JP2017201241A - スペクトルデータ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃度によるスペクトルパターン変動の影響を抑えた波長スペクトルの比較を行うことのできるスペクトルデータ処理装置を提供する。【解決手段】波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するスペクトルデータ処理装置において、測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定部45と、既知成分について、各々異なる濃度の該既知成分に関する複数のスペクトルから成るスペクトルセットを記憶したスペクトルセット記憶部44から、前記スペクトルセットに含まれる複数のスペクトルの中で前記目的スペクトルに最も大きさが近いスペクトルを抽出するスペクトル抽出部46と、前記目的スペクトルとスペクトル抽出部46により抽出されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出部47とを設ける。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば溶出試験装置などの分析装置を用いた試料の分析で得られた波長スペクトルのデータを処理するためのスペクトルデータ処理装置に関する。
溶出試験は、内服用固形製剤である医薬品の品質を一定水準に確保し、生物学的非同等性を防ぐことを図るための試験の一つであり、日本薬局方等にその試験方法が規定されている。こうした溶出試験を行う装置(溶出試験装置)は、試験対象である固形製剤を溶媒中に溶解させるとともにその溶出液を決まった経過時間毎に採取する溶出処理部と、採取された溶出液に対して所定の測定を行う溶出液測定部から成り、従来、前記溶出液測定部として液体クロマトグラフを用いた液体クロマトグラフ溶出試験装置(以下、LC溶出試験装置と称す)が知られている(例えば特許文献1を参照)。前記LC溶出試験装置では、溶出処理部で採取された溶出液を液体クロマトグラフのカラムに導入して成分毎に分離した上で検出器に導入する。このとき、該検出器としてPDA検出器などのマルチチャンネル型の光検出器を備えた紫外可視分光光度計、赤外分光光度計、近赤外分光光度計、又は蛍光分光光度計(以下、単に分光光度計と総称する)を用いることにより、横軸を波長とし、縦軸を強度(信号強度や吸光度)とした波長スペクトルを得ることができる。
得られた波長スペクトルはパーソナルコンピュータ等から成るデータ処理装置に送られ、該データ処理装置において該波長スペクトルを基に前記固形製剤から溶出した成分の同定や定量などの処理が行われる。すなわち、所定の時間間隔で得られる複数の波長スペクトルに基づいて、横軸を時間とし、縦軸を強度としたクロマトグラムが作成され、そのクロマトグラム上に現れるピーク(以下「クロマトピーク」とよぶ)の面積や高さから前記固形製剤の溶出率が算出される。更に、一つの固形製剤に対する時間経過に伴う溶出率をグラフ化することにより溶出曲線を作成することができる。また、前記クロマトピークが出現している時間範囲のいずれかの時刻(例えばピークトップの時刻)における波長スペクトルを、予め同定テーブルに登録された既知物質の波長スペクトルと比較することにより、該クロマトピークに対応する成分を同定することができる。
特開平5-87819号公報 特開昭61-111425号公報
上記のようなスペクトルの比較による成分同定は、同一成分であれば波長スペクトルのパターンが相似形となることを前提としている。しかしながら、実際には、同一成分に由来するものであっても、その成分濃度によってスペクトルパターンが微妙に変化する。例えば、図11に示す波長スペクトルは、3種類の濃度(10 ppm, 100 ppm, 200 ppm)のカフェインについて得られた波長スペクトルを縦軸方向に拡大又は縮小して重畳したものである。これらのスペクトルは理想的には完全に一致するはずであるが、実際には同図から明らかなように、スペクトルパターンに差異が生じている。これは、試料の濃度によって迷光による影響を受ける度合いが変化するためである。すなわち、試料濃度が低い場合は該試料を透過して検出器に入射する光の強度が大きいため、検出器からの出力信号に占める迷光由来の信号成分の割合は小さくなる。一方、試料濃度が高い場合は該試料を透過して検出器に入射する光の強度が小さくなるため、検出器からの出力信号に占める迷光由来の信号成分の割合が相対的に大きくなることとなる。
こうした試料濃度によるスペクトルパターンの差異は僅かなものであるため、スペクトルパターンが大きく異なる成分同士を比較する際には無視することができる。しかし、スペクトルパターンがよく似た成分同士を区別するためには、こうした差異を考慮したスペクトル比較を行う必要がある。
なお、ここではLC溶出試験装置によって得られた波長スペクトルの処理を例に挙げたが、このほか、溶出処理部から採取された溶出液をカラムで分離することなく、PDA検出器などのマルチチャンネル型の光検出器を備えた分光光度計や、高速での波長走査が可能な分光光度計(例えば紫外可視分光光度計)に直接導入して成分分析を行う分光光度計溶出試験装置によって得られた波長スペクトルの処理や、溶出試験以外で取得した試料についてHPLC分析や分光光度計への直接導入による分析を行って得られた波長スペクトルの処理においても同様の問題が生じる。
本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、濃度によるスペクトルパターン変動の影響を抑えた波長スペクトルの比較を行うことのできるスペクトルデータ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明に係るスペクトルデータ処理装置は、
