JP2017203899A - カラーフィルタ用有機顔料組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用有機顔料組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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頌悟 山田
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Abstract

【課題】カラーフィルタ用分散液としたときに分散液粘度が低く、かつ、カラーフィルタとしたときに輝度、コントラストに優れるカラーフィルタ用有機顔料組成物を提供し、このカラーフィルタ用有機顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタを提供することにある。【解決手段】フタロシアニン顔料に、フタロシアニン骨格のベンゼン環上のβ位のみがスルホンアミド構造を有する特定の基で置換された顔料誘導体を併用することにより、カラーフィルタ用分散液作製時の分散性に優れ、かつ、得られるカラーフィルタに優れた輝度及びコントラストを与えるカラーフィルタ用有機顔料組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置のカラーフィルタの作製に好適なフタロシアニン顔料とフタロシアニン顔料誘導体とを含むカラーフィルタ用有機顔料組成物及び該カラーフィルタ用有機顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタに関する。
液晶表示装置のカラーフィルタは、赤色画素部、緑色画素部及び青色画素部を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
カラーフィルタを作製する際の有機顔料は、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置の表示画面がよりハッキリ見える様にする(高コントラスト化)、或いは、同じく表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求がある。この様な要求に応じるため、平均一次粒子径が100nm以下となる様に微細化された粉体の有機顔料が多用されている。
一方、このように微細化が進むほど、顔料の表面積が大きくなることから表面エネルギーが大きくなり、顔料分散液の粘度が増大する。さらに、貯蔵安定性が悪化し、分散液を長期に渡って保管することが困難になるという問題がある。
このような中、コントラスト等の改善のためにフタロシアニン顔料と顔料誘導体とを含む顔料組成物をカラーフィルタ作製に用いることが提案されているが、顔料誘導体の構造も多種多様であるし、構造中の一部分を改変するだけでその奏する効果に違いが生じるため、その選択は容易でない。例えば、特許文献1には、ε型フタロシアニン顔料と、スチレン系樹脂と、特定の構造を有する基が置換したフタロシアニン顔料誘導体と、を含むε型フタロシアニン顔料組成物の製造方法が記載されているが、このような顔料組成物を用いたとしても、近年高まる高輝度化、高コントラスト化の要求に応えるには不十分であった。また、このような顔料組成物は、顔料粒子を微細化したことにより生じるカラーフィルタ用分散液としたときの分散液粘度の増大の問題を解決していない点で課題があった。
特開2013−203868号公報
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルタ用分散液としたときに分散液粘度が低く、かつ、カラーフィルタとしたときに輝度、コントラストに優れるカラーフィルタ用有機顔料組成物を提供することにある。また、このカラーフィルタ用有機顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタを提供することにある。
本発明者らは、フタロシアニン顔料とフタロシアニン顔料誘導体とを含むカラーフィルタ用有機顔料組成物において、フタロシアニン顔料誘導体が有する置換基の置換位置によって、その性能に差が生じることに注目し、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。そして、検討の末に、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位のみが、スルホンアミド構造を有する特定の基(詳細は後述)で置換された顔料誘導体を用いることにより、カラーフィルタ用分散液作製時の分散性に優れ、かつ、該組成物を用いて得られたカラーフィルタが優れた輝度及びコントラストを奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
『項1.フタロシアニン顔料(A)と、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位の水素原子のうち、少なくとも一つの水素原子が下記一般式(1)で表される基、下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(3)で表される基で置換された顔料誘導体(B)と、を含むことを特徴とするカラーフィルタ用有機顔料組成物。
Figure 2017203899
Figure 2017203899
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[一般式(1)〜(3)中、X及びXは、直接結合、−NH−、−O−、−S−、−(CH−、下記一般式(4)で表される置換基又は下記一般式(5)で表される置換基であり、nは、1〜10の整数であり、Xは、直接結合、−NH−、−O−又は−S−であり、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、RとRは一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良く、Rは、下記一般式(6)で表される置換基であり、Rは、塩素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は一般式(6)で表される置換基であり、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基である。]
Figure 2017203899
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[一般式(6)中、Zは、直接結合、−NH−、−SO−、−CO−、−CH−又は−CHNHSOCH−であり、Zは、直接結合、−NH−、−O−、−S−又は−(CH−であり、mは、1〜10の整数であり、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、R10とR11は一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良い。]
項2.前記顔料誘導体(B)が、前記一般式(1)で表される基で置換されたものである項1に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物。
項3.質量換算で、フタロシアニン顔料(A)100部当たり、前記顔料誘導体(B)を0.1部〜50.0部含むことを特徴とする項1又は項2に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物。
項4.前記項1、項2又は項3に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物を画素部に含むことを特徴とするカラーフィルタ。
本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物は、カラーフィルタ用分散液作製時に低粘度の分散液が得られる。さらに、該組成物をカラーフィルタに使用することで、高輝度、高コントラストを有するカラーフィルタが得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、フタロシアニン顔料(A)と、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位の水素原子のうち、少なくとも一つの水素原子が下記一般式(1)で表される基、下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(3)で表される基で置換された顔料誘導体(B)(以下、顔料誘導体(B)と略す場合がある)と、を含むことを特徴とするカラーフィルタ用有機顔料組成物である。
Figure 2017203899
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[一般式(1)〜(3)中、X及びXは、直接結合、−NH−、−O−、−S−、−(CH−、下記一般式(4)で表される置換基又は下記一般式(5)で表される置換基であり、nは、1〜10の整数であり、Xは、直接結合、−NH−、−O−又は−S−であり、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、RとRは一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良く、Rは、下記一般式(6)で表される置換基であり、Rは、塩素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は一般式(6)で表される置換基であり、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基である。]
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[一般式(6)中、Zは、直接結合、−NH−、−SO−、−CO−、−CH−又は−CHNHSOCH−であり、Zは、直接結合、−NH−、−O−、−S−又は−(CH−であり、mは、1〜10の整数であり、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、R10とR11は一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良い。]
本発明に用いられるフタロシアニン顔料(A)は、フタロシアニン骨格を有するフタロシアニン系顔料であれば、いかなる顔料でも使用できる。フタロシアニン顔料は、青色から緑色の色相を有する堅牢性の高い顔料であり、色材および電子材料、インクジェット、カラーフィルタ等の用途として幅広く利用されている。カラーフィルタの用途の青色画素部に用いられる顔料は、通常公知のε型フタロシアニン顔料が好適に用いられる。フタロシアニン顔料には、α型、β型、γ型、ε型、δ型、π型、ρ型、X型、R型等の結晶多形が存在することが知られているが、カラーフィルタ用顔料としては、耐熱性に優れ、色調の好ましいε型であるフタロシアニン顔料が好適である。ε型である割合は高い方が、耐熱性に優れ、色調の好ましいカラーフィルタ用顔料組成物を提供することができ、結晶多形に占めるε型である割合は、好ましくは85%以上を挙げることができる。ε型フタロシアニン顔料としては、ε型銅フタロシアニン、ε型亜鉛フタロシアニン、ε型コバルトフタロシアニン、ε型ニッケルフタロシアニン、ε型アルミフタロシアニン、及びε型鉄フタロシアニンからなる群から選ばれる1種以上のε型フタロシアニンを挙げることができ、用いられるε型フタロシアニン顔料は1種類でも2種類以上を混合してもよい。好ましいε型フタロシアニン顔料としては、色調の面からε型銅フタロシアニンを挙げることができる。
