JP2017206217A - 送り装置 - Google Patents

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Sumio Sugawara
純雄 菅原
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Abstract

【課題】線状体を介して走行路上の移動体を走行させる方式の送り装置において、直線走行のみならず、時計回り曲線走行や反時計回り曲線走行をも可能にするとともに、移動体の先頭が常に進行方向を向いて走行するようにする。【解決手段】移動体71が複数の被案内素子75・76を備えている。案内構造24が複数の被案内素子75・76を受け入れることのできる案内空間25を有している。案内空間25の直線案内部26〜28や曲線案内部29・30は空間状のものである。各被案内素子75・76が案内空間25内に嵌め込まれてそこに保持されている。移動体71の往動時や復動時に各被案内素子75・76が案内構造24における空間状曲線案内部29・30を通過できるように設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、人および/または物の搬送・輸送・移送・移動などに供することのできる機械的な技術の分野に属するものに関し、より詳しくは、移動体を往復動させる方式の送り装置について、これを改良したものに関する。
原料・資材・部品・組立品・完成品・包装品など各種の搬送対象物を出発点から目的点まで搬送することは、多くの技術分野で広く実施されている。たとえば、ごく一般的なライン生産方式などでは、工場建屋内の加工ラインや組立ラインに対応して搬送対象物(材料や部品など)を供給するための送り装置が設備される。これは建屋内に走行路が設けられてそこを搬送用の移動体が走行するというものである。この種の送り装置として、直線走行路による移動体走行方式(前者)や、曲直走行路による移動体走行方式(後者)をあげることができる。
上述前者の場合、出発点から目的点までの間を一直線状の直線走行路で繋ぐというように、所要の二点間が最短距離で結ばれるので、直線を基本とした簡潔構成やそれに基づく設備難度の緩和、構造上の無駄がないことにる設備コストの低減、設備のコンパクト化による設置スペースの節減など、応分のメリットがある。しかしながら、この前者には、建屋内部の状況いかんで実施不可能となることがある。その理由の一つは走行路の敷設ラインが組立ラインとオーバーラップすること、他の理由の一つは走行路の敷設ライン上に障害物となる構造物が存在すること、さらに他の理由の一つは組立ラインの周囲に十分な直線スペースがないことである。このうちの理由がいくつか複合することもある。
上述後者の場合、走行路は直線レール部と曲線レール部とを有して構成される。これについては、曲線レール部があることで、走行路と組立ラインとのオーバーラップを回避したり、走行路と障害物との衝突を回避したり、また、建屋内の余剰スペースをも活用しながら走行路を敷設したりすることができる。したがって、この後者の場合、前記前者よりも構造が複雑化したり設備コストが嵩んだりするものの、前記前者にみられるような実施不可能は起こらない。
下記の特許文献1や特許文献2は、前記後者の曲直走行路による移動体走行方式の送り装置を開示するものである。すなわち、この文献記載の送り装置の場合、曲直走行路が直線レール部と曲線レール部とを有し、そこを移動体が走行するのであるから、上述前者のような実施不可能がないかのごとくである。
しかしながら、特許文献1の送り装置にはいくつかの改善すべき課題が残されている。特許文献2の送り装置にも、また、これが実用に供しないというケースが生じている。それで以下においては、はじめに、図10を参照して特許文献1の送り装置に残された課題を説明し、そのあとで、特許文献2の送り装置にみられる不都合を説明する。
図10(A)に略示された送り装置は特許文献1の比較例であり、特許文献1の発行前に存在していたものである。図10(A)の送り装置において、所要の搬送対象物を積載してこれを目的の地点まで搬送するための移動体Mは、その底面前側に左右一対のガイドローラF1・F2が取り付けられており、かつ、その底面後側にも左右一対のガイドローラR1・R2が取り付けられているものである。これに対するガイドレールG1の場合、移動体Mを所定の搬送方向へ走行させるために、その搬送方向に沿うように敷設されている。ちなみに、図10(A)の場合、ガイドレールG1は周知の一直線状をなしている。このガイドレールG1上に移動体Mが装備されたとき、二対のガイドローラF1・F2・R1・R2は、ガイドレールG1をその両側面から挟み付けるという接触態様で当該ガイドレールG1と掛かり合う。
図10(A)の送り装置の場合、移動体Mが直線状ガイドレールG1の案内で直線走行するだけならば特段の問題は生じない。しかしながら図10(B)のように、移動体Mが曲線状ガイドレールG2の案内で時計回り方向に曲線走行するとなると、内側にある両ガイドローラF1・R1に内輪差が発生する。その影響で移動体MやガイドレールG2は、騒音や振動が生じるばかりか、移動体Mの高速走行にも不安定をきたす。すなわち、この影響を緩和するために、移動体Mの低速走行を余儀なくされるのである。これよりも致命的なのは、外側にある両ガイドローラF2・R2がガイドレールG2の外周面に食い込むという囓り現象S1・S2の発生である。その理由は、前側ガイドローラF1・F2の左右間隔や後側ガイドローラR1・R2の左右間隔がガイドレール曲線部のレール幅に対応しなくなるからである。したがって図10(A)の送り装置は、図10(B)のような曲線走行には適さないといえる。
これに対する特許文献1の技術は、かかる曲線走行の課題を一応はクリアしているのである。それは図10(C)(D)のように、内側にある両ガイドローラF1・R1の軸間距離L1と外側にある両ガイドローラF2・R2の軸間距離L2とを曲線状ガイドレールG2の曲線部に対応させて[L1>L2]のように設定している。このようにした場合の二対のガイドローラF1・F2・R1・R2、すなわち、前側ガイドローラF1・F2の左右間隔や後側ガイドローラR1・R2の左右間隔は、図10(C)(D)のように、直線状ガイドレールG1の直線レール幅にも曲線状ガイドレールG2の曲線レール幅にも対応することとなる。したがって、特許文献1の技術によるとき、移動体Mは、直線状ガイドレールG1と曲線状ガイドレールG2とが一連になった走行路を問題なく走行することができるようになる。
特許文献1のものは、上述の点で曲直走行路による移動体走行方式を技術的に達成しているかのごとくである。けれもどこれは、図10(D)の曲線状ガイドレールG2が時計回り方向に曲がっていることに鑑み、移動体MのガイドローラF1・F2・R1・R2に関する既述の軸間距離L1・L2を[L1<L2]のように設定しているのであるから、反時計回り方向の曲線状ガイドレールには対応できない。ちなみに、曲線状ガイドレールが反時計回り方向のときの各ガイドローラF1・F2・R1・R2の軸間距離L1・L2については、[L1>L2]の逆の[L1<L2]であることを要する。
特許文献1のものは上述のとおり、走行路における曲線状ガイドレールの曲がり方向が時計回り方向か、または、反時計回り方向のいずれか一方に限定されてしまうので、この両方向に曲がる曲線状ガイドレールを併有する走行路には対応できないこととなる。それゆえ、当該文献技術の適用範囲はきわめて制限されたものになる。
他方、特許文献1やその他の文献でみられる移動体Mの往復動方式として、巻き取り巻き戻し自在な線状体で移動体Mを往動方向(前進方向)に牽引したり、復動方向(後退方向)に牽引したりする方式が採用されている。これは、移動体往動側の線状体や移動体復動側の線状体が移動体Mに連結されて実施されるというものである。その牽連関係の代表例を略示したのが、以下に説明する図11の構成である。
図11において、移動体往動側の線状体W1と移動体復動側の線状体W2とは、これらの端末が連なっており、その端末連続部W3は、一本の線状体の様相を呈している。この両線状体W1・W2を移動体Mに連結するというとき、端末連続部W3が、たとえば、移動体Mに設けられた二つの固定部材Kを介して締め付け固定される。
図11においては、同図の左方向が移動体Mの往動方向(前進方向)となっており、同図の右方向が移動体Mの復動方向(後退方向)となっている。さらに、移動体Mが往復動するときの各種走行パターンについていうと、それは直進・時計回り曲進・反時計回り曲進のうちのいずれかで往動したり復動したりするものである。
図11において、移動体Mが往動方向に直進したり復動方向に直進したりするときの各線状体W1・W2は、それぞれ引張荷重を受けるものの、線状体W1・端末連続部W3・線状体W2が直線状を維持しているので特段問題ない。これに対して、移動体Mが往動方向に曲進したり復動方向に曲進したりするときの各線状体W1・W2には、図11のP1点やP2点で折れ曲がりを生じる。すなわち、両線状体W1・W2には曲げストレスが発生する。しかも両線状体W1・W2は、ストレス原因となる曲げ荷重を移動体Mが往復動するたびに繰り返し受けることとなる。ゆえに、両線状体W1・W2は、繰り返し疲労によって早期破断したりする。