波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するデータ処理装置であって、
a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定手段と、
b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットを記憶したスペクトルセット記憶手段から、前記スペクトルセットに含まれる複数のスペクトルの中で前記目的スペクトルに最も大きさが近いスペクトルを抽出するスペクトル抽出手段と、
c)前記目的スペクトルと前記スペクトル抽出手段により抽出されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出手段と、
を有することを特徴としている。
なお、前記スペクトルの「大きさ」とは、該スペクトルにおける強度の代表値を意味している。ここで、前記「強度の代表値」は、例えば、該スペクトル中の所定の波長範囲における信号強度の最大値や、該所定波長範囲における該スペクトルの面積値、又は該スペクトルの内積の平方根等とすることができる。
上記構成から成る第1発明に係るスペクトルデータ処理装置では、既知成分について予め複数の濃度におけるスペクトルが取得され、これらが該既知成分に関するスペクトルセットとして前記スペクトルセット記憶手段に記憶されている。そして、スペクトルパターンの比較を行う際に、前記スペクトルセットの中で目的スペクトルに最も大きさが近いスペクトルを抽出してこれを目的スペクトルとの類似度計算に使用する。ここで、スペクトルの「大きさ」は、該スペクトルが取得された際の試料の濃度に依存するため、上記のように大きさの近いスペクトル同士を比較する構成とすることにより、濃度差の影響を抑えた確度の高いスペクトルパターン比較を行うことが可能となる。なお、上述のような迷光による検出信号への影響の大きさは、試料濃度だけでなく、試料の測定を行う装置の構成(例えば光学素子の種類や配置など)によっても異なってくる。そのため、前記スペクトルセットに含まれる各スペクトルは、前記目的スペクトルの取得に用いる測定装置と同一の装置又は同一構成の装置(例えば同一機種の装置)によって取得したものとすることが望ましい。
なお、前記スペクトルセット記憶手段は、本発明に係るスペクトルデータ処理装置に含まれるものであってもよく、あるいは該スペクトルデータ処理装置と直接又はネットワークを介して接続された外部装置に含まれるものとしてもよい。
また、該スペクトルセット記憶手段は、一つの既知成分に関するスペクトルセットのみを記憶したものであってもよく、複数の既知成分に関する複数のスペクトルセットを記憶したものであってもよい。
例えば、上述の溶出試験において検出すべき成分が予め一つの既知成分に決まっているような場合には、前記スペクトルセット記憶手段に該一つの既知成分に関するスペクトルセットのみを記憶しておく。そして、前記スペクトル抽出手段は、該一つのスペクトルセットの中から大きさが目的スペクトルに最も近いスペクトルを抽出して、抽出されたスペクトルと目的スペクトルとの類似度を前記類似度算出手段によって算出する。これにより、前記目的スペクトルに対応する成分が前記一つの既知成分と同一の成分であるかどうかを確認することができる。
一方、例えば、上述の溶出試験において検出すべき成分が複数ある場合には、前記スペクトルセット記憶手段に複数の既知成分に関する複数のスペクトルセットを記憶しておく。そして、前記スペクトル抽出手段が、該複数のスペクトルセットのそれぞれから、目的スペクトルに大きさが最も近いスペクトルを抽出し、更に前記類似度算出手段が、前記スペクトル抽出手段によって抽出された複数の既知成分に関するスペクトルをそれぞれ目的スペクトルと比較して類似度を算出する。これにより、前記複数の既知成分の中から前記目的スペクトルに対応する成分と同一又は最も類似した成分を特定することができる。
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係るスペクトルデータ処理装置は、
波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するデータ処理装置であって、
a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定手段と、
b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、スペクトルの大きさが前記目的スペクトルの大きさと等しくなる濃度における前記既知成分のスペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
c)前記目的スペクトルと前記スペクトル作成手段で作成されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出手段と、
を有するものであってもよい。
上記構成から成る第2発明に係るスペクトルデータ処理装置では、既知成分について予め種々の濃度で取得されたスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、前記目的スペクトルと大きさが等しくなるような濃度における該既知成分のスペクトルを作成し、これを前記目的スペクトルとの類似度算出に用いる。上述の通り、スペクトルの「大きさ」は、該スペクトルが取得された際の試料の濃度に依存する。そのため前記第2発明の構成により、濃度差の影響を抑えた確度の高いスペクトルパターン比較を行うことが可能となる。
更に、上記第1発明又は第2発明に係るスペクトルデータ処理装置は、