さらに、カラーフィルタの緑色画素に用いられる顔料は、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59等のハロゲン化銅フタロシアニンやハロゲン化亜鉛フタロシアニンが好適に使用されている。近年高色再現を達成されるべく、青味から黄味の緑色顔料の研究が盛んにおこなわれており、これら色相の異なるハロゲン化フタロシアニンを本発明でも使用ができる。ハロゲン化フタロシアニンは、中心金属の違いにより、色相、結晶性、耐熱性が異なり、ハロゲン化銅フタロシアニン、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン、ハロゲン化アルミフタロシアニンが現状では好適に使用されている。
本発明で使用される顔料誘導体(B)は、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位の水素原子のうち、少なくとも一つの水素原子が下記一般式(1)で表される基、下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(3)で表される基で置換された顔料誘導体である。
前記一般式(1)〜(3)中、X及びXは、直接結合、−NH−、−O−、−S−、−(CH−、前記一般式(4)で表される置換基又は前記一般式(5)で表される置換基であり、好ましくは直接結合、−NH−、−(CH−、前記一般式(4)で表される置換基又は前記一般式(5)で表される置換基であり、ここで、nは、1〜10の整数であり、好ましくは1〜8の整数であり、より好ましくは1〜6の整数である。
は、直接結合、−NH−、−O−又は−S−であり、好ましくは直接結合又は−NH−である。R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、好ましくは水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基であり、RとRは一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良い。Rは、前記一般式(6)で表される置換基である。Rは、塩素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は前記一般式(6)で表される置換基であり、好ましくは前記一般式(6)で表される置換基である。R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、好ましくは水素原子又は置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基である。
前記一般式(6)中、Zは、直接結合、−NH−、−SO−、−CO−、−CH−又は−CHNHSOCH−であり、好ましくは直接結合又は−NH−である。Zは、直接結合、−NH−、−O−、−S−又は−(CH−であり、好ましくは−(CH−であり、ここで、mは、1〜10の整数であり、好ましくは1〜8の整数であり、より好ましくは1〜6の整数である。
10及びR11は、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、好ましくは水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基であり、R10とR11は一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良い。
前記「置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基」の「アルキル基」は、直鎖又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルのようなものが挙げられる。ここで、「置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基」の好ましい炭素数は1〜12であり、より好ましい炭素数は1〜9である。
前記「置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基」の「アルケニル基」は、直鎖又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、オレイルなどが挙げられる。なお、二重結合の位置も特に制限されるものではない。ここで、「置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基」の好ましい炭素数は2〜12であり、より好ましい炭素数は2〜9である。
アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。
本発明で使用される顔料誘導体(B)のフタロシアニン骨格は特に限定されるものではなく、本発明の効果に悪影響を与えない限りどのようなものでも良い。フタロシアニン骨格は中心金属を有していてもよいし、有さないものであっても良い。中心金属を有する場合、その金属の具体例としては、Li、Na、K等の一価金属、または、Cu、Zn、Fe、Al、Co、Ti、Pt、Pd、Si、Ga等の2〜4価の金属が挙げられる。合成方法、収率及び工業製品としてのコストを勘案すると、一般に市場に紹介されている工業品として、Cu、Zn、Al又は中心金属を有しない場合が好ましい。中でも本発明で、フタロシアニン顔料と合わせた時に、中心金属がCu又はZnであるものが好ましく、Cuであるものがより好ましい。
一般に、フタロシアニン骨格のベンゼン環の水素原子を任意の基に置換することが可能で、下記一般式(7)に示す通り、その置換位置として8ヶ所のα位と8ヶ所のβ位が存在する。よって、最大で16個の置換が可能であるが、本発明においては、β位のみが、前述の一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基で置換されたものを用いることができる。このように、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位のみに置換基が存在するように顔料誘導体を設計することで、α位に置換基を有する化合物とβ位に置換基を有する化合物の混合物を顔料誘導体として用いた場合に比べて、輝度及びコントラストの面で顕著に優れる顔料組成物を得ることができる。これは、顔料誘導体がフタロシアニン顔料に吸着した際に、前述の一般式(1)、(2)、又は(3)で表される置換基がβ位に置換していると、置換基が外側に向いているため相互作用が生じ易くなり、顔料誘導体の効果が十分に発揮され、極めて微細な顔料が得られるためであると推定される。しかも、このような微細化が進行しているにもかかわらず、カラーフィルタ用分散液とした際、前述の一般式(1)、(2)、又は(3)で表される置換基がβ位に置換している顔料誘導体と、分散剤やバインダー樹脂との相互作用が強いため分散性が非常に高く、分散液粘度が低い分散液が得られることが分かった。
Figure 2017203899
フタロシアニン環にスルホンアミド結合を介し置換基が結合する顔料誘導体の一般的な製造法として、フタロシアニンを出発原料とする下記スキームの方法がある。すなわち、フタロシアニンをクロロスルホン化反応によりクロロスルホン化フタロシアニンとし、続いてアミンと反応させ、スルホンアミド結合を介し置換基が結合するフタロシアニンを合成する。例えば、特開2011−227491号公報ではこの方法により、顔料誘導体を製造している。しかし、この手法では、フタロシアニン環のα位とβ位いずれにおいてもクロロスルホン化反応が生じるため、最終的に得られる顔料誘導体は、α位に置換基を有する化合物とβ位に置換基を有する化合物の混合物である。
Figure 2017203899
フタロシアニン環のβ位にのみスルホンアミド結合を介し置換基が結合する顔料誘導体を製造する方法として、フタロニトリルと金属塩の反応によるフタロシアニンの合成法であるフタロニトリル法と、無水フタル酸もしくはフタル酸もしくはフタルイミドと尿素の反応によるフタロシアニンの合成法であるワイラー法がある。特に置換基の導入のしやすさから、フタロニトリル法が好ましい。
フタロニトリル法による製造法でも、2つの合成ルートがある。1つ目のルートは、4−アミノフタロニトリルを出発原料とし、アミノ基をクロロスルホン化し、続いてアミンと反応させた後、フタロニトリルと環化し、フタロシアニン環のβ位にのみスルホンアミド結合を介し置換基が結合する顔料誘導体を製造する方法である。
Figure 2017203899
また、もう1つのルートは、同じく4−アミノフタロニトリルを出発原料とし、アミノ基をクロロスルホン化し、さらに加水分解してスルホン酸基とした後、フタロニトリルと環化し、β位にのみスルホン酸基の置換するフタロシアニンを合成する。続いて、スルホン酸基をクロロ化し、さらにアミンと反応させ、フタロシアニン環のβ位にのみスルホンアミド結合を介し置換基が結合する顔料誘導体を製造する方法である。前記フタロニトリル法いずれの合成ルートにおいても、α位に置換基の存在する化合物は合成されないため、β位にのみ置換基が結合する顔料誘導体を製造することができる。
Figure 2017203899
特許文献1には、顔料誘導体としてベンゼン環、トリアジン環、ナフタレン環など様々な特定の構造を有する基が置換したフタロシアニン誘導体が開示され、本発明で用いる顔料誘導体(B)に近い構造として、これら特定の構造を有する基が、フタロシアニン骨格に対してスルホンアミド構造を介して置換した顔料誘導体が検討されている。
しかしながら、特許文献1で検討されている顔料誘導体は、その製法からみてもわかる通り、前記した置換基がフタロシアニン骨格のα位に結合する化合物や、β位に結合する化合物、α位とβ位の両方に結合する化合物の混合物である点で本発明とは大きく発明思想を異にするものである。
特許文献1に記載の顔料誘導体は、α位に置換基が存在することにより、フタロシアニン顔料に吸着した際に、置換基が内側を向くことになり、フタロシアニン環の立体障害を引き起こし、置換基と他の顔料分子や磨砕時に併存させる樹脂との相互作用が生じにくくなり、結晶成長抑制作用を十分に発揮することができないものと推定される。
多置換の顔料誘導体は、樹脂との相溶性が増す。さらに、多置換の顔料誘導体はかさ高い分子構造であるため、フタロシアニン顔料とのπ−πスタッキングなどの分子間相互作用が弱い。このため、熱履歴を受けた際に、フタロシアニン顔料に処理された顔料誘導体が、樹脂成分へと浸出し、顔料の粒子径が拡大、光散乱が生じ輝度が低下する。したがって、顔料誘導体(B)のフタロシアニン骨格に存在する前記一般式(1)表される基、前記一般式(2)表される基又は前記一般式(3)で表される基の置換基数は、1〜8であり、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
顔料誘導体(B)のカラーフィルタ用有機顔料組成物における含有量は、質量換算でフタロシアニン顔料(A)100部当たり、顔料誘導体(B)を0.1部〜50.0部含むことが好ましく、顔料誘導体含有率の影響による色相変化、色純度の観点から好ましくは0.5部〜10部、さらに好ましくは2.5部〜10部である。0.1部未満では、顔料誘導体の結晶成長抑制作用が期待できず、50.0部を超えると、青色色相への影響が大きくなり好ましくない。
次に、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物の製造方法の一例を述べる。
粗製フタロシアニンまたはフタロシアニン顔料(A)と、顔料誘導体(B)と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物を、ソルベントソルトミリングすることで得ることができる。ソルベントソルトミリングに用いる装置としては、ニーダー、ミックスマーラー、特開2007−100008号公報に記載のプラネタリー型ミキサーである井上製作所株式会社製のトリミックス(商標名)や、特開2006−306996号公報に記載の連続式一軸混練機である浅田鉄工株式会社製のミラクルKCK等を用いることができる。
