JP4062155B2 - クロマトグラフ用データ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクロマトグラフ装置用のデータ処理装置に関し、更に詳しくは、検出器として各種の分光光度計を用いたクロマトグラフ装置のデータ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体クロマトグラフ装置(LC)では、一定流量で以てカラムに流れる移動相中に液体試料を注入し、カラムを通過する過程でその液体試料に含まれる複数の試料成分を時間的に分離させ、カラム出口に設けた検出器によりその各試料成分を順次検出する。この検出器として例えばフォトダイオードアレイ検出器(以下、PDA検出器という)を用いると、カラム出口から溶出する試料成分に対応する相対強度信号を波長方向に分散させて、その波長毎の測光値を同時に取得することができる。即ち、このLC分析では、時間tと相対強度Sという2つのディメンジョンに加えて、波長λという第3のディメンジョンを持つデータを取得することができ、このデータに基いて3次元クロマトグラムを作成することができる。
【0003】
こうした3次元クロマトグラムでは、或る時間t1でピークトップが出現したとき、その時間t1において波長方向の情報を切り出したスペクトル(吸光又は反射スペクトル)を得ることができる。そこで、各ピークに対応する物質を同定するために、物質とその物質のピークトップにおけるスペクトルとの対応関係を予め参照テーブルに登録しておく。そして、未知試料のクロマトグラフ分析によって得られたピークトップの時刻におけるスペクトルを求め、このスペクトルと参照テーブルに登録してあるスペクトルとの形状の類似性を判断し、その結果に基づいて、未知物質の成分を同定するような手法が採られている(例えば、特許文献1など参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−111425号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
こうしたクロマトグラフ分析において、複数の試料を測定する場合には、必ずしもその試料に含まれる物質1つ1つが何であるのかを同定する必要はなく、他の試料又は過去に分析された試料との成分の同一性又は類似性のみを調べればよい場合も多々ある。例えば、水のサンプルが複数ある場合、その成分を同定しなくとも、同じ成分が含まれているかどうかさえ分かれば、それらのサンプル同士が同じ水源から得られたものかどうかを知ることができる。
【0006】
しかしながら、上記のようなピーク同定方法では、同定対象である物質のスペクトルが予め参照テーブルに登録されている必要があり、参照テーブル中に該当するような物質が存在しないようなピークに関しては、同定不能として結論付けられることになる。そのため、上記のように単に試料同士の類似性を判定したい場合であっても、その試料成分が参照テーブル中に存在しないときには類似性の判定は不可能であった。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、その試料に含まれる成分が参照テーブル中に存在せずクロマトグラムに出現するピークに対する成分が同定できない場合であっても、複数の試料に含まれる成分同士や試料同士の類似性を判断することができるようにしたデータ処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、及び効果】
上記課題を解決するために成された第1発明は、成分分離用のカラムから溶出する試料のスペクトルを逐次採取するクロマトグラフ用のデータ処理装置において、
a)過去の分析に使用された各種分析条件の下での標準試料のクロマトグラムに出現するピークに属するスペクトルデータを、分析条件情報に対応付けてデータベース化して保存しておくデータ記憶手段と、
b)前記データ記憶手段に保存されている又は新規の分析に使用した分析条件の下での標準試料のクロマトグラムのピーク又はそのピークに属するスペクトルを分析者が指定するための指定手段と、
c)任意の2つのスペクトルの類似度を算出するスペクトル類似度算出手段と、
d)前記指定手段により指定されたスペクトル又は指定されたピークに対する代表スペクトルを検索キーとし、前記データ記憶手段に保存されている全スペクトルデータ又はその中で分析者による指示に基づいて限定された範囲に含まれるスペクトルデータを検索対象として、前記スペクトル類似度算出手段により算出されるスペクトル類似度が高い分析条件情報を検索する検索手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
