JP2017185907A - ガス発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型軽量化、環境温度に起因するガス出力の性能差の低減、作動時における安全性の向上およびエアバッグに対するダメージの低減が図られたガス発生器を提供する。【解決手段】ガス発生器は、周壁部22に周方向に沿って互いに重ならないように配置された複数個のガス噴出口を有し、複数個のガス噴出口は、それぞれが1組または2組以上からなる第1ないし第3ガス噴出口群のみにて構成される。第1ないし第3ガス噴出口群の各々に含まれるガス噴出口同士は、互いに同一の開放圧を有し、第2ガス噴出口群に含まれるガス噴出口23bは、第1ガス噴出口群に含まれるガス噴出口23aよりも開放圧が高く、第3ガス噴出口群に含まれるガス噴出口23cは、第2ガス噴出口群に含まれるガス噴出口23bよりも開放圧が高い。1組のガス噴出口群の各々に含まれるガス噴出口は、いずれも120°以下の角度をもって回転対称性を有するように均等に配置される。【選択図】図3

Description

本発明は、車両等衝突時に乗員を保護する乗員保護装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、自動車等に装備されるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関する。
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を発火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
ガス発生器には、種々の構造のものが存在するが、運転席側エアバッグ装置や助手席側エアバッグ装置等に好適に利用できるガス発生器として、外径が比較的大きい短尺略円柱状のディスク型ガス発生器があり、サイドエアバッグ装置やカーテンエアバッグ装置、ニーエアバッグ装置等に好適に利用できるガス発生器として、外径が比較的小さい長尺略円柱状のシリンダ型ガス発生器がある。
ガス発生器においては、作動時においてガス発生剤を安定して持続的に燃焼させることが重要である。ガス発生剤を安定して持続的に燃焼させるためには、ガス発生剤を所定の高圧環境下に置くことが必要であるため、ガス発生器においては、ハウジングに設けられる複数個のガス噴出口の大きさを所望の大きさに絞ることにより、作動時においてハウジングの内部の空間の圧力が相当程度にまで高まるようにその設計がなされている。
しかしながら、ガス発生器の出力特性は、当該ガス発生器が置かれた周囲環境の影響を受け、特にその環境温度に依存し、高温環境下において出力特性が強まり、低温環境下において出力特性が弱まる傾向にある。すなわち、高温環境下においては、ガスがより早くかつより強く噴出することになり、低温環境下においては、ガスがより遅くかつより弱く噴出することになる。そのため、特に低温環境下においては、ガス噴出口が開放されることでハウジングの内部の圧力に大幅な落ち込みが発生し易くなり、ガス発生剤の持続的な燃焼が阻害されてガス出力に不足が生じてしまうおそれがある。
この環境温度に起因したガス出力の性能差を低減することを目的として、たとえば国際公開第2015/163290号(特許文献1)には、ハウジングに設けられる複数個のガス噴出口としてその開放圧が異なるものを含むように構成されたディスク型ガス発生器が開示されている。このように構成されたガス発生器においては、ハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴って複数個のガス噴出口が段階的に開放されることになる。
したがって、ハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴って一斉にすべてのガス噴出口が開放されるように構成されたガス発生器に比べ、特に低温環境下において、内圧上昇に大幅な落ち込みが発生することが防止できることになる。そのため、高温環境下から低温環境下までのいずれの温度環境下においてもガス発生剤を持続的に燃焼させることが可能になり、結果として環境温度に起因したガス出力の性能差を低減することが可能になる。
なお、上記特許文献1の図10ないし図12には、開放圧が3段階に設定されてなる複数個のガス噴出口をハウジングの周壁部に設けることにより、作動時におけるハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴って複数個のガス噴出口が3段階に分けて開放されるように構成されたディスク型ガス発生器が開示されている。ここで、ディスク型ガス発生器に求められる一般的な仕様を考慮した場合には、このように複数個のガス噴出口が3段階に分けて開放されるように設定されていることが好ましい。
国際公開第2015/163290号
一方、近年においては、ガス発生器の小型軽量化が強く求められている。ガス発生器の小型軽量化を図るためには、耐圧容器であるハウジングの厚みを薄型化することが効果的であるが、ハウジングの厚みを単に薄くした場合には、ハウジングの耐圧性能を十分に確保することができなくなってしまう。そのため、ガス発生器の小型軽量化を図るためには、作動時におけるハウジングの内部の空間の圧力をガス発生剤が安定して持続的に燃焼することができる範囲で相当程度にまで下げることが不可欠となる。
作動時におけるハウジングの内部の空間の圧力を下げるためには、複数個にわたって設けられるガス噴出口の総開口面積を増加させることが考えられるが、単純に個々のガス噴出口の開口面積を大きくした場合には、作動時においてハウジングの内部の空間の圧力を高めることができなくなってしまう。そのため、ハウジングに設けられる複数個のガス噴出口の個々の開口面積を小さく抑えつつ、その数を増やすことが効果的である。
ここで、上記特許文献1の図10ないし図12に開示されたディスク型ガス発生器においては、合計で8個のガス噴出口がハウジングの周壁部に設けられているのみの構成であるため、ガス発生器の小型軽量化の点においては、未だ改善の余地がある。
また、上記特許文献1の図10ないし図12に開示されたディスク型ガス発生器においては、合計で8個のガス噴出口がハウジングの周壁部の周方向に沿って均等に設けられており、開放圧の最も小さい2個のガス噴出口が、ハウジングの周壁部の軸線を中心として180[°]の回転対称性をもって配置されており、開放圧が次に小さい4個のガス噴出口が、ハウジングの周壁部の軸線を中心として90[°]の回転対称性をもって配置されており、開放圧が最も大きい2個のガス噴出口が、ハウジングの周壁部の軸線を中心として180[°]の回転対称性をもって配置されている。
ここで、ガス発生器の作動時においては、ガス噴出口から噴出されるガスによって当該ガス発生器に対して大きな推力が働くことになる。そのため、万が一、ガス発生器を固定する固定部材(たとえばエアバッグ装置のリテーナ等)の固定力に不足(たとえば経年劣化による固定力の低下等)が生じていた場合には、作動時における安全性が確保できないおそれが生じる。
この点、上記特許文献1の図10ないし図12に開示されたディスク型ガス発生器においては、同時に開放されるガス噴出口がハウジングの周壁部の軸線を挟んだ対向位置に配置されているため、ガス噴出口から噴出されるガスによってガス発生器に加えられることになる推力が互いに相殺し合うこととなり、実質的にはディスク型ガス発生器に外力が加わっていない状態と等しくなり、基本的には作動時における安全性が確保できることになる。
しかしながら、開放圧の最も小さい2個のガス噴出口が開放された直後(上記特許文献1の図12(A)参照)においては、ハウジングの周壁部の周方向の2箇所の位置においてのみガスが噴出されることになるため、万が一、ガス発生器を固定する固定部材の固定力がハウジングの周方向における一部の位置においてのみ不足していた場合等には、ガス発生器に加わる推力のバランスが崩れ易くなってしまい、これが崩れた場合には結果としてディスク型ガス発生器に大きな外力が加わってしまうこととなるため、この点においてさらなる改善の余地があるものと言える。
また、開放圧が次に小さい4個のガス噴出口が開放された直後(上記特許文献1の図12(B)参照)においても、ハウジングの周壁部の周方向の2箇所の位置に偏ってガスが噴出されることになるため、上記の場合と同様に、さらなる改善の余地があるものと言える。
加えて、開放圧の最も小さい2個のガス噴出口が開放された直後や開放圧が次に小さい4個のガス噴出口が開放された直後の時点においては、エアバッグが未だ十分には展開しておらず、そのため開放されたガス噴出口とエアバッグとの間の距離とが非常に近い状態にある。したがって、上記特許文献1の図10ないし図12に開示のディスク型ガス発生器においては、ハウジングの周壁部の周方向の2箇所の位置あるいはこれら位置を含む周方向に偏った2箇所の位置からガスが噴出される構成であることに伴い、噴出された高温高圧のガスがエアバッグのうちの局所的な部分に集中して噴き付けられてしまうことになりかねず、その結果エアバッグにダメージを与える可能性もあり、この点においても改善の余地がある。
ここで、ガス発生器の小型軽量化のために、上述したハウジングに設けられる複数個のガス噴出口の個々の開口面積を小さく抑えつつその数を増やす構成を、上記特許文献1の図10ないし図12に開示のディスク型ガス発生器に適用しようとした場合にも、当該数が増やされた複数個のガス噴出口の各々を、ハウジングの周壁部のいずれの位置にどのような順序で配置するかにより、その性能には大きな差が生じてくることになる。
したがって、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたガス発生器を提供することを目的とする。
本発明に基づくガス発生器は、ハウジングと、ガス発生剤と、点火器と、シール部材とを備えている。上記ハウジングは、複数個のガス噴出口が設けられた筒状の周壁部を有しており、上記周壁部の軸方向の一端部および他端部は、閉塞されている。上記ガス発生剤は、上記ハウジングの内部に位置する収容空間に配置されている。上記点火器は、上記ガス発生剤を燃焼させるためのものであり、上記ハウジングに組付けられている。上記シール部材は、上記複数個のガス噴出口を閉鎖している。上記複数個のガス噴出口は、複数組のガス噴出口群にて構成されている。上記複数組のガス噴出口群は、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第1開放圧を有する複数個の第1ガス噴出口からなる1組または2組以上の第1ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第2開放圧を有する複数個の第2ガス噴出口からなる1組または2組以上の第2ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第3開放圧を有する複数個の第3ガス噴出口からなる1組または2組以上の第3ガス噴出口群と、のみを有している。上記第2開放圧は、上記第1開放圧よりも高く、上記第3開放圧は、上記第2開放圧よりも高い。上記複数個のガス噴出口は、上記周壁部の周方向において互いに重ならないように配置されている。
