JP2017197837A - プラズマ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマCVD法により成膜又はエッチングを行う装置において、電圧が印加される部分と絶縁部材とが接触する箇所にプラズマが侵入することによる、異常放電の発生を抑制する。【解決手段】プラズマCVD法によりワークの一部に成膜又はエッチングを行うプラズマ装置。第1窪み部と第1窪み部の周囲に配置された第1平面部とを備える第1の型と、第1の型に対向して配置された第2の型と、を有する真空容器と、第1平面部と第2の型との間に配置され、ワークの被処理対象部分を第1窪み部内の空間に向けるとともにワークを第1平面部から離間させた状態でワークに接触する絶縁部材と、ワークに電力を印加する電力印加部と、を備える。ワークと絶縁部材との接触点と、第1平面部との距離は、ワークと第1窪み部の底部との距離よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ装置に関する。
プラズマCVD法により、基板に成膜を行う装置が知られている。特許文献1には、真空容器内に基板を保持するホルダを設け、バイアス電源からホルダにバイアス電圧を印加して、成膜を行う装置が記載されている。この装置では、真空容器とバイアス電源とは、絶縁部材により絶縁されている。
特開2013−206652号公報
特許文献1記載の装置では、バイアス電源からホルダへ繋がる電圧線と絶縁部材とが接触する箇所において電界が集中するため、その箇所にプラズマが侵入すると、異常放電が発生する場合があった。また、プラズマCVD法によりエッチングを行う場合においても同様に異常放電が発生する場合があった。そのため、プラズマCVD法により成膜又はエッチングを行う装置において、このような異常放電の発生を抑制可能な技術が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、プラズマCVD法によりワークの一部に成膜又はエッチングを行うプラズマ装置が提供される。このプラズマ装置は、第1窪み部と前記第1窪み部の周囲に配置された第1平面部とを備える第1の型と、前記第1の型に対向して配置された第2の型と、を有する真空容器と;前記第1の型の前記第1平面部と前記第2の型との間に配置され、前記ワークの被処理対象部分を前記第1窪み部内の空間に向けるとともに前記ワークを前記第1平面部から離間させた状態で前記ワークに接触する絶縁部材と;前記ワークに電力を印加する電力印加部と、を備え;前記ワークと前記絶縁部材との接触点と、前記第1平面部と、の距離は、前記ワークと前記第1窪み部の底部との距離よりも小さい。このようなプラズマ装置であれば、ワークと接触する絶縁部材は第1平面部と第2の型との間に配置され、ワークと絶縁部材との接触点と、第1平面部と、の距離は、ワークと第1窪み部の底部との距離よりも小さいため、ワークと第1平面部とで形成される空間に第1窪み部からプラズマが侵入することが抑制される。そのため、ワークと絶縁部材との接触点におけるプラズマの量が低減されるので、異常放電の発生を抑制することができる。
(2)上記形態のプラズマ装置において、前記第1窪み部と前記第1平面部との接続箇所から前記接触点までの前記第1平面部に沿った距離は、0よりも大きくてもよい。このようなプラズマ装置であれば、第1窪み部で形成されるプラズマが発生する空間と、ワークと絶縁部材との接触点と、が離れているため、接触点におけるプラズマの量がより低減されるので、異常放電の発生をより抑制することができる。
(3)上記形態のプラズマ装置において、前記接触点と前記第1平面部との距離は、前記ワークと前記第1平面部との間に形成されるシースの距離よりも短くてもよい。このようなプラズマ装置であれば、ワークと絶縁部材との接触点と、第1平面部と、の距離は、ワークと第1平面部との間に形成されるシースの距離よりも短いため、ワークと第1平面部との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点におけるプラズマの量が効果的に低減されるので、異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
(4)上記形態のプラズマ装置において、前記接触点と前記第1平面部との距離は2.0mm以下であってもよい。このようなプラズマ装置であれば、ワークと第1平面部とで形成される空間に第1窪み部からプラズマが侵入することが一層抑制される。また、ワークと第1平面部との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点におけるプラズマの量が一層低減されるので、異常放電の発生を一層抑制することができる。
(5)上記形態のプラズマ装置において、前記ワークは、被処理対象物と、前記被処理対象物の非被処理対象部分を覆うマスキング部材と、を備え;前記第1窪み部と前記第1平面部との接続箇所は、前記被処理対象部分の端部から前記絶縁部材側へ離れて位置していてもよい。電力が印加されるワークと真空容器との間にプラズマを発生させて被処理対象部分に成膜又はエッチングを行うために、被処理対象部分と真空容器との間は、いわゆるシースの距離よりも離れていることが好ましく、被処理対象部分と真空容器とが近接している箇所ではプラズマが発生せず、被処理対象部分の端部において成膜不良又はエッチング不良が発生するおそれがある。しかし、このような形態のプラズマ装置であれば、真空容器の第1窪み部と第1平面部との接続箇所は、被処理対象物の被処理対象部分の端部から絶縁部材側へ離れて位置しているので、被処理対象部分と真空容器との距離を確保することができる。そのため、被処理対象部分の端部における成膜不良又はエッチング不良を抑制することができる。
(6)上記形態のプラズマ装置において、前記マスキング部材は、前記被処理対象部分側の端部に前記第1窪み部側に向けて傾斜した傾斜面を有していてもよい。このような形態のプラズマ装置であれば、マスキング部材の被処理対象部分側の端部に電界が集中することを抑制することができるので、被処理対象部分の端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することを抑制することができる。
(7)上記形態のプラズマ装置において、前記被処理対象物と接触する前記マスキング部材の接触面と、前記傾斜面とのなす角は、30°以下であってもよい。このような形態のプラズマ装置であれば、マスキング部材の被処理対象部分側の端部に電界が集中することをより抑制することができるので、被処理対象部分の端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することをより抑制することができる。
(8)上記形態のプラズマ装置において、前記第2の型は、第2窪み部と前記第2窪み部の周囲に配置された第2平面部とを有し;前記第1窪み部内に配置された第1の電極と;
前記第2窪み部内に配置された第2の電極と;前記第1の電極及び前記第2の電極に高周波電力を印加する高周波電力印加部と、を備え;前記ワークは、前記第1窪み部内の空間と前記第2窪み部内の空間とを分離してもよい。このような形態のプラズマ装置であれば、ワークにより第1窪み部内の空間と第2窪み部内の空間とが分離されており、これらの空間は電気的に絶縁されるため、第1の電極に印加された高周波と、第2の電極に印加された高周波と、の位相が干渉することが抑制されるので、印加された電力を効率よく利用して、ワークを成膜又はエッチングすることができる。
本発明は、上述したプラズマ装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、プラズマCVD法によりワークの一部に成膜又はエッチングを行う方法や、プラズマ装置の制御方法及び制御装置、それらの装置又は方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の第1実施形態におけるプラズマ装置の構成を示す概略断面図。 プラズマ装置の分解斜視図。 プラズマ装置の部分拡大図。 プラズマ装置によるプラズマ処理方法について示す工程図。 第1実施形態の変形例1におけるプラズマ装置を示す図。 第1実施形態の変形例2におけるプラズマ装置を示す図。 第1実施形態の変形例3におけるプラズマ装置を示す図。 第1実施形態の変形例4におけるプラズマ装置を示す図。 第1実施形態の変形例6におけるプラズマ装置を示す図。 第2実施形態におけるプラズマ装置の構成を部分的に示す部分概略断面図。 第3実施形態におけるプラズマ装置の構成を部分的に示す部分概略断面図。 角度Dについての実験結果を示す図。 角度Dと接触抵抗値との関係を示す図。 第3実施形態の変形例1におけるプラズマ装置の構成を部分的に示す部分概略断面図。 第3実施形態の変形例2におけるプラズマ装置の構成を部分的に示す部分概略断面図。 第4実施形態におけるプラズマ装置を示す図。 第4実施形態の変形例におけるプラズマ処理方法を示す工程図。
