JP2017206728A - 成形材料、成形装置及び成形体の製造方法 - Google Patents

成形材料、成形装置及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形体について伝熱性及び電気伝導性に配向性を持たせることができるうえ、容易に製造することができる成形材料、成形装置及び成形体の製造方法を提供する。【解決手段】成形材料は、金属を切削して得られ鱗片状に形成された金属微粒子と、樹脂と、を含有する。この成形材料は、この成形材料に含まれる鱗片状の金属微粒子の最大長より短く、かつ金属微粒子を同じ向きで金型内に射出可能な射出口から金型に吐出されて成形体が形成される。これにより、金属微粒子の方向が揃えられ、伝熱性や電気伝導性に配向性を有する成形体を製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、成形材料、成形装置及び成形体の製造方法に関する。
従来より、樹脂を主成分とする成形材料が、射出成形機や3Dプリンタ等による成形体の成形に用いられている。成形材料の中には、成形体の強度等の向上を目的としてフィラーとして鱗片状の金属微粒子が充填されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平05−078618号公報
しかしながら、鱗片状の金属微粒子を得るのには特殊な製法が必要となり、その製造に時間又はコストがかかっていた。
本発明は、上記実情の下になされたものであり、成形体について伝熱性及び電気伝導性に配向性を持たせることができるうえ、容易に製造することができる成形材料、成形装置及び成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る成形材料は、
金属を切削して得られ鱗片状に形成された金属微粒子と、
樹脂と、
を含有する。
この場合、前記金属微粒子は、
表面が他の金属微粒子で被膜されている、
こととしてもよい。
また、前記金属は、鋳鉄である、
こととしてもよい。
前記鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄又はネズミ鋳鉄である、
こととしてもよい。
前記金属微粒子は、黒さび微粒子である、
こととしてもよい。
前記樹脂は、
生分解性プラスチックである、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る成形装置は、
金型と、
成形材料に含まれる鱗片状の金属微粒子の最大長より短く、かつ前記金属微粒子を同じ向きで前記金型内に射出可能な射出口と、
を備える。
本発明の第3の観点に係る成形体の製造方法は、
金属を、切削油をかけながら、切削工具により切削する切削工程と、
前記切削油から切削屑を回収する回収工程と、
回収された前記切削屑から鱗片状の金属微粒子を分離する分離工程と、
前記金属微粒子と樹脂とを混合して成形材料を生成する混合工程と、
前記金属微粒子の最大長より短く、かつ前記金属微粒子を同じ向きで射出可能な射出口を有する成形機を用いて前記成形材料を成形する成形工程と、
を含む。
本発明によれば、フィラーとしての鱗片状の金属微粒子を金属の切削加工により容易に得ることができる。また、金属微粒子を同じ向きに揃えて成形を行うことで、伝熱性や電気伝導性について異方性を有する成形体を成形することができる。すなわち、本発明によれば、伝熱性及び電気伝導性に配向性を持たせることができるうえ、容易に製造することができる。
本発明の一実施の形態に係る成形材料に含まれる金属微粒子の一例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る成形材料の製造から成形までを行うシステム構成を示すブロック図である。 ワークを切削する様子を示す図である。 成形機から射出される成形材料を示す模式図である。 成形材料の製造から成形体の成形までの流れを示すフローチャートである。 成形体の熱拡散率の測定の結果を示すテーブルである。 各種成形材料の引っ張り強度とヤング率とを示すテーブルである。 マグネタイト粒子がポリプロピレンの熱分解に与える影響を調べるためのTGの測定結果を示すグラフである。 図9(A)〜図9(J)は、配合が異なる成形体の一例を示す図である。 金属微粒子がポリプロピレンの熱分解に与える影響を調べるために熱分解測定の結果を示すグラフである。 配合が異なるフィルムにおける所定の印加電圧での体積抵抗値、表面抵抗値の測定結果を示すグラフである。