ここで、ソルベントソルトミリングとは、顔料と無機塩と有機溶剤とを混練磨砕することを意味する。具体的には、顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行う。
本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物の製造方法の別の態様としては、粗製フタロシアニンまたはフタロシアニン顔料(A)と、顔料誘導体(B)と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物に、さらにアクリル樹脂を含有させてソルベントソルトミリングすることで、より好適なカラーフィルタ用有機顔料組成物を得ることができる。
無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
また、当該無機塩の使用量は、フタロシアニン顔料(A)1質量部に対して4〜20質量部とするのが好ましく、6〜15質量部とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤として水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、液体ポリプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−ペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等を用いることができるが、なかでも、エチレングリコール又はジエチレングリコールが好ましい。
当該水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、フタロシアニン顔料(A)1質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
アクリル樹脂としては、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合体を用いる。また、1種以上の(メタ)アクリル酸エステルと、それに共重合可能なその他の単量体を併用した重合体であっても良い。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート〔ラウリル(メタ)アクリレート〕、オクタデシル(メタ)アクリレート〔ステアリル(メタ)アクリレート〕、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、プラクセルFM1、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D、プラクセルFM3、プラクセルFM3X、プラクセルFM4、プラクセルFM5、プラクセルFA1、プラクセルFA1DDM、プラクセルFA2D、プラクセルFA5、プラクセルFA10L、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタ(アクリレート)グリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドジフェニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドジアルキルホスフェートなどを用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他の単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;エチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、アリルベンジルメチルフェニルホスホニウムブロバイド、アリルベンジルエチルフェニルホスホニウムブロバイド、トリフェニルビニルホスホニウムブロマイド、アリルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリビニルホスフィン、ジプロピルビニルホスフィン、メチルビニルフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、ジエチルビニルホスフィンオキサイド、ジプロピルビニルホスフィンオキサイド、ジビニルフェニルホスフィンオキサイド、エチルビニルフェニルホスフィンオキサイド、ジブチルビニルホスフィンオキサイド、ジアリルフェニルホスフィンオキサイド、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、ジアリルフェニルホスホネート、ビニルホスホニックジクロライド、ジエチルビニルホスホネート、アリルジクロロホスファイト、ジアリルホスファイト、トリアリルホスファイト、トリアリルホスフェートなどを用いることができる。
当該アクリル樹脂の使用量は、特に限定されるものではないが、フタロシアニン顔料(A)1質量部に対して0.01〜1質量部が好ましい。また、アクリル樹脂の使用量が多いと、カラーフィルタ用有機顔料組成物中の透明成分が増え着色力が低下するので、0.02〜0.2質量部がより好ましい。
混練温度は、50〜120℃の間で行うことが好ましい。50℃未満の温度で混練を行っても、ε型銅フタロシアニンのε化率(銅フタロシアニンに含まれるε型結晶化率)は低く好ましくない。また、120℃を超える温度で混練を行っても、顔料粒子を十分に微細化できず、コントラスト等が低下し、カラーフィルタ用有機顔料組成物として好ましくない。
本発明におけるカラーフィルタ用有機顔料組成物は、液媒体中への分散性、分散安定性が高く、後記する顔料分散液の粘度は低く、かつ微細な粒子に分散していることからニュートン流動性も高いまま安定し、カラーフィルタ青色画素部を製造した場合に、均質な塗膜を形成して輝度、コントラストおよび光透過率のいずれもが高いカラーフィルタを得ることができる。ここで、本発明におけるカラーフィルタ用有機顔料組成物は、フタロシアニン顔料(A)、顔料誘導体(B)を含むことを特徴とするが、必要に応じて、ジオキサジン系色素(C.I.ピグメントバイオレット23(以下、C.I.ピグメントバイオレットの記載を省略し、番号のみの記載とする。他も同様である。)、37、80、C.I. ダイレクトブルー97、99、106、107、108、109、190、293等)、トリアリールメタン系色素(C.I.ピグメントブルー1、1:2、1:3、2、2:1、2:2、3、8、9、10、10:1、11、12、18、19、24、24:1、53、56、56:1、57、58、59、61、62、特許第4968416号公報に記載のトリアリールメタン系顔料、特許第4984014号公報に記載のトリアリールメタン系顔料、C.I.アシッドバイオレット15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72、C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、26、34、38、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、93:1、99、100、103、104、108、109、110、119、123、147、213、269、C.I.ベーシックブルー7、81、83、88、89、C.I.ベーシックバイオレット2、C.I.ダイレクトブルー1、3、28、29、41、42、47、52、55、C.I.フードバイオレット3、C.I.モーダントバイオレット1、1:1、3、6、8、10、11、15、16、17、18、19、21、23、27、28、33、36、39、49等)、キサンテン系色素(C.I.ピグメントレッド81、169、C.I.ピグメントバイオレット1、2、C.I.アシッドレッド51、52、87、92、94、289、388、C.I.アシッドバイオレット9、30、102、C.I.ベーシックレッド1、2、3、4、8、C.I. ベーシックレッド1、8、10、11、C.I.ベーシックバイオレット10、11、25、C.I.ソルベントレッド35、36、42、43、44、45、46、47、48、49、72、73、109、140、141、218、237、246、C.I.ソルベントバイオレット2、10、C.I.モーダントレッド27、C.I.リアクティブレッド36、スルホローダミンG、特開2010−32999号公報に記載のキサンテン染料、特許第4492760号公報に記載のキサンテン染料等)、アントラキノン系色素(C.I.ピグメントブルー60、64、C.I.ダイレクトブルー77、C.I.アシッドレッド82、92、C.I.アシッドバイオレット41、42、43、C.I.アシッドブルー14、22、25、40、45、78、80、127:1、129、145、167、230、C.I.アシッドグリーン25、27、C.I.ソルベントブルー45等)、フタロシアニン系色素(C.I.ダイレクトブルー86、87、189、199、C.I.アシッドブルー249等)、ピロメテン系色素、シアニン系色素、メチン系色素、キノフタロン系色素、スクアリリウム色素等調色用色素や、無金属または金属フタロシアニンのスルホン酸誘導体、無金属または金属フタロシアニンのN−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、ジオキサジンバイオレットのスルホン酸誘導体、インダンスレンブルーのスルホン酸誘導体等の有機顔料誘導体等やビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカLP4009、エフカLP4010、エフカLP4050、エフカLP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカLP4540、エフカLP4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の樹脂を含んでも、好適にカラーフィルタ青色画素部として用いることができる。これら有機顔料誘導体や、分散剤や、樹脂の添加は、フロキュレーションの低減、顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上させることにも寄与する。本発明の顔料誘導体(B)は、塩基性の顔料誘導体であるため、酸価を持つ分散剤を用いることが好ましい。さらに、顔料の分散性を向上させるため、無金属または金属フタロシアニンのスルホン酸誘導体を用いることが好ましく、同時にアミン価を持つ分散剤を併用することが好ましい。
本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物は、従来公知の方法で主にカラーフィルタの青色画素部に好ましく使用することができる。また、カラーフィルタを構成する他の赤色画素部、緑色画素部、ブラックマトリックス部や、ディスプレイを構成するカラムスペーサーの着色にも使用することが可能であり、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物がカラーフィルタの青色画素部の使用に限定されるものではない。
本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物を画素部に含むカラーフィルタは、従来公知の方法で製造することができる。画素部の形成方法の代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。赤色、緑色、青色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することができる。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、209、254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、47、58、59等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
