JP2019116588A - 電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 - Google Patents

電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機エレクトロニクス素子に利用でき、素子特性の改善を可能とする電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供すること。また、優れた素子特性を有する有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、並びにそれらを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供すること。【解決手段】アクリダン構造を有する電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料。【選択図】なし

Description

本開示は、電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物に関する。また、本開示は、上記電荷輸送性材料又は上記インク組成物を用いた有機層を有する、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例として、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも、有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子化合物が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子化合物が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系で成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。
このため、湿式プロセスに適した材料の開発が進められている。例えば、湿式プロセスによる多層化に好適に使用できる、重合性官能基を有する電荷輸送性ポリマーが開示されている(特許文献1)。一方、近年、アクリダン構造を有する化合物を使用して素子特性を向上する技術が検討されている(特許文献2〜4)。しかし、特許文献2〜4で開示されたアクリダン構造を有する化合物は、いずれも低分子量であるため、湿式プロセスを適用して成膜を行うことは困難である。
特開2006−279007号公報 特許第5875743号公報 特表2012―530696号公報 特表2017―513855号公報
一般に、湿式プロセスにより作製した有機EL素子は、低コスト化、大面積化が容易であるという特長を有している。しかし、従来の電荷輸送性ポリマーを用いて作製した薄膜を含む有機EL素子は、駆動電圧、発光効率、及び発光寿命といった、有機EL素子の特性において、さらなる改善が望まれている。そのため、湿式プロセスに適し、かつ素子特性の改善が可能な材料の開発が望まれている。
したがって、本開示は、上記に鑑み、有機エレクトロニクス素子に利用でき、かつ素子特性の改善を可能とする電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供することを目的とする。また、本開示は、上記電荷輸送性材料又は上記インク組成物を用いて、優れた素子特性を有する有機エレクトロニクス素子、及び、有機EL素子、並びに、それを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、アクリダン構造を有する特定の構造単位を含む電荷輸送性ポリマーが、有機エレクトロニクス素子の有機層を構成する電荷輸送性材料として好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
一実施形態は、アクリダン構造を有する電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料に関する。
上記電荷輸送性ポリマーは、アクリダン構造を有する2価の構造単位L1、及びアクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1からなる群から選択される少なくとも1つを有することが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーにおいて、上記2価の構造単位L1は下式(L1b)で表される構造を有し、上記3価以上の構造単位B1は下式(B1b)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2019116588
式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種であり、
Arは、炭素数6〜30個のアリール基又は炭素数2〜30個のヘテロアリール基を表すか、炭素数6〜30個のアリーレン基又は炭素数2〜30個のヘテロアリーレン基を表す。
上記電荷輸送性ポリマーは、アクリダン構造を含まない、2価の構造単位L2、及び3価以上の構造単位B2からなる群から選択される少なくとも1つを更に含むことが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーは、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2を更に含むことがより好ましい。上記2価の構造単位L2は、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される構造を含むことが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーは、3方向以上に分岐した構造を有することが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーは、重合性官能基を有することが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、805〜1,000,000であることが好ましい。
上記電荷輸送性ポリマーは、正孔輸送性を有することが好ましく、電荷輸送性材料は、正孔輸送性材料として使用されることが好ましい。
一実施形態は、上記実施形態の電荷輸送性材料と、溶媒とを含む、インク組成物に関する。
一実施形態は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインキ組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロニクス素子に関する。
一実施形態は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインキ組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、フレキシブル基板を更に有することが好ましく、上記フレキシブル基板は樹脂フィルムを含むことが好ましい。
一実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子に関する。
一実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置に関する。
一実施形態は、上記実施形態の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
本開示によれば、有機エレクトロニクス素子に利用でき、かつ素子特性の改善が可能な電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、及び該材料を含むインク組成物を提供することができる。また、上記電荷輸送性材料又は上記インク組成物を用いて、発光効率及び発光寿命に優れる有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、並びに、それを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することができる。
本開示の有機EL素子の一実施形態を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態を含む。
<電荷輸送性材料>
本開示の一実施形態である電荷輸送性材料は、アクリダン構造を有する電荷輸送性ポリマーを含有する。上記電荷輸送性ポリマーは、電荷を輸送する能力を有する。電荷輸送性材料は、上記電荷輸送性ポリマーを1種、又は2種以上含有してもよい。以下、上記電荷輸送性ポリマーについて詳細に説明する。
(電荷輸送性ポリマー)
