JP2017193675A - ゴム保護膜複合体およびそれを用いたタイヤとそれらの製造方法 - Google Patents

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聖一 田原
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達也 野本
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Abstract

【課題】耐オゾン性と、ウエットグリップ性に優れたゴム保護膜複合体【解決手段】ゴムと保護膜の複合体であって、保護膜にシリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が、3〜20質量%含まれることを特徴とするゴム保護膜複合体。また特に該ゴム保護膜複合体の構成を有するタイヤと製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム表面に設ける耐オゾン性樹脂層による表面保護膜のウエットグリップ性能の向上を図るとともに、保護膜の接合の強化を両立した、ゴム保護膜複合体および、それを用いたタイヤとそれらの製造方法に関する。
タイヤに用いるゴム組成物は、その使用環境において様々な外的劣化要因に曝され得る。天然ゴムを始めとする、ジエン系ゴムは分子鎖中に不飽和結合を有するため、オゾン酸化による劣化もその一つである。そのような、オゾン酸化に対しては特許文献1のように、耐オゾン性樹脂としてある種のポリウレタンを用い、ゴム組成物を保護するといった方法が検討されている。
特許文献1による開示では、本来親和性に乏しい、ジエン系ゴム組成物とポリウレタン間の接着に際し、ジエン系ゴム組成物表面を官能基化し、化学結合を通じて接着されたポリウレタンコーティング層を塗布により形成する方法が示されている。
一方で、タイヤ表面の性質が大きく性能に関わる性質として、ウエットグリップ性能があるが、表面保護膜を施すと、タイヤのゴム表面にウエットグリップ性能が備わっていても、その効果が発揮できなくなるので、表面保護膜にも、または、表面保護膜にこそウエットグリップ性能を付与して向上を図り、主にオゾンからの保護という目的と両立させたい状況がある。
タイヤそのもののウエットグリップ性能の改善は、通常、シリカに代表されるような無機系充填材を配合することで行われる。一方、表面保護膜としては、耐オゾン性という観点から、ポリウレタン樹脂が代表的なものとして挙げられるが、ポリウレタン樹脂を用いる場合、ゴムと同様に無機系充填材の配合というわけにはいかない。まず、ポリウレタン樹脂が形成される反応が、無機系充填剤の影響を受け易い。もちろん、表面保護膜として用いることができる材料は、ポリウレタン樹脂に限られるものではないが、無機系充填材の影響から限定されるポリマーは多いので、選択が限られがちになる。
また、ポリウレタン樹脂とゴムそのものは直接、加硫架橋を介した接合が可能というわけではないにも関わらず、接合が可能であり、例えば特許文献2に開示されている。すなわち、未加硫ゴムがポリウレタンフォームの連続気泡への嵌入後に、加硫架橋が進行して硬化することで、接触面での接合を行うものである。
しかし、ポリウレタン樹脂をポリウレタンフォームとして用いる場合においても、無機系充填材は、ポリウレタンフォームとの相性が良いとはいえない材料である。すなわち、無機充填材の自重によって、ポリウレタンフォームが膨らみにくくなるという問題があり、無機充填剤を安易に用いることができない。
特表2003−535762号公報 特開平1−67307号公報
耐オゾン性のために表面保護層でゴム表面を被覆する場合には、ポリウレタンフォームのような発泡性樹脂を用いる方法がある。しかしながら発泡性樹脂にさらなる特性、例えばウエットグリップ性を付与するために、シリカのような充填剤を配合しようとすると、樹脂の化学組成の形成や発泡性樹脂たる構成を成り立たせる上では、不利な条件があり、容易ではない。
ゴム組成物のオゾン劣化防止のため、耐オゾン性樹脂で保護膜を形成するが、さらにウエットグリップ性能を付与するために、シリカや水酸化アルミニウムのような無機系充填剤を配合し、かつゴム組成物との強固な接合とも両立させたゴム保護膜複合体が望まれている。
発泡性樹脂であることを利用して、含浸により無機充填材を配合し、ウエットグリップ性能のような特性を付与し、さらに未加硫ゴムとの加圧・加熱にて連続気泡への嵌入と気泡内での加硫架橋を利用した接合により形成された表面保護層と、前記表面保護層を持つゴム保護膜複合体を提供する。
すなわち、本発明は次の(1)〜(8)に存する。
(1)ゴムと保護膜の複合体であって、保護膜にシリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が、3〜20質量%含まれることを特徴とするゴム保護膜複合体。
(2)前記、保護膜の厚さの最大値が、30〜500μmの範囲であることを特徴とする(1)に記載のゴム保護膜複合体。
(3)前記、保護膜を、発泡性樹脂から形成したことを特徴とする(1)または(2)に記載のゴム保護膜複合体。