本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る成形材料は、金属微粒子をフィラー(充填材)と、樹脂と、を主成分とする。金属微粒子は、金属の切削加工により得られたものである。切削加工により切削屑の中から抽出された金属微粒子は、図1のa)及びa)を拡大した画像であるb)に示すように、鱗片状となっている。ここで、金属は、例えば鋳鉄であり、金属微粒子は、黒錆(F)微粒子であるが、他の金属であってもよい。
また、本実施の形態に係る成形材料の樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のプレポリマーを用いることができる。熱可塑性樹脂は、金属微粒子との複合化が可能なものであれば何ら制限なく用いることができる。好適に用いられる熱可塑性樹脂を例示すると、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂などのスチレン系樹脂類、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの芳香族ポリエステル類、ポリ乳酸や、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒロドキシ酪酸)、ポリテトラメチルグリコリド、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル類等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、成形の容易さの観点から、ポリオレフィン類が特に好適である。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を用いてもよい。
熱可塑性樹脂以外にも、熱硬化性樹脂のプレポリマーを用いることができる。代表的な熱硬化性樹脂のプレポリマーとしては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シラン架橋ポリエチレン、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、架橋ゴムなどのプレポリマーである。これらの熱硬化性樹脂のプレポリマーの中でも、本実施の形態に係る金属微粒子との複合化(混合)の容易さなどから、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂などのプレポリマーが好適である。
金属微粒子と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプレポリマーの質量比は、5:95〜80:20であり、好ましくは、10:90〜60:40、より好ましくは20:80〜55:45である。金属微粒子の比率が5未満では、金属微粒子の添加効果が明確には発現しない。また、金属微粒子の比率が80を超える割合では、金属微粒子を含有する成形体の機械的強度の低下をまねきやすい。
また、樹脂として生分解性プラスチックを用いれば、廃棄するときに微生物によって消費され、メタン、水、バイオマスに分解されるため、自然界の汚染を防止することができる。
図2には、本実施の形態1に係る金属微粒子(黒錆微粒子)の製造装置100の構成が示されている。図2に示すように、製造装置100は、切削部1と、回収部2と、分離部3と、混合部4と、成形機5とを備える。切削部1と回収部2との間には、切削油の循環系10が設けられている。循環系10は、ポンプにより、切削油を切削部1と回収部2との間で循環させることができるようになっている。
切削部1は、切削油をかけながら、鋳鉄を切削工具により切削する。鋳鉄は、炭素を2.14〜6.67%の範囲で含み、ケイ素を約1〜3%の範囲で含む鉄の三元合金である。
切削油は、摩擦抑制と冷却のために使用される。切削油としては、油性切削油を用いてもよいし、水溶性切削油を用いてもよい。油性切削油には、鉱物油に切削性能を向上させる目的で添加剤を加えたものが用いられる。水溶性切削油には、油を溶剤によって水に溶かして使用される。水溶性切削油は、冷却が優先される加工に使用される。水溶性切削油は、廃棄時の環境負荷が低いため、現在、金属加工で使用される切削油の主流となっている。
切削部1としては、例えば、マシニングセンタ又は旋盤などを用いることができる。すなわち、鋳鉄を切削して部品加工又は金型加工を行う切削加工装置を、切削部1として用いることができる。このようにすれば、鋳鉄を切削加工して、加工された部品を得るとともに、通常は廃材となるその切削加工で得られた切削屑に含まれる金属微粒子である黒錆微粒子を得ることができる。