上記電荷輸送性ポリマーは、分子内にアクリダン構造を有する。アクリダン構造とは、置換又は非置換のアクリダン(9,10−ジヒドロアクリジン)化合物から水素原子を1以上取り除いた原子団(有機基)を意味する。一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、上記アクリダン構造を有する1価以上の構造単位を含み、この構造単位は結合部位において他の構造単位と結合している。一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、下式(1)で表されるアクリダン化合物から水素原子を1以上取り除いたアクリダン構造を有する有機基(構造単位)を含む。
Figure 2019116588
式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子であるか、又は、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。
及びRは、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。l及びmは、ベンゼン環における置換基の数を表し、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
上記アクリダン化合物におけるR及びRの部位は、2つのベンゼン環に挟まれているため反応性が高く、R及びRが水素となる場合、化合物が不安定になると考えられる。したがって、一実施形態において、R及びRの部位は、置換基であることが好ましい。また、一実施形態において、式中、Rは、炭素数6〜30個のアリール基又は炭素数2〜30個のヘテロアリール基であることが好ましい。したがって、一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、下式(1A)で表されるアクリダン化合物から水素原子を1以上取り除いた構造の有機基(構造単位)を有することが好ましい。
Figure 2019116588
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。
Arは、炭素数6〜30個のアリール基、及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。一実施形態において、Arは炭素数6〜30個のアリール基が好ましく、フェニル基、又はナフチル基であることがより好ましい。アリール基又はヘテロアリール基におけるベンゼン環は、置換基を有してもよい。
上記置換又は非置換のアクリダン構造を有する構造単位を含む電荷輸送性ポリマーは、直鎖構造を有するものであっても、又は、分岐構造を有するものであってもよい。上記電荷輸送性ポリマーは、好ましくは、少なくとも電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと末端部を構成する1価の構造単位Tとを含み、更に分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを含んでもよい。電荷輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。電荷輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。上記電荷輸送性ポリマーは、上記構造単位の少なくとも1つにアクリダン構造を含むことを特徴とする。
(電荷輸送性ポリマーの構造)
電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。但し、電荷輸送性ポリマーは以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「L」は2価の構造単位Lを、「T」は1価の構造単位Tを、「B」は3価以上の構造単位Bを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。
直鎖状の電荷輸送性ポリマーの例
Figure 2019116588
分岐構造を有する電荷輸送性ポリマーの例
Figure 2019116588
一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、上記構造単位L及び構造単位Tからなる群から選択される少なくとも1つにアクリダン構造を含むことが好ましい。アクリダン構造を有する2価の構造単位をL1、及びアクリダン構造を有する3価以上の構造単位をB1と称し、以下、各構造単位についてより具体的に説明する。
(構造単位L1)
一実施形態において、構造単位L1は、上式(1)で表されるアクリダン化合物から水素原子を2個取り除いた構造を有する有機基である。構造単位L1の一例として、以下が挙げられる。
Figure 2019116588
各式において、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種である。上記アリール基及びヘテロアリール基は更に置換基を有していてもよい。R及びRは、上記アルキル基、又は上記アリール基であることが好ましい。一実施形態において、R及びRは、好ましくは炭素数1〜18の分岐又は直鎖のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12の分岐又は直鎖のアルキル基であり、炭素数1〜6の分岐又は直鎖のアルキル基が更に好ましい。入手容易性の観点から、R及びRは、メチル基、又はフェニル基が好ましく、価格の観点からメチル基が更に好ましい。
は、それぞれ独立して、水素原子であるか、又は炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である。Rは、好ましくは炭素数1〜18の分岐又は直鎖のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12の分岐又は直鎖のアルキル基であり、炭素数1〜6の分岐又は直鎖のアルキル基が更に好ましい。
各式において、Arは、炭素数6〜30のアリール化合物、又は炭素数2〜30のヘテロアリール化合物に由来する有機基を表す。すなわち、上記(L1b)で表される構造において、Arは、炭素数6〜30個のアリール基又は炭素数2〜30個のヘテロアリール基を表す。上記(L1c)で表される構造において、Arは、炭素数6〜30個のアリーレン基又は炭素数2〜30個のヘテロアリーレン基を表す。上記(L1d)で表される構造において、Arは、炭素数6〜30個のアリーレントリイル基又は炭素数2〜30個のヘテロアリーレントリイル基を表す。
一実施形態において、Arは、炭素数6〜30のアリール化合物に由来する有機基であること好ましく、ベンゼン、又はナフタレンに由来する有機基であることがより好ましい。
上記アリール化合物及び上記ヘテロアリール化合物は、ベンゼン環において更に置換基Rを有してもよい。置換基Rは、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数2〜30個のアリール基及びヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。置換基Rは、上記アルキル基又は上記アリール基であることが好ましい。一実施形態において、Rは、入手容易性の観点から、好ましくは炭素数1〜18の分岐又は直鎖のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12の分岐又は直鎖のアルキル基であり、炭素数1〜6の分岐又は直鎖のアルキル基が更に好ましい。
各式において、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
一実施形態において、構造単位L1は、上記(L1b)〜(L1d)で表される構造を有することが好ましい。それぞれのArは、炭素数6〜30のアリール基であり、炭素数6〜30のアリーレン基であり、炭素数6〜30のアレーントリイル基であることがより好ましい。上記(L1c)で表される構造において、Ar(アリーレン基)は、フェニレン基又はナフチレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。フェニレン基は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基のいずれであってもよいが、1,4−フェニレン基が好ましい。
一実施形態において、構造単位L1は、上記(L1b)で表される構造を有することがより好ましい。上記(L1b)で表される構造において、Ar(アリール基)は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。フェニル基又はナフチル基は、先に説明した置換基Rを更に有してもよい。