A.第1実施形態:
A1.プラズマ装置の構成:
図1は、本発明の第1実施形態におけるプラズマ装置200の構成を示す概略断面図である。図2は、プラズマ装置200の分解斜視図である。図1及び図2には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。Y軸方向は鉛直方向を示し、X軸方向は水平方向を示し、Z軸方向はY軸及びX軸に垂直な方向を示す。このことは、以降の図においても同様である。
プラズマ装置200は、いわゆるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、導電性を有するワークWの被処理対象部分10Aに薄膜を形成する装置である。本実施形態では、ワークWは、被処理対象物10とマスキング部材20とを含む。本実施形態では、被処理対象物10は、燃料電池のセパレータの基材として用いられる板状の金属である。プラズマ装置200は、被処理対象物10の被処理対象部分10Aに、例えば導電性の炭素系の薄膜を形成する。
プラズマ装置200は、真空容器(チャンバー)100と、絶縁部材30と、電力印加部70と、を備える。プラズマ装置200は、さらに、開閉装置50と、搬送装置55と、ガス供給装置80と、排気装置90と、制御部95と、パレット130と、シール部材60と、を備える。なお、図2では、開閉装置50と、搬送装置55と、電力印加部70及びその電力導入部71と、ガス供給装置80及びその供給口81と、排気装置90及び排気口91と、制御部95と、は図示を省略している。
真空容器100は、分割可能な金属製の容器である。真空容器100は、第1の型110と、第1の型110に対向して配置された第2の型120と、を備える。第1の型110は、第1窪み部114と第1窪み部114の周囲に配置された第1平面部111とを備える。第1窪み部114はワークWから離間する方向に窪んでおり、本実施形態ではワークWの上面側の被処理対象部分10Aから見て上方(+Y方向)に窪んでいる。また、第1窪み部114は、側部112と底部113とを備える。本実施形態では、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所は、被処理対象部分10Aの端部と、同一のYZ平面状に位置している。第2の型120は、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aから見て下方(−Y方向)に窪んだ第2窪み部124と、第2窪み部124の周囲に配置された第2平面部121と、を備える。第2窪み部124は、側部122と底部123とを備える。第2平面部121は、第1の型110の第1平面部111に対応する部分に配置されている。本実施形態では、第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所は、被処理対象部分10Aの端部と、同一のYZ平面状に位置している。本実施形態において、第1平面部111及び第2平面部121は、XZ平面と平行である。第1の型110及び第2の型120は、真空容器100内にガス供給装置80からガスを供給するための供給口81と、真空容器100内を排気装置90によって排気するための排気口91と、を備える。供給口81及び排気口91には、開閉可能な弁が設けられている。また、第2の型120は、ワークWに電圧を印加するための電力導入部71を備える。第2の型120と電力導入部71との間は、絶縁部材35によって電気的に絶縁されている。本実施形態において、真空容器100は、アース電位を有している。真空容器100内において、ワークWは、第1平面部111から離間され、かつ、ワークWの被処理対象部分10Aは真空容器100が閉じた状態において第1窪み部114内の空間に向けられている。
なお、本実施形態では、ワークWのうち第1窪み部114内及び第2窪み部124内に位置する部分には、ワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が開いていないが、当該部分には、真空容器100が閉じた状態においてワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が設けられていてもよい。
マスキング部材20は、被処理対象物10の非被処理対象部分10Bを覆う部材である。言い換えると、マスキング部材20は、被処理対象物10の被処理対象部分10Aにおいて開口する部材である。本実施形態では、マスキング部材20は、上側マスキング部材21と下側マスキング部材22とを有する。上側マスキング部材21は、被処理対象物10の第1の型110側に配置されている。下側マスキング部材22は、被処理対象物10の第2の型120側に配置されている。本実施形態において、下側マスキング部材22は、被処理対象物10を支持する。マスキング部材20は、導電性の部材で形成されている。被処理対象物10とマスキング部材20とは、接触することにより電気的に接続されている。
絶縁部材30は、第1の型110の第1平面部111と第2の型120との間に配置されている。本実施形態では、絶縁部材30は第1平面部111と第2平面部121との間に配置されている。絶縁部材30は、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aを第1窪み部114内の空間に向けるとともに、ワークWを第1平面部111から離間させた状態で、ワークWに接触する。また、本実施形態では、絶縁部材30は、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aを第2窪み部124内の空間に向けるとともに、ワークWを第2平面部121から離間させた状態で、ワークWに接触する。本実施形態では、絶縁部材30は、ワークWのうちの下側マスキング部材22に接触して下側マスキング部材22を支持する。絶縁部材30は、例えば、アルミナ(Al)や二酸化ケイ素(SiO)等のセラミックスで形成されている。
パレット130は、金属製の板状部材である。パレット130は、ワークWを真空容器100内に搬送する部材でもある。パレット130には、絶縁部材30、下側マスキング部材22、被処理対象物10及び上側マスキング部材21が、この順に+Y方向に積載される。本実施形態において、パレット130は、アース電位を有している。
シール部材60(61、62)は、第1の型110の第1平面部111と第2の型120との間に配置されている。シール部材60は、真空容器100内の気密を保つための部材である。シール部材60は、絶縁性の部材であり、本実施形態ではゴム製の環状部材である。本実施形態では、シール部材60は、オーリングを用いている。本実施形態では、シール部材61は第1の型110に設けられた溝部に嵌め込まれている。シール部材62は、第2の型120に設けられた溝部に嵌め込まれている。
開閉装置50は、真空容器100を開閉するための装置である。本実施形態では、開閉装置50は、第1の型110を+Y方向に移動させて真空容器100を開き、第1の型110を−Y方向に移動させて真空容器100を閉じる。
搬送装置55は、パレット130を真空容器100内へ搬送し、パレット130を真空容器100外へ搬送するための装置である。本実施形態では、搬送装置55は、パレット130の端部130tに接触して、真空容器100が開いた状態において、パレット130及びパレット130に積載された絶縁部材30、マスキング部材20、被処理対象物10を真空容器100内に搬送する。また、搬送装置55は、搬送したパレット130を下方に移動させることによってパレット130をシール部材62を介して第2の型120上に設置する。また、搬送装置55は、上方に移動させたパレット130をXZ平面に沿って移動させて真空容器100外へ搬送することも可能である。
電力印加部70は、プラズマを発生させるための装置である。電力印加部70は、ワークWに電力を印加する。電力印加部70は、真空容器100内に供給された原料ガスをプラズマ化するための電場を生成する。本実施形態では、電力導入部71と被処理対象物10及びマスキング部材20は陰極であり、第1の型110、第2の型120及びパレット130は陽極である。本実施形態では、電力印加部70は、下側マスキング部材22を通じて被処理対象物10にバイアス電圧を印加する。電力印加部70は、例えば、電力導入部71に−3000Vの電圧を印加することができる。なお、本実施形態では、真空容器100及びパレット130はアース(0V)に接続されている。
