JP2017195040A - 導体形成用ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないチタン酸バリウム量で、良好な導体膜の連続性が実現され得る導体形成用ペーストを提供する。【解決手段】本発明により、ニッケル粒子とチタン酸バリウム粒子と分散媒体とを含む導体形成用ペーストが提供される。この導体形成用ペーストは、チタン酸バリウム粒子の含有量が、ニッケル粒子100質量部に対して10質量部以下である。また、X線光電子分光(XPS)によるニッケル粒子表面の解析において、酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)が、0.2≦(B/A)<1である。【選択図】図2

Description

本発明は、導体形成用ペーストに関する。特に積層セラミックコンデンサその他のセラミック電子部品(種々の回路素子を包含する。)に導体膜(内部電極等)を形成する用途に用いられる導体形成用ペーストに関する。
近年、電気機器の小型化・高機能化に伴い、他のコンデンサに比べて小型かつ高容量である積層セラミックコンデンサ(MLCC)等のセラミック電子部品が多用されている。例えば、積層セラミックコンデンサは、導電性金属粉末を含む内部電極層(導体膜)と誘電体層(セラミック層)とを交互に積層することによって形成されており、かかる誘電体層および/または内部電極層の多層化、薄層化が強く求められている。
上記積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウムなどに代表されるセラミック粉末とバインダを主成分とする未焼成のセラミックグリーンシートに、導体膜(内部電極層)を形成するためにペースト状に調製された導電性材料(以下「導体形成用ペースト」という。)を付与して、これらを複数積層した後、同時焼成して一体焼結させ、最後に外部電極を形成して製造され得る。導体膜を形成するための導体形成用ペーストとしては、例えば、ニッケル粉末(導電性粉末材料)を有機ビヒクル(分散媒体)に分散したものが用いられる。また、導体形成用ペーストには、上記ニッケル粉末に加えて、チタン酸バリウム(セラミック粉末)からなる共材が添加されている。導体形成用ペーストにチタン酸バリウムを添加することで、焼成時の熱収縮(焼結)が抑制され、導体膜の連続性が向上する。この種の従来技術を開示する文献として、特許文献1〜3が挙げられる。
特開2015−216244号公報 特開2004−330247号公報 特開2007−157563号公報
しかしながら、導体形成用ペーストにチタン酸バリウムを添加すると、導体膜の連続性は向上し得るものの、チタン酸バリウムと誘電体層を形成するセラミック粒子との反応が起こり、誘電体層に組成ズレが生じる。かかる組成ズレは積層セラミックコンデンサの小型化、多積層化にともない誘電体層を薄層化した場合、より顕著になる。その結果、セラミック電子部品の品質が安定しなくなり、信頼性の低下を招く要因になり得る。品質安定性の観点からは、導体形成用ペーストに配合されるチタン酸バリウムの添加量は少なくしたい。その一方で、積層セラミックコンデンサの小型化、多積層化のためには、導体膜も薄層化する必要がある。そのためには、導体形成用ペーストに配合されるニッケル粉末を微粒子化することが要求されている。しかし、小径のニッケル粒子を用いた場合に、さらに上述したチタン酸バリウムの添加量の低減を行うと、ニッケル粒子の耐熱性不足によって熱収縮が生じ、導体膜の連続性が低下してしまう。少ないチタン酸バリウム(共材)量で、良好な導体膜の連続性が実現され得る技術が求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、少ないチタン酸バリウム(共材)量で、良好な導体膜の連続性が実現され得る導体形成用ペーストを提供することである。関連する他の目的は、上記導体形成用ペーストを用いて形成された内部電極層を備える積層セラミックコンデンサを提供することである。
本発明によると、導体膜の形成に用いられる導体形成用ペーストが提供される。この導体形成用ペーストは、ニッケル粒子と、チタン酸バリウム粒子と、分散媒体とを含む。前記チタン酸バリウム粒子の含有量が、前記ニッケル粒子100質量部に対して10質量部以下である。そして、X線光電子分光(XPS)による前記ニッケル粒子表面の解析において、酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)が、0.2≦(B/A)<1である。このように酸化ニッケルと水酸化ニッケルとを特定のモル分率比で含むニッケル粒子を用いることにより、少ないチタン酸バリウム量で、良好な導体膜の連続性が実現され得る。