d)所定の既知成分について、種々の濃度で取得された該既知成分についての複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、任意の濃度における該既知成分の推定スペクトルを作成すると共に、該推定スペクトルの大きさが前記目的スペクトルの大きさと等しくなるときの該既知成分の濃度を求め、該濃度を前記目的スペクトルに対応する成分の濃度として推定する濃度推定手段、
を有するものとすることができる。
あるいは、上記第1発明又は第2発明に係るスペクトルデータ処理装置は、
d)所定の既知成分について、種々の濃度で取得された該既知成分についての複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、任意の濃度における該既知成分の推定スペクトルを作成すると共に、該推定スペクトルと前記目的スペクトルとの差スペクトルの大きさが最小となるときの前記所定の既知成分の濃度を求め、該濃度を前記目的スペクトルに対応する成分の濃度として推定する濃度推定手段、
を有するものとすることもできる。
これらの構成により、例えば前記類似度算出手段による類似度算出の結果、前記目的スペクトルに対応する成分と同一又は類似すると推定された既知成分を上記の「所定の既知成分」として前記濃度推定手段による濃度推定を行うことにより、従来のようにクロマトピークの高さや面積を求めることなしに、前記目的スペクトルに対応する成分の定量を行うことが可能となる。
以上の通り、上記第1発明又は第2発明に係るスペクトルデータ処理装置によれば、濃度によるスペクトルパターン変動の影響を抑えた波長スペクトルの比較を行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る溶出試験システムのブロック図。 同実施形態における溶出処理部の概略構成図。 同実施形態における溶出液測定部の概略構成図。 同実施形態における制御/処理部の要部構成を示す図。 同実施形態における同定テーブルの一例を示す図。 同実施形態における同定処理の手順を示すフローチャート。 本発明の第2実施形態における制御/処理部の要部構成を示す図。 同実施形態における同定処理の手順を示すフローチャート。 第1実施形態又は第2実施形態の溶出試験システムにおける溶出液測定部の別の例を示す図。 液体クロマトグラフにより得られる3次元データの概念図(a)及び波長クロマトグラムの一例を示す図(b)。 濃度によるスペクトルパターンの変動の一例を示す図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明を行う。
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係るスペクトルデータ処理装置を備えた溶出試験システムの概略構成図である。この溶出試験システムは、試験対象である固形製剤を溶媒中に溶出させると共に、該固形製剤が溶出した溶媒(以下溶出液とよぶ)を定期的又は任意の時刻に採取する溶出処理部10と、紫外可視分光光度計から成り、溶出処理部10で採取された溶出液を分光測定する溶出液測定部20と、前記各部の動作を制御すると共に溶出液測定部20で得られた測定データの処理を行う制御/処理部30(本発明のスペクトルデータ処理装置に相当)を備えている。溶出処理部10と溶出液測定部20の間には溶出処理部10で採取された溶出液を溶出液測定部20に送るための送液流路50が設けられている。
溶出処理部10の構成の一例を図2に示す。なお同図の一部は垂直断面図として描かれている。この溶出処理部10には、上部に容器保持口11aを有する槽体である貯水槽11を有し、該貯水槽11の底部にはヒータ12及び温度センサ13が配設されている。温度センサ13としては、例えば熱電対や白金抵抗等を用いて構成されたものが用いられる。貯水槽11の容器保持口11aには、日本薬局方の規定に従って作成された試験容器14がセットされる。試験容器14は、外から錠剤の溶解状態を観察できるようにするため、ガラス製とするのが一般的である。試験容器14には、棒状の軸体15aの下部側面に一対の翼体15bを互いに逆方向に向けて固定して成るステンレス製の撹拌子(パドル)15が挿入されている。パドル15の軸体15aの上端はモータ16の回転軸に固定されている。溶出処理部10には、更に、先端が試験容器14内に挿入される採取管17と、該採取管17を介して試験容器14内の液体を吸引して上述の送液流路50に送出するためのポンプ18とを備えている。
溶出液測定部20の構成の一例を図3に示す。この溶出液測定部20は、光電変換素子アレイ(多数の光電変換素子を一列に配置した受光器)を用いて複数の波長を同時に測光する同時測光型分光光度計から成るものである。溶出液測定部20にはフローセル23が設けられており、送液流路50を介して溶出処理部10から送られてきた溶出液は該フローセル23の内部を通過する。溶出液測定部20の光源21で生成された白色光は、集光レンズ22で集光され、フローセル23を流れる溶出液を透過して入口スリット24に投射される。ここで白色光は前記溶出液を透過する際、該溶出液に含まれる成分に特有の波長で吸収を受ける。入口スリット24を通過した白色光は分光素子(グレーティング)25により波長分散され、光電変換素子アレイ(PDA検出器)26により波長毎の強度が測定される。PDA検出器26は、アナログ検出信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしてデジタル値に変換するA/D変換器27に接続されており、A/D変換器27はデジタル化された検出信号を制御/処理部30に送出する。
