JP2017203321A - 接合具 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種木構造で部材同士の連結に用い、アリ溝とアリホゾとの嵌め込み構造を有し、連結される二部材を引き離す方向に過大な荷重が作用した場合でも、連結を維持できる接合具を提供すること。
【解決手段】一方材41と他方材51を連結する接合具は、アリ溝13を有し一方材41に取り付ける受け片11と、アリホゾ23を有し他方材51に取り付ける掛け片21と、で構成する。そして受け片11には、アリ溝13の入り口が露出する開口面15を設け、また掛け片21には、アリホゾ23を載せる背面板24と、アリホゾ23の端面に覆い被さり開口面15に接触する頭頂板25と、設ける。さらに頭頂板25には、アリ溝13の拡張を防ぐ拘束手段を設けることで、過大な荷重が作用した場合でもアリホゾ23の離脱を防ぎ、二部材の連結を維持できる。なお拘束手段の例として、頭頂板25からアリ溝13の両側部に向けて差し込む拘束ボルト31などが挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種木構造において、隣接する部材同士を連結するために用い、アリ溝とアリホゾを有する接合具に関する。
木造建築などの木構造において、部材同士を連結するための技術は様々で、最も単純な方法としては、釘類の打ち込みや接着が挙げられるが、より強度を高めたい場合には、ホゾとホゾ穴のような嵌め込み構造を利用することが多い。また近年は、大断面の集成材が無理なく入手できるため、ラグスクリューなど、極めて強度の高い金物も広く普及している。なお木造建築の施工に際しては、現地での作業量を削減するため、製材や金物の取り付けなど、一連の作業を事前に工場で行うことも多い。
部材同士の連結については、これまでにも様々な技術が提案されており、その一例を下記特許文献に示す。そのうち特許文献1では、手摺の接続装置が開示されている。この装置は、丸棒状の手摺の端面同士を一直線につなぐために用い、一対の接続金具と、化粧カバーなどで構成され、一方の接続金具には、蟻突条を形成し、他方の接続金具には、蟻溝を形成してある。この一対の接続金具は、連結される手摺の端面に一個ずつ取り付け、その後、蟻突条を蟻溝に嵌め込むことで、手摺同士を接続する。さらに接続金具を覆い隠すため、その上から円弧状の化粧カバーを組み込む。なお一対の接続金具は、下方から差し込む固定ビスで一体化してあり、接続金具(蟻突条のある方)の浮き上がりを防ぐ。
特許文献2では、部材同士を正確な位置に接合できるほか、金物の露出が抑制された接合構造と、これを実現する接合金物が開示されている。この接合金物は、係合溝部を有する受け金具と、フランジ部を有する差込み金具と、で構成され、フランジ部を係合溝部に落とし込むと、フランジ部は係合溝部で誘導され、受け金具と差込み金具は、スムーズに係合することができる。また受け金具は、部材に埋設することで、接合金物の側面や底面が覆い隠され、金物の露出が抑制された接合構造が実現する。
特許文献3では、木造建築用の接合金具と、木造建築物における柱と梁の連結構造が開示されている。この接合金具は、柱と梁の配置にズレが生じた場合にも使用できることを特徴としており、柱の側面に取り付ける柱側取付部と、梁の端面に取り付ける梁側取付部と、で構成され、柱側取付部に設けた連結溝は、下方に向かうに連れ、柱の側面に接近するように傾斜している。また梁側取付部に設けた差し込み部についても、連結溝と同様に傾斜している。そのため、柱側取付部の上部に梁側取付部の下部を差し込むと、差し込み部が連結溝に接触し、梁側取付部を下方に移動させると、梁側取付部が柱側取付部に引き寄せられ、柱と梁の配置のズレを吸収することができる。なお柱側取付部と梁側取付部は、ボルトとナットで一体化することも開示されている。
