JP2018095938A - プラズマ装置 - Google Patents

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優 芦高
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Abstract

【課題】ワークの一部にプラズマ処理を行なうプラズマ装置において、処理対象物の変形を抑制する。【解決手段】プラズマ装置は、第1型及び第2型を有し、閉じられた第1型及び第2型の内部にワークを密封する容器と、処理対象物の処理対象部分の温度を計測する第1放射温度計と、処理対象部分の外周の非処理対象部分を覆うマスキング部材の非処理対象部分に対応する部分の温度を計測する第2放射温度計と、容器内に密封されたワークのマスキング部材を加熱する加熱器と、前記プラズマ処理を制御する制御部とを備える。制御部は、プラズマ処理を行なう際に、第1放射温度計により計測される処理対象部分の温度と、第2放射温度計により計測される非処理対象部分の温度との温度差が、予め定めた処理対象部分の温度に対する許容温度差に収まるように、加熱器をフィードバック制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ装置に関する。
プラズマCVD法により、基板に成膜を行う装置が知られている。特許文献1には、成膜室の上部と下部とで基板を挟み込み、成膜室に成膜ガスを充填し、成膜室の内部の基板の下側に配置された高周波電極から基板の上側に配置された接地電極に向かうプラズマを発生させることにより、成膜を行なう装置が記載されている。
特開2009−62579号公報
基板の成膜対象部分の外周の非成膜対象部分が成膜されないようにする場合、その非成膜対象部分を覆うようにマスキング部材を配置する方法が採用されることが多い。しかしながら、マスキング部材として利用される部材は、通常、熱容量が大きい場合が多い。このため、非成膜対象部分の箇所によっては(例えば、基板を挟み込んでいる成膜室の上部と下部の間にある箇所)、成膜対象部分との温度差が大きくなって基板が変形する可能性がある。また、プラズマによりエッチングを行う場合においても同様である。そのため、成膜又はエッチングのプラズマ処理を行うプラズマ装置において、処理対象物の処理対象部分と非処理対象部分の温度差により発生する処理対象物の変形を抑制可能な技術が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、ワークの一部にプラズマ処理を行なうプラズマ装置が提供される。前記ワークは、処理対象物と、前記処理対象物の処理対象部分の外周の非処理対象部分を覆うマスキング部材と、を有する。前記プラズマ装置は、第1型及び第2型を有し、閉じられた前記第1型及び前記第2型の内部に前記ワークを密封する容器と;前記処理対象部分の温度を計測する第1放射温度計と;前記非処理対象部分に対応する前記マスキング部材の部分の温度を計測する第2放射温度計と;前記容器内に密封された前記ワークの前記マスキング部材を加熱する加熱器と;前記プラズマ処理を制御する制御部と;を備える。前記制御部は、前記プラズマ処理を行なう際に、前記第1放射温度計により計測される前記処理対象部分の温度と、前記第2放射温度計により計測される前記非処理対象部分の温度との温度差が、予め定めた前記処理対象部分の温度に対応する許容温度差に収まるように、前記加熱器をフィードバック制御する。
この形態のプラズマ装置によれば、プラズマ処理中において、処理対象部分の温度と非処理対象部分の温度の温度差が許容温度差に収まるようにすることができるので、処理対象物の変形を抑制することができる。
本発明は、上述したプラズマ装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、プラズマ処理を行う方法や、プラズマ装置の制御方法及び制御装置、それらの装置又は方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の第1実施形態におけるプラズマ装置の構成を示す概略断面図。 プラズマ装置の分解斜視図。 プラズマ装置によるプラズマ処理方法の一例について示す工程図。 第1放射温度計の計測対象部分と第2放射温度計の計測対象部分の一例を示す説明図。 処理対象部分と非処理対象部分との温度差により発生する処理対象物の塑性変形について示す説明図。 ヒーターの加熱制御の一例について示すフローチャート。 ヒーターの加熱制御の有無による塑性変形量の測定結果の一例を比較して示す説明図。 プラズマ装置の部分拡大図。 第2実施形態におけるプラズマ装置を示す図。 第3実施形態におけるプラズマ装置を示す図。 第4実施形態におけるプラズマ装置を示す図。 第5実施形態におけるプラズマ装置を示す図。
A.第1実施形態:
A1.プラズマ装置の構成:
図1は、本発明の第1実施形態におけるプラズマ装置200の構成を示す概略断面図である。図2は、プラズマ装置200の分解斜視図である。図1及び図2には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。Y軸方向は鉛直方向を示し、X軸方向は水平方向を示し、Z軸方向はY軸及びX軸に垂直な方向を示す。このことは、以降の図においても同様である。
プラズマ装置200は、いわゆるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、導電性を有するワークWの処理対象部分10Aに薄膜を形成する装置である。ワークWは、処理対象物10とマスキング部材20とを含む。第1実施形態において、処理対象物10は、燃料電池のセパレータの基材として用いられる板状の金属部材である。プラズマ装置200は、処理対象物10の処理対象部分10Aに、例えば導電性の炭素系の薄膜を形成する。
プラズマ装置200は、真空容器(チャンバー)100と、放射温度計43,44と、ヒーター(加熱器)41,42と、絶縁部材30と、電力印加部70と、を備える。プラズマ装置200は、さらに、開閉装置50と、搬送装置55と、ガス供給装置80と、排気装置90と、制御部95と、パレット130と、シール部材60と、を備える。なお、図2では、開閉装置50と、搬送装置55と、電力印加部70及びその電力導入部71と、ガス供給装置80及びその供給口81と、排気装置90及び排気口91と、制御部95と、は図示を省略している。