ガス供給装置80は、供給口81を介して、真空容器100内にキャリアガス及び原料ガスを供給する。本実施形態では、ガス供給装置80は、キャリアガスとして例えば窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスを供給し、原料ガスとして例えばピリジン(CN)ガスを供給する。ガス供給装置80は、異なる種類のガスを貯留するタンクと接続されている。ガス供給装置80は、各タンクと供給口81との間に設けられた切替弁が操作されることにより、供給口81に供給されるガスの種類を切り替えることが可能である。また、ガス供給装置80は、真空容器100内の圧力を、開閉装置50が真空容器100を開くことが可能な程度の圧力に戻すために、プラズマ装置200による成膜後やエッチング後に真空容器100内に例えば窒素ガスを供給する。
排気装置90は、排気口91を介して、真空容器100内を排気する。排気装置90は、例えば、ロータリポンプや拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ等により構成される。
制御部95は、プラズマ装置200全体の動作を制御する。制御部95は、CPUとメモリーとを含む。CPUは、メモリーに格納されたプログラムを実行することによって、プラズマ装置200の制御を行う。このプログラムは、各種記録媒体に記録されていてもよい。例えば、制御部95は、開閉装置50を制御して真空容器100を開閉し、搬送装置55を制御してパレット130を搬送する。また、制御部95は、排気装置90を制御して真空容器100内を排気し、ガス供給装置80を制御して真空容器100内にガスを供給し、電力印加部70を制御してワークWに電力を印加する。
図3は、プラズマ装置200の部分拡大図である。図3には、図1に破線で示したX部分が示されている。図3には、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、が示されている。接触点P1は、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第1平面部111に対向する箇所である。接触点P1は、プラズマ装置200の断面(図3)において、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第1平面部111に最も近い接触箇所である。接触点P2は、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第2平面部121に対向する箇所である。接触点P2は、プラズマ装置200の断面(図3)において、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第2平面部121に最も近い接触箇所である。図3にはさらに、接触点P1と第1平面部111との距離A1と、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1と、が示されている。距離A1は、ワークWと絶縁部材30との接触箇所と、第1平面部111との最短距離である。距離B1は、第1窪み部114と対向するワークWと、第1窪み部114の底部113との距離であり、第1窪み部114の底部113とワークWとの最短距離である。また、図3には、接触点P2と第2平面部121との距離A2と、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離B2と、が示されている。距離A2は、ワークWと絶縁部材30との接触箇所と、第2平面部121との最短距離である。距離B2は、第2窪み部124と対向するワークWと、第2窪み部124の底部123との距離であり、第2窪み部124の底部123とワークWとの最短距離である。プラズマ装置200において、距離A1は距離B1よりも小さい。言い換えると、ワークWと第1平面部111とで形成される空間は、ワークWと第1窪み部114とで形成される空間よりも小さい。また、本実施形態では、距離A2は、距離B2よりも小さい。言い換えると、ワークWと第2平面部121とで形成される空間は、ワークWと第2窪み部124とで形成される空間よりも小さい。
本実施形態では、距離A1及び距離A2は、ワークWと真空容器100との間に電力を印加した場合に、ワークWと真空容器100(第1平面部111、第2平面部121)との間に形成されるシースの距離よりも短い。本実施形態では、距離A1及び距離A2は、2.0mm以下である。なお、真空容器100とワークWとの絶縁性を十分に保つ観点から、距離A1及び距離A2は、0.5mm以上であることが好ましい。
図3には、さらに、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所Q1及び第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所Q2から接触点P1、P2までのX軸に沿った最短距離Cが示されている。距離Cは、第1窪み部114の側部112及び第2窪み部124の側部122から、接触点P1、P2までのX軸に沿った最短距離でもある。本実施形態では、距離Cは、0(ゼロ)よりも大きい。本実施形態では、距離Cは、10mm以上である。
A2.プラズマ処理方法:
図4は、プラズマ装置200によるプラズマ処理方法について示す工程図である。以下では、プラズマ装置200によりワークWの一部に成膜を行う方法を例に挙げて説明する。プラズマ装置200による成膜では、まず、ワークWが真空容器100内に搬送される(ステップS10)。本実施形態では、パレット130上に、絶縁部材30、下側マスキング部材22、被処理対象物10が積載され、さらに、被処理対象物10の上に上側マスキング部材21が積載される。こうすることによって、被処理対象物10の非被処理対象部分10Bが、マスキング部材20によって覆われる。その後、真空容器100の第1の型110が開閉装置50によって+Y軸方向に移動され、絶縁部材30、マスキング部材20及び被処理対象物10が積載されたパレット130が、搬送装置55によって真空容器100内に搬送される。搬送されたパレット130は、シール部材62を介して第2の型120上に配置される。
次に、真空容器100が閉じられる(ステップS20)。本実施形態では、真空容器100内にパレット130が搬送された後、開閉装置50によって第1の型110が−Y軸方向に移動される。真空容器100が閉じられると、被処理対象部分10Aは真空容器100の第1窪み部114及び第2窪み部124内の空間に向けられた状態になる。ワークWは、第1平面部111及び第2平面部121から離間された状態になる。また、接触点P1と第1平面部111との距離A1は、ワークWと第1窪み部114との距離B1よりも小さくなる。接触点P2と第2平面部121との距離A2は、ワークWと第2窪み部124との距離B2よりも小さくなる。
次に、真空容器100内のガスが排気される(ステップS30)。本実施形態では、プラズマ装置200は、例えば、窒素ガス雰囲気に設置されている。ステップS30では、排気装置90によって排気口91を介して真空容器100内の窒素ガスが排気され、真空容器100内が真空化される。
真空容器100内のガスが排気されると、真空容器100内に原料ガスが供給される(ステップS40)。ステップS40では、ガス供給装置80によって供給口81を介してキャリアガス及び原料ガスが供給される。真空容器100内には、キャリアガスとして、例えば、水素ガス及びアルゴンガスが供給される。また、原料ガスとして、窒素ガス及びピリジンガスが供給される。ステップS40では、真空容器100内の圧力値は、例えば、11Paである。なお、例えば成膜速度を高めるために、原料ガスが供給される前に、電力印加部70によりワークW(被処理対象物10、マスキング部材20)と真空容器100との間に電力を印加して、ワークWの温度を昇温させてもよい。
次に、ワークWに電力が印加される(ステップS50)。電力印加部70によってワークWと真空容器100との間に電力が印加されると、第1窪み部114内及び第2窪み部124内にプラズマが発生し、被処理対象物10の被処理対象部分10Aに薄膜が形成される。以上のようにして、プラズマ装置200による成膜が行われる。ステップS50では、電力印加部70によって、ワークWに例えば−3000Vの電力が印加される。ステップS50が終了すると、原料ガスの供給と電力の印加とが停止されて成膜が終了する。