一方、特許文献2に開示された送り装置の場合、移動体は曲直走行路を走行することができるものである。しかも移動体は、直線走行に加え、時計回り方向にも反時計回り方向にも走行することができるので、特許文献1にみられるような課題がない。けれども、これには下記のような不都合が生じる。
特許文献2の送り装置において、移動体には自明の前側部・後側部・左側部・右側部がある。上述した特許文献1の移動体は、走行路に応じて先頭部位(向き)を変えることができるのに対し、この特許文献2の移動体は、走行路に応じて先頭部位を変えることができない構成となっている。たとえば特許文献2で、移動開始時の移動体がその前側部を先頭にしていたとする。この移動体が1番目の走行路曲線部で時計回り方向に90度回転したとすると、今度は右側部を先頭にして走行するようになる。その後、移動体が2番目の走行路曲線部で時計回り方向に90度回転したとすると、今度は後側部を先頭にして走行するようになる。以降も、移動体が時計回り方向に90度回転進路を変えるごとに、移動体の先頭部位が変化する。これは移動体の進行方向が変化しているにもかかわらず、移動体が進行方向を向かずに、スタート時点の姿勢を維持しているのである。もちろん、移動体上に搭載された搬送対象物もこれと同じになる。より具体的にいうと、出発点での移動体が西向きで、そこに搭載された搬送対象物の正面も西向きであるというとき、北向きに進行方向を変換して到着点(目的地)に至った搬送対象物は、かかる北向きの方向変換にもかかわらず、その到着点で依然として西向き正面を維持しているのである。
送り装置として、特許文献2のような搬送方式が有用なことはもちろんある。一方で、走行路に応じて先頭部位を変える搬送方式(例:特許文献1)が有用になることも多々ある。具体的一例でいうと、生産ライン(曲直状)の各所にワークステーションがあって、搬送対象物の右側面からのみ加工や処理を施すというときには、移動体とこれに搭載された搬送対象物の正面を常に進行方向に向けることを要する。しかるに、特許文献2のものは、かかる要請に応えることができないのである。
特許文献2のものにおいて、移動体上に回転式テーブルを装備するなど、応分の措置を講じた場合には、搬送対象物を所望の向きに変えることができる。しかしながら、こうした手段を講じた場合には、その分だけ設備費が嵩んだり、煩わしい操作が要求されたりするようになる。
この種の送り装置については、下記の特許文献3〜9に開示されたものもある。しかしながら、これら文献の場合、既述の課題を解決する上で特段の技術示唆を与えるものではない。
特開2011−002004号公報 特開2015−164821号公報 特開2006−017292号公報 特開2007−127138号公報 特開2009−204134号公報 特開2011−002004号公報 特開2011−038548号公報 特開2012−002297号公報 再表2013−137139号公報
本発明はかかる技術上の課題に鑑みなされたものである。すなわち本発明は、線状体を介して走行路上の移動体を走行させる方式の送り装置において、直線走行のみならず、時計回り曲線走行や反時計回り曲線走行をも可能にするとともに、移動体の先頭が常に進行方向を向いて走行するようにし、さらに、線状体について早期疲労破壊のない長期使用を可能にして、安全性・安定性・高機能性・その他に優れた送り装置を提供しようとするものである。
本発明は下記<第1項>ないし<第6項>に記載された送り装置を課題解決手段とするものであり、この課題解決手段によって所期の目的を達成するものである。
<第1項>
曲線レール部を有する走行路を備えていること、および、
前記走行路を往復動自在な移動体を備えていること、および、
前記移動体を往動させるために当該移動体に接続された移動体往動側の線状体と、前記移動体を復動させるために当該移動体に接続された移動体復動側の線状体とを備えていること、および、
前記移動体往動側線状体の巻き取りと前記移動体復動側線状体の巻き戻しとを同期して行うとともに、前記移動体往動側線状体の巻き戻しと前記移動体復動側線状体の巻き取りとを同期して行うための線状体操作機を備えていること、および、
前記走行路の各所に配置されて前記移動体往動側の線状体や前記移動体復動側の線状体を誘導案内するための案内構造を備えていること、および、
前記走行路の曲線レール部に対応して前記移動体に装備された曲線走行用の車輪を備えていること、および、
前記移動体を前記走行路沿いに案内するための曲線案内部を有して前記走行路に沿うように設けられた案内構造を備えていること、および、
前記移動体に設けられたものであって前記案内構造と相対的に掛り合う被案内素子を備えていること、および、
前記被案内素子を介して前記案内構造と掛り合う前記移動体については、前記移動体往動側の線状体と前記移動体復動側の線状体とが前記線状体操作機を介して同期的に巻き取られたり巻き戻されたりしたときに、当該案内構造によって前記走行路沿いに案内されながら往動したり復動したりするものであること
を前提とする送り装置において、
前記移動体が複数の前記被案内素子を備えたものであること、および、
前記案内構造が複数の前記被案内素子を受け入れることのできる案内空間を有するものからなり、前記曲線案内部が空間状となっていること、および、
複数の前記被案内素子が前記案内空間内に嵌め込まれてその案内空間内に保持されているものであること、および、
前記移動体の往動時や復動時において複数の前記被案内素子が前記案内構造における前記空間状曲線案内部を通過できるように設けられていること
を特徴とする送り装置。
<第2項>
直線レール部と曲線レール部とを併有する走行路を備えていること、および、
前記走行路を往復動自在な移動体を備えていること、および、
前記移動体を往動させるために当該移動体に接続された移動体往動側の線状体と、前記移動体を復動させるために当該移動体に接続された移動体復動側の線状体とを備えていること、および、
前記移動体往動側線状体の巻き取りと前記移動体復動側線状体の巻き戻しとを同期して行うとともに、前記移動体往動側線状体の巻き戻しと前記移動体復動側線状体の巻き取りとを同期して行うための線状体操作機を備えていること、および、
前記走行路の各所に配置されて前記移動体往動側の線状体や前記移動体復動側の線状体を誘導案内するための案内構造を備えていること、および、
前記走行路の直線レール部に対応して前記移動体に装備された直線走行用の車輪と、前記走行路の曲線レール部に対応して前記移動体に装備された曲線走行用の車輪とを備えていること、および、
前記移動体を前記走行路沿いに案内するための直線案内部や曲線案内部を有して前記走行路に沿うように設けられた案内構造を備えていること、および、
前記移動体に設けられたものであって前記案内構造と相対的に掛り合う被案内素子を備えていること、および、
前記被案内素子を介して前記案内構造と掛り合う前記移動体については、前記移動体往動側の線状体と前記移動体復動側の線状体とが前記線状体操作機を介して同期的に巻き取られたり巻き戻されたりしたときに、当該案内構造によって前記走行路沿いに案内されながら往動したり復動したりするものであること
を前提とする送り装置において、
前記移動体が複数の前記被案内素子を備えたものであること、および、
前記案内構造が複数の前記被案内素子を受け入れることのできる案内空間を有するものからなり、前記直線案内部や前記曲線案内部が空間状となっていること、および、
複数の前記被案内素子が前記案内空間内に嵌め込まれてその案内空間内に保持されているものであること、および、
前記移動体の往動時や復動時において複数の前記被案内素子が前記案内構造における前記空間状曲線案内部を通過できるように設けられていること
を特徴とする送り装置。
<第3項>
前記移動体が前後二つの前記被案内素子を備えていること
を特徴とする前記第1項または前記第2項に記載された送り装置。
<第4項>
移動体往動側の前記線状体と移動体復動側の前記線状体とが、それぞれ、揺動自在な連結部を介して前記移動体に接続されていること
を特徴とする前記第1項またはないし前記第3項のいずれかに記載された送り装置。
<第5項>
前記移動体における進行方向前側の部分を先端部とし、前記移動体における進行方向後側の部分を後端部とした場合に、その前側にある前記被案内素子が前記移動体の先端部側に設けられているとともに、その後側にある前記被案内素子が前記移動体の後端部側に設けられていること、および、
前記移動体の先端部側にある前記被案内素子に対して同心状となるように前記移動体往動側線状体の連結部が設けられているとともに、当該連結部を介して前記移動体往動側線状体が前記移動体の先端部側に接続されていること、および、