カラーフィルタの画素部を形成するための光硬化性組成物は、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することができる。画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明の顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に撹拌分散を行って、まずカラーフィルタの画素部を形成するための顔料分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで分散剤、有機溶剤は、前記のものが使用可能である。
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、neo−ペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、1〜100部の分散剤とを、均一となる様に撹拌分散して前記顔料分散液を得ることができる。次いでこの顔料分散液に、本発明の顔料組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が0.5〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に撹拌分散してカラーフィルタ画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
カラーフィルタ画素部を形成させる方法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ画素部の製造方法について詳記したが、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物を使用して調製されたカラーフィター画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
カラーフィルタは、青色顔料、赤色顔料、緑色顔料を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤、緑および青のいずれか1色から選ばれたカラーフィルタ着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることができる。
本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物より得られる有機顔料分散体は、鮮明性と明度に優れた顔料分散体であり、カラーフィルタ用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、もとより本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
また、合成例、実施例及び比較例における下記項目については、以下のように測定を行った。
[顔料誘導体のFD−MSによる分子量測定]
本発明における顔料誘導体の分子量測定は、日本電子株式会社製JMS−T100GCを用いて、電界脱離イオン化質量分析法(以下、「FD−MS」と略記する。)で行った。サンプル5mgをジブチルヒドロキシトルエン不含のテトラヒドロフラン1.0mLに加え、超音波にて懸濁させたものを測定に使用した。測定条件は次の通りである。
エミッタ電流:0mA〜40mA[25.6mA/分]
対向電極:−10000V
測定質量範囲:m/z=50〜2000
測定時間:2分
[顔料誘導体のLC−MSによる分子量測定]
また、本発明における顔料誘導体の分子量測定を、アジレント・テクノロジー株式会社製Agilent1100 LC/MSD SLを用いて、液体クロマトグラフ−質量分析(以下、「LC−MS」と略記する。)によっても行った。サンプル1gをジメチルスルホキシド50mLに加え、超音波で懸濁させ、濾過後の濾液を測定に使用した。測定条件は次の通りである。
<LC部>
カラム:CAPCELLPAK C18(φ4.6mm×100mm,3μm)
Eluent:30mM AcONH/THF
GradientB:30%−15min−100%(15min)
Flow:0.8mL/min
Oven:50℃
Injection:2μL
<MS部>
Polarity:Positive&Negative
VCap:4000V
Fragmentor:150V
Drying gas:N(10L/min,350℃)
[アクリル樹脂のGPCによる数平均分子量測定]
本発明におけるアクリル樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)によって行い、高速測定装置(東ソー株式会社製「HLC8220システム」)を用い以下の測定条件で行った。
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[合成例1]<顔料誘導体(B−1)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに1000mLの純水を投入し、350gの塩化チオニル(和光純薬工業株式会社製)を0℃で撹拌しながら滴下した。室温に戻した後、終夜撹拌した。次に、10.0gの塩化銅を加え、−5℃に冷却した。これとは別に、50gの4−アミノフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)を300mLの純水中に懸濁させ、106.2gの36.5%塩酸(和光純薬工業株式会社製)を加えた。ここに25.3gの亜硝酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を含む水溶液60gを−5℃で滴下し、−5℃のまま1時間撹拌し、ジアゾニウム塩化合物を生成させた。続いて、生成したジアゾニウム塩化合物を含む反応液を、先に塩化チオニルと塩化銅より作製した混合液に対し、−5℃で撹拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。次に、反応液を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、43gの中間体(B−a)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、1.9gのN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌した。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、10.32gの中間体(B−1−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、1.26gの中間体(B−1−1)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、3.9gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、赤味の青色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、2.0gの紫色固体である顔料誘導体(B−1)を得た。得られた顔料誘導体(B−1)をFD−MS測定し、置換基数1、2の顔料誘導体(B−1)である分子量739、903のピークを観測した。
また、得られた顔料誘導体(B−1)をLC−MS測定し、分子量739、903の成分が含まれ、置換基数1の顔料誘導体(B−1)である分子量739の成分は一種のみの化合物であり、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位に置換基を有する顔料誘導体であることを確認した。
Figure 2017203899
[合成例2]<顔料誘導体(B−2)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、1000mLの純水と73.6gのシアヌル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌し分散させた。次に、混合液を10℃に冷やしながら、110gのN,N−ジエチルプロパン−1,3−ジアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、室温に反応液を戻し終夜撹拌した。続いて、60gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、濾別し白色の固体を得た。白色の固体を8000mLの純水で洗い、室温で真空乾燥機により乾燥させ、81.2gの中間体(B−2−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、350gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、60gの中間体(B−2−1)、60gのエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、加熱還流しながら3時間撹拌した。次に、20gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を反応液に加え、室温で終夜撹拌した。濾別により固形物を除去した後、溶剤分と過剰なエチレンジアミンを減圧濃縮により除き、62gの液体状の中間体(B−2−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、7.5gの中間体(B−2−2)を投入し、室温で撹拌し溶解させた。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、10.32gの黄色固体である中間体(B−2−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、2.52gの中間体(B−2−3)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、5.4gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、3.1gの紫色固体である顔料誘導体(B−2)を得た。得られた顔料誘導体(B−2)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−2)である分子量1032のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例3]<顔料誘導体(B−3)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、1000mLの純水と73.6gのシアヌル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌し分散させた。次に、混合液を10℃に冷やしながら、74.4gのN,N−ジメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、室温に反応液を戻し終夜撹拌した。続いて、60gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、濾別し白色の固体を得た。白色の固体を8000mLの純水で洗い、室温で真空乾燥機により乾燥させ、60.4gの中間体(B−3−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、350gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、46gの中間体(B−3−1)、74gの1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、加熱還流しながら3時間撹拌した。