JP2017190372A - 金属基材と一体成形するための樹脂組成物、ならびに複合成形体およびその製造方法 - Google Patents

金属基材と一体成形するための樹脂組成物、ならびに複合成形体およびその製造方法 Download PDF

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良紀 安達
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純子 奥田
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富士 小寺
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Abstract

【課題】 金属基材への物理的および/または化学的処理について必ずしも過度の負担をかけることなく、複合成形体における金属基材と樹脂部材との間の密着性を向上させることができる、金属基材と一体成形するための樹脂組成物、ならびに複合成形体およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明は、熱可塑性樹脂とポリアミド樹脂のゴム変性物とを含有する、金属基材と一体成形するための樹脂組成物を提供する。本発明におけるポリアミド樹脂のゴム変性物は、例えば以下の式(II):【化1】(ここで、Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、水酸基および/またはC1〜C3アルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、そしてpは50から5000の整数である)で表されるセグメントを有するポリアミドである。【選択図】 なし

Description

本発明は、金属基材と一体成形するための樹脂組成物、ならびに複合成形体およびその製造方法に関する。
例えば、携帯電話機やデジタルカメラなどの電子機器、インストルメンタルパネルやエンジン回り部品などの自動車用内装品および搭載品、ならびに各種内視鏡などの医療機器のような製品では、金属またはその合金から構成される金属基材と、熱可塑性樹脂組成物から構成される樹脂部材とがインサート成形により一体化された複合成形体が採用されている。
しかし、このような複合成形体では、金属基材と樹脂部材との間の密着性が充分に保たれているかどうかが重要となる。通常、金属基材を構成する金属に対し、樹脂部材を構成する熱可塑性樹脂の密着強度は充分とは言い難い場合が多く、当該密着性の欠如は製品の耐久性や信頼性にも影響を及ぼしかねないためである。
このため、インサート成形により得られる金属基材と樹脂部材との複合成形体において、金属基材と樹脂部材との間の密着性を高めるための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、金属基材を侵食性水溶液に侵食して、数平均内径10nm〜80nmを有する凹部を表面に形成し、それに所定の樹脂組成物を射出して当該凹部に侵入した状態で固着した複合体およびその製造方法が記載されている。特許文献2は、物理的および/または化学的処理が施されたインサート金属基材の表面に接して樹脂部材を固着してなる金属樹脂複合成形体を記載し、当該樹脂部材がポリアリーレンサルファイド樹脂、エポキシ基含有するオレフィン系共重合体およびケイ素化合物を含有することを記載している。
しかし、種々の製品開発にかかる当該複合成形体への期待および注目の高さを考慮すると、上記複合成形体のみでは依然として満足し得るものではなく、当該金属基材と樹脂部材との間の密着性を一層向上させる技術開発が所望されている。
特開2007−050630号公報 特開2015−016682号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、金属基材への物理的および/または化学的処理について必ずしも過度の負担をかけることなく、複合成形体における金属基材と樹脂部材との間の密着性を向上させることができる、金属基材と一体成形するための樹脂組成物、ならびに複合成形体およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、金属基材と一体成形するための樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂とポリアミド樹脂のゴム変性物とを含有する、樹脂組成物である。
1つの実施形態では、上記熱可塑性樹脂に対し、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は1phrから85phrの割合で含有されている。
1つの実施形態では、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は、以下の式(I):
Figure 2017190372
(ここで、lは1から10の整数であり、mは1から10の整数であり、そしてnは1から50の整数である)で表されるセグメントを有するポリアミドである。
1つの実施形態では、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は、以下の式(II):
Figure 2017190372
(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、そしてpは50から5000の整数である)で表されるセグメントを有するポリアミドである。
1つの実施形態では、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は、以下の式(III):
Figure 2017190372
(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、Arは水酸基を有する2価の芳香族基であり、Arは2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドである。
