JP2017206469A - フェノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的安価な触媒を用い、一段階の反応でベンゼンからフェノールを効率良く製造することが可能な、フェノールの製造方法を提供すること。【解決手段】ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、ベンゼンを酸化する工程を備え、酸化剤が分子状酸素であり、触媒が、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムとを有する、フェノールの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、フェノールの製造方法に関する。
フェノールは合成樹脂の中間原料として工業的に重要である。ベンゼンを原料とするフェノールの工業的な製造方法としては、例えば、ベンゼン及びプロピレンからクメンヒドロキシペルオキシドを経てフェノールを得る方法(クメン法)が主として行われている。しかし、この方法ではアセトンが併産されるが、両生成物の需給バランスに問題がある。また、クメン法は三段階プロセスであるため、経済的に非効率である。このような中、ベンゼンからフェノールを一段階で得る方法が求められている。
ベンゼンから一段階でフェノールを得る方法として、非特許文献1及び2には、酸化剤として亜酸化窒素、過酸化酸素等の酸化剤を使用する方法が開示されている。また、非特許文献3には、白金、パラジウム等の貴金属触媒を用いて、分子状酸素によりベンゼンを酸化する方法が開示されている。
Applied Catal. A:General, 244, 11−17 (2003)
Chinese J. Catal., 34(11), 2118−2124 (2013)
Applied Catal. A: General, 131(1), 33−42 (1995)
非特許文献1及び2に記載の方法は、高価な特殊酸化剤を、生成するフェノールに対して等モル量必要とする。このため、汎用化学品として大量生産が期待されるフェノールの製造方法としては経済的に成り立たず、実用化には至っていない。
また、非特許文献3に記載の方法では、高価な貴金属を含む触媒が使用されており、より安価な触媒系が求められている。
本発明は、比較的安価な触媒を用い、一段階の反応でベンゼンからフェノールを効率良く製造することが可能な、フェノールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、分子状酸素を酸化剤とし、ベンゼンを気相で特定の触媒に接触させてベンゼンを酸化させることで、フェノールを高収率で製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一側面は、ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、前記ベンゼンを酸化する工程を備える、フェノールの製造方法に関する。この製造方法において、酸化剤は分子状酸素であり、触媒は、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムとを有する。
一態様において、担体はメソポーラスシリカであってよい。
一態様において、触媒は、pH2.0〜8.0の水溶液中で担体にバナジウムを担持した触媒であってよい。
本発明によれば、安価な触媒を用い、一段階の反応でベンゼンからフェノールを効率良く製造することが可能な、フェノールの製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な一実施形態について説明する。
本実施形態に係る製造方法は、ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、ベンゼンを酸化する工程(以下、酸化工程ともいう。)を備える。本実施形態に係る製造方法では、酸化工程でベンゼンを酸化することで、フェールが生成する。
本実施形態において、酸化剤は分子状酸素である。また、本実施形態において、触媒は、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムとを有する。
本実施形態に係る製造方法によれば、分子状酸素を酸化剤とした一段階の反応により、ベンゼンからフェノールを効率良く製造することができる。
本実施形態に係る製造方法で用いる触媒について、以下に詳述する。
<触媒>
触媒は、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムと、を有する。触媒におけるバナジウムの担持量は、触媒の全量基準で、例えば0.2質量%以上であってよく、0.5質量%以上であることが好ましい。バナジウムの担持量が0.2質量%以上であるとベンゼンの酸化反応が一層効率よく進行する。また、バナジウムの担持量は、触媒の全量基準で、例えば50質量%以下であってよく、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。バナジウムの担持量を少なくすることで、担体上でバナジウムが分散しやすくなり、担持量に対する反応効率が向上する傾向がある。