成膜が終了すると、真空容器100内の圧力が調整される(ステップS55)。本実施形態では、真空容器100内の圧力を、開閉装置50によって真空容器100を開くことが可能な程度の圧力に戻すために、ガス供給装置80によって真空容器100内に窒素ガスが供給される。なお、真空容器100内の圧力が調整されると、第1の型110が開閉装置50によって+Y軸方向に移動され、搬送装置55によって絶縁部材30、マスキング部材20及び被処理対象物10が積載されたパレット130が、真空容器100から搬出される。以上のようにしてプラズマ装置200による一連のプラズマ処理方法が終了する。
A3.効果:
第1実施形態のプラズマ装置200によれば、真空容器100が閉じた状態において、ワークWと接触する絶縁部材30は第1の型110の第1平面部111と第2の型120との間に配置され、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、第1平面部111と、の距離A1は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1よりも小さいため、ワークWと第1平面部111とで形成される空間に第1窪み部114や第2窪み部124からプラズマが侵入することが抑制される。そのため、接触点P1におけるプラズマの量が低減されるので、異常放電の発生を抑制することができる。
同様に、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、第2平面部121と、の距離A2は、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離B2よりも小さいため、ワークWと第2平面部121とで形成される空間に第2窪み部124や第1窪み部114からプラズマが侵入することが抑制される。そのため、接触点P2におけるプラズマの量が低減されるので、異常放電の発生を抑制することができる。
また、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所Q1及び第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所Q2から、絶縁部材30までのX軸に沿った距離Cは0(ゼロ)よりも大きいため、第1窪み部114及び第2窪み部124で形成されるプラズマが発生する空間と、ワークWと絶縁部材30との接触点P1、P2とが離れている。そのため、接触点P1、P2におけるプラズマの量がより低減されるので、異常放電の発生をより抑制することができる。
また、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、第1平面部111と、の距離A1は、ワークWと第1平面部111との間に形成されるシースの距離よりも短いため、ワークWと第1平面部111との間にプラズマを発生させないようにすることができる。また、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、第2平面部121と、の距離A2は、ワークWと第2平面部121との間に形成されるシースの距離よりも短いため、ワークWと第2平面部121との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点P1、P2におけるプラズマの量が効果的に低減されるので、異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
また、距離A1及び距離A2は2.0mm以下であるため、ワークWと第1平面部111とで形成される空間及びワークWと第2平面部121とで形成される空間に、第1窪み部114及び第2窪み部124からプラズマが侵入することが一層抑制される。また、ワークWと第1平面部111との間にプラズマを発生させないようにすることができる。また、ワークWと第2平面部121との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点P1、P2におけるプラズマの量が一層低減されるので、異常放電の発生を一層抑制することができる。
また、プラズマ装置200において、ワークWの被処理対象部分10Aは第1窪み部114内の空間及び第2窪み部124内の空間に向けられており、絶縁部材30とワークWの端部とは、第1平面部111と第2平面部121との間に位置している。そのため、ワークW全体をプラズマが発生する空間内に収容する場合と比較して、プラズマ装置200を小型化することができる。また、プラズマ装置200では、成膜又はエッチングのために排気が行われる空間が小さいので、排気に要する時間を短くすることができ、ワークWに成膜又はエッチングを行うために要する時間を短くすることができる。
A4.第1実施形態の変形例:
A4−1.第1実施形態の変形例1:
図5は、第1実施形態の変形例1におけるプラズマ装置200mを示す図である。図5及び以降の図では、開閉装置50、搬送装置55、電力印加部70、ガス供給装置80、排気装置90及び制御部95は図示を省略している。本変形例のプラズマ装置200mでは、第1窪み部114mと第1平面部111mとの接続箇所Q1及び第2窪み部124mと第2平面部121mとの接続箇所Q2から、ワークWと絶縁部材30との接触点P1、P2までの第1平面部111mに沿った最短距離が、0(ゼロ)である。本変形例では、接続箇所Q2と接触点P2とは、同一のYZ平面に位置している。そのため、図5に示すように、真空容器100mでは、上側マスキング部材21が、第1の型110mの第1窪み部114m内に露出しており、下側マスキング部材22の一部が、第2の型120mの第2窪み部124m内に露出している。なお、本変形例においても、上述の第1実施形態と同様に、接触点P1と第1平面部111mとの距離は、ワークWと第1窪み部114mの底部113mとの距離よりも小さい。また、接触点P2と第2平面部121mとの距離は、ワークWと第2窪み部124mの底部123mとの距離よりも小さい。このようなプラズマ装置200mによっても、上述の第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
A4−2.第1実施形態の変形例2:
図6は、第1実施形態の変形例2におけるプラズマ装置200aを示す図である。本変形例におけるプラズマ装置200aは、第1実施形態のプラズマ装置200がX軸方向に90°回転した構成を有する。本変形例では、真空容器100は、X軸方向に開閉される。なお、本変形例では、絶縁部材30、マスキング部材20、パレット130は、脱落しないような結合力でそれぞれ嵌まり合っていることが好ましい。又は、絶縁部材30、マスキング部材20、パレット130は、それぞれ例えばボルト等で締結されていることが好ましい。このようなプラズマ装置200aによっても、上述の第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
A4−3.第1実施形態の変形例3:
図7は、第1実施形態の変形例3におけるプラズマ装置200bを示す図である。プラズマ装置200bは、第1実施形態のプラズマ装置200とは異なり、被処理対象物10の第1窪み部114側のみに成膜又はエッチングを行う。そのため、本変形例では、真空容器100bの第2の型120bと被処理対象物10との間に空間がなく、第2の型120b上に絶縁部材30bが接触し、絶縁部材30b上に下側マスキング部材22bが接触し、下側マスキング部材22b上に被処理対象物10の下側全面が接触する。また、本変形例では、プラズマ装置200bがパレット130を備えていない。また、本変形例では、第1の型110b側に電力導入部71が備えられている。なお、上述の第1実施形態と同様に、ワークWと絶縁部材30bとの接触点P1bと、第1平面部111と、の距離は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離よりも小さい。このようなプラズマ装置200bによっても、上述の第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
A4−4.第1実施形態の変形例4:
図8は、第1実施形態の変形例4におけるプラズマ装置200cを示す図である。本変形例におけるプラズマ装置200cと上述の第1実施形態におけるプラズマ装置200とが異なる主な点は、パレット130を用いずワークWが配置される点である。そのため、本変形例では、真空容器100cにおいて、第2の型120cの第2平面部121cが絶縁部材30cと接触しつつ、ワークWと第2の型120cとを離間させている。なお、上述の第1実施形態と同様に、本変形例においても、ワークWと絶縁部材30cとの接触点P1cと、第1平面部111と、の距離は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離よりも小さい。また、ワークWと絶縁部材30cとの接触点P2cと、第2平面部121cと、の距離は、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離よりも小さい。本変形例のその他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。このようなプラズマ装置200cによっても、上述の第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
A4−5.第1実施形態の変形例5:
上述の第1実施形態では、プラズマ装置200によりワークWの一部に成膜を行っている。これに対し、プラズマ装置200により、ワークWの一部にエッチングを行ってもよい。エッチングを行う場合には、上述のプラズマ処理のうち、ガスが供給される工程(図4、ステップS40)において、真空容器100内に例えば主にアルゴンを含むガスが供給されてもよい。
A4−6.第1実施形態の変形例6:
図9は、第1実施形態の変形例6におけるプラズマ装置200nを示す図である。プラズマ装置200nでは、パレット130及び絶縁部材30が用いられずに、ワークW(被処理対象物10n)が搬送装置55によって真空容器100内に搬送される。プラズマ装置200nでは、上述の実施形態の絶縁部材30に代えて、絶縁性のシール部材60nがワークWの上面側の被処理対象部分10nAを第1窪み部114内の空間に向けるとともに、ワークWを第1平面部111から離間させた状態で、ワークWに接触する。シール部材61nは、第1の型110の第1平面部111及び被処理対象物10nの非被処理対象部分10nBに接触している。シール部材62nは、第2の型120の第2平面部121及び非被処理対象部分10nBに接触している。図9には、ワークWとシール部材60nとの接触点P1nと、ワークWとシール部材60nとの接触点P2nと、が示されている。上述の第1実施形態と同様に、接触点P1nと第1平面部111との距離は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離よりも小さい。また、接触点P2nと第2平面部121との距離は、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離よりも小さい。このようなプラズマ装置200nによっても、上述の実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。なお、本変形例において、ワークWは、被処理対象物10nとマスキング部材20とにより構成されていてもよい。
A4−7.第1実施形態の変形例7:
上述の第1実施形態において、プラズマ装置200は、第1窪み部114内と第2窪み部124内との少なくとも一方に、高周波電力を印加可能な電極と、電極に高周波電力を印加する高周波電力印加部と、を備えていてもよい。このような構成であれば、電極に印加された高周波により、第1窪み部内や第2窪み部内に発生するプラズマの密度を増加させることができるので、成膜密度やエッチング密度を向上させることができ、膜厚やエッチング量を増加させることができる。また、第1実施形態と同様に、異常放電の発生を抑制することができる。
A4−8.第1実施形態の変形例8:
上述の第1実施形態では、接触点P1と第1平面部111との距離A1は、ワークWと第1平面部111との間に形成されるシースの距離よりも短く、接触点P2と第2平面部121との距離A2は、ワークWと第2平面部121との間に形成されるシースの距離よりも短い。これに対し、距離A1と距離A2とのうち、いずれか一方がシースの距離よりも大きくてもよく、両方がシースの距離よりも大きくてもよい。また、上述の第1実施形態では、距離A1及び距離A2は2.0mm以下である。これに対し、距離A1と距離A2のうち、いずれか一方が2.0mmより大きくてもよく、両方が、2.0mmより大きくてもよい。
A4−9.第1実施形態の変形例9:
上述の第1実施形態では、ワークWは被処理対象物10とマスキング部材20を含んでいるが、ワークWはマスキング部材20を含んでいなくともよい。
A4−10.第1実施形態の変形例10:
上述の第1実施形態では、第1窪み部114は、側部112と底部113とを備えているが、第1窪み部114は、第1平面部111から被処理対象物10と離れる方向に窪んでいればよく、例えば、半球状であってもよい。この場合には、第1窪み部114の底部113は、第1窪み部114と対向するワークWから最も離れた箇所であってもよく、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1は、第1窪み部114と対向するワークWと、第1窪み部114のワークWから最も離れた箇所と、の距離であってもよい。
A4−11.第1実施形態の変形例11:
上述の第1実施形態では、真空容器100及びパレット130はアース電位であるが、真空容器100及びパレット130はアース電位でなくてもよい。電力印加部70は真空容器100と被処理対象物10との間に被処理対象物10を成膜又はエッチングするための電力を印加できればよい。
B.第2実施形態:
B1.プラズマ装置の構成:
図10は、第2実施形態におけるプラズマ装置200dの構成を部分的に示す部分概略断面図である。図10には、図1のX部分に相当する部分X1が示されている。本実施形態におけるプラズマ装置200dは、第1の型110dの第1窪み部114d(側部112d)と第1平面部111dとの接続箇所Q1が、被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置している。また、第2の型120dの第2窪み部124d(側部122d)と第2平面部121dとの接続箇所Q2が、被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置している。
図10には、第1窪み部114dと第1平面部111dの接続箇所Q1と、被処理対象部分10Aの端部とのX軸に沿った距離L1が示されている。また、第2窪み部124dと第2平面部121dの接続箇所Q2と、被処理対象部分10Aの端部とのX軸に沿った距離L2が示されている。本実施形態では、距離L1と距離L2とは等しい。例えば、電力印加部70によってワークWに印加される電力が−1000Vであり、真空容器100d内の圧力が10Paである場合には、距離L1、L2は約3mm以上であることが好ましい。また、例えば、電力印加部70によってワークWに印加される電力が−3000Vであり、真空容器100d内の圧力が10Paである場合には、距離L1、L2は約9mm以上であることが好ましい。このように、距離L1、L2は、電力印加部70によって印加される電力と、真空容器100d内の圧力(真空度)とに応じて変更可能である。本実施形態のプラズマ装置200dのその他の構成は、上述の第1実施形態のプラズマ装置200と同様であるため、説明を省略する。
B2.効果:
電力が印加されるワークWと真空容器100dとの間にプラズマを発生させて被処理対象部分10Aに成膜又はエッチングを行うために、被処理対象部分10Aと真空容器100dとの間は、いわゆるシースの距離よりも離れていることが好ましく、被処理対象部分10Aと真空容器100dとが近接している箇所ではプラズマが発生せず、被処理対象部分10Aの端部において成膜不良又はエッチング不良が発生するおそれがある。しかし、本実施形態のプラズマ装置200dによれば、真空容器100dの第1窪み部114dと第1平面部111dとの接続箇所Q1は、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置しているので、被処理対象部分10Aと真空容器100dとの距離を確保することができる。そのため、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aの端部において成膜不良又はエッチング不良が発生することを抑制することができる。
