JP5333295B2 - クロマトグラムピーク純度判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフなどから得られるデータを処理するデータ処理装置に関し、さらに詳しくは、フォトダイオードアレイ検出器などのマルチチャンネル型検出器を用いたクロマトグラフから得られるクロマトグラムに現れたピークの純度を判定する装置に関する。
液体クロマトグラフなどで試料を分析すると、分析した試料に含まれる成分に対応するピークがクロマトグラム上に出現する。しかし、クロマトグラム上で単一形状に見えるピークが必ずしも単一成分によるものであるとは限らず、液体クロマトグラフのカラムで充分に分離されなかった複数の成分が重なり合っている場合もある。そこで、従来より、クロマトグラム上のピークが単一成分によるものかどうかを判定するために、クロマトグラムピーク純度判定装置が用いられている。
非特許文献1には、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を用いた液体クロマトグラフによって得られるクロマトグラムにおけるピーク純度判定方法が開示されている。PDA検出器を用いると、波長、保持時間、信号強度の3つの次元を含むデータが得られる。上記文献には、2つのピーク純度判定方法が記載されている。
一つ目の方法は、クロマトグラム上の或るピークの純度を判定する際に、そのピークトップ、ピーク上昇スロープ、及びピーク下降スロープの3点における吸収スペクトルのパターンを比較し、ピークトップにおけるスペクトルパターンとピーク上昇スロープにおけるスペクトルパターンとの一致度、及び、ピークトップにおけるスペクトルパターンとピーク下降スロープにおけるスペクトルパターンとの一致度、をそれぞれ求める。(スペクトルパターンの一致度の求め方は特許文献1に詳しく開示されている。)そして、その2つの一致度の平均値を求め、それが予め定めた閾値に比べて大きいか否かにより、単一ピークであるか否かを判定する。
もう一つの方法は、ピークトップの吸収スペクトルとピーク開始時点からピーク終了時点までの各吸収スペクトルとの間の類似度と閾値とを計算し、[類似度]−[閾値]の値を時間軸に対しプロットして、そのピークが現れている時間中に[類似度]−[閾値]の値が負になることがあるか否かを判断することにより、ピークの純度を判定するものである(非特許文献2)。
特公平7-74761号公報
水戸康敬、北岡光夫、「島津HPLC用フォトダイオードアレイUV−VIS検出器SPD−M6A」、島津評論、第46巻、第1号、1989年7月、pp.21−28 「LCワークステーションCLASS−VP Ver6.1取扱説明書」、株式会社島津製作所、平成13年4月、pp.9−40〜9−41
液体クロマトグラフの吸光光度計検出器では、迷光の影響により高濃度の領域で濃度対吸光度のリニアリティが低下する。このため、同じ成分であっても低濃度でのスペクトルと高濃度のスペクトルでは、スペクトルパターンが完全に一致することはない。そのため、上記2つの方法では、ピークトップが高濃度になる場合、たとえ単一成分しか含まないピークであっても純度が低く判定される危険がある。また、光源ランプのエネルギーが低い低波長域(190nm〜220nm)ではリニアリティ低下の影響が特に著しく、スペクトルの歪みが生じる。従って、この場合も単一成分からなるピークであっても純度が低く判定される。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、高濃度領域でもピーク純度判定の精度を維持できるクロマトグラムピーク純度判定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために成された本発明の第一の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、フォトダイオードアレイ検出器を検出器としたクロマトグラフで収集される、保持時間、波長、及び吸光度をディメンジョンとする3次元データを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、前記3次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピーク純度を判定するクロマトグラムピーク純度判定装置であって、
a)所定の保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算する吸光度積算手段と、
b)前記吸光度積算手段で積算された吸光度積算値と保持時間をディメンジョンとする2次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピークについて、吸光度積算値が等しい上昇スロープ上の1点と下降スロープ上の1点から成る組を複数組抽出する等吸光度積算値組抽出手段と、
c)前記等吸光度積算値組抽出手段で抽出された各組について、上昇スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンと下降スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンの類似度を算出する類似度算出手段と、