ここで、上述したガス噴出口群の決定に際しては、可能な限り多くのガス噴出口によって1組のガス噴出口群が構成されるように、これを決定することとする。すなわち、たとえばハウジングの周壁部に周方向に沿って同一の開放圧を有する4個のガス噴出口が設けられている場合には、これを、180[°]の回転対称性をもって配置された2個のガス噴出口からなるガス噴出口群と、180[°]の回転対称性をもって配置された2個のガス噴出口からなるガス噴出口群との合計で2組のガス噴出口群にて構成されていると看做すこともできるが、そのように看做すこととはせず、この場合には、90[°]の回転対称性をもって配置された4個のガス噴出口からなる1組のガス噴出口群にて構成されていると看做すこととする。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記シール部材が、上記周壁部の内周面に貼り付けられた少なくとも1枚以上のシールテープにて構成されていることが好ましい。その場合には、上記複数個のガス噴出口のうちの上記周壁部の周方向において隣り合うガス噴出口の端部間の直線距離が7.0[mm]以上である壁領域が、上記周壁部の周方向に沿って上記周壁部に複数設けられていることが好ましく、また、上記シールテープの延在方向に位置する一対の端部が、複数の上記壁領域のうちのいずれかに位置していることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記シールテープが、その延在方向が上記周壁部の周方向に合致するように上記周壁部の内周面に貼り付けられた帯状の1枚のシールテープにて構成されていることが好ましく、その場合には、上記帯状の1枚のシールテープの延在方向に位置する一対の端部が、複数の上記壁領域のうちのいずれか1つに位置していることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記複数個のガス噴出口のすべてが、上記周壁部の周方向に沿って一列に並んで配置されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記複数個の第1ガス噴出口、上記複数個の第2ガス噴出口および上記複数個の第3ガス噴出口のうちの少なくともいずれかが、上記周壁部の周方向に沿った開口幅よりも上記周壁部の軸方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有していることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記複数個のガス噴出口のうち、上記第3ガス噴出口群に含まれるガス噴出口を除いた残りのすべてのガス噴出口が、上記周壁部の周方向に沿って均等に配置されていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記複数個の第1ガス噴出口の各々の開口面積の和が、上記複数個の第2ガス噴出口の各々の開口面積の和と上記複数個の第3ガス噴出口の各々の開口面積の和との総和よりも小さいことが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記複数個の第1ガス噴出口、上記複数個の第2ガス噴出口および上記複数個の第3ガス噴出口のうちの少なくともいずれかが、1個のガス噴出口の開口面積をS[mm2]とし、当該1個のガス噴出口の周長をC[mm]とした場合に、これらSおよびCが、S/C≦0.27×S0.5の条件を満たす形状を有していることが好ましい。
本発明によれば、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたガス発生器とすることができる。
本発明の実施の形態1におけるディスク型ガス発生器の正面図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の概略断面図である。 図1および図2中に示すIII−III線に沿った上部側シェルおよびシールテープの断面図である。 図1および図3に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。 本発明の実施の形態におけるガス発生器の作動時において、ガス噴出口が段階的に開放される様子を模式的に表わした図である。 本発明の実施の形態におけるガス発生器の作動時のガス噴出口近傍の状態を模式的に表わした図である。 本発明の実施の形態2におけるディスク型ガス発生器の正面図である。 図7中に示すVIII−VIII線に沿った上部側シェルおよびシールテープの断面図である。 本発明の実施の形態3におけるディスク型ガス発生器の上部側シェルおよびシールテープの断面図である。 図9に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。 本発明の実施の形態4におけるディスク型ガス発生器の上部側シェルおよびシールテープの断面図である。 図11に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるディスク型ガス発生器の正面図であり、図2は、図1に示すディスク型ガス発生器の概略断面図である。まず、これら図1および図2を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aは、軸方向の一端部および他端部が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、伝火薬56、ガス発生剤61、下部側支持部材70、上部側支持部材80、クッション材85およびフィルタ90等が収容されることで構成されている。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容された燃焼室60が位置している。
短尺略円筒状のハウジングは、下部側シェル10と上部側シェル20とを含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。これにより、ハウジングの軸方向の一端部および他端部は、それぞれ底板部11と天板部21とによって閉塞されている。なお、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
図2に示すように、下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、上述した保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視した状態において非点対称形状(たとえばD字状、樽型形状、長円形状等)の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
点火器40は、火炎を発生させるためのものであり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42とを備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する基部とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび基部は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
点火器40は、保持部30の成形の際に、開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態とされ、この状態において点火器40と下部側シェル10との間の空間を充填するように上述した流動性樹脂材料が流し込まれることにより、保持部30を介して底板部11に固定される。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。なお、開口部15は、上述したように平面視非点対称形状に形成されているため、当該開口部15を連結部33で埋め込むことにより、これら開口部15および連結部33は、保持部30が底板部11に対して回転してしまうことを防止する回り止め機構としても機能する。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させることにより、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
なお、ここでは、樹脂成形部からなる保持部30を射出成形することで下部側シェル10に対する点火器40の固定を可能にした場合の構成例を例示したが、下部側シェル10に対する点火器40の固定に他の代替手段を用いることも可能である。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、内部に伝火薬56が収容された伝火室55を含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた伝火室55が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容された燃焼室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、上述した伝火室55を規定する頂壁部51および側壁部52と、側壁部52の開口端側の部分から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下部側支持部材70との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下部側支持部材70とによって挟み込まれている。ここで、下部側支持部材70は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材85、上部側支持部材80および天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下部側支持部材70によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。これにより、カップ状部材50の固定にかしめ固定や圧入固定を利用せずとも、カップ状部材50が底板部11から脱落することが防止される。
カップ状部材50は、頂壁部51および側壁部52のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室55を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火薬56が着火された場合に伝火室55内の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂または溶融するものであり、その機械的強度は比較的低いものが使用される。
そのため、カップ状部材50としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
なお、カップ状部材50としては、このようなものの他にも、鉄や銅等に代表されるような機械的強度の高い金属製の部材からなり、その側壁部52に開口を有し、当該開口を閉鎖するようにシールテープが貼着されたもの等を利用することも可能である。また、カップ状部材50の固定方法も、上述した下部側支持部材70を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
伝火室55に充填された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬56としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物などが用いられる。伝火薬56は、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬56の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
ハウジングの内部の空間のうち、上述したカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容された燃焼室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成された燃焼室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の側壁部52の外表面に面する部分に設けられた空間ならびに頂壁部51の外表面に面する部分に設けられた空間が燃焼室60として構成されている。
また、ガス発生剤61が収容された燃焼室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ90が配置されている。フィルタ90は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されている。
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ90は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの、あるいは孔あき金属板を巻き回したもの等が利用される。ここで、網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用される。また、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ90は、燃焼室60にて発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、燃焼室60内にて発生したガスが確実にフィルタ90中を通過するようにすることが必要である。なお、フィルタ90は、ハウジングの周壁部を構成する上部側シェル20の周壁部22および下部側シェル10の周壁部12との間で所定の大きさの間隙部25が構成されることとなるように、当該周壁部12,22から離間して配置されている。
図1および図2に示すように、フィルタ90に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、複数個のガス噴出口23が設けられている。この複数個のガス噴出口23は、フィルタ90を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