この第1発明に係るデータ処理装置では、過去の分析に使用された各種分析条件の下での標準試料のクロマトグラムに出現するピークに属するスペクトルデータをデータベース化してデータ記憶手段に保存しておく。ここで、ピークに属するスペクトルデータとしては、ピークを代表するスペクトル、典型的にはピークトップの位置でのスペクトルデータとすることが好ましい。分析者は指定手段により、そのデータ記憶手段に保存されている又は新規の分析に使用した分析条件の下での標準試料のクロマトグラムのピークやそのピークに属するスペクトルを検索キーとして指定する検索手段は、スペクトルが指定された場合にはそのスペクトルデータを、ピークが指定された場合にはそのピークに対する代表スペクトルデータをスペクトル類似度算出手段に与えるとともに、データ記憶手段に保存されている全スペクトルデータ又は分析者による指示に基づいて限定された範囲に含まれるピークのスペクトルデータから順次選択したスペクトルデータをスペクトル類似度算出手段に与え、順次スペクトル類似度を計算させる。そして、検索対象の中から高いスペクトル類似度を与える分析条件情報を抽出する。
【0013】
この構成によれば、過去に分析した結果に基づいて、類似性の高いスペクトル形状が得られる分析条件情報を容易に探すことができるので、分析条件によるピーク保持時間の変動やスペクトル形状の変化といった分析結果の分析条件依存性を把握し、分析対象成分に対する最適な分析条件や解析条件等の検討をより簡単に行うことができるようになる。
【0014】
上記第1発明に係るデータ処理装置においては、検索手段によって取得される検索結果を様々な形式で分析者に提供することができるが、例えば一実施態様として、前記検索手段による検索によって抽出された結果をスペクトル類似度の高低の順序に並び替えて出力する出力手段をさらに備える構成とすることができる。ここでいう出力とは例えば、表示手段の表示画面上への表示出力、又は印刷手段による紙などの印刷などである。なお、検索手段による検索結果に対して所定閾値を設定し、スペクトル類似度がその閾値を超えるもののみを選択してその中でスペクトル類似度の高いものから順に並べるとよい。
【0015】
また上記課題を解決するために成された第発明は、成分分離用のカラムから溶出する試料のスペクトルを逐次採取するクロマトグラフ用のデータ処理装置において、
a)過去に分析された試料に関して、少なくともそのクロマトグラムに出現するピークに属するスペクトルデータが参照可能であるようにクロマトグラムデータをデータベース化して保存しておくデータ記憶手段と、
b)前記データ記憶手段に保存されているクロマトグラムのうち、任意の複数のクロマトグラムを分析者が指定するための指定手段と、
c)前記指定手段により指定された複数のクロマトグラムに出現するピークに関して、異なるクロマトグラム間のピーク同士の全ての組み合わせについて、それぞれスペクトル類似度を算出するスペクトル類似度算出手段と、
d)該スペクトル類似度算出手段により算出された全てのスペクトル類似度又は所定の閾値以上のスペクトル類似度を、その算出根拠となったピークの表示に関連付けて且つスペクトル類似度の高低を差別化して出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
【0016】
この第発明に係るデータ処理装置において、スペクトル類似度算出手段は、指定手段により指定された複数のクロマトグラムに出現する1乃至複数のピークのスペクトルデータをデータ記憶手段から読み出し、異なるクロマトグラム間のピーク同士の全ての組み合わせについて、それぞれスペクトル類似度を算出する。そして出力手段は、スペクトル類似度算出手段により算出された全てのスペクトル類似度又は所定の閾値以上のスペクトル類似度を、その算出根拠となったピークの組との関連が容易に視認できるような形態で、且つスペクトル類似度の高低が容易に視認できるような形態で以て出力する。これにより、過去に分析した複数の試料において、含有成分の同一性や類似性を簡便に調査及び判定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、まず第1発明に関連する参考技術の一実施例であるデータ処理装置を適用した高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)について図面を参照して説明する。図1はこのHPLCの全体構成図である。
【0018】
溶離液槽1から送液ポンプ2により吸引された溶離液(移動相)に、インジェクタ3で分析対象の試料液が注入され、カラム4へと送り込まれる。試料中の各成分がカラム4を通過する時間(保持時間)はその成分の性質により異なるため、試料中の各成分は時間方向に分離してカラム4の出口から溶出する。カラム4の出口に設けられた検出部5では、カラム4からの溶出液をフローセル51に通過させ、このフローセル51に光源52からの白色光を透過させる。白色光はフローセル51において、溶出液に含まれる成分に特有の波長で吸収を受ける。その透過光を分光器53で波長分散させ、フォトダイオードアレイ54により波長毎の光強度を同時に検出する。
