JP2017193773A - 希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気特性に優れ、しかも、高電気抵抗の希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法を提供すること。
【解決手段】本実施の形態に係る希土類永久磁石は、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末との混合粉末を無機結合材の軟化点近傍の焼結温度で放電プラズマ焼結してなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法に関する。
近年、優れた磁気特性を有する希土類永久磁石が、モータなどの回転機器、一般家電製品、音響機器、医療機器及び一般産業機器など幅広い分野で応用されており、特に自動車用を代表とする車載用分野のモータでの使用が増大している。従来のモータ用磁石としては、希土類磁石材料の磁石粉末と、磁石粉末を結合させるバインダとしての樹脂とを混合して成形した成形の自由度が高い希土類ボンド磁石が用いられている。しかしながら、希土類ボンド磁石は、有機材料である樹脂をバインダとして含有するので、エンジンルームなどの高温環境下となる車載用分野では使用が困難となる場合がある。
磁石粉末同士を結合するバインダとしての樹脂を使用することなく、希土類−鉄系合金の急冷磁石粉末と無機バインダとを直流電圧の印加により結合するフル密度複合磁石の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)により磁石粉末同士を結合する希土類鉄系永久磁石の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この希土類鉄系永久磁石の製造方法では、水素吸蔵処理及び放出処理による水素化−不均化−脱水素−再結合(HDDR(Hydrogenation Decomposition Desorption Recombination)法)を施して得られた磁石粉末と、必要に応じて添加される結合材としての亜鉛(Zn)などの金属、並びに、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化鉛(PbO)などを含む低融点ガラスと減圧下で所定の圧力で圧縮した後、電極に所定の直流電圧を印加して加熱して放電プラズマ焼結することにより、バインダとしての樹脂を用いることなく磁石粉末同士を結合する。
特開平5−121220号公報 特開平11−87163号公報
ところで、Nd−Fe−B系磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石(Rは、希土類元素を表す。)などの希土類永久磁石は、電気抵抗が低く、モータに組み込んで使用した場合に渦電流損失が大きくなってモータの効率が低下する場合がある。このため、特許文献1に記載のフル密度複合磁石の製造方法では、電気抵抗を高めるために、絶縁成分であるホウケイ酸ガラス及びアルミノホウケイ酸ガラス、並びに、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化鉛(PbO)、酸化バリウム(BaO)及び酸化カルシウム(CaO)などの酸化物を含む無機ガラスが無機バインダとして用いられている。
しかしながら、従来の希土類永久磁石の製造方法では、R−Fe−B系の超急冷磁石粉末に低融点ガラスを添加して放電プラズマ焼結した場合であっても、必ずしも十分な磁気特性を有する希土類鉄系永久磁石が得られない実情がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、磁気特性が高く、しかも、高電気抵抗の希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る希土類永久磁石は、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、前記異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末との混合粉末を前記無機結合材の軟化点近傍の焼結温度で放電プラズマ焼結してなる。
本発明の一態様によれば、磁気特性に優れ、しかも、高電気抵抗の希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法を実現することができる。
図1は、実施の形態に係る希土類永久磁石の製造方法の概略を示すフロー図である。 図2は、希土類永久磁石の磁気特性の説明図である。 図3は、実施の形態に係る希土類永久磁石の磁気特性の説明図である。 図4は、実施例及び比較例に係る希土類永久磁石の焼結温度と磁気特性との関係を示す図である。 図5は、実施例4の希土類永久磁石及び参考例1の希土類永久磁石の減磁曲線を示す。 図6は、焼結温度及び保磁力残存率の相関図である。
以下、実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
(希土類永久磁石)
本実施の形態に係る希土類永久磁石は、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末との混合粉末を無機結合材の軟化点近傍の焼結温度で放電プラズマ焼結してなるものである。