ここに挙げた特許文献は、いずれも一対の金物を用いており、個々の金物をスライド機構で一体化している。そしてこの一対の金物で二部材を連結する際は、一方の金物を一方の部材に取り付け、他方の金物を他方の部材に取り付け、次に、一方の金物の上面と、他方の金物の下面を対向させ、他方の金物を下方に移動させると、何らかの嵌め込みが生じ、金物同士が離脱不能になり、二部材が連結される。なお連結後、金物同士の移動を防ぐため、特許文献1および3のように、双方をボルトなどで一体化することもある。
実開平4−84635号公報 特開2008−202326号公報 特開2012−46874号公報
前記の各特許文献のように、スライド機構を利用した接合具の一例を図5に示す。この図では、二本の棒状の部材の端面同士を連結するため、受け片と掛け片で構成される接合具を用いており、図の右側の部材に取り付ける受け片には、上下に伸びるアリ溝が形成され、左側の部材に取り付ける掛け片には、アリホゾが形成され、アリホゾをアリ溝に嵌め込むことで二部材を一直線に連結する。なお受け片や掛け片は、ネジ釘で部材に取り付ける。
図5の中程に描くように、受け片と掛け片を用いて二部材を連結し、その後、図5の下方に描くように、二部材を引き離す方向に過大な荷重が作用すると、アリ溝は、外側に押し広げられるように変形し、アリ溝とアリホゾの対向面に隙間が生じ、最悪の場合、アリホゾがアリ溝から離脱し、二部材の連結を維持できなくなる。受け片の横断面は、必然的に開口を有する中空状であり、剛性の確保が難しく、受け片と掛け片を引き離すような荷重に対し、受け片は変形を生じやすい。特にアリ溝の横幅が大きくなると、その傾向が顕著になる。対策として、アリ溝の外周全体の厚さを増大すればよいが、大形化や重量増加など、不利な面も多い。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、アリ溝とアリホゾとの嵌め込み構造を有し、連結される二部材を引き離す方向に過大な荷重が作用した場合でも、連結を維持できる接合具の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、一方材と他方材を連結するための接合具であって、前記一方材に取り付け且つアリ溝を有する受け片と、前記他方材に取り付け且つ前記アリ溝に嵌り込むアリホゾを有する掛け片と、からなり、前記受け片には、前記一方材と接触する当接面と、該当接面に隣接し且つ前記アリ溝の入り口が露出する開口面と、を有し、前記掛け片には、前記アリホゾを載せる背面板と、該アリホゾの端面に覆い被さり且つ前記開口面に接触する頭頂板と、を有し、該頭頂板には、前記アリ溝の拡張を防ぐため、該アリ溝の両側部を挟み込む拘束手段を設けてあることを特徴とする接合具である。
本発明による接合具は、各種木構造において部材同士を連結するために用いるが、あらゆる箇所での使用を想定しており、連結される二部材のうち、一方を一方材と称し、残る一方を他方材と称するものとする。ただし一方材は、構造上、より基礎に近く、他方材は、この一方材で架空に支持されるものとする。また一方材と他方材の配置は自在で、一方材の側面に他方材の端面を突き合わせ、T字状やL字状に連結する場合もあれば、一方材と他方材の端面同士を突き合わせ、一直線に連結する場合もある。
