以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバ増幅器および多段光増幅ファイバ構造の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光ファイバ増幅器の模式的な構成図である。図1に示すように、光ファイバ増幅器100は、入力光ファイバ1と、光アイソレータ2と、光合分波器3と、WDM(Wavelength Division-Multiplexing)カプラ4と、励起光源5と、マルチモード光ファイバ6と、光増幅ファイバ7と、残留励起光処理部8と、光合分波器9と、光アイソレータ10と、接続光ファイバ11と、ASE(Amplified Spontaneous Emission)カットフィルタ12と、光アイソレータ13と、出力光ファイバ14と、を備えている。
はじめに、光増幅ファイバ7の構成について説明する。図2は、光増幅ファイバ7の模式的な断面およびA−A線断面における屈折率プロファイルを示す図である。光増幅ファイバ7は、希土類元素であるエルビウム(Er)が添加された複数(光増幅ファイバ7では12個)のコア部7aa〜7alと、コア部7aa〜7alの外周に形成された内側クラッド部7bと、内側クラッド部7bの外周に形成された外側クラッド部7cと、を有する、いわゆるダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部7aa〜7alは、6個のコア部7aa〜7afで構成されるコア部群7dと、6個のコア部7ag〜7alで構成されるコア部群7eとからなる。コア部群7dのコア部7aa〜7af、コア部群7eのコア部7ag〜7alはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部7bは、複数(光増幅ファイバ7では2個)の内側副クラッド部7ba、7bbを有し、異なるコア部群7d、7eに属するコア部7aa〜7af、7ag〜7alは、それぞれ異なる内側副クラッド部7ba、7bbに囲まれている。具体的には、コア部群7dに属するコア部7aa〜7afは、断面円形の内側副クラッド部7baに囲まれており、コア部群7eに属するコア部7ag〜7alは、内側副クラッド部7baの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部7bbに囲まれている。
また、屈折率プロファイルP1が示すように、外側クラッド部7c、内側副クラッド部7ba、内側副クラッド部7bb、コア部7aa〜7af、コア部7ag〜7alの屈折率は、それぞれ、n1、n2、n3、n4、n5である。したがって、内側クラッド部7bは、コア部7aa〜7alの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部7cは、内側クラッド部7bよりも屈折率が低い。また、内側副クラッド部7ba、7bbは、互いに屈折率が異なる。具体的には、内側副クラッド部7bbの方が内側副クラッド部7baよりも屈折率が高い。
上記屈折率の関係を実現するために、コア部7aa〜7alは、屈折率を高める添加物であるゲルマニウム(Ge)が添加された石英ガラスからなり、内側副クラッド部7baは、屈折率を高める添加物であるフッ素(F)が添加された石英ガラスからなり、内側副クラッド部7bbは、屈折率調整用の添加物が添加されていない純石英ガラスからなり、外側クラッド部7cは低屈折率の樹脂材料からなる。ただし、これらの材料は例示であって、上記屈折率の関係を実現できる材料であれば特に限定はされない。
また、光増幅ファイバ7では、コア直径、Erの添加濃度、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差については、コア部7aa〜7alの全てで略等しい。なお、たとえば、コア直径は2〜6μmであり、Erの添加濃度は300〜3000ppmであり、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差は0.3〜1.5%である。
つぎに、図1に戻って光ファイバ増幅器100について説明する。以下では、光ファイバ増幅器100の各構成要素とその機能について、入力光ファイバ1側から、接続された順に説明する。入力光ファイバ1は光ファイバ増幅器100が光増幅すべき信号光の入力を受け付け、シングルモードで伝搬する。信号光はたとえば光通信で用いられる1.55μm波長帯や1.57μm波長帯に含まれる信号光である。なお、信号光は単一波長の信号光でもよいし、異なる波長の信号光が波長多重されたWDM信号光でもよい。