本実施の形態に係る希土類永久磁石により磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石が得られる理由については定かではないが、以下のように考えられる。本実施の形態に係る希土類永久磁石においては、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、この異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末とを用いるので、放電プラズマ焼結時における異方性磁石粉末と無機結合材との間の反応を防ぐことができる。これにより、無機結合材が異方性磁石粉末の粒界に介在した状態を維持できるので、希土類鉄系永久磁石の電気抵抗が向上する。この結果、希土類永久磁石の高い相対密度を損なうことなく高い磁気特性が得られ、しかも、高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することが可能となると考えられる。
希土類永久磁石は、相対密度が93%以上100%以下であることが好ましい。この構成により、希土類永久磁石は、十分に密度が高くなるので、高密度及び高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することが可能となる。希土類永久磁石の相対密度は、95%以上100%以下がより好ましく、97%以上100%以下が更に好ましい。
また、希土類永久磁石は、電気抵抗率が1×10−6Ω・m以上であることが好ましい。この構成により、希土類永久磁石は、十分に電気抵抗が高くなるので、高密度及び高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することが可能となる。
(希土類鉄系磁石)
異方性磁石粉末の希土類鉄系磁石としては、従来公知の各種希土類鉄系磁石の粉末を用いることができる。希土類鉄系磁石としては、例えば、主にネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)及びジスプロシウム(Dy)を含む希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせた組成を有するものを用いることができる。このような希土類鉄系磁石は、必要に応じて、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)などの他の元素を更に含む組成を有していてもよい。また、鉄(Fe)の一部を、例えばCo,Ni,Ga,Cu,Al,Si,Ti,Mn及びNbから選択される少なくとも1種の元素で置換してもよい。希土類鉄系磁石は、例えば、Feの一部をCoで置換することで、耐熱性を改善できえる。また、希土類鉄系磁石は、Feの一部を上記元素で置換する場合、置換量が過剰になることによる磁気特性の低下を防ぐ観点から、Feに対する置換量は50原子%未満が好ましく、35原子%以下がより好ましい。希土類鉄系磁石は、例えば、Feの一部をCoで置換する場合、Sm−Fe系合金におけるCoの含有量は6質量%以下とすることが好ましい。
これらの中でも、希土類鉄系磁石としては、希土類元素(「R」で表す)としてNd、Pr及びDyのうちの少なくとも1種を含み、Bを必須元素として1原子%以上12原子%以下含み、且つ残部がFeであるR−Fe−B系の組成を有するものが好ましい。このような希土類鉄系磁石としては、例えば、Nd−Fe−B系化合物(例、NdFe14B)を主相とするNd−Fe−B系合金を用いたNd−Fe−B系磁石(Nd系磁石)が代表的である。また、Nd系磁石以外では、Sm−Fe系化合物(例、SmFe17)を主相とするSm−Fe系合金を原料とし、これを窒化したSm−Fe−N系化合物(例、SmFe17)を主相とするSm−Fe−N系合金を用いたSm−Fe−N系磁石(Sm系鉄窒素磁石)などを用いてもよい。これらの中でも、希土類鉄系磁石としては、希土類元素としてNdを含むNd−Fe−B系合金を主成分とする異方性のNd系磁石が好ましい。
また、希土類鉄系磁石としては、希土類永久磁石中の希土類鉄系磁石の充填率を向上して電気抵抗及び相対密度が高い希土類永久磁石を得る観点から、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
RE(Fe1−uCo100−x−y−z ・・・ 式(1)
(上記式(1)中、REはイットリウム(Y)を包含する希土類元素からなる群から選択された少なくとも1種であり、Feは鉄、Coはコバルト、Bはホウ素であり、Tは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びタングステン(W)からなる群から選択された少なくとも1種である。また、x,y,zは、0<x,y,z<100かつ0<x+y+z<100を満たす値であり、uは、0≦u≦1を満たす値である。)
上記一般式(1)におけるREとしては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)などが挙げられる。これらの中でも、高電気抵抗及び高密度の希土類永久磁石が得られる観点から、ネオジム(Nd)が好ましい。
上記一般式(1)において、鉄(Fe)及びコバルト(Co)は、ともに強磁性元素であり、希土類永久磁石の組成としてはほぼ同様の役割を担う。典型的な組成としては、鉄であるが、鉄をコバルトで置換することで、キュリー温度が上昇し、製品としての希土類永久磁石における温度特性が上昇する。またBは、ホウ素(B)である。x,y,zは、組成比を百分率で表した数値であり、0<x,y,z<100かつ0<x+y+z<100を満たす値である。uは、0≦u≦1を満たす値である。また、uは、0≦u<1を満たす値であることが好ましく、0≦u<0.5を満たす値であることがより好ましい。