ここに開示される導体形成用ペーストの好ましい一態様では、前記比(B/A)が、0.3≦(B/A)≦0.8である。このような酸化ニッケルと水酸化ニッケルとのモル分率比(B/A)の範囲内であると、上述した効果がより良く発揮され得る。
ここに開示される導体形成用ペーストの好ましい一態様では、前記酸化ニッケルのモル分率Aが、前記水酸化ニッケルのモル分率Bよりも、12モル%以上大きい。このようにすれば、酸化ニッケルのモル分率Aを水酸化ニッケルのモル分率Bよりも大きくしたことによる効果(例えばニッケル粒子の耐熱性向上効果)をより適切に発揮することができる。
ここに開示される導体形成用ペーストの好ましい一態様では、前記酸化ニッケルのモル分率Aから前記水酸化ニッケルのモル分率Bを減じた値(A−B)が、30モル%以下である。かかる構成によると、ニッケル粒子の耐熱性と分散性との両立が高いレベルで実現され得る。
ここに開示される導体形成用ペーストの好ましい一態様では、前記ニッケル粒子の平均粒子径が10nm〜500nmである。このような導体形成用ペーストによると、導体膜の薄層化を実現しつつ、該導体膜の連続性をより良く高めることができる。
ここに開示される導体形成用ペーストの好ましい一態様では、積層セラミック電子部品における内部電極層を形成するために用いられる。積層セラミック電子部品の分野では、高容量化や高信頼性のために、より連続性の高い内部電極層(導体膜)が求められている。したがって、積層セラミック電子部品の内部電極層は、ここに開示される技術の好ましい適用対象となり得る。
この明細書によると、また、積層セラミックコンデンサが提供される。この積層セラミックコンデンサは、ここに開示されるいずれかの導体形成用ペーストの焼成体からなる内部電極層を備える。かかる構成によると、内部電極層の連続性が良好であり、かつ、品質安定性に優れた高性能な積層セラミックコンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを模式的に示した部分断面図である。 酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)と被覆率との関係を示すグラフである。 例2の積層体シートの断面SEM像である。 例3の積層体シートの断面SEM像である。 例4の積層体シートの断面SEM像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(積層セラミックコンデンサの製造プロセスなど)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<導体形成用ペースト>
(ニッケル粒子)
ここに開示される導体形成用ペーストは、導体膜(例えば積層セラミック電子部品の内部電極層)の形成に用いられる導体形成用ペーストであって、ニッケル粒子と、チタン酸バリウム粒子と、分散媒体とを含んでいる。この導体形成用ペーストは、チタン酸バリウム粒子の含有量が、ニッケル粒子100質量部に対して10質量部以下である。そして、X線光電子分光(XPS)によるニッケル粒子表面の解析において、酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)が、0.2≦(B/A)<1である。このように酸化ニッケルと水酸化ニッケルとを特定のモル分率比で含むニッケル粒子を含有させることにより、少ないチタン酸バリウム(共材)量で、良好な導体膜の連続性が実現され得る。
このような効果が得られる理由としては、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、ニッケル粒子の表面は、一般に、酸化ニッケル(典型的にはNiO)、水酸化ニッケル(典型的にはNi(OH))および金属ニッケル(単体)により構成されている。このうち、酸化ニッケルは、金属ニッケルよりも融点が高く、ニッケル粒子の耐熱性向上に寄与する一方で、水酸化ニッケルは、塩基性物質であり、ニッケル粒子の分散性向上に寄与する。チタン酸バリウム粒子の含有量が多い導体形成用ペーストの場合、上記モル分率比(B/A)が大きい(すなわち酸化ニッケルのモル分率Aに対して水酸化ニッケルのモル分率Bが大きい)ニッケル粒子を用いた方が、ニッケル粒子の分散性が向上し、ニッケル粒子とチタン酸バリウム粒子とが均一に混ざり合う。そのため、チタン酸バリウム粒子による熱収縮(焼結)抑制効果がより適切に発揮され、良好な導体膜の連続性が実現されやすい。これに対して、チタン酸バリウム粒子の含有量が少ない導体形成用ペーストでは、チタン酸バリウム粒子による熱収縮抑制効果の影響が小さいため、ニッケル粒子の分散性を高めるよりも該粒子自体の耐熱性を高めた方が、熱収縮抑制の観点からは有利である。すなわち、上記モル分率比(B/A)が小さい(すなわち酸化ニッケルのモル分率Aに対して水酸化ニッケルのモル分率Bが小さい)ニッケル粒子を用いた方が、焼成時の熱収縮(焼結)が抑制され、導体膜の連続性が向上するものと考えられる。