前記移動体の後端部側にある前記被案内素子に対して同心状となるように前記移動体復動側線状体の連結部が設けられているとともに、当該連結部を介して前記移動体復動側線状体が前記移動体の後端部側に接続されていること
を特徴とする前記第1項ないし前記第4項のいずれかに記載された送り装置。
<第6項>
前記走行路に対する前記移動体の浮き上がり防止手段が、その移動体および/または走行路に設けられている前記第1項ないし前記第5項のいずれかに記載された送り装置。
本発明に係る送り装置は下記<11>〜<18>のような効果を有する。
<11> 本発明に係る送り装置には、大別して二つのタイプがある。その一つは走行路が曲線レール部のみを有するタイプ、他の一つは走行路が直線レール部と曲線レール部とを有するタイプである。本発明に係る送り装置の場合は、また、案内構造側にある案内空間内に、移動体側の複数被案内素子が嵌め込まれてその案内空間内に保持されている。かかる送り装置において、往動側線状体による牽引とか復動側線状体による牽引とかを受けた移動体は、走行路の曲線レール部を往復動(前進・後退)したり、または、直線レール部と曲線レール部とを往復動(前進・後退)したりするものである。この際の移動体は、被案内素子が案内空間内に嵌まり込んでいることにより、案内構造の案内を受けながら所定の方向へ確実に移動するのである。こうして案内される移動体の場合、その移動体側にある直線走行用車輪や曲線走行用車輪が走行路の直線レール部・曲線レール部などから離脱することがなく、したがって移動体は、安全かつ安定に走行することとなる。
<12> 移動体側にある複数の被案内素子と案内構造との関係についていうと、このいずれか一方またはこの両方には、曲線案内部を通過できるように設けられているものである。これに依存する複数の被案内素子については、案内構造の空間状曲線案内部が時計回り方向にカーブしていようとも、反時計回り方向にカーブしていようとも、それを支障なく走行通過するものである。これは、建屋内における送り装置の設置スペースが左右に折れ曲がるような形状であっても、それに対応させつつ送り装置が設備できるというということである。ゆえに、送り装置の適用範囲が格段に向上する。
<13> 本発明送り装置において、案内構造と被案内素子との協働で上記のように所要の移動方向へ案内される移動体は、直線走行・曲線走行のいずれであっても、往動時にはその先端部側を常に進行方向に向け、復動時にはその後端部側を常に進行方向に向ける。この移動体に搭載されて搬送される搬送対象物もこれと同様である。したがって、搬送対象物の正面など所定の面を常に進行方向に向けるという要請に応えることができる。
<14> 本発明送り装置において、移動体が少なくとも前後二つの被案内素子を備えているもの、しかも、その前側被案内素子が移動体の先端部側に設けられていたり、その後側被案内素子が移動体の後端部側に設けられていたりするものは、両被案内素子の前後間隔が移動体の全長とほぼ同等になる。すなわち、当該両被案内素子の前後間隔は、たとえば、移動体の中心部付近で前後に並ぶ二つの被案内素子などと比べ、圧倒的に大きいものとなる。このように前後間隔の大きい両被案内素子が案内構造内に嵌め込まれたときは、自明のとおり、案内構造内における両被案内素子の前後間隔も大きくなり、それによって移動体の安定性が増す。すなわちこれは、前後間隔の大きい両被案内素子が、走行時における移動体の不安定揺動などを抑制するのであるから、その走行移動体の安定性が高まる。
<15> 本発明送り装置において、移動体の先端部側にある被案内素子に対して同心状となるように移動体往動側線状体の連結部が設けられていたり、移動体の後端部側にある被案内素子に対して同心状となるように移動体復動側線状体の連結部が設けられていたりするものの場合、移動体に対してその先端と後端とから引き取り力(引っ張り荷重)を加えるので、これも、走行移動体を大揺れや大振れのない状態に安定支持できるようになる。ちなみに、往動側線状体や復動側線状体が移動体の中心部付近に繋がれていたりする比較例の場合、走行移動体は、わずかに外力が影響するときでも、指向バランスを崩してその先端部や後端部が一定の振幅(回転角)で大きく振れる。すなわち、比較例の場合、頭を振るとか尻尾を振るとかのような態様で、走行移動体が振れたり揺れたりする不都合をともなうが、本発明送り装置の場合はその種の好ましくない揺れや振れが生じるという不都合はない。
<16> 往動側線状体や復動側線状体の連結部が上述のように移動体の先端部・後端部にあるときは、また、両線状体が縺れがたいものになる。とくにいえるのは、走行移動体が走行路の曲線走行部を通過するようなときでも、両線状体が走行路上の構造物などに引っ掛かったりしないことである。これは、装置の稼働中に機能障害をきたすような事故が起こりがたいということである。
<17> 本発明送り装置において、移動体往動側の線状体と移動体復動側の線状体とが揺動自在な連結部を介して移動体に接続されているものは、その揺動機能によって両線状体が常に引張方向を向くようになる。これは両線状体に対して、想定範囲の引張力が加わるものの、疲労破壊をきたすような繰り返しの曲げ荷重が一切作用しないのである。したがって両線状体は、自身が早期破壊しないことと相俟って、移動体の安全走行や安定走行を長期にわたって維持する。
<18> 本発明送り装置において、往動側からの牽引や復動側からの牽引で移動体を往復動させる線状体や、移動体を走行路に沿わせるべく案内する被案内素子などの構成は、移動体の走行機能に障害をきたないこと、移動体を安全かつ安定に走行させること、それを長期にわたって維持することなど、装置の重要事項を上述のように満足させるものである。しかも、これについて、部品数を増加させず、複雑な構成を採用することもなく、各構成要素のレイアウトを主体にした巧みな構成で初期の目的を達成しているのであるから、この有益で有用な送り装置について、簡潔構成・製作難易度の低下・コスト低減なども満足させるといえる。
本発明装置の一実施形態を略示した平面図である。 図1の本発明装置について一部を切り欠いて略示した右側面図である。 図1のIII-III線に沿う断面図である。 本発明装置の一実施形態における線状体操作機の断面図である。 本発明装置の一実施形態における移動体の各部を略示した図である。このうちで(A)は移動体の底面図、(B)は(A)におけるB−B線矢視図、(C)は(A)におけるC−C線矢視図、(D)は(A)におけるD−D線矢視図、(E)は(A)におけるE−E線矢視図をそれぞれ示す。 本発明装置の一実施形態における移動体とその案内構造とを略示した図である。このうちで(A)は嵌め合い状態にある状態の被案内素子と空間状直線案内部とを略示した縦断面図、(B)は嵌め合い状態にある被案内素子と空間状直線案内部とを略示した底面図、(C)は嵌め合い状態にある被案内素子と空間状曲線案内部とを略示した底面図である。 本発明装置における曲線案内部通過用の構成手段を説明するための略示図である。 本発明装置における走行路について各種の構造を略示した平面図である。 本発明装置の他の一実施形態についてその要部を略示した平面図である。 従来装置を略示した説明図である。 従来装置を略示した説明図である。
本発明に係る送り装置のそれぞれの実施形態について、以下、添付図面を参照して説明する。
図1〜図6に例示されたものは本発明装置の一実施形態である。これらの図では、説明の便宜上、一部の部品などを透視して示した箇所がある。
図1〜図6において、11は走行路、41は線状体操作機、61は線状体調整機、71は移動体、91・92は線状体、93a〜93iは線状体ガイドを示す。
図1〜図6の実施形態において、走行路11は金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなり、そのうちの一部の構成部品がゴム製からなることもある。代表的な一例でいうと、走行路11の骨格や主要部はそのほとんどが金属製である。この図示例において、走行路11は水平部材で構成された走行路面12を有しており、その走行路面12が複数の脚13で支えられている。この走行路11の場合、走行路面12が床面よりもかなり高くなるものであるから高架路面式といえる。走行路11については、走行路面12が床面から20〜80cm程度の高さとなる低架路面式とか、走行路面12が床面から20cm未満の高さとなる床路面式とか、走行路面12が床面よりも低くなる地下路面式とかもある。高架路面式とした図示例の走行路面12について、図1を参照して詳細に説明すると、これは三つの直線路面部14・15・16がクランク状の折れ曲がり形状で一連一体に繋がっており、両直線路面部14・15による一方の交差箇所や両直線路面部15・16による他方の交差箇所がそれぞれ曲線路面部17・18となっている。走行路11の走行路面12上については、その一端部から他端部にわたり、二種類のレール材が敷設される。より具体的には、走行路面12の直線路面部14・15・16上に直線レールが敷設されたり、走行路面12の曲線路面部17・18上に曲線レールが敷設されたりすることで二種類のレール材が敷設されるのである。走行路11の場合はこのように、走行路面12の直線路面部14・15・16上に直線レール部19・20・21が設けられたり、走行路面12の曲線路面部17・18上に曲線レール部22・23が設けられたりしているのである。これらの各レール部19〜23は、いずれも二本を一組とする一対のレール材を主体にして構成されており、それぞれ、二本のレール材は自明の平行間隔を保持している。ここで、各直線レール部19・20・21のレール間隔をH1とし、各曲線レール部22・23のレール間隔をH2とした場合、これらについては[H1>H2]または[H1<H2]であればいい。すなわち、各直線レール部19・20・21が相対的に広間隔、かつ、各曲線レール部22・23が相対的に狭間隔となっている。このほか、それぞれのレール継目箇所においては、広間隔側のレール端部と狭間隔側のレール端部とが重なり合っている。各レール部19〜23の場合、その上面をローラ型の車輪やボール型の車輪が転動するのに適している。より具体的にいうと、各直線レール部19・20・21の場合は、ローラ型車輪の走行(転動)に適したレール形状を有するのが望ましく、さらに、各曲線レール部22・23の場合は、ボール型車輪の走行(転動)に適したレール形状を有するのが望ましい。