接合具は、受け片と掛け片で構成され、受け片は一方材に取り付け、掛け片は他方材に取り付け、受け片にはアリ溝を形成し、掛け片にはアリホゾを形成し、アリ溝にアリホゾを嵌め込むことで、受け片と掛け片を密着させる。なおアリ溝やアリホゾは、従来と同様の台形断面である。そのためアリ溝の横断面を見た場合、台形の上底が受け片の表面に位置し、台形の下底がアリ溝の奥面となる。当然ながら下底の方が上底よりも長い。またアリホゾは、アリ溝に隙間なく嵌り込む台形断面の突出物で、アリホゾをアリ溝に嵌め込んだ後、アリホゾは、アリ溝から離脱できない。ただしアリ溝の長手方向に沿って移動することはできる。そのほか、受け片や掛け片を一方材や他方材に取り付ける方法は、ネジ釘など、自在に選択できる。
受け片は、相応の厚さを有する板状で、その表裏面のうち、一方を当接面と称するものとし、この当接面を一方材の側面や端面に接触させる。またアリ溝は、当接面の反対面に形成する。そしてアリ溝の入り口は、受け片の端面に露出しており、そこからアリホゾを嵌め込んでいく。このアリ溝の入り口が露出した端面は、開口面と称するものとする。したがって当接面と開口面は、所定の交角(通常は90度)で隣接している。
掛け片は、アリホゾ単独で構成されるものではなく、アリホゾの土台となる背面板や、アリ溝の端面に覆い被さる頭頂板を組み合わせた形状で、背面板は、受け片と同等の大きさとする。そして背面板の表裏面のうち、裏面は他方材の側面や端面に接触させ、表面にはアリホゾを形成する。また頭頂板は細長い棒状で、アリホゾの端面に覆い被さる。したがってアリホゾと頭頂板は、丁字状に配置される。なおアリホゾの端面とは、アリホゾをアリ溝に嵌め込む際、最後尾となる側を意味する。そのほか頭頂板は、アリホゾをアリ溝に嵌め込んだ際、受け片の開口面に接触し、ストッパとしての機能も有する。
受け片のアリ溝は、開口面を起点とし、受け片の表面に沿って直線状に伸びるが、その先端は、開口面の反対側に到達することもあれば、その手前で途切れることもある。またアリ溝とアリホゾは、全域を通じて横断面を同一とする場合もあれば、先細りのテーパー状とする場合もある。このように、アリ溝とアリホゾの詳細な形状は、自在に決めて構わない。
拘束手段は、アリ溝の両側部を拘束し、アリ溝の拡張を阻止する役割を担い、アリ溝の左右を押し広げるような荷重が作用した場合でも、これに対抗し、アリ溝の断面形状を維持し、アリホゾの離脱を防ぐ。なお拘束手段は、掛け片の頭頂板を介し、アリ溝の両側部を拘束するものとする。また拘束手段は、あくまでもアリ溝の両側部の変形を拘束するもので、アリ溝でアリホゾを締め付けることを想定したものではない。
このように、アリ溝とアリホゾを嵌め込む方式の接合具において、頭頂板と拘束手段を用いることで、アリ溝の入り口付近の変形を阻止し、受け片と掛け片を引き離す方向に過大な荷重が作用した場合でも、アリホゾの離脱を防ぎ、二部材の連結を維持できる。なお掛け片については、背面板とアリホゾと頭頂板を一体的に成形することもできるが、これらを個別に製造し、後に溶接や接着やボルトなどで一体化することもできる。
請求項2記載の発明は、拘束手段の具体例を示すもので、拘束手段は、頭頂板から受け片に向けて差し込む拘束ボルトであり、該拘束ボルトを螺合させるため開口面には、アリ溝の側部を挟み込むようにメネジを設けてあり、また頭頂板には、該拘束ボルトの軸部を差し込むための貫通孔を設けてあることを特徴とする。拘束ボルトは、アリ溝を挟み込むように配置するため、最低でも二本用いる。さらに貫通孔とメネジは、同心に揃え、拘束ボルトの本数分だけ設ける。
拘束ボルトを締め付けることで、アリ溝の入り口付近の変形が阻止され、アリホゾの離脱を防ぐ。また拘束ボルトにより、受け片と掛け片が一体化するため、掛け片を持ち上げるような荷重が作用した場合でも、その浮き上がりを防ぎ、受け片と掛け片に緩みを生じることがない。なお美観などを考慮し、頭頂板の貫通孔の入り口にザグリを設け、拘束ボルトの頭部を埋め込むこともある。