Tは、添加元素であり、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群から選択された少なくとも1種を用いる。これら添加元素は、高融点元素であり、結晶粒成長の抑制に寄与する。添加元素としては、これらの中でも、高電気抵抗及び高密度の希土類永久磁石が得られる観点から、タングステン(W)を用いることが好ましい。
上記一般式(1)で表される希土類鉄系磁石は、Nd−Fe−B系の焼結磁石に対して元素の置換又は元素の添加を行ったものである。なお、希土類永久磁石の原料には不可避の不純物(ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)など)が含まれており、上記組成式において、これら不可避の不純物はTに含まれる。
上記一般式(1)で表される希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末としては、例えば、Nd系磁石合金の異方性磁石粉末などを用いることができる。これらの中でも、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末としては、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、Nd系磁石合金の異方性磁石粉末を用いることが好ましい。
上記一般式(1)で表される希土類鉄系磁石としては、例えば、Nd系磁石合金の異方性磁石粉末(商品名:「マグファインMF18P」、愛知製鋼社製、又は商品名:「MQA」、マグネクエンチ社製)などの市販品を用いることもできる。
異方性磁石粉末としては、異方性磁石粉末の粒成長を増大して磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、緻密化温度が400℃以上900℃以下のものが好ましく、500℃以上800℃以下のものがより好ましく、600℃以上700℃以下のものが更に好ましい。なお、緻密化温度とは、異方性磁石粉末内の低融点組成が液相へ状態変化する温度である。
本実施の形態においては、磁石粉末としては、異方性磁石粉末を用いる。この異方性磁石粉末を用いることにより、上述したように、無機結合材の結合材粉末と異方性磁石粉末との間の反応を防ぐことができるので、異方性磁石粉末の結晶粒界間に無機結合材が介在して磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することができる。
異方性磁石粉末の平均粒径については、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、1μm以上106μm以下が好ましい。異方性磁石粉末の平均粒径は、1μm以上であれば、異方性磁石粉末の比表面積の増大による異方性磁石粉末の酸化劣化を防ぐことができ、106μm以下であれば、異方性磁石粉末の結晶粒子の粗大化を防いで磁気特性が向上する。異方性磁石粉末の平均粒径としては、上述した作用効果がより一層向上する観点から、2.5μm以上90μm以下がより好ましく、5μm以上75μm以下が更に好ましい。なお、上記平均粒径は、日本工業規格JIS Z8815のふるい分け法に準拠して測定したものである。また、2.5μm以下の細かい平均粒径の測定は、レーザー回折式粒度測定分布法により測定することができる。
希土類永久磁石の混合粉末における磁石粉末の配合量としては、磁石粉末と低融点ガラス粉末との混合粉末の全体積に対して、磁石粉末が40体積%以上99体積%以下であることが好ましい。磁石粉末の配合量が40体積%以上であれば、希土類永久磁石の相対密度及び磁気特性が向上する。また、磁石粉末の配合量が99体積%以下であれば、相対密度が十分に向上して電気抵抗が向上する。磁石粉末の配合量としては、45体積%以上95体積%以下がより好ましく、50体積%以上80体積%以下がより更に好ましい。
希土類永久磁石の混合粉末における磁石粉末の配合量としては、磁石粉末と低融点ガラス粉末との混合粉末の全質量に対して、磁石粉末が40.4質量%以上99質量%以下であることが好ましい。磁石粉末の配合量が40.4質量%以上であれば、希土類永久磁石の相対密度及び磁気特性が向上する。また、磁石粉末の配合量が99質量%以下であれば、相対密度が十分に向上して電気抵抗が向上する。磁石粉末の配合量としては、45.4質量%以上95.1質量%以下がより好ましく、50.4質量%以上80.3質量%以下が更に好ましい。
(無機結合材)
無機結合材としては、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩、リン酸塩、シリカゾル、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)及び鉛(Pb)などの金属、低融点ガラスなどを用いることができる。これらの中でも、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、低融点ガラスが好ましい。
(低融点ガラス)
本実施の形態において、低融点ガラスとは、600℃以下の温度範囲において、軟化、変形及び流動するガラスである。低融点ガラスのガラス粉末としては、従来公知の各種低融点ガラスを用いることが可能である。低融点ガラスとしては、例えば、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物及びフッ化物(例えばBaF2、KF、AlF3)などが挙げられる。これらの低融点ガラスは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。低融点ガラスとしては、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物及びフッ化物からなる群から選択された少なくとも1種が好ましく、環境負荷への影響を低減する観点から、酸化鉛を除いた酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物及びフッ化物からなる群から選択された少なくとも1種がより好ましく、更に電気抵抗率が高い観点から、酸化ビスマスを含有するもの(例えばBi及びBを含有する低融点ガラス)が更に好ましい。
