JP6657663B2 - 電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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本発明の実施形態は、電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物に関する。また、本発明の他の実施形態は、上記電荷輸送性材料、または該材料を含むインク組成物を用いた有機層を有する、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、及び柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例として、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系で成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能であることから、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。
そのため、近年、湿式プロセスに適した高分子材料の開発が進められており、例えば、特許文献1に記載されているような検討が行われている。
特開2006−279007号公報
一般に、高分子材料を使用して有機EL素子を構成した場合、低コスト化、及び大面積化が容易であるという特長を有している。そのため、近年、高分子材料を用いて作製した有機層を多層化し、各々の層の機能を分離することによって、有機EL素子の各種特性の向上を図るための様々な方法が検討されている。しかし、従来の高分子材料を用いて作製した有機層を有する有機EL素子は、駆動電圧、発光効率、及び発光寿命といった特性において、さらなる改善が望まれている。
本発明の実施形態は、上記に鑑み、有機エレクトロニクス素子に好適に使用できる高分子材料を含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供することを目的とする。また、本発明の他の実施形態は、上記電荷輸送性材料又は上記インク組成物を用いて、発光効率及び発光寿命に優れる有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、並びにそれらを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構成単位を有する電荷輸送性ポリマーが、有機エレクトロニクス素子の有機層を構成する電荷輸送性材料として好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下に記載の事項に関する。
本発明の一実施形態は、3方向以上に分岐した構造を有する電荷輸送性ポリマーを含み、上記電荷輸送性ポリマーが、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含む電荷輸送性材料に関する。
ここで、上記電荷輸送性ポリマーは、さらに、電荷輸送性を有する2価の構造単位を含むことが好ましい。上記記2価の構造単位は、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれることが好ましい。また、上記電荷輸送性ポリマーは、上記ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位の1つに対し、上記2価の構造単位が3つ以上結合した部分構造を含むことが好ましい。また、上記電荷輸送性材料は、正孔輸送性材料として使用されることが好ましい。
本発明の一実施形態は、上記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物に関する。
本発明の一実施形態は、上記電荷輸送性材料を含む有機層を有する有機エレクトロニクス素子に関する。
本発明の一実施形態は、上記電荷輸送性材料を含む有機層を有する有機エレクトロルミネセンスに関する。ここで、上記有機エレクトロルミネセンス素子は、フレキシブル基板をさらに有することが好ましい。上記フレキシブル基板は、樹脂フィルムを含むことが好ましい。
本発明の一実施形態は、上記有機エレクトロルミネセンス素子を備える表示素子に関する。
本発明の一実施形態は、上記有機エレクトロルミネセンス素子を備える証明装置に関する。
本発明の一実施形態は、上記照明装置と、表示手段として液晶素子とを備える表示装置に関する。
本発明の実施形態によれば、有機エレクトロニクス素子の構成材料として好適な電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供することができる。また、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を使用して、駆動電圧が低く、発光効率及び発光寿命に優れる有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、それを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することができる。
本発明の有機EL素子の一実施形態を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<電荷輸送性材料>
本発明の電荷輸送性材料は、3方向以上に分岐した構造を有する電荷輸送性ポリマーを含む。上記電荷輸送性ポリマーは、電荷を輸送する能力を有する。以下、電荷輸送性ポリマーについて、詳細に説明する。
(電荷輸送性ポリマー)
上記電荷輸送性ポリマーにおいて、「3方向以上に分岐した構造」とは、電荷輸送性ポリマー1分子中の種々の鎖の中で、最も重合度の大きくなる鎖を主鎖とした時に、主鎖に対して重合度が同じか、それよりは重合度の小さい、1以上の側鎖が存在することを意味する。本発明において上記重合度とは、電荷輸送性ポリマーを合成する際に用いられるモノマーの単位が、電荷輸送性ポリマー1分子当たりにいくつ含まれるかを表す。本発明において側鎖は、電荷輸送性ポリマーの主鎖とは異なる鎖であり、少なくとも1つ以上の構成単位を有しているものをいい、それ以外は側鎖ではなく置換基とみなす。
本発明において、上記電荷輸送性ポリマーは、先に説明した「3方向以上に分岐した構造」の分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを含み、上記構造単位Bとしてナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1を含む。ここで、構造単位における「3価以上」の用語は、構造単位において、他の構造単位との結合部位を形成する結合手が3つ以上存在することを意味する。すなわち、構造単位の価数は、上記結合手の数に相当する。
一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、分子内に、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1を含む。ここで、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1とは、構造単位において、ナフタレン環に直結する結合手が3つ以上存在することを意味する。ナフタレン環に直結する結合手の位置は特に限定されず、ナフタレン環は置換基を有してもよい。
ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1の具体例として、以下が挙げられる。