なお、切削部1としては、部品加工を行う切削装置でなく、黒錆微粒子を得るために切削を行う切削装置であってもよい。この場合にも、部品加工又は金型加工に用いられるマシニングセンタ又は旋盤などを用いることができる。
切削部1の構成についてさらに詳細に説明する。例えば、図3に示すように、切削部1内には、加工対象となる部品を回転させる主軸モータが設けられている。主軸モータは、加工対象となる部品を取り付ける取り付け部(チャック)を回転させる。チャックには、円柱状のワーク(鋳鉄)Wが取り付けられる。
チャックに取り付けられたワークWは、主軸モータにより、指令された回転速度で矢印の方向に回転する。そして、循環系10を介して送られた切削油OがノズルNからワークWにかけられる。この状態で、切削工具Tの刃部がワークWの外縁に接し、ワークWを切削する。
ワークWを切削すると、切削屑が生じる。この切削屑は、一部は長細くらせん状に延びる長屑となるが、残りの切削屑は、細かい微粒子となる。この微粒子には、ミリメートルサイズのものからナノメートルサイズのものまで様々である。長屑又は微粒子の切削屑は、切削油Oとともに、切削部1の下部から排出される。なお、ここで、微粒子を除く比較的大きな切削屑については、フィルタにより、切削油Oから分離される。
切削屑が含まれる切削油Oは、再び循環系10を通って、回収部2に至る。回収部2は、切削油Oから切削屑を回収する。回収部2において切削屑を回収する方法としては、例えば、永久磁石を用いて、切削屑を回収したり、加熱水蒸気を用いて切削油Oを取り除いたりする方法を採用することができる。例えば、回収部2の中に、切削油Oが流れる細く長い流路を形成し、その流路の周囲に磁石を配置して、その磁石により、切削屑を吸着して切削油Oと分離するようにしてもよい。また、フィルタ等を用いて切削油Oを濾過する方法を採用することも可能である。
回収部2で回収された切削屑は分離部3へ送られる。分離部3としては、例えば、遠心分離機を用いることができる。分離部3は、回収された切削屑から黒錆微粒子を分離する。
本実施の形態では、ワークWとして用いられる鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄である。球状黒鉛鋳鉄とは、ダクタイル鋳鉄又はノジュラー鋳鉄とも呼ばれ、一般に焼き入れ前(鋳放し状態)で黒鉛が球状に晶出している鋳鉄をいう。球状黒鉛鋳鉄では、黒鉛が球状に析出させるようにしているので、球状黒鉛鋳鉄では、靭性が向上している。
切削部1では、切削油OをワークWにかけながらワークWの切削が行われる。この切削油Oは、通常、切削時の鋳鉄又は切削工具Tを冷却し、加工を滑らかに行うために用いられるが、本実施の形態では、切削された鋳鉄が熱により酸化する際に必要以上に酸素が供給されることのないように、酸素を遮断する機能を有している。すなわち、切削油Oは、切削される鋳鉄が接触する酸素量を調節する役割を果たしており、黒錆微粒子を効率良く製造するために必要不可欠なものとなっている。この点において、切削油Oとしては、冷却が優先される水溶性切削油よりも油性切削油を用いるのが望ましい。
混合部4は、分離部3で分離された金属微粒子と樹脂とを混合する。混合部4としては、例えば、押出成形機が用いられる。
成形機5は、射出成形機又は3Dプリンタであり、成形材料を用いて成形体を成形する。図4に示すように、成形機5は、金属微粒子30及び樹脂31を含む成形材料を吐出口20から吐出する。吐出口20は、金属微粒子30の最大長より短く、かつ金属微粒子30を同じ向きで射出可能な射出口となっているので、金型内で成形される成形体における金属微粒子30の向きを揃えることができる。
次に、本実施の形態に係る成形材料の製造方法及び成形体の成形方法について説明する。図5には、成形体の製造方法のフローチャートが示されている。
まず、図5に示すように、切削部1が、鋳鉄のワークWを、切削油Oをかけながら、切削工具Tにより切削する(ステップS1)。これにより、切削時による熱で、黒錆微粒子が生成され、切削屑として、切削油Oに含まれるようになる。切削屑は、切削油Oとともに、循環系10を介して、回収部2へ送られる。