(4)前記、発泡性樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のゴム保護膜複合体。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のゴム保護膜複合体の構成を、トレッド部またはサイドウォール部に用いたタイヤ。
(6)ゴム保護膜複合体の製造方法であって、シリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が3〜20質量%含まれる、気泡を有する発泡性樹脂を、未加硫ゴム組成物に貼り付け、加圧および加熱により加硫架橋し、圧縮成形された保護膜とゴム組成物層を接合させることを特徴とする、ゴム保護膜複合体の製造方法。
(7)保護膜を有するタイヤの製造方法であって、シリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が3〜20質量%含まれる、気泡を有する発泡性樹脂を、未加硫グリーンタイヤのトレッド部またはサイドウォール部に貼り付け、加圧および加熱により加硫架橋し、圧縮成形された保護膜とゴム組成物層を接合させること特徴とする、タイヤの製造方法。
(1)機能性充填材で機能性が付与された保護膜を有する、ゴム保護膜複合体が得られる。
(2)により機能性を具えた保護膜としての性能が発揮できるのに必要な厚さを有する保護膜を有する、ゴム保護膜複合体が得られる。
(3)、(4)により、保護膜に機能性充填剤を導入し、ゴム組成物との強固な接合を有する保護膜を有する、ゴム保護膜複合体が得られる。
(5)により、機能性充填剤を含む保護膜をトレッド部またはサイドウォール部に用いたタイヤが得られる。
(6)機能性充填材で機能性が付与された保護膜を有する、ゴム保護膜複合体の製造方法が示され、特に(7)によって、機能性保護膜をトレッド部またはサイドウォール部に用いたタイヤの製造方法が示される。
本発明のゴム保護膜複合体はゴムと表面保護膜の複合体であって、保護膜にシリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が、3〜20質量%含まれることを特徴とする。
保護膜は、ゴムの表面を、外傷を始め、オゾン酸化のような特定の劣化要因から保護することを目的とする。しかしながら一方で、元々ゴムの表面に付与されていた、性質や性能が発揮できなくなることもある。特に表面の性質が直接かかわる性能では効果が失われることになる。そこで本発明では最外表面である保護膜に、あらたにそのような性能を付与することを目的として、無機充填剤を配合するものである。
無機充填材としては、シリカや水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つを用いる。これら無機充填材は、第1にはウエットグリップ性能に関係する充填材であるが、他にも熱的特性や、耐久性といった性質に幅広く寄与する無機充填材である。これら充填剤を保護膜に対して、3〜20質量%の範囲で含むことにより、種々の特性を付与することができる。3質量%以上含有されていれば、保護膜内の気泡がつぶれにくくなり、加圧によるゴムの嵌入が促進される結果、より強固な接合面を得ることができる。20質量%以下とすることで、ゴムとの接合が良好でかつ、配合に要する負担の許容範囲内で、必要な性能が得られる。20質量%を超えると、シリカや水酸化アルミニウムが保護内の気泡を充満することでゴムの嵌入を阻害するため、接合が低下する。これによりタイヤ転動時に一部の保護膜が剥離し、剥離物がタイヤのグリップを阻害する結果、ウエットグリップ性能が低下する。以上から、充填剤を保護膜に対して、5〜15質量%が好ましく、5〜10質量%が特に好ましい。
本発明において用いられるシリカとしては、市販のものを適宜使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」、「ニップシールKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」といった市販品を用いることができる。
本発明において用いられる水酸化アルミニウムとしては、汎用の水酸化アルミニウムのほか、高白色水酸化アルミニウムといったグレードのものを用いることができる。市販のものを適宜使用でき、特に代表的なものとしては昭和電工株式会社製、商品名「ハイジライド」といった市販品を用いることができる。
保護膜は単層のみならず多層にしてもよい。2層以上配置することで、弾性率の小さい保護膜でゴム部材への追従性と、弾性率の大きい保護膜で機械的耐久性をそれぞれが担うこともできる。また層ごとに、無機充填材の含有量を変えてもよい。無機充填材の含有量によっても弾性率を変えることができるのに加え、表面への特性付与にも段階的な効果を加えることができる。
保護膜の厚さは、30〜500μmの範囲とすることができる。30μm以上で耐オゾン性を始め、新たに付与した特性を機能させるにも十分である。また、500μm以下で施工の上でも無理がなく、成型用の型の大幅な変更を必要とせず実施できる。30〜400μmの範囲が好ましく、30〜300μmの範囲が特に好ましい。