Figure 0006657663
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。アリール基及びヘテロアリール基は、置換基を有してもよい。
より好ましくは、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8個の直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜16個のアリール基及びヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である。さらに好ましくは、Rは、それぞれ、水素原子である。
立体障害が少なく、隣り合う構造単位との共役がつながることによって、高い安定性を有し発光寿命が長くなる点で、上記式(1)又は(4)で表される構造単位が好ましい。なかでも、ナフタレン環が置換されていない、以下に示す構造単位(1a)又は(4a)が好ましく、特に構造単位(4a)が好ましい。
Figure 0006657663
ナフタレン骨格を有する化合物は、剛直であり、かつバンドギャップが広いという特徴を有する。また、分岐した構造を有する電荷輸送性ポリマーは、塗布法によって有機層を形成することが容易である。そのため、ナフタレン骨格を有する特定の構造単位を含む電荷輸送性ポリマーを用いて、有用な電荷輸送性材料を構成することができる。また、そのような電荷輸送性材料を使用することで、有機EL素子等の耐久性を向上させることができ、かつ発光効率を向上させることができる。
(電荷輸送性ポリマーの構造)
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bとして上記構造単位B1を含み、さらに、少なくとも末端部を形成する1価の構造単位Tを含む。別の実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、上記3価以上の構造単位Bとして上記構造単位B1を含み、さらに、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと、上記1価の構造単位Tとを含む。電荷輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでもよい。電荷輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
上記電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の一例として、以下が挙げられる。上記電荷輸送性ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「B」は構造単位Bを、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のBは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びLについても、同様である。
Figure 0006657663
特に限定するものではないが、一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、3価以上の構造単位Bとして、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1を含み、上記構造単位B1の1つに対して、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lが3つ以上結合した部分構造を含むことが好ましい。以下、各構造単位について、具体的に説明する。
(構造単位B)
構造単位Bは、3方向以上に分岐する構造を有する電荷輸送性ポリマーにおいて、分岐部を形成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。上記構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。
本発明において、上記構造単位Bは、上記ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1を少なくとも含み、必要に応じて、その他の電荷輸送性を有する3価以上の構造単位B2を含んでもよい。
耐久性及び発光効率の向上といった効果を得る観点から、一実施形態において上記電荷輸送性ポリマーにおける上記構造単位B1の割合は、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が最も好ましい。一方、上記電荷輸送性ポリマーの電荷輸送性をより高める観点から、電荷輸送性ポリマーは、上記構造単位B1に加えて、優れた電荷輸送性を有する他の構造単位を含むことが好ましい。このような観点から、一実施形態において上記電荷輸送性ポリマーにおける上記構造単位B1の割合は、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が最も好ましい。
上記構造単位B1の割合が上記範囲内である電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料を使用することで、優れた耐久性及び発光効率を有する有機EL素子を容易に得ることができる。また、上記構造単位B1の割合が上記範囲内となるように調製された電荷輸送性ポリマーは、電荷輸送性材料として適度な分子量を有する点でも好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーにおける上記構造単位B1の割合は、上記電荷輸送性ポリマーの調製時に、上記構造単位B1を有するモノマー化合物の仕込み量を調整することによって、達成することができる。上記構造単位B1の割合は、原料として使用する各種モノマー化合物の仕込み量の合計に対する、上記構造単位B1を有するモノマー化合物の比(モル比)から算出することができる。また、上記構造単位B1の割合は、電荷輸送性ポリマーのNMRを測定し、特徴となるピークの積分比から算出することもできる。
一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、3価以上の構造単位Bとして、上記構造単位B1と、その他の3価以上の構造単位B2とを含むことが好ましい。ここで、構造単位B1及びB2の合計量に対する上記構造単位B1の割合は、好ましくは10%以上、より好ましく20%以上、さらに好ましくは30%以上である。上記構造単位B1の割合を上記範囲内に調整することによって、優れた電荷輸送性に加えて、ナフタレン骨格を有する構造単位による利点を得ることが容易となる。上記3価以上の構造単位Bにおける上記構造単位B1の割合は100%であってもよい。
構造単位B2は、例えば、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環状式芳香族炭化水素構造(但し、ナフタレン骨格を有する構造単位B1は除く)、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。上記芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。構造単位B2は、後述する構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
構造単位B2の具体例として、以下が挙げられる。構造単位B2の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位B2は、以下に限定されない。