走行路11のが低架路面式・床路面式・地下路面式のいずれであっても、走行路面12は、上記高架路面式と実質的に同じかそれに準じた内容で構成される。
上記走行路11には、また、後述する移動体案内用の案内構造24が設けられている。この案内構造24は走行路11に沿う曲直形状の細長い案内空間25を有するものからなる。より具体的にいうと、走行路11の長さ方向に沿い、かつ、その走行路中心部を直線部と曲線部のある細幅の溝状に穿つことで、案内空間25を有する案内構造24が形成されるものである。したがって、案内空間25を有する案内構造24には、空間状の直線案内部26・27・28や空間状の曲線案内部29・30がある。
案内構造24については、後述の被案内子を嵌め込むことのできる案内空間25を有するものであれば、いずれでも採用することができる。かかる案内構造24は、たとえば、一対の平行なガイド板を走行路11に敷設することによっても形成することができる。この場合の案内空間25の断面形状は凹形である。
図1〜図6の実施形態において、線状体操作機41は、走行路11やその付近などで取付スペースのある適当な箇所、たとえば、走行路11の端部付近にとか取り付けられる。さらにいうと、線状体操作機41は走行路11の端面とか、走行路11の下面とかに取り付けられる。その具体的一例として線状体操作機41は、図2で明らかなように、走行路11の端部付近における走行路面12下に配置され、金具による固定・器具による固定・溶接による固定など、周知の手段で走行路面12の下面に取り付けられている。

上述の線状体操作機41については、周方向に正逆回転自在かつ軸方向に往復動自在な巻胴(円筒形)を備えた動力式線状体巻取機構を主体にしたものであれば、種々のものを採用することができる。そのような線状体操作機は既述の特許文献1〜9にもが開示されているので、そのいずれの公知技術でも採用することができる。線状体操作機41の代表的一例として、図2・図4に例示されたものを説明すると、つぎのとおりである。
図2・図4を参照して、線状体操作機41は、取付用基盤42・正逆回転自在な巻取機46・原動機53・カップリング55などを主要部品にして構成されている。このうちで取付用基盤42は、板状をなす複数(三つ)の支持部材43・44・45を有している。取付用基盤42と各支持部材43・44・45との関係は、基盤42の片面と各支持部材43・44・45の基端部とが直交状に交差しているものである。すなわち、基盤42が垂直状をなすものであるとき、各支持部材43・44・45は基盤42の片面から水平方向に突出しているのである。各支持部材43・44・45相互の関係についていうと、両支持部材43・44が所定の間隔をおいて対面しているとともに、両支持部材44・45も所定の間隔をおいて対面しているものである。
線状体操作機41は図2・図4で明らかなように、走行路11の一端部側においてその下面に装備されている。より具体的には、取付用基盤42が垂直となる態様において支持部材43を走行路面12の下面に取り付けられることにより、走行路11に装備されている。図示例の線状体操作機41における正逆回転自在な巻取機46は、同軸状に組み合わされた五つの部品(スプライン軸47・スプライン筒48・管状ないし円筒状の雄ネジ軸49・同じく管状ないし円筒状の雌ネジ軸50・円筒形の巻胴51)を備えている。この五部品は同軸状で周方向に重なり合った多重構造をしているものである。より詳しくいうと、軸心部にはスプライン軸47があり、中間部には雄ネジ軸49と雌ネジ軸50とがあり、最外周部には巻胴51がある。この五部品については、また、それぞれがつぎのような相対構成になっているものである。その一つは、スプライン軸47の外周面に形成されて軸方向に沿うスプライン凹凸部47aと、スプライン筒48の内周面に設けられて軸方向に沿うスプライン凹凸部48aとが、双方の凹凸部の嵌め合いによりスプライン嵌合されていることである。他の一つは、雄ネジ軸49の外周面に形成された雄ネジ49bと、雌ネジ軸50の内周面に形成された雌ネジ50bとが、その雄ネジ・雌ネジの嵌め合いによりネジ嵌合されていることである。さらに他の一つについていうと、巻胴51と雌ネジ軸50とは互いに干渉することなく内外に嵌り合うものである。このほかについては、スプライン筒48や雄ネジ軸49が上記径方向の位置を保持して雄ネジ(ボルト)52で巻胴51に取り付けられている。したがってスプライン筒48・雄ネジ軸49・巻胴51の三部品はこれらが一体となって動くものである。巻取機46における上記五部品はつぎのようにも支持されている。スプライン軸47については、周知の軸受(ベアリング)を有する両支持部材(軸受ブラケット)43・44でそのスプライン軸両端部が回転自在に支持されており、かつ、当該スプライン軸47の一端部が一方の支持部材44を貫通している。そしてスプライン軸47の外周にあるスプライン筒48・雄ネジ軸49・巻胴51の三部品が、当該スプライン軸47に依拠して支持されているのである。雌ネジ軸50の場合は、これが回転することのないように支持部材43に固定または一体化されて巻胴51側に突出している。かかる支持態様において巻胴51と雌ネジ軸50は、これらの内外周面間に雌ネジ軸50を導入導出するようにしながら軸方向に往復動するものである。その際に巻胴51は正逆回転もするのである。一方、モータとも称される原動機53は、公知ないし周知のサーボモータまたはパルスモータからなり、モータ回転子と一体回転する出力軸54を有しているものである。原動機53は支持部材45の外側面に取り付けられているとともに、その出力軸54が支持部材45をスプライン軸47側へと貫通している。こうした態様とすることにより、巻取機46と原動機53は、スプライン軸47と出力軸54とが同一軸線上で互いに対向かつ近接するのである。カップリング55はこのような関係にあるスプライン軸47と出力軸54とを相互に連結している。さらに、両支持部材44・45については、その間隔を安定支持するための締付金具(ボルト・ナット)56を介して間隔保持されている。
図1〜図6の実施形態で線状体調整機61は、あとで詳述する両線状体に適度の張力を加えて適切な緊張状態にするというものである。このような線状体調整機61の場合、一般に、テンショナーなどと称されている。典型的なテンショナーについていうと、それはテンションプーリ(テンションローラ)を線状体に定常的に接触させてその線状体を一定の緊張状態にするものである。そのためにテンションプーリには、発条(スプリング)を利用した張力付与手段、エアシリンダ(空気圧シリンダ)を利用した張力付与手段、オイルシリンダ(油圧シリンダ)を利用した張力付与手段、重錘(ウエイト)利用した張力付与手段など、これらのうちから選択される公知ないし周知の張力付与手段がテンションユニットとして組み合わされる。よって、テンションプーリは、そのテンションユニットを介して線状体に張力を付与するようになる。テンションユニットの態様いかんでテンションプーリがダンサープーリ(ダンサーローラ)になることもある。ちなみに、線状体調整機(テンショナー)61の一例として下記に説明するものの場合、すなわち、図1・図2を参照して説明する線状体調整機61の場合、エアシリンダを構成要素として具備する張力付与手段がテンションユニット62となる。
図1〜図4において、線状体調整機61は走行路面12下に装備されている。より具体的には、図1・図2のごとく、走行路面12下に設けられた取付部31や走行路面12下にある取付台32を利用して線状体調整機61が装備される。このうちで取付部31は、垂直な板状のものが走行路面12の下面に取り付けられることで構成されている。また、取付台32の場合は、複数の脚13のレベルに合わせて水平に配置された板状部材が、その複数の脚13で固定支持されることにより構成されている。