次に、20gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を反応液に加え、室温で終夜撹拌した。濾別により固形物を除去した後、溶剤分と過剰な1,3−プロパンジアミンを減圧濃縮により除き、47gの液体状の中間体(B−3−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、6.2gの中間体(B−3−2)を投入し、室温で撹拌し溶解させた。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、8.77gの黄色固体である中間体(B−3−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、2.21gの中間体(B−3−3)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、5.0gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、2.8gの紫色固体である顔料誘導体(B−3)を得た。得られた顔料誘導体(B−3)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−3)である分子量962のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例4]<顔料誘導体(B−4)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、1000mLの純水と73.6gのシアヌル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌し分散させた。次に、混合液を10℃に冷やしながら、160gのN,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、室温に反応液を戻し終夜撹拌した。続いて、60gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、濾別し白色の固体を得た。白色の固体を8000mLの純水で洗い、室温で真空乾燥機により乾燥させ、106gの中間体(B−4−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、350gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、78gの中間体(B−4−1)、60gのエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、加熱還流しながら3時間撹拌した。次に、20gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を反応液に加え、室温で終夜撹拌した。濾別により固形物を除去した後、溶剤分と過剰なエチレンジアミンを減圧濃縮により除き、73gの液体状の中間体(B−4−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、9.7gの中間体(B−4−2)を投入し、室温で撹拌し溶解させた。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、12.06gの黄色固体である中間体(B−4−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、3.01gの中間体(B−4−3)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、5.7gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、3.5gの紫色固体である顔料誘導体(B−4)を得た。得られた顔料誘導体(B−4)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−4)である分子量1144のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例5]<顔料誘導体(B−5)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、500mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、45.8gのシアヌル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製)、13.8gのp−ニトロアニリン(和光純薬工業株式会社製)、25.25gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、0℃で6時間撹拌した。濾過後、100mLのメタノール(和光純薬工業株式会社製)で固形物を洗い、22gの中間体(B−5−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、220gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、22gの中間体(B−5−1)、16.5gのN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業株式会社製)、16.37gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、95℃で4時間撹拌した。次に、反応液を2000mLのブラインに注ぎ、2000mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で生成物を抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させ、硫酸マグネシウムを濾別後、濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、32.7gの黄色液体の中間体(B−5−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、100gのメタノール(和光純薬工業株式会社製)と10gの中間体(B−5−2)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、1.0gのパラジウム/炭素(和光純薬工業株式会社製)を溶解液に加え、水素雰囲気下48時間室温で撹拌し、水素化還元反応を行った。続いて、濾過によりパラジウム/炭素を除去した後、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出を行い、減圧濃縮により7.4gの褐色液体の中間体(B−5−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、70gのアセトン(和光純薬工業株式会社製)、7.4gの中間体(B−5−3)、4.0gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、40gのアセトニトリルに4.44gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、8.4gの黄色固体である中間体(B−5−4)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後180mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、8.4gの中間体(B−5−4)、13.1gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、2.89gの塩化銅、10mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、19.5gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を1200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を500mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、5.1gの紫色固体である顔料誘導体(B−5)を得た。得られた顔料誘導体(B−5)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−5)である分子量1024のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例6]<顔料誘導体(B−6)の合成>
中間体(B−6−1)を、Journal of the American Chemical Society,1994年,No.6,Vol.116,2389〜2390ページ記載の方法を参考に合成し、12.7gの中間体(B−6−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、220gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、12.7gの中間体(B−6−1)、16.5gのN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業株式会社製)、16.37gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、95℃で4時間撹拌した。次に、反応液を2000mLのブラインに注ぎ、2000mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で生成物を抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させ、硫酸マグネシウムを濾別後、濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、19.2gの黄色液体の中間体(B−6−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、70gのアセトン(和光純薬工業株式会社製)、5.7gの中間体(B−6−2)、4.0gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、そこに40gのアセトニトリルに4.44gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、7.3gの黄色固体である中間体(B−6−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後180mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、7.3gの中間体(B−6−3)、13.1gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、2.89gの塩化銅、10mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、19.0gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を1200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を500mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、4.5gの紫色固体である顔料誘導体(B−6)を得た。得られた顔料誘導体(B−6)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−6)である分子量933のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例7]<顔料誘導体(B−7)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、1.9gの1−メチルピペラジン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌した。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、9.7gの中間体(B−7−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、1.25gの中間体(B−7−1)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、4.2gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、赤味の青色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、1.9gの紫色固体である顔料誘導体(B−7)を得た。得られた顔料誘導体(B−7)をFD−MS測定し、置換基数1、2の顔料誘導体(B−7)である分子量737、899のピークを観測した。また、得られた顔料誘導体(B−7)をLC−MS測定し、分子量737、899の成分が含まれ、置換基数1の顔料誘導体(B−7)である分子量737の成分は一種のみの化合物であり、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位に置換基を有する顔料誘導体であることを確認した。