制御/処理部30の構成の一例を図4に示す。制御/処理部30の実態は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)31にメモリ32、LCD(Liquid Crystal Display)等から成るモニタ(表示部)33、キーボードやマウス等から成る入力部34、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置から成る記憶部40が互いに接続されている。記憶部40には、OS(Operating System)41、溶出処理部10及び溶出液測定部20の動作を制御するための溶出試験装置制御プログラム42、及び前記A/D変換器27から送出された検出信号を処理するためのスペクトルデータ処理プログラム43が記憶されると共にスペクトルセット記憶部44が設けられている。制御/処理部30は、更に、外部装置との直接的な接続や、外部装置等とのLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した接続を司るためのインターフェース(I/F)35を備えており、該I/F35よりネットワークケーブルNW(又は無線LAN)を介して溶出処理部10及び溶出液測定部20に接続されている。
スペクトルセット記憶部44には、試料成分の同定に用いるデータとして、図5に示すような同定テーブルが記憶されている。この同定テーブルには、複数の既知成分についてそれぞれ複数の濃度で取得された吸収スペクトルである標準スペクトルが登録されている。なお、図5では各標準スペクトルの名称のみを示しているが、実際にはそれぞれが横軸を波長とし、縦軸を吸光度とする吸収スペクトルのデータである。ここでは一例として2つの既知成分(成分A及び成分B)について、それぞれ5種類の濃度(1 ppm, 10 ppm, 100 ppm, 500 ppm, 及び1000 ppm)での吸収スペクトルが登録された同定テーブルを示すが、登録する既知成分の数及び濃度の数はこれに限定されるものではない。この例において、成分Aについて登録された5種類の標準スペクトル(図5中のA1、A10、A100、A500、及びA1000)のセットが該成分Aに関するスペクトルセット(スペクトルセットAとよぶ)であり、成分Bについて登録された5種類の標準スペクトル(図5中のB1、B10、B100、B500、及びB1000)のセットが該成分Bに関するスペクトルセット(スペクトルセットBとよぶ)である。
なお、本実施形態では制御/処理部30内にスペクトルセット記憶部44を格納するものとしたが、これに限らず、スペクトルセット記憶部44は、I/F35を介して制御/処理部30に直接接続された外部装置に格納してもよい。また、制御/処理部30をI/F35を介してインターネット等のコンピュータネットワークに接続し、該ネットワーク上のサーバ等にスペクトルセット記憶部44を格納してもよい。
図4においては、スペクトルデータ処理プログラム43に係るように、大きさ特定部45、スペクトル抽出部46、及び類似度算出部47が示されている。これはいずれも基本的にはCPU31がスペクトルデータ処理プログラム43をメモリ32に読み出して実行することによりソフトウエア的に実現される機能手段である。なお、スペクトルデータ処理プログラム43は必ずしも単体のプログラムである必要はなく、例えば溶出試験装置制御プログラム42の一部に組み込まれた機能であってもよく、その形態は特に問わない。
本実施形態に係る溶出試験システムを用いた溶出試験は次のような手順で行われる。まず、貯水槽11に水を溜め、試験容器14を貯水槽11の容器保持口11aにセットし、その試験容器14に、試験錠剤19を溶解させる溶媒を規定量だけ入れる。次に、試験担当者(ユーザ)が、制御/処理部30に設けられた入力部34を所定の方法で操作することにより、試験の開始を指示すると、制御/処理部30はヒータ12及びモータ16への通電を開始する。ここで、モータ16への通電量は、パドル15が軸体15aを中心として規定の速度で回転するように予め定められている。一方、ヒータ12への通電量は、温度センサ13の出力信号に基づいて求められる水温が規定範囲内で維持されるように、制御/処理部30によりフィードバック制御される。このようにヒータ12へ通電しつつ、制御/処理部30は上記のように求められた水温を表示部33に表示する。水温が規定範囲内で安定したことを確認したら、ユーザが試験容器14に試験錠剤19を投入すると共に、入力部34で所定の操作を行うことにより、制御/処理部30に経過時間のカウント開始を指示する。
前記経過時間のカウントが開始されると、その後、制御/処理部30は所定のタイミングで(例えば予め定められた時間おきに)ポンプ18を駆動し、試験容器14内の液体(溶出液)を所定量だけ試験容器14から採取して溶出液測定部20のフローセル23に送出する。そして、採取した溶出液がフローセル23内に存在しているタイミングで測定を行うよう、制御/処理部30が溶出液測定部20を制御する。これにより、溶出液測定部20では該溶出液を透過した光が回折格子25で分光された上でPDA検出器26にて波長毎に検出される。そして、その検出信号がA/D変換器27を介して制御/処理部30に入力される。
以上により得られた検出信号は、溶出液を透過した光の波長及び強度の情報を含んでいる。制御/処理部30では、上記の検出信号を基に、横軸に波長を、縦軸に吸光度をとった吸収スペクトルを作成する。なお、前記溶出液には試験錠剤19から溶出した複数の成分が混在していると考えられるため、制御/処理部30では、多変量解析によって前記吸収スペクトルを成分毎の吸収スペクトルに分離し、得られた複数の吸収スペクトルのうちの一つを目的スペクトルUとして以降の処理に使用する。なお、目的スペクトルUは前記複数の吸収スペクトルの中からユーザが任意のものを選択するようにしてもよく、あるいは予め定められた条件を満たす吸収スペクトルを装置側で自動的に目的スペクトルUとして選択するようにしてもよい。