線状体調整機61の主要な構成要素は、テンションユニット62と複数(三つ)のプーリ64・65・66である。このうちでは、二つのプーリ64・66がガイドプーリとなり、残る一つのプーリ65がテンションプーリとなる。
図1〜図4において、両ガイドプーリ64・66は、走行路面12下にある取付部31に適当な間隔をおいて回転自在に取り付けられている。これに対し、エアシリンダを構成要素とするテンションユニット62は、走行路面12下にある取付台32上に据え付け固定されており、その上面から棒状なす昇降部材(ピストンロッド)53が突出している。この昇降部材53の上端にテンションプーリ65が回転自在に取り付けられている。この場合の両ガイドプーリ64・66やテンションプーリ65には、後述する態様で線状体が掛け回される。
図1〜図6の実施形態で移動体71は、図5・図6に詳しく示されている。移動体71のベース部分は台車構造からなる。移動体71のベース部分は図5・図6で明らかなように、搬送対象物を積載することのできるフラットタイプの台板72と、この台板72の下面に回転自在に設けられた直線走行用の車輪73と、同じく、この台板72の下面に回転自在に設けられた曲線走行用の車輪74とを主体にして構成されている。台板72は一例として台車用のものである。直線走行用車輪73や曲線走行用車輪74については、キャスター型のものやローラーベアリング型のものなど、公知ないし周知のものをいずれも採用することができる。この両車輪73・74の場合、移動体71の取付部分や軸受部分については金属製であることが多く、移動体71のタイヤ部分については金属製・合成樹脂製・護謨製のいずれかである。具体的一例として、直線走行用車輪73の場合はレールに接して回転部分がリング型ないし円板型をなしており、曲線走行用車輪74の場合はレールに接して回転部分がボール型(球形)をなしている。
とくに図5(A)を参照して明らかなように、直線走行用車輪73の場合は、四つのものが前後対称かつ左右対称となるように移動体71の下面四隅に四点配置され、そこに周知の手段で取り付けられている。また、曲線走行用車輪74の場合も、四つのものが前後対称かつ左右対称となるように移動体71の下面四箇所に四点配置され、そこに周知の手段で取り付けられている。ちなみに、図5(A)での移動体71は、同図の左側が前(先頭側)で、同図の右側が後ろ(後尾側)というものである。かかる移動体71の場合、四つの直線走行用車輪73の前後間隔や左右間隔は、四つの曲線走行用車輪74の前後間隔や左右間隔よりもそれぞれ大きい。さらにいうと、直線走行用車輪73の左右間隔は、走行路12における直線レール部19・20・21の広いレール幅(間隔)に対応し、曲線走行用車輪74の左右間隔は、走行路12における曲線レール部22・23の狭いレール幅(間隔)に対応するものである。
移動体71については、走行路12の直線レール部19・20・21上や曲線レール部22・23上を走行するように、その走行路12上に装備されるものである。ゆえに移動体71の場合、直線走行用車輪73や曲線走行用車輪74を介して各レール部19〜23上を走行することができ、かつ、各レール部19〜23のうちのいずれの上でも停止することができる。移動体71について、これが直線レール部19・20・21のうちのいずれかの上で停止したときにはそのレール部上に直線走行用車輪73が必ず乗り、また、これが曲線レール部22・23のうちのいずれかの上で停止したときにはそのレール部上に曲線走行用車輪74が必ず乗る。すなわち移動体71は、直線走行用車輪73または曲線走行用車輪74を介して、直線レール部19・20・21のうちのいずれか、または、曲線レール部22・23のうちのいずれかに乗るのである。
移動体71は、また、既述の案内構造24と対応するところの複数の被案内素子75・76を備えている。この被案内素子75・76については、回転型と非回転型との二通りがある。回転型被案内素子75・76は車輪やローラのような回転体を具備するものからなり、非回転型被案内素子75・76は棒状材(例:丸棒)や板状材(例:厚板)のようなものからなる。移動体71に設けられる被案内素子については、これが三つ以上の場合もある。以下、図示例の被案内素子75・76について、図6を参照して説明する。
図6を参照して明らかなように、二つの回転型被案内素子75・76は、それぞれの支軸75a・76aの外周にそれぞれの回転輪75b・76bが回転自在に装着されたものである。一方、両回転型被案内素子75・76が取り付けられる移動体71については、コラム型(柱状)をなす二つの取付部材77・78をその台板72の下面に有するものである。より具体的にいうと、台板72の先端部側の下面には、金属製(例:鋼製)の取付部材77が垂直状に取り付けられてそれが下垂しているとともに、台板72の後端部側の下面には金属製(例:鋼製)の取付部材78が垂直状に取り付けられてそれが下垂しているものである。かかる態様において、被案内素子75は、その支軸75aを介して取付部材77の下端面部に取り付けられ、被案内素子76は、その支軸76aを介して取付部材78の下端面部に取り付けられている。この場合の各回転輪75b・76bについては、自明のとおり、それぞれ、垂直な支軸75a・76aを中心軸にして水平回転するものである。
二つの被案内素子75・76の場合、その材質は、前記車輪73・74で述べたと同様の材質であったり、それと異なる材質であったりする。より具体的な一例でいうと、被案内素子75・76の支軸75a・76aは金属製(例:鋼製)で、被案内素子75・76の回転輪75b・76bはゴムまたは合成樹脂製である。もちろんのことであるが、両回転輪75b・76bが金属製の場合もある。
図6を参照して明らかなように、二つの被案内素子75・76には、これらの一部品を利用して二つの連結部79・80が設けられる。この二つの連結部79・80は後述する線状体連結用のものである。この二つの連結部79・80について、さらにいうと、これは各支軸79a・80aの外周にそれぞれの回転輪79b・80bが回転自在に装着されたものからなる。ちなみに、連結部79・80の構成要素たる支軸79a・80aや回転輪79b・80bは図示例において金属製(例:鋼製)である。図示例の両連結部79・80は、また、各被案内素子75・76における支軸75a・76aの下端面側からその内部に向けて各支軸79a・80aが装着固定されるという態様で、それぞれの被案内素子75・76に設けられている。かくて設けられた両連結部79・80の回転輪79b・80bは、図6で明らかなように、それぞれの被案内素子75・76と同軸状を呈してその該各被案内素子75・76の下面側に存在するものである。
移動体71については、レール部上からの浮き上がりを抑止ないし防止するための浮上防止手段83が設けられることもある。それは図3の仮想線(二点鎖線)で示されているように、垂直な柱状の取付部材84と水平な横軸状の取付部材85と浮上抑制ローラ86とを主体にして構成されるものである。図3に略示された浮上防止手段83の場合、垂直な取付部材84と水平な取付部材85とが逆T字状に組み合わせ結合され、かつ、水平な取付部材85の両端部に浮上抑制ローラ86がそれぞれ回転自在に取り付けられたものである。この浮上防止手段は図3で明らかなように、走行路11を下面側から貫通した取付部材84の上端部が周知の取付手段で走行路面12の下面に着脱自在に固定されるものである。こうして移動体71に装備された浮上防止手段の場合、その浮上抑制ローラ86が走行路面12の下面に当接(接触)するものであるから、走行路面12上からの移動体71の浮き上がりが防止される。すなわち、走行路面12の上面側には車輪73(または車輪74)が接触し、かつ、車走行路11の下面側に浮上抑制ローラ86が接触するというように、この上下双方の部材(73と86または74と86)が走行路11をその上下両面側から挟み付けるようになるので、移動体71が走行路面12上から浮き上がることはないのである。
二本の線状体91・92は、抗張力性に富む強靱な可撓性の長尺物からなる。両線状体91・92の太さはとくに問わないが、細くて丈夫なものがより望ましいといえる。両線状体91・92の具体的な材料として金属・合成樹脂(FRPを含む)・これらの複合体をあげることができ、アラミッド繊維(商品名:ケブラー)製なども使用できる。両線状体91・92の代表的一例としては金属製ワイヤが用いられる。この両線状体91・92は整然とした螺旋巻き状態で巻取機46の巻胴51に巻き取られたり、その巻胴51から巻き戻されたりするものである。このような整列螺旋巻きのため、巻胴51の周面には線状体91・92の嵌り込む螺旋溝が形成されていたりする。二本の線状体91・92のうちで、一方の線状体91は、その一端部(巻き取り巻き戻し用の端部)が巻胴51の一端部外周面に繋がれて(固定されて)いるとともにその他端部が移動体71の一部(例:先端部)に繋がれている。これに準じて他方の線状体92も、その一端部(巻き取り巻き戻し用の端部)が巻胴51の他端部外周面に繋がれているとともにその他端部が移動体71の一部(例:後端部)に繋がれている。