また、真空容器100dの第2窪み部124dと第2平面部121dとの接続箇所Q2は、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置しているので、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aと真空容器100dとの距離を確保することができる。そのため、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aの端部において成膜不良又はエッチング不良が発生することを抑制することができる。
また、本実施形態のプラズマ装置200dによれば、上述の第1実施形態と同様の構成を備えるため、第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
B3.第2実施形態の変形例:
上述の第2実施形態では、第1窪み部114dと第1平面部111dとの接続箇所Q1と、被処理対象部分10Aの端部と、の距離L1と、第2窪み部124dと第2平面部121dとの接続箇所Q2と、被処理対象部分10Aの端部と、の距離L2は、等しい。これに対し、距離L1と距離L2とは異なっていてもよい。例えば、第1窪み部114dと第1平面部111dとの接続箇所Q1のみが、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置していてもよく、第2窪み部124dと第2平面部121dとの接続箇所Q2のみが、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置していてもよい。
上述の第2実施形態におけるプラズマ装置200dは、上述の第1実施形態の変形例1〜8、10、11と同様の変形が可能である。
C.第3実施形態:
C1.プラズマ装置の構成:
図11は、第3実施形態におけるプラズマ装置200eの構成を部分的に示す部分概略断面図である。図11には、図1のX部分に相当する部分X2が示されている。本実施形態におけるプラズマ装置200eと第1実施形態におけるプラズマ装置200とが異なる点は、マスキング部材20e(21e、22e)が、傾斜面23e、24eを有する点である。具体的には、上側マスキング部材21eは、被処理対象部分10A側の端部に、第1窪み部114d側に向けて傾斜した傾斜面23eを有する。また、下側マスキング部材22eは、被処理対象部分10A側の端部に、第2窪み部124d側に向けて傾斜した傾斜面24eを備える。傾斜面23e、24eは、マスキング部材20e(21e、22e)において、非被処理対象部分10Bと接触する接触面Sに対して傾斜する面である。本実施形態では、傾斜面23e、24eは被処理対象部分10Aの端部と接触している。
本実施形態においても、上述の第2実施形態と同様に、第1窪み部114dと第1平面部111dとの接続箇所Q1及び第2窪み部124dと第2平面部121dとの接続箇所Q2は、被処理対象部分10Aの端部から絶縁部材30側へ離れて位置している。本実施形態におけるプラズマ装置200eのその他の構成は、上述の第2実施形態のプラズマ装置200dと同様であるため、説明を省略する。
C2.効果:
本実施形態のプラズマ装置200eによれば、被処理対象部分10Aと接触する上側マスキング部材21eは、第1窪み部114d側に向けて傾斜した傾斜面23eを備えるため、上側マスキング部材21eの端部に電界が集中することを抑制することができる。従って、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aの端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することを抑制することができる。また、下側マスキング部材22eは、第2窪み部124d側に向けて傾斜した傾斜面24eを備えるため、下側マスキング部材22eの端部に電界が集中することを抑制することができる。従って、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aの端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することを抑制することができる。
なお、被処理対象部分10Aの端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することをより抑制する観点から、傾斜面23e、24eと接触面Sとのなす角である角度Dは、30°以下であることが好ましい。
以下、傾斜面23e、24eと接触面Sとの角度Dが30°以下であることが好ましい根拠について、実験結果に基づいて説明する。
C3.実験とその結果:
図12は、角度Dについての実験結果を示す図である。本実験では、角度Dが6、15、25、30、45、90°と異なる6種類のマスキング部材を用意した。角度Dが90°のマスキング部材は、傾斜面を備えておらず、被処理対象部分10Aと接触する端部が矩形である。次に、各マスキング部材を用いて、プラズマ装置200eによって被処理対象物10に対して成膜を行い、サンプル1〜6を作製した。成膜は、上述の第1実施形態と同様の方法で、各サンプル1〜6の成膜条件(ガス種、ガス流量、電力量等)を同じにして行った。次に、各サンプルを120℃から140℃のプレッシャークッカーに約1時間設置して、加速試験を行った。その後、各サンプルの表面状態を観察し、被処理対象部分10Aの端部における膜の剥離の有無を評価した。剥離が観察されなかったサンプル(無)は「○」と評価し、剥離が観察されたサンプル(有)は「×」と評価した。剥離が観察されなかったサンプルは、被処理対象部分10Aの端部において、成膜のムラが抑制されており、十分な成膜密度を有するといえる。また、加速試験後、四端子法により各サンプルにおいて、被処理対象部分10Aの端部付近の接触抵抗値を測定した。接触抵抗値が低いサンプルもまた、被処理対象部分10Aの端部において、十分な成膜密度を有するといえる。図12には、各サンプルの膜の剥離の有無と、接触抵抗値と、が示されている。
図13は、角度Dと接触抵抗値との関係を示す図である。図13には、各サンプルの膜の剥離の有無が合わせて示されている。図12及び図13に示すように、角度Dが45°であるサンプル5では、膜の剥離が観察され、接触抵抗値は10.4(mΩ・cm)であった。また、角度Dが90°であるサンプル6では、膜の剥離が観察され、接触抵抗値は11.19(mΩ・cm)でありサンプル5よりも高かった。一方、角度Dが6°、15°、25°、30°のサンプル1〜4では、膜の剥離が観察されず、接触抵抗値が5.44〜5.91mΩ・cmとサンプル5、6に比べて有意に低かった。この結果から、角度Dが30°以下であれば、被処理対象部分10Aの端部において、成膜のムラがより抑制され、十分な成膜密度を有することが示された。なお、この結果は、プラズマ装置200eによれば、マスキング部材21e、22eの端部に電界が集中することを抑制することができることを示している。そのため、この結果は、プラズマ装置200eによりエッチングを行う場合においても同様に、被処理対象部分10Aの端部において、エッチングのムラが抑制され、十分にエッチングが行われることを示している。
C4.第3実施形態の変形例:
C4−1.第3実施形態の変形例1:
図14は、第3実施形態の変形例1におけるプラズマ装置200fの構成を部分的に示す部分概略断面図である。図14には、図11のX2部分に相当する部分X3が示されている。本変形例におけるプラズマ装置200fと上述の第3実施形態におけるプラズマ装置200eとが異なる主な点は、マスキング部材20f(21f、22f)の傾斜面23f、24fが、被処理対象部分10Aの端部と直接接触していない点である。本変形例では、傾斜面23fは、ワークWの上面側の被処理対象部分10Aの端部と接触する面27fに接続されている。また、傾斜面24fは、ワークWの下面側の被処理対象部分10Aの端部と接触する面28fに接続されている。本変形例のプラズマ装置200fのその他の構成は、上述の第3実施形態のプラズマ装置200eと同様であるため、説明を省略する。
このようなプラズマ装置200fによっても、傾斜面23f、24fを備えているため、上述の第3実施形態と同様に、被処理対象部分10Aの端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することを抑制することができる。
C4−2.第3実施形態の変形例2:
図15は、第3実施形態の変形例2におけるプラズマ装置200gの構成を部分的に示す部分概略断面図である。図15には、図11のX2部分に相当する部分X4が示されている。本変形例におけるプラズマ装置200gと上述の第3実施形態におけるプラズマ装置200eとが異なる点は、上側マスキング部材21gが、第1の型110dの側部112dに近接する箇所に板部27gを備え、下側マスキング部材22gが、第2の型120dの側部122dに近接する箇所に板部28gを備える点である。板部27g、28gのX軸に沿った厚さは、約2.0mmであり、Y軸に沿った長さは、約20〜30mmであり、側部112dと板部27g、側部122dと板部28gとのX軸に沿った距離は、約1.0mmである。板部27gは、ワークに成膜が行われることによって側部112dに汚れが付着することを防止する。また、板部28gは、ワークに成膜が行われることによって側部122dに汚れが付着することを防止する。
このようなプラズマ装置200gによっても、傾斜面23e、24eを備えているため、上述の第3実施形態と同様に被処理対象部分10Aの端部において、成膜密度又はエッチング密度が低下することを抑制することができる。また、真空容器100dの側部112d、122dに汚れが付着することを防止することができる。なお、板部27g、28gは、上側マスキング部材21gと下側マスキング部材22gの一方だけに備えられていてもよい。
C4−3.第3実施形態のその他の変形例:
上述の第3実施形態では、マスキング部材20e(21e、22e)は、傾斜面23e、24eを備えている。これに対し、上側マスキング部材21eと下側マスキング部材22eのいずれか一方が、傾斜面を備えていてもよい。
上述の第3実施形態におけるプラズマ装置200gは、上述の第1実施形態の変形例1〜8、10、11と同様の変形が可能である。また、プラズマ装置200gは、上述の第2実施形態の変形例と同様の変形が可能である。
D.第4実施形態:
D1.プラズマ装置の構成:
図16は、第4実施形態におけるプラズマ装置200rを示す図である。プラズマ装置200rは、電力印加部70により印加される電力(DC(Direct Current)電力)と高周波電力印加部70rにより印加される電力(RF(Radio Frequency)電力)とを利用して、ワークWの被処理対象部分10rAにプラズマ処理を行うことが可能な装置である。そのため、プラズマ装置200rは、第1の電極75と、第2の電極76と、高周波電力印加部70rと、を備える。第1の電極75は、第1窪み部114r内の底部113r側に配置されている。第2の電極76は、第2窪み部124r内の底部123r側に配置されている。高周波電力印加部70rは、制御部95rの制御により、第1の電極75及び第2の電極76に電力を印加する。なお、高周波電力印加部70rは、第1の電極75に印加する高周波電力の大きさと、第2の電極76に印加する高周波電力の大きさと、を異ならせることも可能である。本実施形態において、第1の型110rは、第1の電極75に高周波電力を印加するための電力導入部71rと、真空容器100r内を排気するための排気口91rと、を備える。第2の型120rは、第2の電極76に高周波電力を印加するための電力導入部72rと、真空容器100r内を排気するための排気口91rと、を備える。電力導入部71rと第1の型110rとの間及び電力導入部72rと第2の型120rとの間は、絶縁部材35によって電気的に絶縁されている。本実施形態では、第1の電極75と第1の型110rとの距離及び第2の電極76と第2の型120rとの距離は、シースの距離よりも短い。そのため、第1の電極75と第1の型110rとの間及び第2の電極76と第2の型120rとの間には、プラズマは発生しない。
本実施形態において、ワークWのうち、第1窪み部114r内及び第2窪み部124r内に位置する部分には、ワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が設けられておらず、真空容器100rが閉じた状態において、ワークWは第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とを分離(区画)する。そのため、これらの空間は、電気的に絶縁される。すなわち、ワークWにより、第1窪み部114r内に発生するプラズマと、第2窪み部124r内に発生するプラズマとが、分離される。本実施形態のプラズマ装置200rのその他の構成は、上述の第1実施形態のプラズマ装置200と同様であるため、説明を省略する。
D2.プラズマ処理方法:
本実施形態のプラズマ装置200rによるプラズマ処理では、上述の第1実施形態のプラズマ処理方法(図4)の電力が印加される工程(図4、ステップS50)において、ワークWに電力が印加されるのに加え、さらに、高周波電力印加部70rにより第1の電極75及び第2の電極76に高周波電力が印加される。本実施形態のその他のプラズマ処理方法は、上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
D3.効果:
本実施形態のプラズマ装置200rによれば、ワークWにより第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とが分離されており、これらの空間は電気的に絶縁されるため、第1の電極75に印加された高周波と第2の電極76に印加された高周波との位相が干渉することが抑制されるので、印加された電力を効率よく利用して、ワークWの被処理対象部分10rAを成膜又はエッチングすることができる。そのため、第1窪み部114r内及び第2窪み部124r内のプラズマ密度を増加させて、被処理対象部分10rAの成膜密度やエッチング密度を高めることができる。また、プラズマ装置200rにより被処理対象部分10rAに成膜を行う場合には膜厚を厚くすることができ、プラズマ装置200rにより被処理対象部分10rAにエッチングを行う場合には、被処理対象部分10rAのエッチング量を多くすることができる。
また、本実施形態のプラズマ装置200rによれば、ワークWにより第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とが分離され、高周波電力印加部70rは第1の電極75に印加する高周波電力の大きさと、第2の電極76に印加する高周波電力の大きさと、を異ならせることが可能であるため、被処理対象部分10rAの上面側と下面側との成膜密度やエッチング密度、膜厚やエッチング量を異ならせることができる。例えば、被処理対象物10rが燃料電池に用いられるセパレータであり、被処理対象部分10rAの上面側に冷却水流路が形成されており、下面側に燃料ガスの流路が形成されている場合には、燃料電池の性能を高めるために、少なくとも下面側の成膜密度を高めることが好ましい。本実施形態のプラズマ装置200rによれば、第1の電極75に印加する電力は維持したまま、第2の電極76に印加する電力を大きくすることによって下面側のみ成膜密度を高めることができる。そのため、被処理対象物10rの一方の面の成膜密度やエッチング密度を高める場合において、消費される電力を抑制することができる。
なお、発明者らは、真空容器100r内の圧力が30Paであり、真空容器100r内に供給されるガスがピリジンガスであり、電力印加部70によりワークWに印加される電力が−2500Vである場合において、第1の電極75と第2の電極76に印加する電力を異ならせて被処理対象物10rに成膜を行った。その結果、高周波電力印加部70rにより第1の電極75に13.56MHzで−100Wの電力を印加し、第2の電極76に13.56MHzで−1000Wの電力を印加することで、被処理対象部分10rAの上面側に50nmの厚さの膜が形成され、下面側に80nmの厚さの膜が形成されることを確認した。また、発明者らは、成膜後にFE−SEM(Field Emission-Scanning Electron Microscope:電界放射型走査電子顕微鏡)により被処理対象部分10rAの上面側と下面側とを観察したところ、下面側では上面側に比べてより緻密な膜が形成されていることを確認した。
また、本実施形態のプラズマ装置200rによれば、上述の第1実施形態と同様の構成を備えるため、第1実施形態と同様に異常放電の発生を抑制することができる。
D4.第4実施形態の変形例:
図17は、第4実施形態の変形例におけるプラズマ処理方法を示す工程図である。本変形例におけるプラズマ処理方法は、プラズマ装置200rによる成膜後(図4、ステップS10〜ステップS55)に真空容器100r内がエッチング(清浄化)される工程を備える。本変形例では、成膜が終了すると、まず、ワークWが真空容器100rから搬出される(ステップS80)。