低融点ガラスとしては、例えば、主要組成がBi・Bの低融点ガラスのガラス粉末の市販品(商品名:「BG−0700」 日本電気硝子社製)を用いてもよい。
低融点ガラス粉末の融点(軟化点)としては、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を得る観点から、100℃以上600℃以下が好ましく、200℃以上550℃以下がより好ましく、350℃以上450℃以下が更に好ましい。
低融点ガラス粉末の平均粒径については、高電気抵抗及び高密度の希土類永久磁石を得る観点から、0.1μm以上100μm以下が好ましく、0.1μm以上50μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下が更に好ましい。なお、上記平均粒径は、日本工業規格JIS Z8815のふるい分け法に準拠して測定したものである。
希土類永久磁石の混合粉末における低融点ガラス粉末の配合量としては、磁石粉末と低融点ガラス粉末との混合粉末の全体積に対して、低融点ガラス粉末が1体積%以上60体積%以下であることが好ましい。低融点ガラス粉末の配合量が1体積%以上であれば、希土類永久磁石の相対密度及び電気抵抗が向上する。また、低融点ガラス粉末の配合量が60体積%以下であれば、十分に磁石粉末が配合されて磁気特性が向上する。低融点ガラス粉末の配合量としては、5体積%以上55体積%以下がより好ましく、20体積%以上50体積%以下が更に好ましく、更に高い相対密度が得られる観点から、30体積%以上50体積%以下がより更に好ましく、射出成型で作成した希土類永久磁石と同等の相対密度を得る観点から、40体積%以上50体積%以下が特に好ましい。
希土類永久磁石の混合粉末における低融点ガラス粉末の配合量としては、磁石粉末と低融点ガラス粉末との混合粉末の全質量に対して、低融点ガラス粉末が1質量%以上59.6質量%以下であることが好ましい。低融点ガラス粉末の配合量が1質量%以上であれば、希土類永久磁石の相対密度及び磁気特性が向上する。また、低融点ガラス粉末の配合量が59.6質量%以下であれば、相対密度が十分に向上して電気抵抗が向上する。低融点ガラス粉末の配合量としては、4.9質量%以上54.6質量%以下がより好ましく、19.7質量%以上49.6質量%以下が更に好ましい。なお、結合材粉末として、低融点ガラス以外の無機結合材を使用する場合の好ましい配合量は、低融点ガラスを使用する場合と同様である。
次に、上記実施の形態に係る希土類永久磁石の製造方法について詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る希土類永久磁石の製造方法の概略を示すフロー図である。図1に示すように、本実施の形態に係る希土類永久磁石の製造方法は、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、この異方性磁石粉末を結合する無機結合材の結合材粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程ST11と、混合粉末を放電プラズマ焼結して希土類永久磁石を得る焼結工程ST12とを含む。焼結工程ST12後には、後処理工程を実施する。なお、本実施の形態に係る希土類永久磁石の製造方法は、図1に示される希土類永久磁石の製造方法の手順に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。例えば、図1に示される混合工程ST11の前、混合工程ST11と焼結工程ST12との間及び焼結工程ST12の後への新たな工程を追加して実施してもよく、複数工程の一体化及び各工程のうち一部の工程を他の工程の一部として実施してもよい。
まず、混合工程ST11では、まず、上述した希土類鉄系磁石の磁石原料を配合して溶解した後、HDDR(Hydrogenation Decomposition Desorption Recombination)法により異方性磁石粉末を得る。このHDDR法では、希土類鉄系磁石の磁石粉末への水素の吸収及び放出反応によって結晶粒を微細化させた後、微粉砕することにより、単磁区粒子の磁性粉末が得られる。HDDR法では、希土類鉄系磁石の磁石粉末(例えば、NdFe14B化合物)を700℃以上900℃以下の水素中で熱処理(Hydrogenation)し、NdH、FeB、及びFeの3層に分解する不均化反応(Decomposition)が行われる。この不均化反応の温度領域で減圧により熱処理雰囲気を水素から真空に強制的に切り替えて脱水素することにより、NdHから水素が放出(Desorption)されると共に、再結合反応(Recombination)が生じてサブミクロンオーダーのNdFe14B化合物層が形成して異方性磁石粉末が得られる。
また、混合工程ST11では、例えば上記HDDR法で得られた異方性磁石粉末及び結合材粉末を混合することにより、混合粉末を得る。ここでは、必要に応じて、平均粒径が所定範囲となるように、選別して粉化した異方性磁石粉末及び結合材粉末を分級処理した後、異方性磁石粉末と結合材粉末とを混合してよい。