請求項3記載の発明も、拘束手段の具体例を示すもので、拘束手段は、頭頂板の両側に設けた一対の拘束板であり、該拘束板は、受け片の側面に接触することを特徴とする。この発明は、頭頂板の左右両側から垂れ下がる拘束板を設け、この拘束板で受け片の側面を挟み込み、アリ溝の入り口付近の変形を阻止し、アリホゾの離脱を防ぐ。拘束板は掛け片と一体化されており、アリホゾの嵌め込みを終えると、何らの作業もすることなく、直ちにその機能が発揮される。
請求項1記載の発明のように、アリ溝を有する受け片と、アリホゾを有する掛け片と、を嵌め込む方式の接合具において、頭頂板と拘束手段を用いることで、頭頂板を介してアリ溝の入り口付近の変形が阻止される。そのため、受け片と掛け片を引き離す方向に過大な荷重が作用した場合でも、アリホゾがアリ溝から離脱することを防ぎ、二部材の連結を維持できる。また拘束手段を用いることで、アリ溝の外周全体の厚さを増大させることなく強度を向上でき、重量の増加やコストアップを招くこともない。
請求項2記載の発明のように、拘束手段として拘束ボルトを用いることで、アリ溝の入り口付近の変形を阻止でき、アリホゾの離脱を防ぐ。さらに拘束ボルトを締め付けると、必然的に受け片と掛け片が一体化し、掛け片の浮き上がりを防ぐこともできる。また請求項3記載の発明のように、拘束手段として頭頂板の左右両側に拘束板を設けることで、アリホゾの嵌め込みを終えると、直ちに受け片の変形を阻止することができ、作業性に優れている。
本発明による接合具の形状例を示す斜視図で、他方材の端面を一方材の側面に連結するため、受け片と掛け片で構成される接合具を用いている。 図1の一方材と他方材を連結する過程と、連結後の状態を示す斜視図である。 図1とは異なる接合具の形状例を示す斜視図で、掛け片の頭頂板は、背面板と一体化しているほか、拘束手段として拘束板を用いている。 図3の一方材と他方材を連結した状態と、その掛け片を受け片に嵌め込む過程を示す斜視図である。 従来技術を示す斜視図で、アリ溝を形成した受け片と、アリホゾを形成した掛け片を用い、二部材の端面同士を連結する場合を描いてある。
図1は、本発明による接合具の形状例を示し、他方材51の端面を一方材41の側面に連結するため、受け片11と掛け片21で構成される接合具を用いている。一方材41と他方材51は、いずれも棒状の木材だが、一方材41は地盤から直立する柱で、また他方材51は、水平に伸びる横架材で、他方材51の端面が一方材41で支持される。そして一方材41の側面には、受け片11を取り付け、他方材51の端面には、掛け片21を取り付ける。
受け片11と掛け片21はいずれも、アルミニウム合金を削り出して成形したもので、受け片11は、相応の厚さを有する板状で、その表面にはアリ溝13を形成してあるほか、裏側の当接面14は、一方材41の側面に接触している。当接面14は、全域を平面状に仕上げてあり、一方材41と隙間なく接触する。またアリ溝13は、下に向けて横幅が狭くなるテーパー状で、受け片11の下面に到達することはなく、その手間で途切れている。そして受け片11の上面には、アリ溝13の入り口が露出している。このアリ溝13の入り口が露出している面は、開口面15と称するものとする。
掛け片21は、表面にアリホゾ23を載せた背面板24と、背面板24の上面に載る頭頂板25で構成され、背面板24の裏面(アリホゾ23の反対側)は、他方材51の端面に接触させる。アリホゾ23は、アリ溝13に対応し、先細りのテーパー状で、アリホゾ23の下端がアリ溝13の底部に到達すると、双方が強力に噛み合い、緩みを生じない。
頭頂板25は、細長い矩形状で、背面板24の上面に載り、アリホゾ23の端面に覆い被さるほか、アリホゾ23をアリ溝13に嵌め込んだ後は、受け片11の開口面15に接触し、ストッパとしての機能を果たす。なお頭頂板25は、固定ボルト34で背面板24に取り付ける。そのため背面板24の上面には、固定ボルト34と螺合するメネジ26を設け、頭頂板25の中央には、固定ボルト34の軸部を差し込む固定孔35を設けてある。