1つの実施形態では、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は、以下の式(IV):
Figure 2017190372
(ここで、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立して、2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドである。
さらなる実施形態では、上記式(IV)で表されるポリアミドのArおよびArはそれぞれ独立して2価の多環芳香族基である。
1つの実施形態では、本発明の組成物は、さらにオレフィン系共重合体を含有する。
さらなる実施形態では、上記オレフィン系共重合体は、グリシジルエーテル変性エチレン系共重合体、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、およびエチレンアルキルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である。
さらなる実施形態では、上記熱可塑性樹脂に対し、上記オレフィン系共重合体が1phrから30phrの割合で含有されている。
1つの実施形態では、上記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、およびポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である。
本発明はまた、金属基材および樹脂部材を備える複合成形体であって、
該金属基材の少なくとも一部の表面が該樹脂部材と接して固着されており、そして
該樹脂部材が、上記樹脂組成物から構成されている、複合成形体である。
1つの実施形態では、上記金属基材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金、およびマグネシウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成されている。
本発明はまた、金属基材および樹脂部材を備える複合成形体の製造方法であって、
金属基材を射出成形金型内にインサートする工程;および
該射出成形金型に、上記樹脂組成物を射出して、該金属基材の少なくとも一部の表面に該樹脂組成物を接して固着させる工程;
を含む、方法である。
1つの実施形態では、上記金属基材は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金、銅、銅合金、およびマグネシウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成されている。
本発明によれば、金属基材と樹脂部材との間の密着性が向上した、金属基材と樹脂部材とから構成される複合成形体を製造することができる。この複合成形体における金属基材と樹脂部材との間の界面は、接着剤層のような他の成分を介するものではなく、さらに金属部材の密着表面について、予め物理的および/または化学的手法を用いた精細な表面処理を必要とするものでもない。これにより、当該複合成形体を、金属基材と樹脂部材との一体成形により簡便に製造することができる。さらに、得られた複合成形体の耐ヒートサイクル性も向上させることができる。
実施例1で作製した複合成形体を模式的に表した図である。
以下、本発明について詳述する。
(金属基材と一体成形するための樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂とポリアミド樹脂のゴム変性物とを含有する。
本発明において、熱可塑性樹脂には公知のものが採用され得る。熱可塑性樹脂の例としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、およびポリブチレンテレフタレート樹脂、ならびにそれらの組合せが挙げられる。優れた耐熱性および強度を備えるという理由から、ポリフェニレンサルファイド樹脂が好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂のゴム変性物は、ポリアミドで構成されるハードセグメントに、ゴム成分で構成されるソフトセグメントが組み込まれたポリアミドである。
ポリアミド樹脂のゴム変性物の1つの例としては、以下の式(I):
Figure 2017190372
(ここで、lは1から10の整数であり、mは1から10の整数であり、そしてnは1から50の整数である)で表されるセグメント(ゴム成分のソフトセグメント)を有するポリアミドが挙げられる。ポリアミド樹脂のゴム変性物の他の例としては、以下の式(II):
Figure 2017190372
(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、そしてpは50から5000の整数である)で表されるセグメント(ポリアミドで構成されるハードセグメント)を有するポリアミドが挙げられる。
ここで、本明細書中に用いられる用語「2価の芳香族基」とは、2価の環状不飽和基を包含して言い、例えば、フェニレン基;ナフチレン基;およびアントラニレン基;ならびに以下の式:
Figure 2017190372
で表されるような、その構造中に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい2価の多環芳香族基;が挙げられる。さらに、本明細書中で用いられる用語「水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基」とは、上記2価の芳香族基、ならびに当該2価の芳香族基を構成する水素原子の少なくとも1つが、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロプル基で置換された基を包含して言う。