Figure 2017203899
[合成例8]<顔料誘導体(B−8)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、250mLの純水と18.4gのシアヌル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製)を投入し、室温で撹拌し分散させた。そこに18.5gのN,N−ジメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を10℃で撹拌しながら滴下した後、反応液温度を室温まで戻し、終夜撹拌した。次に、15gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、白色の固形物を沈殿させた後に濾過を行い、2000mLの純水で固形物を洗った。室温で真空乾燥機により固形物を乾燥させ、20.4gの白色固体である中間体(B−8−1)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、100gのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、14.5gの中間体(B−8−1)、7.9gの1,5−ナフタレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を投入し、撹拌して溶解させ、3時間加熱還流した。次に、10gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を反応液に加え、終夜室温で撹拌した。続いて、反応液を濾過後、濾液を減圧濃縮し、17.8gの中間体(B−8−2)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、75gのTHF(和光純薬工業株式会社製)、5.05gのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、7.8gの中間体(B−8−2)を投入し、室温で撹拌し溶解させた。そこに、40gのTHFに4.3gの中間体(B−a)を溶解させた溶解液を滴下し、1時間室温で撹拌した。次に、反応液を減圧濃縮した後、200mLの冷水と300mLの酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液から減圧濃縮により溶剤を除去し、10.0gの黄色固体である中間体(B−8−3)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、窒素パージした後120mLの1−オクタノール(和光純薬工業株式会社製)を投入し、2.58gの中間体(B−8−3)、3.3gのフタロニトリル(和光純薬工業株式会社製)、0.8gの塩化銅、2mLのジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業株式会社製)を加え、135℃で6時間撹拌した。次に反応液を500mLのアセトン(和光純薬工業株式会社製)に注ぎ、沈殿物を濾別して、5.9gの紫色固体を得た。続いて、紫色固体を200mLのDMF(和光純薬工業株式会社製)で抽出し、濾過後に濾液を減圧濃縮して溶剤を除去し、青味の紫色固体を得た。さらに、得られた固体を200mLのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)に分散させ、濾別しDMFを完全に除去した。固体を真空乾燥により乾燥させ、3.0gの紫色固体である顔料誘導体(B−8)を得た。得られた顔料誘導体(B−8)をFD−MS測定し、置換基数1の顔料誘導体(B−8)である分子量1046のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例9]<比較顔料誘導体(B’−9)の合成>
特開2011−227491号公報、52ページ記載の方法を参考に、比較顔料誘導体(B’−9)の合成を行った。300gのクロロスルホン酸(和光純薬工業株式会社製)中に30gのFASTOGEN BLUE RF(DIC株式会社製銅フタロシアニン)を仕込み、完全に溶解した後、24gの塩化チオニル(和光純薬工業株式会社製)を加え、徐々に昇温して101℃で3時間反応させた。その反応液を9000gの氷水中に注入し、撹拌後、濾過、水洗した。得られたプレスケーキを300gの水でスラリーとした後、15gのN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(N,N−ジメチルアミノプロピルアミン)(和光純薬工業株式会社製)を加え、室温で3時間、次いで、60℃で2時間撹拌した後、濾過、水洗、乾燥し、36gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−9)を得た。
得られた比較顔料誘導体(B’−9)をFD−MS測定し、置換基数n=1、2の顔料誘導体(B’−9)である分子量739、903のピークを観測した。また、得られた比較顔料誘導体(B’−9)をLC−MS測定し、分子量739、903の成分が含まれ、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−9)である分子量739の成分は2種の化合物よりなり、フタロシアニン骨格のベンゼン環のα位に置換基を有する顔料誘導体と、β位に置換基を有する顔料誘導体の混合物であることを確認した。
Figure 2017203899
[合成例10]<比較顔料誘導体(B’−10)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、57gの中間体(B−2−2)を用いた以外は合成例9と同様にして、44gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−10)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−10)をFD−MS測定し、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−10)である分子量1032のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例11]<比較顔料誘導体(B’−11)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、47gの中間体(B−3−2)を用いた以外は合成例9と同様にして、41gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−11)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−11)をFD−MS測定し、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−11)である分子量962のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例12]<比較顔料誘導体(B’−12)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、74gの中間体(B−4−2)を用いた以外は合成例9と同様にして、48gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−12)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−12)をFD−MS測定し、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−12)である分子量1144のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例13]<比較顔料誘導体(B’−13)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、57gの中間体(B−5−3)を用いた以外は合成例9と同様にして、44gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−13)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−13)をFD−MS測定し、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−13)である分子量1024のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例14]<比較顔料誘導体(B’−14)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、43gの中間体(B−6−2)を用いた以外は合成例9と同様にして、42gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−14)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−14)をFD−MS測定し、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−14)である分子量933のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例15]<比較顔料誘導体(B’−15)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、15gの1−メチルピペラジン(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は合成例9と同様にして、36gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−15)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−15)をFD−MS測定し、置換基数n=1、2の顔料誘導体(B’−15)である分子量739、903のピークを観測した。また、得られた比較顔料誘導体(B’−15)をLC−MS測定し、分子量739、903の成分が含まれ、置換基数n=1の顔料誘導体(B’−15)である分子量739の成分は2種の化合物よりなり、フタロシアニン骨格のベンゼン環のα位に置換基を有する顔料誘導体と、β位に置換基を有する顔料誘導体の混合物であることを確認した。