なお、本発明者らの検討によれば、ニッケル粒子表面の上記モル分率比(B/A)をここに開示される好ましい範囲に規定することによる導体膜の連続性の向上については、ニッケル粒子100質量部に対するチタン酸バリウム粒子の含有量が10質量部を上回る導体形成用ペーストの場合では同程度の効果が得られないことが後述する試験例により確認された。したがって、上記ニッケル粒子表面のモル分率比(B/A)の規定と、低含有量のチタン酸バリウム粒子とを組み合わせて適用することにより、かかる組み合わせによる相乗効果として、少ないチタン酸バリウム量で、導体膜の連続性を大きく向上させ得る導体形成用ペーストが提供され得る。
上記酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)は、通常は1未満であればよく、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.85以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.7以下である。所定値以下の上記モル分率比(B/A)を有する導体形成用ペーストは、ニッケル粒子自体の耐熱性が効果的に高まる。したがって、ここに開示される技術の適用効果が適切に発揮され得る。また、上記モル分率比(B/A)は、通常は0.2以上にすることが適当であり、好ましくは0.24以上、より好ましくは0.28以上、さらに好ましくは0.3以上(例えば0.32以上)である。上記モル分率比(B/A)が小さすぎると、ペーストの粘度安定性が低下する。そのため、該ペーストをセラミックグリーンシート等に付与する際の安定性、ハンドリング性および塗工性が悪化し、結果として、導体膜の連続性が低下傾向になる場合があり得る。ここに開示される技術は、例えばニッケル粒子表面における酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)が0.25以上0.95以下(好ましくは0.3以上0.8以下)である態様で好ましく実施され得る。
導体膜の連続性をより良く向上させる等の観点から、酸化ニッケルのモル分率Aは、水酸化ニッケルのモル分率Bよりも10モル%以上大きいことが好ましく、12モル%以上大きいことがより好ましく、15モル%以上大きいことがさらに好ましく、20モル%以上大きいことが特に好ましい。また、酸化ニッケルのモル分率Aから水酸化ニッケルのモル分率Bを減じた値(すなわち、A−B)は、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。例えば、A−Bが25モル%以下であってもよい。このことにより、上述した効果がより良く発揮され得る。
上記ニッケル粒子表面における酸化ニッケルのモル分率Aは、水酸化ニッケルのモル分率Bとの比の値(B/A)が前記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。酸化ニッケルのモル分率Aは、例えば30モル%以上であり得る。ニッケル粒子の耐熱性を高める等の観点から、酸化ニッケルのモル分率Aは、好ましくは32モル%以上、より好ましくは35モル%以上である。また、酸化ニッケルのモル分率Aの上限は特に限定されないが、通常は85モル%以下であり得る。粘度安定性等の観点からは、酸化ニッケルのモル分率Aは、好ましくは75モル%以下、より好ましくは65モル%以下(典型的には60モル%以下)である。ここに開示される技術は、ニッケル粒子における酸化ニッケルのモル分率Aが35モル%以上75モル%以下(好ましくは35モル%以上60モル%以下)である態様で好ましく実施され得る。
上記ニッケル粒子表面における水酸化ニッケルのモル分率Bは、酸化ニッケルのモル分率Aとの比の値(B/A)が前記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。水酸化ニッケルのモル分率Bは、例えば30モル%未満であり得る。ニッケル粒子の耐熱性を高める等の観点から、水酸化ニッケルのモル分率Bは、好ましくは28モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。また、水酸化ニッケルのモル分率Bの下限は特に限定されないが、通常は10モル%以上であり得る。ニッケル粒子の分散性等の観点からは、水酸化ニッケルのモル分率Bは、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上である。ここに開示される技術は、ニッケル粒子における水酸化ニッケルのモル分率Bが15モル%以上30モル%未満(好ましくは20モル%以上28モル%以下)である態様で好ましく実施され得る。