光アイソレータ2は、入力光ファイバ1を光合分波器3に向けて伝搬する信号光を通過させるとともに、光合分波器3から入力光ファイバ1に向けて伝搬する光を遮断する機能を有する。
光合分波器3は、ファイババンドル型の光合分波器であって、本実施形態1では12本の入力側光ファイバ3a〜3lと、1本の出力側マルチコア光ファイバ3mとを備えている。入力側光ファイバ3a〜3lはいずれも信号光をシングルモードで伝搬する。入力光ファイバ1は光アイソレータ2を経由して入力側光ファイバ3aに接続している。
出力側マルチコア光ファイバ3mは光増幅ファイバ7と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバである。入力側光ファイバ3a〜3lのコア部はそれぞれ、出力側マルチコア光ファイバ3mのコア部のいずれかと接続している。出力側マルチコア光ファイバ3mはWDMカプラ4に接続している。これにより、光合分波器3は入力光ファイバ1から入力された信号光をWDMカプラ4に出力する。なお、本実施形態1では光合分波器3はファイババンドル型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型の光合分波器を用いてもよい。
励起光源5は、波長が980nm帯のマルチモード励起光を出力する、1つの高出力の半導体LD(Laser Diode)で構成されている。励起光の中心波長はたとえば975nmや976nmである。励起光源5は、光増幅ファイバ7の内側クラッド部7bに、Erを光励起する励起光を供給するためのものである。
マルチモード光ファイバ6は、たとえばコア直径が105μm、クラッド径が125μm、NAが0.22または0.15のマルチモード光ファイバである。マルチモード光ファイバ6は、励起光源5から出力された励起光をマルチモードで伝搬し、WDMカプラ4に出力する。
WDMカプラ4は、信号光と励起光とを合波し、接続点CP1にて光増幅ファイバ7に融着接続された出力側マルチコア光ファイバ4aに出力する。出力側マルチコア光ファイバ4aは、光増幅ファイバ7と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバであり、かつダブルクラッド構造を有している。出力側マルチコア光ファイバ4aのコア部はそれぞれ、光増幅ファイバ7のコア部のいずれかと接続している。出力側マルチコア光ファイバ4aは、信号光をコア部によってシングルモードで伝搬し、励起光を内側クラッド部によってマルチモードで伝搬し、光増幅ファイバ7に出力する。本実施形態1ではWDMカプラ4はファイバ型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型のWDMカプラを用いてもよい。
なお、光ファイバ増幅器100では、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ7のコア部7aaに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7の接続がなされている。
光増幅ファイバ7は、励起光を内側クラッド部7bによってマルチモードで伝搬する。すると、光増幅ファイバ7のコア部7aa〜7alのそれぞれに添加されたErは励起光を吸収し、光励起される。すなわち、光ファイバ増幅器100は、クラッド励起型の光ファイバ増幅器である。そこに、信号光がコア部7aaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ7は増幅した信号光を光合分波器9に出力する。
なお、上述したように、内側クラッド部7bにおいて内側副クラッド部7bbの方が内側副クラッド部7baよりも屈折率が高いため、励起光は、内側副クラッド部7baよりも内側副クラッド部7bbにおいて、より強いパワーで偏在する。その結果、内側副クラッド部7bbに囲まれているコア部群7eのコア部7ag〜7alの方が、内側副クラッド部7baに囲まれているコア部群7dのコア部7aa〜7afよりも、励起光によってより強く励起された状態となっている。
光合分波器9は、ファイババンドル型の光合分波器であって、本実施形態1では1本の入力側マルチコア光ファイバ9mと、12本の出力側光ファイバ9a〜9lとを備えている。入力側マルチコア光ファイバ9mは光増幅ファイバ7と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバである。入力側マルチコア光ファイバ9mのコア部はそれぞれ、光増幅ファイバ7のコア部のいずれかと接続している。