Figure 2017203899
[合成例16]<比較顔料誘導体(B’−16)の合成>
合成例9のN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに変えて、60gの中間体(B−8−2)を用いた以外は合成例9と同様にして、44gの紫色固体である比較顔料誘導体(B’−16)を合成した。得られた比較顔料誘導体(B’−16)を置換基数n=1の顔料誘導体(B’−16)であるFD−MS測定し、分子量1046のピークを観測した。
Figure 2017203899
[合成例17]<アクリル樹脂(C−1)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社)1540部を仕込み、窒素気流下で110℃に昇温した後、メチルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)597部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)261部、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)142部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製)18部からなる混合液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃にて7時間反応させて、不揮発分40%、重量平均分子量15,000の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を減圧乾燥(60℃、24時間)し、アクリル樹脂(C−1)を得た。
[合成例18]<アクリル樹脂(C−2)の合成>
撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社)1540部を仕込み、窒素気流下で110℃に昇温した後、ベンジルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)860部、メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製)140部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製)18部からなる混合液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃にて7時間反応させて、不揮発分40%、重量平均分子量14,000のアクリル樹脂(C−2)を得た。
[実施例1]
FASTOGEN BLUE EP−207(DIC株式会社製C.I.Pigment Blue 15:6)34.0部、顔料誘導体(B−1)2.0部、アクリル樹脂(C−1)4.0部、粉砕した塩化ナトリウム(日本食塩製造株式会社製)400部、およびジエチレングリコール(三菱化学株式会社製)63.4部を双腕型ニーダー(株式会社吉田製作所製)に仕込み、80〜90℃で8時間混練した。
得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、濾液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、ε型銅フタロシアニン顔料組成物のウエットケーキを得た。得られたウエットケーキをビーカーに移し、2%塩酸(ダイキン工業株式会社)水溶液1000部を加え、撹拌分散してスラリーとし、70℃で1時間撹拌後、濾過、水洗し、ウエットケーキを得た。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水1000部を加え、撹拌分散してスラリーとした。引き続き、平均置換基数0.8の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(DIC株式会社製)0.8部の水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液を前記顔料スラリー中に添加し、1時間撹拌後、塩酸(ダイキン工業株式会社)を添加してスラリーのpHを7まで戻し、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体を顔料の表面に析出させた。そのまま1時間保持後、濾過、温水洗浄、乾燥、粉砕し、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た。
このようにして得られたカラーフィルタ用有機顔料組成物1.36部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社)10.97部、DISPERBYK LPN21116(ビックケミー株式会社製)1.93部、アクリル樹脂(C−2)0.83部、0.3−0.4mmφセプルビーズ(サンゴバン株式会社製)34.2部を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−1)を得た。
このカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−1)2.78部に、ユニディックZL−295(DIC株式会社製アクリル樹脂)0.72部を加えて、ペイントコンディショナーで混合することで、カラーフィルタ用青色画素部を形成するための評価用組成物を得た。この評価用組成物をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥し、さらに230℃で1時間焼成を行い、カラーフィルタ(E−1)を得た。
[分散液粘度の評価]
20℃におけるカラーフィルタ用有機顔料分散液の粘度を、東機産業株式会社製回転粘度計TVE−25Lを用いて測定した。分散液粘度は低いほど優れる。
[輝度の評価]
得られたカラーフィルタを分光光度計CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いてC光源で測定し、y=0.110における輝度を算出した。輝度は高いほど優れる。
[コントラストの評価]
得られたカラーフィルタをコントラストテスター(壺坂電気株式会社製、装置名:CT−1)を用いて測定し、y=0.110におけるコントラストを算出した。この装置は2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設置する場所があり、偏光板の一方には光源を、更にその反対側には色彩輝度計を設置しているものである。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比よりコントラストを算出している。尚、カラーフィルタのない状態であるブランクのコントラストが、10,000となるように、あらかじめ調整してから測定した。コントラストは高いほど優れる。
実施例1で得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−1)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.0mPa・sだった。また、実施例1で得られたカラーフィルタ(E−1)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.5、コントラストは6,400だった。
[実施例2]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−2)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−2)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−2)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.5mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−2)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.5、コントラストは6,400だった。
[実施例3]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−3)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−3)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−3)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.6mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−3)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.5、コントラストは6,300だった。
[実施例4]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−4)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−4)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−4)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−4)を用いて、分散液粘度を測定したところ7.0mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−4)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.5、コントラストは6,300だった。
[実施例5]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−5)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−5)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−5)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−5)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.4mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−5)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.4、コントラストは6,200だった。
[実施例6]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−6)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−6)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−6)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−6)を用いて、分散液粘度を測定したところ7.2mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−6)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.5、コントラストは6,300だった。