上記ニッケル粒子表面における金属ニッケル(Ni単体)のモル分率Cは、酸化ニッケルのモル分率Aと水酸化ニッケルのモル分率Bとの比の値(B/A)が前記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。金属ニッケルのモル分率Cは、通常は5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上であり得る。また、金属ニッケルのモル分率Cは、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。ここに開示される技術は、ニッケル粒子における金属ニッケルのモル分率Cが5モル%以上50モル%以下(好ましくは15モル%以上40モル%以下)である態様で好ましく実施され得る。
ニッケル粒子の耐熱性を高める等の観点から、上記ニッケル粒子表面における金属ニッケルのモル分率Cは、酸化ニッケルのモル分率Aよりも小さいことが好ましく(C<A)、0.4モル%以上小さいことが好ましい。金属ニッケルのモル分率Cは、酸化ニッケルのモル分率Aよりも、10モル%以上小さくてもよく、30モル%以上小さくてもよい。また、酸化ニッケルのモル分率Aから金属ニッケルのモル分率Cを減じた値(すなわち、A−C)は、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。例えば、A−Cが45モル%以下であってもよい。
好ましい一態様では、上記ニッケル粒子表面における金属ニッケルのモル分率Cは、水酸化ニッケルのモル分率Bよりも大きい(B<C)。例えば、金属ニッケルのモル分率Cは、水酸化ニッケルのモル分率Bよりも5モル%以上大きくてもよく、10モル%以上大きくてもよい。また、金属ニッケルのモル分率Cから水酸化ニッケルのモル分率Bを減じた値(すなわち、C−B)は、例えば20モル%以下であってもよく、15モル%以下であってもよい。
他の好ましい一態様では、上記ニッケル粒子表面における金属ニッケルのモル分率Cは、水酸化ニッケルのモル分率Bよりも小さい(C<B)。例えば、金属ニッケルのモル分率Cは、水酸化ニッケルのモル分率Bよりも5モル%以上小さくてもよく、10モル%以上小さくてもよい。また、水酸化ニッケルのモル分率Bから金属ニッケルのモル分率Cを減じた値(すなわち、B−C)は、25モル%以下であってもよく、20モル%以下であってもよく、15モル%以下であってもよい。
ここに開示される技術において、酸化ニッケル、水酸化ニッケルおよび金属ニッケルのモル分率は、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)によるニッケル粒子表面の解析により把握することができる。ここで、X線光電子分光法(XPS)は、試料表面にX線を照射し、放出された光電子のエネルギーを測定することで、試料表面の構成元素とその電子状態を分析する方法である。XPSで得られるスペクトルは、物質固有のパターンと物質量に比例したピーク強度を示すため、物質の定性および定量的な分析が可能である。かかるXPSを用いたニッケル粒子表面のニッケルの化学結合状態の解析において、ニッケルと酸素の結合状態に帰属されるピークのNi2P3/2スペクトル全体に対する面積比から酸化ニッケルのモル分率Aを、ニッケルと水酸基の結合状態に帰属されるピークのNi2P3/2スペクトル全体に対する面積比から水酸化ニッケルのモル分率Bを、金属ニッケルのピークのNi2P3/2スペクトル全体に対する面積比から金属ニッケルのモル分率Cを求めることができる。X線光電子分光装置としては、アルバック・ファイ株式会社製XPS PHI−5000 VersaProbeIIを用いることができる。
上記ニッケル粒子表面における酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)は、ニッケル粒子に対して酸化処理を施すことによって調整することができる。すなわち、ニッケル粒子に対する酸化処理条件を適切に選択することによって、ニッケル粒子表面における酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)をここに開示される適切な範囲に調整することができる。酸化処理の具体的な方法としては、例えば、空気雰囲気下、あるいは酸化性ガス(例えば酸素ガスやオゾンガス)を窒素等の不活性ガスと混合した雰囲気下において、加熱処理(例えば140℃〜250℃、典型的には160℃〜230℃での加熱処理)を行う方法が挙げられる。