続いて、スペクトルデータ処理プログラム43が、前記目的スペクトルUのスペクトルパターンに基づいて該目的スペクトルUに対応する成分を同定する。この同定処理の手順について図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、大きさ特定部45が前記目的スペクトルUの大きさ||U||として該スペクトルU上の所定の波長範囲における信号強度の最大値を特定する(ステップS201)。なお、前記所定の波長範囲は、例えばPDA検出器26による測定波長範囲の全域や、予めユーザが指定した波長範囲等とすることができる。また、ここでは目的スペクトルU上の所定の波長範囲における信号強度の最大値を該スペクトルの大きさ||U||と定義したが、これに限らず、例えば所定の波長範囲における目的スペクトルUの面積値、又は目的スペクトルUの内積の平方根等を該スペクトルの大きさ||U||としてもよい。
続いて、スペクトル抽出部46がスペクトルセット記憶部44に記憶された各スペクトルセットの中からステップS201で求められた目的スペクトルUの大きさ||U||に最も近い大きさを有する標準スペクトルを抽出する(ステップS202)。具体的には、まず上述のスペクトルセットAに含まれる5つの標準スペクトルA1、A10、A100、A500、及びA1000について、それぞれ該スペクトルの大きさ||A1||、||A10||、||A100||、||A500||、及び||A1000||を特定する。なお、ここで、「スペクトルの大きさ」は、前記ステップS201における「スペクトルの大きさ」と同様の方法で求めるものとする。すなわちステップS201で所定の波長範囲における信号強度の最大値を目的スペクトルUの大きさとした場合には、本ステップにおいても同一の波長範囲における信号強度の最大値を各標準スペクトルの大きさとする。また、ステップS201で所定の波長範囲におけるスペクトルの面積を目的スペクトルUの大きさとした場合には、本ステップにおいても同一の波長範囲におけるスペクトルの面積を各標準スペクトルの大きさとする。そして、上記の標準スペクトルA1、A10、A100、A500、及びA1000の中で前記目的スペクトルUと大きさが最も近かったもの(例えば、標準スペクトルA100)を後述の類似度算出に使用する標準スペクトルとして決定する。同様に、スペクトルセットBに含まれる5つの標準スペクトルB1、B10、B100、B500、及びB1000について、それぞれ該スペクトルの大きさ||B1||、||B10||、||B100||、||B500||、及び||B1000||を特定し、前記目的スペクトルUと大きさが最も近かったもの(例えば、標準スペクトルB500)を後述の類似度算出に使用する標準スペクトルとして決定する。
次に、類似度算出部47が、ステップS202で各スペクトルセットから抽出された標準スペクトル(上記の例では標準スペクトルA100と標準スペクトルB500)のそれぞれを目的スペクトルUと比較することにより、目的スペクトルUと各標準スペクトルとのスペクトルパターンの類似度をそれぞれ算出する(ステップS203)。ここで、類似度の算出方法としては、例えば、特許文献2に記載されている方法を用いることができる。すなわち、スペクトル中のn種類の波長λk(kは1〜nの整数)における強度Ikを成分とするn次元ベクトルを定義し、目的スペクトルUにより定義されるn次元ベクトルと標準スペクトルにより定義されるn次元ベクトルとの内積を両ベクトルの大きさの積で除したもの(すなわち両ベクトルの成す角θの余弦)をスペクトル類似度r(=cosθ)として定める。両スペクトルが完全に一致した場合にスペクトル類似度rは1となり、2つのベクトルの成す角θが大きくなるほど、すなわち2つのスペクトルパターンの差異が大きくなるほど、類似度r(=cosθ)はゼロに近づくこととなる。
以上により、目的スペクトルUと各標準スペクトルとの類似度が算出されると、その結果が表示部33の画面上に表示される(ステップS204)。例えば、上記類似度算出の結果、標準スペクトルA100と目的スペクトルUとの類似度の値rの方が、標準スペクトルB500と目的スペクトルUとの類似度の値rよりも大きかった場合、目的スペクトルUに対応する成分の第1候補として成分Aが、第2候補として成分Bが、それぞれ類似度r、rの値と共に表示部33に表示される。
以上のように、本実施形態に係るスペクトルデータ処理装置では、各既知成分に関するスペクトルセットの中で目的スペクトルUに最も大きさが近いものを使用して類似度算出を行う。スペクトルの大きさは該スペクトルが取得された際の試料の濃度に依存するため、このように大きさの近いスペクトル同士を比較することにより、濃度の違いによるスペクトル形状の変動の影響を抑えて確度の高いスペクトルパターン比較を行うことができる。そのため、仮に成分Aと成分Bのスペクトルパターン同士が似通っている場合でも、正確に同定処理を行うことができる。
[実施形態2]
次に、本発明に係るスペクトルデータ処理装置の別の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る溶出試験システムにおける制御/処理部130(本発明におけるスペクトルデータ処理装置に相当)の概略構成図である。なお、システム全体の構成、並びに溶出処理部10及び溶出液測定部20の構成は、図1〜図3で示したものと同様であるため説明を省略する。また、図7に示した各構成要素のうち、既に説明した図4と同一又は対応するものについては下二桁が共通する符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態における制御/処理部130では、スペクトルデータ処理プログラム143によって実行される同定処理の内容が第1実施形態におけるものと異なっている。すなわち、本実施形態では、まず前記スペクトルセットに含まれる種々の濃度における標準スペクトルに基づいて既知成分の任意の濃度におけるスペクトル(推定スペクトル)を求める。そして、該推定スペクトルの大きさが同定対象である目的スペクトルUの大きさと等しくなる濃度を求める。その後、該濃度における前記既知成分のスペクトルを前記推定スペクトルから導出し、これを目的スペクトルUとの類似度計算に使用する。こうした処理を実現するための機能ブロックとして、図7では、スペクトルデータ処理プログラム143に係るように、大きさ特定部145、比較対象スペクトル生成部148(本発明におけるスペクトル作成手段に相当)、及び類似度算出部147が示されている。