真空容器100は、分割可能な金属製の容器である。真空容器100は、第1型110と、第1型110に対向して配置された第2型120と、を備える。第1型110は、第1窪み部114と第1窪み部114の周囲に配置された第1平面部111とを備える。第1窪み部114はワークWから離間する方向に窪んでおり、第1実施形態ではワークWの上面側の処理対象部分10Aから見て上方(+Y方向)に窪んでいる。また、第1窪み部114は、側部112と底部113とを備える。第1実施形態では、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所は、処理対象部分10Aの端部と、同一のYZ平面上に位置している。第2型120は、ワークWの下面側の処理対象部分10Aから見て下方(−Y方向)に窪んだ第2窪み部124と、第2窪み部124の周囲に配置された第2平面部121と、を備える。第2窪み部124は、側部122と底部123とを備える。第2平面部121は、第1型110の第1平面部111に対応する部分に配置されている。第1実施形態では、第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所は、処理対象部分10Aの端部と、同一のYZ平面上に位置している。第1実施形態において、第1平面部111及び第2平面部121は、XZ平面と平行である。第1型110及び第2型120は、真空容器100内にガス供給装置80からガスを供給するための供給口81と、真空容器100内を排気装置90によって排気するための排気口91と、を備える。供給口81及び排気口91には、開閉可能な弁(不図示)が設けられている。また、第2型120は、ワークWに電圧を印加するための電力導入部71を備える。第2型120と電力導入部71との間は、絶縁部材35によって電気的に絶縁されている。第1実施形態において、真空容器100は、アース電位を有している。真空容器100内において、ワークWは、第1平面部111から離間され、かつ、ワークWの処理対象部分10Aは真空容器100が閉じた状態において第1窪み部114内の空間に向けられている。
なお、第1実施形態では、ワークWのうち第1窪み部114内及び第2窪み部124内に位置する部分には、ワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が開いていないが、当該部分には、真空容器100が閉じた状態においてワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が設けられていてもよい。
マスキング部材20は、処理対象物10の非処理対象部分10Bを覆う部材である。言い換えると、マスキング部材20は、処理対象物10の処理対象部分10Aにおいて開口する部材である。第1実施形態では、マスキング部材20は、上側マスキング部材21と下側マスキング部材22とを有する。上側マスキング部材21は、処理対象物10の第1型110側に配置されている。下側マスキング部材22は、処理対象物10の第2型120側に配置されている。第1実施形態において、下側マスキング部材22は、処理対象物10を支持する。マスキング部材20は、導電性の部材で形成されている。処理対象物10とマスキング部材20とは、接触することにより電気的に接続されている。なお、マスキング部材20(21,22)を構成する部材としては、チタン(Ti),アルミニウム(Al),ステンレス鋼(SUS)等が用いられる。
絶縁部材30は、第1型110の第1平面部111と第2型120との間に配置されている。第1実施形態では、絶縁部材30は第1平面部111と第2平面部121との間に配置されている。絶縁部材30は、ワークWの上面側の処理対象部分10Aを第1窪み部114内の空間に向けるとともに、ワークWを第1平面部111から離間させた状態で、ワークWに接触する。また、第1実施形態では、絶縁部材30は、ワークWの下面側の処理対象部分10Aを第2窪み部124内の空間に向けるとともに、ワークWを第2平面部121から離間させた状態で、ワークWに接触する。第1実施形態では、絶縁部材30は、ワークWのうちの下側マスキング部材22に接触して下側マスキング部材22を支持する。絶縁部材30は、例えば、アルミナ(Al)や二酸化ケイ素(SiO)等のセラミックスで形成されている。
パレット130は、金属製の板状部材である。パレット130は、ワークWを真空容器100内に搬送する部材でもある。パレット130には、絶縁部材30、下側マスキング部材22、処理対象物10及び上側マスキング部材21が、この順に+Y方向に積載される。第1実施形態において、パレット130は、アース電位を有している。なお、パレット130を構成する金属製の部材としては、チタン(Ti),アルミニウム(Al),ステンレス鋼(SUS)等が用いられる。
シール部材60(61,62)は、第1型110の第1平面部111と第2型120との間に配置されている。シール部材60は、真空容器100内の気密を保つための部材である。シール部材60は、絶縁性の部材であり、第1実施形態ではゴム製の環状部材である。第1実施形態では、シール部材60は、オーリングを用いている。第1実施形態では、シール部材61は第1型110に設けられた溝部に嵌め込まれている。シール部材62は、第2型120に設けられた溝部に嵌め込まれている。
第1放射温度計43は、ワークWの上面側の処理対象部分10Aの計測対象部分Pdの温度を非接触で計測するように、第1型110の上部に設けられている。第2放射温度計44は、ワークWの上面側の非処理対象部分10Bに対応する上側マスキング部材21(マスキング部材20)の部分の計測対象部分Pnの温度を非接触で計測するように、第1型110に設けられている。
ヒーター41,42は、非処理対象部分10Bに対応するマスキング部材20の部分を加熱するように、マスキング部材20に対向する位置に配置されている。具体的には、上側ヒーター41は、第1型110の上側マスキング部材21に対向する面を加熱するように第1平面部111の第1型110内に配置されている。下側ヒーター42は、第2型120の下側マスキング部材22に対向する面を加熱するように第2平面部121の第2型120内に配置されている。なお、放射温度計43,44及びヒーター41,42については、さらに後述する。
開閉装置50は、真空容器100を開閉するための装置である。第1実施形態では、開閉装置50は、第1型110を+Y方向に移動させて真空容器100を開き、第1型110を−Y方向に移動させて真空容器100を閉じる。
搬送装置55は、パレット130を真空容器100内へ搬送し、パレット130を真空容器100外へ搬送するための装置である。第1実施形態では、搬送装置55は、パレット130の端部130tに接触して、真空容器100が開いた状態において、パレット130及びパレット130に積載された絶縁部材30、マスキング部材20、処理対象物10を真空容器100内に搬送する。また、搬送装置55は、搬送したパレット130を下方に移動させることによって、シール部材62を介してパレット130を第2型120上に設置する。また、搬送装置55は、上方に移動させたパレット130をXZ平面に沿って移動させて真空容器100外へ搬送することも可能である。