また、図2に示すように、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口23を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ24が貼り付けられている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ24によって燃焼室60の気密性が確保されている。なお、本実施の形態においては、当該シール部材が、帯状の1枚のシールテープ24によって構成されている。
ここで、図1に示すように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、複数個のガス噴出口23が、それぞれ互いに形状の異なる3種類のガス噴出口(すなわち、複数個の第1ガス噴出口23a、複数個の第2ガス噴出口23bおよび複数個の第3ガス噴出口23c)を含んでいる。これら3種類のガス噴出口は、ディスク型ガス発生器1Aの作動時において、ガス発生剤61の燃焼に伴うハウジングの内部の空間である上述した収容空間の圧力上昇に伴って段階的に開放されることとなるように、互いに異なる開放圧を有するように構成されたものである。
なお、燃焼室60と複数個のガス噴出口23との間には、上述したようにフィルタ90と間隙部25とが位置しているが、フィルタ90のガスに対する流動抵抗は比較的小さいため、上記収容空間の圧力は、実質的には燃焼室60の内圧と等しくなる。そのため、以下の説明においては、収容空間の圧力に代えて、これを燃焼室60の内圧と称する場合もある。
上述した第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、その開口形状が互いに相違することによってそれらの開放圧が互いに異なるように構成されている。このように、互いに異なる開放圧を有する複数種類のガス噴出口23を有することにより、特に低温環境下において、作動時に燃焼室60の内圧上昇に大幅な落ち込みが発生することが防止でき、意図した燃焼特性を得ることが可能になるが、その詳細ならびに当該複数種類のガス噴出口23のより詳細な構成については、後述することとする。
再び図2を参照して、燃焼室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下部側支持部材70が配置されている。下部側支持部材70は、環状の形状を有しており、フィルタ90と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と底板部11とに実質的に宛がわれて配置されている。これにより、下部側支持部材70は、燃焼室60の上記端部近傍において、底板部11とガス発生剤61との間に位置している。
下部側支持部材70は、フィルタ90の底板部11側に位置する軸方向端部の内周面に当接するように立設された当接部72と、当該当接部72から径方向内側に向けて延設された底部71とを有している。底部71は、下部側シェル10の底板部11の内底面に沿って延びるように形成されている。具体的には、底部71は、突状筒部13が設けられた部分を含む底板部11の内底面の形状に沿うように折り曲げられた形状を有しており、その径方向内側の部分に立設された先端部73を含んでいる。
当該下部側支持部材70は、作動時において、燃焼室60にて発生したガスが、フィルタ90の下端と底板部11との間の隙間からフィルタ90の内部を経由することなく流出してしまうことを防止するための流出防止手段として機能する。下部側支持部材70は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
ここで、上述したカップ状部材50の延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下部側支持部材70の底部71との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と底部71とによって挟み込まれて保持されている。これにより、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下部側支持部材70の底部71によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。
燃焼室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上部側支持部材80が配置されている。上部側支持部材80は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ90と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上部側支持部材80は、燃焼室60の上記端部近傍において、天板部21とガス発生剤61との間に位置している。
上部側支持部材80は、天板部21に当接する底部81と、当該底部81の周縁から立設された当接部82とを有している。当接部82は、フィルタ90の天板部21側に位置する軸方向端部の内周面に当接している。
当該上部側支持部材80は、作動時において、燃焼室60にて発生したガスが、フィルタ90の上端と天板部21との間の隙間からフィルタ90の内部を経由することなく流出してしまうことを防止するための流出防止手段として機能する。上部側支持部材80は、下部側支持部材70と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上部側支持部材80の内部には、燃焼室60に収容されたガス発生剤61に接触するように環状形状のクッション材85が配置されている。これにより、クッション材85は、燃焼室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。このクッション材85は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
次に、図2を参照して、上述した本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aの動作について説明する。
本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室55に収容された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼し、多量の熱粒子を発生させる。この伝火薬56の燃焼によってカップ状部材50は破裂または溶融し、上述の熱粒子が燃焼室60へと流れ込む。
流れ込んだ熱粒子により、燃焼室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。燃焼室60にて発生したガスは、フィルタ90の内部を通過し、その際、フィルタ90によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去されて間隙部25に流れ込む。
ハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴い、上部側シェル20に設けられたガス噴出口23を閉鎖していたシールテープ24が開裂し、当該ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。その際、複数個のガス噴出口23は、段階的に開放されることになり、噴出されたガスは、ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開する。
図3は、図1および図2中に示すIII−III線に沿った上部側シェルおよびシールテープの断面図であり、図4は、図1および図3に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。以下、これら図3および図4ならびに前述の図1を参照して、上部側シェル20の周壁部22に設けられた第1ないし第3ガス噴出口23a〜23cのより詳細な構成について説明する。
図1および図3に示すように、本実施の形態においては、上述した第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cが、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定のルールに従って一列に並んで設けられている。より詳細には、複数個のガス噴出口23は、その総数が24個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って15[°]間隔で均等に配置されている。
第1ガス噴出口23aは、その数が4個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って90[°]ごとに配置されている。第2ガス噴出口23bは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って45[°]、90[°]、45[°]、90[°]、・・・ごとに配置されている。第3ガス噴出口23cは、その数が12個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って30[°]ごとに配置されている。
ここで、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って、第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23cの順でこれを1組として4組繰り返されるように配置されている。これにより、複数個のガス噴出口23は、上部側シェル20の周壁部22の周方向において互いに重ならないように配置されることになる。
図1および図4(A)に示すように、第1ガス噴出口23aは、互いに直交する方向における開口幅が異なる長孔形状を有しており、より詳細には、上部側シェル20の周壁部22の軸方向に沿った開口幅L1(以下、この周壁部22の軸方向に沿った開口幅L1を、長さL1とも称する)が、当該周壁部22の周方向に沿った開口幅W1(以下、この周壁部22の周方向に沿った開口幅W1を、単に幅W1とも称する)よりも大きい縦長孔形状を有している。厳密には、第1ガス噴出口23aは、周壁部22の軸方向に沿って並行して延在する一対の開口縁部を有するトラック孔にて構成されている。
図1および図4(B)に示すように、第2ガス噴出口23bは、互いに直交する方向における開口幅が異なる長孔形状を有しており、より詳細には、上部側シェル20の周壁部22の軸方向に沿った開口幅L2(以下、この周壁部22の軸方向に沿った開口幅L2を、長さL2とも称する)が、当該周壁部22の周方向に沿った開口幅W2(以下、この周壁部22の周方向に沿った開口幅W2を、単に幅W2とも称する)よりも大きい縦長孔形状を有している。厳密には、第2ガス噴出口23bは、周壁部22の軸方向に沿って並行して延在する一対の開口縁部を有するトラック孔にて構成されている。
図1および図4(C)に示すように、第3ガス噴出口23cは、互いに直交する方向における開口幅が異なる長孔形状を有しており、より詳細には、上部側シェル20の周壁部22の軸方向に沿った開口幅L3(以下、この周壁部22の軸方向に沿った開口幅L3を、長さL3とも称する)が、当該周壁部22の周方向に沿った開口幅W3(以下、この周壁部22の周方向に沿った開口幅W3を、単に幅W3とも称する)よりも大きい縦長孔形状を有している。厳密には、第3ガス噴出口23cは、周壁部22の軸方向に沿って並行して延在する一対の開口縁部を有するトラック孔にて構成されている。
すなわち、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、いずれも縦長孔形状を有しており、これによりすべてのガス噴出口23が縦長孔形状を有していることになる。
図4(A)ないし図4(C)を参照して、第1ガス噴出口23aの1個当たりの開口面積(第1開口面積に該当)をS1とし、第2ガス噴出口23bの1個当たりの開口面積(第2開口面積に該当)をS2とし、第3ガス噴出口23cの1個当たりの開口面積(第3開口面積に該当)をS3とすると、これらS1〜S3は、S1>S2>S3の条件を満たしている。すなわち、第2ガス噴出口23bの開口面積S2は、第1ガス噴出口23aの開口面積S1よりも小さく、第3ガス噴出口23cの開口面積S3は、第2ガス噴出口23bの開口面積S2よりも小さい。
図3を参照して、上部側シェル20の内周面には、上述したようにシールテープ24が貼り付けられており、当該シールテープ24によってこれら総数で24個のガス噴出口23の各々が閉鎖されている。ここで、シールテープ24は、その延在方向における一端部24aおよび他端部24bが概ね突き合わされるように貼り付けられており、総数で24個のガス噴出口23の各々は、この1枚のシールテープ24によって覆われることになる。
ここで、シールテープ24の剪断強度(引張強度)をFとし、ガス噴出口23を閉鎖する部分のシールテープ24の厚みをtとし、ガス噴出口の周長をC(図4に示す周長C1〜C3が、当該周長Cに該当する)とし、ガス噴出口23の開口面積をS(上述した開口面積S1〜S3が、当該開口面積Sに該当する)とした場合に、当該ガス噴出口の開放圧は、F×t×C/Sで表わされる。