以下、本実施形態の制御/処理部130における同定処理の手順について図8のフローチャートを参照しつつ説明を行う。
まず、上述の第1実施形態と同様に、スペクトルデータ処理プログラム143が溶出液測定部20から入力された検出信号を基に目的スペクトルUを生成し、大きさ特定部145が前記目的スペクトルUの大きさ||U||を特定する(ステップS301)。
次に、比較対象スペクトル生成部148が、スペクトルセット記憶部144に記憶された各既知成分のスペクトルセットを読み出し、それに基づいて各既知成分の任意の濃度における推定スペクトルを導出する(ステップS302)。
例えば、成分Aのn個の波長λ、λ、…λでの吸光度をそれぞれA(λ)、A(λ)、…A(λ)とすると、これらの吸光度は、種々の濃度の成分Aに関する複数の標準スペクトルにおける各波長λ、λ、…λでの吸光度をそれぞれ二次式で最小二乗近似することにより以下のように表すことができる。
A(λ)=a+bx+c
A(λ)=a+bx+c

A(λ)=a+bx+c
更に、任意の濃度xにおける成分Aの吸収スペクトル(推定スペクトル)は、上記のn個の波長における吸光度A(λ)、A(λ)、…A(λ)を成分とするベクトルA(x)=[A(λ)、A(λ)、…A(λ)]で表すことができる。
そして、上記の係数a、a、…aを成分とするベクトルをαとし、上記の係数b、b、…bを成分とするベクトルをα、上記の係数c、c、…cを成分とするベクトルをαとすると、前記推定スペクトルA(x)は次のように表すことができる。
A(x)=α+αx+α
なお、推定スペクトルA(x)の求め方は上記に限らず、例えば、最小二乗法によって三次以上の多項式に近似することで求めてもよい。また、推定スペクトルA(x)を一次補間により求めるようにしてもよい。
続いて、比較対象スペクトル生成部148が、前記推定スペクトルA(x)に基づいて、成分Aのスペクトルの大きさが目的スペクトルUの大きさ||U||と等しくなるような濃度xu1における成分AのスペクトルA(xu1)を求める(すなわち、||A(xu1)||=||U||)(ステップS303)。そして、類似度算出部147が、このスペクトルA(xu1)を比較対象スペクトルとして目的スペクトルUとの類似度を算出する(ステップS304)。
同様に、成分BについてもステップS302において推定スペクトルB(x)が求められ、更に、ステップS303において、該推定スペクトルB(x)に基づいて、成分Bのスペクトルの大きさが目的スペクトルUの大きさ||U||と等しくなるような濃度xu2における成分BのスペクトルB(xu2)が求められる(すなわち||B(xu2)||=||U||)。そして、ステップS304においてこのスペクトルB(xu2)を比較対象スペクトルとして目的スペクトルUとの類似度が算出される。
以上により、目的スペクトルUと比較対象スペクトルであるスペクトルA(xu1)、B(xu2)との類似度が算出されると、その結果が表示部の画面上に表示される(ステップS305)。例えば、上記類似度算出の結果、スペクトルA(xu1)と目的スペクトルUとの類似度の値rの方が、スペクトルB(xu2)と目的スペクトルUとの類似度の値rよりも大きかった場合、目的スペクトルUに対応する成分の第1候補として成分Aが、第2候補として成分Bが、それぞれ類似度r、rの値と共に表示部133に表示される。
以上のように、本実施形態に係るスペクトルデータ処理装置では、各既知成分A、Bに関するスペクトルセットから目的スペクトルUと大きさが等しい比較対象スペクトルA(xu1)、B(xu2)を生成し、これらの比較対象スペクトルと目的スペクトルUとの類似度算出を行う。スペクトルの大きさは該スペクトルが取得された際の試料の濃度に依存するため、このように大きさの等しいスペクトル同士を比較することにより、濃度の違いによるスペクトル形状の変動の影響を抑えて確度の高いスペクトルパターン比較を行うことができる。従って、仮に成分Aと成分Bのスペクトルパターン同士が似通っている場合でも、正確に同定処理を行うことができる。
また、本実施形態に係る制御/処理部130では、目的スペクトルUに基づいて前記溶出液中における該目的スペクトルに対応する成分(目的成分)の定量を行うことができる。これを実現するための機能ブロックとして図7には、スペクトルデータ処理プログラム143に係るように目的成分定量部149(本発明における濃度推定手段に相当)が示されている。
例えば、上記類似度算出の結果、目的スペクトルUは成分Aに由来するものであると同定された場合、目的成分定量部149は、次の方法で前記溶出液中における成分Aの濃度を算出する。すなわち、上述の任意の濃度xにおける成分Aの推定スペクトルA(x)の大きさが目的スペクトルUの大きさ||U||と等しい大きさになるような成分Aの濃度xu1を求め(実際には、この濃度xu1は上述のステップS303で既に求められているため、改めて算出し直す必要はない)、この濃度xu1を前記溶出液中における成分Aの濃度とする。
