JP2017189428A - 圧力型炊飯器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧力調整手段により、内鍋内の圧力が大気圧より高い中圧と、当該中圧より高い高圧とに調整可能に構成し、炊飯制御手段による圧力調整手段を介する圧力制御に関し、中ぱっぱ工程である昇温工程S2から沸騰維持工程S3への移行において、沸騰により内鍋内の圧力が大気圧p0から上昇し、沸騰維持工程S3に、内鍋内の圧力を中圧pmに維持する沸騰維持前期工程S3−1と、当該沸騰維持前期工程S3−1の後、内鍋内の圧力を高圧phに維持する沸騰維持後期工程S3−2とを実施する。
【選択図】図5
Description
炊飯制御において、前記内鍋内の温度を予熱温度から沸騰温度まで昇温する昇温工程を実行した後、前記内鍋内の沸騰状態を維持する沸騰維持工程を実行する炊飯制御手段を備えた圧力型炊飯器に関する。
内鍋内の圧力を大気圧より高い加圧状態に調整する圧力調整手段を備え、
炊飯制御において、前記内鍋内の温度を予熱温度から沸騰温度まで昇温する昇温工程を実行した後、前記内鍋内の沸騰状態を維持する沸騰維持工程を実行する炊飯制御手段を備えた圧力型炊飯器であって、
前記圧力調整手段により、前記内鍋内の圧力が前記大気圧より高い中圧と、当該中圧より高い高圧とに調整可能に構成され、
前記炊飯制御手段による前記圧力調整手段を介する圧力制御に関し、
前記昇温工程から前記沸騰維持工程への移行において、沸騰により前記内鍋内の圧力が前記大気圧から上昇し、
前記沸騰維持工程に、前記内鍋内の圧力を前記中圧に維持する沸騰維持前期工程と、当該沸騰維持前期工程の後、前記内鍋内の圧力を前記高圧に維持する沸騰維持後期工程とを有する点にある。
そして、実質的に遊離水が無くなる沸騰維持後期工程には、内鍋内の圧力を高圧に上昇させて、澱粉のα化を一層促進させる。この沸騰維持後期工程では、遊離水の量が減少しているため、ご飯粒が過度に水分を吸収することはなく、ご飯のべたつき・軟化が起こることはない。
一方、中圧のみで圧力炊飯を行う技術に対し、十分な甘みを引き出すことができる上に、適度な粘りを得ることができる。
前記炊飯制御手段による炊飯制御に関し、前記沸騰維持工程の後に炊き上げ工程を実行する構成で、前記沸騰維持後期工程に引き続く前記炊き上げ工程において前記内鍋内の圧力を前記大気圧より高く前記高圧より低い中圧に維持する点にある。
前記炊飯制御手段による炊飯制御に関し、前記炊き上げ工程の後にむらし工程を実行する構成で、当該むらし工程で前記炊き上げ工程で維持する前記中圧から大気圧まで減圧する当該むらし工程で、前記中圧から大気圧まで減圧する点にある。
前記沸騰維持前期工程から前記沸騰維持後期工程への移行を、前記炊飯制御手段が、前記昇温工程から前記沸騰維持前期工程への移行後の経過時間又は前記昇温工程から前記沸騰維持前期工程への移行後の加熱量に基づいて判定する点にある。
説明に際しては、本発明に係る圧力型炊飯器100のハード構成に関して先ず説明し、その後、炊飯制御に係るソフト側の構成に関して説明する。
炊飯器100は、上端開口の有底筒状をなす内鍋10を着脱自在に収容する炊飯器本体11と、炊飯器本体11に開閉可能に取り付けられた蓋体50とを備えて構成される。
蓋体50は、外蓋51と、当該外蓋51の内鍋10に臨む側に装着可能に構成され、内鍋10の上端開口を密閉する内蓋52とを備え、さらに内蓋52の内鍋10に臨む側に着脱自在な内蓋カバー53を備えている。
従って、この実施形態に示す炊飯器100の蓋体50は、内鍋10側から、内蓋カバー53、内蓋52及び外蓋51を有する構成とされ、内蓋カバー53と内蓋52との間に、「貯留空間Rs」を備え、内蓋52と外蓋51との間に、「蒸気流通空間Rv」を備えている。
図1に示すように、炊飯器本体11は、上下端を開口した筒状をなす胴体12と、胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、胴体12の上端開口を覆うように取り付けた肩体14とからなる外装体を備えて構成されている。