そのため、上述した周長C1〜C3および開口面積S1〜S3が適切に調節されることにより、本実施の形態においては、第1ガス噴出口23aの開放圧が最も低く、第2ガス噴出口23bの開放圧が次に低く、第3ガス噴出口23cの開放圧が最も高く設定されている。
当該開放圧の設定に際し、上記式から理解されるように、開口面積Sが同じである場合にも周長Cを長く設定することにより、開放圧を高めることができる。換言すれば、本実施の形態のように、複数個のガス噴出口23のいずれもが縦長孔形状を有するように構成することにより、ハウジングの耐圧性能の低下を抑制するために隣り合うガス噴出口23同士の間の間隔を十分に確保しつつ開放圧を種々設定できることになり、単純に複数個のガス噴出口の一部を正円形状のまま相似形に大型化させて複数個のガス噴出口の総開口面積を増加させつつ、複数個のガス噴出口の開放圧を段階的に設定した場合に比べ、設計の自由度が大幅に増し、結果としてディスク型ガス発生器1Aの小型化が可能になる。
ここで、フィルタ90として、上述したステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたものを利用する場合においては、作動時においてガス噴出口23から噴き出されるガスの圧力により、当該ガス噴出口23に面する部分のフィルタ90に変形が生じて当該変形部分が外部に向けて押し遣られ、結果としてこれがガス噴出口23から外部に向けて食み出してしまう現象が生じることがある。
この現象は、ガス噴出口23の形状を正円形状とした場合に発生し易く、非正円形状とした場合に発生し難くなる。これは、ガス噴出口23の形状を非正円形状とした場合に、当該形状のガス噴出口23における角部や隅部等においてガスに対する流動抵抗が上昇し、ガス噴出口23の開口面積に比して実際に通流するガスの流量が全体として低く抑えられ、上述したフィルタ90を外部に向けて押し遣る力が軽減されるためと推察される。
当該観点に基づけば、ガス噴出口23の形状は、上述した縦長孔形状等に代表される如くの非正円形状とすることが好ましく、特に開放圧を低く設定するために開口面積が大きくとられたものほど、非正円形状とすることが好ましい。なお、ここで言う非正円形状には、様々な形状が含まれ、上述した縦長孔形状の他にも、横長孔形状、斜め長孔形状等が挙げられ、さらには十字状、V字状、T字状およびこれらを中心周りに回転させた形状等が挙げられる。
これを定量化して示した場合には、複数個の第1ガス噴出口23a、複数個の第2ガス噴出口23bおよび複数個の第3ガス噴出口23cのうちの少なくともいずれかは、1個のガス噴出口の開口面積をS[mm2]とし、当該1個のガス噴出口の周長をC[mm]とした場合に、これらSおよびCが、S/C≦0.27×S0.5の条件を満たす形状のガス噴出口にて構成されていることが好ましく、さらにはS/C≦0.22×S0.5の条件を満たしていることがなお好ましいことになる。
図5は、本実施の形態におけるガス発生器の作動時において、ガス噴出口が段階的に開放される様子を模式的に表わした図である。以下、この図5を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいて、特に低温環境下において、作動時に内圧上昇に大幅な落ち込みが発生することが防止できる理由について説明する。なお、図5(A)、図5(B)および図5(C)は、それぞれ作動開始から所定時間が経過した時点での状態を模式的に表わしたものであり、図5(A)、図5(B)、図5(C)の順に経過時間が長くなっている。
本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aが作動すると、ガス発生剤61が燃焼を開始し、これに伴って燃焼室60の内圧が上昇し始める。本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、当該燃焼室60の内圧が上昇する過程において、複数個のガス噴出口23が段階的に開放される。
作動開始後の第1段階においては、燃焼室60の内圧が、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cのいずれをも開放させることができる圧力にまで到達しておらず、これら第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cが開放されることはなく、内圧が上昇をし続ける。
作動開始後の第2段階においては、燃焼室60の内圧が、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cのうちで最も低い開放圧を有する4個の第1ガス噴出口23aを開放させることができる内圧P1に達し、これに伴い、図5(A)に示すように、当該4個の第1ガス噴出口23aを覆う部分のシールテープ24が開裂し、開放した4個の第1ガス噴出口23aを介してガスが噴出される。これにより、作動開始から比較的短時間のうちにガス出力が得られることになり、エアバッグの膨張および展開を早期に開始させることができる。
ここで、上記作動開始時後の第2段階においては、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cが未だ開放されていない状態にあるため、燃焼室60の内圧が適切な高圧状態に維持されることになり、燃焼室60の内圧が極端に落ち込むことがなくなる。したがって、ガス発生剤61の安定的な燃焼が継続されることになり、エアバッグの膨張および展開が持続できることになる。
作動開始後の第3段階においては、燃焼室60の内圧が、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cのうちで第1ガス噴出口23aの次に低い開放圧を有する8個の第2ガス噴出口23bを開放させることができる内圧P2に達し、これに伴い、図5(B)に示すように、当該8個の第2ガス噴出口23bを覆う部分のシールテープ24が開裂し、既に開放されている4個の第1ガス噴出口23aを含め、開放された合計12個の第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bを介してガスが噴出される。
ここで、上記作動開始時後の第3段階においては、第3ガス噴出口23cが未だ開放されていない状態にあるため、燃焼室60の内圧が適切な高圧状態に維持されることになり、燃焼室60の内圧が極端に落ち込むことがなくなる。したがって、ガス発生剤61の安定的な燃焼が継続されることになり、エアバッグの膨張および展開が持続できることになる。
作動開始後の第4段階においては、燃焼室60の内圧が、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cのうちで最も高い開放圧を有する12個の第3ガス噴出口23cを開放させることができる内圧P3に達し、これに伴い、図5(C)に示すように、当該12個の第3ガス噴出口23cを覆う部分のシールテープ24が開裂し、既に開放されている合計で12個の第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bを含め、開放された合計で24個すべての第1ガス噴出口23a,第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cを介してガスが噴出される。
ここで、この時点においては、既に燃焼室60の内圧が十分に高い高圧状態に達しているため、ガス発生剤61は安定的に燃焼を継続することになり、ガス発生剤61のすべてが燃え尽きるまで安定的に高いガス出力が得られることとなってエアバッグの持続的な展開がさらに継続できることになる。
作動開始後の第5段階においては、ガス発生剤61が完全に燃え尽きることでガスの出力が停止され、これによりディスク型ガス発生器1Aの作動が終了することでエアバッグの展開も終了する。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、ディスク型ガス発生器1Aの作動時において、ガス発生剤61の燃焼に伴うハウジングの内部の空間である上述した収容空間の圧力上昇に伴って複数個のガス噴出口23が段階的に開放されるように構成されているため、ハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴って一斉にすべてのガス噴出口が開放されるように構成されたディスク型ガス発生器に比べ、特に低温環境下において、内圧上昇に大幅な落ち込みが発生することが防止できることになる。そのため、高温環境下から低温環境下までのいずれの温度環境下においてもガス発生剤61を持続的に燃焼させることが可能になり、結果として環境温度に起因したガス出力の性能差を低減することが可能になる。
なお、複数個のガス噴出口23が3段階に分けて開放されるように設定することにより、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減する効果を確実に得るためには、複数個の第1ガス噴出口23aの各々の開口面積の和をSA1とし、複数個の第2ガス噴出口23bの各々の開口面積の和をSA2とし、複数個の第3ガス噴出口23aの各々の開口面積の和をSA3とした場合に(本実施の形態においては、SA1=4×S1,SA2=8×S2,SA3=12×S3)、これらSA1〜SA3が、SA1<SA2+SA3の条件を満たしていることが好ましい。すなわち、複数個の第3ガス噴出口23aの各々の開口面積の和SA1は、複数個の第2ガス噴出口23bの各々の開口面積の和SA2と複数個の第3ガス噴出口23cの各々の開口面積の和SA3との総和よりも小さいことが好ましい。これは、複数個のガス噴出口23の各々の開口面積の総和(すなわち、SA1+SA2+SA3)に占める、複数個の第1ガス噴出口23aの各々の開口面積の和(SA1)が大きい場合に、燃焼室60の内圧を高圧状態に維持することが困難になるためである。
ここで、図3を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、互いに同一の開放圧を有することとなるように同一の形状でかつ同一の開口面積を有するように構成されたガス噴出口に着目してそれらの形成位置に応じて一纏まりのガス噴出口群としてこれを捉えた場合に、以下の複数組のガス噴出口群のみによって上述した複数個のガス噴出口23が構成されていると見ることができる。なお、当該ガス噴出口群の決定に際しては、上述したように、可能な限り多くのガス噴出口によって1組のガス噴出口群が構成されるようにこれを決定している。
第1ガス噴出口群X:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23a
第2ガス噴出口群Y1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第2ガス噴出口群Y2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第3ガス噴出口群Z:30[°]間隔で配置された合計12個のガス噴出口23c
すなわち、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、複数個のガス噴出口23が、上部側シェル20の周壁部22の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように当該周壁部22の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の開放圧を有する複数個のガス噴出口からなる合計で4組のガス噴出口群X,Y1,Y2,Zのみにて構成されている。
このように構成することにより、万が一、ディスク型ガス発生器1Aを固定する固定部材(たとえばエアバッグ装置のリテーナ等)の固定力がハウジングの周方向における一部の位置においてのみ不足(たとえば経年劣化による固定力の低下等)していた場合等にも、ディスク型ガス発生器1Aに加わる推力のバランスが大きく崩れてしまうことが未然に防止できる。
より詳細には、上述した作動開始後の第2段階においては、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置された4個の第1ガス噴出口23aが開放された状態にあるため、当該周壁部22の周方向に沿って等間隔である4箇所の位置においてガスが噴出されることになり、万が一、ディスク型ガス発生器1Aを固定する固定部材の固定力がハウジングの周方向における一部の位置においてのみ不足していた場合等にも、ディスク型ガス発生器1Aに加わる推力のバランスが比較的崩れ難くなる。