両線状体91・92を移動体71に繋ぐときの代表的一例が図6に示されている。この図示例の場合、両線状体91・92の各一端部(連結端部)にループ91a・92aが形成され、かつ、一方の線状体91の連結端部にあるループ91aが移動体71の下面先端部側にあるチルト式連結部79に掛け止めされるとともに、他方の線状体92の連結端部にあるループ91aが移動体71の下面後端部側にあるチルト式連結部80に掛け止めされるものである。この場合において、各連結部79・80の周面には溝が形成されているので、ループ91a・92aが各連結部79・80から外れるようなことはない。必要ならば、止具を介してループ91a・92aを連結部79・80に固定してもよい。
図6の実施形態の場合、両チルト式連結部79・80の回転輪79b・80bが両被案内素子75・76の回転輪75b・76bよりも下位に存在する。この両回転輪79b・80bについては、これを他方の両回転輪75b・76bよりも上位に設定することもできる。そのような場合、たとえば、各取付部材77・78の外周における回転輪79b・80bよりも上位の位置にそれぞれ回転輪79b・80bを回転自在に嵌め込み、該各回転輪79b・80bをその部位に保持すればよい。
図6を参照して明らかなように、一方のチルト式連結部79は移動体71の先端部側にある被案内素子75に対して同心状となるように設けられており、他方のチルト式連結部80は移動体71の後端部側にある被案内素子76に対して同心状となるように設けられている。これにつては、被案内素子と連結部とが同心状にならない態様もある。その具体的な一例としては、被案内素子75が前側で連結部79が後側という前後関係を保持してこの両者75・79が移動体71の下面先端部側に設けられたり、また、連結部80が後側で被案内素子76が前側という前後関係を保持してこの両者76・80が移動体71の下面後端部側に設けられたりするものである。このような実施形態の場合、たとえば、移動体71の下面先端部側に前後二つの取付部材77・77が設けられるとともに、移動体71の下面後端部側に前後二つの取付部材78・78が設けられ、さらに、移動体下面先端部側にある前後二つの取付部材77・77の各下端部または各外周部に被案内素子75や連結部79が上下分散態様で取り付けられるとともに、移動体下面後端部側にある前後二つの取付部材78・78の各下端部または各外周部に被案内素子76や連結部80が上下分散態様で取り付けられるものである。
両線状体91・92の場合、巻胴51を正逆回転させたときに両線状体91・92のいずれか一方を巻き取りつつその他方を巻き戻すものである。よって、両線状体91・92は、この要件を満足させるような態様で巻胴51と巻き取り巻き戻し自在に対応する。その具体的一例として、一方の線状体91が巻胴51の中央部から巻胴51の一端部に向けて螺旋巻きされ、他方の線状体92が巻胴51の中央部から巻胴51の一端部に向けて螺旋巻きされる。もちろん、これ以外の巻き付け方法で両線状体91・92が巻胴51に巻き取り巻き戻し自在となっていてもよい。
二本の線状体91・92については、二基(二台)の線状体操作機41、すなわち、それぞれ専用の線状体操作機41で巻き取られたり巻き戻されたりしてもよいものである。この実施形態について具体的にいうと、一方の線状体91は、一基の線状体操作機41の巻取機46(巻胴51)で巻き取られたり巻き戻されたりするようになり、他方の線状体92は、残る一基の線状体操作機41の巻取機46(巻胴51)で巻き取られたり巻き戻されたりするようになる。もちろんこの場合は、一方の線状体91の巻き取りと他方の線状体92の巻き戻しとが同期し、一方の線状体91の巻き戻しと他方の線状体92の巻き取りが同期するようになる。
図1〜図6の実施形態で二本の線状体91・92は、それぞれの巻き戻し端部が図1のような態様で移動体71に連結される。したがって、両線状体91・92は、巻取機46の巻胴51から移動体71へとわたるものである。また、この二本の線状体91・92を円滑に誘導するために、走行路11の要所たとえば走行路11の端部や角部に回転自在なプーリ(またはシーブ)からなる各線状体ガイド93a〜93iが取り付けられている。両線状体91・92は、巻取機46と移動体71との間の部分が各線状体ガイド93a〜93iに掛けられ、または、各線状体ガイド93a〜93iに掛かるものである。両線状体91・92は、さらに、図1・図2のような態様で線状体調整機61の各プーリ64・65・66にも掛け回される。
各線状体ガイド93a〜93iは、軸受・ブラケット・取付具・その他を介した周知の手段で所定部に設けられるものであり、図示例の場合もそのようになっている。各線状体ガイド93a〜93iについては、また、表面の摩擦係数が小さくて滑りのよいものが望ましく、そのような線状体ガイドであれば、単に線状体91・92を掛けるだけの非回型のものも採用することができる。このような滑性を有する各線状体ガイドは、たとえば、ポリテトラフルオルエチレン(商品名テフロン:登録商標)のようなフッ素樹脂で表面がコーティングされていたりする。これは換言して、各線状体ガイド93a〜93iの一部または全部が非回転部材からなるということである。
本発明に係る送り装置は、人および/または物を搬送・輸送・移送・移動などしたりする場合に、人および/または物を搭載することのできる移動体71を走行路11上で走行させるものである。図1〜図6に例示された実施形態においてこれを実施するときは以下のようになる。
図1において、走行路11の一端部側で停止している移動体71を走行路11の他端部側まで走行(進行)させるときは、その進行方向先端側にある線状体91が移動体往動側の線状体(移動体牽引用の線状体)になり、その進行方向後端側にある線状体92が移動体追随用の線状体になる。移動体71を上記の方向へ走行させるときの運転では、図1にみられる線状体操作機41の原動機53をオンの状態にしてこれを図1の時計回り方向へ正回転させる。この原動機53の回転は、出力軸54やカップリング55を介してスプライン軸47に伝達されるので、巻取機46の巻胴51が正回転するようになる。そして正回転する巻取機46の巻胴51により、線状体91が巻き取られると同時に線状体92が巻胴51から巻き戻されるのである。このように正回転するときの巻胴51には、雄ネジ軸49(雄ネジ49b)と雌ネジ軸50(雌ネジ50b)による軸方向の推進力が作用する。それで正回転時の巻胴51は、スプライン軸47をガイドにして軸方向の一端側へと移動するようにもなる。したがって巻胴51に巻き取られるときの線状体91は、整然とした密接したスパイラル巻き状態で巻胴51に巻き取られることとなり、線状体92も同様に巻胴51から整然と巻き戻されることとなる。ちなみに、この際の巻胴51による線状体91の巻き取り量と線状体92の巻き戻し量は互いに等しいものである。この運転状態になると、装置各部が下記のよう作動する。
図1において、巻き取り状態にある線状体91の牽引力を受けた移動体71は、走行路11上を直線路面部14→曲線路面部17→直線路面部15→曲線路面部18→直線路面部16の順に走行(往動)する。さらにいうと、移動体71が各直線路面部14〜16にあるときの移動体71は、車輪73を介して各直線レール部19〜21上を走行し、また、各曲線路面部17・18にあるときの移動体71は、車輪74を介して各曲線レール部22・23上を走行する。もちろん、かかる移動体走行の場合、線状体操作機41を制御することによって、各路面部14〜18のうちのいずれの箇所でも移動体71を停止させることができるし、また、再移動させることもできる。
一方、走行路11に設けられた案内構造24には、その案内空間25内に移動体71の二つの被案内素子75・76が嵌まり込んでいるから、上記走行時の移動体71は、この案内手段に依存して所定の走行方向に的確に走行することとなる。すなわち、走行路11の直線路面部14〜16にあるときの移動体71は、案内構造24(案内空間25)の直線案内部26〜28を介して所定の走行方向に案内され、走行路11の曲線路面部17・18にあるときの移動体71は案内構造24(案内空間25)の曲線案内部29・30を介して所定の走行方向に案内されるのである。
このほか、移動体71が走行路11上を走行しているときの両線状体91・92には、線状体調整機61を介して張力が加えられるので、両線状体91・92は常に適切な緊張状態を呈することとなる。
走行路11上を往動走行させた後の移動体71を復動させるときの運転では、図1にみられる線状体操作機41の原動機53をオンの状態にしてこれを図1の反時計回り方向へ逆回転させる。このようにした場合、前記とは逆に、線状体92が移動体復動側の線状体(移動体牽引用の線状体)になり、その進行方向後端側にある線状体91が移動体追随用の線状体になる。したがって、走行路11の他端部側で停止している移動体71は、巻き取り状態にある線状体92の牽引力を受けて、走行路11の一端部側に向けて復動することとなる。すなわち、移動体71は、走行路11上を直線路面部16→曲線路面部18→直線路面部15→曲線路面部17→直線路面部14の順に走行(復動)する。