続いて、回収部2が、切削油Oから切削微粒子を回収する(ステップS2)。回収部2は、金属の網目のフィルタを有し、その網目で大きい切削屑を回収した後、磁石等を用いて金属微粒子を吸着させることにより、金属微粒子を回収する。これにより、黒錆微粒子を含む切削微粒子は、切削油Oから回収され、分離部3へ送られる。切削油Oは、再び循環系10を介して、切削部1へ戻り、鋳鉄の切削に利用される。
続いて、分離部3は、遠心分離により、切削屑から、切削微粒子を分離する(ステップS3)。これにより、切削微粒子が抽出される。
抽出された切削微粒子は、例えば、様々な粒径の切削微粒子に分級されて樹脂と配合され、成形材料として利用される。
続いて、混合部4は、切削微粒子と樹脂とを混合する(ステップS4)。具体的には、押出成形機に、切削微粒子と樹脂とを所定の配合割合で混合し、スクリューで撹拌しつつダイから送り出す。ダイから送り出された成形材料では、樹脂に切削微粒子が均一に混じりあっている。
続いて、成形機5は、成形材料を用いて成形を行う(ステップS5)。具体的には、射出成形機又は3Dプリンタで成形材料を用いて成形が行われる。成形機5の吐出口20において、成形材料に含まれる金属微粒子の方向が揃うので、成形体における金属微粒子が一方向に配向される。
(成形材料の性能)
金属微粒子として黒錆微粒子が得られた場合のその性能について評価を行った。切削屑から得られる黒錆微粒子は鉱物であるマグネタイトに対して類似した性質を示すが、粒径が小さく純度が低い。そこで、純度が低くても、粒子の形状、粒径などの特長を活かし、黒錆の持つ防さび性、導電性、磁性、熱伝導性などが活かす用途を探索する必要がある。特に、放熱材料、電磁遮蔽材料、導電性材料への適用は有望である。
黒錆微粒子は純度が低くても、粒子の形状、粒径により価値が大きく変わる。粒径は、小さければ小さいほど特に付加価値が高くなるため、粉砕機による粉砕を行い、微粉砕を試みた。その結果、粒度分布測定の結果から50nmから10nm前後へ微細化が起こることが分かった。
また、粒子の形状(鱗片状)を活かすために鱗片状の黒錆微粒子とポリプロピレンとを含む成形材料の射出成型を行った。樹脂内の配向性を調査するために面内方向に対する熱伝導性を調査した(図6)。その結果、同じ配合で作成した成形材料を単に熱プレス成形したフィルムに比べ、射出成形で作成した鱗片状の金属微粒子を含むフィルムは約7倍の熱伝導性を示した。また、市販の球状マグネタイト粒子を含有した成形材料を同じ製法で作成したフィルムよりも高い値を示していることから、粒子が形状に合わせて配向していることが確認された。また、金属微粒子を含むフィルムは市販の熱電性絶縁シートに比べても高い性能を示すことが分かった。
また、切削油Oから回収した金属微粒子(63μm篩の通過品)を用いて、ダイスのサイズが1.7mmφの二軸混練押出機(混合部4)を利用して190℃にて樹脂との複合化(混合)を行った。用いた樹脂は、生分解性を示すL-ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、汎用樹脂であるポリプロピレン(PP)の3種類であり、配合割合を変更した何種類かの成形材料を生成した。そして、熱プレス機で180℃、20KPaにて成形材料を成形機5でフィルム状に成形し、成形材料の引っ張り強度および引っ張り弾性の評価を行った(図7参照)。
さらに、二軸押出機(混合部4)により得られた1.7mmφの糸状の複合材を成形材料として、3Dプリンタを用いて射出成型を行った。その条件及び成形体の画像を図8及び図9(A)〜図9(J)に示す。比較対象として、一般的に3Dプリンタ材料に用いられるABS、PLAによる射出成型も行った。
ABSを材料にした場合、ノズル温度230℃にてインフィル率100%で成形をすることで解像度の高い樹脂製形態を得ることができた(図9(A)参照)。しかし、インフィル率を低くすると充填される樹脂量が少ないために解像度が低く、全体的に小さく丸みを帯びた形に成形された(図9(B)参照)。
PLAの場合、DSC(示差走査熱量計)から得られたポリ乳酸の融解温度を参考にして、ノズル温度180℃にて成形を行ったところインフィル率100%ではABSと同様に設定デザインとほぼ同じ形状を示し、高い解像度を示した。インフィル率20%の場合はABSと同様に全体的に丸みを帯びた形状になり設定デザインからかけ離れたものになった(図9(C)参照)。