触媒は、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムと、を有する。触媒におけるバナジウムの担持量は、触媒の全量基準で、例えば0.2質量%以上であってよく、0.5質量%以上であることが好ましい。バナジウムの担持量が0.2質量%以上であるとベンゼンの酸化反応が一層効率よく進行する。また、バナジウムの担持量は、触媒の全量基準で、例えば50質量%以下であってよく、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。バナジウムの担持量を少なくすることで、担体上でバナジウムが分散しやすくなり、担持量に対する反応効率が向上する傾向がある。
担体は、シリカを含むものであればよく、例えば、合成シリカ、白土、珪藻土、カオリン、シリカアルミナ、ゼオライト等を含むものであってよい。
担体としては、メソポーラスシリカを好適に使用できる。メソポーラスシリカとしては、特に限定されないが、例えば、MCM−41、MCM−48、MCM−50、FSM−16に代表されるような、細孔径2nm〜50nmのメソ孔を有するシリケートを用いることができる。シリケートとしては、Al、Ti、Zr、Ga、Fe、B、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Co、Sn等の元素が骨格中に取り込まれたメタロシリケート類も使用できる。
本実施形態には、バナジウム以外の他の金属元素が更に担持されていてもよい。他の金属元素は、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zr等であってよい。
担体に他の金属元素が担持されているとき、他の金属元素の担持量は、例えば20質量%以下であってよく、10質量%以下であってもよい。また、他の金属元素の担持量は、0.01質量%以上であってよく、0.1質量%以上であってもよい。
担体に担持される金属元素の総量は、例えば、触媒の全量基準で0.2質量%以上であっても0.5質量%以上であってもよく、50質量%以下であっても20質量%以下であっても10質量%以下であってもよい。担体に担持される金属元素の総量が上記範囲であると、担体上で金属元素が十分に分散し、ベンゼンの酸化反応によるフェノールの収率が一層向上する傾向がある。
なお、触媒における金属元素の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)により求めることができる。
担体に金属元素を担持する方法は、特に限定されず、例えば、含浸法、沈着法、共沈法、混練法、イオン交換法、ポアフィリング法等であってよい。
担体に担持される金属元素の供給源(金属元素源)は特に限定されず、例えば、金属元素を含む塩又は錯体であってよい。金属元素を含む塩は、例えば、無機塩、有機酸塩、又はこれらの水和物等であってよい。無機塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩等であってよい。有機酸塩は、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩等であってよい。金属元素を含む錯体は、例えば、アルコキシド錯体、アンミン錯体等であってよい。
バナジウムの供給源(バナジウム源)としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、五酸化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、硫酸バナジル、硝酸バナジル、燐酸バナジル、酸化バナジウム(III)、酸化バナジウム(IV)、バナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムオキシイソプロポキシド、塩化バナジウム等が挙げられる。
触媒は、例えば、担体上に上記の供給源を担持させたのち、焼成することで調製することができる。
担体上への供給源の担持は、例えば、水溶液中で実施してよい。担持時の水溶液のpHは、2.0〜8.0であることが好ましく、3.0〜8.0であることがより好ましい。このようなpHの水溶液中で担体上に金属元素の供給源を担持させることで、ベンゼンの酸化反応によるフェノールの収率が一層向上する傾向がある。このような効果が奏される理由は、所定のpH下で担体にバナジウムを担持させることで、バナジウムの分散性が向上したためと考えられる。
焼成は、例えば、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。焼成温度は、金属元素の供給源を分解可能な温度であればよく、例えば200〜1000℃であってもよく、400〜800℃であってもよい。なお、多段階の焼成を行う場合、少なくともその一段階が上記焼成温度であればよい。他の段階での焼成温度は、例えば上記と同じ範囲であってもよく、100〜200℃であってもよい。