また、上述した作動開始後の第3段階においては、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置された合計で12個の第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bが開放された状態にあるため、当該周壁部22の周方向に沿って等間隔である12箇所の位置においてガスが噴出されることになり、万が一、ディスク型ガス発生器1Aを固定する固定部材の固定力がハウジングの周方向における一部の位置においてのみ不足していた場合等にも、ディスク型ガス発生器1Aに加わる推力のバランスが相当程度に崩れ難くなる。
したがって、上記構成を採用することにより、従来のディスク型ガス発生器に比べて、特に作動開始後の初期段化において安全性がより高められたディスク型ガス発生器とすることができる。
加えて、上述した作動開始後の第2段階および第3段階においては、エアバッグが未だ十分には展開しておらず、そのため開放されたガス噴出口23とエアバッグとの間の距離とが非常に近い状態にあることになるが、その際にも、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って等間隔である4箇所の位置および12箇所の位置においてそれぞれガスが分散されて噴出されることになるため、エアバッグのうちの局所的な部分に集中して高温高圧のガスが噴き付けられてしまうことが回避できる。したがって、上記構成を採用することにより、エアバッグにダメージを与える可能性が低減できることにもなる。
これは、複数個のガス噴出口23のうち、第3ガス噴出口群Zに含まれるガス噴出口23cを除いた残りのすべてのガス噴出口(すなわち、第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bのすべて)が、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置されていることによる。なお、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、さらに複数個のガス噴出口23のすべて(すなわち、第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bに第3ガス噴出口23cを加えたすべて)が、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置されているため、上述した作動開始後の第4段階においても、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って等間隔である24箇所の位置においてそれぞれガスが分散されて噴出されることにもなる。
また、上記構成を採用することにより、従来のディスク型ガス発生器に比べて、ハウジングに設けられる複数個のガス噴出口23の個々の開口面積を小さく抑えつつ、その数を増やした構成とできるため、作動時におけるハウジングの内部の空間の圧力をガス発生剤61が安定して持続的に燃焼することができる範囲で相当程度にまで下げることが可能になる。したがって、ハウジングの耐圧性能を確保しつつ、ハウジングの厚みを薄型化することが可能になり、結果としてディスク型ガス発生器の大幅な小型軽量化が実現できる。
以上において説明したように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aとすることにより、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aは、標準的な大きさのエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、上部側シェル20の周壁部22の外径は、たとえば60.4[mm]に設計され、当該周壁部22の厚み(板厚)は、たとえば1.1[mm]に設計される。
この場合においては、第1ガス噴出口23aの長さL1および幅W1は、たとえばそれぞれ4.6[mm]および1.8[mm]に設定され、第2ガス噴出口23bの長さL2および幅W2は、たとえばそれぞれ5.2[mm]および1.2[mm]に設定され、第3ガス噴出口23cの長さL3および幅W3は、たとえばそれぞれ2.7[mm]および1.3[mm]に設定される。
ここで、複数個のガス噴出口23の形成は、プレス機を用いた打抜き処理にて行なわれることが一般的であるが、上記のように設計した場合には、隣り合うガス噴出口23のピッチがおおよそ7.6[mm]と小さくなるため、プレス機の制約上、これを一度の打抜き処理にて行なうことが事実上不可能となる。
しかしながら、製造コストを削減する観点からは、可能な限り少ない回数の打抜き処理にて複数個のガス噴出口23のすべてを形成することが好ましいため、上記構成のディスク型ガス発生器1Aを製造するに際しては、複数個のガス噴出口23を形成する工程において、上述した1組の第1ガス噴出口群Xと上述した2組の第2ガス噴出口群Y1,Y2とに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成するとともに、上述した1組の第3ガス噴出口群Zに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成することが好ましい。このようにすれば、2回の打抜き処理にて複数個のガス噴出口23のすべてを形成することができ、製造コストを削減することができる。
なお、この場合、周壁部22のうちの隣り合うガス噴出口23間に位置する壁領域Rは、いずれも周壁部22の周方向に沿っておおよそ同じ幅を有することになり、隣り合うガス噴出口23の端部間の直線距離(図3中において符号D1で示す直線距離)は、おおよそ6.0[mm]となる。
この距離D1が、7.0[mm]未満である場合には、シールテープ24の貼り付けの際に、当該シールテープ24の延在方向における一端部24aおよび他端部24bを複数の壁領域Rのうちの特定の1つの内周面上において突き合わせて配置させることが困難になる。ここで、万が一、このシールテープ24の両端部の貼り付け位置が当該壁領域Rからずれてしまった場合には、シール性能の低下等の問題が発生してしまうことになるため、その場合には貼り直し作業が発生してしまうことになり、生産性が大幅に低下してしまう。
したがって、上記壁領域Rの幅のうちのいずれかが7.0[mm]以上となるように設計することが好ましいことになるが、上述した第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cの形状および大きさを維持しつつ、さらには上述した各種の効果が損なわれないようにする具体的な方法については、後述する実施の形態2において説明する。
上述した本実施の形態の如く、ガス噴出口23の形状を長孔形状とすることにより、環境温度の違い(すなわち、低温環境下にあるか、それとも常温環境下にあるか、はたまた高温環境下にあるか)に応じて、ガス噴出口23が開放された状態における実際の開口面積を異ならしめることが可能になり、特に低温環境下においてガス発生剤の燃焼を促進させることが可能になる。そのため、環境温度に起因するガス出力の性能差を格段に軽減することができ、従来に比してより高性能のディスク型ガス発生器とすることができる。以下、この点について詳細に説明する。
図6は、本実施の形態におけるガス発生器の作動時のガス噴出口近傍の状態を模式的に表わした図である。なお、図6(A)は、常温環境下および高温環境下において当該ガス発生器を作動させた場合を示しており、図6(B)は、低温環境下において当該ガス発生器を作動させた場合を示している。
図6(A)に示すように、常温環境下および高温環境下において本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aを作動させた場合には、燃焼室60の内圧上昇に伴ってガス噴出口23を閉鎖する部分のシールテープ24が開裂するに際して、シールテープ24が長孔形状を有するガス噴出口23の開口縁部に沿って完全に破断し、ガス噴出口23の開口縁部に破断後のシールテープ24が付着することはない。そのため、ガス噴出口23の開口面積と、シールテープ24が開裂することでガス噴出口23が開放された状態における実際の開口面積とが同じとなる。
一方、図6(B)に示すように、低温環境下において本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aを作動させた場合には、燃焼室60の内圧上昇に伴ってガス噴出口23を閉鎖する部分のシールテープ24が開裂するに際して、シールテープ24が長孔形状を有するガス噴出口23の開口縁部に沿って破断するものの、当該開口縁部の全周に沿って完全に破断することはなく、周壁部22に沿って並行して延在する一対の開口縁部の一方において破断が生じず、ガス噴出口23の開口縁部に破断後のシールテープ24が付着した状態となる。そのため、ガス噴出口23の開口面積よりも、シールテープ24が開裂することでガス噴出口23が開放された状態における実際の開口面積の方が当該シールテープ24の断面積に相当する分だけ小さくなることになる。
そのため、常温環境下および高温環境下においては、ディスク型ガス発生器1Aの作動時におけるガス噴出口23の実際の開口面積の総和が相対的に大きく確保される反面、低温環境下においては、ディスク型ガス発生器1Aの作動時におけるガス噴出口23の実際の開口面積の総和が相対的に小さく減じられることになる。これにより、低温環境下において、常温環境下および高温環境下に比べて、ガス噴出口23が開放されることによって当該ガス噴出口23を介して排出されるガスの量が制限されることになり、その分だけ燃焼室60の内圧の上昇が促進されることになる。したがって、特に低温環境下においてガス発生剤61の燃焼を促進させることが可能になり、環境温度に起因するガス出力の性能差を格段に軽減することが可能となって、結果的に従来に比してより高性能のディスク型ガス発生器とすることができる。
ここで、本実施の形態の如くの構成を採用することにより、周囲温度に応じて、開裂したシールテープ24の一部がガス噴出口23の開口縁部に付着するか否かに差が生じる理由は、もっぱら、ガス噴出口23が非丸孔状の長孔形状であるためにガス噴出口23の中央から開口縁部までの距離が非一様となることにより、当該開口縁部に沿って一度にシールテープ24を破断させるために必要となる瞬間的なエネルギーが増大し、常温環境下および高温環境下においては燃焼室60の内圧の上昇速度が速いため、当該瞬間的なエネルギーが得られるのに対し、低温環境下において燃焼室60の内圧の上昇速度が遅いため、当該瞬間的なエネルギーが得られないためと推察される。
なお、本実施の形態においては、長孔形状の典型的な例として、ガス噴出口23をトラック孔にて構成した場合を例示して説明を行なったが、ガス噴出口23の開口形状はこれに限定されるものではなく、たとえば楕円形状としてもよいし長方形形状としてもよい。ここで、上述した効果をより確実に得るためには、長孔形状のガス噴出口23が、周壁部22に沿って並行して延在する一対の開口縁部を有していることが好ましく、上述したトラック形状や長方形形状の孔にて構成されていることがなお好ましい。
また、本実施の形態においては、複数個のガス噴出口23のすべてが縦長孔形状を有するように構成された場合を例示して説明を行なったが、複数個のガス噴出口23のうちの一部のみが縦長孔形状を有するように構成されている場合でも相当程度の効果を得ることができ、また、複数個のガス噴出口23のすべてまたはその一部が横長孔形状を有するように構成されている場合にも、上述した効果に準じた効果を得ることができる。ここで、横長孔形状とは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿った開口幅が、当該周壁部22の軸方向に沿った開口幅よりも大きい長孔形状のことである。
また、本実施の形態においては、複数個のガス噴出口23が上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って一列に並んで配置された場合を例示して説明を行なったが、これらが千鳥状あるいは複数列にわたって配置されていてもよいし、他のレイアウトにて配置されていてもよい。
さらには、本実施の形態においては、帯状の1枚のシールテープ24によってすべてのガス噴出口23が閉鎖されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、たとえば複数個のガス噴出口23の一部が1枚のシールテープによって閉鎖されるとともに、複数個のガス噴出口23の他の一部が他の1枚のシールテープによって閉鎖されるように、複数枚のシールテープが用いられていてもよい。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるディスク型ガス発生器の正面図であり、図8は、図7中に示すVIII−VIII線に沿った上部側シェルおよびシールテープの断面図である。以下、これら図7および図8を参照して、本発明の実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bについて説明する。