上記構造単位L1の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位L1は、以下に限定されない。式中、R、R、及び「*」は、それぞれ、先に説明したとおりである。また、式中、Rは、ベンゼン環の置換基Rとして先に説明したとおりである。
Figure 2019116588
特に限定するものではないが、上記構造単位L1の好ましい具体例として、以下が挙げられる。式中、「Me」はメチル基を表し、「nC」はノルマルブチル基を表す。
Figure 2019116588
(構造単位B1)
上記構造単位B1は、上式(1)で表されるアクリダン化合物から水素原子を3以上取り除いた構造を有する有機基である。上記構造単位B1は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。
構造単位B1の一例として、以下が挙げられる。
Figure 2019116588
各式において、R、R、Ar、及び「*」は、それぞれ、構造単位L1で説明したものと同様である。
一実施形態において、構造単位B1は、上記(B1b)又は(B1c)で表される構造を有することが好ましい。それぞれのArは、炭素数6〜30のアリーレン基であり、炭素数6〜30のアレーントリイル基であることがより好ましい。一実施形態において、構造単位B1は、上記(B1b)で表される構造を有することがより好ましい。上記(B1b)で表される構造において、Ar(アリーレン基)は、フェニレン基又はナフチレン基であることが好ましい。フェニル基又はナフチル基は、更に置換基Rを有してもよいが、無置換であることがより好ましい。フェニレン基は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基のいずれであってもよいが、1,4−フェニレン基が好ましい。
上記構造単位B1の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位B1は、以下に限定されない。式中、R、R、及び「*」は、それぞれ、先に説明したとおりである。
Figure 2019116588
特に限定するものではないが、好ましい上記構造単位B1の具体例として、以下が挙げられる。式中、「Me」はメチル基を表す。
Figure 2019116588
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、更に、上記構造単位L1及び上記構造単位B1以外の、電荷輸送性を有する2価の構造単位L2及び電荷輸送性を有する3価以上の構造単位B2の少なくとも一方を含むことが好ましい。但し、上記2価の構造単位L2及び上記3価以上の構造単位B2は、いずれもアクリダン構造を含まない。以下、各構造単位について具体的に説明する。
(構造単位L2)
構造単位L2は、アクリダン構造を含まない、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位L2は、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位L2は、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
一実施形態において、構造単位L2は、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。構造単位L2は、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位L2は、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
構造単位L2の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位L2は、以下に限定されない。
Figure 2019116588
Figure 2019116588
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R
は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
(構造単位B2)
構造単位B2は、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位B2は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位B2は、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい(但し、アクリダン構造は含まない)。例えば、構造単位B2は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。上記芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。構造単位B2は、構造単位L2と同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
構造単位B2の具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位B2は、以下に限定されない。
Figure 2019116588
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す(但し、アクリダン構造を有する有機基は除く)。アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位L2におけるR(ただし、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位L2におけるRが挙げられる。
(構造単位T)
電荷輸送性ポリマーにおいて、構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位Tは重合可能な構造(すなわち、例えば、ピロール−イル基等の重合性官能基)であってもよい。構造単位Tは、価数が異なることを除き、先に説明した構造単位L2及び/又はB2と同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。また、構造単位Tは、先に説明したアクリダン構造を含んでもよい。
構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。但し、構造単位Tは、以下に限定されない。
Figure 2019116588
Rは、構造単位L2におけるRと同様である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、好ましくは、Rの少なくとも1つが、重合性官能基を含む基である。
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、アクリダン構造を有する2価の構造単位L1、及びアクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1からなる群から選択される少なくとも1つを有し、更に、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2を含むことが好ましい。ここで、上記2価の構造単位L2は、電荷輸送性を有し、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される構造であることが好ましい。上記芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。上記ベンゼン構造は、好ましくは、p−フェニレン構造、又はm−フェニレン構造である。一実施形態において、上記2価の構造単位L2は、トリフェニルアミン構造又はカルバゾール構造であることがより好ましい。
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは3価以上の構造単位B1及び/又はB2を含み、3方向以上に分岐した構造を有することが好ましい。このような実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、アクリダン構造を有する少なくとも3価以上の構造単位B1を含むことが好ましい。「3方向以上に分岐した構造」とは、電荷輸送性ポリマー1分子中の種々の鎖の中で、最も重合度の大きくなる鎖を主鎖とした時に、主鎖に対して重合度が同じか、それよりは重合度の小さい、1以上の側鎖が存在することを意味する。本発明において上記重合度とは、電荷輸送性ポリマーを合成する際に用いられるモノマーの単位が、電荷輸送性ポリマー1分子当たりにいくつ含まれるかを表す。本開示において側鎖は、電荷輸送性ポリマーの主鎖とは異なる鎖であり、少なくとも1つの構成単位を有しているものをいい、それ以外は側鎖ではなく置換基とみなす。
(重合性官能基を含む基)