次に、焼結工程ST12では、異方性磁石粉末と結合材粉末との混合粉末を放電プラズマ焼結装置のキャビティに充填する。次に、充填した混合粉末を減圧下(例えば、10Pa以上10Pa以下)で所定の圧力(例えば、1MPa以上70MPa以下)で圧縮した後、所定の電流密度(例えば、100A/cm以上1000A/cm以下、具体的には300A/cm)に設定し、結合材粉末の軟化点近傍の焼結温度(例えば、400℃以上440℃以下)に加熱して所定時間(例えば、30秒以上30分以下)放電プラズマ焼結を実施する。これにより、希土類永久磁石の製造方法は、結合材粉末と異方性磁石粉末との反応を防ぎつつ、結合材粉末が磁石粉末の中に取り込まれた状態で異方性磁石粉末同士が結合する。
焼結工程ST12における放電プラズマ焼結の焼結温度は、用いる無機結合材の軟化点近傍の温度である。放電プラズマ焼結の焼結温度としては、用いる無機結合材の軟化点近傍の温度とすることにより、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することができる。また、放電プラズマ焼結の焼結温度としては、無機結合材の結合材粉末の軟化点に対して、±50℃の範囲の軟化点近傍の温度が好ましい。焼結温度が結合材粉末の軟化点の−50℃以上であれば、放電プラズマ焼結時の結合材粉末の溶融が良好となるので、相対密度に優れた希土類永久磁石を得ることができる。また、焼結温度が結合材粉末の軟化点に対して、+50℃以下であれば、放電プラズマ焼結時の結合材粉末の過剰な流動を防ぐことができるので、磁気特性に優れた希土類永久磁石を得ることが可能となる。放電プラズマ焼結の焼結温度としては、上述した効果がより一層向上する観点から、軟化点に対して、±40℃の範囲がより好ましく、±30℃が更に好ましく、±20℃がより更に好ましい。また、軟化点に対して、−10℃から+30℃までの範囲も好ましい。
後処理工程では、焼結後の焼結体の磁気特性を振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)やBHトレーサーなどにより検出する。VSMは、試料を振動させ、試料の磁化によって生じる磁束の時間変化を傍らに置いたコイルに生じる誘導起電力として検出するものである。また、BHトレーサーは、試料にコイルを巻いて、外部磁界を付与した時に生じるコイルの誘導起電力を測定することで試料のBH曲線を得るものである。次に、焼結後の焼結体を切削加工ないし研磨加工し、焼結体の寸法を製品寸法に仕上げた後、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)などのめっき処理、アルミ(Al)蒸着、及び樹脂塗装などの表面処理を実施する。次に、異方性磁石粉末の焼結体に着磁を行い、希土類永久磁石を得る。
混合工程ST11では、上述したHDDR法によって得られる異方性磁石粉末の代わりに、熱間加工法によって得られる異方性磁石(MQ3)を粉砕した異方性磁石粉末を用いてもよい。異方性磁石(MQ3)の製造では、まず、NdFeB合金の超急冷薄帯をホットプレスによって圧密化して等方性磁石(MQ2)を製造し、次に、この等方性磁石(MQ2)を熱間塑性変形させる。これにより、NdFeB結晶のc軸が圧縮方向に配向し、異方性磁石(MQ3)が得られる。混合工程ST11では、異方性磁石粉末として、上記異方性磁石(MQ3)を粉砕した異方性磁石粉末を用いてもよい。
また、焼結工程ST12は、通常磁場中で行う。具体的には、まず、異方性磁石粉末と結合材粉末との混合粉末を放電プラズマ焼結装置のキャビティに充填する。次に、キャビティに充填した混合粉末を磁場中(例えば、100mT以上2000mT以下)、減圧下(例えば、10-3Pa以上10Pa以下)で所定の圧力(例えば、1MPa以上70MPa以下)で圧縮する。次いで、圧縮された混合粉末について、上記磁場中で、所定の電流密度(例えば、100A/cm以上1000A/cm以下、具体的には300A/cm)に設定し、室温から、結合材粉末の軟化点近傍の焼結温度(例えば、400℃以上440℃以下)に加熱して所定時間(例えば、30秒以上30分以下)放電プラズマ焼結を実施する。これにより、磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石が得られる。なお、混合粉末の圧縮は、開始から終了まで磁場中で行うことが好ましいが、開始から終了までの一部を磁場中で行ってもよい。また、放電プラズマ焼結は、室温からの昇温開始時から焼結終了まで磁場中で行うことが好ましいが、室温からの昇温開始時から焼結終了までの一部を磁場中で行ってもよい。さらに、焼結後、室温への冷却の少なくとも一部を磁場中で行ってもよい。
次に、図2及び図3を参照して上記実施の形態に係る希土類永久磁石の磁気特性について説明する。図2は、希土類永久磁石の磁気特性の説明図である。なお、図2においては、横軸に磁場Bを示し、縦軸に磁化Jを示した減磁曲線を示している。また、図2においては、希土類鉄系磁石の等方性磁石粉末100体積%からなる希土類永久磁石の減磁曲線を点線L1に示し、希土類鉄系磁石の等方性磁石粉末90体積%及び低融点ガラスのガラス粉末10体積%からなる希土類永久磁石(具体的には後述する比較例2で得られた希土類永久磁石)の減磁曲線を実線L2に示し、希土類鉄系磁石の等方性磁石粉末90体積%及びフェライト10体積%からなる希土類永久磁石を一点鎖線L3に示している。
図2に示すように、希土類鉄系磁石の等方性磁石粉末のみからなる場合(点線L1参照)に対して、低融点ガラスのガラス粉末を希土類鉄系磁石の等方性磁石粉末に配合した場合(実線L2参照)には、フェライトを希土類永久磁石の等方性磁石粉末に配合した場合(一点鎖線L3参照)と同様に、希土類永久磁石の固有保磁力Hcjが大幅に低下することが分かる。この結果から、単に、低融点ガラスなどの無機結合材を超急冷磁石粉末の等方性磁石粉末に配合した場合には、高電気抵抗の希土類永久磁石が得られる一方、固有保磁力Hcjが大幅に低下して磁気特性が悪化することが分かる。なお、点線L1に示す等方性磁石粉末のみからなる希土類永久磁石の電気抵抗率は、3.6×10−6Ω・mであった。