本発明の樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂のゴム変性物は、上記式(I)のセグメントと上記式(II)のセグメントとの両方を有するポリアミドであってもよい。
あるいは、本発明においてポリアミド樹脂のゴム変性物は、以下の式(III):
Figure 2017190372
(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、Arは水酸基を有する2価の芳香族基であり、Arは2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドである。ここで、上記式(III)を構成するゴム成分のセグメントXのより具体的な例としては、アクリロニトロリル−ブタジエン共重合体構造を有するセグメント(例えば、以下の式(I):
Figure 2017190372
(ここで、lは1から10の整数であり、mは1から10の整数であり、そしてnは1から50の整数である)で表されるセグメント)、アクリルゴム構造を有するセグメント、ポリブタジエン構造を有するセグメント、イソプレン構造を有するセグメント、カルボン酸変性アクリロニトロリル−ブタジエン共重合体構造を有するセグメント、水素転化型ポリブタジエン構造を有するセグメント、およびエポキシ変性ポリブタジエン構造を有するセグメント、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
さらに、本発明におけるポリアミド樹脂のゴム変性物は、水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂のゴム変性物であり、例えば、以下の式(IV):
Figure 2017190372
(ここで、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立して、2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドであってもよい。なお、式(IV)におけるArのより具体的な例としては、m−フェニレン基が挙げられる。さらに、式(IV)におけるArおよびArはそれぞれ独立して2価の多環芳香族であることが好ましく、ArおよびArを構成する2価の多環芳香族基のより具体的な例としては:
Figure 2017190372
が挙げられる。上記式(IV)を構成するゴム成分のセグメントXのより具体的な例は、上記式(III)で例示したものと同様である。
本発明の樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂のゴム変性物は、例えば、ジカルボン酸誘導体とジイソシアネートとを用いることにより、当該分野で公知の方法を用いて合成することができる。また、当該ポリアミド樹脂のゴム変性物は、例えば、KAYAFLEX BPAM−155、およびKAYAFLEX BPAM−01の商品名で日本化薬株式会社にて市販されている。
本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂に対し、上記ポリアミド樹脂のゴム変性物は好ましくは1phr〜85phr、より好ましくは5phr〜35phrの割合で含有されている。ポリアミド樹脂のゴム変性物の含有量が1phrを下回ると、得られる樹脂組成物は、後述する金属基材との密着性が低下し、一体成形した後の複合成形体において金属基材と樹脂部材との間の密着強度が低下する、または金属基材と樹脂部材との間に無用な隙間が生じる等のおそれがある。ポリアミド樹脂のゴム変性物の含有量が85phrを上回ると、樹脂部材の強度および/または弾性率が低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物はまた、オレフィン系共重合体を含有していてもよい。本発明において、オレフィン系共重合体は、上記熱可塑性樹脂およびポリアミド樹脂のゴム変性物と混合することにより、金属基材に対して樹脂組成物の密着性をさらに高めることができる。
このようなオレフィン系共重合体の例としては、グリシジルエーテル変性エチレン系共重合体、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、およびエチレンアルキルアクリレート共重合体、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
グリシジルエーテル変性エチレン共重合体としては、例えばグリシジルエーテルグラフト変性エチレン共重合体、グリシジルエーテル−エチレン共重合体が挙げられる。グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体としては、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレートグラフト変性エチレン重合体、グリシジルメタクリレート−エチレン共重合体が挙げられる。無水マレイン酸変性エチレン系共重合体としては、例えば無水マレイン酸グラフト変性エチレン重合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−アクリル酸共重合体が挙げられる。エチレンアルキルアクリレート共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂に対し、上記オレフィン系共重合体は好ましくは1phr〜30phr、より好ましくは3phr〜20phrの割合で含有されている。オレフィン系共重合体の含有量が1phrを下回ると、得られる樹脂組成物は、金属基材との密着性について、当該オレフィン系共重合体を含まない樹脂組成物を用いた場合の密着性と比較してほとんど差異を生じないおそれがある。オレフィン系共重合体の含有量が30phrを上回ると、樹脂部材の強度および/または成形性が低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物はまた、金属基材と樹脂部材との間の線膨張率の差異を低減し、かつ得られる複合成形体の機械的強度を高める目的で、充填剤を含有していてもよい。