一実施形態において、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、電荷輸送性ポリマーは、重合性官能基を含む基を少なくとも1つ有することが好ましい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。「重合性官能基を含む基」は、上記重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等の他の基とを合わせた有機基を意味する。
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましい。
重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、電荷輸送性ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、アルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。更に、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、電荷輸送性ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。その他、重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。
重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、805以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましく、2,000以上が一層好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。一実施形態において、数平均分子量は、805〜1,000,000が好ましい。数平均分子量は、3,000〜40,000がより好ましく、4,000〜30,000が更に好ましく、5,000〜20,000が更にいっそう好ましい。
(重量平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。一実施形態において、数平均分子量は、10,500〜200,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましく、30,000〜90,000が更に好ましい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる、アクリダン構造を有する構造単位の割合、すなわち、全構造単位を基準として、構造単位L1及び/又は構造単位B1の割合は、優れた耐久性を得る観点から、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が最も好ましい。一方、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送性をより高める観点から、電荷輸送性ポリマーは、構造単位L1及び/又は構造単位B1以外の、電荷輸送性を有する構造単位を更に含むことが好ましい。このような観点から、一実施形態において、全構造単位を基準として、構造単位L1及び/又は構造単位B1の割合は、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下であることが更に好ましい。一実施形態において、電荷輸送性ポリマーにおける、アクリダン構造を有する構造単位の割合は、全構造単位を基準として、好ましくは1〜90モル%、より好ましくは3〜80モル%、更に好ましくは5〜70モル%の範囲である。上記割合は、電荷輸送性材料として適度な分子量を有する電荷輸送性ポリマーが得られる点でも好ましい。
電荷輸送性ポリマーにおいて、2価の構造単位Lの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。ここで、上記構造単位Lは、構造単位L1と、必要に応じて導入される構造単位L2との合計を意味する。アクリダン構造を有する構造単位による効果を発現させる観点から、L1及びL2の合計量に対する構造単位L1の割合は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上である。
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーにおいて3価以上の構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。ここで、上記構造単位Bは、構造単位B1と、必要に応じて導入される構造単位B2との合計を意味する。アクリダン構造を有する構造単位による効果を発現させる観点から、B1及びB2の合計量に対する構造単位B1の割合は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上である。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1〜70が好ましく、100:3〜50がより好ましく、100:5〜30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。ここで、上記構造単位Lは、アクリダン構造を有する構造単位L1と、その他、必要に応じて導入される構造単位L2との合計を意味する。また、上記構造単位Bは、アクリダン構造を有する構造単位B1と、その他、必要に応じて導入される構造単位B2との合計を意味する。ここで、構造単位L1とL2との割合、構造単位B1とB2との割合は、先に説明した通りである。
構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(製造方法)
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。
鈴木カップリング反応を用いて電荷輸送性ポリマーを調製する場合、原料として好適に使用できるモノマー化合物の組合せの一例を以下に示す。モノマー(L)及びモノマー(T)として例示した構造において、Rは、それぞれ先に構造単位L及び構造単位Tで説明したRと同様である。
Figure 2019116588
[ドーパント]
電荷輸送性材料を使用して有機エレクトロニクス素子を構成する場合、電荷輸送性材料は、更に、有機エレクトロニクス材料として周知の添加剤を含んでもよい。一実施形態において、電荷輸送性材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、電荷輸送性材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。電荷輸送性材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HN
、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、ト
リス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして上記プロトン酸の共
役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、
TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、CsCO等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合は、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして、重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。
[他の任意成分]
電荷輸送性材料は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。
[含有量]
電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。100質量%とすることも可能である。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送性材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<インク組成物>
一実施形態において、インク組成物は、上記実施形態の電荷輸送性材料と該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
[重合開始剤]
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、インク組成物は、好ましくは、重合開始剤を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
