JP2006305882A - 樹脂廃材の再利用方法および再利用樹脂製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線の被覆材である架橋ポリエチレンの廃材を新たな樹脂製品に成形して再利用する方法、およびその再利用によって成形した樹脂製品に関するものであって、耐衝撃性,耐圧性,形状保持性(剛性)等の機械的強度が優れた樹脂製品を成形できるようにし、樹脂製品の製造コストを軽減すると共に、廃材のリサイクルを促進する。
【解決手段】ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を樹脂製品に成形する。ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%とする。
【選択図】図1
【解決手段】ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を樹脂製品に成形する。ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電線の被覆材である架橋ポリエチレンの廃材を新たな樹脂製品に成形して再利用する方法、およびその再利用によって成形した樹脂製品に関するものである。
PETボトルやPVCフィルム、ポリプロピレン等の樹脂廃材は、周知のように樹脂毎に分別され加熱,溶融して各種の樹脂製品に成形することで再利用されている。
ところで一般に電線の被覆材としては架橋ポリエチレンが使用されているが、架橋ポリエチレンは融点が300℃程度と高いために、粉砕してポリプロピレンやPET樹脂に混練しても溶けることなくそのまま残り、耐衝撃性等の機械的強度を低下させるという問題があった。このような機械的強度の低下を防ぐためには、架橋結合状態を電子線照射などで化学的に分解したり、或いは架橋ポリエチレンを数百ミクロンまで微粉砕することが考えられたが、このような処置をすることではリサイクルのためのコストが非常に高くなるという問題があった。
このため、架橋ポリエチレンは廃棄電線から多量に得られるものの、従来ではその殆どが再製品化されることなく焼却され、現況ではその焼却時に得られる熱エネルギーを有効利用しているに過ぎないものであった。
ところで一般に電線の被覆材としては架橋ポリエチレンが使用されているが、架橋ポリエチレンは融点が300℃程度と高いために、粉砕してポリプロピレンやPET樹脂に混練しても溶けることなくそのまま残り、耐衝撃性等の機械的強度を低下させるという問題があった。このような機械的強度の低下を防ぐためには、架橋結合状態を電子線照射などで化学的に分解したり、或いは架橋ポリエチレンを数百ミクロンまで微粉砕することが考えられたが、このような処置をすることではリサイクルのためのコストが非常に高くなるという問題があった。
このため、架橋ポリエチレンは廃棄電線から多量に得られるものの、従来ではその殆どが再製品化されることなく焼却され、現況ではその焼却時に得られる熱エネルギーを有効利用しているに過ぎないものであった。
なお、下記特許文献1および2には、架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を同種の非架橋ポリエチレンと混合した混和物、或いはこの混和物に有機過酸化物を配合し、これをペレット化、或いは電線被覆材として再利用する方法が示されている。しかしこれによって再生された樹脂製品は機械的強度、特に剛性が不足するおそれがあった。
特開昭59−73917号公報
特開平6−68714号公報
そこで本発明は、架橋ポリエチレンの廃材を利用し、機械的強度が一層優れた樹脂製品を成形し、例えば電線巻取用ドラムとしての使用に耐え得るものにする方法、およびその再利用によって成形された樹脂製品を提供しようとするものである。
そのために請求項1に記載した樹脂廃材の再利用方法は、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を樹脂製品に成形することを特徴とする。
また請求項2に記載した発明は、上記樹脂廃材の再利用方法において、ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%であることを特徴とする。
また請求項3に記載した樹脂廃材を再利用して成形した樹脂製品は、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を金型に射出することにより成形したことを特徴とする。
また請求項4に記載した発明は、上記樹脂製品において、ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%であることを特徴とする。
また請求項2に記載した発明は、上記樹脂廃材の再利用方法において、ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%であることを特徴とする。
また請求項3に記載した樹脂廃材を再利用して成形した樹脂製品は、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を金型に射出することにより成形したことを特徴とする。
また請求項4に記載した発明は、上記樹脂製品において、ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%であることを特徴とする。
架橋ポリエチレンの廃材粉砕物にポリプロピレンと低密度ポリエチレンとを混練し、180〜270℃に加熱したことにより、該ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの溶融混和物と架橋ポリエチレンの廃材粉砕物との接着性が改善される。このため、耐衝撃性,耐圧性,形状保持性(剛性)等の機械的強度を要する種々の樹脂製品を電線の被覆材である架橋ポリエチレンの廃材から成形することが可能となり、樹脂製品の製造コストを軽減すると共に、廃材のリサイクルを促進する。
