JP2017223670A - 液体クロマトグラフおよび液体クロマトグラフの検出器出力値変動補正手段 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分析結果から最小ピークを判定し、最小ピークのS/N比が最大となる補正波長を決定し、前記決定した補正波長を用いて前記最小ピークの補正を実行する。検出器出力値補正手段を演算装置部内に複数登録しておき、初期設定の補正手段または目的に応じて前記複数登録の補正手段から前記補正手段を選択して補正を実施する。
【選択図】図3
Description
マルチチャンネル検出器のドリフトの波形を補正する処理の一つとして検出波長と同時刻に取得される測定波長とは別波長を平均して補正を行う方法が示されている。(特許文献1参照)
検出器出力値変動の要因であるノイズを計算し、検出成分信号強度とノイズ信号強度の比(以下S/N比)の自動計算方法が示されている。(特許文献2参照)
本発明の目的は検出器出力値変動を簡易に低減する装置および手段の提供により、微量成分由来の微小なクロマトグラフィックピークに対しても、高感度で再現性の良い定性および定量結果を得ることである。
なお、クロマトグラフィックピークとは試料由来による検出器の信号強度の変化量を指す。以下クロマトグラフィックピークをピークと呼ぶ。
本発明は、波長を高速で切り換えることで複数波長の信号強度をほぼ同時に取得する機能を有する2次元検出器に適用しても良い。
以下に検出器出力値変動補正処理を手順に従って示す。
図3に検出器出力値変動補正を行う分析フローを示す。図3上部記載の補正対象ピーク決定フローは各手段共通となっており、図3下部記載の補正波長決定フロー部は以下に示す各手段で異なっているので、手段ごとに説明する。
初めに使用者は補正対象ピーク決定フローにおいて、検出器のデータ収取時間、データ収集間隔、測定波長および測定波長範囲等の分析条件を予め登録されているレシピより選択する(F1)。次に前記選択した分析条件に基づき試料を注入し、分析を実行する(F2)。次に分析結果を解析し、ピーク有無の判定を行う(F3b)。前記ピーク有無の判定する方法の一例として、測定波長において予め設定してある閾値と比較し、前記閾値以上の信号強度の場合はピーク、前記閾値以下の信号強度の場合はピークではないと判定する方法がある。この判定方法では、ピークを判定するための前記閾値は初期値として検出器のノイズレベル仕様値を登録するが、使用者が目的および分析試料の濃度や使用量に応じて別途登録することも可能である。また、測定結果の解析値から得られるベースラインノイズを初期値として登録することも可能である。ピーク有と判定した場合は、得られた分析結果の複数のピークの信号強度を比較して、試料成分由来の最小ピークを判定し、補正対象ピークとして決定する(F4b)。また補正対象となるピークを複数選択することも可能であり、また使用者が任意に一つまたは複数のピークを設定してもよい。
(手段1)測定波長範囲内でかつ測定波長とは別の波長域でピークの有無を検索し(F5a)、ピークの無い波長を補正候補波長として抽出する(F5b)。補正候補波長を抽出する手段として、測定されたクロマトグラムにてあらかじめ設定した閾値よりも小さい信号範囲から抽出する方法や、補正対象ピークのスペクトルを解析する方法がある。補正対象ピークのスペクトルデータを解析する場合、補正対象ピークの吸収が大きい波長域と吸収が小さい波長域を判定し、吸収が小さい波長域から補正候補波長を抽出する。吸収が小さい波長域を判定する手段として、例えば一定の吸収強度値以下から抽出するように閾値Stをあらかじめ設定する方法や、補正対象ピーク強度に対して相対的に小さくなる波長域を自動判定する方法などが考えられる。また、より正確な判定を実現するために前記スペクトルデータの一次導関数及び二次導関数を算出してもよい。図11は補正対象ピーク近傍に夾雑成分が含まれていた場合のスペクトル例を示している。前記導関数から算出されたdf、ddfからスペクトル形状を把握することで、補正対象ピークと夾雑成分の吸収波長域を避けて補正候補波長を抽出することが可能になる。次に決定した前記補正対象ピークのS/N比が最大となるように抽出した前記補正候補波長から補正波長を1波長選択し(F5c)、前記分析フローに基づいて検出器出力値変動補正を実行する(F6)。