本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aと同様に、標準的な大きさのエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、図7および図8に示すように、上部側シェル20の周壁部22には、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aと同様の形状および大きさの第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23c(図4等参照)が設けられている。
本実施の形態においては、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cが、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定のルール(ただし、上述した実施の形態1において示したルールとは異なるルール)に従って一列に並んで設けられている。より詳細には、複数個のガス噴出口23は、その総数が24個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定の角度ごとに配置されている。
第1ガス噴出口23aは、その数が4個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って90[°]ごとに配置されている。第2ガス噴出口23bは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って45[°]、90[°]、45[°]、90[°]、・・・ごとに配置されている。第3ガス噴出口23cは、その数が12個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って30[°]ごとに配置されている。
ここで、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って、第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23cの順でこれを1組として4組繰り返されるように配置されている。これにより、複数個のガス噴出口23は、上部側シェル20の周壁部22の周方向において互いに重ならないように配置されることになる。
なお、上述した第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第1ガス噴出口23a、・・・の順で配置された各ガス噴出口23間の配置間隔は、図示するように順に21[°]、9[°]、21[°]、9[°]、21[°]、9[°]、・・・とされている。
ここで、図8を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bにおいては、互いに同一の開放圧を有することとなるように同一の形状でかつ同一の開口面積を有するように構成されたガス噴出口に着目してそれらの形成位置に応じて一纏まりのガス噴出口群としてこれを捉えた場合に、以下の複数組のガス噴出口群のみによって上述した複数個のガス噴出口23が構成されていると見ることができる。なお、当該ガス噴出口群の決定に際しては、上述したように、可能な限り多くのガス噴出口によって1組のガス噴出口群が構成されるようにこれを決定している。
第1ガス噴出口群X:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23a
第2ガス噴出口群Y1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第2ガス噴出口群Y2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第3ガス噴出口群Z:30[°]間隔で配置された合計12個のガス噴出口23c
すなわち、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bにおいても、上述した実施の形態1の場合と同様に、複数個のガス噴出口23が、上部側シェル20の周壁部22の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように当該周壁部22の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の開放圧を有する複数個のガス噴出口からなる合計で4組のガス噴出口群X,Y1,Y2,Zのみにて構成されている。
したがって、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bとすることにより、従来のディスク型ガス発生器に比べて、特に作動開始後の初期段化において安全性がより高められたディスク型ガス発生器とすることができる。そのため、上記構成を採用することにより、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bにおいても、複数個のガス噴出口23のうち、第3ガス噴出口群Zに含まれるガス噴出口23cを除いた残りのすべてのガス噴出口(すなわち、第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bのすべて)が、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置されているため、上述した作動開始後の第2段階および第3段階において、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って等間隔である4箇所の位置および12箇所の位置においてそれぞれガスが分散されて噴出されることになる。したがって、当該構成を採用することにより、エアバッグにダメージを与える可能性が低減できることになる。
ここで、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bは、上述したように標準的な大きさのエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、上部側シェル20の周壁部22の外径は、たとえば60.4[mm]に設計され、当該周壁部22の厚み(板厚)は、たとえば1.1[mm]に設計される。
この場合においては、第1ガス噴出口23aの長さL1および幅W1は、たとえばそれぞれ4.6[mm]および1.8[mm]に設定され、第2ガス噴出口23bの長さL2および幅W2は、たとえばそれぞれ5.2[mm]および1.2[mm]に設定され、第3ガス噴出口23cの長さL3および幅W3は、たとえばそれぞれ2.7[mm]および1.3[mm]に設定される。
この場合、周壁部22のうちの隣り合うガス噴出口23間に位置する壁領域Rは、周壁部22の周方向に沿って大小様々な幅を有することになるが、そのうちの最も幅の大きい壁領域Rに隣接する一対のガス噴出口23の端部間の直線距離(図8中において符号D2で示す直線距離)は、おおよそ9.1[mm]となる。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bにおいては、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとは異なり、ガス噴出口23の配置間隔を上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って完全には均等に配置しないことにより、シールテープ24の両端部の貼り付け代となる、上記直線距離D2が7.0[mm]以上である壁領域Rを周壁部22に複数設けることとし、これによってシールテープ24の貼り付け作業の容易化が図られている。
したがって、当該構成を採用することにより、上述した実施の形態1において示した第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cの形状および大きさを維持しつつ、さらには上述した実施の形態1において説明した各種の効果を損なわずに、シールテープ24の貼り付け作業の容易化を達成することができる。
なお、当該構成を採用した場合にも、1組の第1ガス噴出口群Xと2組の第2ガス噴出口群Y1,Y2とに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成するとともに、1組の第3ガス噴出口群Zに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成することにより、合計で2回の打抜き処理にて複数個のガス噴出口23のすべてを形成することが可能になり、プレス機の制約を加味した上での製造コストの最小化が実現できることになる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3におけるディスク型ガス発生器の上部側シェルおよびシールテープの断面図であり、図10は、図9に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。以下、これら図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3におけるディスク型ガス発生器1Cについて説明する。
本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cは、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bとは異なり、標準的な大きさよりも小さい小型のエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、図9に示すように、上部側シェル20の周壁部22には、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bの場合よりも少ない数のガス噴出口23が設けられている。
具体的には、図9に示すように、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定のルール(ただし、上述した実施の形態2において示したルールとは異なるルール)に従って一列に並んで設けられている。より詳細には、複数個のガス噴出口23は、その総数が20個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定の角度ごとに配置されている。
第1ガス噴出口23aは、その数が4個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って90[°]ごとに配置されている。第2ガス噴出口23bは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って30[°]、60[°]、30[°]、60[°]、・・・ごとに配置されている。第3ガス噴出口23cは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って48[°]、42[°]、48[°]、42[°]、・・・ごとに配置されている。
ここで、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って、第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23cの順でこれを1組として4組繰り返されるように配置されている。これにより、複数個のガス噴出口23は、上部側シェル20の周壁部22の周方向において互いに重ならないように配置されることになる。
なお、上述した第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第1ガス噴出口23a、・・・の順で配置された各ガス噴出口23間の配置間隔は、図示するように順に21[°]、9[°]、30[°]、9[°]、21[°]、・・・とされている。
ここで、図9を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cにおいては、互いに同一の開放圧を有することとなるように同一の形状でかつ同一の開口面積を有するように構成されたガス噴出口に着目してそれらの形成位置に応じて一纏まりのガス噴出口群としてこれを捉えた場合に、以下の複数組のガス噴出口群のみによって上述した複数個のガス噴出口23が構成されていると見ることができる。なお、当該ガス噴出口群の決定に際しては、上述したように、可能な限り多くのガス噴出口によって1組のガス噴出口群が構成されるようにこれを決定している。
第1ガス噴出口群X:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23a