充填剤の例としては、繊維状充填剤、粒状充填剤、および板状充填剤、ならびにそれらの組合せが挙げられ、無機充填剤および/または有機充填剤のいずれも包含する。充填剤の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、石膏繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、クレー、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、アルミボレート、ガラスフレーク、ガラスバルーン、黒鉛、カーボンブラック、アルミナ、フェライト、および硫酸バリウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。充填剤は、シランカップリング剤などのカップリング剤で表面処理したものを用いることが好ましい。
本発明における充填剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂、およびポリアミド樹脂のゴム変性物、ならびに必要に応じて添加され得るオレフィン系共重合体による本発明の効果を阻害しない範囲において、当業者によって適切な量が選択され得る。このような充填剤のより具体的な含有量としては、例えば、熱可塑性樹脂に対して1phr〜300phr、好ましくは20phr〜200phrである。
本発明の樹脂組成物はさらに、その他特性を向上させるために、難燃剤、可塑剤、離型剤、着色剤、流動改質剤、応力緩和剤などの他の添加剤を含有していてもよい。当該他の添加剤の含有量は特に限定されず、当業者によって適切な量が選択され得る。
(複合成形体)
本発明の複合成形体は、金属基材と樹脂部材とを備える。
本発明の複合成形体において、金属基材は、その少なくとも一部の表面が樹脂部材と接触しており、当該金属基材と樹脂部材とは互いに強固に固着している。
金属基材は、切断、プレス等による塑性加工、切削、研削、放電加工等による除肉加工によって、例えば、平板、円盤、角柱、円柱、角錐、円錐、その他を包含する任意の形状に予め成形されたものである。金属基材を構成する金属の例としては、アルミニウム;アルミニウム合金;銅;銅合金;ステンレス鋼;鉄;鉄合金;チタン;チタン合金;金;銀;クロム;スズ;およびマグネシウム合金;アルミニウム、銅、鉄、チタン、金、銀、クロム、スズなどの金属から構成される金属酸化物または金属窒化物;ならびにそれらの組合せが挙げられる。本発明において金属基材を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金、銅、銅合金、およびマグネシウム合金、ならびにそれらの組み合わせが好ましく、アルミニウム合金、ステンレス鋼および銅合金がさらに好ましい。
金属基材は、略平滑であるか、または微細な凹凸を有する表面のいずれを有していてもよい。本発明では、樹脂部材を構成する樹脂組成物が入り込み、無数のアンカー効果を経て、金属基材と樹脂部材との密着性を向上させることができるという理由から、金属基材の表面は微細な凹凸を有することが好ましい。
本発明において、金属基材の表面に存在する微細な凹凸のサイズは特に限定されず、例えば、金属基材の表面には、好ましくは2nm〜10μm、より好ましくは10nm〜300nmの平均開口直径を有する凹部が設けられていてもよい。
本発明における金属基材の表面への微細な凹凸の形成は、例えば、物理的処理および/または化学的処理を通じて行われ得る。
本発明の1つの実施形態では、このような物理的処理は金属基材の表面の研磨である。金属基材の表面を研磨する方法は、当該分野において公知である、本発明では種々の研磨方法が採用され得る。
本発明の1つの実施形態では、このような化学的処理は、金属基材を、当該金属基材を構成する金属に対して侵食能を有するエッチング液と接触(例えば、浸漬、スプレー、塗布)させることが挙げられる。エッチング液は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸;クエン酸などの多塩基酸;安息香酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、フェノールなどのフェノール類;塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムなどの中性塩の水溶液;およびピリジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、アリルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アニリンなどの水溶性アミン類;ならびにそれらの組合せ;のような侵食性成分を含有する。金属基材の表面を上記のような侵食性成分を含有するエッチング液で処理する方法は、当該分野において公知である、本発明では種々のエッチング液による表面処理が採用され得る。
あるいは、本発明において、上記金属基材は、予め洗剤液を含有する洗浄水溶液に浸漬して、その表面を洗浄したものであってもよい。上記洗浄液は、例えば、アルカリ性洗浄液、中性洗浄液および酸性洗浄液を包含する。