電力印加部70は、プラズマを発生させるための装置である。電力印加部70は、ワークWに電力を印加する。電力印加部70は、真空容器100内に供給された原料ガスをプラズマ化するための電場を生成する。第1実施形態では、電力導入部71と処理対象物10及びマスキング部材20は陰極であり、第1型110、第2型120及びパレット130は陽極である。第1実施形態では、電力印加部70は、下側マスキング部材22を通じて処理対象物10にバイアス電圧を印加する。電力印加部70は、例えば、電力導入部71に−3000Vの電圧を印加することができる。なお、第1実施形態では、真空容器100及びパレット130はアース(0V)に接続されている。
ガス供給装置80は、供給口81を介して、真空容器100内にキャリアガス及び原料ガスを供給する。第1実施形態では、ガス供給装置80は、キャリアガスとして例えば窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスを供給し、原料ガスとして例えばピリジン(CN)ガスを供給する。ガス供給装置80は、異なる種類のガスを貯留するタンクと接続されている。ガス供給装置80は、各タンクと供給口81との間に設けられた切替弁が操作されることにより、供給口81に供給されるガスの種類を切り替えることが可能である。また、ガス供給装置80は、真空容器100内の圧力を、開閉装置50が真空容器100を開くことが可能な程度の圧力に戻すために、プラズマ装置200による成膜後やエッチング後に真空容器100内に例えば窒素ガスを供給する。
排気装置90は、排気口91を介して、真空容器100内を排気する。排気装置90は、例えば、ロータリーポンプや拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ等により構成される。
制御部95は、プラズマ装置200全体の動作を制御する。制御部95は、CPUとメモリーとを含む。CPUは、メモリーに格納されたプログラムを実行することによって、プラズマ装置200の制御を行う。このプログラムは、各種記録媒体に記録されていてもよい。例えば、制御部95は、開閉装置50を制御して真空容器100を開閉し、搬送装置55を制御してパレット130を搬送する。また、制御部95は、排気装置90を制御して真空容器100内を排気し、ガス供給装置80を制御して真空容器100内にガスを供給し、電力印加部70を制御してワークWに電力を印加する。さらにまた、制御部95は、後述するように、放射温度計43,44から得られる温度に基づいてヒーター41,42の加熱動作を制御する。
図3は、プラズマ装置200によるプラズマ処理方法の一例について示す工程図である。以下では、プラズマ装置200によりワークWの一部に成膜を行う方法を例に挙げて説明する。制御部95によってプラズマ装置200による成膜の処理が開始されると、まず、ワークWが真空容器100内に搬送される(ステップS10)。第1実施形態では、真空容器100の第1型110が開閉装置50によって+Y軸方向に移動され、絶縁部材30、マスキング部材20及び処理対象物10が積載されたパレット130が、搬送装置55によって真空容器100内に搬送される。搬送されたパレット130は、シール部材62を介して第2型120上に配置される。
次に、真空容器100が閉じられる(ステップS20)。第1実施形態では、真空容器100内にパレット130が搬送された後、開閉装置50によって第1型110が−Y軸方向に移動される。真空容器100が閉じられると、処理対象部分10Aは真空容器100の第1窪み部114及び第2窪み部124内の空間に向けられた状態になる。ワークWは、第1平面部111及び第2平面部121から離間された状態で、真空容器100の内部に密封される。
次に、真空容器100内のガスが排気される(ステップS30)。第1実施形態では、プラズマ装置200は、例えば、窒素ガス雰囲気に設置されている。ステップS30では、排気装置90によって排気口91を介して真空容器100内の窒素ガスが排気され、真空容器100内が真空化される。
真空容器100内のガスが排気されると、真空容器100内に原料ガスが供給される(ステップS40)。ステップS40では、ガス供給装置80によって供給口81を介してキャリアガス及び原料ガスが供給される。真空容器100内には、キャリアガスとして、例えば、水素ガス及びアルゴンガスが供給される。また、原料ガスとして、窒素ガス及びピリジンガスが供給される。ステップS40では、真空容器100内の圧力値は、例えば、11Paである。なお、例えば成膜速度を高めるために、原料ガスが供給される前に、電力印加部70によりワークW(処理対象物10、マスキング部材20)と真空容器100との間に電力を印加して、ワークWの温度を昇温させてもよい。
次に、ワークWに電力が印加されるとともに、ヒーター41,42の加熱制御が行われる(ステップS50)。ヒーター41,42の加熱制御が行われるとともに、電力印加部70によってワークWと真空容器100との間に電力が印加されると、第1窪み部114内及び第2窪み部124内にプラズマが発生し、処理対象物10の処理対象部分10Aに薄膜が形成される。以上のようにして、プラズマ装置200による成膜が行われる。ステップS50では、電力印加部70によって、ワークWに例えば−3000Vの電力(直流電力)が印加される。また、後述するように、放射温度計43,44の計測結果に基づいてヒーター41,42の加熱制御が行われる。ステップS50が終了すると、原料ガスの供給と電力の印加とが停止されて成膜が終了する。
成膜が終了すると、真空容器100内の圧力が調整される(ステップS55)。第1実施形態では、真空容器100内の圧力を、開閉装置50によって真空容器100を開くことが可能な程度の圧力に戻すために、ガス供給装置80によって真空容器100内に窒素ガスが供給される。なお、真空容器100内の圧力が調整されると、第1型110が開閉装置50によって+Y軸方向に移動され、搬送装置55によって絶縁部材30、マスキング部材20及び処理対象物10が積載されたパレット130が、真空容器100から搬出される。以上のようにしてプラズマ装置200による一連のプラズマ処理方法が終了する。
A2.ヒーターの加熱制御:
図4は、第1放射温度計43の計測対象部分Pdと第2放射温度計44の計測対象部分Pnの一例を示す説明図である。第1実施形態では、図4に示すように、第1放射温度計43は、ワークW(処理対象物10)の上面側の処理対象部分10Aの中央位置を処理対象部分10Aの計測対象部分Pdとして、その計測対象部分Pdの温度を処理対象部分10Aの温度として計測する。また、第2放射温度計44は、ワークWの上面側の非処理対象部分10Bの長手方向(X方向)の外周端部の中央位置に対応する上側マスキング部材21の位置を非処理対象部分10Bの計測対象部分Pnとして、その計測対象部分Pnの温度を非処理対象部分10Bの温度として計測する。
処理対象部分10Aの温度と非処理対象部分10Bの温度とを計測するのは、通常、非処理対象部分10Bを覆うマスキング部材20の熱容量が大きいため、非処理対象部分10Bの温度が処理対象部分10Aの温度に比べて上昇し難く、処理対象部分10Aの温度に対して非処理対象部分10Bの温度が低くなって、処理対象部分10Aと非処理対象部分10Bとで温度差が発生するためである。そして、この温度差によって、後述するように処理対象物10に反りやうねり等の塑性変形が発生するためである。
