JP2018186134A - Re−t−b系磁石粉末、等方性バルク磁石および等方性バルク磁石の製造方法 - Google Patents

Re−t−b系磁石粉末、等方性バルク磁石および等方性バルク磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】等方性バルク磁石を製造する際に、焼結温度を低くできるRE−T−B系磁石粉末を提供すること。【解決手段】本実施の形態に係るRE−T−B系磁石粉末は、RE−T−B系磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)の粉末であって、前記RE−T−B系磁石が、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む。前記REが、Ndを含む希土類元素を表すことが好ましく、前記RE−T−B系磁石が、さらに、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、BiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことがより好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、RE−T−B系磁石粉末、等方性バルク磁石および等方性バルク磁石の製造方法に関する。
従来、機器の小型化、高性能化に伴い、高磁気特性を有する希土類永久磁石が、モータ等の回転機器、一般家電製品、音響機器、医療機器及び一般産業機器等の幅広い分野で応用されており、特に自動車の車載用分野のモータでの使用が増大している。モータ用の希土類永久磁石として、希土類磁石粉末と樹脂とを混合して成形した磁石(いわゆる、希土類ボンド磁石)がある。しかしながら、希土類ボンド磁石は成形の自由度を有しているが、バインダーとして有機材料である樹脂を使用しているため、耐熱性が低く、高温環境下となるエンジンルーム内の箇所では、使用が困難となる場合がある。
有機材料である樹脂を用いずに放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)により磁石粉末同士を結合する希土類鉄系永久磁石の製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この希土類鉄系永久磁石の製造方法では、希土類元素が13〜15原子%、Coが0〜20原子%、Bが4〜11原子%、残部がFeおよび不可避不純物からなる超急冷希土類鉄系薄片の集合体を用いている。この集合体について、所定の減圧下で、所定の圧力で圧縮し、電極に所定の直流電圧を印加して加熱して、放電プラズマ焼結する。これにより、磁石粉末同士を結合させて希土類鉄系永久磁石を得ることができる。
特開平2−198104号公報
しかしながら、上記超急冷希土類鉄系薄片の集合体を用いた場合は、焼結温度を高くする必要があった。また、得られた希土類鉄系永久磁石は、保磁力が小さかった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、等方性バルク磁石を製造する際に、焼結温度を低くできるRE−T−B系磁石粉末を提供することを目的とする。また、保磁力が大きい等方性バルク磁石を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るRE−T−B系磁石粉末は、RE−T−B系磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)の粉末であって、上記RE−T−B系磁石が、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む。
本発明の一態様によれば、等方性バルク磁石を製造する際に、焼結温度を低くできるRE−T−B系磁石粉末を提供できる。また、本発明の一態様によれば、保磁力が大きい等方性バルク磁石を提供できる。
図1は、RE量に対する保磁力の変化を示す図である。 図2は、RE量に対する緻密化開始時間の変化を示す図である。 図3は、RE量に対する焼結時間の変化を示す図である。 図4は、減磁曲線を示す図である。 図5は、残留磁化の比率を示す図である。
以下、実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
<RE−T−B系磁石粉末>
実施の形態に係るRE−T−B系磁石粉末を構成するRE−T−B系磁石は、主相としてRE214Bを含み、磁気的等方性を示す。
RE−T−B系磁石において、REは希土類元素を表す。希土類元素としては、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)が挙げられる。希土類元素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
