におけるフッ素イオン量が、基準とするMEAの定格運転時におけるフッ素イオン量の1.5βn倍未満のMEAは、その高分子電解質膜は劣化していないと判断できることになる。つまり、基準とするMEAの定格運転時におけるフッ素イオン量の1.5βn倍のフッ素イオン量を閾値として、フッ素イオン量がその閾値よりも少ないか否かによって、そのMEAが良品であるか否かを判別できる。
ここでは、高分子電解質の分解生成物としてフッ素イオンに着目したが、フッ素系以外の高分子電解質膜を用いた場合にはこの限りではなく、使用する材料にあわせて変更することもできる。例えば、炭化水素系の膜を用いた場合には、フッ素イオンの代わりにこれらの分解生成物を指標とすることが出来る。
高分子電解質型燃料電池は、ヒドロキシラジカルの攻撃を受け高分子電解質膜が劣化すると、膜を構成する主要成分のフッ素がオフガス中のドレイン水に溶出すると考えられる。本発明は、新しく見出した、高分子電解質型燃料電池の電流密度が、オフガス中から排出されるフッ素イオン溶出量に影響を与えるという関係を用いた、高分子電解質型燃料電池の試験方法および高分子電解質型燃料電池に関するものである。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
まず、高分子電解質膜(デュポン製、ナフィオン膜、厚み50μm)に、ガス拡散層を備えた触媒層付き電極を取り付け、MEAを作製した。
このMEAを、その両面から、気密性を有するカーボン製のセパレータ板とシリコンゴム性のガスシール材で挟み込んで単電池の構成とした。以上の単電池を2セル積層し電池構成単位を得て、図1に示すような構成で燃料電池の積層体を作成した。積層した単電池は全部で10セルで、両端部に金メッキを行った銅製の集電板と電気絶縁材料でできた絶縁板、さらにエンドプレートを順に配して積層電池を作製した。
作製した燃料電池の積層体のそれぞれについて、燃料極には水素ガスを、空気極には酸化剤ガスとして空気を流し、冷却水入口温度を75℃、燃料利用率を80%、空気利用率を40%、ガス加湿は水素ガスを75℃、空気を75℃の露点になるように調整して、電流密度0.8A/cmで燃料電池(積層電池)を運転した。この条件を定格条件とした。
この時、アノードおよびカソード排ガスを、図2に示すような構成のアノードドレインタンク16およびカソードドレインタンク17に流通させ、ドレイン水を採取した。フッ素イオン濃度の測定には、イオンクロマトグラム(日本ダイオネクス社製、ICS−90)を用いた。このドレイン水中のフッ素イオン濃度から、単位電池あたりのフッ素イオン溶出量(速度)を算出した。
次に、定格条件よりも電流密度を低くした、表2に示す条件で試験を行った。このとき、電流密度以外の条件は定格条件と同じになるようにして試験を行った。
Figure 2005310509
条件1〜3における単位時間あたりのフッ素イオン溶出量を、定格条件と比較して図5に示した。図6には、各条件での電流密度の逆数とフッ素イオン溶出量の関係を示した。また、定格条件での電流密度とフッ素イオン溶出量を1と規格化したときの、電流密度の逆数とフッ素イオン溶出量の関係を図7に示した。
これらの結果より、定格条件に対して電流密度を低く設定した条件1、2、3では、フッ素イオン量が多くなり、これらの量は各条件での電流密度の逆数にほぼ比例することが分かった。また、図7のグラフの傾きが約1.3となっていることから、電流密度を(1/n)倍にしたときのフッ素イオン溶出量は1.3n倍になることが分かった。ここでは、電流密度を定格条件の1/2倍、1/4倍、1/10倍で行ったが、これら以外の電流密度で行うことも可能である。
さらに、定格運転の条件設定のままで電流密度のみを0にした開回路の状態で、同様に試験を行ったところ、フッ素イオン溶出速度は11.5μg/hとなった。これより、開回路状態においても、定格の運転状態よりもフッ素イオン溶出量が多くなることが明らかとなった。
本実施例1では、上記のような運転条件で試験を行ったが、定格条件の設定や試験条件について、本実施例1の設定に限るものではなく、本発明が適用できるのであればどんな方法を用いても構わない。
以上のことから、定格運転時よりも低い電流密度で運転することにより、高分子電解質膜の劣化を加速させる試験方法を提供できる。
(実施例2)
次に、実施例1で用いた試験条件1(定格運転の1/10の電流密度)で、作製条件等は同じであるが製造ロットの異なるMEA1〜MEA5について、実施例1と同様の試験を行った。実施例1と同様に、各MEAを組み込み燃料電池を構成して、それぞれについて表2に示す条件1で電池試験を行った。なお、MEA1は、実施例1で使用したものと同じロットのMEAである。
図8に、この電池試験時の各MEAにおけるフッ素イオン量を比較して示した。図8中の破線は、MEA1の試験条件1におけるフッ素イオン量の1.5倍のフッ素イオン量を示している。
図8の結果より、MEA3が最もフッ素イオン量が多くなることが分かった。そこで、MEA3について実施例1の定格条件(条件A)での試験を行い、フッ素イオン溶出量を調べたところ、MEA1に比べてフッ素イオン量が多くなることが分かった。また、この他のMEA2、MEA4、MEA5についても定格条件での試験を行ったが、フッ素イオン量は、いずれもMEA1とほぼ同じ量になった。これより、試験条件1におけるフッ素イオン量から、定格条件における特性低下を判断できることが分かった。
本実施例2では、加速試験条件として電流密度を定格条件の1/10倍にして行ったが、これ以外の電流密度で行ってもよい。また、定格条件も本実施例2に限るものではなく、定格運転試験時に比べて、電流密度を1/n倍にしたときのフッ素イオン量が1.5βn倍未満であれば良い。βは本実施例では1.3であるが、試験条件によって変化するため任意に設定することが出来る。
また、本実施例2ではフッ素系高分子電解質膜を用いたため、高分子電解質の分解生成物としてフッ素イオン量を指標としたが、例えば炭化水素系の膜を用いた場合にはフッ素イオンの代わりに、これらの分解生成物を指標とすることが出来る。また、電流密度以外の燃料ガス組成や電池温度、加湿条件なども本実施例2の設定に限るものではない。
以上に説明したように、本発明の高分子電解質型燃料電池の試験方法を用いて、定格運転時に比べて燃料電池の電流密度を低くする、または0にすることにより、燃料電池運転時の高分子電解質膜の劣化を加速模擬した試験が行える。また、この試験方法を用いることにより、信頼性の高い燃料電池を提供することが出来る。
本発明を用いることにより、例えば製造ロット毎に数MEAを抜き取り、このような加速試験を行うことで、予め燃料電池の信頼性を事前に評価出来る。それとともに、加速試験をクリアできなかったMEAを排除することで信頼性の高い燃料電池を構成することが出来る。
本発明にかかる高分子電解質型燃料電池の試験方法および高分子電解質型燃料電池は、携帯機器用の電源やポータブル機器用電源としての、高分子電解質型燃料電池の試験方法および燃料電池として利用可能である。また、燃料電池自動車用あるいは家庭用燃料電池コージェネレーションシステム等の、燃料電池の試験方法および燃料電池にも適用可能である。
高分子電解質型燃料電池の一般的な構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態1にかかる高分子電解質型燃料電池の運転試験時の燃料電池システムの構成図 本発明の実施の形態1の高分子電解質型燃料電池の試験方法における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図 本発明の実施の形態2の高分子電解質型燃料電池の試験方法における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図 本発明の実施例1における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図 本発明の実施例1における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図 本発明の実施例1における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図 本発明の実施例2における、高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図
符号の説明
1 拡散層
2 触媒反応層
3 高分子電解質膜
4a、4b セパレータ板
5 ガス流路
7 冷却水流路
9 電極
10 MEA
13 ガスシール材
14 Oリング
15 燃料電池
16 アノードドレインタンク
17 カソードドレインタンク
18 ポンプ