ここに開示されるニッケル粒子の種類や性状は、該ニッケル粒子表面における酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)が前記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。例えば、ニッケル粒子の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。また、ニッケル粒子は、ニッケルを主成分とする各種のニッケル粒子であり得る。ここで、ニッケルを主成分とするニッケル粒子とは、該粒子の80質量%以上(通常は90質量%以上、典型的には95質量%以上、例えば98質量%以上)がニッケルである粒子をいう。使用し得るニッケル粒子の例としては、特に限定されないが、気相法ニッケルや液相法ニッケルなどが挙げられる。ここでいう気相法ニッケルの例には、塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触させることによりニッケル粉末を生成する気相還元法により得られるニッケルが挙げられる。あるいは、熱分解性のニッケル化合物を噴霧して熱分解する噴霧熱分解法により得られるニッケルを用いてもよい。
ニッケル粒子としては、その平均粒子径が500nm以下のものを好ましく採用することができる。導体膜の薄層化等の観点から、ニッケル粒子の平均粒子径は、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは250nm以下、特に好ましくは200nm以下である。ニッケル粒子の平均粒子径の下限は特に限定されないが、概ね10nm以上にすることが適当であり、耐熱性や取り扱い性等の観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上である。例えばニッケル粒子の平均粒子径は、80nm以上であってもよく、典型的には100nm以上であってもよい。ここに開示される技術は、ニッケル粒子の平均粒子径が10nm以上500nm以下(好ましくは50nm以上250nm以下)である態様で好ましく実施され得る。なお、本明細書において粒子粉末の「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察に基づいて概算された粒度分布における積算値50%での粒径D50(メジアン粒径)を意味する。
上記導体形成用ペーストにおけるニッケル粒子の含有量は、ペースト全体を100質量%として、その30〜90質量%(より好ましくは40〜60質量%程度)の割合となるようにすることが好ましい。
(チタン酸バリウム粒子)
ここに開示される導体形成用ペーストは、チタン酸バリウム粒子を含有する。チタン酸バリウム粒子は、前述のように焼成時における熱収縮(焼結)を抑制する成分である。チタン酸バリウム粒子は、チタン酸バリウムを主成分とする各種のチタン酸バリウム粒子であり得る。ここで、チタン酸バリウムを主成分とするチタン酸バリウム粒子とは、該粒子の80質量%以上(通常は90質量%以上、典型的には95質量%以上、例えば98質量%以上)がチタン酸バリウムである粒子をいう。
上記チタン酸バリウム粒子としては、その平均粒子径が100nm以下であることが好ましい。チタン酸バリウム粒子の分散性および充填性等の観点から、チタン酸バリウム粒子の平均粒子径は、好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下(例えば40nm以下)である。また、チタン酸バリウム粒子の平均粒子径の下限は特に限定されないが、概ね1nmにすることが適当である。チタン酸バリウム粒子の凝集抑制、取り扱い性等の観点から、チタン酸バリウム粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。例えば、充填性および凝集抑制をより高いレベルで両立させる観点から、平均粒子径が10nm以上100nm以下のチタン酸バリウム粒子が好ましく、20nm以上40nm以下のものが特に好ましい。
導体形成用ペーストにおけるチタン酸バリウム粒子の含有量は、ニッケル粒子100質量部に対して10質量部以下である。品質安定性(例えば誘電体層への悪影響(誘電体層の組成ズレ)を抑制する)等の観点から、チタン酸バリウム粒子の含有量は、ニッケル粒子100質量部に対して9質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。また、チタン酸バリウム粒子の含有量の下限は、0(ゼロ)より大きければ特に限定されないが、ニッケル粒子100質量部に対して、概ね0.5質量部以上にすることが適当であり、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、特に好ましくは3質量部以上である。例えば、チタン酸バリウム粒子の含有量は、該チタン酸バリウム粒子の添加効果(焼成収縮を抑制する効果)をより良く発揮させる等の観点からは、ニッケル粒子100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは9質量部以上である。例えば、チタン酸バリウム粒子の含有量がニッケル粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下(より好ましくは2.5質量部以上9質量部以下、例えば2.5質量部以上5質量部以下)である導体形成用ペーストが、品質安定性と焼成収縮抑制効果とを高レベルで両立させる観点から好適である。