また、処理対象部分10Aの中央位置を処理対象部分10Aの計測対象部分Pdとしているのは、処理対象部分10Aの中央位置が最も高温になる可能性が高いためである。非処理対象部分10Bの長手方向(X方向)の外周端部の中央位置に対応する上側マスキング部材21の位置を非処理対象部分10Bの計測対象部分Pnとしているのは、非処理対象部分10Bの長手方向)の外周端部の中央位置が最も低温になる可能性が高いためである。但し、これらの位置に限定されるものではなく、なお、以下では、説明の便宜上、処理対象部分10Aの計測対象部分Pdを単に「処理対象部分Pd」とも呼び、非処理対象部分10Bの計測対象部分Pnを単に「非処理対象部分Pn」とも呼ぶ。
図5は、処理対象部分Pdと非処理対象部分Pnとの温度差により発生する処理対象物10の塑性変形について示す説明図である。図5は、横軸を処理対象部分Pdの温度とし、縦軸を非処理対象部分Pnの温度として、塑性変形が発生する温度差(塑性変形発生温度差)Tpdを示している。この塑性変形発生温度差Tpdは、処理対象物10の部材に応じて定まるものである。この塑性変形発生温度差Tpdよりも上側の領域(図のハッチングの領域)であれば、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の差が塑性変形発生温度差Tpdに比べて小さくなるので、塑性変形の発生は抑制される。これに対して、塑性変形発生温度差Tpdから下側の領域(図の無ハッチングの領域)の場合、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の差が塑性変形発生温度差Tpdに比べて大きくなるので、塑性変形の発生が増大される。
そこで、第1実施形態では、以下で説明するように、ヒーター41,42(図1)の加熱動作を制御して、塑性変形の発生を抑制する。
図6は、ヒーター41,42の加熱制御の一例について示すフローチャートである。について示す。制御部95によってヒーター41,42の加熱制御が開始されると、まず、処理対象部分Pdの温度Td及び非処理対象部分Pnの温度Tnが計測される(ステップS210)。そして、塑性変形発生温度差Tpdを許容温度差として、(Td−Tn)<Tpdとなるように、ヒーター41,42の加熱動作がフィードバック制御される(ステップS220)。具体的には、(Td−Tn)≧Tpdの場合には、ヒーター41,42の加熱量を増加させ、(Td−Tn)<Tpdの場合には、ヒーター41,42の加熱量を減少させる。なお、処理対象部分Pdの温度Tdに対応する許容温度差としての塑性変形発生温度差Tpdは、予め制御部95に記憶されており、計測された処理対象部分Pdの温度Tdに応じた許容温度差としての塑性変形発生温度差Tpdが、上述の判断に利用される。そして、ステップS210,S220の処理は、ステップS50(図3)における処理が終了するまで、繰り返し実行される(ステップS230)。
図7は、ヒーター41,42の加熱制御の有無による塑性変形量の測定結果の一例を比較して示す説明図である。なお、この測定には、燃料電池のセパレータの基材として用いられる板状の金属部材の一例であるチタン材(厚さ0.5mm、幅は200mm、長さは400mm)を処理対象物10として用いた。マスキング部材20は、処理対象物10と特性を合わせるため、同じチタン材を用いた。なお、<>内の数値は、塑性変形による反り量[mm]を示している。反り量は、処理対象物10の中央部に対する外周部の最大の変形量とする。反り量の許容値を、例えば10mmとした。
ヒーター41,42の加熱制御が無かった場合、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の温度差(図中、実線及び◆で示す)は、塑性変形発生温度差Tpdよりも下側の領域となり、反り量も許容値(10mm)よりも大きい値となった。これに対して、ヒーター41,42の加熱制御が有った場合、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の温度差(図中、実線及び■で示す)は、塑性変形発生温度差Tpdよりも上側の領域となり、反り量は許容値(10mm)よりも小さい値となった。すなわち、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の温度差が塑性変形発生温度差Tpdよりも小さくなるように、ヒーター41,42の加熱動作を制御することにより、許容値よりも低い反り量とすることができ、塑性変形量を抑制できることを確認した。
なお、上述の説明では、塑性変形発生温度差Tpdを許容温度差としてフィードバック制御する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、処理対象部分Pdの温度に対応する許容温度差を塑性変形発生温度差Tpdよりも小さくする、すなわち、許容温度差を、図7(図6)において実線で示した塑性変形発生温度差Tpdよりも上側となる、ようにしてもよい。このようにすれば、処理対象部分Pdの温度と非処理対象部分Pnの温度の差が、より小さな温度差に収まるようにフィードバック制御することができるので、温度差により発生する変形量をより低くなるように抑制することができ、変形の許容値を低くすることができる。
以上説明したように、第1実施形態のプラズマ装置200によれば、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の温度差が許容温度差(本例では、塑性変形発生温度差Tpd)に収まるように、ヒーター41,42の加熱動作をフィードバック制御することができる。これにより、処理対象部分Pdの温度に対する非処理対象部分Pnの温度の差が、図5の塑性変形抑制領域となるようにすることができるので、反りやうねり等の塑性変形の発生を抑制することができる。また、塑性変形が変形の許容値を超えて発生したセパレータを燃料電池に用いた場合、燃料電池の変形によって複数の燃料電池をスタック化した際の燃料電池間のずれを招き、発電性能の低下を招く。これに対して、第1実施形態のプラズマ装置200によって塑性変形の発生が抑制されたセパレータを燃料電池に用いれば、複数の燃料電池をスタック化した際に発生する燃料電池間のずれを抑制することができ、発電性能の低下を抑制することができる。
A3.異常放電抑制:
図8は、プラズマ装置200の部分拡大図である。図8には、図1に破線で示したX部分が示されている。図8には、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、が示されている。接触点P1は、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第1平面部111に対向する箇所である。接触点P1は、プラズマ装置200の断面(図8)において、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第1平面部111に最も近い接触箇所である。接触点P2は、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第2平面部121に対向する箇所である。接触点P2は、プラズマ装置200の断面(図8)において、ワークWと絶縁部材30とが接触する箇所のうち、第2平面部121に最も近い接触箇所である。図8にはさらに、接触点P1と第1平面部111との距離A1と、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1と、が示されている。距離A1は、ワークWと絶縁部材30との接触箇所と、第1平面部111との最短距離である。距離B1は、第1窪み部114と対向するワークWと、第1窪み部114の底部113との距離であり、第1窪み部114の底部113とワークWとの最短距離である。また、図8には、接触点P2と第2平面部121との距離A2と、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離B2と、が示されている。距離A2は、ワークWと絶縁部材30との接触箇所と、第2平面部121との最短距離である。距離B2は、第2窪み部124と対向するワークWと、第2窪み部124の底部123との距離であり、第2窪み部124の底部123とワークWとの最短距離である。プラズマ装置200において、距離A1は距離B1よりも小さい。言い換えると、ワークWと第1平面部111とで形成される空間は、ワークWと第1窪み部114とで形成される空間よりも小さい。また、第1実施形態では、距離A2は、距離B2よりも小さい。言い換えると、ワークWと第2平面部121とで形成される空間は、ワークWと第2窪み部124とで形成される空間よりも小さい。
第1実施形態では、距離A1及び距離A2は、ワークWと真空容器100との間に電力を印加した場合に、ワークWと真空容器100(第1平面部111、第2平面部121)との間に形成されるシースの距離よりも短い。第1実施形態では、距離A1及び距離A2は、2.0mm以下である。なお、真空容器100とワークWとの絶縁性を十分に保つ観点から、距離A1及び距離A2は、0.5mm以上であることが好ましい。
図8には、さらに、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所Q1及び第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所Q2から接触点P1,P2までのX軸に沿った最短距離Cが示されている。距離Cは、第1窪み部114の側部112及び第2窪み部124の側部122から、接触点P1,P2までのX軸に沿った最短距離でもある。距離Cは、接触点P1,P2及び電力導入部71とマスキング部材20との接触部が、第1平面部111及び第2平面部112の間に配置されるように、0(ゼロ)よりも大きい値に設定される。第1実施形態では、距離Cは、10mm以上である。
上記のように、真空容器100が閉じた状態において、ワークWと接触する絶縁部材30は第1型110の第1平面部111と第2型120との間に配置され、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、第1平面部111と、の距離A1は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1よりも小さいため、ワークWと第1平面部111とで形成される空間に第1窪み部114や第2窪み部124からプラズマが侵入することが抑制される。そのため、接触点P1におけるプラズマの量が低減されるので、異常放電の発生を抑制することができる。
同様に、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、第2平面部121と、の距離A2は、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離B2よりも小さいため、ワークWと第2平面部121とで形成される空間に第2窪み部124や第1窪み部114からプラズマが侵入することが抑制される。そのため、接触点P2におけるプラズマの量が低減されるので、異常放電の発生を抑制することができる。
また、第1窪み部114と第1平面部111との接続箇所Q1及び第2窪み部124と第2平面部121との接続箇所Q2から、絶縁部材30までのX軸に沿った距離Cは0(ゼロ)よりも大きいため、第1窪み部114及び第2窪み部124で形成されるプラズマが発生する空間と、ワークWと絶縁部材30との接触点P1,P2とが離れている。そのため、接触点P1,P2におけるプラズマの量がより低減されるので、異常放電の発生をより抑制することができる。
また、ワークWと絶縁部材30との接触点P1と、第1平面部111と、の距離A1は、ワークWと第1平面部111との間に形成されるシースの距離よりも短いため、ワークWと第1平面部111との間にプラズマを発生させないようにすることができる。また、ワークWと絶縁部材30との接触点P2と、第2平面部121と、の距離A2は、ワークWと第2平面部121との間に形成されるシースの距離よりも短いため、ワークWと第2平面部121との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点P1,P2におけるプラズマの量が効果的に低減されるので、異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
また、距離A1及び距離A2は2.0mm以下であるため、ワークWと第1平面部111とで形成される空間及びワークWと第2平面部121とで形成される空間に、第1窪み部114及び第2窪み部124からプラズマが侵入することが一層抑制される。また、ワークWと第1平面部111との間にプラズマを発生させないようにすることができる。また、ワークWと第2平面部121との間にプラズマを発生させないようにすることができる。そのため、接触点P1,P2におけるプラズマの量が一層低減されるので、異常放電の発生を一層抑制することができる。
また、プラズマ装置200において、ワークWの処理対象部分10Aは第1窪み部114内の空間及び第2窪み部124内の空間に向けられており、絶縁部材30とワークWの端部とは、第1平面部111と第2平面部121との間に位置している。そのため、ワークW全体をプラズマが発生する空間内に収容する場合と比較して、プラズマ装置200を小型化することができる。また、プラズマ装置200では、成膜のために排気が行われる空間が小さいので、排気に要する時間を短くすることができ、ワークWに成膜を行うために要する時間を短くすることができる。