<有機層>
一実施形態において、有機層は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
一実施形態において、有機エレクトロニクス素子は、少なくとも上記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
[有機EL素子]
一実施形態において、有機EL素子は、少なくとも上記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、上記実施形態の有機層からなる正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[正孔注入層、正孔輸送層]
図1では、正孔注入層3及び正孔輸送層6が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層であるが、有機EL素子はこのような構造に限らず、他の有機層が上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層であってもよい。正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一方が上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層であることが好ましく、少なくとも正孔輸送層が上記有機層であることが更に好ましい。例えば、有機EL素子が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、更に正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。また、例えば、有機EL素子が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、更に正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレン−ベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナ)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、上記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、上記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
一実施形態において、表示素子は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、一実施形態において、照明装置は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。更に、一実施形態において、表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして上記実施形態の照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<1>電荷輸送性ポリマーの調製
(Pd触媒の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15mL)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し室温で30分間撹拌し、触媒の溶液を得た。なお、触媒の調製において、全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
(調製例1)電荷輸送性ポリマー1
三口丸底フラスコに、下記モノマー1(4.0mmol)、下記モノマー2(5.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。30分撹拌した後、上記フラスコ内に、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を追加した。この混合物を2時間にわたって、加熱還流した。なお、ここまでの全ての操作は、窒素気流下で行った。また、全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
Figure 2019116588
反応終了後、有機層を水洗した。次いで、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。洗浄後の沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過した後、トルエンに溶解し、Triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(Strem Chemicals社、ポリマー100mgに対して200mg、以下「金属吸着剤」という。)を加えて、一晩撹拌した。
撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過によって取り除き、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。
得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を得た。
得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は7,800であり、重量平均分子量は31,000であった。分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。電荷輸送性ポリマー1は、アクリダン構造を含まない3価以上の構造単位B2(モノマー3に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び重合性官能基を有する1価の構造単位T(モノマー1に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
数平均分子量及び重量平均分子量の測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L-6050 株式会社日立ハイテクノロジーズ
UV-Vis検出器 :L-3000 株式会社日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標)GL-A160S/GL-A150S 日立化成株式会社
溶離液 :THF(和光純薬株式会社製、HPLC用、安定剤不含)
流速 :1mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
(調製例2)電荷輸送性ポリマー2
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及びモノマー3(2.0mmol)と、下記モノマー4(4.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、更に別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー2を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900であり、重量平均分子量は169,000であった。電荷輸送性ポリマー2は、アクリダン構造を含まない3価以上の構造単位B2(モノマー3に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を有し、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
Figure 2019116588
(調製例3)電荷輸送性ポリマー3
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及び調製例2に記載のモノマー4(4.0mmol)と、下記モノマー5(2.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、更に別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー3を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー3の数平均分子量は7,300であり、重量平均分子量は55,600であった。電荷輸送性ポリマー3は、アクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
Figure 2019116588
(調製例4)電荷輸送性ポリマー4