次に、ダミーワークが真空容器100r内に搬送される(ステップS110)。ステップS110では、例えば、ワークWに代えて、ダミーワークが真空容器100r内に搬送される。ダミーワークは、第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とを分離する金属板である。ステップS110では、ダミーワークが積載されたパレット130が、真空容器100r内に搬送される。搬送されたパレット130は、シール部材62を介して第2の型120r上に配置される。次に、真空容器100rが閉じられ(ステップS120)、真空容器100r内のガスが排気装置90によって排気口91rを介して排気される(ステップS130)。
真空容器100r内が排気されると、真空容器100r内にエッチングガスが供給される(ステップS140)。ステップS140では、ガス供給装置80によって供給口81を介して真空容器100r内に、例えば、アルゴンガスや水素ガス、窒素ガス等が供給される。
次に、電力印加部70によりワークWに電力が印加され、高周波電力印加部70rにより第1の電極75及び第2の電極76に電力が印加される(ステップS150)。電力印加部70は、例えばワークWに−2500Vの電力を印加し、第1の電極75及び第2の電極に13.56MHzで−1000Wの高周波電力を印加する。こうすることにより、成膜によって第1窪み部114r及び第2窪み部124rに堆積した異物が清浄化(エッチング)される。
電力の印加と、ガスの供給とが停止され、プラズマ装置200rによる清浄化が終了すると、真空容器100rを開くために、真空容器100r内の圧力が調整される(ステップS155)。このようにして真空容器100r内が清浄化されると、再びステップS10に戻り、ワークWに成膜が行われる。
本変形例によれば、成膜が行われた後、真空容器100r内が清浄化されるので、真空容器100rに堆積した異物を除去することができる。そのため、清浄化後に真空容器100r内に搬送されたワークWの成膜密度やエッチング密度、膜厚やエッチング厚さを向上させることができる。
また、第1の電極75に印加される電力と第2の電極76に印加される電力とを異ならせて第1窪み部114rと第2窪み部124rとを清浄化することができるので、異物の堆積の度合いに応じて第1窪み部114rと第2窪み部124rとを適切に清浄化することができる。また、第1窪み部114rと第2窪み部124rとの異物の堆積の度合いが異なる場合において、清浄化のために消費される電力を抑制することができる。
上述の第4実施形態におけるプラズマ装置200rは、上述の第1実施形態の変形例1、2、4〜7、9〜11と同様の変形が可能である。また、プラズマ装置200rは、上述の第2実施形態及び第2実施形態の変形例と同様の変形が可能である。また、プラズマ装置200rは、上述の第3実施形態及び第3実施形態の変形例と同様の変形が可能である。
E.その他の変形例:
上述の種々の実施形態では、被処理対象物10はセパレータであるが、被処理対象物10は、導電性を有する部材であればよい。また、上述の実施形態では、プラズマ装置200〜200rは炭素系の薄膜を成膜しているが、成膜を行う場合には、金(Au)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)など他の導電性の元素の薄膜を形成するものとしてもよい。
上述の実施形態において、第1の型110、110b、110d、110m、110rと第2の型120、120d、120m、120rとは入れ替えられても良い。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態や変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組合せを行うことが可能である。また、前述した実施形態及び各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
10、10n、10r…被処理対象物
10A、10nA、10rA…被処理対象部分
10B、10nB…非被処理対象部分
20、20e、20f…マスキング部材
21、21e、21f、21g…上側マスキング部材
22、22b、22e、22f、22g…下側マスキング部材
23e、23f、24e、24f…傾斜面
27f、28f…面
27g、28g…板部
30、30b、30c…絶縁部材
35…絶縁部材
50…開閉装置
55…搬送装置
60、60n、61、61n、62、62n…シール部材
70…電力印加部
70r…高周波電力印加部
71、71r、72r…電力導入部
75…第1の電極
76…第2の電極
80…ガス供給装置
81…供給口
90…排気装置
91、91r…排気口
95、95r…制御部
100、100b、100c、100d、100m、100r…真空容器
110、110b、110d、110m、110r…第1の型
111、111d、111m…第1平面部
112、112d…側部
113、113m、113r…底部
114、114d、114m、114r…第1窪み部
120、120b、120c、120d、120m、120r…第2の型
121、121c、121d、121m…第2平面部
122、122d…側部
123、123m、123r…底部
124、124d、124m、124r…第2窪み部
130…パレット
130t…端部
200、200a、200b、200c、200d、200e、200f、200g、200m、200n、200r…プラズマ装置
A1、A2、B1、B2、C、L1、L2…距離
D…角度
P1、P1b、P1c、P1n、P2、P2c、P2n…接触点
Q1、Q2…接続箇所
S…接触面
W…ワーク

Claims (8)

  1. プラズマCVD法によりワークの一部に成膜又はエッチングを行うプラズマ装置であって、
    第1窪み部と前記第1窪み部の周囲に配置された第1平面部とを備える第1の型と、前記第1の型に対向して配置された第2の型と、を有する真空容器と、
    前記第1の型の前記第1平面部と前記第2の型との間に配置され、前記ワークの被処理対象部分を前記第1窪み部内の空間に向けるとともに前記ワークを前記第1平面部から離間させた状態で前記ワークに接触する絶縁部材と、
    前記ワークに電力を印加する電力印加部と、を備え、
    前記ワークと前記絶縁部材との接触点と、前記第1平面部と、の距離は、前記ワークと前記第1窪み部の底部との距離よりも小さい、
    プラズマ装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ装置であって、
    前記第1窪み部と前記第1平面部との接続箇所から前記接触点までの前記第1平面部に沿った距離は、0よりも大きい、プラズマ装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のプラズマ装置であって、
    前記接触点と前記第1平面部との距離は、前記ワークと前記第1平面部との間に形成されるシースの距離よりも短い、プラズマ装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のプラズマ装置であって、
    前記接触点と前記第1平面部との距離は2.0mm以下である、プラズマ装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のプラズマ装置であって、
    前記ワークは、被処理対象物と、前記被処理対象物の非被処理対象部分を覆うマスキング部材と、を備え、
    前記第1窪み部と前記第1平面部との接続箇所は、前記被処理対象部分の端部から前記絶縁部材側へ離れて位置している、プラズマ装置。
  6. 請求項5に記載のプラズマ装置であって、
    前記マスキング部材は、前記被処理対象部分側の端部に前記第1窪み部側に向けて傾斜した傾斜面を有する、プラズマ装置。
  7. 請求項6に記載のプラズマ装置であって、
    前記被処理対象物と接触する前記マスキング部材の接触面と、前記傾斜面とのなす角は、30°以下である、プラズマ装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のプラズマ装置であって、
    前記第2の型は、第2窪み部と前記第2窪み部の周囲に配置された第2平面部とを有し、
    前記第1窪み部内に配置された第1の電極と、
    前記第2窪み部内に配置された第2の電極と、
    前記第1の電極及び前記第2の電極に高周波電力を印加する高周波電力印加部と、を備え、
    前記ワークは、前記第1窪み部内の空間と前記第2窪み部内の空間とを分離する、
    プラズマ装置。
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