Figure 0006657663
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、後述する構造単位LにおけるRが挙げられる。
(構造単位L)
構造単位Lは、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Lは、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。上記芳香族アミン構造の中でも、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。また、上記ベンゼン構造のなかでも、p−フェニレン構造、m−フェニレン構造が好ましい。
一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれることが好ましい。一実施形態において、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。
他の実施形態において、構造単位Lは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
構造単位Lの具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位Lは、以下に限定されない。
Figure 0006657663
Figure 0006657663
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
(構造単位T)
構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位Tは重合可能な構造(すなわち、例えば、ピロール−イル基等の重合性官能基)であってもよい。構造単位Tは、構造単位L及び/又はB2と同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位Tは、以下に限定されない。
Figure 0006657663
Rは、構造単位LにおけるRと同様である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、好ましくは、Rのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基である。
(重合性官能基)
一実施形態において、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、上記電荷輸送性ポリマーは、分子内に、重合性官能基を少なくとも1つ有することが好ましい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましい。
重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、電荷輸送性ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、アルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、電荷輸送性ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。前述の「重合性官能基を含む基」とは、重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等とを合わせた基を意味する。重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第WO2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。
重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
(重量平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。ここで、上記構造単位Bの割合は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1と、その他任意の電荷輸送性を有する3価以上の構造単位B2との合計を意味する。
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Lの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、電荷輸送性ポリマーは構造単位Bに加えて、構造単位Lと、構造単位Tとを含むことが好ましい。一実施形態において、構造単位の割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。
構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(電荷輸送性ポリマーの製造方法)
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
(原料モノマー化合物)
特に限定するものではないが、鈴木カップリング反応を用いて電荷輸送性ポリマーを調製する場合、使用可能な原料モノマーの組合せの一例を示す。モノマー(L)の例示において、Rは、先に構造単位Lで説明したRと同様である。
Figure 0006657663
[ドーパント]
電荷輸送性材料を使用して有機エレクトロニクス素子を構成する場合、電荷輸送性材料は、さらに、有機エレクトロニクス材料として周知の添加剤を含んでもよい。一実施形態において、電荷輸送性材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、電荷輸送性材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。電荷輸送性材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして上記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、CsCO等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合は、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして、重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。
[他の任意成分]
電荷輸送性材料は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。
[含有量]
電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。100質量%とすることも可能である。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送性材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<インク組成物>
本発明の実施形態であるインク組成物は、上記実施形態の電荷輸送性材料と該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
[重合開始剤]
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、インク組成物は、好ましくは、重合開始剤を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。そのような物質として、例えば、上記イオン化合物が挙げられる。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも上記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