移動体71の上記復動時、移動体71が車輪73・73を介して各レール部19〜23上を走行すること、移動体71が案内構造24を介して案内されること、両線状体91・92が線状体調整機61を介して適切な緊張状態になること、その他については、既述の内容と実質的に変わるものでない。
上記実施形態における前後二つの被案内素子75・76については、案内構造24の曲線案内部29・30を通過することのできるように、その前後間隔が設定されているものである。これについて、図7を参照して以下に説明する。
図7(A)〜(C)において、Oは案内構造24の中心線、Rxは案内空間25における曲線案内部29(30)の半径ないし曲率半径、Lxは両被案内素子75・76の軸間距離(各中心間の距離)、θは円弧状をなす曲線案内部29(30)の中心角をそれぞれ示す。図7(A)〜(C)には、二つの被案内素子75・76を有する移動体71も図示されている。
図7(A)の案内構造24における曲線案内部29(30)は、四分円からなる円弧状のものであるから、両直線案内部26・27(27・28)の中心角θが90度となっている。この例のように曲線案内部29(30)を形成する円弧が半円未満の大きさである場合、被案内素子が二つであるという条件を満足させることで、二つの被案内素子75・76はそのに曲線案内部29(30)を通過することができる。したがって、かかる通過条件の一つは、曲線案内部29(30)を形成する円弧が半円未満のとき、前後方向に並ぶ被案内素子を、図示例のごとく二つの被案内素子75・76にすることである。
図7(B)の案内構造24における曲線案内部29(30)は、半円からなる円弧状のものである。半円は四分円の二倍であるから、両直線案内部26・27(27・28)の中心角θは180度である。この例のように曲線案内部29(30)を形成する円弧が半円からなるとき、または、そのに曲線案内部29(30)を形成する円弧が半円以上の大きさからなるとき、被案内素子を二つにするだけでなく、両被案内素子75・76の軸間距離Lxをその円弧の曲率半径の二倍以下にすることをも要する。これはすなわち、被案内素子75・76のごとく、被案内素子の数を二つにするとともに、〔[(Rx)×2]≧Lx〕なる式を満足させるようにもする。したがって、かかる通過条件の他の一つは、[θ≧180度]において、被案内素子を二つにするとともに、この段落に記載の上記不等式をも満足させることである。
以上で明らかなように、前後間隔をおいて移動体71に設けられる被案内素子の数が二つであるとき(例:両被案内素子75・76のとき)は、曲線案内部29(30)を形成する円弧の中心角が、30度・45度・60度・90度・120度・150度・175度など、180度未満であるかぎり、曲線案内部29(30)を通過することができる。さらに曲線案内部29(30)を形成する円弧の中心角が180度・240度・270度・300度・330度などのような180度以上のときは、上記被案内素子の数を二つにしたり、その両被案内素子75・76の軸間距離について〔[(Rx)×2]≧Lx〕なる式を満足させるように設定したりすることで、当該両被案内素子75・76は、曲線案内部29(30)を通過することができる。
図7(C)に示された移動体71の場合、両被案内素子75・76のうちのいずれか一方または両方が移動体71に揺動自在な態様で装備されるものである。被案内素子75を移動体71に揺動自在に装備するための構成の一つは、たとえば、取付部材77に設けるべき被案内素子用の軸孔81aが揺動方向(移動体71の幅方向)に長い直状または円弧状の長孔として形成されるとともに、その長孔からなる軸孔81a内に回転輪75bの支軸75aが揺動自在に嵌め込まれ、その支軸75aが軸孔81aから脱落しないように保持される。さらに、支軸75aに対して常に軸孔81a内の定位置に戻るような復帰性を付与するために、軸孔81a内の残存空間には、ゴム・合成樹脂・発条など、バネ性のある適当な弾発性部材81bが装着される。被案内素子76を移動体71に揺動自在に装備する場合も上記と同様になる。すなわち、取付部材78に設けるべき被案内素子用の軸孔82aが上記揺動方向に長い長孔として形成され、該軸孔82a内に回転輪76bの支軸76aが揺動自在に嵌め込まれて保持される。さらに、上記と同様の復帰性を支軸75aに付与するために、軸孔81a内の残存空間部に弾発性部材82bが装着される。これらの場合における支軸75a・76aの揺動範囲については、10mm以下に設定されることが多いのであるが、もちろん、10mmを超過するような上記揺動範囲も設定することができる。
図7(C)の実施形態の場合、両被案内素子75・76のいずれか一方または両方が移動体71に揺動自在な態様で装備されるものである。これは両被案内素子75・76が案内構造24の曲線案内部29・30などを通過するときに、揺動自在な被案内素子75および/または76が曲線案内部29・30に応じて一時的に変位するので、通過障害をきたすことなく、その曲線案内部29・30を通過することができるものである。したがってこれも、移動体71の往復動時において、各被案内素子75・76が案内構造24の空間状曲線案内部29・30を通過するための通過条件に該当する。
図7(C)のような実施形態は、移動体71に対する取付部材77および/または78にも適用することができる。すなわち、取付部材77および/または78を移動体71に揺動自在に取り付けるというものである。これは図7(C)の実施形態に代えて採用すればよいものである。
移動体71がその走行方向(進行方向)に一列状に並んだ三つ以上の被案内素子を有するものであるとき、そのうちの一つないし全部の被案内素子が上述した任意の構成で揺動自在に設けられるという実施形態もある。かかる実施形態も既述の通過条件に含まれるものである。
上記移動体往復動時において、各被案内素子75・76が案内構造24の空間状曲線案内部29・30を通過するための通過条件として、案内構造24の曲線案内部29・30を形成している案内壁面(起立壁面ないし直立壁面)が変形可能かつ復元自在な部材で構成されることもある。より具体的には、ゴム・合成樹脂・発条などの弾発性部材で当該案内壁面が構成されたりする。とくには、曲線案内部29・30のインサイドの案内壁面のみがその種の材料で構成されたりする。これは両被案内素子75・76が案内構造24の各曲線案内部29・30などを通過するときに、該各曲線案内部29・30が被案内素子75・76の軸間距離などに応じて一時的に変形するので、通過障害をきたすことなく、そこを通過することができるのである。
上記移動体往復動時において、各被案内素子75・76が案内構造24の空間状曲線案内部29・30を通過するための通過条件として、案内構造24の曲線案内部29・30を形成している案内壁面(起立壁面ないし直立壁面)が、曲率半径の異なる曲面壁で形成されることもある。それは、曲線案内部29・30のインサイド案内壁面の曲率半径が、そのアウトサイド案内壁面の曲率半径よりも大きいというものである。換言すると、インサイド案内壁面のカーブがアウトサイド案内壁面のそれよりも緩いというものである。したがって、曲線案内部29・30の空間幅がこの曲率半径の差異で広くなっている。これは両被案内素子75・76が案内構造24の各曲線案内部29・30などを通過するときに、該各曲線案内部29・30の空間幅が広くなっているので、通過障害をきたすことなく、そこを通過することができるのである。
本発明に係る送り装置について既述の実施形態は一例にすぎないものである。ちなみに走行路11については、直線部(直線路面部)と曲線部(曲線路面部)とを併有するものや、曲線部(曲線路面部)のみからなるものがある。また、走行路11の曲線部(曲線路面部)については、前後方向に曲がりのあるもの・左右方向に曲がりのあるもの・上下方向に曲がりのあるものなど、いずれでもよいものである。図8に略示する走行路11はそれらの場合の数例を示すものである。以下これらについて簡単に説明する。
図8における各走行路11の形状構造は、角度が円弧状をなす多角形またはそのような多角形の一部を含むもの・円形または円形の一部を含むもの・楕円形または円形の一部を含むもの・異形のものなどである。かかる形状構造の走行路11に付帯する各種の装備、たとえば、走行路面12の直線路面部14〜16や曲線路面部17・18に敷設される直線レール部19〜21や曲線レール部22・23、案内構造24(案内空間25)の直線案内部26〜28や曲線案内部29・30、その他については、自明のとおり、その走行路11の形状構造に対応するものが設けられる。