あるいは、目的スペクトルUと前記推定スペクトルA(x)の差分スペクトルD(x)=A(x)−Uの大きさが最小となるような成分Aの濃度xu1’を求め、この濃度xu1’を前記溶出液中における成分Aの濃度としてもよい。
以上のような定量方法によれば、従来のように、目的成分のクロマトグラムを取得して該クロマトグラフ上のピークの面積や高さから目的成分を定量するという作業が不要となる。そのため、カラムによる試料の分離を行う必要がなく、試料の分析に要する時間を短縮することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で適宜変更が許容される。例えば、上記実施形態では溶出液測定部20を分光光度計によって構成したが、これに変えて液体クロマトグラフ(HPLC)を用いるようにしてもよい。この場合の溶出液測定部の構成を図9に示す。この溶出液測定部60は、移動相容器61、送液ポンプ62、インジェクタ63、カラム64、及び検出器65を含んでいる。送液ポンプ62により移動相容器61から吸引された移動相は一定流量でカラム64に送られる。インジェクタ63には上述の溶出処理部10から送液流路50を介して溶出液が与えられ、インジェクタ63はその所定量を移動相の流れに注入する。移動相に乗ってカラム64に送り込まれた溶出液はカラム64を通過する間に成分分離され、時間的にずれてカラム64から出て検出器65に到達する。検出器65は、例えば図3で示したようなPDA検出器を備えた分光光度計、又は高速での波長走査が可能な分光光度計であり、カラム64から順次流れ出た成分をこの検出器65で検出することにより、測定対象の溶出液について、時間、吸光度、及び波長をそれぞれ軸とする3次元データが取得される。検出器65による検出信号はA/D変換器66を経て制御/処理部30(又は130)に送出される。
図10は、上述した液体クロマトグラフにより得られる3次元データの概念図である。この3次元データから特定の波長(例えばλ0)における時間方向の吸光度データを抽出することで、その特定の波長λ0における測定時刻(つまりは保持時間)と吸光度との関係を示す、同図(b)に示すような波長クロマトグラム(以下、単に「クロマトグラム」という)を作成することができる。また、3次元データから特定の時点(測定時刻)における波長方向の吸光度を示すデータを抽出することで、該時点における波長と吸光度との関係を示す波長スペクトル(以下、単に「スペクトル」という)を作成することができる。すなわち、図10に示すような3次元データは、波長方向にスペクトル情報を、時間方向にクロマトグラム情報を有しているということができる。
上記のような液体クロマトグラフを備えた溶出試験システムでは、前記3次元データに基づき、制御/処理部30(又は130)において、まずクロマトグラムが作成される。このとき、作成するクロマトグラムの種類は特に限定されるものではなく、例えば、予め指定された波長について各保持時間における信号強度をプロットしたものや、予め指定された複数の波長又は波長範囲について各保持時間における信号強度の合計値又は平均値をプロットしたものとすることができる。また、前記複数の波長又は波長範囲の中で各保持時間における最大の信号強度をプロットしたもの(いわゆるマックスプロット)であってもよい。
続いて、制御/処理部30(又は130)は、前記クロマトグラム上に存在するピークのうちスペクトル切り出しの対象とするピーク(目的ピーク)を決定する。このとき、前記クロマトグラム上に現れる複数のピークの中から所定の条件を満たすピーク(例えば強度が最大のピーク)を装置側で自動的に選択するものとしてもよく、あるいは、前記クロマトグラムを表示部33(又は133)に表示させ、ユーザに入力部34(又は134)を介して該クロマトグラム上の任意のピークを選択させるものとしてもよい。
その後、前記3次元データから、前記クロマトグラム上で前記目的ピークが現れている時間範囲のうちの所定の時刻(典型的にはピークトップの時刻)におけるスペクトルを切り出すことにより目的スペクトルUが生成される。そして、それ以降は、スペクトルデータ処理プログラム43(又は143)によって、上記の実施形態1又は実施形態2と同様の手順により、該目的スペクトルUに相当する成分の同定や定量処理が行われる。
但し、この方法では、目的ピークの時間範囲に複数の成分(例えば主成分と副成分)が溶出していた場合には、得られる目的スペクトルも主成分のスペクトルと副成分のスペクトルとが重畳したものとなってしまい、正しい同定結果や定量結果が得られないおそれがある。また、こうした試料中の複数の成分のほか、溶媒成分や、予期せぬドリフト又はノイズ(溶媒中の気泡やカラムオーブンの不調等によるもの)に起因するピーク(以下、不純物ピークと総称する)が前記目的ピークの時間範囲に重畳していた場合も、同様に正しいスペクトル同定結果やライブラリ検索結果が得られないおそれがある。そこで、前記3次元データについて予めピーク分離処理を行うことにより試料中の個々の成分についての3次元データを生成し、生成された複数の3次元データのうちのいずれか(例えば、ユーザが選択した3次元データや、ピーク強度が最大である3次元データ)に対して、上記のような目的ピークの決定及び目的スペクトルの切り出しを行うようにすることが望ましい。これにより、単一成分に由来する信号のみから成る目的スペクトルを確実に得ることができ、該目的スペクトルを用いることで正確な同定結果を得ることができる。なお、上記のピーク分離処理の手法としては、既に別出願(PCT/JP2014/073196)で提案しているピークデコンボリューション(peak deconvolution)を用いた方法などを採用することができる。
また、本発明に係るスペクトルデータ処理装置及びスペクトルデータ処理方法は、溶出試験以外で取得した試料についてHPLCによる分析や分光光度計への直接導入による分析を行うことで得られたスペクトルの処理にも同様に適用することができる。
