JP2017202848A - 医療用ゴム栓及び医療用ゴム栓の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】耐薬品性及び気密性に優れた医療用ゴム栓を生産性良く提供する。
【解決手段】フランジ部１１ａを有する円板状の天板部１１と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部１２とを備えた医療用ゴム栓１であって、前記フランジ部の下面及び前記脚部に不活性フィルム１３が積層され、前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝１４が形成されていることを特徴とする医療用ゴム栓に関する。
【選択図】図４

Description

本発明は、医療用ゴム栓及び医療用ゴム栓の製造方法に関する。

バイアル中の医薬品の品質安定性を改善するために、薬剤と接するゴム栓脚部にフッ素樹脂等の不活性フィルムを積層し、ゴム栓の耐薬品性を向上させることが行われており、積層させる方法として、二段成型による成型方法（図１及び２参照、特許文献１参照）と一段成型による成型方法（図３参照）が知られている。

二段成型法により得られるゴム栓は、フランジ部の下面及び脚部の根元部がゴム面であるため、気密性に優れている。しかし、二段成型法は、成型工程や不要部分の除去工程がそれぞれ２回必要なので、生産性が劣るという問題がある。また、ゴム面まで油性製剤が到達して、ゴムが膨潤することがあるため、耐薬品性や気密性が劣るという問題もある。

一方、一段成型法は、フランジ部の下面全体に不活性フィルムが積層されたゴム栓を得ることが可能であり、二段成型法よりも工数が大幅に減少するので生産性に優れている。しかし、バイアルの気密性は、ゴム栓脚部の根元部及びフランジ部の下面と、バイアル瓶の内壁及び上面とが密接に圧接されること、等により得られるが、一段成型法により得られるゴム栓は、これらが硬いガラスと不活性フィルムであるため、気密性に劣るという問題がある。

特開２００４−２１６７５３号公報

本発明は、耐薬品性及び気密性に優れた医療用ゴム栓を生産性良く提供することを目的とする。

本発明は、フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備えた医療用ゴム栓であって、前記フランジ部の下面及び前記脚部に不活性フィルムが積層され、前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝が形成されていることを特徴とする医療用ゴム栓に関する。

前記溝の少なくとも一方の縁に、隣接する前記不活性フィルムの表面よりも盛り上がった凸部が形成されており、隣接する前記不活性フィルムの表面からの前記凸部の高さが、１〜４０μｍであることが好ましい。

前記溝が、少なくとも前記脚部の外周面に形成されていることが好ましい。
前記溝が、少なくとも前記脚部の根元部に形成されていることが好ましい。
前記溝の幅が０．１〜１０ｍｍであることが好ましい。

前記不活性フィルムの厚みが２００μｍ以下であることが好ましい。

本発明はまた、フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備える医療用ゴム栓の製造方法であって、不活性フィルムが前記フランジ部の下面及び前記脚部に連続して積層されたゴム栓を一段成型する成型工程と、前記不活性フィルムが積層された前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出するように円環状の溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法に関する。

前記溝形成工程において、前記溝をレーザー加工によって形成することが好ましい。

本発明によれば、フランジ部の下面及び脚部に不活性フィルムが積層され、フランジ部の下面及び／又は脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝が形成されていることを特徴とする医療用ゴム栓、又は、不活性フィルムがフランジ部の下面及び脚部に連続して積層されたゴム栓を一段成型する成型工程と、不活性フィルムが積層されたフランジ部の下面及び／又は脚部の外周面に、ゴム素地が露出するように円環状の溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法であるので、耐薬品性及び気密性に優れた医療用ゴム栓を生産性良く提供できる。

二段成型法の脚部成型工程の説明図である。 二段成型法のフランジ部成型工程の説明図である。 一段成型法の製造方法の説明図である。 本発明の医療用ゴム栓の一例、又は実施例１〜３で作製した医療用ゴム栓の上面図（ａ）、Ａ−Ａ線断面図（ｂ）、下面図（ｃ）、及び側面図（ｄ）と、該断面図における脚部の根元部に形成された溝を示す部分拡大図（ｅ）である。 本発明の医療用ゴム栓の一例の上面図（ａ）、Ｂ−Ｂ線断面図（ｂ）、下面図（ｃ）、及び側面図（ｄ）と、該断面図におけるフランジ部の下面に形成された溝を示す部分拡大図（ｅ）である。 バイアル瓶の瓶口部の部分断面図である。 比較例１で作製した医療用ゴム栓の上面図（ａ）、Ｃ−Ｃ線断面図（ｂ）、下面図（ｃ）、及び側面図（ｄ）である。