保護膜は発泡性樹脂から形成することができる。発泡性樹脂は発泡により生じた、特に連結気泡が、ゴムとの接触面となる表面に露出することで、加圧された未加硫ゴムが嵌入する。ゴムの配合組成や、発泡性樹脂の連結気泡の状態、加圧条件にもよるが、ゴムとの境界面から、20〜30μm程度の深さまで達する。さらに加熱によって加硫架橋されて硬化することで、発泡性樹脂内に食い込む形で、接合される。この場合、直接加硫ゴムが、発泡性樹脂層を構成するポリマーと化学結合を形成しなくとも強固な接合が可能である。
一方、発泡性樹脂は、加圧により圧縮されて、気泡が潰されることで、上記、30〜500μmの厚さの保護膜を形成する。ここで、発泡樹脂層由来の保護膜層の厚さは、連結気泡が貫通している場合も一部にはある一方で、層内に全く独立気泡すらなく、保護膜層のゴムとの接触面から、表面に至るまで、樹脂のみで満たされている場合もある。よって発泡性樹脂が圧縮され充填された、樹脂層そのものの厚さのばらつきを含めて、統計的に代表させる値ではなく、気泡も含めて、樹脂が満たしてもよい空間の厚さをもって保護膜層の厚さとする。したがって、この場合は樹脂層が満たしてもよい空間の厚さ方向の最大値が、実質的に保護膜層の厚さとなる。
一方、発泡性樹脂は、空隙を多く有するため、液体や液状のものを浸透させることが容易に行える材料である。したがって、無機充填剤を含む液体に、含浸させることで、無機充填剤を含む液体を、その空隙内に取り込むことができる。更に、含浸後過剰の液体を絞って、乾燥させることにより、空隙内に無機充填剤を残留させることで、空隙内に無機充填剤を取り込むことができる。
また、含浸であれば、プロセスを複数回繰り返すことで、取り込む無機充填材の含有量を増やすことや、調節することができる。
発泡性樹脂の形成時に、無機充填剤を配合しようとすると、従来の技術で述べたように、発泡性樹脂が重合する際に反応を阻害する要因となる場合や、特に発泡させる際に、無機充填剤の自重で十分に膨らまなくなるといったことが起こるため、配合が難しい。発泡性樹脂の形成時の配合では、含有量は5質量%程度が限界である。一方、含浸であれば、重合も、発泡もすでに終わった後でのプロセスであるため、いずれの阻害要因ともならず、無機充填剤を配合することができる。よって、保護膜層の3〜20質量%にも及ぶ配合が可能となる。
含浸ではより効率的に、無機充填剤を発泡性樹脂の空隙内に取り込み、配合させるためにバインダーと呼ぶ、一種の接着剤を含浸液に加えることができる。発泡性樹脂の種類や、取り込む無機充填材の種類に合せて、適宜選択して用いることができる。バインダーも含め無機充填剤を取り込んだ発泡性樹脂は、このプロセスの後は、加圧により圧縮してしまうので、発泡性樹脂同士を接着させる作用もあるバインダーの影響も、自重で膨らみを収縮させる無機充填材の影響も、プロセスの妨げとなることはない。
保護膜にする発泡性樹脂としては、発泡のコントロールのし易さ、ゴムの弾性率との適合性、含浸による無機充填材の配合に係る、バインダーの利用し易さといった観点からポリウレタン樹脂を用いるのが、好ましい。
本発明における、保護膜としてのポリウレタンは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分、整泡剤、水を反応させたポリウレタンフォームとして製造したものを用いることができる。
ポリオール成分としては、低分子ポリオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、ソルビトールといった化合物群を挙げることができ、高分子ポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキエチレンソルビトールエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルといった化合物群からなる、ポリオキシアルキレン−ポリオールを挙げることができる。また、ポリエステル系ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンといった多価アルコールと、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸といった多価カルボン酸との縮合物であって、末端に水酸基を有するものや、多価アルコールとγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンといった、環状ラクトンとの開環重合生成物であって、やはり末端に水酸基を有するものが挙げられる。