上記洗浄液はまた、アルカリ成分、酸性成分、有機溶媒、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせを含有し得る。アルカリ成分の例としては、モノアルカノールアミンなどの水溶性アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化カリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。酸性成分の例としては、クエン酸、硫酸、塩酸、および酢酸、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。有機溶媒の例としては、アセトン、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、およびN,N−ジメチルホルムアミド、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。陰イオン性界面活性剤の例としては、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロブタンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル酢酸、ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、脂肪酸塩、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム、およびアルケニルコハク酸ジカリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。陽イオン性界面活性剤の例としては、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、および塩化セチルピリジニウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セタノール、ステアリルアルコール、およびオレイルアルコール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。両性界面活性剤の例とては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、およびオレイルジメチルアミンオキサイド、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の複合成形体では、上記金属基材の少なくとも一部の表面が該樹脂部材と接して固着されている。本発明の複合成形体における金属基材と樹脂部材との間の単位面積当たりの密着強度(MPa)は、金属基材を構成する金属の種類、樹脂部材を構成する樹脂組成物の成分、金属基材の表面状態、金属基材と樹脂部材との間の固着部分における当該金属基材および/または樹脂部材の形状等によっても変動するため、必ずしも限定されないが、例えば、1MPa〜500MPa、好ましくは3MPa〜500MPaを有する。
(複合成形体の製造方法)
本発明の複合成形体は、例えばインサート成形により製造され得る。より具体的には、本発明においては、まず金属基材が射出成形金型内にインサートされ、その後、当該射出成形金型に上記本発明の樹脂組成物が射出される。射出成形金型に付与される金型温度は特に限定されないが、樹脂組成物が金属基材を充分固着させるために、使用する樹脂の種類に応じて適切な温度が設定され得る。射出圧力、射出時間等の他の成形条件は、当業者によって適切に選択され得る。
このようにして本発明の複合成形体を製造することができる。
本発明は、例えば、樹脂自体が本来有する成形容易性や軽量性を利用して、金属のみでは困難であった複雑な形状の物品やより軽量な一体成形体を提供することが可能である。また、本発明によれば、接着剤を使用することなく一体成形物が得られるため、工程が削減され、環境負荷が低減し、得られる複合成形体の汎用性は一層高くなり、製造現場における人体への負荷も著しく軽減され得る。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(作製例1:試験用金属プレート(1)の作製)
市販洗剤(マジックリン(花王株式会社製);エタノールアミン、アルキルアミンオキシドおよびアルキルグリコシドを含有)を、蒸留水で2%(v/v)に希釈して、洗浄水溶液(1)を得、これを超音波洗浄機内に入れた。次いで、長さ(L)60mm×幅(W)20mm×厚み(T)1mmのアルミニウム(A5052)で構成される金属プレートの表面に付された保護フィルムを除去し、これを、超音波洗浄機の洗浄水溶液(1)中に全体を浸漬させた。その後、超音波洗浄機を、28kHzで10秒間、45kHzで10秒間かつ100kHzで10秒間を1サイクルとして、このサイクルを10分間繰り返して、当該金属プレートの超音波洗浄を行った。
超音波洗浄機から金属プレートを取り出し、当該プレートの表面に蒸留水をかけて、表面に付着した洗浄水溶液(1)を洗い流した。次いで、この金属プレートをビーカーに入れ、プレート全体が浸漬するまで蒸留水を注ぎ、このビーカーを超音波洗浄機内に配置した。その後、超音波洗浄機を、28kHzで10秒間、45kHzで10秒間かつ100kHzで10秒間を1サイクルとして、このサイクルを10分間繰り返して、当該金属プレートのさらなる超音波洗浄を行った。
超音波洗浄機から金属プレートを取り出し、当該プレートの表面に蒸留水かけ、表面の水分を不織布ワイパー(ベンコット リントフリー(旭化成株式会社製)で全て吸い取って、金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)を得た。
(作製例2:試験用金属プレート(2)の作製)
アルミニウム(A5052)で構成される金属プレートの表面に付された保護フィルムを除去し、これに蒸留水を滴下し、3μmのラッピングシート上で研磨した。次いで、金属プレートの研磨した表面を蒸留水で洗浄した。
その後、この金属プレートをビーカーに入れ、プレート全体が浸漬するまで蒸留水を注ぎ、このビーカーを超音波洗浄機内に配置した。その後、超音波洗浄機を、28kHzで10秒間、45kHzで10秒間かつ100kHzで10秒間を1サイクルとして、このサイクルを10分間繰り返して、当該金属プレートのさらなる超音波洗浄を行った。
超音波洗浄機から金属プレートを取り出し、当該プレートの表面に蒸留水かけ、表面の水分を不織布ワイパー(ベンコット リントフリー(旭化成株式会社製)で全て吸い取って、試験用金属プレート(2)(表面研磨Alプレート)を得た。
(作製例3:試験用金属プレート(3)の作製)