本発明は、フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備えた医療用ゴム栓であって、前記フランジ部の下面及び前記脚部に不活性フィルムが積層され、前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝が形成されていることを特徴とする医療用ゴム栓である。

本発明の医療用ゴム栓は、不活性フィルムで被覆されたフランジ部の下面及び／又は脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝が形成されているため、打栓時に、ゴム素地が露出した溝部分とバイアル瓶の瓶口部上面や内壁とが充分に密着させることが可能となり、良好な気密性が得られる。これは、脚部径がバイアル瓶の瓶口部径より大きく設計されたゴム栓の打栓時や、打栓後のアルミキャップのシール時に、脚部やフランジ部の下面が圧縮されることで溝を形成するゴム素地が表出し、瓶口部上面や内壁と接触し易くなるためであると推察される。更に、不活性フィルムにより、耐薬品性も確保できる。

従って、本発明の医療用ゴム栓は、粉末状、固体状、液状（液剤、油剤）、凍結乾燥した薬剤等、任意形態の薬剤を充填するバイアル瓶に適用可能であり、優れた耐薬品性、気密性を得ることができる。

以下、本発明の好ましい実施形態の一例を、図を用いて説明する。
図４は、本発明の医療用ゴム栓の一例を示す上面図（ａ）、断面図（ｂ）、下面図（ｃ）、側面図（ｄ）、及び該断面図における脚部の根元部（フランジ部の下面に連続する脚部の部分）に形成された溝の部分拡大図（ｅ）（円で示された部位）である。

本発明の一例である図４（ｂ）の医療用ゴム栓１は、円板状の天板部１１、脚部１２を備え、該天板部１１、該脚部１２の表面の一部に不活性フィルム１３が積層され、脚部１２の外周面１２ａに溝１４が形成されたものである。

天板部１１は、フランジ部１１ａを有し、該フランジ部の下面１１ｂ（ドーナツ形状）の内縁箇所１１ｃから、脚部１２が連続して形成されている。脚部１２は、天板部１１の下面、具体的にはフランジ下面の内縁箇所１１ｃから、天板部１１の外径よりも小径の円筒状の形状で突出して形成されている。

医療用ゴム栓１は、フランジ部の下面１１ｂ、脚部１２の表面に不活性フィルム１３が積層されており、これにより、医療用ゴム栓の耐薬品性を確保できる。不活性フィルム１３の厚みは、医療用ゴム栓の形状やサイズに合わせて適宜調整すればよく、２０〜２００μｍが好ましく、５０〜１００μｍがより好ましい。

医療用ゴム栓１は、不活性フィルム１３が積層されず、ゴム素地が露出している円環状の溝１４が形成されている。溝１４は、脚部１２の外周面１２ａの根元部１２ｂに、フランジ部の下面の内縁箇所１１ｃに連続する位置に形成されている。根元部に溝１４が形成されていることにより、瓶の内壁と接触し易くなる結果、気密性が向上し、特に、図６（ｂ）、（ｄ）に示されるような瓶口の内側に突起を有するバイアル瓶の場合、溝と突起が嵌合し、気密性が顕著に高められる。

ここで、溝１４の円環状とは、円板状の天板部の中心軸を中心とした略円環状を意味する。上記溝の断面形状は、特に限定されないが、生産性の点からは、単純な凹形状や丸みを帯びた凹形状が好ましい。図４（ｂ）は、溝１４の数が１個の例を示しているが、複数個でも良い。

溝１４の幅１４ｗは、気密性、耐薬品性のバランスの観点から、０．１〜１０ｍｍが好ましく、０．５〜８．０ｍｍがより好ましく、２．０〜８．０ｍｍが更に好ましい。溝１４に隣接する、ゴム素地と不活性フィルム１３との境界面１６からの溝の深さ１４ｄは、気密性の観点から、０〜１００μｍが好ましく、０〜５０μｍがより好ましい。

医療用ゴム栓１は、溝１４の部分拡大図（ｅ）に示されているとおり、溝１４における脚部１２側の縁（縁部）１４ａに、凸部１５が形成されており、該凸部１５は、それに隣接する不活性フィルム１３の表面１３ｓに比べて、盛り上がった（突出した）形状を有している。凸部１５により、気密性がより高められる。