[有機EL素子]
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも上記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、上記実施形態の有機層からなる正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、上記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、上記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
(実施例)
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<1>電荷輸送性ポリマーの調製
(Pd触媒の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し室温で30分間撹拌し、触媒の溶液を得た。なお、触媒の調製において、すべての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
(調製例1)電荷輸送性ポリマー1
三口丸底フラスコに、下記モノマー1(4.0mmol)、下記モノマー2(5.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、さらに、別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。30分撹拌した後、上記フラスコ内に、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を追加した。この混合物を2時間にわたって、加熱・還流した。なお、ここまでの全ての操作は、窒素気流下で行った。また、すべての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
Figure 0006657663
反応終了後、有機層を水洗した。次いで、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。洗浄後の沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過した後、トルエンに溶解し、Triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(Strem Chemicals社、ポリマー100mgに対して200mg、以下「金属吸着剤」という。)を加えて、一晩撹拌した。
撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過によって取り除き、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は7,800であり、重量平均分子量は31,000であった。分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。電荷輸送性ポリマー1は、ナフタレン骨格を含まない3価以上の構造単位B2(モノマー3に由来する)、2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、及び重合性官能基を有する1価の構造単位T(モノマー1に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
数平均分子量及び重量平均分子量の測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L-6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV-Vis検出器 :L-3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack (R) GL-A160S/GL-A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(和光純薬製, HPLC用, 安定剤不含)
流速 :1 mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
(調製例2)電荷輸送性ポリマー2
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及びモノマー3(2.0mmol)と、下記モノマー4(4.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー2を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900であり、重量平均分子量は169,000であった。電荷輸送性ポリマー2は、ナフタレン骨格を含まない3価以上の構造単位B2(モノマー3に由来する)、2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
Figure 0006657663
(調製例3)電荷輸送性ポリマー3
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及び調製例2に記載のモノマー4(3.5mmol)と、下記モノマー5(1.5mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー3を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー3の数平均分子量は10,000であり、重量平均分子量は17,500であった。電荷輸送性ポリマー3は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、電荷輸送性を有する2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、16.7%、44.4%、及び38.9%であった。
Figure 0006657663
(調製例4)電荷輸送性ポリマー4
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)と、下記モノマー6(4.0mmol)と、調製例2に記載のモノマー4(2.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の手順と同様にして、電荷輸送性ポリマー4を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー4の数平均分子量は2,800あり、重量平均分子量は7,800であった。電荷輸送性ポリマー4は、ナフタレン骨格を有する2価の構造単位L(モノマー6に由来する)、電荷輸送性を有する2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、36.4%、45.5%、及び18.2%であった。
Figure 0006657663
(調製例5)電荷輸送性ポリマー5