d)前記吸光度積算値組抽出手段で抽出された複数組について、前記類似度算出手段で算出された類似度に基づき、前記ピークが単一成分であるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、クロマトグラフは液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフのいずれでもよい。また、「所定の保持時間範囲」とは、吸光度検出時間のうち予め設定した時間範囲をいい、少なくともピークの開始から終了までの時間範囲が含まれていればよい。
本発明の第二の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、第一の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置において、
前記吸光度積算手段は、3次元クロマトグラムのピークの開始時点から終了時点までの保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算することを特徴とする。
本発明の第三の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、第一、又は第二の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置において、前記類似度算出手段は、上昇スロープ上の1点の吸収スペクトルパターン及び下降スロープ上の1点の吸収スペクトルパターンをそれぞれ波長毎の吸光度を要素とするベクトルで表し、これらベクトルの成す狭角の余弦を類似度として算出するものであることを特徴とする。
本発明の第四の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、第三の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置において、
前記判定手段は、複数組の余弦の平均値と判定値とを比較して判定することを特徴とする。
本発明の第五の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、第三の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定装置において、
前記判定手段は、複数組の余弦の分散と判定値とを比較して判定することを特徴とする。
本発明の第六の態様に係るクロマトグラムピーク純度判定方法は、
フォトダイオードアレイ検出器を検出器としたクロマトグラフで収集される、保持時間、波長、及び吸光度をディメンジョンとする3次元データを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、前記3次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピーク純度を判定するクロマトグラムピーク純度判定方法であって、
所定の保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算する吸光度積算ステップと、
前記吸光度積算ステップで積算された吸光度積算値と保持時間をディメンジョンとする2次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピークについて、吸光度積算値が等しい上昇スロープ上の1点と下降スロープ上の1点から成る組を複数組抽出する等吸光度積算値組抽出ステップと、
前記等吸光度積算値組抽出ステップで抽出された各組について、上昇スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンと下降スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンの類似度を算出する類似度算出ステップと、
前記等吸光度積算値組抽出ステップで抽出された複数組について、前記類似度算出ステップで算出された類似度に基づき、前記ピークが単一成分であるか否かを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする。
本願発明に係るクロマトグラムピーク純度判定装置では、吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算し、算出された吸光度積算値と保持時間をディメンジョンとする2次元クロマトグラムにおいて、吸光度積算値の等しいスペクトル組を複数組検出し、各組についてスペクトルパターンの類似度を計算することによって、該ピークの純度を判定する。
スペクトルパターンの類似度の計算は特許文献1に記載の方法を参考にする。特許文献1には、吸収スペクトルを一連の波長列において検出される離散的吸光度データの集合として表し、ベクトル化して扱うことによって、ベクトルの方向から類似度を算出する考え方が開示されている。
具体的には、吸収スペクトルをS→=(a(λ1), a(λ2), a(λ3).., a(λn))として表す。ここで、→を付して表記したものはベクトルを示すこととする。また、a(λn)は波長λnでの吸光度を示す。
2つの吸収スペクトルをそれぞれ上記のようにベクトルとして表すと、これらが全く同じ成分から成るスペクトルであれば、スペクトルパターンが等しくなり、ベクトル化したスペクトルは同じ方向を向く。ここで、ベクトル化した2つのスペクトルのなす狭角θの余弦値をもって類似度と定義すると、2つのベクトルが全く同一であれば、θは0となり、余弦値cosθは1となる。即ち、類似度が1に近い程、スペクトルパターンは類似することになる。
本願発明では上記の考えを基に、一つのピークについて、上昇スロープと下降スロープから吸光度積算値の等しいスペクトル組を複数抽出し、各組ごとにスペクトルをベクトル化したもの同士で類似度を検討する。