肩体14の略中央には開口部が設けられ、この開口部の下側に、内鍋10の収容部を構成する内胴15と非導電性材料からなる保護枠16とが配設されている。
保護枠16の外面には、内鍋10の底を誘導加熱する加熱手段である誘導加熱コイル17が固定されている。
また、保護枠16の底側外周部には、内鍋10の温度を検出する温度検出手段である温度センサStが配設されている。
図1に示すように、外蓋51は、上板20と下板21とを有する外装体を備え、炊飯器本体11の上部を覆うものである。
上板20の正面側には、外蓋51を開放するための開放操作部材22が配設され、その内部に炊飯器本体11への閉塞状態を維持するためのロック機構(図示せず)が配設されている。
下板21は、炊飯器本体11の背部に形成されたヒンジ接続部23に回転可能に装着されている。閉塞状態で内鍋10の側に位置する下板21の下(内)側面には放熱板24が配設されている。
この外蓋51の下部には、内鍋10内の圧力を検出する圧力センサSpが設けられるとともに、後述する第2の調圧弁43Bの調圧圧力を調整するためのステッピングモータMが備えられている。ただし、図2には、これらの機器Sp、Mの位置を明確にするため、内蓋52上に描いている。
図1、図3に示すように、内鍋10を臨む放熱板24の内面側には、内鍋10の上端開口を閉塞する内蓋52が着脱自在に構成されている。この内蓋52は放熱板24より大きい金属板からなり、外周部に内鍋10の上端開口の内周部を密閉するシール部材28が枠部材29を介して固定されている。図2に示すように、この枠部材29に、外蓋51に備えられる下板21に形成した被係合部30A,30Bに係合される係合部31A,31Bが設けられている。
図2、図3に示すように、内蓋カバー53は、内蓋52における内鍋10内を臨む側に着脱自在に構成されている。この内蓋カバー53はステンレス製であり、平面視において放熱板24と略同一直径の円板状に形成されている。
図3に示すように、内蓋カバー53と内蓋52との間に形成される空間が、内鍋10の内部で発生した蒸気が最初に流入する貯留空間Rsとされている。
ここで、蒸気、液状物質のこの空間Rsへの流入は、内蓋カバー53に備えられる通気部71を介するものであり、貯留空間Rsから蒸気流通空間Rvへの流入は、圧力調整手段Pcとしての調圧弁43A,43Bを介するものである。
先にも示したように、内蓋52と外蓋51との間に形成される空間が、内鍋10の内部で発生した蒸気が貯留空間Rsから流入する蒸気流通空間Rvとされている。
ここで、この空間Rvへの蒸気の流入は、内蓋52に配設した第1及び第2の調圧弁43A,43Bの連通孔46A,46Bを介するものであり、これら連通孔46A,46Bを通過した蒸気は、調圧弁43A,43B内を通って、外蓋51に備えられる下板21下に形成した弁収容部33内に流入する。この弁収容部33は、これまで説明してきた蒸気流通空間Rvの一部である上流側空間Rv1ともされており、この上流側空間Rv1から下流側空間Rv2を介して蒸気出口Ovに至り外部Gへ排出される。
図2及び図3に示すように、内蓋52には、放熱板24の露出孔(図示省略)との対応位置に露出孔42が設けられ、この露出孔42を介して、圧力センサSpにより内鍋10内の圧力を検出可能とされている。また、内蓋52には、上面側に第1及び第2の調圧弁43A,43Bが配設され、これらによって内鍋10内を大気圧より高い設定圧力に昇圧可能としている。
各弁座45A,45Bは、挿通孔44A,44Bを挿通させた上部にカバー48A,48Bを配設することにより、内蓋52に固定される。各カバー48A,48Bには、弁収容部33に連通させる通気孔49A,49Bが設けられている。