具体的にはポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール、ポリエチレン・ブチレンアジペートポリオール、ポリエチレンテレフタレートポリオールといったものが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ有機イソシアネートであればよく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアンート、リジンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、から選ばれる少なくとも1種を用いることができ、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアンート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートのような、芳香族イソシアネートが好ましい。また、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート:MDI及び/又はトリレンジイソシアネート:TDIを用いることが特に好ましい。
整泡剤は適宜、ポリオールやポリイソシアネートに合せて選択することができる。また、発泡剤としては、液化炭酸ガス反応によってガスを発生するものとして、種々の発泡剤があるが、環境負荷が小さく、安価であるという点で、水が好ましい。発泡剤として水を用いる場合、ポリオール成分100質量部に対し、1〜10質量部用いることができ、2〜8質量部が好ましく、2〜5質量部が特に好ましい。水の配合量に合わせて、イソシアネートの配合量を適宜調節する。
ポリウレタンフォームそのものは、圧縮し潰して用いるので、発泡の度合いは圧縮前の状態でもって示すこととなるが、たとえば、発泡前の密度/発泡後の密度で定義される発泡倍率において、ゴムと直接接する保護層においては50以下が好ましく、20以下が特に好ましい。
無機充填材との接着に用いるバインダーとしては、ポリウレタン用接着剤としての機能を有するバインダーであって、アクリル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸−スチレン共重合体樹脂、アクリル酸−酢酸ビニル共重合体樹脂等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、クロロプレンゴム等を例示することができる。特に好ましいのは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレンゴムであり、例えば、エネックス社製の商品名:SEバインダー、東洋インキ製造(株)製の商品名:TOCRYL BC−X6131、TOCRYL S744、TOCRYL X4402等といったものを用いることができ、特に加硫温度でも液体にならないアクリル樹脂が好ましい。
以上述べてきたような、ゴム保護膜複合体の構成をタイヤに用いることができる。特に無機充填材として、シリカや水酸化アルミニウムから選択されるものを用いているので、ウエットグリップ性能の向上を第1の目的とするものである。したがってトレッド部にこの構成を用いるのが好ましい。また、耐外傷性を向上させることを目的として、サイドウォール部に用いてもよい。
そもそも例えばシリカを配合する場合、多くはウエットグリップ性のみならず、低発熱性、省燃費性といった性能も合せて向上を図るものであり、この点からはシリカはトレッド部のみならずタイヤ全体のゴムにおいて配合されていても構わない。
一方で、シリカをゴム成分に配合するにあたり、主に疎水性のゴム成分に親水性のシリカを配合するには、シランカップリング剤を用いて、シリカの凝集を防止し、効率よく分散させることが必要である。
その結果、シランカップリング剤とシリカを含む未加硫ゴムは、発泡性樹脂の連結気泡に「浸透」するように嵌入し、さらに加硫架橋の際、気泡内にあらかじめ含浸で配合されていたシリカと相互に化学結合によっても結び付けられ、さらに安定した接合が可能となる。また、シランカップリング剤は、末端のアルコキシシリル基の反応を利用するものであるので、水酸基を表面に持つものであれば、シリカに限らず、本発明で用いることができる、水酸化アルミニウムのような無機充填材であっても作用できる。もちろん、専用の分散剤を用いても構わない。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、下記一般式(I)〜(III)で表わされる化合物からなる群から、少なくとも1種選択される化合物であることが好ましい。
以下、下記一般式(I)〜(III)を順に説明する。
Figure 2017193675


式中、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルカンジイル基である。p及びrは共に3である場合はなく、同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。スルフィド鎖の硫黄数aは平均値として2〜6である。
上記一般式(I)で表わされるシランカップリング剤の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィドといった化合物が挙げられる。
Figure 2017193675