前記補正波長は補正対象ピークの吸収波長域を避け、かつ測定波長λ1または最大吸収波長λmaxに近い方が望ましい。補正候補波長は測定波長または最大吸収波長を中心に短波長側、長波長側から抽出する。図12は補正候補波長を選択する際の吸収スペクトルの概念図である。最初に補正対象ピークの吸収波長域を避けて吸収信号が小さい波長域を決定し、最も測定波長または最大吸収波長に近い波長を短波長側と長波長側からそれぞれλU2、λR2として抽出する。次に抽出したλU2、λR2を補正候補波長とし算出されたS/N比を初期値とし、補正候補波長をシフトしながらS/N比が最大となる波長を探す。短波長側、長波長側それぞれの領域で、λnとλn+1のS/N比の大小を比較し、λn+1番目のS/N比がλnのS/N比よりも小さくなったとき、λnを前記補正候補波長λrwlとする。短波長側、長波長側それぞれから抽出された前記補正候補波長λrwlについてS/N比を比較し、S/N比が大きい方の波長を最終的な補正波長とする。
前記補正対象ピーク決定フローに従い補正対象ピークを決定後(F4b)、抽出した補正候補波長から前記補正対象ピークのS/N比再現性が最良となる波長を選択し(F5c)、分析フローに基づいて検出器出力値変動補正を実行する(F6)。
例えば図4、図5、図6に示す分析結果が得られた場合、図4の測定波長λ1の検出器出力値変動補正に図5の波長λ2の信号を使用すると、λ2のドリフト等の特性により、図7に示す様に検出器出力値変動補正に用いた補正波長の特性の影響を受けた結果となる。このような適切ではない補正を回避するために、補正波長にλ2とλ3の信号強度の平均値を使用することで個別の波長に起因するドリフト等の影響を低減し、図8に示す適切な検出器出力値変動補正後の結果を得ることが可能となる。
この手順は前記補正対象ピーク決定フローに従い補正対象ピークを決定後(F4b)、抽出した補正波長候補(F5b)から、複数のピークの無い補正波長を選択し(F5c)、前記選択した複数の補正波長の平均値を用いて検出器出力値変動補正を行う(F6)。
また、補正波長は選択せずにピークの無い全波長の平均値を用いて検出器出力値変動補正を行うことも可能である。
この手順は、最小ピークのS/N比再現性が最良となると共に波長依存性を軽減した検出器出力値変動補正を行うことになり、微量成分を含めた試料の定性および定量解析が可能となる。
前記平均値の算出には単純平均または、重みづけ平均のどちらかを選択する。
前記補正対象ピーク決定フローに従い補正対象ピークを決定後(F4b)、前記補正対象ピークを含めた試料由来の各検出ピークの補正候補波長を抽出し(F5b)、前記試料由来の各検出ピークに対して検出器出力値変動補正処理後のS/N比が最大となる補正波長を選択し(F5c)、検出器出力値変動補正を実行する(F6)。
この手段では、検出器出力値変動補正前に最小ピークを認めているため、他の試料由来ピーク補正の過程において最小ピークが補正処理に埋もれてしまうことを防止でき、かつ最小ピークを含めた試料由来の検出ピークそれぞれに対して、最適な補正波長を用いて検出器出力値変動補正を行い、微量成分を含めた試料の定性および定量解析が可能となる。
前記補正対象ピーク決定フローに従い補正対象ピークを決定後(F4b)、前記補正対象ピークを含めた試料由来の各検出ピークのS/N比の再現性が最良となる補正波長を選択し(F5c)、前記各検出ピークに対して検出器出力値変動補正を実行する(F6)。
この手段を用いることにより、繰返し測定時の再現性を重視し、検出ピークそれぞれに対して適切な補正波長を用いて検出器出力値変動補正を行うことが可能となる。また、検出器出力値変動補正前に最小ピークを認めているため、他の試料由来ピーク補正の過程において最小ピークが補正処理に埋もれてしまうことを防止でき、かつ最小ピークを含めた試料由来の検出ピークそれぞれに対して、最適な補正波長を用いて検出器出力値変動補正を行うので、微小成分を含めた試料の再現性の良い定性および定量解析が可能となる。
以下図を参照して検出器出力値変動補正について示す。
この手段は、検出器出力値変動補正前に最小ピークを認めているため、他の試料由来ピーク補正の過程において最小ピークが補正処理に埋もれてしまうことを防止し、かつ試料由来ピークの各測定波長に対して使用する移動相の吸収スペクトルを元にした適切な補正波長を選択して検出器出力値変動補正を行うので、微小成分を含めた試料の定性および定量解析が可能となる。
本発明の検出器出力値変動補正処理は、実施例に限らず、手段1を初期値(標準)とし、解析の目的に応じてそのほかの手段の1つまたは複数の組合せを選択して行っても良い。
2 ポンプ
3 オートサンプラ
4 カラム
5 カラムオーブン
6 検出器
7 演算処理部
8 データ保持部
9 表示部
100 液体クロマトグラフ
Claims (9)
- ポンプ、オートサンプラ、カラムオーブン、検出器等に対する液体クロマトグラフを使用する際に設定する分析条件を解析目的に応じてあらかじめ登録されているレシピから選択する工程と、
前記工程で選択した分析条件に従い分析を開始し、前記検出器にて試料の吸光度または蛍光量等を測定し、時間に対する吸光度や蛍光量等の前記検出器の信号強度を分析結果として記録及び表示する工程と、