第1の調圧弁43Aには、連通孔46Aを開放可能に閉塞する球状部材55が転動可能に配置されている。球状部材55としては、内鍋10内の圧力が、例えば、約0.152MPa(1.5atm)に上昇すると、その蒸気の圧力で連通孔46A上から転動することにより離れる重量のものを使用している。この球状部材55は、図示しないソレノイドにより連通孔46Aから離脱されることにより、球状部材55は、連通孔46Aから離れた開放状態と、連通孔46A上に位置する閉塞状態とに、姿勢切り換え可能とされている。従って、前記開放状態において内鍋10内の圧力はこの調圧弁43Aの影響を受けることはなく、前記閉塞状態において内鍋10内の圧力はその設定圧(この例の場合は1.5atm)に調整される。
第2の調圧弁43Bには、連通孔46Bを閉塞するための弁体56と、この弁体56をその閉塞位置(図3に示す位置から下降した位置)に移動させる作動受部材58と、これらの間に配置したスプリング59と、を備えて構成されている。さらに、第2の調圧弁43Bに付属する形態でステッピングモータM(図1、図2参照)が設けられ、このステッピングモータMの駆動により作動受部材58が下降移動すると、弁体56がスプリング59の付勢力を付加された状態で、連通孔46Bを閉塞する。この構成にあっては、作動受部材58の移動量(図3の上下方向位置)を調整することにより、約0.101〜0.132MPa(1.00〜1.3atm)の範囲で、内鍋10内の圧力を調整することができる。以下、圧力はatmで記載する。
従って、本発明に係る圧力型炊飯器100では、圧力調整手段Pcを成す、第1の調圧弁43A及び第2の調圧弁43Bを備えることにより、内鍋10内の圧力を大気圧より高い中圧「1.00atmより高く、1.3atm以下の圧力」(本実施形態では第2の調圧弁43Bで調整される)と、当該中圧より高い高圧「1.3atmより高く、1.5atm以下の圧力」(本実施形態では第1の調圧弁43Aで調整される)とに調整可能に構成されている。この実施形態の場合、高圧設定値は球状部材55により決まる固定値である。
同図に示すように、この制御システムはマイコンCを主体として構成され、このマイコンCに、温度検出手段としての温度センサSt、圧力検出手段としての圧力センサSp、加熱手段としての誘導加熱コイル17、圧力調整手段Pcとしての第1の調圧弁43Aに備えられるソレノイド及び第2の調圧弁43Bに備えられるステッピングモータMが接続され、炊飯器使用者との間のインターフェイスとして働く入力手段I、表示手段Dが接続して構成されている。
同図において、(a)は本発明に係る圧力型炊飯器100における圧力炊飯制御の炊飯制御パターンを示している。一方、(b−1)(b−2)(b−3)は、比較例とした圧力型炊飯器における圧力炊飯制御の炊飯制御パターンである。
図5には、各炊飯制御パターンにおける加温制御のための給電状態、圧力を示しており、影付領域の高さ及び連続・断続頻度で給電状態(「電力」と記載)を、実線で内鍋10内の圧力(「圧力」と記載)を示している。また、図5(a)には、本発明に係る圧力型炊飯器100における内鍋10の温度(「温度」と記載)を破線で示した。
以上説明した各工程における給電形態は、各炊飯制御パターン(a)(b−1)(b−2)(b−3)全てで、同一とした。
以下に、各工程の移行条件に関して説明しておく。
工程移行は基本的には、温度センサStにより検出される内鍋10の温度に基づいた制御となるが、中ぱっぱ工程(昇温工程)S2等において現在の炊飯負荷(基本的には炊くご飯及び水の量)を推定することが可能となるため、その炊飯負荷に応じた各工程の工程移行後の時間を割り出し、それら時間の経過とともに工程の移行を行うものとしている。この移行判定に関してはマイコンCに備えられる計時手段(図示省略)が働くこととなる。
中ぱっぱ工程S2から沸騰維持工程S3への移行条件も、沸騰温度(例えば95℃)に基づくものとしている。
沸騰維持工程S3における沸騰維持前期工程S3−1から沸騰維持後期工程S3−2への移行条件は、沸騰維持工程S3への移行後の経過時間(例えば3分)に基づくものとしている。