式中、Rは−Cl、−Br、各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基で置換されたRO−アルコキシ基、RC(=O)O−カルボキシル基、R10C=NO−オキシマト基、R10CNO−、NR10−アミノ基、及びシロキシ鎖長2〜5のポリシロキシ基−(OSiR10(OSiR1011)から選択される一価の基である。以上において、R、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。RはR、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、RはR、R、水素原子又は−[O(R12O)]1/2−基である。なお、R12は炭素数1〜18のアルカンジイル基、jは1〜4の整数である。Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。
上記一般式(II)において、R、R、R10及びR11は同一でも異なっていても良く、好ましくは各々炭素数1〜18の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアリールアルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、Rが炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアリールアルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R12は直鎖、環状又は分枝のアルカンジイル基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。Rは例えば直鎖状、枝分かれ状のいずれであっても良い炭素数1〜18のアルカンジイル基、炭素数2〜18のアルケンジイル基、環上に低級アルキル基のような置換基を有していてもよい、炭素数5〜18のシクロアルカンジイル基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルカンジイル基、炭素数6〜18のアレーンジイル基、炭素数7〜18のアリールアルカンジイル基を挙げることができる。このRとしては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、特に直鎖状アルカンジイル基、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基を好ましく挙げることができる。
上記一般式(II)におけるR、R、R、R10及びR11の炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−メチル−1−プロピル基、2−ブチル基、2−メチル−2−プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が挙げられる。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、ドデカンジイル基が挙げられる。
前記一般式(II)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシランを挙げることができる。これらの内、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(Momentive Performance Materials社製、商標「NXTシラン」)が特に好ましい。
Figure 2017193675


式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルカンジイル基である。R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)から選ばれる二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、並びに硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基から選ばれる二価の置換基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤の具体例は、いずれも平均組成式で表すものとして、
(CO)SiC12Si(OC
(CO)SiC1020Si(OC
(CO)SiC12Si(OC
(CO)SiC12Si(OC
(CO)SiCSC1212SCSi(OC
(CO)SiCSC122.512SCSi(OC
(CO)SiCSC1212SCSi(OC
(CO)SiCSC1212SCSi(OC
(CO)SiCSC10201020SCSi(OC
(CO)SiC12Si(OC
(CO)SiC1212Si(OC
(CO)SiCSC121212SCSi(OCで表される化合物が好適に挙げられる。ここで、C=(CH、C=(CH、C12=(CH、C1020=(CH10であり、それぞれ、炭素数2、3、6、10の直鎖アルカンの両末端のから水素を1つずつ除いてなる直鎖アルカンジイル基である。
なお、上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤は、例えば特開2006−167919号公報に記載された方法で製造できる。また、市販品が広く利用できる。