希土類元素としては、角型比の観点から、Ndのみを用いること、またはNdとその他の希土類元素とを併用することが好ましい。Ndとその他の希土類元素とを併用する場合は、REの合計量を100原子%としたときに、Ndを70原子%以上100原子%未満の量で用いることが好ましい。
Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。このように、Tは、Feのみであってもよく、一部がCoで置換されていてもよい。Tの合計量を100原子%としたときに、Feを50原子%以上の量で含むことが好ましい。
RE−T−B系磁石は、さらに、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、BiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。これらその他の元素を適宜用いることで、磁気特性(Br、iHc、角型性など)を向上させることができる。
RE−T−B系磁石は、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む。REの量は、蛍光X線による分析やICPによる分析によって確認できる。なお、RE以外の元素の量についても同様の方法で確認できる。また、RE−T−B系磁石粉末を調製する際に用いる原料中の元素の割合は、RE−T−B系磁石粉末においても保たれていると考えられる。
REを上記の量で含んでいると、等方性バルク磁石を作製する際に、焼結温度を低くできる。また、焼結温度の低下に伴い焼結時間の短縮および量産性の向上も実現できる。これは、REの量が増加することでRE−rich相(具体的にはNd−rich相)の量が多くなるためと考えられる。
一方、特許文献1に記載の希土類鉄系永久磁石の製造方法では、電極パンチの圧力軸変位が観測されなくなるまで電流を印加する。圧力軸変位が観測されなくなる段階での温度は約680℃以上約720℃以下である。このように700℃前後まで加熱する必要があり、この温度まで加熱するための時間も必要である。このため、使用する金型の材質には耐熱性が求められる。したがって、上記希土類鉄系永久磁石の製造方法は作業性がよいとはいえない。
また、REを上記の量で含むRE−T−B系磁石粉末を用いると、保磁力が大きい等方性バルク磁石が得られる。これについても、REの量が多いとRE−rich相(具体的にはNd−rich相)の量が多くなるためと考えられる。ここで、保磁力は磁石の耐熱性の指標の一つとなっている。したがって、REを上記の量で含むRE−T−B系磁石粉末を用いることで、耐熱性に優れる等方性バルク磁石が得られる。
さらに、SPS装置を用いてバルク化した磁石は、磁粉の塑性変形に伴い圧力方向への異方化が観測される傾向にある。しかし、REを上記の量で含むRE−T−B系磁石粉末を用いると、異方化が抑制された等方性バルク磁石を得ることができる。本明細書において、異方化とは、磁石内の磁化容易軸が特定の方向に揃うことを意味し、測定の方向によって磁化の値に差が生じる。異方化の具体的な評価方法については実施例で説明する。REの量が多いと、等方性バルク磁石を作製する際に、液相が多くなる。これにより、RE−T−B系磁石粉末の塑性変形が抑制され、異方化が抑制されると考えられる。
なお、等方性磁石は、異方性磁石に比べて磁気特性が低下するものの、以下のメリットがある。1つ目は、着磁の自由度が高いことである。異方性磁石では一方向のみの着磁に限定されるが、等方性磁石では方向の制限がないため、リング磁石への自由な着磁が可能である。このため、モータへの適用範囲が広くなる。2つ目は、熱膨張についてである。たとえばNd−Fe−B系磁石は、c軸方向には膨張するが、ab面は収縮するという特性を有する。異方性磁石では、方向によって膨張と伸縮とが同時に生じるが、等方性ではそのようなことは起こらない。
上述した焼結温度、保磁力および異方化の観点から、RE−T−B系磁石は、REを15原子%を超える量で含むことが好ましく、17原子%以上の量で含むことがより好ましい。一方、残留磁化の観点から、RE−T−B系磁石は、REを19原子%以下の量で含むことが好ましい。
RE−T−B系磁石は、Bを3原子%以上10原子%以下の量で含むことが好ましい。また、RE−T−B系磁石は、上述したその他の元素を含むときは、その他の元素を合計で0.1原子%以上5原子%以下の量で含むことが好ましい。なお、ここで、残部は、Tと、不可避的に含まれる元素との合計量である。
その他の元素を含むRE−T−B系磁石では、REがNdであり、TがFeであり、その他の元素としてNb、Cu、GaおよびAlの少なくとも1種を組み合わせて含むことが特に好ましい。この組み合わせを採用すると、焼結温度、保磁力および異方化のバランスに優れる等方性バルク磁石が得られる。
RE−T−B系磁石粉末は、たとえば以下のように調製できる。まず、所望のRE−T−B系磁石の組成となるように原料を秤量し、減圧下またはアルゴン雰囲気中で、高周波誘導溶解させる。次に、溶解させた原料を回転ロール上に噴射して急冷し、薄帯とする。次いで、この薄帯を粉砕する。たとえば、薄帯を数mmから数十mm程度に破断した後、粉砕機などで粉砕することが好ましい。この調製方法により、フレーク状の形状を有し、かつ磁気的等方性を示すRE−T−B系磁石粉末(薄帯片)が得られる。