凸部１５の幅１５ｗは、気密性の点から、１〜１００μｍが好ましく、３０〜６０μｍがより好ましい。隣接する不活性フィルム１３の表面１３ｓからの凸部１５の高さ１５ｈは、気密性の点から、１〜４０μｍが好ましく、１０〜２５μｍがより好ましい。上記範囲内であると気密性をより改善できる。凸部１５の形状（断面形状）は特に限定されないが、生産性の点からは、単純な凸形状、丸みを帯びた凸形状が好ましい。なお、凸部１５は、溝１４の一方の縁に形成しても、両方の縁に形成してもよい。

図５は、本発明の医療用ゴム栓の他の例を示す上面図（ａ）、断面図（ｂ）、下面図（ｃ）、側面図（ｄ）、及び該断面図におけるフランジ部の下面に形成された溝の部分拡大図（ｅ）（円で示された部位）である。

本発明の一例である図５（ｂ）の医療用ゴム栓２は、円板状の天板部２１、脚部２２を備え、該天板部２１、該脚部２２の表面の一部に不活性フィルム２３が積層され、フランジ部２１ａの下面２１ｂに溝２４が形成されたものである。

天板部２１、脚部２２は、図４と同様に備えられている（フランジ部２１ａ、フランジ部の下面２１ｂ、内縁箇所２１ｃ）。不活性フィルム２３も同様に積層されており、同様の厚みを採用できる。

医療用ゴム栓２は、不活性フィルム２３が積層されず、ゴム素地が露出している円環状の溝２４が形成されている。溝２４は、フランジ部の下面２１ｂの略中央表面に形成されている。フランジ部の下面２１ｂに溝２４が形成されていることにより、瓶口部表面と接触し易くなる結果、気密性が向上し、特に、図６（ｇ）に示されるような瓶口の上面に突起を有するバイアル瓶の場合、溝と突起が嵌合し、気密性が顕著に高められる。

溝２４の円環状、数、幅２４ｗ、溝２４に隣接する、ゴム素地と不活性フィルム２３との境界面２６からの溝の深さ２４ｄは、前記と同様のものを形成できる。

医療用ゴム栓２は、溝２４の部分拡大図（ｅ）に示されているとおり、溝２４における中心側の縁（縁部）２４ａに、凸部２５が形成されており、該凸部２５は、それに隣接する不活性フィルム２３の表面２３ｓに比べて、盛り上がった（突出した）形状を有している。凸部２５により、気密性がより高められる。

凸部２５の幅２５ｗ、隣接する不活性フィルム２３の表面２３ｓからの凸部２５の高さ２５ｈ、形状も前記と同様のものを採用でき、凸部２５は、溝２４の一方の縁に形成しても、両方の縁に形成してもよい。

フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備えた本発明の医療用ゴム栓は、不活性フィルムが前記フランジ部の下面及び前記脚部に連続して積層されたゴム栓を一段成型する成型工程と、前記不活性フィルムが積層された前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出するように円環状の溝を形成する溝形成工程とを含む製造方法、等により製造できる。これにより、耐薬品性、気密性に優れた医療用ゴム栓を生産性良く製造できる。

図３は、前記製造方法の成型工程の模式図である。成型金型は、フランジ部を有する天板部を形成する上型と、脚部を形成する下型からなり、各々加熱可能なように、ヒーター（図示せず）が接続されている。ヒーターの熱源としては、電気ヒーター、蒸気、オイル等が使用できる。成型金型に使用する材料としては特に限定されず、公知の金型材料を使用できる。この一段成型によれば、不活性フィルムがフランジ部の下面及び脚部に連続して積層されたゴム栓を製造できる。

成型工程では、ゴム栓の成型前に、上型および下型を予め加熱しておく。予熱温度は、１５５〜２００℃程度が好ましい。

下型の上面に、不活性フィルムと、ゴム栓本体材料からなる混練シート（未加硫ゴムシート）を重ねたものを設置する。この場合、上型が下に、下型が上でも良く、上型のうえに積層フィルムを上に重ねた未加硫ゴムシートを置いても良い。

不活性フィルムとしては、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン重合体（ＰＴＦＥ）、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体（ＥＴＦＥ）、変性テトラフルオロエチレン重合体、変性テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、クロロフルオロエチレン重合体（ＰＣＴＦＥ）等のフッ素系樹脂；オレフィン系樹脂、等が好ましい。良好な耐薬品性が得られるという点から、フッ素系樹脂がより好ましく、ＥＴＦＥ、変性ＥＴＦＥが更に好ましい。なお、不活性フィルムは、ゴム等との接着性を高める処理（化学処理法、粗面化処理等）を施したものが好ましい。