【0019】
このフォトダイオードアレイ54による検出信号は増幅器6で信号増幅され、A/D変換器7によりデジタル信号に変換された後にパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称す)8に入力される。パソコン8には、各種データ解析のためのプログラムが格納されており、取得したデータに対してそれらプログラムに従った解析処理を実行することにより、試料に含まれる成分の定性分析や定量分析などを実行する。その結果は、パソコン8に付設されたモニタに表示されたり或いはプリンタで印字出力される。なお、パソコン8はデータ処理のみならず、このHPLCの各部の動作を制御する機能も有している。
【0020】
上記構成のHPLCでは、検出部5ではカラム4からの溶出液に対して吸光度スペクトルを時々刻々と採取する。従って、パソコン8に入力されるデータは、図2に示すように、所定のデータ採取時間間隔毎に波長λ方向に広がるスペクトルデータである。各測定時刻毎にスペクトルデータを波長方向に積算してこれを縦軸とし、横軸に時間tをとれば通常の2次元クロマトグラムとなる。
【0021】
図3はこのパソコン8の要部の構成を示すブロック図である。CPUを中心に構成される主制御・処理部10は機能的にスペクトル類似度算出部11及びスペクトル類似度判定部12を含み、キーボードやマウス等のポインティングデバイスから成る入力部13、モニタ15の画面上に表示する表示信号を出力する表示制御部14、一時的な記憶手段であるワークメモリ16、ハードディスク駆動装置などで構成されるデータ記憶部20等が接続されている。
【0022】
データ記憶部20はこのHPLCで既に採取されたクロマトグラムデータに関する一種のデータベースであり、各クロマトグラムに出現するピークの属性情報(例えばピークの保持時間、成分名、面積、高さなど)が保存されるピーク属性情報記憶部21と、各ピークに対してその代表スペクトルのスペクトルデータが保存されている代表スペクトル記憶部22と、各分析毎に全てのクロマトグラムデータが保存されるクロマトグラムデータ記憶部23とが、それぞれ互いに関連付けられて設けられている。ここでいうクロマトグラムデータは、時間軸、相対強度軸及び波長軸の3次元空間内に配置されるデータの集合であって、代表スペクトルのスペクトルデータもこのクロマトグラムデータから計算により求めることが可能である。しかしながら、その計算には時間を要するため、本装置では代表スペクトルのスペクトルデータをクロマトグラムデータとは別に予め保存している。それによって、或るピークが指示された場合に、そのピークの代表スペクトルのスペクトルデータが代表スペクトル記憶部22から迅速に読み出せるようになっている。ここで代表スペクトルはピークトップの位置におけるスペクトルとして定義するが、必ずしもそれに限るものではない。
【0023】
次に、本実施例のデータ処理装置における特徴的なデータ処理を図4のフローチャートに沿って説明する。
まず、オペレータは或る試料を分析を実行したときに結果として得られる2次元クロマトグラム(以下、「2次元」を省略し単にクロマトグラムという)をモニタ15の表示画面上に表示させ、入力部13の操作により、そのクロマトグラムに現れるピークの任意の1つを検索キーとして指定する(ステップS10)。但し、必ずしもクロマトグラムを表示することは必須ではなく、例えばそのクロマトグラムに対し所定のアルゴリズムに則って検出したピークを列挙したピークテーブルを表示し、その中から検索キーとなるピークを指定するようにしてもよい。
【0024】
次いで、オペレータは、上記検索キーの類似度検索対象の範囲を入力部13の操作により指定する(ステップS11)。範囲の指定方法としては様々な方法が考えられるが、例えば、これまで採取した全てのデータを対象する方法、過去に採取されたデータのうち特定の期間(例えば昨年11月の1ヶ月間など)を指定する方法、データを保存してあるファイルに特定の文字列(例えば「水質」)を含むものを指定する方法、データファイルをグループ分けして複数のフォルダに収納して整理してある場合に特定のフォルダを指定する方法など、が考えられる。
【0025】
オペレータにより処理開始の指示が与えられると(ステップS12)、主制御・処理部10は検索キーとして指定されたピークの代表スペクトルのスペクトルデータを代表スペクトル記憶部22から読み出し、ワークメモリ16のA領域に格納する(ステップS14)。なお、ステップS10においてピークではなく初めから1つのスペクトルを指定するようにしてもよく、その場合にはステップS14の処理は省略できる。