モノマー2の代わりに下記モノマー6を使用したこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー4を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー4の数平均分子量は6,300であり、重量平均分子量は40,900であった。電荷輸送性ポリマー4は、アクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー6に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を有し、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、及び36.4%であった。
Figure 2019116588
(調製例5)電荷輸送性ポリマー5
モノマー4(4.0mmol)を、モノマー4(2.0mmol)とモノマー1(2.0mmol)に変更したこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー5を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー5の数平均分子量は7,500であり、重量平均分子量は65,900であった。電荷輸送性ポリマー5は、アクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、1価の構造単位T(モノマー4に由来する)、及び重合性官能基を有する1価の構造単位T(モノマー1に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、18.2%、及び18.2%であった。
(調製例6)電荷輸送性ポリマー6
三口丸底フラスコに、調製例1に記載のモノマー2(5.0mmol)及び調製例2に記載のモノマー4(2.0mmol)と、下記モノマー7(4.0mmol)と、アニソール(20mL)とを加え、更に別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー6を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー6の数平均分子量は6,000であり、重量平均分子量は10,700であった。電荷輸送性ポリマー6は、アクリダン構造を有する2価の構造単位L1(モノマー7に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を有し、各構造単位の割合は、順に、36.4%、45.5%、及び18.2%であった。
Figure 2019116588
(調製例7)電荷輸送性ポリマー7
モノマー5(2.0mmol)を、モノマー5(0.75mmol)とモノマー7(2.25mmol)に変更し、モノマー2を4.5mmol、及びモノマー4を2.25mmol用いたこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー7を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー7の数平均分子量は7,100であり、重量平均分子量は55,000であった。電荷輸送性ポリマー7は、アクリダン構造を含む3価以上の構造単位B1(モノマー5に由来する)、アクリダン構造を含む2価の構造単位L1(モノマー7に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を含み、各構造単位の割合は、順に、7.7%、23.1%、46.2%、及び23.1%であった。
(調製例8)電荷輸送性ポリマー8
モノマー5の代わりに下記モノマー8を使用したこと以外は調製例3と同様の方法で、電荷輸送性ポリマー8を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー8の数平均分子量は6,300であり、重量平均分子量は44,100であった。電荷輸送性ポリマー8は、アクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1(モノマー8に由来する)、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2(モノマー2に由来する)、及び1価の構造単位T(モノマー4に由来する)を有し、各構造単位の割合は、順に、18.2%、45.5%、36.4%であった。
Figure 2019116588
<2−1>有機EL素子の作製
(実施例1)
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記電荷輸送性ポリマーの調製で得た電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)、下記イオン性化合物(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物1を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
Figure 2019116588
次に、上記操作で得た正孔注入層の上に、電荷輸送性ポリマー3(20mg)、上記イオン性化合物(1.0mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物3を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。正孔輸送層は、正孔注入層を溶解させることなく形成することができた。
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、上記正孔輸送層上にCBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、Al(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
(実施例2)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー4に変えたインク組成物4を調製した。このインク組成物4を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(実施例3)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー5に変えたインク組成物5を調製した。このインク組成物5を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(実施例4)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を上記電荷輸送性ポリマー6に変えたインク組成物6を調製した。このインキ組成物6を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(実施例5)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を上記電荷輸送性ポリマー7に変えたインク組成物7を調製した。このインキ組成物7を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(実施例6)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を上記電荷輸送性ポリマー8に変えたインク組成物8を調製した。このインキ組成物8を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
(比較例1)
実施例1において、有機EL素子における正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー2に変えたインク組成物2を調製した。このインク組成物2を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
<2−2>有機EL素子の評価
実施例1〜6及び比較例1で得た有機EL素子に電圧を印加したところ、いずれも緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1000cd/m時の駆動電圧及び発光効率、初期輝度3000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2019116588
表2に示したとおり、実施例1〜6の有機EL素子は、比較例1よりも、発光効率に優れ、また、長い発光寿命を示した。すなわち、正孔輸送層の構成材料の観点からすれば、電荷輸送性材料として、分子内にアクリダン構造を含む構造単位を有する電荷輸送性ポリマーを使用することによって、発光効率及び発光寿命の向上といった効果が得られることが分かる。
<3−1>白色有機EL素子(照明装置)の作製
(実施例7)