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)、モノマー1(1.0mmol)と、調製例3に記載のモノマー5(2.0mmol)と、調製例2に記載のモノマー4(3.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の手順と同様にして、電荷輸送性ポリマー5を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー5の数平均分子量は40,100であり、重量平均分子量は232,000であった。電荷輸送性ポリマー5は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、電荷輸送性を有する2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、重合性官能基を有する1価の構造単位T(モノマー1に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、9.1%、27.3%であった。
(調製例6)電荷輸送性ポリマー6
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)と、調製例4に記載のモノマー6(4.0mmol)と、調製例1に記載のモノマー1(2.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の手順と同様にして、電荷輸送性ポリマー4を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー6の数平均分子量は5,200であり、重量平均分子量は8,000であった。電荷輸送性ポリマー6は、電荷輸送性を有する2価の構造単位L(モノマー2に由来する)、ナフタレン骨格を有する2価の構造単位L(モノマー6に由来する)、重合性官能基を有する1価の構造単位T(モノマー1に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、45.5%、36.4%、18.2%であった。
<2−1>有機EL素子の作製
(実施例1)
調製例1で得た電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)と、下記イオン性化合物(I)(0.5mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物1Aを調製した。次いで、窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板(膜厚0.7mm)上に、上記インク組成物1Aを、3000min−1でスピンコートし、引き続き、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
Figure 0006657663
次に、調製例3で得た電荷輸送性ポリマー3(20mg)と、イオン性化合物(I)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物3Aを調製し、先に形成した正孔注入層の上に、3000min−1でスピンコートした。引き続き、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。ここで、上記正孔輸送層の形成は、正孔注入層を溶解させることなく、良好に実施することができた。上記電荷輸送性ポリマー3は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含む、分岐した構造を有する化合物である。
上述のようにして得た、ガラス基板/正孔注入層/正孔輸送層の積層体を真空蒸着機中に移し、上記正孔輸送層上に、CBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、Al(100nm)の順に蒸着法による成膜を実施することによって、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極を順に積層した。Alの蒸着によって陰極を形成した後、大気開放することなく、上記積層体を乾燥窒素環境中に移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスと上記積層体のITOガラス基板とを、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、有機EL素子を作製した。
(実施例2)
実施例1において、イオン性化合物(I)のかわりに、イオン性化合物(II)を用いたことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。詳細は以下のとおりである。
調製例1で得た電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)と、下記イオン性化合物(II)(0.5mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物1Bを調製した。実施例1において、イオン組成物1Aのかわりにイオン組成物1Bを使用したことを除き、全て実施例1と同様にして、正孔注入層を形成した。
Figure 0006657663
次に、調製例3で得た電荷輸送性ポリマー3(20mg)と、イオン性化合物(II)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物3Bを調製し、先に形成した正孔注入層の上に、3000min−1でスピンコートした。引き続き、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。ここで、上記正孔輸送層の形成は、正孔注入層を溶解させることなく、良好に実施することができた。上記電荷輸送性ポリマー3は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含む、分岐した構造を有する化合物である。
(比較例1)
上記調製例2で得た電荷輸送性ポリマー2(20mg)と、上記実施例1に記載の上記イオン性化合物(I)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物2Aを調製した。上記電荷輸送性ポリマー2は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含まず、分岐した構造を有するが、ナフタレン骨格を含まない化合物である。
実施例1において、有機EL素子の正孔輸送層を形成するために用いたインク組成物3Aのかわりに、上記インク組成物2Aを用いたことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(比較例2)
上記調製例4で得た電荷輸送性ポリマー4(20mg)と、実施例1に記載の上記イオン性化合物(I)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物4Aを調製した。上記電荷輸送性ポリマー4は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含まず、ナフタレン骨格を有するが、分岐した構造を持たない化合物である。
実施例1において、有機EL素子の正孔輸送層を形成するために用いたインク組成物3Aのかわりに、上記インク組成物4Aを用いたことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
<2−2>有機EL素子の評価
実施例1,2および比較例1,2で得た有機EL素子に電圧を印加したところ、いずれも緑色の発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1000cd/m時の駆動電圧と発光効率、及び初期輝度3000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006657663