類似度によるピーク純度の判定は、類似度の平均値を判定値と比較することにより行う。ここで判定値(K)とは、検出器の検出ノイズ等の影響を考慮し、当該スペクトルパターンが類似していると判定するための最大許容値である。ノイズによる影響で本来同一であるベクトルがn→だけずれたと考え、S1→は真のベクトルS1’→からθ1、S2→は真のベクトルS2’→からθ2変位したとする(図1)。真のベクトルS1’→、S2’→同士の一致は、S1→、S2→同士の狭角が最大θ1+θ2の範囲で実現していることになる。従って、ベクトルの類似度の最大許容範囲である判定値(K)はcos(θ1+θ2)となる。ここで、式1
Figure 0005333295

によりKが計算される。
このように、本発明に係るクロマトグラムピーク純度判定装置では、吸光度積算値の等しいスペクトル組でスペクトルパターンの類似度を比較することにより、ピークの純度を判定する。波長方向に吸光度を積算した値が等しい組では、それぞれの保持時間で検出されている試料の濃度はほぼ等しいと推測される。従って、本発明では濃度のほぼ等しいスペクトル組の間で類似度を比較することになる。このように、高濃度と低濃度の間でスペクトルの類似性を比較する訳ではないため、高濃度でリニアリティが低下する影響を受けることなく、高濃度でもピーク純度判定の精度を維持することが可能になる。
本発明におけるスペクトルパターン類似度判定方法を説明する説明図。 本発明に係るクロマトグラムピーク純度判定装置を用いたクロマトグラフの一実施例である液体クロマトグラフの要部構成図。 (a)は本実施例の液体クロマトグラフで得られる3次元データのグラフ図、(b)は波長方向の吸光度積算値を時間方向に所定の時間範囲でプロットしたクロマトグラム、(c)は波長方向の吸光度積算値を時間方向にピーク開始から終了までプロットしたクロマトグラムを示す。 本実施例で検討したクロマトグラムのピークを分割する方法を説明する説明図。 本実施例で検討したクロマトグラムのピーク中のスペクトルを波長方向にプロットしたスペクトル図。
本発明に係るピーク純度判定装置を用いたクロマトグラフの一実施例である液体クロマトグラフについて、図2〜図5を用いて説明する。
図2は本実施例に係るクロマトグラムピーク純度判定装置を用いた液体クロマトグラフの要部構成を示している。この液体クロマトグラフにおいて、送液ポンプ2は移動相容器1に収容されている移動相を吸引し、略一定流量でインジェクタ3を介してカラム4に送給する。インジェクタ3は所定のタイミングで予め用意された試料を移動相中に注入する。注入された試料液は移動相の流れに乗ってカラム4に導入され、カラム4を通過する間に試料液に含まれる各種の試料成分は分離され、時間的にずれてカラム4から溶出する。
カラム4の出口には、カラム4からの溶出液中の試料成分を検出するPDA検出器5が設けられている。PDA検出器5は、溶出液が流通する透明なフローセル51と、光源52と、フローセル51を透過した光を波長分散させる分光器53と、波長分散された光をほぼ同時に検出するPDA素子54とを含む。
PDA検出器5による検出信号はA/D変換器6によりデジタル信号に変換されてデータ処理部7に入力され、一旦、データメモリ8に格納される。その後、データ処理部7ではデータメモリ8に格納されたデータに対し後述するような各種処理を実行する。特にデータ処理部7は、後述するピーク純度判定処理を実施するための機能ブロックとして、吸光度積算部71、クロマトグラム生成部72、スペクトル組検出部73、類似度計算部74、類似度統計値計算部75、及びピーク純度判定部76を備える。
分析制御部9は制御部10からの指示に基づいて、送液ポンプ2などの各部をそれぞれ制御する。制御部10にはユーザが操作するキーボードやマウスなどの操作部11や、測定結果などを表示するための表示部12が接続され、主としてそうしたユーザインターフェースに関与する。なお、分析制御部9、制御部10、データ処理部7の機能の殆ど又は一部は、汎用のパーソナルコンピュータをハードウエアとし、これに予めインストールされた専用の制御/処理ソフトウエアを動作させることで実現する構成とすることができる。
PDA検出器5は波長走査を行うことなく多波長同時検出が可能であるため、インジェクタ3により試料が移動相中に注入された時点から所定時間間隔で所定波長範囲の吸収スペクトルデータを取得することができる。したがって、この液体クロマトグラフでは、図3(a)に示すような、時間Ti、波長λj、信号強度Aijの3つのディメンジョンを持つ3次元データが得られる。分析制御部9による制御の下に或る1つの試料に対する液体クロマトグラフ分析が実行されると、分析開始時点(試料注入時点)から分析終了時点までの3次元データがデータメモリ8に保存される。
次に、本実施例の液体クロマトグラフにおいてデータ処理部7を中心に実行される、特徴的なピーク純度判定処理について、図3及び図4を参照して説明する。
ユーザは液体クロマトグラフでの試料分析に先立ち、該試料のピークの検出が予想される波長と保持時間の範囲を操作部11から設定しておく。分析が終了すると、操作部11からのユーザの指示に従い、吸光度積算部71はデータメモリ8から3次元データを読み出し、予め設定された保持時間範囲(Tp〜Tq)において、予め設定された波長範囲(λr〜λs)の吸光度を保持時間ごとに積算する。ここで、吸光度の積算は、
Atotal(i)=ΣA(i,j)(j=r〜s)
によって行う。
本実施例では、吸光度の積算範囲として波長と保持時間の範囲が予め設定されているが、3次元クロマトグラムを表示画面上に描出し、ユーザがマウス操作などで積算する保持時間範囲および波長範囲を指定するようにしてもよい。