なお、上述の第1実施形態では、プラズマ装置200によりワークWの一部に成膜を行っている。これに対し、プラズマ装置200により、ワークWの一部にエッチングを行うプラズマ処理を行なうようにしてもよい。エッチングを行う場合には、上述のプラズマ処理のうち、ガスが供給される工程(図3のステップS40)において、真空容器100内に例えば主にアルゴンを含むガスが供給されてもよい。
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態におけるプラズマ装置200aを示す図である。プラズマ装置200aが上記第1実施形態のプラズマ装置200(図1)と異なる点は、上側ヒーター41と下側ヒーター42とが制御部95aによってそれぞれ独立に制御される点である。そのため、プラズマ装置200aでは、ワークWの上面側の処理対象部分10Aの温度及び非処理対象部分10Bに対応する上側マスキング部材21の温度を計測する放射温度計43u,44uに加えて、ワークWの下面側の処理対象部分10Aの温度及び非処理対象部分10Bに対応する下側マスキング部材22の温度を計測する放射温度計43d,44dが第2型120に設けられている。制御部95aは、上側放射温度計43u,44uの温度に基づいて、上側ヒーター41の加熱動作のフィードバック制御(図6)を行ない、下側放射温度計43d,44dの温度に基づいて、下側ヒーター42の加熱動作のフィードバック制御(図6)を行なう。また、プラズマ装置200aでは、第1実施形態のプラズマ装置200と同様に、開閉装置50、搬送装置55、電力印加部70、ガス供給装置80、及び、排気装置90を備えるが、図示の便宜上省略されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。このプラズマ装置200aにおいても、第1実施形態と同様に、塑性変形の発生を抑制することができる。また、異常放電の発生を抑制することができる。
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態におけるプラズマ装置200bを示す図である。プラズマ装置200bは、第1実施形態のプラズマ装置200(図1)とは異なり、処理対象物10の第1窪み部114側のみに成膜又はエッチングのプラズマ処理を行う。そのため、プラズマ装置200bでは、真空容器100bの第2型120bと処理対象物10との間に空間がなく、第2型120b上に絶縁部材30bが接触し、絶縁部材30b上に下側マスキング部材22bが接触し、下側マスキング部材22b上に処理対象物10の下側全面が接触する。また、プラズマ装置200bは、ワークWを載置するパレット130を備えていない。また、プラズマ装置200bでは、第1型110b側に電力導入部71が備えられている。また、プラズマ装置200bでは、第1実施形態のプラズマ装置200と同様に、放射温度計43,44、ヒーター41,42、開閉装置50、搬送装置55、電力印加部70、ガス供給装置80、排気装置90、及び、制御部95を備えるが、図示の便宜上省略されている。なお、上述の第1実施形態と同様に、第3実施形態においても、ワークWと絶縁部材30bとの接触点P1bと、第1平面部111と、の距離は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離よりも小さい。なお、第3実施形態のその他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。このプラズマ装置200bにおいても、第1実施形態と同様に、塑性変形の発生を抑制することができる。また、異常放電の発生を抑制することができる。
D.第4実施形態:
図11は、第4実施形態におけるプラズマ装置200cを示す図である。プラズマ装置200cと上述の第1実施形態におけるプラズマ装置200(図1)とが異なる主な点は、パレット130を用いずワークWが配置される点である。そのため、プラズマ装置200cでは、真空容器100cにおいて、第2型120cの第2平面部121cが絶縁部材30cと接触しつつ、ワークWと第2型120cとを離間させている。また、プラズマ装置200cでは、第1実施形態のプラズマ装置200と同様に、放射温度計43,44、ヒーター41,42、開閉装置50、搬送装置55、電力印加部70、ガス供給装置80、排気装置90、及び、制御部95を備えるが、図示の便宜上省略されている。なお、上述の第1実施形態と同様に、第4実施形態においても、ワークWと絶縁部材30cとの接触点P1cと、第1平面部111と、の距離は、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離よりも小さい。また、ワークWと絶縁部材30cとの接触点P2cと、第2平面部121cと、の距離は、ワークWと第2窪み部124の底部123との距離よりも小さい。なお、第4実施形態のその他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。このプラズマ装置200cにおいても、第1実施形態と同様に、塑性変形の発生を抑制することができる。また、異常放電の発生を抑制することができる。なお、第4実施形態においても、第2実施形態と同様に、上側ヒーター41と下側ヒーター42とがそれぞれ独立に制御される構成としてもよい。
E.第5実施形態:
図12は、第5実施形態におけるプラズマ装置200rを示す図である。プラズマ装置200rは、電力印加部70により印加される電力(DC(Direct Current)電力)と高周波電力印加部70rにより印加される電力(RF(Radio Frequency)電力)とを利用して、ワークWの処理対象部分10rAにプラズマ処理を行うことが可能な装置である。そのため、プラズマ装置200rは、第1電極75と、第2電極76と、高周波電力印加部70rと、を備える。第1電極75は、第1窪み部114r内の底部113r側に配置されている。第2電極76は、第2窪み部124r内の底部123r側に配置されている。高周波電力印加部70rは、制御部95rの制御により、第1電極75及び第2電極76に電力を印加する。なお、高周波電力印加部70rは、第1電極75に印加する高周波電力の大きさと、第2電極76に印加する高周波電力の大きさと、を異ならせることも可能である。第5実施形態において、第1型110rは、第1電極75に高周波電力を印加するための電力導入部71rと、真空容器100r内を排気するための排気口91rと、を備える。第2型120rは、第2電極76に高周波電力を印加するための電力導入部72rと、真空容器100r内を排気するための排気口91rと、を備える。電力導入部71rと第1型110rとの間及び電力導入部72rと第2型120rとの間は、絶縁部材35によって電気的に絶縁されている。第5実施形態では、第1電極75と第1型110rとの距離及び第2電極76と第2型120rとの距離は、シースの距離よりも短い。そのため、第1電極75と第1型110rとの間及び第2電極76と第2型120rとの間には、プラズマは発生しない。