<等方性バルク磁石の製造方法>
実施の形態に係る等方性バルク磁石の製造方法は、RE−T−B系磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)の粉末であって、上記RE−T−B系磁石が、REを15原子%以上21原子%以下の量で含むRE−T−B系磁石粉末を調製する粉末調製工程と、上記粉末調製工程で得られた上記RE−T−B系磁石粉末を加圧しながら加熱する加熱工程とを含む。加熱には、RE−T−B系磁の粉末を加圧しながら加熱できる装置を用いればよく、このような装置としては、ホットプレス装置、SPS(SPS:Spark Plasma Sintering)装置が挙げられる。以下では、SPS装置を例に挙げて説明する。
粉末調製工程は、上記実施の形態に係るRE−T−B系磁石粉末について説明したとおりである。
加熱工程では、上記粉末調製工程で得られたRE−T−B系磁石粉末を用いる。まず、RE−T−B系磁石粉末が入った金型をSPS装置にセットし、所定の圧力を印加する。その後、ON−OFF直流パルス通電を行い、室温から加熱温度(焼結温度)まで昇温する。電流密度は、たとえば250A/cm以上1000A/cm以下に設定する。
加熱温度は、RE−T−B系磁石粉末が液相を形成できる温度であればよく、たとえば600℃以上680℃未満であることが好ましい。上記RE−T−B系磁石粉末を用いるため、このように加熱温度が低くても等方性バルク磁石が得られる。上記加熱温度での保持時間は、結晶粒の成長を抑制するために5分以内とすることが望ましい。
室温から加熱温度(焼結温度)まで昇温する際には、変化率をモニターすることが好ましい。ここで、変化率は、焼結時の変位(パンチの動いた距離など)を時間微分して得られる値である。好ましくは、室温から加熱温度(焼結温度)まで昇温し、変化率が0となる時点で、保持を行わずに焼結を終了する。このとき、加熱温度は通常上記範囲にある。
また、本明細書において、加熱工程で、加熱条件および加圧条件が一定の場合に、変化率が観測され始める時点を緻密化開始時点という。緻密化開始時点までの時間が短くなることは、焼結温度の低下に対応する。また、加熱工程で、加熱条件および加圧条件が一定の場合に、変化率が観測され始めた後、変化率が0となる時点を緻密化終了時点という。緻密化終了時点では、等方性バルク磁石(焼結体)が形成されている。実施の形態に係る等方性バルク磁石の製造方法では、上記RE−T−B系磁石粉末を用いるため、緻密化開始時点までの時間が短縮できる。すなわち、焼結温度を低くできる。さらに、緻密化終了時点までの時間も短縮できる。
加熱工程では、RE−T−B系磁石粉末を加圧しながら加熱するが、RE−T−B系磁石粉末が入った金型に対して30MPa以上100MPa以下の圧力を印加しながら加熱することが好ましい。また、加熱は、たとえば10-3Pa以上101Pa以下の減圧下またはアルゴン雰囲気中で行うことが好ましい。
加熱して得られた等方性バルク磁石は、通常室温までまたは取り出し可能な温度域まで冷却する。冷却は、圧力を印加しながら行ってもよく、減圧下またはアルゴン雰囲気中で行ってもよい。
なお、加熱工程で得られた等方性バルク磁石(焼結体)に対して、通常、後処理工程を行う。後処理工程としては、たとえば検査工程、加工工程、表面処理工程、着磁工程が挙げられる。検査工程では、加熱工程で得られた焼結体の磁気特性を振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)やB−Hトレーサーなどにより測定する。VSMでは、試料を振動させ、試料の磁化によって生じる磁束の時間変化を、傍らに置いたコイルに生じる誘導起電力として検出する。また、B−Hトレーサーでは、試料にコイルを巻いて、外部磁界を付与したときに生じるコイルの誘導起電力を測定する。これにより、試料の磁化曲線を得る。次に、加工工程では、焼結体を切削加工ないし研磨加工し、焼結体を製品寸法に仕上げる。表面処理工程では、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)などのめっき処理、アルミ(Al)蒸着、および樹脂塗装などの表面処理を実施する。次に、着磁工程では、焼結体に公知の方法により着磁を行う。
<等方性バルク磁石>
実施の形態に係る等方性バルク磁石は、RE−T−B系の等方性バルク磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)であって、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む。
RE−T−B系の等方性バルク磁石において、RE、TおよびB、その他の元素の説明は、上述した実施の形態に係るRE−T−B系磁石粉末についての説明と同様である。