図3は、上記実施の形態に係る希土類永久磁石の磁気特性の説明図である。なお、図3においては、図2と同様に、横軸に磁場Bを示し、縦軸に磁化Jを示した減磁曲線を示している。また、図3においては、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末100体積%からなる希土類永久磁石の減磁曲線を点線L4に示し、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末50体積%及び低融点ガラス50体積%からなる希土類永久磁石(具体的には後述する実施例1で得られた希土類永久磁石)の減磁曲線を実線L5に示している。なお、点線L4に示す異方性磁石粉末のみからなる希土類永久磁石の電気抵抗率は、2.1×10−6Ω・mであり、実線L5に示す異方性磁石粉末及びガラス粉末からなる希土類永久磁石の電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。
図3に示すように、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末を用いた場合には、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末のみからなる場合(点線L4参照)に対して、低融点ガラスのガラス粉末を希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末に配合した場合(実線L5参照)でも、希土類永久磁石の固有保磁力Hcjがほとんど低下しないことが分かる。この結果から、希土類永久磁石の異方性磁石粉末を用いて、低融点ガラスなどの無機結合材を配合することにより、高電気抵抗値かつ磁気特性に優れた希土類永久磁石が実現できることが分かる。
以上説明したように、上記実施の形態に係る希土類永久磁石によれば、希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、この異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末とを用いるので、放電プラズマ焼結時における異方性磁石粉末と無機結合材との間の反応を防ぐことができる。これにより、無機結合材が異方性磁石粉末間に介在した状態を維持できるので、希土類鉄系永久磁石の電気抵抗が向上する。この結果、希土類永久磁石の高い相対密度を損なうことなく高い磁気特性が得られ、しかも、高電気抵抗の希土類永久磁石を実現することが可能となると考えられる。
以下、上記実施の形態による効果を明確にするために行った実施例に基づいて上記実施の形態をより詳細に説明する。なお、上記実施の形態は、以下の実施例及び比較例によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)
希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末としては、ネオジム系の異方性磁石粉末(商品名:「マグファインMF18P」、愛知製鋼社製)を使用した。結合材粉末としては、主要組成がBi・Bの低融点ガラスのガラス粉末(商品名:「BG−0700」 日本電気硝子社製、ガラス転移点350℃、屈服点385℃、軟化点410℃)を使用した。異方性磁石粉末が50体積%となり、ガラス粉末が50体積%となるようにして混合して混合粉末とし、混合した混合粉末を放電プラズマ焼結装置のキャビティに充填した。次に、キャビティに充填した混合粉末を減圧下、圧力30MPaで圧縮した後、電流密度300A/cmに設定し、焼結温度410℃まで加熱して放電プラズマ焼結を行って希土類永久磁石を得た。混合粉末の圧縮および放電プラズマ焼結は、すべて磁場中(270mT)で行った。得られた希土類永久磁石の相対密度は98%であり、残留磁化は、0.50Tであり、電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。保磁力は、1050kA/mであった。結果を下記表1に示す。
(実施例2)
放電プラズマ焼結の焼結温度を400℃としたこと以外は実施例1と同様にして評価した。得られた希土類永久磁石の相対密度は93%以上97%以下であり、残留磁化は、0.50Tであり、電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。保磁力は、1090kA/mであった。結果を下記表1及び図4に示す。
(実施例3)
放電プラズマ焼結の焼結温度を440℃としたこと以外は実施例1と同様にして評価した。得られた希土類永久磁石の相対密度は100%であり、残留磁化は、0.50Tであり、電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。保磁力は、810kA/mであった。結果を下記表1及び図4に示す。
(比較例1)
磁石粉末として、超急冷磁石粉末のNdFe14B等方性磁石粉末(商品名:「MQP−C」、マグネクウェンチ社製)を使用したこと、結合材粉末を用いなかったこと、磁場をかけなかったこと及び放電プラズマ焼結の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にして希土類永久磁石を作製した。得られた希土類永久磁石の相対密度は95%であり、残留磁化は、0.87Tであり、電気抵抗率は、4.1×10−6Ω・mであった。結果を下記表1に示す。
(比較例2)