【0026】
続いて、ステップS11で指定された検索範囲内の1番目のピークに対応する代表スペクトルのスペクトルデータを代表スペクトル記憶部22から読み出し、これをワークメモリ16のB領域に格納する(ステップS15)。そして、スペクトル類似度算出部11はワークメモリ16のA領域とB領域とに格納した2つのスペクトルデータのスペクトル類似度rを計算し、その値をワークメモリ16のC領域にそのときの検索対象ピークを識別可能な情報に対応付けて記憶する(ステップS16)。類似度算出方法としては、例えば特開昭61−111425号公報に記載されている方法を用いることができる。即ち、スペクトル中のn種類の波長λk(kは1〜nの整数)における強度Ikを成分とするn次元ベクトルを定義し、検索キーである代表スペクトルにより定義されるn次元ベクトルと検索対象である代表スペクトルにより定義されるn次元ベクトルとの内積を両ベクトルの大きさの積で除したものをスペクトル類似度rとして定める。両スペクトルが完全に一致した場合にスペクトル類似度rは1となり、1に近いほど類似性が高い。
【0027】
次に、検索対象の全てのピークに関するスペクトル類似度の算出処理が終了したか否かを判定し(ステップS17)、未終了であれば、指定された検索範囲内の次のピークの代表スペクトルのスペクトルデータを読み出してきてワークメモリ16のB領域に上書きし(ステップS18)、ステップS16へと戻る。従って、ステップS16〜S18の処理の繰り返しにより、検索キーとなる1個のピークの代表スペクトルと指定された検索範囲に含まれるN(Nは1以上)個のピークの代表スペクトルとのスペクトル類似度rが順次計算されてワークメモリ16のC領域に記憶される。
【0028】
検索対象範囲内の全てのピークについてスペクトル類似度の算出処理が終了すると、ステップS17からS19へと進み、スペクトル類似度判定部12がワークメモリ16のC領域に記憶されているN個のスペクトル類似度rのそれぞれについて、予め設定されている閾値以上であるか否かをチェックし、スペクトル類似度rが閾値未満であるピークについては検索結果から除外する(ステップS19)。この判定閾値は予めオペレータが入力設定するようにしてもよいし、その装置自体がデフォルト値として保有していてもよい。
【0029】
スペクトル類似度判定部12はスペクトル類似度rが相対的に低いピークを上記のようにスクリーニングした後に、残った検索結果であるピークを、スペクトル類似度rの高い順つまり類似性が高いと看做せる順序に並べ替える(ステップS20)。そして、表示制御部14を介してモニタ15の表示画面上にその検索結果を表示する(ステップS21)。その際に、ピーク属性情報記憶部21からそのピークに関する属性情報を取得するとともに、クロマトグラムデータ記憶部23からクロマトグラムデータを取得し、ピークの名称やクロマトグラム、或いは必要に応じてそのほかの情報を添えて表示するとよい。
【0030】
このようにモニタ15の表示画面に表示された検索結果を見て、オペレータは検索キーとしたピークが過去に分析したいずれのピークと類似しているのかを容易に且つ確実に知ることができ、そのピークの成分が同定されておらずに成分名が不明であったとしても、同一の成分であるか否かといった判断を下すことができる。
【0031】
上記説明では検索対象をスペクトルデータとして実質的にはピークの類似性を判断していたが分析のメソッドつまり分析条件情報を検索対象とすることにより、第1発明に係るデータ処理装置の一実施例の構成とすることできる。こうした検索を可能とするためには、1乃至複数種類の標準試料を様々な分析条件の下で分析した結果取得されたクロマトグラムデータをレファレンスデータベースとする。そして、所望の1つの分析条件情報に対応付けられているスペクトルを検索キーとする一方、上記レファレンスデータベースに保存されているスペクトルを検索対象とし、上記説明と同様にして検索範囲の各スペクトルに対してそれぞれスペクトル類似度を算出し、そのスペクトル類似度の高い順に分析条件情報を並び替えて表示すればよい。
【0032】
また、上記ステップS10で検索キーとして1個のピーク又はスペクトルを指定する代わりに複数のピーク又はスペクトルを検索キーとして指定し、それら複数の検索キーに対してクロマトグラムデータとピークとを検索するようにしてもよい。この場合には、指定された全ての検索キーに対してそれぞれ判定閾値以上のスペクトル類似度を有するピークとそのピークを持つクロマトグラムを上位に位置付けてスペクトル類似度の高い順に並べるとよい。或いは、検索キーに該当したピークの数が多いクロマトグラムの順に並び替えてもよい。これによれば、複数の成分を含有する試料について、それと同じ複数の成分を含む可能性の高い試料を過去の分析の中から検索することができる。