受け片11や掛け片21は、何らかの方法で一方材41や他方材51に取り付けるが、ここではネジ釘37を用いている。このネジ釘37を差し込むため、受け片11の六箇所に釘孔17を設けてあり、掛け片21についても、背面板24の左右およびアリホゾ23の中央に計八箇所の釘孔27を設けてある。なおネジ釘37は、受け片11と掛け片21との境界面から、一方材41や他方材51に向けて差し込む。そのためネジ釘37の頭部は、ザグリ18、28に埋め込み、受け片11と掛け片21が面接触できるようにしてある。
受け片11の開口面15は、台形断面のアリ溝13によって内部が切り抜かれており、必然的に剛性が低下する。特に、アリ溝13の左右に伸びる内壁面を押し広げるような荷重が作用すると、アリ溝13の横断面形状が容易に変化し、アリホゾ23が離脱する恐れもある。その対策として、アリ溝13の外周全体の厚さを増大させることも考えられるが、その場合、重量の増加やコストアップを招くほか、木構造の外観も悪化する。そこで拘束手段を用い、アリ溝13の入り口付近の変形を阻止する。
拘束手段は、頭頂板25から差し込む二本の拘束ボルト31であり、その直下のアリホゾ23を挟み込むように配置する。そのため頭頂板25には、拘束ボルト31の軸部を差し込む貫通孔32を設けてあるほか、受け片11の開口面15には、アリ溝13の左右を挟み込むようにメネジ16を設けてある。そして、受け片11と掛け片21を嵌め合わせ、頭頂板25が開口面15と接触した後、貫通孔32に拘束ボルト31を差し込み、メネジ16と螺合させることで、受け片11と掛け片21が一体化するほか、アリ溝13の入り口付近は、頭頂板25を介して変形が阻止され、アリホゾ23の離脱を防ぐ。
図2は、図1の一方材41と他方材51を連結する過程と、連結後の状態を示す。受け片11は、ネジ釘37を用いて一方材41の側面に取り付ける。その際、ネジ釘37の頭部はザグリ18に収容され、受け片11の表面から突出することはない。また掛け片21については、頭頂板25を固定ボルト34で取り付けた後、ネジ釘37で他方材51の端面に取り付ける。次に、他方材51を移動させ、受け片11の真上に掛け片21を配置し、アリ溝13とアリホゾ23が上下に並ぶように調整し、徐々に他方材51を下降させると、アリホゾ23の先端がアリ溝13に入り込む。
引き続き、他方材51を下降させると、頭頂板25が受け片11の開口面15に載ると共に、アリ溝13とアリホゾ23が隙間なく嵌り込み、受け片11と掛け片21が緩みなく密着する。その後、掛け片21の左右の貫通孔32に拘束ボルト31を差し込み、締め付けると、受け片11と掛け片21が一体化され、他方材51を持ち上げるような荷重が作用した場合でも、アリ溝13とアリホゾ23に滑りが生じることはない。したがってこの接合具は、開口面15を上に向けない場合でも、使用することができる。
拘束ボルト31により、アリ溝13の変形を阻止し、一方材41と他方材51を引き離す方向に過大な荷重が作用した場合でも、双方が離脱することを防ぐ。また頭頂板25は、施工性を考慮し、一方材41と他方材51のいずれとも接触しない大きさとしてある。そのほか背面板24は、他方材51よりも高さを抑制してあり、拘束ボルト31や固定ボルト34の頭部は、他方材51の上面から突出しない。そのため床板などの敷設も無理なく実施できる。