(分散媒体)
導体形成用ペーストに用いられる分散媒体は、上記ニッケル粒子およびチタン酸バリウム粒子を分散させることができるものであればよく、特に制限されない。分散媒体としては、従来の導体形成用ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチルセルロース等のセルロース系高分子、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ブチルカルビトール、ターピネオール等の高沸点有機溶媒またはこれらの二種以上の組み合わせを構成成分として含む有機ビヒクルを用いることができる。特に限定するものではないが、有機ビヒクルの含有率は、ペースト全体の概ね10〜60質量%となる量が適当である。
ここに開示される有機ビヒクルは、有機バインダをさらに含んでいてもよい。有機バインダとしては、焼成時の脱バインダ処理(典型的には酸化雰囲気中で250〜500℃の加熱処理)において蒸発除去(脱脂)し得るものであればよく、従来と同様の用途の導体形成用ペーストに含有されていた樹脂であれば特に制限無く用いることができる。かかる観点から好適な有機バインダとして、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダが挙げられる。
(その他の成分)
ここに開示される導体形成用ペーストには、従来の導体形成用ペーストと同様の種々の有機添加剤を必要に応じて含ませることができる。かかる有機添加剤の例としては、各種の有機バインダ(上記ビヒクルと重複してもよく、別途異なるバインダを添加してもよい。)や、セラミック基材との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネート系およびアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙げられる。上記有機バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとするものが挙げられる。本発明の導体形成用ペーストに良好な粘性および塗膜(基材に対する付着膜)形成能を付与し得るものが好適である。また、導体形成用ペーストに光硬化性(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合物および光重合開始剤を適宜添加してもよい。
ここに開示される導体形成用ペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、重合開始剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等の、導体形成用ペースト(例えば内部電極層形成用ペースト)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
<導体形成用ペーストの調製>
ここに開示される導体形成用ペーストの製造方法は特に限定されない。例えば、ボールミルや三本ロールミルその他の周知の混合装置を用いて、導体形成用ペーストに含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
<用途>
ここに開示される導体形成用ペーストは、導体膜の連続性を高度に向上させ得ることから、良好な連続性が要求される導体膜、例えば、積層セラミック電子部品における内部電極層の形成に好ましく適用され得る。例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極層を形成する用途に特に好適である。上記積層セラミックコンデンサ200は、図1に示すように、ニッケル粒子およびチタン酸バリウム粒子を含む導体膜(導体形成用ペーストの焼成体からなる内部電極層)220とセラミック層(誘電体層)210とを交互に積層して形成されたものであり得る。かかる積層セラミックコンデンサ200の内部電極層形成用のペーストとして好適である。かかる用途では、チタン酸バリウムの使用量を減らすことでチタン酸バリウム粒子が誘電体層に悪影響(例えば組成変動)を与えることを抑制し得るため、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