移動体71については、台型・箱形・籠形・室型など、いずれのタイプでもよいものである。移動体71については、また、図9に例示するような態様で、複数のものが一列状態に連結されて走行路11を走行するものもある。このような実施形態の場合、図9のごとく、先頭の移動体71Aと後尾の移動体71Bとが、たとえば、リンク機構などを主体にした連結手段94で連結される。さらにいうと、両移動体71A・71Bは、その底面側において、それぞれの中心部が連結手段94の回転自在な連結器95a・95bを介して連結されるものである。各線状体91・92については、先頭の移動体71Aに線状体91が既述の内容と同様に接続され、後尾の移動体71Bに線状体92が既述の内容と同様に接続される。
本発明は線状体を介して走行路上の移動体を走行させる方式の送り装置において、移動体の曲線走行方向が限定されたり、曲線走行機能障害をきたしたりすることのない曲線走行を実現したものである。この本発明装置の場合、直線走行搬送・曲線走行搬送・曲直併用走行搬送などいずれの搬送にも適用することができ、より多くの搬送に応えることができる。よって本発明に係る送り装置は、各種の対象物を搬送するための搬送手段として、産業上の利用可能性が高い。
11 走行路
12 走行路面
13 脚
14 直線路面部
15 直線路面部
16 直線路面部
17 曲線路面部
18 曲線路面部
19 直線レール部
20 直線レール部
21 直線レール部
22 曲線レール部
23 曲線レール部
24 案内構造
25 案内空間
26 直線案内部
27 直線案内部
28 直線案内部
29 曲線案内部
30 曲線案内部
31 取付部
32 取付台
41 線状体操作機
42 取付用基盤
43 支持部材
44 支持部材
45 支持部材
46 巻取機
47 スプライン軸
47a スプライン凹凸部
48 スプライン筒
48a スプライン凹凸部
49 雄ネジ軸
49b 雄ネジ
50 雌ネジ軸
50b 雌ネジ
51 巻胴
52 雄ネジ(ボルト)
53 原動機
54 出力軸
55 カップリング
56 締付金具(ボルト・ナット)
61 線状体調整機
62 テンションユニット
63 昇降部材(ピストンロッド)
64 ガイドプーリ
65 テンションプーリ
66 ガイドプーリ
71 移動体
71A 移動体
71B 移動体
72 台板
73 車輪
74 車輪
75 被案内素子
75a 支軸
75b 回転輪
76 被案内素子
76a 支軸
76b 回転輪
77 取付部材
78 取付部材
79 連結部(チルト式)
79a 支軸
79b 回転輪
80 連結部(チルト式)
80a 支軸
80b 回転輪
81a 軸孔
81b 弾発性部材
82a 軸孔
82b 弾発性部材
83 浮上防止手段
84 取付部材(浮上防止手段の一部)
85 取付部材(浮上防止手段の一部)
86 浮上抑制ローラ(浮上防止手段の一部)
91 線状体
92 線状体
93a 線状体ガイド
93b 線状体ガイド
93c 線状体ガイド
93d 線状体ガイド
93e 線状体ガイド
93f 線状体ガイド
93g 線状体ガイド
93h 線状体ガイド
93i 線状体ガイド
94 連結手段
95a 連結器
95b 連結器

Claims (6)

  1. 曲線レール部を有する走行路を備えていること、および、
    前記走行路を往復動自在な移動体を備えていること、および、
    前記移動体を往動させるために当該移動体に接続された移動体往動側の線状体と、前記移動体を復動させるために当該移動体に接続された移動体復動側の線状体とを備えていること、および、
    前記移動体往動側線状体の巻き取りと前記移動体復動側線状体の巻き戻しとを同期して行うとともに、前記移動体往動側線状体の巻き戻しと前記移動体復動側線状体の巻き取りとを同期して行うための線状体操作機を備えていること、および、
    前記走行路の各所に配置されて前記移動体往動側の線状体や前記移動体復動側の線状体を誘導案内するための案内構造を備えていること、および、
    前記走行路の曲線レール部に対応して前記移動体に装備された曲線走行用の車輪を備えていること、および、
    前記移動体を前記走行路沿いに案内するための曲線案内部を有して前記走行路に沿うように設けられた案内構造を備えていること、および、
    前記移動体に設けられたものであって前記案内構造と相対的に掛り合う被案内素子を備えていること、および、
    前記被案内素子を介して前記案内構造と掛り合う前記移動体については、前記移動体往動側の線状体と前記移動体復動側の線状体とが前記線状体操作機を介して同期的に巻き取られたり巻き戻されたりしたときに、当該案内構造によって前記走行路沿いに案内されながら往動したり復動したりするものであること
    を前提とする送り装置において、
    前記移動体が複数の前記被案内素子を備えたものであること、および、
    前記案内構造が複数の前記被案内素子を受け入れることのできる案内空間を有するものからなり、前記曲線案内部が空間状となっていること、および、
    複数の前記被案内素子が前記案内空間内に嵌め込まれてその案内空間内に保持されているものであること、および、
    前記移動体の往動時や復動時において複数の前記被案内素子が前記案内構造における前記空間状曲線案内部を通過できるように設けられていること
    を特徴とする送り装置。
  2. 直線レール部と曲線レール部とを併有する走行路を備えていること、および、
    前記走行路を往復動自在な移動体を備えていること、および、
    前記移動体を往動させるために当該移動体に接続された移動体往動側の線状体と、前記移動体を復動させるために当該移動体に接続された移動体復動側の線状体とを備えていること、および、
    前記移動体往動側線状体の巻き取りと前記移動体復動側線状体の巻き戻しとを同期して行うとともに、前記移動体往動側線状体の巻き戻しと前記移動体復動側線状体の巻き取りとを同期して行うための線状体操作機を備えていること、および、
    前記走行路の各所に配置されて前記移動体往動側の線状体や前記移動体復動側の線状体を誘導案内するための案内構造を備えていること、および、
    前記走行路の直線レール部に対応して前記移動体に装備された直線走行用の車輪と、前記走行路の曲線レール部に対応して前記移動体に装備された曲線走行用の車輪とを備えていること、および、
    前記移動体を前記走行路沿いに案内するための直線案内部や曲線案内部を有して前記走行路に沿うように設けられた案内構造を備えていること、および、
    前記移動体に設けられたものであって前記案内構造と相対的に掛り合う被案内素子を備えていること、および、
    前記被案内素子を介して前記案内構造と掛り合う前記移動体については、前記移動体往動側の線状体と前記移動体復動側の線状体とが前記線状体操作機を介して同期的に巻き取られたり巻き戻されたりしたときに、当該案内構造によって前記走行路沿いに案内されながら往動したり復動したりするものであること
    を前提とする送り装置において、
    前記移動体が複数の前記被案内素子を備えたものであること、および、
    前記案内構造が複数の前記被案内素子を受け入れることのできる案内空間を有するものからなり、前記直線案内部や前記曲線案内部が空間状となっていること、および、
    複数の前記被案内素子が前記案内空間内に嵌め込まれてその案内空間内に保持されているものであること、および、
    前記移動体の往動時や復動時において複数の前記被案内素子が前記案内構造における前記空間状曲線案内部を通過できるように設けられていること
    を特徴とする送り装置。
  3. 前記移動体が前後二つの前記被案内素子を備えていること
    を特徴とする請求項1または2に記載された送り装置。
  4. 移動体往動側の前記線状体と移動体復動側の前記線状体とが、それぞれ、揺動自在な連結部を介して前記移動体に接続されていること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載された送り装置。
  5. 前記移動体における進行方向前側の部分を先端部とし、前記移動体における進行方向後側の部分を後端部とした場合に、その前側にある前記被案内素子が前記移動体の先端部側に設けられているとともに、その後側にある前記被案内素子が前記移動体の後端部側に設けられていること、および、
    前記移動体の先端部側にある前記被案内素子に対して同心状となるように前記移動体往動側線状体の連結部が設けられているとともに、当該連結部を介して前記移動体往動側線状体が前記移動体の先端部側に接続されていること、および、
    前記移動体の後端部側にある前記被案内素子に対して同心状となるように前記移動体復動側線状体の連結部が設けられているとともに、当該連結部を介して前記移動体復動側線状体が前記移動体の後端部側に接続されていること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載された送り装置。
  6. 前記走行路に対する前記移動体の浮き上がり防止手段が、その移動体および/または走行路に設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載された送り装置。
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