次いで、本実施形態に係る製造方法における酸化工程について詳述する。
<酸化工程>
酸化工程は、ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、ベンゼンの酸化反応を行い、フェノールを得る工程である。
酸化工程は、ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、ベンゼンの酸化反応を行い、フェノールを得る工程である。
本実施形態において、酸化工程で用いる酸化剤は、分子状酸素(O2)である。本実施形態に係る製造方法では、高価な特殊酸化剤を用いることなく、分子状酸素によってベンゼンを酸化してフェノールを得ることができる。
混合ガスは、分子状酸素以外の酸化剤を更に含有していてもよいが、酸化剤のうち90モル%以上が分子状酸素であることが好ましく、95モル%以上が分子状酸素であることがより好ましい。
混合ガス中の分子状酸素は、例えば、酸素ガスから供給されたものであってよく、空気等の酸素含有気体から供給されたものであってもよい。
混合ガスにおけるベンゼンの分圧は、例えば1kPa以上であってよく、好ましくは3kPa以上であり、より好ましくは5kPa以上である。また、ベンゼンの分圧は、500kPa以下であってよく、好ましくは300kPa以下であり、より好ましくは100kPa以下である。
混合ガスにおいて、ベンゼンに対する酸素のモル比は、例えば0.1以上であってよく、0.2以上であってもよい。これにより、ベンゼンの酸化反応がより顕著に進行する傾向がある。また、ベンゼンに対する酸素のモル比は、例えば10以下であってよく、3以下であってもよい。これにより、燃焼反応によるCO2生成量が抑制される傾向がある。なお、ベンゼンに対する酸素のモル比は、ベンゼンの濃度C2(mol/L)に対する酸素濃度C1(mol/L)の比C1/C2ということもできる。
混合ガスにおける分子状酸素の分圧は、1kPa以上であってよく、好ましくは3kPa以上であり、より好ましくは5kPa以上である。また、酸素の分圧は、500kPa以下であってよく、好ましくは300kPa以下であり、より好ましくは100kPa以下である。
混合ガスは、ベンゼン及び酸化剤の他に、ヘリウム、窒素、アルゴン、炭酸ガス、アルカン類等の不活性ガスを更に含んでいてよい。
混合ガスは、ベンゼン、酸化剤及び不活性ガス以外の他の成分を更に含んでいてよいが、混合ガス中のベンゼン、酸化剤及び不活性ガスの合計量は、混合ガスの全体積に対して90体積%以上であることが好ましく、95体積%以上であることがより好ましく、99体積%以上であることが更に好ましい。
混合ガスは、水素等の還元剤を含まないことが好ましい。還元剤の含有量は、混合ガスの全体積に対して10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましく、1体積%以下であることが更に好ましく、0体積%であってよい。
混合ガスを触媒に接触させる方法は特に限定されず、例えば、触媒を備えた反応器に混合ガスを供給し、反応器内で混合ガスと触媒とを接触させる方法であってよい。このとき、混合ガスの各成分は予め混合されて反応器に供給されてよく、別々に供給されて反応器内で混合されてもよい。
反応器としては、固体触媒による気相反応に用いられる種々の反応器を用いることができる。反応器としては、例えば、固定床断熱型反応器、ラジアルフロー型反応器、管型反応器等が挙げられる。
酸化反応の反応形式は、例えば、固定床式、移動床式、流動床式が挙げられる。反応形式としては、上記の中でも、設備コストの観点から固定床式が好ましい。
酸化反応は、回分式、連続式のいずれで行ってもよいが、工業的な観点から、連続式で行うことが好ましい。
酸化反応の反応温度は、通常100℃〜700℃であり、好ましくは200〜550℃である。反応温度が100℃以上であれば十分に反応が進行しやすく、反応温度が700℃以下であれば燃焼反応が進行しにくく、コーキングも生じにくい。
酸化反応の反応圧力は、絶対圧力で、0.01〜50MPaの範囲であってよく、好ましくは0.01〜5MPaの範囲である。反応圧力が上記範囲にあれば酸化反応が進行し易くなり、一層優れた反応効率が得られる傾向がある。
反応器における質量空間速度(以下、「WHSV」という。)は、0.01h−1〜100h−1であってもよく、0.1h−1〜50h−1であってよい。ここで、WHSVとは、連続式の反応装置における、触媒量(触媒質量)に対するベンゼンの供給速度(供給量/時間)の比(供給速度/触媒質量)である。WHSVが0.01h−1以上である場合、燃焼反応によるCO2の生成が過度に進行しにくくなり、選択的に目的とする酸化反応を進行させやすくなる。WHSVが100h−1以下である場合、ベンゼンと触媒との接触時間が十分に確保できるため、酸化反応が進行し易い。ベンゼン及び触媒の使用量は、反応条件、触媒の活性等に応じて更に好ましい範囲を適宜選定してよく、WHSVは上記範囲に限定されるものではない。
本実施形態に係る製造方法では、ベンゼンの酸化反応後、生成液又は生成ガスを捕集し、蒸留等の通常の分離手段により、目的とするフェノールを取り出すことができる。