アルミニウム(A5052)で構成される金属プレートの代わりに、長さ(L)60mm×幅(W)20mm×厚み(T)1mmの銅(C1100)で構成される金属プレートを用いたこと以外は作製例2と同様にして、試験用金属プレート(3)(表面研磨Cuプレート)を得た。
(作製例4:試験用金属プレート(4)の作製)
アルミニウム(A5052)で構成される金属プレートの代わりに、長さ(L)60mm×幅(W)20mm×厚み(T)1mmのステンレス鋼(SUS304)で構成される金属プレートを用いたこと以外は作製例2と同様にして、試験用金属プレート(4)(表面研磨SUS304プレート)を得た。
(作製例5:試験用金属プレート(5)の作製)
洗浄水溶液(1)の代わりに、市販洗剤(マジックリン(花王株式会社製);エタノールアミン、アルキルアミンオキシドおよびアルキルグリコシドを含有)を蒸留水で0.5%(v/v)に希釈して、洗浄水溶液(2)を得、この洗浄水溶液(2)を用いたこと以外は作製例1と同様にして、試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を得た。
(実施例1:樹脂組成物(A1)の調製および複合成形体(B1)の製造)
ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標))、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)を、以下表2に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込み、(出口)310℃→310℃→300℃→170℃(入口)のシリンダー温度にてスクリュー回転数65rpmで混練して、樹脂組成物(A1)を得た。
調製例1で得られた試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)を、射出成型機(株式会社日本製鋼所製J85AD)の金型内に配置し、上記で得られた樹脂組成物(A1)を以下の表1に示す成形条件にてインサート成形して、図1に示す試験用金属プレート(1)60上に、樹脂製円盤80(直径(Φ)15mm、厚み(T)2mm)が配置された複合成形体(B1)100を得た。
Figure 2017190372
上記で得られた複合成形体(B1)の金属プレートと樹脂製円盤との間の密着強度について、精密万能試験機(株式会社島津製作所製オートグラフAG−10kN−X)を用いて、引張速度1mm/分による引張剪断試験により測定した。得られた結果を表2に示す。
さらに、上記で得られた複合成形体(B1)で使用した樹脂組成物(A1)の曲げ強度および曲げ弾性率を、精密万能試験機(株式会社島津製作所製オートグラフAG−10kN−X)を用い、JIS K7171に基づいて測定した。得られた結果をそれぞれ表2に示す。
(実施例2〜4:樹脂組成物(A2)〜(A4)の調製および複合成形体(B2)〜(B4)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標))、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)を、それぞれ表2に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A2)〜(A4)を得た。
次いで、これらの樹脂組成物(A2)〜(A4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、試験用金属プレート(1)とのインサート成形により、複合成形体(B2)〜(B4)を得た。
得られた複合成形体(B2)〜(B4)について、実施例1と同様にして密着強度、ならびに樹脂組成物(A2)〜(A4)についての曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2017190372
表2に示すように、実施例1〜4で得られた樹脂組成物(A1)〜(A4)を用いると、金属プレートと樹脂製円盤との間の密着強度が高い値を示しており、両者の間で優れた密着性が提供されていたことがわかる。また、ポリアミド樹脂のゴム変性率を増加させても、密着強度の数値は大きく変動しておらず、むしろ樹脂組成物中に、少量のポリアミド樹脂のゴム変性物を含有させていたことにより、複合成形体における金属プレートと樹脂製円盤との間で優れた密着強度が得られていたことがわかる。また、ポリアミド樹脂のゴム変性物の含有量を増加するほど、曲げ弾性率が低下する傾向にあり、これにより複合成形体における樹脂部材の応力緩和性が向上することがわかる。
(実施例5〜7:樹脂組成物(A5)の調製および複合成形体(B5)〜(B7)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標))、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)を、表3に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A5)を得た。
次いで、この樹脂組成物(A5)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例2で得た試験用金属プレート(2)(表面研磨Alプレート)、作製例3で得た試験用金属プレート(3)(表面研磨Cuプレート)、または作製例4で得た試験用金属プレート(4)(表面研磨SUS304プレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、それぞれインサート成形することにより、複合成形体(B5)〜(B7)を得た。
得られた複合成形体(B5)〜(B7)について、実施例1と同様にして密着強度をそれぞれ測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2017190372
表3に示すように、実施例5〜7で得られた樹脂組成物(A5)を用いると、金属プレートを構成する金属種(すなわち、アルミニウム、銅またはステンレス鋼)に関わらず、金属プレートと樹脂製円盤との間の密着強度が高い値を示しており、両者の間で優れた密着性が提供されていたことがわかる。