取得したクロマトグラムからピーク有無の判断を行う工程と、
認識されたピークにおいて最も微小な前記分析結果の信号強度のピークを補正対象ピークとして決定する工程と、
前記補正対象ピークに対する補正候補波長を決定する工程と、
予め登録してある手段から選択した補正手段に基づき前記検出器出力値変動を補正処理する工程と、
前記補正処理後、分析条件と補正条件と補正後の前記吸光度及び前記蛍光量等の結果を表示および出力する工程と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段。 - 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段は前記補正対象ピークの検出器出力信号と前記補正波長における検出器出力信号の比(以下S/N比)が最大となる補正波長を1波長選択し、前記補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段はS/N比の再現性が最良となる補正波長を1波長選択し、前記補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段はS/N比の再現性が最良となる複数の補正波長を選択し、前記選択した複数の波長における前記検出器出力値の平均値を使用して、前記補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段は各測定対象成分の前記補正対象ピークのS/N比が最大となるようにそれぞれ補正波長を選択し、前記各補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段は各測定対象成分の補正対象ピークのS/N比の再現性が最良となる複数の補正波長を選択し、前記選択した複数の波長における前記検出器出力値の平均値を使用して、前記補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 請求項1に記載の液体クロマトグラフの検出器出力値補正手段において、前記検出器出力値補正手段は、液体クロマトグラフィーで使用する移動相の吸収波長をデータベースとして予め登録しておき、前記移動相を選択することにより、前記データベースから補正候補波長が選択され、前記選択された補正波長を用いて、前記補正対象ピークの検出器出力信号を補正する検出器出力値補正手段。
- 移動相を送液するポンプと、
試料を注入するオートサンプラと、
成分を分離するカラムを恒温化するカラムオーブンと、
分離された成分を検出する検出器と、
保存されている分析条件から測定時のレシピを選択し、登録されている検出器出力値補正処理手段を選択し、分析結果を解析する演算処理部と、
分析結果および解析結果を保存するデータ保持部と
前記分析条件、前記分析結果および前記解析結果を表示する表示部と、
を備え、
上記演算処理部は、分析条件を解析目的に応じてあらかじめ登録されているレシピから選択し、前記選択した分析条件に従い分析を行い、試料の吸光度または蛍光量等を時間に対する吸光度や蛍光量等の検出器の信号強度を分析結果として、取得したクロマトグラムからピーク有無の判断を行い、前記試料の吸光度や蛍光量等の検出器の信号強度から認識されたピークにおいて最小ピークを補正対象ピークとして決定し、前記補正対象ピークに対する補正候補波長を選択し、予め登録されている検出器出力値補正手段を選択し、前記選択した検出器出力値補正手段に基づき補正処理を実施する、
ことを特長とする液体クロマトグラフ。 - 移動相を送液するポンプと、
試料を注入するオートサンプラと、
成分を分離するカラムを恒温化するカラムオーブンと、
分離された成分を検出する検出器と、
保存されている分析条件から測定時のレシピを選択し、登録されている検出器出力値補正処理手段を選択し、分析結果を解析する演算処理部と、
分析結果および解析結果を保存するデータ保持部と
前記分析条件、前記分析結果および前記解析結果を表示する表示部と、
を備え、
上記演算処理部は、分析条件を解析目的に応じてあらかじめ登録されているレシピから選択し、前記選択した分析条件に従い分析を行い、試料の吸光度または蛍光量等を時間に対する吸光度や蛍光量等の検出器の信号強度を分析結果として、取得したクロマトグラムからピーク有無の判断を行い、前記試料の吸光度や蛍光量等の検出器の信号強度から認識されたピークにおいて複数のピークを補正対象ピークとして決定し、前記補正対象ピークに対する補正候補波長を複数選択し、予め登録されている検出器出力値補正手段を選択し、前記選択した検出器出力値補正手段に基づき補正処理を実施する、
ことを特長とする液体クロマトグラフ。
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