混練シートは、ゴム栓本体を形成し、弾性材料で構成されている。ゴム栓本体の弾性材料としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、二トリルゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なかでも、加硫により、弾性が得られる材料が好ましい。加硫材料の場合、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤など、ゴム工業の公知の配合剤を適宜添加できる。

混練シートは、密封式混練機、オープンロール混練機などを用いて、所定配合比で配合材料を混練した混練物を、カレンダー、シート成型機で未加硫ゴムシートを作製する。次に、一定重量、サイズの未加硫ゴムシートと不活性フィルムを重ねて金型に置き、真空プレスで成型することにより、積層ゴム栓の成型シートを得ることができる。

成型条件は特に限定されず、適宜設定すればよいが、成型温度は、好ましくは１５５〜２００℃、より好ましくは１６５〜１９０℃であり、成型時間は、好ましくは３〜１５分間、より好ましくは５〜１０分間である。

必要に応じて、ゴム栓の成型品から不要部分を切断・除去し、また、ゴム栓のフランジ部の上面や不活性フィルム積層面を、非反応性シリコーンや反応性シリコーンで表面コートしてもよい。

次いで、成型工程で作製されたゴム栓において、前記不活性フィルムが積層された前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出するように円環状の溝を形成する溝形成工程を行う。

溝の形成は、切削等、不活性フィルムとゴム栓本体材料との積層体から、ゴム素地を露出させることが可能な方法を使用できる。切削は、刃物、レーザー光照射（レーザー加工）等、の方法を採用でき、なかでも、微細な溝構造の形成が容易であることや形成部周辺の応力などの影響が少ない点から、レーザー光照射による切削が好適である。

また、レーザー加工を用いることで、脚部の外周面の根元部や、フランジ部の下面に、前述の幅、深さを有する円環状の溝を好適に形成できる。加えて、レーザー光により不活性フィルムの表面が蒸発又は分解され、その一部が溝の縁に再蓄積され、凸部が形成されることから、溝の少なくとも一方の縁に、隣接する不活性フィルムの表面よりも盛り上がった前述の幅、高さを有する凸部を好適に形成できる。なお、レーザー光の照射方向を工夫して、溝の一方の縁にだけ凸部を形成することも可能である。

レーザー光の種類・出力等は適宜選択すればよい。例えば、赤外線を利用するレーザー光による加工が産業上取り扱いが容易である。照射時間も適宜選択すればよいが、切削部周辺部への熱の影響が小さくなる点から、特に短いパルスでの照射が好ましい。

以上の製造方法等により作製される本発明の医療用ゴム栓は、薬剤を充填したバイアル瓶を密封するために使用される。例えば、薬剤を充填したバイアル瓶に打栓し、更にアルミや樹脂製のキャップでシールして使用される。

実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。

＜実施例１〜３＞
片面接着処理した下記不活性フィルムと未加硫ゴムシートを重ねて成型金型上に置き、真空プレスで１７５℃、１０分間加硫接着して一段成型し、下記形状のゴム栓を作製した。
両面にシリコーンコートをし、バリ部を打ち抜いた後、下記レーザー装置によって、脚部の根元部に、表１に示す幅、深さの円環状の溝と、表１の幅及び高さの凸部（溝の縁）を形成した。更に洗浄滅菌乾燥処理を行い、図４に示される目的のゴム栓を得た。

（材料、装置）
未加硫ゴムシート：塩素化ブチルゴム１００質量部に対してシリカ系フィラー５０質量部を添加（ＪＩＳ−Ａ硬さ：４５）
不活性フィルム：旭硝子（株）製の変性ＥＴＦＥ「アフレックス」（厚み：７５μｍ、表面粗さＲａ（μｍ）：０．０２〜０．０３（カットオフ値：０．０８、評価長さ：０．２５））
レーザー装置：（株）キーエンス製のＭＬ−Ｚ９５５０Ｔ