磁石粉末として、超急冷磁石粉末のNdFe14B等方性磁石粉末(商品名:「MQP−C」、マグネクウェンチ社製)を使用したこと、磁石粉末を90体積%とし、ガラス粉末を10体積%として混合粉末を作製したこと、磁場をかけなかったこと及び放電プラズマ焼結の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にして希土類永久磁石を作製した。得られた希土類永久磁石の相対密度は98%であり、残留磁化は、0.60Tであり、電気抵抗率は8.7×10−5Ω・mであった。結果を下記表1に示す。
(比較例3)
放電プラズマ焼結の焼結温度を390℃としたこと以外は実施例1と同様にして評価した。得られた希土類永久磁石の相対密度は92%であり、残留磁化は、0.50Tであり、電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。結果を下記表1及び図4に示す。
(比較例4)
放電プラズマ焼結の焼結温度を450℃としたこと以外は実施例1と同様にして評価した。得られた希土類永久磁石の相対密度は100%であり、残留磁化は、0.50Tであり、電気抵抗率は、8.7×10−4Ω・mであった。結果を下記表1及び図4に示す。
なお、表1において、相対密度評価、磁気特性評価及び電気抵抗率評価は、以下の基準で行った。
相対密度評価:相対密度が98%以上の場合を◎とし、93%以上98%未満の場合を○とし、93%未満の場合を×とした。
磁気特性評価:保磁力が1000kA/m以上の場合を◎とし、800kA/m以上(1000kA/m未満の場合を○とし、800kA/m未満の場合を×とした。
電気抵抗率評価:電気抵抗率が1.0×10-5Ω・m以上の場合を○とし、1.0×10-5Ω・m未満の場合を×とした。
Figure 2017193773
表1から分かるように、異方性磁石粉末及び無機結合材を含有する結合材粉末との混合粉末を放電プラズマ焼結した場合には、相対密度が高く、残留磁化が高い磁気特性に優れた高電気抵抗の希土類永久磁石が得られることが分かる(実施例1)。これに対して、等方性磁石粉末のみを用いた場合(比較例1)には、電気抵抗率が著しく低下することが分かる。この結果は、結合材粉末を用いなかったために、結合材粉末の量が少なく、等方性磁石粉末間に結合剤が十分に介在しなかったためと考えられる。また、結合材粉末を用いた場合であっても、等方性磁石粉末を用いた場合には、電気抵抗が著しく低下することが分かる(比較例2)。この結果は、異方性磁石粉末と比較して等方性磁石粉末は形状が帯状でアスペクト比が高いので、焼結後に等方性磁石粉末同士の接触点が多くなって導通しやすくなったためと考えられる。
また、表1及び図4から分かるように、焼結温度が400℃以上440℃以下の温度範囲で放電プラズマ焼結を行った場合には、磁気特性及び相対密度に優れた希土類永久磁石が得られることが分かる(実施例1−3参照)。これに対して、焼結温度が400℃未満の場合には、固有保磁力Hcjの低下は僅かで磁気特性に優れる一方、相対密度が大幅に低下して92%となった(比較例3参照)。この結果は、放電プラズマ焼結時の低融点ガラスの溶融が不十分となり、低融点ガラスの流動が不安定となったためと考えられる。また、焼結温度が440℃を超える場合には、相対密度に優れる一方、磁気特性が大幅に低下した(比較例4参照)。この結果は、焼結温度が高すぎるために、異方性磁石粉末と低融点ガラスとが反応したために磁気特性が低下したためと考えられる。なお、図4の磁気特性は、Nd−Fe−B系の異方性磁石粉末100%に対する固有保磁力Hcjの比を表している。
(実施例4)
希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末としては、ネオジム系の異方性磁石粉末(商品名:「MQA37−16」、マグネクエンチ社製)を使用した。結合材粉末としては、主要組成がBi・Bの低融点ガラスのガラス粉末(商品名:「BG−0700」、日本電気硝子社製、ガラス転移点350℃、屈服点385℃、軟化点410℃)を使用した。異方性磁石粉末が60体積%となり、ガラス粉末が40体積%となるようにして混合して混合粉末とし、混合した混合粉末を放電プラズマ焼結装置のキャビティに充填した。次に、キャビティに充填した混合粉末を磁場中(260mT)におき、減圧下、圧力30MPaで圧縮した。次いで、圧縮された混合粉末について、上記磁場中で、電流密度300A/cmに設定し、室温から50℃/minで昇温し、焼結温度410℃で放電プラズマ焼結を行って希土類永久磁石を得た。ここで、緻密化終了(変位率0)を焼結完了とした。また、室温まで希土類永久磁石を冷却する間も、磁場をかけ続けた。全焼結体の相対密度は97%であった。
(参考例1)
混合粉末の圧縮成形時及び放電プラズマ焼結時ともに磁場をかけなかったこと以外は実施例4と同様にして希土類永久磁石を得た。
(比較例5)
放電プラズマ焼結の焼結温度を550℃としたこと以外は実施例4と同様にして希土類永久磁石を得た。
(実施例5)
希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末として、ネオジム系の異方性磁石粉末(商品名:「マグファインMF18P」、愛知製鋼社製)を用いたこと以外は実施例4と同様にして希土類永久磁石を得た。全焼結体の相対密度は97%であった。
図5は、実施例4の希土類永久磁石(配向磁場有)及び参考例1の希土類永久磁石(配向磁場無)の減磁曲線を示す。実施例4の希土類永久磁石の減磁曲線(配向方向)は、参考例1の希土類永久磁石の場合と比較すると、大幅に磁化(J(T))が大きい。配向磁石があることにより異方性磁粉が磁場方向に配向したため磁化が増加したと考えられる。また配向磁石を設置したまま焼結させ冷却させているため、温間着磁効果が得られたと考えられる。また実施例4の希土類永久磁石の電気抵抗率の値は、実施例5の希土類永久磁石の場合と同様の値と見込まれる。