【0033】
次に、第発明に係るデータ処理装置の一実施例について説明する。この実施例のデータ処理装置の基本的な構成は上記実施例と同様であるが、データ処理の手順と表示方法とが上記実施例とは相違するのでその点について図5及び図6を参照して説明する。図5はこの実施例によるデータ処理手順を示すフローチャート、図6はその結果としてモニタの表示画面に表示されるグラフの一例を示す図である。
【0034】
まず、オペレータは成分の同定や比較を行いたいピークを含む複数のクロマトグラムを入力部13の操作により選択し(ステップS30)、更にスペクトル類似度の判定閾値を入力する(ステップS31)。オペレータにより処理開始の指示が与えられると(ステップS32)、主制御・処理部10は上記指定されたクロマトグラムに出現する全てのピークの代表スペクトルのスペクトルデータを代表スペクトル記憶部22から読み出し、ワークメモリ16に格納する(ステップS33)。
【0035】
次に、スペクトル類似度算出部11は、ワークメモリ16に記憶した全てのスペクトルデータについて、異なるクロマトグラム間のピークをそれぞれ1個ずつ選択し、その2つのスペクトルデータのスペクトル類似度rを計算し、その値をワークメモリ16のC領域にそのときのピークの組み合わせを識別可能な情報に対応付けて記憶する(ステップS34)。そして、全ての可能なピークの組み合わせについてスペクトル類似度rの算出処理を終了したか否かを判定し(ステップS35)、未終了である場合には、次のピークの組み合わせを選択して(ステップS36)ステップS34へと戻る。従って、ステップS34〜S36の処理の繰り返しにより、異なる2つのクロマトグラムからそれぞれ1個ずつのピークを選択したときの全ての組み合わせについて、その2つのピークに対する代表スペクトルのスペクトルデータのスペクトル類似度rが計算されてワークメモリ16に保存される。
【0036】
N通りの全てのピークの組み合わせについてスペクトル類似度の算出処理が終了すると、ステップS35からS37へと進み、スペクトル類似度判定部12がワークメモリ16のC領域に記憶されているN個のスペクトル類似度rのそれぞれについて、予め設定されている閾値以上であるか否かをチェックし、スペクトル類似度rが閾値未満であるピークについては検索結果から除外する。こうしてスクリーニングされた検索結果を、次のように処理してモニタ15の表示画面上に表示する(ステップS38)。
【0037】
即ち、図6に示すように、表示画面40内には、指定されたクロマトグラム(この場合にはA、B、Cの3個)を表示し、スペクトル類似度の算出の根拠となったピークの組み合わせがそれぞれ線41で結ばれることで示され、その組み合わせに関するスペクトル類似度rが表示枠42内に数値で表示される。ピーク同士を結ぶ線41の太さは、スペクトル類似度rが高いつまり類似性が高いと看做せる組み合わせであるほど太く描かれており、それによってより視覚的に類似性の相違が理解し易くなっている。また、表示色や表示の濃淡などを利用して、ピークの組み合わせや類似度の高低を視覚的にわかり易く示すようにしてもよい。
【0038】
図6では、クロマトグラムBに出現する各ピークとクロマトグラムAに出現する各ピーク、同じくクロマトグラムBに出現する各ピークとクロマトグラムCに出現する各ピークとの組み合わせしか表示されていないが、これは表示が煩雑になって分かりにくくなることを避けるためであり、例えばクロマトグラムB又はその中の任意の1個のピークが指定されたときに、そのクロマトグラムBを中心として他のクロマトグラムA及びCとの比較を表示するようにし、他のクロマトグラムA及びC同士の比較については表示が消えるようになっている。もちろん、こうした表示の形態はこれに限らず、様々に変形することができる。
【0039】
こうした表示画面において、或るピークと他のピークとのスペクトル類似度rが1に近い場合、それらのピークが同一成分に由来する可能性が高いものと判断することができる。ここで、それらのピークのいずれか一方でも既に成分が同定されていれば、その成分名を参照することができる。例えば図6において、クロマトグラムBの第2番目のピークB2が未同定成分であるものとする。このピークB2とクロマトグラムCの第2番目のピークC2とのスペクトル類似度rがかなり1に近いことから、両者は同一成分であるものと推測することができる。このとき、オペレータがクロマトグラムCのピーク属性情報を参照するために、クロマトグラムCの第2番目のピークC2の上にカーソル43を移動させ、マウスでクリック操作を行うと、このピークC2に関して既に成分同定が為されていれば、その成分名(ここでは「安息香酸」)44が画面上に表示される。