(実施例8:樹脂組成物(A8)の調製および複合成形体(B8)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標)0220A9)、ポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)および充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)を、それぞれ表4に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A8)を得た。
次いで、この樹脂組成物(A8)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例5で得た試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインサート成形することにより、複合成形体(B8)を得た。
得られた複合成形体(B8)について、実施例1と同様にして密着強度を測定した。得られた結果を表3に示す。
(実施例9:樹脂組成物(A9)の調製および複合成形体(B9)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標)0220A9)、ポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびオレフィン系共重合体(エチレン−アクリル酸メチル共重合体;日本ポリエチレン株式会社製REXPEARL EMA EB140F)を、それぞれ表4に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A9)を得た。
次いで、この樹脂組成物(A9)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例5で得た試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインサート成形することにより、複合成形体(B9)を得た。
得られた複合成形体(B9)について、実施例1と同様にして密着強度を測定した。得られた結果を表4に示す。
(実施例10:樹脂組成物(A10)の調製および複合成形体(B10)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標)0220A9)、ポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびオレフィン系共重合体(無水マレイン酸変性エチレン−アクリル酸吸重合体;日本ポリエチレン株式会社製REXPEARL ET ET220X)を、それぞれ表4に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A10)を得た。
次いで、この樹脂組成物(A10)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例5で得た試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインサート成形することにより、複合成形体(B10)を得た。
得られた複合成形体(B10)について、実施例1と同様にして密着強度を測定した。得られた結果を表4に示す。
(実施例11:樹脂組成物(A11)の調製および複合成形体(B11)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標)0220A9)、ポリアミド樹脂のゴム変性物(日本化薬株式会社製KAYAFLEX BPAM−155)、充填剤(平均繊維径150μmのミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製EFH150−01)、およびオレフィン系共重合体(エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート;アルケマ株式会社製LOTADER GMA AX8840)を、それぞれ表4に示す割合で2軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)に仕込んだこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(A11)を得た。
次いで、この樹脂組成物(A11)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例5で得た試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインサート成形することにより、複合成形体(B11)を得た。
得られた複合成形体(B11)について、実施例1と同様にして密着強度を測定した。得られた結果を表4に示す。
(比較例1:複合成形体(BC1)の製造)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチック株式会社製ジュラファイド(登録商標)0220A9)を用い、かつ試験用金属プレート(1)(2%洗浄Alプレート)の代わりに、作製例5で得た試験用金属プレート(5)(0.5%洗浄Alプレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインサート成形することにより、複合成形体(BC1)を得た。
得られた複合成形体(BC1)について、実施例1と同様にして密着強度を測定した。得られた結果を表4に示す。
Figure 2017190372