次に本発明の実施例を説明する。廃材として回収された電線を粉砕し、その導体金属と被覆とを分別することにより、粒径6mm以下の架橋ポリエチレンからなる廃材粉砕物を得る。次いで、図1に示したような押出成形機1のホッパー2に、ポリプロピレンと、低密度ポリエチレンと、架橋ポリエチレンの上記廃材粉砕物とを投入し、シリンダ3内にてこれらを180〜270℃(好ましくは200℃)に加熱すると共に、該シリンダ内に設けられたスクリューの回転により攪拌し溶融させる。このように低密度ポリエチレンを加えて加熱することにより、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの溶融混和物と架橋ポリエチレンの廃材粉砕物との接着性が改善される。そしてこれをノズル4から金型5内に射出し、冷却固化させることにより、日用品,各種工業製品等の樹脂製品を成形する。なお、このときのポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%、架橋ポリエチレンの混合比率は5〜25重量%、余りは低密度ポリエチレンとする。
この樹脂製品の実用化試験を行うため、図2に示したような電線巻取用ドラムを表1に示すポリプロピレンだけで成形した比較品Aと、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとを50重量%に混合して成形した比較品Bと、ポリプロピレン50重量%、低密度ポリエチレン45重量%、架橋ポリエチレン5重量%を混合して成形した発明品Cと、ポリプロピレン50重量%、低密度ポリエチレン35重量%、架橋ポリエチレン15重量%を混合して成形した発明品Dと、ポリプロピレン50重量%、低密度ポリエチレン25重量%、架橋ポリエチレン25重量%を混合して成形した発明品Eについて、夫々機械的強度を測定した。この電線巻取用ドラムは、これらの材料により成形した円筒形の胴部6と、同じくこれらの材料により成形した一対の円板形の鍔部7とからなるもので、胴部6中に4本の金属ボルト8を貫挿することによって該胴部6の両端部に両鍔部7を固結してなる。
図3はこの電線巻取用ドラムの鍔部7の圧縮試験の概要を示す。そして図4にその結果をグラフにして示す。なお、同図中(イ)は図示したように鍔部7に形成された扇形の電線取出孔9を上にして圧縮荷重を加えた場合、(ロ)はこの電線取出孔9を横にして圧縮荷重を加えた場合である。そして、この圧縮試験を開始するに当たっては、電線巻取用ドラムを50℃雰囲気で24時間以上調温した後、鍔部7に10mm/minの速度で圧縮荷重を加え、その降伏荷重値を確認した。
また、図5はこの電線巻取用ドラムの胴部6の圧縮試験の概要を示し、その結果を図6にグラフにして示す。同図中(イ)は図示したように上記金属ボルト8が荷重垂直線上にあるようにして圧縮荷重を加えた場合、(ロ)は金属ボルト8を横にずらして圧縮荷重を加えた場合である。そしてこの圧縮試験を開始するに当たっても、この電線巻取用ドラムを50℃雰囲気で24時間以上調温した後、10mm/minの速度で圧縮荷重を加え、その降伏荷重値を確認した。
また、図7はこの電線巻取用ドラムを横向きにし、その鍔部7の中心貫通孔10上に直径120mmの治具11を当てて荷重を加える圧縮試験の方法を示し、その結果を図8のグラフに示す。
また、図5はこの電線巻取用ドラムの胴部6の圧縮試験の概要を示し、その結果を図6にグラフにして示す。同図中(イ)は図示したように上記金属ボルト8が荷重垂直線上にあるようにして圧縮荷重を加えた場合、(ロ)は金属ボルト8を横にずらして圧縮荷重を加えた場合である。そしてこの圧縮試験を開始するに当たっても、この電線巻取用ドラムを50℃雰囲気で24時間以上調温した後、10mm/minの速度で圧縮荷重を加え、その降伏荷重値を確認した。
また、図7はこの電線巻取用ドラムを横向きにし、その鍔部7の中心貫通孔10上に直径120mmの治具11を当てて荷重を加える圧縮試験の方法を示し、その結果を図8のグラフに示す。
上記圧縮試験からは、発明品C,D,Eについて、耐圧性,形状保持性(剛性)がいずれも純正ポリプロピレンからなる比較品Aよりは劣るものの、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとが混合された比較品Bよりも優れていることが判明した。また、落下試験からは、発明品C,D,Eが比較品Aより優れ、比較品Bと略々同等の耐衝撃性を有することが判明した。
このように本発明によれば、耐衝撃性,耐圧性,形状保持性(剛性)等の機械的強度を要する種々の樹脂製品を電線の被覆材である架橋ポリエチレンの廃材から成形することが可能となるので、樹脂製品の製造コストを軽減させると共に、廃材のリサイクルを促進させる。
1 押出成形機
3 シリンダ
4 ノズル
5 金型
3 シリンダ
4 ノズル
5 金型
Claims (4)
- ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を樹脂製品に成形することを特徴とした樹脂廃材の再利用方法。
- ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%である請求項1に記載した樹脂廃材の再利用方法。
- ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25重量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を金型に射出することにより成形したことを特徴とする樹脂廃材を再利用して成形した樹脂製品。
- ポリプロピレンの混合比率は40〜60重量%である請求項3に記載した樹脂製品。
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JP2005131715A JP2006305882A (ja) | 2005-04-28 | 2005-04-28 | 樹脂廃材の再利用方法および再利用樹脂製品 |
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2005
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