実施例1と同様に、窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、電荷輸送性ポリマー1(10.0mg)、イオン性化合物(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物1を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
次に、実施例1と同様に、上記操作で得た正孔注入層の上に、電荷輸送性ポリマー3(20mg)、イオン性化合物(1.0mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物3を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して硬化させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。上記正孔輸送層は、正孔注入層を溶解させることなく形成することができた。
次に、窒素中、CDBP(15mg)、FIr(pic)(0.9mg)、Ir(ppy)(0.9mg)、(btp)Ir(acac)(1.2mg)、及びジクロロベンゼン(0.5mL)の混合物を、3000min−1にてスピンコートし、次いで80℃で5分間乾燥させて発光層(40nm)を形成した。更に、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.5nm)、Al(100nm)の順に蒸着し、封止処理して白色有機EL素子を作製した。白色有機EL素子は、照明装置として使用することができた。
(実施例8)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー4に変えたインク組成物4を調製した。インク組成物4を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
(実施例9)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー5に変えたインキ組成物5を調製した。このインキ組成物5を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
(実施例10)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー6に変えたインキ組成物6を調製した。このインキ組成物6を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
(実施例11)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー7に変えたインキ組成物7を調製した。このインキ組成物7を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
(実施例12)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー8に変えたインキ組成物8を調製した。このインキ組成物8を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
(比較例2)
実施例7において、正孔輸送層を形成するために使用したインク組成物3中の電荷輸送性ポリマー3を電荷輸送性ポリマー2に変えたインク組成物2を調製した。このインク組成物2を使用して正孔輸送層を形成したことを除き、全て実施例7と同様にして、白色有機EL素子を作製した。
<3−2>白色有機EL素子(照明装置)の評価
実施例7〜12及び比較例2で得た白色有機EL素子に電圧を印加して、初期輝度1000cd/mでの駆動電圧、発光効率、発光寿命を測定した。比較例2の駆動電圧、発光効率、発光寿命をそれぞれ1としたときの、実施例7〜12の駆動電圧、発光効率、及び発光寿命を表3に示す。
Figure 2019116588
表3に示したとおり、実施例7〜12の白色有機EL素子は、比較例2の白色有機EL素子と比較して、発光効率、及び発光寿命が優れていた。すなわち、正孔輸送層の構成材料の観点からすれば、電荷輸送性材料として、分子内にアクリダン構造を有する構造単位を含む電荷輸送性ポリマーを使用することによって、発光効率及び発光寿命の向上といった効果が得られることが分かる。
以上のように、実施例によって本発明の実施形態の効果を示した。しかし、本発明によれば、実施例で用いた電荷輸送性ポリマーに限らず、本発明の範囲を逸脱しない限り、その他の電荷輸送性ポリマーを用いた場合であっても、同様にして有機エレクトロニクス素子を得ることが可能である。得られた有機エレクトロニクス素子は、先の各実施例と同様に優れた特性を有するものとなり得る。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (17)

  1. アクリダン構造を有する電荷輸送性ポリマーを含有する、電荷輸送性材料。
  2. 前記電荷輸送性ポリマーが、アクリダン構造を有する2価の構造単位L1、及びアクリダン構造を有する3価以上の構造単位B1からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1に記載の電荷輸送性材料。
  3. 前記2価の構造単位L1が下式(L1b)で表される構造を有し、前記3価以上の構造単位B1が下式(B1b)で表される構造を有する、請求項2に記載の電荷輸送性材料。
    Figure 2019116588
    [式中、
    及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜22個の、直鎖、環状又は分岐の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基、並びに炭素数6〜30個のアリール基及び炭素数2〜30個のヘテロアリール基、からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    Arは、炭素数6〜30個のアリール基又は炭素数2〜30個のヘテロアリール基を表すか、炭素数6〜30個のアリーレン基又は炭素数2〜30個のヘテロアリーレン基を表す。]
  4. 前記電荷輸送性ポリマーが、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2、及びアクリダン構造を含まない3価以上の構造単位B2からなる群から選択される少なくとも1つを更に有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  5. 前記電荷輸送性ポリマーが、アクリダン構造を含まない2価の構造単位L2を更に有し、前記2価の構造単位L2が、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選択される構造を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  6. 前記電荷輸送性ポリマーが、3方向以上に分岐した構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  7. 前記電荷輸送性ポリマーが、重合性官能基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  8. 前記電荷輸送性ポリマーの数平均分子量が、805〜1,000,000である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  9. 電荷輸送性ポリマーが正孔輸送性を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料、又は請求項10に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料、又は請求項10に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  13. フレキシブル基板を更に有する、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  14. 前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、請求項13に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
  16. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
  17. 請求項16に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置。
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