なお、元素の量は、EPMAによる領域のスポット的な組成分析や、SEM−EDXによる面あるいは線分析による組成分析で確認することが可能である。また、実施の形態に係る等方性バルク磁石中の元素の割合は、製造の際に用いるRE−T−B系磁石粉末を構成するRE−T−B系磁石中の元素の割合が保たれていると考えられる。
実施の形態に係る等方性バルク磁石は、たとえば上述した実施の形態に係る等方性バルク磁石の製造方法によって好適に得られる。
REを上記の量で含んでいるため、等方性バルク磁石は、保磁力が大きく、耐熱性に優れる。さらに、REを上記の量で含んでいるため、等方性バルク磁石では、異方化が抑制されている。
以下、上記実施の形態による効果を明確にするために行った実施例に基づいて上記実施の形態をより詳細に説明する。なお、上記実施の形態は、以下の実施例および比較例によって何ら制限されない。
[実施例1]
〔粉末調製工程〕
まず、粉末調製工程において、所望のRE−T−B系磁石の組成となるように原料を秤量し、減圧下で、高周波誘導溶解させた。次に、溶解させた原料を回転ロール上に噴射して急冷し、薄帯とした。次いで、この薄帯を破断した後、粉砕機で粉砕してNd15Fe796の粉末(薄帯片)(A)を得た。
原料を変えた以外は同様にして、Nd17Fe776の粉末(薄帯片)(B)、Nd19Fe756の粉末(薄帯片)(C)および(Nd−Ce)19Fe756(Ndの3割をCeで置換)の粉末(薄帯片)(D)を得た。
これらの粉末について、VSMを用いて保磁力を測定した。図1は、RE量に対する保磁力の変化を示す図である。希土類量が多い磁石粉末を用いて得られた等方性バルク磁石では、高保磁力になることが期待できる。なお、図1には、Ndの量が15原子%未満である磁石粉末についての測定結果も示した。
〔加熱工程〕
次に、加熱工程において、上記粉末(A)を円筒状の金型に入れた。この金型をSPS装置にセットし、10-1Paの減圧下で、金型に対して30MPaの圧力を印加しながら加熱した。具体的には、SPS装置を用いて、上記粉末に対して、電流密度916A/cm2でON−OFF直流パルス通電して昇温した。ここで、パンチの動いた距離をモニターしながら昇温した。温度の上昇とともに変化率が観測され始め、緻密化が進行した。変化率が0になった時点で焼結を終了した。この時の焼結時間は概ね151秒であった。得られた円柱状の等方性バルク磁石(A)の組成は、Nd15Fe796であった。
加熱工程において、上記粉末(A)を上記粉末(B)〜(D)に変えた以外は同様にして、Nd17Fe776の組成を有する等方性バルク磁石(B)、Nd19Fe756の組成を有する等方性バルク磁石(C)、および(Nd−Ce)19Fe756(Ndの3割をCeで置換)の組成を有する等方性バルク磁石(D)を得た。
[実施例2]
実施例1と同様にして、Nd15Fe796、Nd17Fe776およびNd19Fe756の組成を有する等方性バルク磁石(A)〜(C)を作製した。さらに、粉末調製工程における原料を変えた以外は実施例1と同様にして、N21Fe736の粉末(薄帯片)(E)およびN21Fe736の組成を有する等方性バルク磁石(E)を作製した。
なお、合金組成Nd14Fe65Co156の粉末(商品名:MQP−C、マグネクエンチ社製)および合金組成Nd14.1Fe80.46.5の粉末(商品名:MQP−A、マグネクエンチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、等方性バルク磁石(比較例)を作製した。
図2は、RE量に対する緻密化開始時間の変化を示す図である。希土類量が多い磁石粉末を用いると、比較例のMQP−AおよびMQP−Cよりも早く緻密化が開始しており、焼結温度の低下が示唆される。
図3は、RE量に対する焼結時間の変化を示す図である。本明細書において、焼結時間は、電流印加開始時点から緻密化終了時点までの時間である。図3からも、焼結温度の低下とともに、焼結時間も短縮されていることがわかる。焼結時間は、希土類量を21at%まで増やすことで、MQP−Cを用いたときよりも100秒近く短縮された。
[実施例3]
粉末調製工程において、原料を変えた以外は実施例1と同様にして、Nd19Fe73.56Nb0.5Cu0.5Ga0.5の粉末(薄帯片)(F)およびNd19Fe73.56Nb0.5Cu0.5Ga0.5の組成を有する等方性バルク磁石(F)を作製した。なお、実施例2と同様にして、合金組成Nd14Fe65Co156の粉末(商品名:MQP−C、マグネクエンチ社製)を用いて、等方性バルク磁石(比較例)を作製した。