表2に、二種類の磁粉(「MQA37−16」(マグネクエンチ社製)及び「マグファインMF18P」(愛知製鋼社製、d−HDDR磁粉ともいう。))の保磁力値とともに、実施例4の希土類永久磁石(異方性磁石粉末(商品名:「MQA37−16」、マグネクエンチ社製)使用)及び実施例5の希土類永久磁石(異方性磁石粉末(商品名:「マグファインMF18P」、愛知製鋼社製)使用)の保磁力値を示す。表2から、MQA37−16の場合も、低融点ガラスバインダーを使用することによって、d−HDDR磁粉と同程度劣化した。
表2に、MQA37−16及び低融点ガラス(BG−0700)の焼結温度に対する保磁力及び密度の関係を示す(実施例4及び比較例5)。なお、保磁力残存率は、MQA37−16磁粉100Vol%の保磁力を100%としたときの値である。また図6には、焼結温度と保磁力残存率の相関図を示す。これらの結果から、焼結温度によって保磁力は変化し、相対密度は低融点ガラスの軟化点以上であれば95%以上の値となることが分かった。
Figure 2017193773
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。

Claims (12)

  1. 希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、前記異方性磁石粉末を結合する無機結合材を含む結合材粉末との混合粉末を前記無機結合材の軟化点近傍の焼結温度で放電プラズマ焼結してなる、希土類永久磁石。
  2. 前記混合粉末は、前記異方性磁石粉末の含有量が40体積%以上99体積%以下であり、結合材粉末の含有量が1体積%以上60体積%以下である、請求項1に記載の希土類永久磁石。
  3. 前記希土類鉄系磁石が、下記一般式(1)で表される、請求項1又は請求項2に記載の希土類永久磁石。
    RE(Fe1−uCo100−x−y−z ・・・ 式(1)
    (上記式(1)中、REはイットリウムを包含する希土類元素からなる群から選択された少なくとも1種であり、Feは鉄、Coはコバルト、Bはホウ素であり、Tは、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、及びタングステンからなる群から選択された少なくとも1種である。また、x,y,zは、0<x,y,z<100かつ0<x+y+z<100を満たす値であり、uは、0≦u≦1を満たす値である。)
  4. 前記無機結合材は、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物及びフッ化物からなる群から選択された少なくとも1種の低融点ガラスを含有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の希土類永久磁石。
  5. 前記異方性磁石粉末は、Nd系磁石合金の磁石粉末である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の希土類永久磁石。
  6. 電気抵抗率が1.0×10−6Ω・m以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の希土類永久磁石。
  7. 希土類鉄系磁石の異方性磁石粉末と、前記異方性磁石粉末を結合する無機結合材の結合材粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程と、
    前記混合粉末を前記無機結合材の軟化点近傍の焼結温度で放電プラズマ焼結して希土類永久磁石を得る焼結工程を含む、希土類永久磁石の製造方法。
  8. 前記混合粉末は、前記異方性磁石粉末の含有量が40体積%以上99体積%以下であり、ガラス粉末の含有量が1体積%以上60体積%以下である、請求項7に記載の希土類永久磁石の製造方法。
  9. 前記希土類鉄系磁石は、下記一般式(1)で表される、請求項7又は請求項8に記載の希土類永久磁石の製造方法。
    RE(Fe1−uCo100−x−y−z ・・・ 式(1)
    (上記式(1)中、REはイットリウムを包含する希土類元素からなる群から選択された少なくとも1種であり、Feは鉄、Coはコバルト、Bはホウ素であり、Tは、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、及びタングステンからなる群から選択された少なくとも1種である。また、x,y,zは、0<x,y,z<100かつ0<x+y+z<100を満たす値であり、uは、0≦u≦1を満たす値である。)
  10. 前記無機結合材は、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物及びフッ化物からなる群から選択された少なくとも1種の低融点ガラスを含有する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の希土類永久磁石の製造方法。
  11. 前記異方性磁石粉末は、Nd系磁石合金の磁石粉末である、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の希土類永久磁石の製造方法。
  12. 電気抵抗率が1.0×10−6Ω・m以上である、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の希土類永久磁石の製造方法。
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