第5実施形態において、ワークWのうち、第1窪み部114r内及び第2窪み部124r内に位置する部分には、ワークWの上面側と下面側とを貫通する孔が設けられておらず、真空容器100rが閉じた状態において、ワークWは第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とを分離(区画)する。そのため、これらの空間は、電気的に絶縁される。すなわち、ワークWにより、第1窪み部114r内に発生するプラズマと、第2窪み部124r内に発生するプラズマとが、分離される。
プラズマ装置200rでは、第1実施形態のプラズマ装置200(図1)と同様に、放射温度計43,44及びヒーター41,42を備えるが、図示の便宜上省略されている。なお、第5実施形態のプラズマ装置200rのその他の構成は、上述の第1実施形態のプラズマ装置200と同様であるため、説明を省略する。
プラズマ装置200rによるプラズマ処理では、上述の第1実施形態のプラズマ処理方法の電力が印加されるとともに、ヒーター41,42の加熱制御が行なわれる工程(図3のステップS50)において、ワークWに電力が印加されるのに加え、さらに、高周波電力印加部70rにより第1電極75及び第2電極76に高周波電力が印加される。第5実施形態のその他のプラズマ処理方法は、上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
第5実施形態のプラズマ装置200rによれば、ワークWにより第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とが分離されており、これらの空間は電気的に絶縁されるため、第1電極75に印加された高周波と第2電極76に印加された高周波との位相が干渉することが抑制されるので、印加された電力を効率よく利用して、ワークWの処理対象部分10rAを成膜又はエッチングすることができる。そのため、第1窪み部114r内及び第2窪み部124r内のプラズマ密度を増加させて、処理対象部分10rAの成膜密度やエッチング密度を高めることができる。また、プラズマ装置200rにより処理対象部分10rAに成膜を行う場合には膜厚を厚くすることができ、プラズマ装置200rにより処理対象部分10rAにエッチングを行う場合には、処理対象部分10rAのエッチング量を多くすることができる。
また、第5実施形態のプラズマ装置200rによれば、ワークWにより第1窪み部114r内の空間と第2窪み部124r内の空間とが分離され、高周波電力印加部70rは第1電極75に印加する高周波電力の大きさと、第2電極76に印加する高周波電力の大きさと、を異ならせることが可能であるため、処理対象部分10rAの上面側と下面側との成膜密度やエッチング密度、膜厚やエッチング量を異ならせることができる。例えば、処理対象物10rが燃料電池に用いられるセパレータであり、処理対象部分10rAの上面側に冷却水流路が形成されており、下面側に燃料ガスの流路が形成されている場合には、燃料電池の性能を高めるために、少なくとも下面側の成膜密度を高めることが好ましい。第5実施形態のプラズマ装置200rによれば、第1電極75に印加する電力は維持したまま、第2電極76に印加する電力を大きくすることによって下面側のみ成膜密度を高めることができる。そのため、処理対象物10rの一方の面の成膜密度やエッチング密度を高める場合において、消費される電力を抑制することができる。
なお、発明者らは、真空容器100r内の圧力が30Paであり、真空容器100r内に供給されるガスがピリジンガスであり、電力印加部70によりワークWに印加される電力が−2500Vである場合において、第1電極75と第2電極76に印加する電力を異ならせて処理対象物10rに成膜を行った。その結果、高周波電力印加部70rにより第1電極75に13.56MHzで−100Wの電力を印加し、第2電極76に13.56MHzで−1000Wの電力を印加することで、処理対象部分10rAの上面側に50nmの厚さの膜が形成され、下面側に80nmの厚さの膜が形成されることを確認した。また、発明者らは、成膜後にFE−SEM(Field Emission-Scanning Electron Microscope:電界放射型走査電子顕微鏡)により処理対象部分10rAの上面側と下面側とを観察したところ、下面側では上面側に比べてより緻密な膜が形成されていることを確認した。
また、第5実施形態のプラズマ装置200rによれば、上述の第1実施形態と同様の構成を備えるため、第1実施形態と同様に、塑性変形の発生を抑制することができる。また、異常放電の発生を抑制することができる。なお、第5実施形態においても、第2実施形態と同様に、上側ヒーター41と下側ヒーター42とがそれぞれ独立に制御される構成としてもよい。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)変形例1
上述の第1実施形態のプラズマ装置200のプラズマ処理方法(図3)において、例えば成膜速度を高めるために、原料ガスが供給される前に、電力印加部70によりワークW(処理対象物10、マスキング部材20)と真空容器100との間に電力を印加して、ワークWの温度を昇温させてもよい。この場合、ヒーター41,42の加熱制御(図6)は、原料ガスが供給される前の電力の印加の開始とともに開始されることが好ましい。
(2)変形例2
また、上述の第1実施形態のプラズマ装置200では、図4に示したように、処理対象部分10Aの中央位置を処理対象部分10Aの計測対象部分Pdとして、第1放射温度43によってその計測対象部分Pdの温度を計測している。また、非処理対象部分10Bの長手方向(X方向)の外周端部の中央位置に対応する上側マスキング部材21の位置を非処理対象部分10Bの計測対象部分Pnとして、第2放射温度計44によってその計測対象部分Pnの温度を計測している。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、処理対象部分10Aの中央位置以外の処理対象部分10Aのいずれかの位置の温度を計測するようにしてもよい。同様に、非処理対象部分10Bの長手方向(X方向)の外周端部の中央位置に対応するマスキング部材20の位置以外の非処理対象部分10Bに対応するマスキング部材20のいずれかの位置の温度を計測するようにしてもよい。また、複数の第1放射温度計43によって処理対象部分10Aの複数の箇所の温度を計測してもよい。同様に、複数の第2放射温度計44によって非処理対象部分10Bに対応するマスキング部材20(上側マスキング部材21)の複数の箇所の温度を計測してもよい。この場合、例えば、複数の処理対象部分10Aの箇所の温度のうちの最高温度と、複数の非処理対象部分10Bに対応する箇所の温度のうちの最低温度との温度差が許容温度差に収まるように、ヒーター41,42の加熱動作のフィードバック制御を行なうようにすればよい。すなわち、処理対象部分10Aの温度及び非処理対象部分10Bの温度を計測し、処理対象部分10Aの温度に対する非処理対象部分10Bの温度の差が許容温度差に収まるように、ヒーター41,42の加熱動作をフィードバック制御することができれば、処理対象部分10Aの計測対象部分及び非処理対象部分10Bの計測対象部分に限定はない。