表2から分かるように、実施例1及び2の有機EL素子は、比較例1及び2よりも、駆動電圧が低く、また発光効率に優れ、長い発光寿命を示した。すなわち、正孔輸送層の構成材料の観点からからすれば、電荷輸送性材料として、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位に由来する特定の分岐構造を有する電荷輸送性ポリマーを使用することによって、発光効率及び発光寿命の向上といった格別の効果が得られることが分かる。
<3−1>白色有機EL素子(照明装置)の作製
(実施例3)
実施例1と同様に、電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)と、イオン性化合物(I)(0.5mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物1Aを調製した。次いで、窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板(膜厚0.7mm)上に、上記インク組成物1Aを、3000min−1でスピンコートし、引き続き、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
次に、実施例1と同様にして、電荷輸送性ポリマー5(20mg)と、イオン性化合物(I)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物5Aを調製し、先に形成した正孔注入層の上に、3000min−1でスピンコートした。引き続き、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。ここで、上記正孔輸送層の形成は、正孔注入層を溶解させることなく、良好に実施することができた。上記電荷輸送性ポリマー5は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含む、分岐した構造を有する化合物である。
次に、上述のようにして得た、ガラス基板/正孔注入層/正孔輸送層の積層体の上に、窒素中、CDBP(15mg)、FIr(pic)(0.9mg)、Ir(ppy)(0.9mg)、(btp)Ir(acac)(1.2mg)、及びジクロロベンゼン(0.5mL)の混合物を、3000min−1にてスピンコートし、次いで、80℃で5分間乾燥させて、発光層(40nm)を形成した。ここで、発光層の形成は、正孔輸送層を溶解させることなく、良好に実施することができた。
さらに、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.5nm)、Al(100nm)の順に蒸着法による成膜を実施することにより、上記発光層の上に正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極を順に積層した。上述のようにAlの蒸着によって陰極を積層した後、大気開放することなく、上記積層体を乾燥窒素環境中に移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスと上記積層体のITOガラス基板とを、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、白色有機EL素子を作製した。得られた白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
(比較例3)
調製例6で得た電荷輸送性ポリマー6(20mg)と、実施例1に記載のイオン性化合物(I)(1.0mg)と、トルエン(2.3mL)とからなるインク組成物6Aを調製した。上記電荷輸送性ポリマー6は、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位を含まず、ナフタレン骨格を有するが、分岐した構造を持たない化合物である。
実施例3において、白色有機EL素子の正孔輸送層を形成するために用いたインク組成物5Aのかわりに、上記インク組成物6Aを用いたことを除き、全て実施例3と同様にして、白色有機EL素子を得た。
<3−2>白色有機EL素子(照明装置)の評価
実施例3および比較例3で得た、それぞれの白色有機EL素子に電圧を印加して、初期輝度1000cd/mでの発光寿命を測定した。実施例3の駆動電圧、発光効率、発光寿命をそれぞれ1とした時、比較例3では、駆動電圧が1.4、発光効率が0.8、及び発光寿命が0.4であった。
すなわち、実施例3の白色有機EL素子は、比較例3の白色有機EL素子との比較において、駆動電圧が低く、優れた発光効率及び発光寿命を有する。このような結果から、実施例1及び2と同様に、正孔輸送層を構成する電荷輸送性材料として、ナフタレン骨格を有する3価以上の構造単位に由来する特定の分岐構造を有する電荷輸送性ポリマーを使用することによって、発光効率及び発光寿命の向上といった格別の効果が得られることが分かる。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (12)

  1. 電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料であって、前記電荷輸送性ポリマーが、下式(1)〜(4)のいずれかで表されるナフタレン骨格を有する3価の構造単位と、電荷輸送性を有する2価の構造単位とを含み、
    前記2価の構造単位が、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる構造を含み、前記ナフタレン骨格を有する3価の構造単位の1つに対し、前記2価の構造単位が3つ結合した部分構造を含む、電荷輸送性材料。
    Figure 0006657663
    [式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個の、アリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。]
  2. 前記電荷輸送性ポリマーが、下式(1a)又は下式(4a)で表されるナフタレン骨格を有する3価の構造単位を含む、請求項1に記載の電荷輸送性材料。
    Figure 0006657663
  3. 記2価の構造単位が、置換又は非置換の芳香族アミン構造を含む、請求項1又は2に記載の電荷輸送性材料。
  4. 正孔輸送性材料として使用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料を含む有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料を含む有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  8. フレキシブル基板をさらに有する、請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  9. 前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
  11. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
  12. 請求項11に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置。
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