第2ガス噴出口群Y1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第2ガス噴出口群Y2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第3ガス噴出口群Z1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
第3ガス噴出口群Z2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
すなわち、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cにおいては、複数個のガス噴出口23が、上部側シェル20の周壁部22の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように当該周壁部22の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の開放圧を有する複数個のガス噴出口からなる合計で5組のガス噴出口群X,Y1,Y2,Z1,Z2のみにて構成されている。
したがって、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cとすることにより、従来のディスク型ガス発生器に比べて、特に作動開始後の初期段化において安全性がより高められたディスク型ガス発生器とすることができる。そのため、上記構成を採用することにより、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cにおいても、複数個のガス噴出口23のうち、第3ガス噴出口群Zに含まれるガス噴出口23cを除いた残りのすべてのガス噴出口(すなわち、第1ガス噴出口23aおよび第2ガス噴出口23bのすべて)が、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って均等に配置されているため、上述した作動開始後の第2段階および第3段階において、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って等間隔である4箇所の位置および12箇所の位置においてそれぞれガスが分散されて噴出されることになる。したがって、当該構成を採用することにより、エアバッグにダメージを与える可能性が低減できることになる。
ここで、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cは、上述したように、標準的な大きさよりも小さい小型のエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、上部側シェル20の周壁部22の外径は、たとえば57.5[mm]に設計され、当該周壁部22の厚み(板厚)は、たとえば1.1[mm]に設計される。
この場合においては、図10を参照して、第1ガス噴出口23aの長さL1および幅W1は、たとえばそれぞれ3.7[mm]および2.1[mm]に設定され、第2ガス噴出口23bの長さL2および幅W2は、たとえばいずれも2.0[mm]に設定され(すなわち、平面視正円形状に設定され)、第3ガス噴出口23cの長さL3および幅W3は、たとえばそれぞれ2.7[mm]および1.3[mm]に設定される。
この場合、周壁部22のうちの隣り合うガス噴出口23間に位置する壁領域Rは、周壁部22の周方向に沿って大小様々な幅を有することになるが、そのうちの最も幅の大きい壁領域Rに隣接する一対のガス噴出口23の端部間の直線距離(図9中において符号D3で示す直線距離)は、おおよそ12.4[mm]となる。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Cにおいては、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bと同様に、ガス噴出口23の配置間隔を上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って完全には均等に配置しないことにより、シールテープ24の両端部の貼り付け代となる、上記直線距離D3が7.0[mm]以上である壁領域Rを周壁部22に複数設けることとし、これによってシールテープ24の貼り付け作業の容易化が図られている。
なお、当該構成を採用した場合にも、1組の第1ガス噴出口群Xと2組の第2ガス噴出口群Y1,Y2とに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成するとともに、2組の第3ガス噴出口群Z1,Z2に含まれる合計で8個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成することにより、合計で2回の打抜き処理にて複数個のガス噴出口23のすべてを形成することが可能になり、プレス機の制約を加味した上での製造コストの最小化が実現できることになる。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4におけるディスク型ガス発生器の上部側シェルおよびシールテープの断面図であり、図12は、図11に示す第1ないし第3ガス噴出口の拡大図である。以下、これら図11および図12を参照して、本発明の実施の形態4におけるディスク型ガス発生器1Dについて説明する。
本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dは、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bとは異なり、標準的な大きさよりも大きい大型のエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、図11に示すように、上部側シェル20の周壁部22には、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bの場合よりも多い数のガス噴出口23が設けられている。
具体的には、図11に示すように、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定のルール(ただし、上述した実施の形態2において示したルールとは異なるルール)に従って一列に並んで設けられている。より詳細には、複数個のガス噴出口23は、その総数が32個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って所定の角度ごとに配置されている。
第1ガス噴出口23aは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って21[°]、69[°]、21[°]、69[°]、・・・ごとに配置されている。第2ガス噴出口23bは、その数が8個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って30[°]、60[°]、30[°]、60[°]、・・・ごとに配置されている。第3ガス噴出口23cは、その数が16個であり、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って21[°]、9[°]、21[°]、39[°]、21[°]、9[°]、21[°]、39[°]、・・・ごとに配置されている。
ここで、第1ガス噴出口23a、第2ガス噴出口23bおよび第3ガス噴出口23cは、上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って、第1ガス噴出口23a、第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23cの順でこれを1組として4組繰り返されるように配置されている。これにより、複数個のガス噴出口23は、上部側シェル20の周壁部22の周方向において互いに重ならないように配置されることになる。
なお、上述した第1ガス噴出口23a、第1ガス噴出口23a、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第3ガス噴出口23c、第2ガス噴出口23b、第3ガス噴出口23c、第1ガス噴出口23a、・・・の順で配置された各ガス噴出口23間の配置間隔は、図示するように順に21[°]、9[°]、9[°]、12[°]、9[°]、9[°]、12[°]、9[°]、・・・とされている。
ここで、図11を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dにおいては、互いに同一の開放圧を有することとなるように同一の形状でかつ同一の開口面積を有するように構成されたガス噴出口に着目してそれらの形成位置に応じて一纏まりのガス噴出口群としてこれを捉えた場合に、以下の複数組のガス噴出口群のみによって上述した複数個のガス噴出口23が構成されていると見ることができる。なお、当該ガス噴出口群の決定に際しては、上述したように、可能な限り多くのガス噴出口によって1組のガス噴出口群が構成されるようにこれを決定している。
第1ガス噴出口群X1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23a
第1ガス噴出口群X2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23a
第2ガス噴出口群Y1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第2ガス噴出口群Y2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23b
第3ガス噴出口群Z1:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
第3ガス噴出口群Z2:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
第3ガス噴出口群Z3:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
第3ガス噴出口群Z4:90[°]間隔で配置された合計4個のガス噴出口23c
すなわち、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dにおいては、複数個のガス噴出口23が、上部側シェル20の周壁部22の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように当該周壁部22の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の開放圧を有する複数個のガス噴出口からなる合計で8組のガス噴出口群X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2,Z3,Z4のみにて構成されている。
したがって、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dとすることにより、従来のディスク型ガス発生器に比べて、特に作動開始後の初期段化において安全性がより高められたディスク型ガス発生器とすることができる。そのため、上記構成を採用することにより、小型軽量化が図られるとともに、環境温度に起因するガス出力の性能差を低減することができ、さらには作動時における安全性の向上やエアバッグに対するダメージの低減が図られたディスク型ガス発生器とすることができる。
ここで、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dは、上述したように、標準的な大きさよりも大きい大型のエアバッグを膨張および展開させるタイプのものであり、上部側シェル20の周壁部22の外径は、たとえば70.0[mm]に設計され、当該周壁部22の厚み(板厚)は、たとえば1.3[mm]に設計される。
この場合においては、図11を参照して、第1ガス噴出口23aの長さL1および幅W1は、たとえばそれぞれ4.4[mm]および1.8[mm]に設定され、第2ガス噴出口23bの長さL2および幅W2は、たとえばそれぞれ5.2[mm]および1.4[mm]に設定され、第3ガス噴出口23cの長さL3および幅W3は、たとえばそれぞれ2.5[mm]および1.4[mm]に設定される。