[実施例7]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−7)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−7)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−7)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−7)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.8mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−7)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.4、コントラストは6,200だった。
[実施例8]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、顔料誘導体(B−8)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−8)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−8)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−8)を用いて、分散液粘度を測定したところ6.5mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−8)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.4、コントラストは6,300だった。
[比較例1]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−9)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−9)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−9)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−9)を用いて、分散液粘度を測定したところ8.4mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−9)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,900だった。
[比較例2]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−10)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−10)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−10)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−10)を用いて、分散液粘度を測定したところ8.9mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−10)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,900だった。
[比較例3]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−11)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−11)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−11)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−11)を用いて、分散液粘度を測定したところ10.0mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−11)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,800だった。
[比較例4]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−12)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−12)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−12)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−12)を用いて、分散液粘度を測定したところ8.2mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−12)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,800だった。
[比較例5]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−13)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−13)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−13)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−13)を用いて、分散液粘度を測定したところ10.2mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−13)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.2、コントラストは5,700だった。
[比較例6]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−14)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−14)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−14)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−14)を用いて、分散液粘度を測定したところ9.3mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−14)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,800だった。
[比較例7]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−15)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−15)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−15)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−15)を用いて、分散液粘度を測定したところ8.6mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−15)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.2、コントラストは5,800だった。
[比較例8]
実施例1の顔料誘導体(B−1)に変えて、比較顔料誘導体(B’−16)を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用有機顔料組成物を得た後、カラーフィルタ用有機顔料分散液(D−16)を作製し、それを用いてカラーフィルタ(E−16)とした。得られたカラーフィルタ用有機顔料分散液(D−16)を用いて、分散液粘度を測定したところ8.8mPa・sだった。また、得られたカラーフィルタ(E−16)を用いて、輝度、コントラストを測定したところ、輝度は13.3、コントラストは5,800だった。
実施例1〜8および比較例1〜8の評価結果を表1に示した。
Figure 2017203899
上記表1の実施例1〜8と比較例1〜8との対比から分かる通り、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物を用いることで、非常に分散液粘度の低いカラーフィルタ用有機顔料分散液が得られる。さらに、このカラーフィルタ用有機顔料分散液から得られるカラーフィルタは、格別に輝度、コントラストが高いことは明白である。

Claims (4)

  1. フタロシアニン顔料(A)と、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位の水素原子のうち、少なくとも一つの水素原子が下記一般式(1)で表される基、下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(3)で表される基で置換された顔料誘導体(B)と、を含むことを特徴とするカラーフィルタ用有機顔料組成物。
    Figure 2017203899
    Figure 2017203899
    Figure 2017203899
    [一般式(1)〜(3)中、X及びXは、直接結合、−NH−、−O−、−S−、−(CH−、下記一般式(4)で表される置換基又は下記一般式(5)で表される置換基であり、nは、1〜10の整数であり、Xは、直接結合、−NH−、−O−又は−S−であり、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、RとRは一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良く、Rは、下記一般式(6)で表される置換基であり、Rは、塩素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は一般式(6)で表される置換基であり、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基である。]
    Figure 2017203899
    Figure 2017203899
    Figure 2017203899
    [一般式(6)中、Zは、直接結合、−NH−、−SO−、−CO−、−CH−又は−CHNHSOCH−であり、Zは、直接結合、−NH−、−O−、−S−又は−(CH−であり、mは、1〜10の整数であり、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、又は置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基であり、R10とR11は一体となって窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む複素環を形成しても良い。]
  2. 前記顔料誘導体(B)が、前記一般式(1)で表される基で置換されたものである請求項1に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物。
  3. 質量換算で、フタロシアニン顔料(A)100部当たり、前記顔料誘導体(B)を0.1部〜50.0部含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載のカラーフィルタ用有機顔料組成物を画素部に含むことを特徴とするカラーフィルタ。
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