沸騰維持工程S3(沸騰維持後期工程S3−2)から炊き上げ工程S4への移行条件は温度センサStの温度(例えば到達温度120℃)に基づくものとしている。この炊き上げ工程S4における加熱給電量の切換え(低電力から中電力への切換)は、炊き上げ工程S4への移行後の経過時間(例えば3分)に基づくものとしている。
炊き上げ工程S4からむらし・2度炊き工程S5への移行条件は、炊き上げ工程S4への移行後の経過時間(例えば3分)に基づくものとしている。2度炊きのタイミングに関しても同様である。
図5(a)に示すように、予熱工程S1及び中ぱっぱ工程S2は大気圧p0に、沸騰維持工程S3の沸騰維持前期工程S3−1にあっては中圧pmに、沸騰維持後期工程S3−2にあって高圧phとしている。そして、炊き上げ工程S4を中圧pmとし、むらし・2度炊き工程を大気圧p0としている。
以下、本発明の発明者が行った食味テストの結果に関して説明する。
下記する表1に各炊飯制御パターン(a)(b−1)(b−2)(b−3)の評価結果を示した。
表2は、表1に示す評価結果の評価基準を示しており、この評価に際しては、炊飯制御パターン(b−1)を基準(評価「□」)とした。
なお、本発明の圧力型炊飯器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
本発明では、内鍋内の圧力が制御可能であるため、上記の経過時間、加熱量を、この圧力に対応して適切に設定することができ、好ましい。
(5)さらに、炊き上げ工程での給電量を、前半で低く、後半で高くしたが、時間経過とともに高くしてもよい。さらに、むらし工程で・2度炊きを行う例を示したが、2度炊きをしなくてもよい。
(6)上記の実施形態では、内蓋カバーを備える例を示したが、この内蓋カバーを備えなくてもよい。
11 炊飯器本体
17 誘導加熱コイル
33 弁収容室
43A,43B 調圧弁(圧力調整手段)
46A,46B 連通孔
50 蓋体
51 外蓋
52 内蓋
G 外部
Ov 蒸気出口
S1 予熱工程
S2 中ぱっぱ工程(昇温工程)
S3 沸騰維持工程
S3−1沸騰維持前期工程
S3−2沸騰維持後期工程
S4 炊き上げ工程
S5 むらし・2度炊き工程(むらし工程)
Claims (4)
- 内鍋内の圧力を大気圧より高い加圧状態に調整する圧力調整手段を備え、
炊飯制御において、前記内鍋内の温度を予熱温度から沸騰温度まで昇温する昇温工程を実行した後、前記内鍋内の沸騰状態を維持する沸騰維持工程を実行する炊飯制御手段を備えた圧力型炊飯器であって、
前記圧力調整手段により、前記内鍋内の圧力が前記大気圧より高い中圧と、当該中圧より高い高圧とに調整可能に構成され、
前記炊飯制御手段による前記圧力調整手段を介する圧力制御に関し、
前記昇温工程から前記沸騰維持工程への移行において、沸騰により前記内鍋内の圧力が前記大気圧から上昇し、
前記沸騰維持工程に、前記内鍋内の圧力を前記中圧に維持する沸騰維持前期工程と、当該沸騰維持前期工程の後、前記内鍋内の圧力を前記高圧に維持する沸騰維持後期工程とを有する圧力型炊飯器。 - 前記炊飯制御手段による炊飯制御に関し、前記沸騰維持工程の後に炊き上げ工程を実行する構成で、前記沸騰維持後期工程に引き続く前記炊き上げ工程で前記内鍋内の圧力を前記大気圧より高く前記高圧より低い中圧に維持する請求項1記載の圧力型炊飯器。
- 前記炊飯制御手段による炊飯制御に関し、前記炊き上げ工程の後にむらし工程を実行する構成で、当該むらし工程で前記炊き上げ工程で維持する前記中圧から大気圧まで減圧する請求項2記載の圧力型炊飯器。
- 前記沸騰維持前期工程から前記沸騰維持後期工程への移行を、前記炊飯制御手段が、前記昇温工程から前記沸騰維持前期工程への移行後の経過時間、又は前記昇温工程から前記沸騰維持前期工程への移行後の加熱量に基づいて判定する請求項1〜3の何れか一項記載の圧力型炊飯器。
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