JP2017199866A - 電荷輸送性材料及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温プロセス耐性を有し、有機エレクトロニクス素子に利用可能な電荷輸送性材料を提供する。【解決手段】 300℃加熱時の熱重量減少が5質量%以下である電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物に関する。また、本発明の他の実施形態は、上記電荷輸送性材料、又は上記インク組成物を用いた有機層と、該有機層を有する、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例として、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも、有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系で成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。
このため、湿式プロセスに適した材料の開発が進められている(特許文献1)。
特開2006−279007号公報
一般に、高分子材料を使用して湿式プロセスにより作製した有機EL素子は、低コスト化、大面積化が容易であるという特長を有している。しかし、従来の高分子材料を用いて作製した薄膜を含む有機EL素子は、駆動電圧、発光効率、及び発光寿命といった、有機EL素子の特性において、さらなる改善が望まれている。さらに、有機EL素子作製には高温ベークを要するため、各材料には高温プロセス耐性も望まれている。
本発明の実施形態は、上記に鑑み、湿式プロセスに適し且つ高温プロセス耐性を有する、有機エレクトロニクス素子に利用可能な高分子化合物を含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供することを目的とする。また、他の実施形態は、上記電荷輸送性材料又は上記インク組成物を用いて、寿命特性に優れる有機エレクトロニクス素子、及び、有機EL素子、並びに、それを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、300℃加熱時の熱重量減少が5質量%以下である電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の電荷輸送性材料と、溶媒とを含む、インク組成物に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の電荷輸送性材料、又は、上記実施形態のインク組成物を用いて形成された有機層に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機層を有する、有機エレクトロニクス素子に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子に関する。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置に関する。
さらに、本発明の他の実施形態は、上記実施形態の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
本発明の実施形態によれば、高温での耐久性に優れ、かつ、寿命特性に優れる有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、並びに、それを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することができる。
本発明の一実施形態である有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはない。
<電荷輸送性材料>
本実施形態の電荷輸送性材料(本明細書においては、「有機エレクトロニクス材料」ともいう。)は、300℃加熱時の熱重量減少が、加熱前の質量に対し、5質量%以下である電荷輸送性ポリマーを含有することを特徴とする。この電荷輸送性材料は、複数種の電荷輸送性ポリマーを含んでいてもよく、その場合は、混合物である電荷輸送性ポリマーが全体として、上記熱重量減少特性を満たしていればよい。
なお、電荷輸送性ポリマーは、電荷を輸送する能力を有するポリマーであり、「ポリマー」は、構造単位の繰返し数が小さい、いわゆる「オリゴマー」も含む概念である。
電荷輸送性ポリマーの熱重量減少が、加熱前の質量に対し5質量%以下であることにより、電荷輸送性材料に高温プロセス耐性を付与し、耐熱性を向上させることができる。電荷輸送性材料の耐熱性が高ければ、これを用いた有機層が、例えば有機EL素子作製時の高温べーク(例えば200℃超〜300℃未満)により性能低下することがなく、よって、高いキャリア移動度を維持することができる。その結果、駆動電圧を低下させることができ、また、発光効率の向上と長寿命化が実現できると考えられる。
この熱重量減少は、4.5質量%以下であることがより好ましく、4.3質量%以下であることがさらに好ましく、4.1質量%以下であることが一層好ましい。
電荷輸送性ポリマーの300℃加熱時の熱重量減少比率は、測定対象ポリマーを、空気中で、5℃ /分の昇温条件で300℃まで加熱した際の熱重量減少(質量%)をいう。具体的には、測定ポリマー10mgを用い、熱重量−示査熱(TG−DTA)分析装置を用いて測定することができる。
[電荷輸送性ポリマー]
本実施形態の電荷輸送性ポリマーは、上記のとおり、熱重量減少が少ないものであることを特徴とする。
ポリマーの熱重量減少を制御するためには、例えば、ポリマー分子中に含まれる芳香環(アリール基又はヘテロアリール基)等の環構造を増加させることにより、ポリマーの熱重量減少を低下させることができる。具体的には、後述する構造単位T、L又はBとして、縮合又は非縮合多環構造を導入することが好ましい。
一方、例えばエーテル結合、エステル結合等の加熱により切断しやすい構造を分子中に有すると、熱重量減少が大きくなる傾向があるため、これらの構造の含有量を調整することが好ましい。
電荷輸送性ポリマーは、直鎖状であっても、又は、分岐構造を有していてもよい。電荷輸送性ポリマーは、好ましくは、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと末端部を構成する1価の構造単位Tとを少なくとも含み、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを更に含んでもよい。電荷輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。電荷輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
(構造)
電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。電荷輸送性ポリマーは以下の部分構造を有するポリマーに限定されない。部分構造中、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを、「B」は構造単位Bを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。
直鎖状の電荷輸送性ポリマー
Figure 2017199866
分岐構造を有する電荷輸送性ポリマー
Figure 2017199866
一実施形態において電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性の2価の構造単位を有するものであることが好ましい。また、一実施形態において電荷輸送性ポリマーは、3方向以上に分岐した構造を有する、すなわち上記構造単位Bを有するものであることが好ましい。