クロマトグラム生成部72は、吸光度積算部71で算出された吸光度積算値Atotal(i)を保持時間Ti(i=p〜q)方向にプロットした2次元クロマトグラムを表示部12の画面上に描出する(図3(b))。
スペクトル組検出部73は、クロマトグラム生成部72で生成された2次元クロマトグラム図3(b)におけるピークトップの高さを複数に等分割し、吸光度積算値の等しい上昇スロープ上の1点と下降スロープ上の1点の等吸光度組を求める。本実施例では、ピークトップの高さを7等分し、6組の等吸光度積算値組を得ている(図4参照)。ここで、Su1→〜Su6→、Sd1→〜Sd6→は、各点におけるスペクトルをベクトルとして示しており、例えばSu1→=(A(λr)...A(λs))を示す。
次に類似度計算部74が、スペクトル組検出部73で検出された各等吸光度組についてスペクトルの類似度Rを計算する。類似度は、該ピークの上昇スロープ上の点と、それに対応する下降スロープ上の点について、それぞれにおけるスペクトルをベクトル化し、ベクトルのなす狭角θの余弦値cosθで定義される。具体的には次の(式2)によって算出される。
Figure 0005333295
類似度統計値計算部75は、類似度計算部74で計算された、各等吸光度組のスペクトル類似度Rを用い、全ての組における類似度の平均値Raveを計算する。また、スペクトルが同一であると判定するための類似度の最大許容範囲である判定値の演算も行う。ここで判定値Kは
Figure 0005333295

である。ここで、n→はノイズによるずれをベクトル化したものである。
ピーク純度判定部76は、類似度統計値計算部75で計算した類似度の平均値と判定値から、指定したピークが単一成分より構成されているか否かを判定する。具体的には、ピーク純度判定部76は類似度統計値計算部75で計算した類似度Rの平均値Raveと判定値Kの平均値Kaveとを比較し、
Rave ≧ Kave
の場合に等吸光度組のスペクトルが同一であると判定する。等吸光度組のスペクトルが同一であるということは、当該ピークの上昇スロープと下降スロープが同一であることを意味し、該ピークが単一成分より構成されることを意味する。
本願発明は、高濃度領域において濃度対吸光度のリニアリティが低下することに鑑みてなされたものである。ここで、濃度の相違によるスペクトルパターンへの影響を調べた。
本実施例で検討したピークにつき、スペクトルSu1、Su4、Su6、Sd6、Sd4、Sd1を波長方向にプロットしたスペクトルを図5に示す。
図5から、低濃度のSu1、Sd1、高濃度領域のSu6、Sd6、その中間の濃度領域であるSu4、Sd4では、スペクトルパターンが大きく異なっていることが分かる。一方、Su1とSd1、Su4とSd4、Su6とSd6のスペクトルパターンは完全に一致している。このように、濃度がスペクトルパターンに与える影響はかなり大きく、一方、濃度の等しい領域ではスペクトルパターンが完全に一致することから、本願発明に係るクロマトグラムピーク純度判定装置は、従来の判定装置より高精度にピーク純度を判定できると考えられる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲で変更が許容される。例えば、上記実施例では、予め設定された保持時間範囲において吸光度の積算を行ったが、目的ピークのピーク開始から終了までに亘って吸光度を積算してもよい(図3(c)参照)し、ピークの開始時点より前から終了時より後に亘って吸光度を積算してもよい。ピーク開始から終了までに亘って積算する場合、ユーザーがピーク純度判定を行いたい目的ピークの開始時点と終了時点とを操作部11により指示する。ユーザ自身がピーク開始時点と終了時点を手動で指示する代わりに、目的ピークをユーザが指示すると、そのピークの開始時点及び終了時点が自動的に求められるようにしてもよい。また、ピーク検出自体を自動的に実行し、検出された全てのピークについて自動的に開始時点及び終了時点が設定されるようにしてもよい。こうしたピークの自動検出やピークの開始・終了時点の検出は、従来一般に行われているピーク検出方法を用いて行うことができる。
また、上記実施例では予め設定されたλr〜λsの範囲の全ての波長で検出された吸光度を積算したが、特定の複数の波長で検出される吸光度のみを積算してもよく(要するに、間引いて計算してもよく)、極端な場合、2波長における吸光度を積算する構成でもよい。
本実施例ではクロマトグラム上の一つのピークから等吸光度積算値組を複数検出する際、ピークトップの高さを均等に7分割しているが、ピークトップの高さを均等に分割して設定する必要はないし、分割数も7に限られない。また、等吸光度積算値組を検出するために、積算値を用いた2次元クロマトグラムを作成する必要もなく、演算のみで等吸光度積算値組を検出することもできる。
また、本実施例では計算によって求めた判定値平均値Kaveと類似度平均値Raveとの比較によりピーク純度の判定を行ったが、実験に基づいて判定値を設定することもできる。
本実施例では類似度平均値をもってピーク純度の判定の基礎に用いたが、類似度の分散や標準偏差を用いてピーク純度を判定することも可能である。類似度の分散や標準偏差は類似度統計値計算部75で行う。当該ピークが単一成分からなる場合、上昇スロープと下降スロープにおける等吸光度組の類似度R(=cosθ)は1に近くなる。従って、全ての等吸光度組における類似度の分散や標準偏差は小さな値となる。ピーク純度判定部76は、ユーザが予め設定した閾値と比較することで当該ピークの純度を判定する。