以上に説明したように、本実施形態に係る製造方法によれば、ベンゼンから一段階の酸化反応によって、効率良くフェノールを製造することができる。すなわち、本実施形態に係る製造方法は、フェノールを工業的に製造する方法として非常に有用である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(触媒合成例1)
<メソポーラスシリカMCM−41の調製>
コロイダルシリカ(丸和物産製Ludox HS−40)143g及び1.00M水酸化ナトリウム水溶液520gの混合溶液(A液)を室温で30分間攪拌後、塩化N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(東京化成工業製)50g、25質量%アンモニア水溶液(和光純薬工業製)3.2g及びイオン交換水150gの混合溶液(B液)をゆっくり加え、室温で更に1時間攪拌した。その後、この混合液をポリプロピレン製の密閉容器(1リットル広口瓶)に移して、97℃で24時間静置した。混合液を、室温まで冷却した後、30質量%酢酸水溶液でpHを10.2に調整した。この混合液について、97℃で24時間加熱した後、室温まで冷却し、pHを10.2に調整する工程を更に2回繰り返した。生成物を濾過し、濾過で回収した固体をイオン交換水で洗浄して、97℃で一晩乾燥した。乾燥した固体を空気雰囲気で550℃、8時間で焼成し、MCM−41を得た。
<メソポーラスシリカMCM−41の調製>
コロイダルシリカ(丸和物産製Ludox HS−40)143g及び1.00M水酸化ナトリウム水溶液520gの混合溶液(A液)を室温で30分間攪拌後、塩化N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(東京化成工業製)50g、25質量%アンモニア水溶液(和光純薬工業製)3.2g及びイオン交換水150gの混合溶液(B液)をゆっくり加え、室温で更に1時間攪拌した。その後、この混合液をポリプロピレン製の密閉容器(1リットル広口瓶)に移して、97℃で24時間静置した。混合液を、室温まで冷却した後、30質量%酢酸水溶液でpHを10.2に調整した。この混合液について、97℃で24時間加熱した後、室温まで冷却し、pHを10.2に調整する工程を更に2回繰り返した。生成物を濾過し、濾過で回収した固体をイオン交換水で洗浄して、97℃で一晩乾燥した。乾燥した固体を空気雰囲気で550℃、8時間で焼成し、MCM−41を得た。
<触媒Aの調製>
三口フラスコに、合成したMCM−41を0.5g、メタバナジン酸アンモニウムを3.4mg、純水を30cc加えた。この後、塩酸を用い、溶液中のpHを2.2に調整した。その後80℃で2時間撹拌した。混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を180℃で10分乾燥した。その後、乾燥した固体を空気雰囲気で500℃、2時間焼成し、これを触媒Aとして得た。
三口フラスコに、合成したMCM−41を0.5g、メタバナジン酸アンモニウムを3.4mg、純水を30cc加えた。この後、塩酸を用い、溶液中のpHを2.2に調整した。その後80℃で2時間撹拌した。混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を180℃で10分乾燥した。その後、乾燥した固体を空気雰囲気で500℃、2時間焼成し、これを触媒Aとして得た。
(触媒合成例2)
<触媒Bの調製>
塩化アンモニウム−アンモニア水溶液で、溶液中のpHを4.8に調整したこと以外は、触媒合成例1と同様の方法により触媒Bを得た。
<触媒Bの調製>
塩化アンモニウム−アンモニア水溶液で、溶液中のpHを4.8に調整したこと以外は、触媒合成例1と同様の方法により触媒Bを得た。
(触媒合成例3)
<触媒Cの調製>
塩化アンモニウム−アンモニア水溶液で、溶液中のpHを7.0に調整したこと以外は、触媒合成例1と同様の方法により触媒Cを得た。
<触媒Cの調製>
塩化アンモニウム−アンモニア水溶液で、溶液中のpHを7.0に調整したこと以外は、触媒合成例1と同様の方法により触媒Cを得た。
(実施例1)
触媒A(0.088g)を、石英ガラス製管型反応器(内径7mm、全長69cm)に充填した。触媒の上下部には平均粒子径1mmのシリカウールを充填した。この反応器を流通反応装置に接続した後、電気炉を用いて反応器内の温度を500℃まで昇温させた。ベンセン(ガス)、酸素及びヘリウムを昇温後の反応器へ供給し、ベンゼンの酸化反応を実施した。なお、ベンゼン、酸素及びヘリウムの反応器への流入速度は、それぞれ下記の通りとした。
ベンゼン(ガス)の流入速度:10mL/min
酸素ガスの流入速度:10mL/min
ヘリウムガスの流入速度:40mL/min
触媒A(0.088g)を、石英ガラス製管型反応器(内径7mm、全長69cm)に充填した。触媒の上下部には平均粒子径1mmのシリカウールを充填した。この反応器を流通反応装置に接続した後、電気炉を用いて反応器内の温度を500℃まで昇温させた。ベンセン(ガス)、酸素及びヘリウムを昇温後の反応器へ供給し、ベンゼンの酸化反応を実施した。なお、ベンゼン、酸素及びヘリウムの反応器への流入速度は、それぞれ下記の通りとした。