電荷輸送性ポリマーは、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される1以上の構造を含むものであることが好ましく、この構造は、好ましくは以下に述べる構造単位Lに含まれているが、構造単位Bに含まれていてもよく、構造単位Lと構造単位Bの双方に含まれていてもよい。これらのうちのいずれかの構造を含むことにより、電荷輸送性、特に正孔輸送性を向上させることができる。
あるいは、電荷輸送性、特に正孔輸送性を向上させる観点から、一実施形態において電荷輸送性ポリマーは、N−アリールフェノキサジン構造を含むことが好ましい。このN−アリールフェノキサジン構造は、構造単位Bに含まれることが好ましいが、構造単位Lに含まれていてもよく、構造単位Bと構造単位Lの双方に含まれていてもよい。N−アリールフェノキサジン構造のアリール基は、好ましくは、フェニル基、ナフチル基等である。これらのアリール基は、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。
(構造単位L)
構造単位Lは、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Lは、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、N−アリールフェノキサジン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位Lは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
構造単位Lの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Lは、以下に限定されない。
Figure 2017199866
Figure 2017199866
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
(構造単位T)
構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。構造単位Tが構造単位Lと同じ構造を有していてもよい。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位Tは重合可能な構造(例えば、ピロール−イル基等の重合性官能基)であってもよい。
構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Tは、以下に限定されない。
Figure 2017199866
Rは、構造単位LにおけるRと同様である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、好ましくは、Rのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基である。
一実施形態においては、電荷輸送性ポリマーの熱重量減少を小さくするために、構造単位Tとして、多環芳香族炭化水素、及び芳香族アミン等に基づく多環構造を導入することが好ましい。例えば、多環芳香族炭化水素構造として、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンゾピレン等から水素原子1個を除いた原子団が挙げられる。芳香族アミン構造として、トリアリールアミン構造が好ましく、より具体的には、トリフェニルアミン、フェニルナフチルアミン(N−フェニル−1−ナフチルアミン等)、ジフェニルナフチルアミン(N,N−ジフェニル−1−ナフチルアミン等)、フェニルジナフチルアミン(N−フェニル−2,2’−ナフチルアミン等)、トリナフチルアミン等から水素原子1個を除いた原子団が挙げられる。これらのうちの2種以上の構造を組み合わせてもよい。
これらの多環構造を構造単位Tとして導入する場合、全構造単位Tを基準として、多環構造が50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上、及び70モル%以上であることが、この順にさらに好ましい。あるいは、構造単位L、T、Bの全構造単位を基準とした場合、これらの多環構造は、15〜50モル%であることが好ましい。
(構造単位B)
構造単位Bは、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。
構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。
Figure 2017199866
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位LにおけるRが挙げられる。
一実施形態においては、電荷輸送性ポリマーの熱重量減少を小さくするために、構造単位Bとして、ヘテロアリーレン構造を含むことが好ましく、なかでも、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、N−アリールフェノキサジン構造等が好ましい。この構造単位Bとしてのヘテロアリーレン構造は、全構造単位Bを基準として、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上であることが、この順にさらに好ましい。
(重合性官能基)
一実施形態において、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、電荷輸送性ポリマーは、重合性官能基を少なくとも1つ有することが好ましい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。
例えば、正孔注入層に重合開始剤を含ませ、かつ正孔輸送層に、重合性置換基を有する電荷輸送性ポリマーを用いた場合、正孔輸送層が硬化可能となり、よって、さらにその上層にインク等からなる発光層を、正孔輸送層を溶解させることなく塗布することが可能となる。一般に、発光層は芳香族炭化水素系溶剤で塗布されるため、重合性官能基の導入により、トルエンに浸漬しても溶解しにくい電荷輸送性ポリマーとすることが好ましい。
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましい。
重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、電荷輸送性ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、アルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、電荷輸送性ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。前述の「重合性官能基を含む基」とは、重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等とを合わせた基を意味する。重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第WO2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。
重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの質量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの質量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましく、5,000以上がより一層好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、30,000以下がより一層好ましい。