また、変形例として、所定の波長範囲で吸光度を積算するのではなく、特定の一波長における信号強度を時間方向にプロットした2次元クロマトグラムを生成し、そのクロマトグラムから等吸光度組を抽出して検討を行うこともできる。
1…移動相容器
2…送液ポンプ
3…インジェクタ
4…カラム
5…PDA検出器
51…フローセル
52…光源
53…分光器
54…PDA素子
6…A/D変換器
7…データ処理部
71・・・吸光度積算部
72…クロマトグラム生成部
73…スペクトル組検出部
74…類似度計算部
75…類似度統計値計算部
76…ピーク純度判定部
8…データメモリ
9…分析制御部
10…制御部
11…操作部
12…表示部

Claims (6)

  1. フォトダイオードアレイ検出器を検出器としたクロマトグラフで収集される、保持時間、波長、及び吸光度をディメンジョンとする3次元データを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、前記3次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピーク純度を判定するクロマトグラムピーク純度判定装置であって、
    a)所定の保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算する吸光度積算手段と、
    b)前記吸光度積算手段で積算された吸光度積算値と保持時間をディメンジョンとする2次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピークについて、吸光度積算値が等しい上昇スロープ上の1点と下降スロープ上の1点から成る組を複数組抽出する等吸光度積算値組抽出手段と、
    c)前記等吸光度積算値組抽出手段で抽出された各組について、上昇スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンと下降スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンの類似度を算出する類似度算出手段と、
    d)前記吸光度積算値組抽出手段で抽出された複数組について、前記類似度算出手段で算出された類似度に基づき、前記ピークが単一成分であるか否かを判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラムピーク純度判定装置において、
    前記吸光度積算手段は、3次元クロマトグラムのピークの開始時点から終了時点までの保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算することを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定装置。
  3. 請求項1又は2に記載のクロマトグラムピーク純度判定装置において、
    前記類似度算出手段は、上昇スロープ上の1点の吸収スペクトルパターン及び下降スロープ上の1点の吸収スペクトルパターンをそれぞれ波長毎の吸光度を要素とするベクトルで表し、これらベクトルの成す狭角の余弦を類似度として算出するものであることを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定装置。
  4. 請求項3に記載のクロマトグラムピーク純度判定装置において、
    前記判定手段は、複数組の余弦の平均値と判定値とを比較して判定することを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定装置。
  5. 請求項3に記載のクロマトグラムピーク純度判定装置において、
    前記判定手段は、複数組の余弦の分散と判定値とを比較して判定することを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定装置。
  6. フォトダイオードアレイ検出器を検出器としたクロマトグラフで収集される、保持時間、波長、及び吸光度をディメンジョンとする3次元データを処理するクロマトグラフ用データ処理装置において、前記3次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピーク純度を判定するクロマトグラムピーク純度判定方法であって、
    所定の保持時間範囲における全て又は一部の波長範囲の吸光度を保持時間毎に、波長方向に積算する吸光度積算ステップと、
    前記吸光度積算ステップで積算された吸光度積算値と保持時間をディメンジョンとする2次元データに基づいて作成されるクロマトグラムに存在するピークについて、吸光度積算値が等しい上昇スロープ上の1点と下降スロープ上の1点から成る組を複数組抽出する等吸光度積算値組抽出ステップと、
    前記等吸光度積算値組抽出ステップで抽出された各組について、上昇スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンと下降スロープ上の1点における吸収スペクトルのパターンの類似度を算出する類似度算出ステップと、
    前記等吸光度積算値組抽出ステップで抽出された複数組について、前記類似度算出ステップで算出された類似度に基づき、前記ピークが単一成分であるか否かを判定する判定ステップと、
    を含むことを特徴とするクロマトグラムピーク純度判定方法。
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