【0040】
こうした操作によりクロマトグラムBの第2番目のピークB2の成分も「安息香酸」であると推測できる。そこで、オペレータが上記操作に引き続いてクロマトグラムBの第2番目のピークB2の上にカーソル43を移動させ、マウスでクリック操作を行うと、この未同定成分のピークB2に関する成分名入力ダイアログが表示されるから、そこでキーボードから「安息香酸」という成分名を入力すればよい。これによって、クロマトグラムBの第2番目のピークB2に関する成分名の情報がピーク属性情報に追加される。このようにして、ピーク同士のスペクトル類似度を参考にして、未同定成分の成分を推定することもできる。
【0041】
もちろん、この実施例においてオペレータが最初にクロマトグラムを指定する際に、そのクロマトグラムに出現するピークの1つ以上をスペクトル類似度算出処理から除外するように指定したり、逆に特定のピークのみをスペクトル類似度算出処理に加えるようにしたりする等の適宜の変更を行っても構わない。このようにしてスペクトル類似度を算出する対象を絞ることにより、処理時間を短縮することができるとともに、不要な結果が多数表示画面上に現れて煩雑になることを回避することができる。
【0042】
また、上記実施例はいずれも単に本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明に関連する参考技術の一実施例であるデータ処理装置を備えた高速液体クロマトグラフ(HPLC)の全体構成図。
【図2】このHPLCで採取される3次元クロマトグラムの一例を示す図。
【図3】本実施例のデータ処理装置を具現化するパソコンの要部の構成を示すブロック図。
【図4】本実施例のデータ処理装置において行われる処理のフローチャート。
【図5】第発明の一実施例であるデータ処理装置におけるデータ処理手順を示すフローチャート。
【図6】図5のデータ処理の結果としてモニタの表示画面に表示されるグラフの一例を示す図。

Claims (3)

  1. 成分分離用のカラムから溶出する試料のスペクトルを逐次採取するクロマトグラフ用のデータ処理装置において、
    a)過去の分析に使用された各種分析条件の下での標準試料のクロマトグラムに出現するピークに属するスペクトルデータを、分析条件情報に対応付けてデータベース化して保存しておくデータ記憶手段と、
    b)前記データ記憶手段に保存されている又は新規の分析に使用した分析条件の下での標準試料のクロマトグラムのピーク又はそのピークに属するスペクトルを分析者が指定するための指定手段と、
    c)任意の2つのスペクトルの類似度を算出するスペクトル類似度算出手段と、
    d)前記指定手段により指定されたスペクトル又は指定されたピークに対する代表スペクトルを検索キーとし、前記データ記憶手段に保存されている全スペクトルデータ又はその中で分析者による指示に基づいて限定された範囲に含まれるスペクトルデータを検索対象として、前記スペクトル類似度算出手段により算出されるスペクトル類似度が高い分析条件情報を検索する検索手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  2. 前記検索手段による検索によって抽出されたピーク又は分析条件情報をスペクトル類似度の高低の順序に並び替えて出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ用データ処理装置。
  3. 成分分離用のカラムから溶出する試料のスペクトルを逐次採取するクロマトグラフ用のデータ処理装置において、
    a)過去に分析された試料に関して、少なくともそのクロマトグラムに出現するピークに属するスペクトルデータが参照可能であるようにクロマトグラムデータをデータベース化して保存しておくデータ記憶手段と、
    b)前記データ記憶手段に保存されているクロマトグラムのうち、任意の複数のクロマトグラムを分析者が指定するための指定手段と、
    c)前記指定手段により指定された複数のクロマトグラムに出現するピークに関して、異なるクロマトグラム間のピーク同士の全ての組み合わせについて、それぞれスペクトル類似度を算出するスペクトル類似度算出手段と、
    d)該スペクトル類似度算出手段により算出された全てのスペクトル類似度又は所定の閾値以上のスペクトル類似度を、その算出根拠となったピークの表示に関連付けて且つスペクトル類似度の高低を差別化して出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
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