10…溶出処理部
14…試験容器
15…パドル
16…モータ
17…採取管
18…ポンプ
19…試験錠剤
20…溶出液測定部
21…光源
23…フローセル
25…回折格子
26…PDA検出器
30、130…制御/処理部
40、140…記憶部
43、143…スペクトルデータ処理プログラム
44、144…スペクトルセット記憶部
45、145…大きさ特定部
46…スペクトル抽出部
47、147…類似度算出部
148…比較対象スペクトル生成部
149…目的成分定量部
50…送液流路

Claims (7)

  1. 波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するデータ処理装置であって、
    a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定手段と、
    b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットを記憶したスペクトルセット記憶手段から、前記スペクトルセットに含まれる複数のスペクトルの中で前記目的スペクトルに最も大きさが近いスペクトルを抽出するスペクトル抽出手段と、
    c)前記目的スペクトルと前記スペクトル抽出手段により抽出されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出手段と、
    を有することを特徴とするスペクトルデータ処理装置。
  2. 波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するデータ処理装置であって、
    a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定手段と、
    b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、スペクトルの大きさが前記目的スペクトルの大きさと等しくなる濃度における前記既知成分のスペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    c)前記目的スペクトルと前記スペクトル作成手段で作成されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出手段と、
    を有することを特徴とするスペクトルデータ処理装置。
  3. 更に、
    d)所定の既知成分について、種々の濃度で取得された該既知成分についての複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、任意の濃度における該既知成分の推定スペクトルを作成すると共に、該推定スペクトルの大きさが前記目的スペクトルの大きさと等しくなるときの該既知成分の濃度を求め、該濃度を前記目的スペクトルに対応する成分の濃度として推定する濃度推定手段、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスペクトルデータ処理装置。
  4. 更に、
    d)所定の既知成分について、種々の濃度で取得された該既知成分についての複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、任意の濃度における該既知成分の推定スペクトルを作成すると共に、該推定スペクトルと前記目的スペクトルとの差スペクトルの大きさが最小となるときの前記所定の既知成分の濃度を求め、該濃度を前記目的スペクトルに対応する成分の濃度として推定する濃度推定手段、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスペクトルデータ処理装置。
  5. コンピュータを請求項1〜4のいずれかに記載のスペクトルデータ処理装置における各手段として機能させるためのプログラム。
  6. 波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するスペクトルデータ処理方法であって、
    a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定ステップと、
    b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットを記憶したスペクトルセット記憶手段から、前記スペクトルセットに含まれる複数のスペクトルの中で前記目的スペクトルに最も大きさが近いスペクトルを抽出するスペクトル抽出ステップと、
    c)前記目的スペクトルと前記スペクトル抽出ステップにより抽出されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出ステップと、
    を有することを特徴とするスペクトルデータ処理方法。
  7. 波長と強度をそれぞれ軸とするスペクトルのデータを処理するスペクトルデータ処理方法であって、
    a)測定対象試料のスペクトルである目的スペクトルの大きさを特定する大きさ特定ステップと、
    b)既知成分に関し、各々異なる濃度で取得された該既知成分の複数のスペクトルから成るスペクトルセットに基づき、スペクトルの大きさが前記目的スペクトルの大きさと等しくなる濃度における該既知成分のスペクトルを作成するスペクトル作成ステップと、
    c)前記目的スペクトルと前記スペクトル作成ステップで作成されたスペクトルとの類似度を算出する類似度算出ステップと、
    を有することを特徴とするスペクトルデータ処理方法。
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