タイヤの形状に合せた、施工を考慮すると、ポリウレタンフォームはある程度の弾性を有するため、伸張や収縮が容易に行える。グリーンタイヤの外周に見合うが、小さ目の外径を有する、輪状のフォームを保護膜前駆体として拡径しながら被せて、収縮に任せて仮固定することができる。更に、金型に内挿し、内側から加圧圧縮と加熱による加硫架橋を行うことで、保護膜を含む、ゴム保護膜複合体の構成を有するタイヤが製造できる。
同様に、サイドウォール部についても、ポリウレタンフォームの伸長および収縮性を利用して、保護膜前駆体を被せて施工し、サイドウォール部の保護膜形成もできる。
タイヤおよび、その構成となるゴム部材のゴム組成物は、加硫架橋を行う通常のゴム組成物であれば、どのようなものを用いてもよい。天然ゴム:NRや、各種処理を施した変性天然ゴム、ジエン系をはじめとする合成ゴムとして、ポリイソプレン:IR、ポリブタジエン:BR、クロロプレン:CR、スチレン−ブタジエンゴム:SBR、ブチルゴム:IIR、アクリロニトリル−ブタジエンゴム:NBR、エチレン−プロピレン−ジエンゴム:EPDM、から選ばれる少なくとも1種以上のゴムを用いることができ、天然ゴムやジエン系合成ゴムを使用することが好ましい。
ゴム部材には、その他、亜鉛華、ステアリン酸、アロマティックオイル、熱可塑性樹脂、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤などのゴム薬品を配合することができる。
特に加硫促進剤は、本願発明における、耐オゾン性樹脂被覆層との接合と関連し、加硫時間や温度といった条件が、耐オゾン性樹脂被覆層の性質を考慮して選択される。発泡性樹脂の連結気泡に「浸透」するような、嵌入が十分起こるためには、初期加硫速度が抑制されている、耐スコーチ性の制御を意図した配合がされていることが好ましい。
次に、実施例、比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
[グリーンタイヤの製造]
トレッド部のゴムとして、表1に示す配合からなるゴムを用いて、未加硫の195/65R15のタイヤを製造した。以下の各実施例、比較例において、グリーンタイヤは該処方で製造されたものとする。またこのグリーンタイヤを加硫架橋して、保護層を持たない比較例1のタイヤを製造した。
[実施例1のタイヤの製造]
TDI:トリレンジイソシアネートとニッポラン2200 (日本ポリウレタン工業製)に、3.2質量%となる様にシリカNipsil AQ(東ソー・シリカ社製)を配合して調製し発泡させて製造した、発泡倍率10倍のポリウレタンフォームを厚さ3mmとなる様に、輪状に成型し、未加硫の195/65R15のグリーンタイヤ表面に拡径して被せたのち、金型に内挿し金型温度180℃、ブラダー温度180℃、内圧2MPaで10分間、加熱し加硫架橋を行った。完成品のタイヤの保護層はトレッド面で厚さ150μmであった。
[実施例2のタイヤの製造]
TDI:トリレンジイソシアネートとニッポラン2200(日本ポリウレタン工業製)から、発泡倍率10倍のポリウレタンフォームを製造した。シリカNipsil AQ(東ソー・シリカ社製)、8質量%、バインダーエネックス社製アクリル樹脂「SEバインダー−9300」を1質量%配合した含浸液に浸漬し、余剰液を絞って乾燥し、シリカ含有率が3.2質量%残留したポリウレタンフォームを調製した。厚さ3mmとなる様に、輪状に成型し、未加硫の195/65R15のグリーンタイヤ表面に拡径して被せたのち、金型に内挿し金型温度180℃、ブラダー温度180℃、内圧2MPaで10分間、加熱し加硫架橋を行った。完成品のタイヤの保護層は厚さ150μmであった。
[実施例3〜6、比較例2、3のタイヤの製造]
実施例2のタイヤと同様にして、含浸によりシリカ含有率5質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例3のタイヤを製造した。
同様に、含浸によりシリカ含有率7質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例4のタイヤを製造した。
同様に、含浸によりシリカ含有率10質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例5のタイヤを製造した。
同様に、含浸によりシリカ含有率20質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例6のタイヤを製造した。
同様に、含浸によりカーボンブラック含有率3.2質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの比較例2のタイヤを製造した。
同様に、含浸によりシリカ含有率25質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの比較例3のタイヤを製造した。
[実施例7〜9のタイヤの製造]