Claims (9)

  1. 燃料電池に燃料ガスと酸化剤ガスを供給し、定格運転時よりも低い電流密度で運転するステップと、
    前記低い電流密度で運転する際に、排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量を検出するステップとを備えた、高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  2. 前記低い電流密度を0とする、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  3. 前記低い電流密度は、定格運転時の1/n倍(n>1)の電流密度であり、
    さらに、前記分解生成物の量が、基準の燃料電池の定格運転時における分解生成物の量の所定倍未満であれば、前記燃料電池を良品と判定するステップを備えた、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  4. 前記基準の燃料電池は、複数のロットの燃料電池のそれぞれの定格運転時における排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量のうち、最も量が少ないロットの燃料電池とする、請求項3に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  5. 前記所定倍は、1.5βn倍(βは運転条件によって決まる定数)である、請求項4に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  6. 前記電流密度を低くすればするほど、前記燃料電池を良品と判定するための閾値とする分解生成物の量を大きくして判定する、請求項3に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  7. 前記高分子電解質膜の分解生成物は、フッ素イオンである、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池の試験方法。
  8. 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟んで配置された燃料極、および酸素極で構成された電解質膜電極接合体に、燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスが供給され、電気化学反応により電力を発生する高分子電解質型燃料電池において、
    電流密度を定格運転時の1/n倍(n>1)にして運転したときの前記高分子電解質型燃料電池から排出されるオフガス中の前記高分子電解質膜の分解生成物の量が、基準の燃料電池の定格運転時に排出される分解生成物の量の、(1)式で示されるY倍未満であり、前記基準の燃料電池は、複数のロットの燃料電池のそれぞれの定格運転時における排出されるオフガスに含まれる高分子電解質膜の分解生成物の量のうち、最も量が少ないロットの燃料電池とする、高分子電解質型燃料電池。
    Y = αβn …………(1)
    α=1.5
    β:運転条件によって決まる定数
  9. 前記分解生成物は、フッ素イオンである、請求項8に記載の高分子電解質型燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109669135A (zh) * 2018-12-29 2019-04-23 清华大学 燃料电池多点分析方法
US11973248B2 (en) 2018-12-29 2024-04-30 Tsinghua University Method for diagnosing degradation of fuel cell stack, method for multi-point analysis of fuel cell, and method for estimating performance of fuel cell membrane electrode

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