(3)変形例3
上述の第1実施形態のプラズマ装置200(図1)を、X軸方向に90°回転した構成としてもよい。この変形例では、真空容器100は、X軸方向に開閉される。なお、本変形例では、絶縁部材30、マスキング部材20、パレット130は、脱落しないような結合力でそれぞれ嵌まり合っていることが好ましい。又は、絶縁部材30、マスキング部材20、パレット130は、それぞれ例えばボルト等で締結されていることが好ましい。
(4)変形例4
上述の第1実施形態において、プラズマ装置200は、第1窪み部114内と第2窪み部124内との少なくとも一方に、高周波電力を印加可能な電極と、電極に高周波電力を印加する高周波電力印加部と、を備えていてもよい。このような構成であれば、電極に印加された高周波により、第1窪み部内や第2窪み部内に発生するプラズマの密度を増加させることができるので、成膜密度やエッチング密度を向上させることができ、膜厚やエッチング量を増加させることができる。また、異常放電の発生を抑制することができる。
(5)変形例5
上述の第1実施形態では、接触点P1と第1平面部111との距離A1は、ワークWと第1平面部111との間に形成されるシースの距離よりも短く、接触点P2と第2平面部121との距離A2は、ワークWと第2平面部121との間に形成されるシースの距離よりも短い。これに対し、距離A1と距離A2とのうち、いずれか一方がシースの距離よりも大きくてもよく、両方がシースの距離よりも大きくてもよい。また、上述の第1実施形態では、距離A1及び距離A2は2.0mm以下である。これに対し、距離A1と距離A2のうち、いずれか一方が2.0mmより大きくてもよく、両方が、2.0mmより大きくてもよい。
(6)変形例6
上述の第1実施形態では、第1窪み部114は、側部112と底部113とを備えているが、第1窪み部114は、第1平面部111から処理対象物10と離れる方向に窪んでいればよく、例えば、半球状であってもよい。この場合には、第1窪み部114の底部113は、第1窪み部114と対向するワークWから最も離れた箇所であってもよく、ワークWと第1窪み部114の底部113との距離B1は、第1窪み部114と対向するワークWと、第1窪み部114のワークWから最も離れた箇所と、の距離であってもよい。
(7)変形例7
上述の第1実施形態では、真空容器100及びパレット130はアース電位であるが、真空容器100及びパレット130はアース電位でなくてもよい。電力印加部70は真空容器100と処理対象物10との間に処理対象物10を成膜又はエッチングのプラズマ処理を行なうための電力を印加できればよい。
(8)変形例8
上述の第1実施形態では、処理対象物10は燃料電池用のセパレータであるが、処理対象物10は、導電性を有する部材であればよい。また、上述の第1実施形態では、プラズマ装置200は炭素系の薄膜を成膜しているが、成膜を行う場合には、金(Au)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)など他の導電性の元素の薄膜を形成するものとしてもよい。
(9)変形例9
上述の第1実施形態において、第1型110と第2型120とは入れ替えられても良い。
(10)変形例10
上述の変形例1〜変形例9は、上述の第2実施形態〜第5実施形態においても同様に適用が可能である。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態や変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組合せを行うことが可能である。また、前述した実施形態及び各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
10,10r…処理対象物
10A,10rA…処理対象部分
10B…非処理対象部分
20…マスキング部材
21…上側マスキング部材
22,22b…下側マスキング部材
30,30b,30c…絶縁部材
35…絶縁部材
41,42…ヒーター
43,44…放射温度計
43d,44d…放射温度計(下側放射温度計)
43u,44u…放射温度計(上側放射温度計)
50…開閉装置
55…搬送装置
60,61,62…シール部材
70…電力印加部
70r…高周波電力印加部
71,71r,72r…電力導入部
75…第1電極
76…第2電極
80…ガス供給装置
81…供給口
90…排気装置
91,91r…排気口
95,95a,95r…制御部
100,100b,100c,100r…真空容器
110,110b,110r…第1型
111…第1平面部
112…側部
113,113r…底部
114,114r…第1窪み部
120,120b,120c,120r…第2型
121,121c…第2平面部
122…側部
123,123r…底部
124,124r…第2窪み部
130…パレット
130t…端部
200,200a,200b,200c,200r…プラズマ装置
A1,A2,B1,B2,C…距離
P1,P1b,P1c,P2,P2c…接触点
Pd…計測対象部分(処理対象部分)
Pn…計測対象部分(非処理対象部分)
Q1,Q2…接続箇所
Tpd…塑性変形発生温度差
Td…処理対象部分の温度
Tn…非処理対象部分の温度
W…ワーク

Claims (1)

  1. ワークの一部にプラズマ処理を行なうプラズマ装置であって、
    前記ワークは、処理対象物と、前記処理対象物の処理対象部分の外周の非処理対象部分を覆うマスキング部材と、を有し、
    前記プラズマ装置は、
    第1型及び第2型を有し、閉じられた前記第1型及び前記第2型の内部に前記ワークを密封する容器と、
    前記処理対象部分の温度を計測する第1放射温度計と、
    前記非処理対象部分に対応する前記マスキング部材の部分の温度を計測する第2放射温度計と、
    前記容器内に密封された前記ワークの前記マスキング部材を加熱する加熱器と、
    前記プラズマ処理を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記プラズマ処理を行なう際に、前記第1放射温度計により計測される前記処理対象部分の温度と、前記第2放射温度計により計測される前記非処理対象部分の温度との温度差が、予め定めた前記処理対象部分の温度に対応する許容温度差に収まるように、前記加熱器をフィードバック制御する、プラズマ装置。
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