(質量平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの質量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。質量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましく、30,000以上が一層好ましい。また、質量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましく、200,000以下、100,000以下がこの順でより一層好ましい。
数平均分子量及び質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Lの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1〜70が好ましく、100:3〜50がより好ましく、100:5〜30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。
構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(製造方法)
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
[ドーパント]
電荷輸送性材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、電荷輸送性材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得る化合物であればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。電荷輸送性材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、CsCO等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合は、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして、重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。
[他の任意成分]
電荷輸送性材料(有機エレクトロニクス材料)は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。
[含有量]
電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。100質量%とすることも可能である。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送性材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<インク組成物>
本発明の実施形態であるインク組成物は、前記実施形態の電荷輸送性材料と該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
[重合開始剤]
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、インク組成物は、好ましくは、重合開始剤を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。そのような物質として、例えば、前記イオン化合物が挙げられる。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、前記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層であって、上記実施形態の電荷輸送性材料を含むものである。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも一つの前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
[有機EL素子]
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも一つの前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有し、最も好ましくは、正孔注入層として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、前記実施形態の有機層からなる正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[正孔注入層、正孔輸送層]
上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として使用することが好ましく、少なくとも正孔注入層として使用することが一層好ましい。上述のとおり、電荷輸送性材料を含むインク組成物を用いることにより、これらの層を容易に形成することができる。
有機EL素子が、上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料(トリフェニルアミン等)を使用できる。また、有機EL素子が、上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、更に正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。本実施形態の電荷輸送性材料を、正孔注入層及び正孔輸送層の双方に用いることも好ましい。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
一実施形態において、有機EL素子は、フレキシブル基板を有することが好ましく、このフレキシブル基板は樹脂フィルムを含むことが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[封止]
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム、又は酸化珪素、窒化ケイ素等の無機物を用いることができるが、これらに限定されることはない。
封止の方法も、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
<1>電荷輸送性ポリマーの調製
(Pd触媒の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5ml)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し室温で30分間撹拌し、触媒の溶液を得た。なお、触媒の調製において、すべての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
(調製例1−電荷輸送性ポリマー1)
以下のようにして、電荷輸送性ポリマー1を調製した。
三口丸底フラスコに、下記モノマー1(4.0mmol)、下記モノマー2(5.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、及びアニソール(20ml)を加え、さらに、別途調製した上記Pd触媒の溶液(7.5ml)を加え、攪拌した。30分撹拌した後、上記フラスコ内に、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20ml)を追加した。この混合物を2時間にわたって、加熱・還流した。なお、ここまでの全ての操作は、窒素気流下で行った。また、すべての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
Figure 2017199866
反応終了後、有機層を水洗した。次いで、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。洗浄後の沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過した後、トルエンに溶解し、Triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(Strem Chemicals社、ポリマー100mgに対して200mg、以下「金属吸着剤」という。)を加えて、一晩撹拌した。
撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過によって取り除き、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を得た。
得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は7,800であり、質量平均分子量は31,000であった。
数平均分子量及び質量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速 :1ml/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
(調製例2−電荷輸送性ポリマー2)
以下のようにして、電荷輸送性ポリマー2を調製した。
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及びモノマー3(2.0mmol)と、下記モノマー4(4.0mmol)と、アニソール(20ml)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5ml)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー2を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900であり、質量平均分子量は169,000であった。
Figure 2017199866
(調製例3−電荷輸送性ポリマー3)
モノマー1(4.0mmol)をモノマー1(1.0mmol)と下記モノマー5(3.0mmol)に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー3を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー3の数平均分子量は13,384であり、質量平均分子量は63,790であった。
(調製例4−電荷輸送性ポリマー4)
モノマー1(4.0mmol)をモノマー1(1.0mmol)と下記モノマー6(3.0mmol)に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー4を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー4の数平均分子量は12,757であり、質量平均分子量は68,501であった。
(調製例5−電荷輸送性ポリマー5)
モノマー1(4.0mmol)をモノマー1(1.0mmol)と下記モノマー7(3.0mmol)に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー5を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー5の数平均分子量は10,959であり、質量平均分子量は69,631であった。
(調製例6−電荷輸送性ポリマー6)
モノマー1(4.0mmol)をモノマー1(1.0mmol)と下記モノマー8(3.0mmol)に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー6を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー6の数平均分子量は14,587であり、質量平均分子量は68,111であった。
(調製例7−電荷輸送性ポリマー7)
モノマー1(4.0mmol)をモノマー1(1.0mmol)と下記モノマー9(3.0mmol)に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー7を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー7の数平均分子量は7,522であり、質量平均分子量は43,238であった。
(調製例8−電荷輸送性ポリマー8)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー10(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー8を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー8の数平均分子量は18,522であり、質量平均分子量は76,471であった。
(調製例9−電荷輸送性ポリマー9)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー10(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例4と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー9を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー9の数平均分子量は13,887であり、質量平均分子量は64,613であった。
(調製例10−電荷輸送性ポリマー10)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー10(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例5と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー10を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー9の数平均分子量は8,709であり、質量平均分子量は37,657であった。
(調製例11−電荷輸送性ポリマー11)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー11(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー11を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー11の数平均分子量は12,135であり、質量平均分子量は62,780であった。
(調製例12−電荷輸送性ポリマー12)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー11(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例4と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー12を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー12の数平均分子量は11,358であり、質量平均分子量は59,976であった。
(調製例13−電荷輸送性ポリマー13)
モノマー3(2.0mmol)を下記モノマー11(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例5と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー13を調製した。得られた電荷輸送性ポリマー13の数平均分子量は10,743であり、質量平均分子量は82,412であった。
以下に、モノマー5〜11をまとめて示す。
Figure 2017199866
各電荷輸送性ポリマーの300℃加熱時の熱重量減少を以下に示す。