金属を含有した成形材料はインフィル率100%では丸みを帯び、設定デザインとかけ離れた形状で成形された(図9(D)参照)。これは、過剰に成形材料が送り出されたため、丸みがある形状となり、設定よりも膨らんだ成形体が得られたものと考えられる。さらに、PLAと金属との成形材料では装置の樹脂送り部位にて滑りが発生、あるいは複合材がノズル手前で折れる、曲がるといった現象が起きた(図9(E)、図9(F)、図9(G)参照)。これは樹脂の弾性が原因ではないかと考えられる。そこで、ガラス転移点が低く、弾性の低いPCLを、PLAと混合して成形材料に混ぜたところ(図9(H)、図9(I)、図9(J)参照)、これらの問題が解決した。しかし、PCL単独では逆に柔らかすぎて吐出口20の手前で曲がる現象が起こり、吐出口20内に送り出しができない問題が発生した。
結果として、インフィル率を低くすることで高い解像度で3Dプリンタによる射出成型に成功した。金属粉が存在するためにインフィル率の低いほうが余剰な成形材料を使用しないために、解像度高く成形体を成形することができた(図8参照)。
これまでの研究にて、混合部4における金属微粒子と樹脂との複合化(混合)後、成形機5(3Dプリンタや射出成形機)で成形された成形体は磁性、伝熱性を発揮することが分かった。さらに、この金属微粒子の表面に導電性の高い銀スパッタで被覆し、成形体の導電性の向上を図ることができる。そこで、作成した銀微粒子で被覆された金属微粒子70wt%、ポリプロピレン(PP)30%で複合化(混合)後、膜厚約0.5mmにフィルム成形を行い、抵抗値の測定を行った。その結果、通常の金属を含有するポリプロピレンの成形材料は、表面抵抗値が1×1010Ω/sq. 以上を示すが、銀微粒子で被覆した金属微粒子を含有するポリプロピレンの成形材料は1×10Ω/sq.を示し、比較的高い導電性を示した。この結果、銀微粒子を修飾することでさらに機能性を付与することが可能であること分かった。なお、銀微粒子を被服する場合に限らず、金等の他の金属微粒子でもよい。
次に、押出成形機(成形機5)で作成した成形材料(ポリプロピレン30wt%、金属微粒子70wt%)を用いて1.75mmφの3Dプリンタで成形した成形体を熱プレスでフィルム状にしたものについて熱拡散率の測定を行った。この結果、面内方向の熱拡散率は0.52×10−6−1となった。同様の条件で押出成型後に熱プレスで成形したフィルムの熱拡散率は、0.42×10−6−1であった。したがって、3Dプリンタで成形したフィルムの方が、熱プレスで成形したフィルムよりも熱拡散率が高くなった。このことは、3Dプリンタの吐出口20から出た樹脂が配向を持って成形されていることを示している。
(鱗片状の効果)
また、球状FeおよびFeの鱗片状の黒錆微粒子について、複合型混練押出機(混合部4)で190℃の温度条件で樹脂との溶融混練を行った。ここでは、汎用樹脂であるポリプロピレンを用いた。それぞれ黒錆微粒子と樹脂の比率を変えて溶融混練後、手動油圧加熱プレス機(20KPa)にて混練した成形材料をフィルム状に成形した。各比率で作成した成形材料フィルムに対して、熱重量測定(TG)、導電性、放熱性の評価が行われた。
まず、電子走査顕微鏡(SEM)を用いた黒錆微粒子の形状の確認を行った。今回、使用した球状Fe(MM)の粒径は約0.5μmであった。他方、鱗片状Fe(SM)は、面方向は約50μm、垂直方向は約3μmであり、D50=45.34μmであった(図1参照)。ここで、球状Fe(MM)を50wt%含む成形材料をMM50とし、70wt%含む成形材料をMM70とした。また、鱗片状Fe(SM)を、50wt%含む成形材料をSM50とし、70wt%含む成形材料をSM70とした。
さらに、黒錆微粒子の比率を変えて複合型混練押出機(混合部4)によってポリプロピレンと溶融混練を行い、黒錆微粒子がポリプロピレンの熱分解に与える影響を調べるために熱分解測定(TG)を行った(図10参照)。興味深いことに、ポリプロピレン(PP)の10%熱重量減少温度(Td10)は約427℃付近であるが、球状の黒錆微粒子を用いたMM50やMM70のTd10は、母材であるポリプロピレンよりも高い値を示した。一方で、鱗片状の黒錆微粒子を用いたSM50やSM70のTd10は、ポリプロピレンと比べて大きな変化はなかった。この結果は、SM70のTd10の値が少し高くなっていることから、粒子の形状よりも粒子の大きさが影響を与えている可能性が高い。耐熱性が向上している理由は今のところ不明だが、球状金属微粒子の方が小さいために樹脂と粒子間の接触面積が広くなり、相互作用が引き起こされて熱分解温度が高くなったのだと思われる。