図3は、図1とは異なる接合具の形状例を示し、掛け片21の頭頂板25は、背面板24と一体化しているほか、拘束手段として拘束板29を用いている。図3においても、受け片11にアリ溝13を形成し、掛け片21にアリホゾ23を形成し、いずれもネジ釘37で一方材41や他方材51に取り付ける点に変わりはない。ただし掛け片21の頭頂板25は、背面板24と一体化しており、さらに頭頂板25の左右両端には、下方に突出する拘束板29を設けてある。拘束板29は、受け片11の上部二箇所に設けた段差19に嵌り込み、アリ溝13の入り口付近の変形を阻止する拘束手段として機能する。
段差19は、掛け片21の横幅を抑制するために設けてあり、これにより掛け片21は、一方材41や他方材51の側面から突出することがない。したがって、掛け片21の横幅に制約がないならば、あえて段差19を設ける必要はない。そのほか受け片11と掛け片21を一体化するため、一本の連結ボルト38を用いている。連結ボルト38は、受け片11の開口面15中央のメネジ39に螺合させる。また連結ボルト38の軸部は、頭頂板25中央の連結孔36に差し込む。
図4は、図3の一方材41と他方材51を連結した状態と、その掛け片21を受け片11に嵌め込む過程を示す。受け片11を一方材41に取り付け、掛け片21を他方材51に取り付けた後、掛け片21のアリホゾ23を受け片11のアリ溝13に嵌め込むと、一方材41と他方材51が引き寄せられ、さらに連結ボルト38を差し込むと、受け片11と掛け片21が一体化し、一方材41と他方材51が連結される。なお図4の下方に描くように、掛け片21の左右上部に設けた拘束板29は、受け片11の段差19を挟み込み、その内側の変形を阻止する。
11 受け片
13 アリ溝
14 当接面
15 開口面
16 メネジ(受け片側・拘束ボルトと螺合)
17 釘孔
18 ザグリ
19 段差
21 掛け片
23 アリホゾ
24 背面板
25 頭頂板
26 メネジ(掛け片側・固定ボルトと螺合)
27 釘孔
28 ザグリ
29 拘束板(拘束手段)
31 拘束ボルト(拘束手段)
32 貫通孔
34 固定ボルト
35 固定孔
36 連結孔
37 ネジ釘
38 連結ボルト
39 メネジ(受け片側・連結ボルトと螺合)
41 一方材
51 他方材

Claims (3)

  1. 一方材(41)と他方材(51)を連結するための接合具であって、
    前記一方材(41)に取り付け且つアリ溝(13)を有する受け片(11)と、前記他方材(51)に取り付け且つ前記アリ溝(13)に嵌り込むアリホゾ(23)を有する掛け片(21)と、からなり、
    前記受け片(11)には、前記一方材(41)と接触する当接面(14)と、該当接面(14)に隣接し且つ前記アリ溝(13)の入り口が露出する開口面(15)と、を有し、
    前記掛け片(21)には、前記アリホゾ(23)を載せる背面板(24)と、該アリホゾ(23)の端面に覆い被さり且つ前記開口面(15)に接触する頭頂板(25)と、を有し、
    該頭頂板(25)には、前記アリ溝(13)の拡張を防ぐため、該アリ溝(13)の両側部を挟み込む拘束手段を設けてあることを特徴とする接合具。
  2. 前記拘束手段は、前記頭頂板(25)から前記受け片(11)に向けて差し込む拘束ボルト(31)であり、該拘束ボルト(31)を螺合させるため前記開口面(15)には、前記アリ溝(13)の側部を挟み込むようにメネジ(16)を設けてあり、また前記頭頂板(25)には、該拘束ボルト(31)の軸部を差し込むための貫通孔(32)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の接合具。
  3. 前記拘束手段は、前記頭頂板(25)の両側に設けた一対の拘束板(29)であり、該拘束板(29)は、前記受け片(11)の側面に接触することを特徴とする請求項1記載の接合具。
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