この場合、周壁部22のうちの隣り合うガス噴出口23間に位置する壁領域Rは、周壁部22の周方向に沿って大小様々な幅を有することになるが、そのうちの最も幅の大きい壁領域Rに隣接する一対のガス噴出口23の端部間の直線距離(図11中において符号D4で示す直線距離)は、おおよそ10.5[mm]となる。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Dにおいては、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器1Bと同様に、ガス噴出口23の配置間隔を上部側シェル20の周壁部22の周方向に沿って完全には均等に配置しないことにより、シールテープ24の両端部の貼り付け代となる、上記直線距離D4が7.0[mm]以上である壁領域Rを周壁部22に複数設けることとし、これによってシールテープ24の貼り付け作業の容易化が図られている。
なお、当該構成を採用した場合にも、1組の第1ガス噴出口群X1と2組の第3ガス噴出口群Z1,Z3とに含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成するとともに、1組の第1ガス噴出口群X2と2組の第3ガス噴出口群Z2,Z4に含まれる合計で12個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成し、さらには2組の第2ガス噴出口群Y1,Y2に含まれる合計で8個のガス噴出口を一度の打抜き処理にて形成することにより、合計で3回の打抜き処理にて複数個のガス噴出口23のすべてを形成することが可能になり、プレス機の制約を加味した上での製造コストの最小化が実現できることになる。
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし4においては、1組のガス噴出口群に含まれるガス噴出口の数を最小で4個とした場合(すなわち、ハウジングの周壁部に周方向に沿って均等に配置される同一の開放圧を有するガス噴出口の数を最小で4個とした場合)を例示して説明を行なったが、当該1組のガス噴出口群に含まれるガス噴出口の数は、最小で3個とすることができる。
このように、1組のガス噴出口群に含まれるガス噴出口の数を最小で3個以上とすることにより、万が一、ディスク型ガス発生器を固定する固定部材の固定力がハウジングの周方向における一部の位置においてのみ不足していた場合等にも、従来のディスク型ガス発生器に比べてディスク型ガス発生器に加わる推力のバランスが大きく崩れてしまうことが未然に防止でき、結果として、特に作動開始後の初期段化において安全性がより高められたディスク型ガス発生器とすることができる。
したがって、上述した本発明の実施の形態1ないし4において開示したガス噴出口の種類ごとの数(すなわち、第1ガス噴出口、第2ガス噴出口および第3ガス噴出口の各々の数)は、1組のガス噴出口群に含まれるガス噴出口の数が最小で3個以上であれば(すなわち、1組のガス噴出口群に含まれる複数個のガス噴出口が、120[°]以下の角度をもって回転対称性を有している条件を満たしていれば)、幾つであってもよい。
また、同様に、上述した本発明の実施の形態1ないし4において開示したガス噴出口の種類ごとの形状、大きさ、レイアウト等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
ここで、上述した本発明の実施の形態1ないし4においては、1組または2組以上の第1ガス噴出口群に含まれる複数個の第1ガス噴出口同士、1組または2組以上の第2ガス噴出口群に含まれる複数個の第2ガス噴出口同士、および、1組または2組以上の第3ガス噴出口群に含まれる複数個の第3ガス噴出口同士が、それぞれ同一の開放圧を有することとなるように、同一の形状でかつ同一の開口面積を有するように構成した場合を例示して説明を行なったが、前述のとおり、ガス噴出口の開放圧は、主としてその開口面積と周長とによって決定される。
そのため、同一の開放圧を有するガス噴出口を複数設ける方法としては、上述のとおり同一の形状でかつ同一の開口面積を有する複数個のガス噴出口を設ける手法に限られるものではない。すなわち、異なる形状でかつ異なる開口面積を有するガス噴出口同士であっても、その開口面積やその周長を適宜調節することにより、それらを同一の開放圧に設定することが可能である。
さらには、たとえば周長を適宜調節することにより、開口面積が大きいガス噴出口の開放圧を、開口面積が小さいガス噴出口の開放圧よりも高めることも可能であり、その逆に、たとえば開口面積を適宜調節することにより、周長が小さいガス噴出口の開放圧を、周長が大きいガス噴出口の開放圧よりも高めることも可能である。したがって、ガス噴出口の種類ごとに開放圧を異ならせるためには、これら開口面積や周長を適宜調節すればよい。
このように、ハウジングの周壁部に周方向に沿って120[°]以下の回転対称性をもって配置されるガス噴出口同士は、その開放圧が互いに同一となるように構成されていればよく、個々のガス噴出口の形状や開口面積は、特に制限されるものではない。加えて、ガス噴出口の開放圧は、当該ガス噴出口を閉鎖するシール部材の剪断強度や厚みを変更することによっても適宜その調節が可能であるため、これらをガス噴出口ごとに個々に調節することとしてもよい。
なお、ハウジングに設けられる複数個のガス噴出口が3段階にわたって段階的に開放されるように構成する比較的容易な設計手法としては、たとえば、基本的にガス噴出口の開口面積のみに着目してこれを異ならしめる方法と、基本的にガス噴出口の周長のみに着目してこれを異ならしめる方法とが想定される。
ここで、前者の方法に従ったディスク型ガス発生器は、ハウジングの周壁部に設けられた複数個のガス噴出口が、複数組のガス噴出口群にて構成され、上記複数組のガス噴出口群が、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第1開口面積を有する複数個の第1ガス噴出口からなる1組または2組以上の第1ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第2開口面積を有する複数個の第2ガス噴出口からなる1組または2組以上の第2ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第3開口面積を有する複数個の第3ガス噴出口からなる1組または2組以上の第3ガス噴出口群とのみを有し、上記第2開口面積が、上記第1開口面積よりも小さく、上記第3開口面積が、上記第2開口面積よりも小さく、上記複数個のガス噴出口が、上記周壁部の周方向において互いに重ならないように配置されたものとなる。
一方で、後者の方法に従ったディスク型ガス発生器は、ハウジングの周壁部に設けられた複数個のガス噴出口が、複数組のガス噴出口群にて構成され、上記複数組のガス噴出口群が、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第1周長を有する複数個の第1ガス噴出口からなる1組または2組以上の第1ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第2周長を有する複数個の第2ガス噴出口からなる1組または2組以上の第2ガス噴出口群と、上記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように上記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第3周長を有する複数個の第3ガス噴出口からなる1組または2組以上の第3ガス噴出口群とのみを有し、上記第2周長が、上記第1周長よりも大きく、上記第3周長が、上記第2周長よりも大きく、上記複数個のガス噴出口が、上記周壁部の周方向において互いに重ならないように配置されたものとなる。
加えて、上述した本発明の実施の形態1ないし4においては、本発明をいわゆるディスク型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、たとえばシリンダ型ガス発生器に本発明を適用することも可能である。
なお、上述した低温環境下、常温環境下、高温環境下とは、それぞれ環境温度が−40[℃]前後の環境下、20[℃]前後の環境下、85[℃]前後の環境下を意味している。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A〜1D ガス発生器、10 下部側シェル、11 底板部、12 周壁部、13 突状筒部、14 窪み部、15 開口部、20 上部側シェル、21 天板部、22 周壁部、23 ガス噴出口、23a 第1ガス噴出口、23b 第2ガス噴出口、23c 第3ガス噴出口、24 シールテープ、24a 一端部、24b 他端部、25 間隙部、30 保持部、31 内側被覆部、32 外側被覆部、33 連結部、34 雌型コネクタ部、40 点火器、41 点火部、42 端子ピン、50 カップ状部材、51 頂壁部、52 側壁部、53 延設部、54 先端部、55 伝火室、56 伝火薬、60 燃焼室、61 ガス発生剤、70 下部側支持部材、71 底部、72 当接部、73 先端部、80 上部側支持部材、81 底部、82 当接部、85 クッション材、90 フィルタ、R 壁領域。

Claims (7)

  1. 複数個のガス噴出口が設けられた筒状の周壁部を有し、前記周壁部の軸方向の一端部および他端部が閉塞されたハウジングと、
    前記ハウジングの内部に位置する収容空間に配置されたガス発生剤と、
    前記ハウジングに組付けられ、前記ガス発生剤を燃焼させるための点火器と、
    前記複数個のガス噴出口を閉鎖するシール部材と、を備え、
    前記複数個のガス噴出口は、複数組のガス噴出口群にて構成され、
    前記複数組のガス噴出口群は、
    前記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように前記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第1開放圧を有する複数個の第1ガス噴出口からなる1組または2組以上の第1ガス噴出口群と、
    前記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように前記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第2開放圧を有する複数個の第2ガス噴出口からなる1組または2組以上の第2ガス噴出口群と、
    前記周壁部の軸線を中心として120[°]以下の角度をもって回転対称性を有するように前記周壁部の周方向に沿って均等に配置された互いに同一の第3開放圧を有する複数個の第3ガス噴出口からなる1組または2組以上の第3ガス噴出口群と、のみを有し、
    前記第2開放圧は、前記第1開放圧より高く、
    前記第3開放圧は、前記第2開放圧より高く、
    前記複数個のガス噴出口が、前記周壁部の周方向において互いに重ならないように配置されている、ガス発生器。
  2. 前記シール部材が、前記周壁部の内周面に貼り付けられた少なくとも1枚以上のシールテープからなり、
    前記複数個のガス噴出口のうちの前記周壁部の周方向において隣り合うガス噴出口の端部間の直線距離が7.0[mm]以上である壁領域が、前記周壁部の周方向に沿って前記周壁部に複数設けられ、
    前記シールテープの延在方向に位置する一対の端部が、前記複数の壁領域のうちのいずれかに位置している、請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記複数個のガス噴出口のすべてが、前記周壁部の周方向に沿って一列に並んで配置されている、請求項1または2に記載のガス発生器。
  4. 前記複数個の第1ガス噴出口、前記複数個の第2ガス噴出口および前記複数個の第3ガス噴出口のうちの少なくともいずれかが、前記周壁部の周方向に沿った開口幅よりも前記周壁部の軸方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有している、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
  5. 前記複数個のガス噴出口のうち、前記第3ガス噴出口群に含まれるガス噴出口を除いた残りのすべてのガス噴出口が、前記周壁部の周方向に沿って均等に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のガス発生器。
  6. 前記複数個の第1ガス噴出口の各々の開口面積の和が、前記複数個の第2ガス噴出口の各々の開口面積の和と前記複数個の第3ガス噴出口の各々の開口面積の和との総和よりも小さい、請求項1から5のいずれかに記載のガス発生器。
  7. 前記複数個の第1ガス噴出口、前記複数個の第2ガス噴出口および前記複数個の第3ガス噴出口のうちの少なくともいずれかが、1個のガス噴出口の開口面積をS[mm2]とし、当該1個のガス噴出口の周長をC[mm]とした場合に、これらSおよびCが、S/C≦0.27×S0.5の条件を満たす形状を有している、請求項1から6のいずれかに記載のガス発生器。
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