次に、得られた成形材料を用いて熱プレス機によって約0.2mmの厚さのフィルムに成形した。そして、得られた各フィルムについて、印加電圧10Vにて体積抵抗値、表面抵抗値の測定を行った。その結果を図11に示す。MM50とMM70は、それぞれ測定下限値である表面抵抗値10×1010Ω/sq、体積抵抗値10×1010Ω・cmを示した。また、SM50の表面抵抗値や体積抵抗値も測定下限値を示した。ところが、SM70は、体積抵抗値が10×10Ω/cmとなり、表面抵抗値が2.4×10Ω/sqとなった。この値は、帯電しにくい導電域を示しており、鱗片状Feの粒径及び形状に起因して、充填剤間の接点が多くなり導電性が発現したためであると考えられる。
鱗片状の金属微粒子は、球状の金属微粒子よりも、成形条件により、樹脂中での微粒子の配向を制御しやすい。そこで、粒子が樹脂中に一定の方向で配向するように各成形材料を溶融温度220℃で550barにてダンベル状に押出成形を行い、MM70、SM70を生成して成形機5で成形を行った後、MM70とSM70の成形体を用いて熱プレスで約0.2mmの厚さのフィルムを作成し、作成された各フィルムに対して、周期加熱放射測温法を用いてフィルムの水平方向と垂直方向の熱拡散率の測定を行った。その結果、MM70のフィルムの熱拡散率は水平方向に1.17×10−6−1となり、垂直方向に0.29×10−6−1となった。
一方、SM70の熱拡散率は水平方向に2.86×10−6−1であり、垂直方向に0.42×10−6−1であり、MM70に比べて水平方向、垂直方向と共に高い熱拡散率を示した。また、MM70もSM70も垂直方向に比べて水平方向に高い熱拡散率を示しており、Fe粒子は面方向に高い異方性を示すことが分かった。 特に、鱗片状の微粒子を含むSM70は球状粒子を使っているMM70に比べて著しく高い値を示しており、押出成形により粒子が一方向に配向していることが推察できる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、フィラーとしての鱗片状の金属微粒子を金属の切削加工により容易に得ることができる。また、金属微粒子を同じ向きに揃えて成形を行うことで、一方向に伝熱性や電気伝導性が高い成形体を成形することができる。すなわち、本実施の形態によれば、伝熱性及び電気伝導性に配向性を持たせることができるうえ、容易に製造することができる。
なお、上記実施の形態では、金属を球状黒鉛鋳鉄としたが、本発明はこれには限られない。金属をネズミ鋳鉄とするようにしてもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本発明は、成形体の成形等に適用することができる。
1 切削部、2 回収部、3 分離部、4 混合部、5 成形機、10 循環系、20 吐出口、30 金属微粒子、31 樹脂、100 製造装置、O 切削油、N ノズル、T 切削工具、W ワーク。

Claims (8)

  1. 金属を切削して得られ鱗片状に形成された金属微粒子と、
    樹脂と、
    を含有する成形材料。
  2. 前記金属微粒子は、
    表面が他の金属微粒子で被膜されている、
    請求項1に記載の成形材料。
  3. 前記金属は、鋳鉄である、
    請求項1又は2に記載の成形材料。
  4. 前記鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄又はネズミ鋳鉄である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の成形材料。
  5. 前記金属微粒子は、黒さび微粒子である、
    請求項3又は4に記載の成形材料。
  6. 前記樹脂は、
    生分解性プラスチックである、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の成形材料。
  7. 金型と、
    成形材料に含まれる鱗片状の金属微粒子の最大長より短く、かつ前記金属微粒子を同じ向きで前記金型内に射出可能な射出口と、
    を備える成形装置。
  8. 金属を、切削油をかけながら、切削工具により切削する切削工程と、
    前記切削油から切削屑を回収する回収工程と、
    回収された前記切削屑から鱗片状の金属微粒子を分離する分離工程と、
    前記金属微粒子と樹脂とを混合して成形材料を生成する混合工程と、
    前記金属微粒子の最大長より短く、かつ前記金属微粒子を同じ向きで射出可能な射出口を有する成形機を用いて前記成形材料を成形する成形工程と、
    を含む成形体の製造方法。
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