（基本ゴム栓形状）
フランジ径：１９．０ｍｍ（外径）、脚部最大径：１３．０ｍｍ、フランジ部厚み：３．０ｍｍ、針刺し部厚み：２．０ｍｍ

＜比較例１＞
溝及びその縁の凸部を形成しなかったこと以外は、実施例１〜３と同様の方法により、図７に示される目的のゴム栓を得た。

＜対照例１＞
不活性フィルムを用いないこと、溝及びその縁の凸部を形成しなかったこと以外は、実施例１〜３と同様の方法により、目的のゴム栓を得た。

＜対照例２＞
従来の二段成型により、目的のゴム栓を得た。

（気密性試験方法）
ガラス製バイアル瓶の形状は、図６（ａ）〜（ｇ）等の各種形状があるが、瓶口部上面がフラットで、瓶口部上辺部の内径を小さくして打栓後のゴム栓の浮き上がりや脱落を防止したクロージャーストッパーバイアル瓶（ｂ）（瓶口部内径：１２．４５ｍｍ、満容量：１４．２ｍｌ、突起（内径方向）や幅（軸方向）：１〜２ｍｍ）を使用した。
錠剤型シリカゲル乾燥剤（山仁薬品（株）製）０．６２ｇ／１個を正確に秤量し、乾燥した清浄な１０ｍｌバイアル瓶に入れ、常圧状態でアルミキャップにより巻き締めした。温度４０℃、湿度７５％、１ケ月又は３ケ月間、恒温槽で保管した後、シリカゲル乾燥剤を取り出し、正確に秤量し、重量増加（シリカゲル乾燥剤の吸湿重量変化）を求めた。結果を表１に示す。

表１から、図４で示される実施例のゴム栓は、フランジ部の下面に不活性フィルムが積層されていない対照例と同様に優れた気密性を有しているのに対し、図７で示される比較例のゴム栓は気密性が劣っていた。

更に、実施例のゴム栓は、液体薬剤で試験をした際に、優れた耐薬品性が得られ、気密性、耐薬品性がバランス良く優れていた。また、一段成型法で製造可能であり、生産性も良好であった。

１ 医療用ゴム栓
１１ 天板部
１１ａ フランジ部
１１ｂ フランジ部の下面
１１ｃ フランジ部の下面の内縁箇所
１２ 脚部
１２ａ 脚部の外周面
１２ｂ 脚部の根元部
１３ 不活性フィルム
１３ｓ 不活性フィルムの表面
１４ 溝
１４ａ 溝の縁部
１４ｗ 溝の幅
１４ｄ 溝の深さ
１５ 凸部
１５ｗ 凸部の幅
１５ｈ 凸部の高さ
１６ ゴム素地と不活性フィルムとの境界面
２ 医療用ゴム栓
２１ 天板部
２１ａ フランジ部
２１ｂ フランジ部の下面
２１ｃ フランジ部の下面の内縁箇所
２２ 脚部
２３ 不活性フィルム
２３ｓ 不活性フィルムの表面
２４ 溝
２４ａ 溝の縁部
２４ｗ 溝の幅
２４ｄ 溝の深さ
２５ 凸部
２５ｗ 凸部の幅
２５ｈ 凸部の高さ
２６ ゴム素地と不活性フィルムとの境界面

Claims (8)

1. フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備えた医療用ゴム栓であって、
   前記フランジ部の下面及び前記脚部に不活性フィルムが積層され、
   前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出した円環状の溝が形成されていることを特徴とする医療用ゴム栓。
2. 前記溝の少なくとも一方の縁に、隣接する前記不活性フィルムの表面よりも盛り上がった凸部が形成されており、隣接する前記不活性フィルムの表面からの前記凸部の高さが、１〜４０μｍであることを特徴とする請求項１に記載の医療用ゴム栓。
3. 前記溝が、少なくとも前記脚部の外周面に形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の医療用ゴム栓。
4. 前記溝が、少なくとも前記脚部の根元部に形成されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の医療用ゴム栓。
5. 前記溝の幅が０．１〜１０ｍｍであることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の医療用ゴム栓。
6. 前記不活性フィルムの厚みが２００μｍ以下であることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の医療用ゴム栓。
7. フランジ部を有する円板状の天板部と、該天板部の下面から突出した該天板部よりも小径の円筒状の脚部とを備える医療用ゴム栓の製造方法であって、
   不活性フィルムが前記フランジ部の下面及び前記脚部に連続して積層されたゴム栓を一段成型する成型工程と、
   前記不活性フィルムが積層された前記フランジ部の下面及び／又は前記脚部の外周面に、ゴム素地が露出するように円環状の溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法。
8. 前記溝形成工程において、前記溝をレーザー加工によって形成することを特徴とする請求項７に記載の医療用ゴム栓の製造方法。
   

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