<積層セラミックコンデンサの構築>
ここに開示される導体形成用ペーストは、例えば以下の工程を含む態様で、積層セラミックコンデンサ200の構築に使用することができる。
すなわち、ここに開示される導体形成用ペーストを用意する。その導体形成用ペーストを、スクリーン印刷法やディスペンサー塗布法等によって所望する形状・厚みとなるようにして、誘電体材料(例えばチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム等のセラミック材料)からなるグリーンシート(焼成後に誘電体膜となる未焼成の誘電体シート)に塗布する。このように未焼成の導体膜が形成されたグリーンシートを複数枚作製し、これらを積層、圧着する。このようにして未焼成の導体膜と誘電体膜とが積層された未焼成の積層チップを得る。
次いで、該積層チップを乾燥し、その後、加熱器中で適当な加熱条件(最高焼成温度が概ね800〜1400℃、好ましくは1000〜1400℃、特に好ましくは1200〜1300℃)で所定時間(最高焼成温度で維持する時間としては、例えば10分〜2時間程度)加熱することにより、上記チップを焼成(焼き付け)・硬化させる。好ましい一態様では、所定の高速焼成条件(すなわち、常温(典型的には室温)から最高焼成温度まで600〜20000℃/時間(例えば1000〜15000℃/時間)の速度で昇温する過程を含む焼成条件)で焼成する。この一連の処理を行うことによって、目的とする導体膜(内部電極層)220と誘電体膜210とが積層されたコンデンサ等の電子部品の本体250が得られる。
最後に、この電子部品本体250の所定箇所に外部電極形成用のペースト(上記導体形成用ペーストと同じものでもよい)を塗布して焼成することにより外部電極230を形成する。このようにして、積層セラミック電子部品を構築することができる。なお、かかる構築方法自体は、特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
なお、用途限定を意図するものではないが、前述のとおり、ここに開示される導体形成用ペーストを用いることにより、従来の導体形成用ペーストに比べて、ニッケル粒子が微粒子化した場合でも、焼成時の熱収縮が抑制されて耐熱性が向上し、より一層の薄層化が実現された緻密な導体膜を好ましく形成することができる。このため、本発明の導体形成用ペーストによると、10μm以下(例えば0.3μm〜3μm)の膜厚を有する導体薄膜をも好適に形成することができる。
<積層セラミックコンデンサの製造方法>
ここに開示される技術には、上記導体形成用ペーストを用いた内部電極層の形成工程を含む積層セラミックコンデンサの製造方法および該方法により製造された積層セラミックコンデンサの提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、上記導体形成用ペーストを用いて内部電極層を形成することを含む、積層セラミックコンデンサの製造方法および該方法により製造された積層セラミックコンデンサが提供される。上記製造方法によると、連続性のよい内部電極層を有する高性能(例えば大容量)の積層セラミックコンデンサが提供され得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<導体形成用ペーストの調製>
ニッケル粒子表面における酸化ニッケル(NiO)、水酸化ニッケル(Ni(OH))および金属ニッケル(Ni)のモル分率が異なる複数種類のニッケル粉末を用意した。これらのニッケル粉末(平均粒子径約180nm)と、チタン酸バリウム粉末(平均粒子径約30nm)とを秤量し、攪拌・混合することによって導体形成用粉末材料を調製した。次に、この導体形成用粉末材料を用いてNiペーストを調製した。すなわち、最終的なペーストの組成(質量比)が導体形成用粉末材料57.5質量%および残部がビヒクル(溶剤40.5質量%、バインダ成分2質量%)となるように各材料を秤量し、三本ロールミルを用いて混練した。ここでは、Ni粉末100質量部に対するチタン酸バリウム粉末の使用量を表1に示すとおり0〜15質量部の間で異ならせてNiペーストを調製した。このようにして各例に係るNiペーストを調製した。
各例に係るNiペーストについて、使用したニッケル粒子表面におけるNiOのモル分率A、Ni(OH)のモル分率B、Niのモル分率C、NiOおよびNi(OH)のモル分率比(B/A)、チタン酸バリウム添加量を表1に纏めて示す。なお、各例のニッケル粒子表面におけるNiOのモル分率A、Ni(OH)のモル分率B、Niのモル分率Cは、XPSに基づく前述の方法に準じて求めたものである。