発泡率10%のポリウレタンフォームを、昭和電工社製:水酸化アルミニウム、商品名「ハイジライト」7質量%、バインダー樹脂「SEバインダー−9300」を1質量%配合した含浸液に浸漬し、余剰液を絞って乾燥し、水酸化アルミニウム含有率が3.2質量%残留したポリウレタンフォームを調製した。厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例7のタイヤを製造した。
同様に、含浸により水酸化アルミニウム含有率10質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例8のタイヤを製造した。
同様に、含浸により水酸化アルミニウム含有率20質量%となるよう調製した、厚さ3mmのポリウレタンフォームをグリーンタイヤに被せて成形し、保護層の厚さ150μmの実施例9のタイヤを製造した。
[ウエットグリップ性の評価]
上記タイヤを車軸に装着し、水深1cmの湿潤路面を時速60kmで走行中にブレーキをかけてから車輌が完全に停止するまでの距離を測定した。結果は、比較例1の停止距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、停止するまでの距離が短く、ウエットグリップ性に優れることを示す。
[接着性の評価]
コイン(10円玉)が45°の角度で保護膜表面に接するようにして、保護膜表面を強く1回擦り、表面状態を目視で確認した。以下の評価基準に従って評価した。
○:保護膜が剥離しない。
△:保護膜は剥離していないが、保護層内の破壊が発生している。
×:保護膜がゴム層と境界面で剥離している。
Figure 2017193675
*1:旭カーボン社製、#80
*2:東ソー・シリカ社製、Nipsil AQ
*3:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
*4:大内新興化学社製、サンセラーDM
Figure 2017193675
カーボンブラックを配合した比較例2は、何も配合しない比較例1とウエットグリップ性、接着性ともに実質的に変わらず、配合の効果がない。一方で、シリカの配合量がいずれも3.2質量%で、配合の方法が異なる実施例1と2では、ウエットグリップ性や接着性は実質的に同等であった。配合量が同等に可能であれば、シリカの配合の仕方による差は殆ど見られないといえる。しかしながら、配合量を挙げていくには含浸による方法でないと難しいので、含浸によるものの評価のみになるが、含有量上昇に伴い、徐々にウエットグリップ性は向上したが、実施例4〜6の比較で、実質上ウエットグリップ性は頭打ちになっている。一方、接着性は、実施例6で下降に転じている。比較例3に至っては、接着性の悪化に伴い、ウエットグリップ性も悪化した。次にシリカに替えて、水酸化アルミニウムを配合して検討した実施例7〜9では、やはりウエットグリップ性能の向上が見られ、接着性も健全性を保つ結果となった。
本発明を利用すれば、耐オゾン性に優れ、ウエットグリップ性に優れたゴム保護膜複合体、およびその構成を有するトレッド部やサイドウォール部を持つタイヤが得られる。

Claims (7)

  1. ゴムと保護膜の複合体であって、保護膜にシリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が、3〜20質量%含まれることを特徴とするゴム保護膜複合体。
  2. 前記、保護膜の厚さの最大値が、30〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のゴム保護膜複合体。
  3. 前記、保護膜を、発泡性樹脂から形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム保護膜複合体。
  4. 前記、発泡性樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム保護膜複合体。
  5. 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム保護膜複合体の構成を、トレッド部またはサイドウォール部に用いたタイヤ。
  6. ゴム保護膜複合体の製造方法であって、シリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が3〜20質量%含まれる、気泡を有する発泡性樹脂を、未加硫ゴム組成物に貼り付け、加圧および加熱により加硫架橋し、圧縮成形された保護膜とゴム組成物層を接合させることを特徴とする、ゴム保護膜複合体の製造方法。
  7. 保護膜を有するタイヤの製造方法であって、シリカ、水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の無機充填材が3〜20質量%含まれる、気泡を有する発泡性樹脂を、未加硫グリーンタイヤのトレッド部またはサイドウォール部に貼り付け、加圧および加熱により加硫架橋し、圧縮成形された保護膜とゴム組成物層を接合させること特徴とする、タイヤの製造方法。
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