これらの等方性バルク磁石について、B−Hトレーサーを用いて減磁曲線を測定した。図4は、減磁曲線を示す図である。なお、図4において、MQP−Cのグラフは、希土類量14原子%の磁石粉末を用いた場合であり、Nd19のグラフは、希土類量19原子%の磁石粉末を用いた場合である。図4より、希土類量19原子%の磁石粉末を用いた場合は、希土類量14原子%の磁石粉末を用いた場合に比較して、保磁力は大きくなる。一方、希土類量19原子%の磁石粉末を用いた場合の残留磁化は0.61Tであり、希土類量14原子%の磁石粉末を用いた場合の残留磁化は約0.83Tである。希土類量19原子%の磁石粉末を用いた場合は、希土類量14原子%の磁石粉末を用いた場合に比較して、残留磁化は小さくなる。このため、RE−T−B系磁石粉末において、残留磁化の観点からは、希土類量を19原子%以下とすることが望ましい。
[実施例4]
実施例3と同様にして、Nd19Fe73.56Nb0.5Cu0.5Ga0.5の組成を有する等方性バルク磁石(F)を2個作製した。また、粉末調製工程において、原料を変えた以外は実施例1と同様にして、Nd21Fe72.26Al0.3Cu0.5の粉末(薄帯片)(G)およびNd21Fe72.26Al0.3Cu0.5の組成を有する等方性バルク磁石(G)を2個作製した。なお、実施例2と同様にして、合金組成Nd14.1Fe80.46.5の粉末(商品名:MQP−A、マグネクエンチ社製)を用いて、等方性バルク磁石(比較例)を作製した。
得られた円柱のバルク磁石を3mm角の立方体に加工し、VSMを用いて加工前の磁石での軸方向(高さ方向)の磁化と、加工前の磁石での半径方向の磁化とを測定した。図5は、残留磁化の比率を示す図である。ここで、残留磁化の比率は、磁石の半径方向の磁化/磁石の軸方向(高さ方向)の磁化の値である。図5には、希土類量19原子%の2個の磁石(F)、希土類量21原子%の2個の磁石(G)とともに、希土類量14.1原子%の磁石粉末(MQP−A)を用いた磁石についての値を示している。なお、図5において、Nd19は、希土類量19原子%の磁石(F)についての結果を表しており、Nd21は、希土類量21原子%の磁石(G)についての結果を表している。図5の点線のように、数値が1を示す場合は、軸方向の磁化の値と半径方向の磁化の値とが等しく、磁石が等方的であることを示す。図5より、希土類量が多い磁石粉末を用いて得られた等方性バルク磁石では、比較例に比べて比率が1に近くなり異方化が抑制されていることがわかる。これは、希土類量の増加に対応して液相が増えた結果、磁石粉末の塑性変形が抑制できたためであると考えられる。実施例において、用いた磁石粉末は、薄片状の超急冷粉である。アトマイズ処理した球状の磁石粉末を用いると、さらに異方化を抑制できると考えられる。

Claims (9)

  1. RE−T−B系磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)の粉末であって、前記RE−T−B系磁石が、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む、RE−T−B系磁石粉末。
  2. 前記REが、Ndを含む希土類元素を表す、請求項1に記載のRE−T−B系磁石粉末。
  3. 前記RE−T−B系磁石が、さらに、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、BiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項1または請求項2に記載のRE−T−B系磁石粉末。
  4. RE−T−B系の等方性バルク磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)であって、REを15原子%以上21原子%以下の量で含む、等方性バルク磁石。
  5. 前記REが、Ndを含む希土類元素を表す、請求項4に記載の等方性バルク磁石。
  6. 前記RE−T−B系の等方性バルク磁石が、さらに、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、BiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項4または請求項5に記載の等方性バルク磁石。
  7. RE−T−B系磁石(REは希土類元素を表し、TはFe、またはFeおよびCoを表す。)の粉末であって、前記RE−T−B系磁石が、REを15原子%以上21原子%以下の量で含むRE−T−B系磁石粉末を調製する粉末調製工程と、
    前記粉末調製工程で得られた前記RE−T−B系磁石粉末を加圧しながら加熱する加熱工程とを含む、等方性バルク磁石の製造方法。
  8. 前記REが、Ndを含む希土類元素を表す、請求項7に記載の等方性バルク磁石の製造方法。
  9. 前記RE−T−B系磁石が、さらに、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、BiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項7または請求項8に記載の等方性バルク磁石の製造方法。
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