ベンゼン(ガス)の流入速度:10mL/min
酸素ガスの流入速度:10mL/min
ヘリウムガスの流入速度:40mL/min
反応開始時間から180分が経過した時点で、反応生成物(生成ガス)をサンプリングし、60分後に再度サンプリングを実施した。なお、原料のベンゼンの供給が開始された時間を反応開始時間(0分)とした。サンプリングした生成ガスは、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ、及び熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフを用いて分析した。生成ガス中の各成分の濃度は絶対検量線法により定量した。この結果から、2回のサンプリングにおけるベンゼン転化率及びフェノール収率をそれぞれ算出し、反応結果として、2回の平均値を表1に示した。
なお、ベンゼン転化率及びフェノール収率は、それぞれ下記式(1)及び(2)により算出した。
rC={1−(m1/m0)}×100 (1)
ry=(m2/m0)×100 (2)
式中、rCはベンゼン転化率(%)を示し、m0は反応器に供給されたベンゼンのモル数を示し、m1は生成ガスに残存するベンゼンのモル数を示し、m2は生成ガスに含まれるフェノールのモル数を示し、ryはフェノール収率(%)を示す。
rC={1−(m1/m0)}×100 (1)
ry=(m2/m0)×100 (2)
式中、rCはベンゼン転化率(%)を示し、m0は反応器に供給されたベンゼンのモル数を示し、m1は生成ガスに残存するベンゼンのモル数を示し、m2は生成ガスに含まれるフェノールのモル数を示し、ryはフェノール収率(%)を示す。
(実施例2)
触媒Aに代えて触媒Bを用いこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
触媒Aに代えて触媒Bを用いこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
(実施例3)
触媒Aに代えて触媒Cを用いこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
触媒Aに代えて触媒Cを用いこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
(比較例1)
三口フラスコにシリカ担体(富士シリシア化学製、Cariact G6)2g、塩化ロジウム3水和物(RhCl3・3H2O)を158mg、純水を60cc加え、これを80℃で2時間撹拌した。混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を500℃で2時間、H2を40cc/min流通し還元操作を実施した。その後、還元後の固体にモリブデン酸アンモニウム水溶液を30cc加え、混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を800℃で1時間、H2を40cc/min流通する還元操作を実施し、Rh−Mo/SiO2(Rh3.0質量%)触媒を得て、これを触媒Dとした。触媒Aに代えて触媒Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
三口フラスコにシリカ担体(富士シリシア化学製、Cariact G6)2g、塩化ロジウム3水和物(RhCl3・3H2O)を158mg、純水を60cc加え、これを80℃で2時間撹拌した。混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を500℃で2時間、H2を40cc/min流通し還元操作を実施した。その後、還元後の固体にモリブデン酸アンモニウム水溶液を30cc加え、混合液を濾過した後、濾過で回収した固体を800℃で1時間、H2を40cc/min流通する還元操作を実施し、Rh−Mo/SiO2(Rh3.0質量%)触媒を得て、これを触媒Dとした。触媒Aに代えて触媒Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により酸化反応を実施した。実施例1と同様の方法でベンゼン転化率及びフェノール収率を算出し、結果を表1に示した。
Claims (3)
- ベンゼン及び酸化剤を含有する混合ガスを触媒に接触させて、前記ベンゼンを酸化する工程を備え、
前記酸化剤が分子状酸素であり、
前記触媒が、シリカを含有する担体と、該担体に担持されたバナジウムとを有する、
フェノールの製造方法。 - 前記担体がメソポーラスシリカである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記触媒が、pH2.0〜8.0の水溶液中で前記担体にバナジウムを担持した触媒である、請求項1又は2に記載の製造方法。
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