<導体膜の形成>
各例に係るNiペーストを用いて導体膜を作製した。すなわち、BaTiOを主体とするセラミックグリーンシート上にNiペーストを、Ni粉末の質量を基準とした塗布量が0.5mg/cmとなるように塗布し、乾燥した。このように未焼成の導体膜が形成されたグリーンシートを複数枚作製し、これらを積層、圧着した。その後、1%の水素ガスと99%の窒素を含んだ混合ガス(還元)雰囲気中で焼成処理(昇温速度200℃/時間、降温速度200℃/時間、最高焼成温度1250℃で10分間維持)を実施した。このようにして、導体膜とセラミック基材(焼成後のセラミック基材)とが交互に形成された焼成積層体シートを得た。
得られた焼成積層体シートの断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により倍率5000倍で観察して得られた画像を解析し、当該断面においてセラミックグリーンシートに導体形成用ペーストを付与した部分の長さ(L1)と、上記焼成物において導体膜が誘電体膜(焼成後のセラミック基材)を覆っている部分の長さ(L2)とから被覆率(=[L2/L1]×100)を算出した。この被覆率は、導体膜の連続性(ひいては焼成収縮抑制効果)の指標として把握され得る。すなわち、被覆率が高いほど導体膜の連続性が良好であり、焼成収縮抑制効果がより大きいと云える。結果を表1および図2に示す。図2は、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)と被覆率(導体膜連続性)との関係を示すグラフである。また、例2〜例4について、チタン酸バリウム添加量が5質量部のときの焼成積層体シートの断面SEM像を図3〜図5に示す。
表1および図2に示すように、チタン酸バリウム添加量が10質量部以下の場合、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)が0(ゼロ)から増加すると、被覆率(導体膜の連続性)はいったん増大傾向を示し、そして中間で極大値をとった後、再び減少傾向に転じた。すなわち、上記モル分率比(B/A)が大きすぎても小さすぎても、被覆率は低下傾向を示すことが確認された。また、チタン酸バリウム添加量が同じ場合、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルのモル分率比(B/A)が0.2≦(B/A)<1の領域において、より良好な被覆率を実現できた(例3〜例5)。一方、チタン酸バリウム添加量が15質量部以上の場合、上述した傾向は認められず、上記モル分率比(B/A)が増えるほど被覆率は増加傾向を示した。このことから、上記モル分率比(B/A)をここに開示される好ましい範囲に規定することによる被覆率(導体膜の連続性)の向上については、チタン酸バリウム添加量が10質量部以下の場合に特に有効に発揮されることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
200 積層セラミックコンデンサ
210 誘電体膜
230 外部電極
250 電子部品本体

Claims (7)

  1. 導体膜の形成に用いられる導体形成用ペーストであって、
    ニッケル粒子と、チタン酸バリウム粒子と、分散媒体とを含み、
    前記チタン酸バリウム粒子の含有量が、前記ニッケル粒子100質量部に対して10質量部以下であり、
    X線光電子分光(XPS)による前記ニッケル粒子表面の解析において、酸化ニッケルのモル分率Aに対する水酸化ニッケルのモル分率Bの比(B/A)が、0.2≦(B/A)<1である、導体形成用ペースト。
  2. 前記比(B/A)が、0.3≦(B/A)≦0.7である、請求項1に記載の導体形成用ペースト。
  3. 前記酸化ニッケルのモル分率Aが、前記水酸化ニッケルのモル分率Bよりも、12モル%以上大きい、請求項1または2に記載の導体形成用ペースト。
  4. 前記酸化ニッケルのモル分率Aから前記水酸化ニッケルのモル分率Bを減じた値(A−B)が、30モル%以下である、請求項1〜3の何れか一つに記載の導体形成用ペースト。
  5. 前記ニッケル粒子の平均粒子径が10nm〜500nmである、請求項1〜4の何れか一つに記載の導体形成用ペースト。
  6. 積層セラミック電子部品における内部電極層を形成するために用いられる、請求項1〜5の何れか一つに記載の導体形成用ペースト。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の導体形成用ペーストの焼成体からなる内部電極層を備える、積層セラミックコンデンサ。
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