熱重量減少は、ポリマー10mgを空気中、5℃ /分の昇温条件で300℃まで加熱した際の熱重量減少比率を、TG−DTA測定装置(株式会社島津製作所製DTG−60H)を用いて測定することにより求めた。
Figure 2017199866
<2−1>有機HOD素子の作製
(実施例1)
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記電荷輸送性ポリマーの合成で得た電荷輸送性ポリマー3(10.0mg)、下記イオン性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3ml)からなるインク組成物を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、30分間大気中で加熱して硬化させ、正孔注入層(100nm)を形成した基板と200℃、30分間大気中で加熱し、その後、窒素中で230度30分間加熱して硬化させ、正孔注入層(100nm)を形成した基板を作製した。
Figure 2017199866
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、上記正孔注入層上にα−NPD(20nm)、Al(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機HOD(Hole only device)素子を作製した。
(実施例2〜11、比較例1)
実施例1において、有機EL素子における正孔注入層を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー3を、以下の表2に示す各電荷輸送性ポリマーに変えたインク組成物をそれぞれ調製した。このインク組成物を使用して正孔注入層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1の有機HOD素子を作製した。
<2−2>HOD素子の評価
実施例1〜11及び比較例1で得た有機HOD素子に電圧を印加したところ、いずれも電流が流れることが分かり、正孔注入性の機能を持つことが確認された。それぞれの素子について、電流密度300mA/cm時の駆動電圧を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2017199866
表に示したとおり、実施例1〜11の有機HOD素子は、比較例1よりも、230℃/30分間の追加加熱後による駆動電圧の上昇が少なく、低い駆動電圧を維持できる結果を示した。すなわち、正孔注入層の構成材料の観点からすれば、電荷輸送性材料として、熱重量減少が低い、耐熱性を向上させた電荷輸送性ポリマーを使用することによって、高温プロセスでの正孔注入性の維持といった効果が得られることが分かる。
<3−1>有機EL素子の作製
(実施例12)
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記電荷輸送性ポリマーの合成で得た電荷輸送性ポリマー3(10.0mg)、上記のイオン性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、30分間、230℃、30分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
次に、上記操作で得た正孔注入層の上に、上記で得た電荷輸送性ポリマー2(20mg)及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。正孔注入層を溶解させることなく、正孔輸送層を形成することができた。
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、上記正孔輸送層上にCBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、Al(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
(実施例13〜実施例22、比較例2)
実施例12において、有機EL素子における正孔注入層を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー3を、以下の表3に示す各電荷輸送性ポリマーに変えたインク組成物をそれぞれ調製した。このインク組成物を使用して正孔注入層を形成したことを除き、全て実施例12と同様にして、実施例13〜実施例22及び比較例2の有機EL素子を作製した。
<3−2>有機EL素子の評価
実施例12〜22及び比較例2で得た有機EL素子に電圧を印加したところ、いずれも緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度5000cd/m時の駆動電圧及び発光効率、初期輝度5000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2017199866
表に示したとおり、実施例12〜22の有機EL素子は、比較例2よりも、発光効率に優れ、長い発光寿命を示した。すなわち、正孔注入層の構成材料の観点からすれば、電荷輸送性材料として、熱重量減少の少ない電荷輸送性ポリマーを使用することによって、高温加熱が可能であるとともに、発光効率及び発光寿命の向上といった効果が得られることが分かる。
以上のように、実施例によって本発明の実施形態の効果を示した。しかし、本発明によれば、実施例で用いた電荷輸送性ポリマーに限らず、本発明の範囲を逸脱しない限り、その他の電荷輸送性ポリマーを用いた場合であっても、同様にして有機エレクトロニクス素子を得ることが可能である。得られた有機エレクトロニクス素子は、先の各実施例と同様に優れた特性を有するものとなる。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (15)

  1. 300℃加熱時の熱重量減少が5質量%以下である電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料。
  2. 前記電荷輸送性ポリマーが、電荷輸送性の2価の構造単位を有する、請求項1に記載の電荷輸送性材料。
  3. 前記電荷輸送性ポリマーが、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される1以上の構造を含む、請求項1又は2に記載の電荷輸送性材料。
  4. 前記電荷輸送性ポリマーが、少なくとも1つの重合性官能基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  5. 前記電荷輸送性ポリマーが、3方向以上に分岐した構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  6. 正孔注入性材料として用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料、又は、請求項7に記載のインク組成物を用いて形成された有機層。
  9. 請求項8に記載の有機層を少なくとも一つ有する、有機エレクトロニクス素子。
  10. 請求項8に記載の有機層を少なくとも一つ有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. フレキシブル基板をさらに有する、請求項10に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. 前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、請求項11記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置。
  15. 請求項14に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置。
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