表4に示すように、比較例1で得られた樹脂組成物(AC1)と比較して、実施例8で得られた樹脂組成物(A8)を用いると、得られた複合成形体(B8)における金属プレートと樹脂製円盤との間の密着強度が著しく向上しており、金属プレートと樹脂製円盤との間で優れた密着性が提供されていたことがわかる。さらに、実施例8で得られた樹脂組成物(A8)と比較して、実施例9〜11で得られた樹脂組成物(A9)〜(A11)を用いると、得られた複合成形体(B9)〜(B11)における金属プレートと樹脂製円盤との間の密着強度がさらに向上していた。このことから、熱可塑性樹脂にポリアミド樹脂のゴム変性物およびオレフィン系共重合体を共存させることにより、複合成形体における金属プレート(金属基材)と樹脂製円盤(樹脂部材)との間の密着性が一層高まることがわかる。
本発明によれば、金属基材と樹脂部材との間の密着性が向上した成形体を提供することができる。本発明の複合成形体は、例えば、電子機器(例えば、電極やリードフレーム、コイル、半導体、回路基板などの封止用途)、自動車用内装品および搭載品、ならびに医療機器などの構成部品の製造において有用である。
60 試験用金属プレート
80 樹脂製円盤
100 複合成形体

Claims (15)

  1. 金属基材と一体成形するための樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂とポリアミド樹脂のゴム変性物とを含有する、樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂に対し、前記ポリアミド樹脂のゴム変性物が1phrから85phrの割合で含有されている、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂のゴム変性物が、以下の式(I):
    Figure 2017190372
    (ここで、lは1から10の整数であり、mは1から10の整数であり、そしてnは1から50の整数である)で表されるセグメントを有するポリアミドである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミド樹脂のゴム変性物が、以下の式(II):
    Figure 2017190372
    (ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、そしてpは50から5000の整数である)で表されるセグメントを有するポリアミドである、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂のゴム変性物が、以下の式(III):
    Figure 2017190372
    (ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、水酸基および/またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよい2価の芳香族基であり、Arは水酸基を有する2価の芳香族基であり、Arは2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミド樹脂のゴム変性物が、以下の式(IV):
    Figure 2017190372
    (ここで、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立して、2価の芳香族基であり、Xはゴム成分のセグメントであり、pおよびpはそれぞれ独立して整数を表し、そしてp+pは50から5000である)で表されるポリアミドである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  7. 前記式(IV)で表されるポリアミドのArおよびArがそれぞれ独立して2価の多環芳香族基である、請求項6に記載の組成物。
  8. さらに、オレフィン系共重合体を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記オレフィン系共重合体が、グリシジルエーテル変性エチレン系共重合体、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、およびエチレンアルキルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記熱可塑性樹脂に対し、前記オレフィン系共重合体が1phrから30phrの割合で含有されている、請求項8または9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、およびポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1から10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 金属基材および樹脂部材を備える複合成形体であって、
    該金属基材の少なくとも一部の表面が該樹脂部材と接して固着されており、そして
    該樹脂部材が、請求項1から11のいずれかに記載の樹脂組成物から構成されている、複合成形体。
  13. 前記金属基材が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金、およびマグネシウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成されている、請求項12に記載の複合成形体。
  14. 金属基材および樹脂部材を備える複合成形体の製造方法であって、
    金属基材を射出成形金型内にインサートする工程;および
    該射出成形金型に、請求項1から11のいずれかに記載の樹脂組成物を射出して、該金属基材の少なくとも一部の表面に該樹脂組成物を接して固着させる工程;
    を含む、方法。
  15. 前記金属基材が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金、およびマグネシウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成されている、請求項14に記載の方法。
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