出力側光ファイバ9a〜9lはいずれも信号光をシングルモードで伝搬する。出力側光ファイバ9a〜9lのコア部はそれぞれ、入力側マルチコア光ファイバ9mのコア部のいずれかと接続している。光ファイバ増幅器100では、光増幅ファイバ7のコア部7aaから出力された信号光が、出力側光ファイバ9aから出力されるように、光増幅ファイバ7および光合分波器9の接続がなされている。これにより、光合分波器9は、光増幅ファイバ7のコア部7aaから出力された信号光を出力側光ファイバ9aに出力する。なお、本実施形態1では光合分波器9はファイババンドル型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型の光合分波器を用いてもよい。
なお、入力側マルチコア光ファイバ9mと光増幅ファイバ7とは接続点CP2にて融着接続している。接続点CP2には残留励起光処理部8が設けられている。残留励起光処理部8は、融着接続のために接続点CP2の近傍で外側クラッド部7cが除去され露出した内側クラッド部7bを、屈折率の高い材料で覆う構造を有している。残留励起光処理部8は、内側クラッド部7bを伝搬し、光増幅に使用されずに出力された残留励起光を処理する機能を有する。
光アイソレータ10は、光合分波器9の出力側光ファイバ9aと接続光ファイバ11との間に接続されている。光アイソレータ10は、出力側光ファイバ9aから出力された信号光を接続光ファイバ11に向けて通過させるとともに、接続光ファイバ11側から出力側光ファイバ9aに向けて伝搬する光を遮断する機能を有する。なお、光アイソレータ10は、残留励起光処理部8で除去できなかった残留励起光が接続光ファイバ11に向けて通過することを防止するような波長依存光損失特性を有することが好ましい。
接続光ファイバ11は、光合分波器9の出力側光ファイバ9aと光合分波器3の入力側光ファイバ3kとを接続し、信号光をシングルモードで伝搬するシングルモード光ファイバである。接続光ファイバ11は出力側光ファイバ9aから出力された信号光を光合分波器3の入力側光ファイバ3kに入力させる。
なお、ASEカットフィルタ12は接続光ファイバ11の途中に介挿されている。ASEカットフィルタ12は、信号光を通過させるとともに、光増幅ファイバ7のコア部7aaで発生したASE光を遮断する機能を有しており、たとえばバンドパスフィルタにより構成される。ただし、ASEカットフィルタ12の介挿位置はこれに限られず、たとえば出力側光ファイバ9aと光アイソレータ10との間でもよい。
光ファイバ増幅器100では、光合分波器3の入力側光ファイバ3kに入力された信号光が、光増幅ファイバ7のコア部7akに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7の接続がなされている。これにより、異なるコア部群7d、7eにそれぞれ属するコア部7aaとコア部7akとは、直列接続され、2段である多段光増幅ファイバ構造15を構成することとなる。その結果、添加されたErが光励起されたコア部7akによって、信号光がシングルモードで伝搬されるので、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。
ここで、上述したように、コア部7akは、コア部7aaよりも、励起光によってより強く励起された状態となっているので、異なるコア部群7d、7eにそれぞれ属するコア部7aaとコア部7akとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部7akの方がコア部7aaよりも、信号光に対して与える利得が高い。ここで、利得とは、利得飽和が起こらない程度のパワーの信号光に対する利得、いわゆる小信号利得を意味する。コア部7aaとコア部7akとの間の利得差はたとえば2〜5dB程度であり、好ましくは5dB以上であるが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差は内側副クラッド部7baと内側副クラッド部7bbとの屈折率差や励起光強度などにより調整することができる。
さらに、光ファイバ増幅器100では、光増幅ファイバ7のコア部7akから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9kから出力されるように、光増幅ファイバ7および光合分波器9の接続がなされている。その結果、コア部7akにより光増幅された信号光は、光合分波器9の出力側光ファイバ9kから出力され、光アイソレータ13を通過して、信号光をシングルモードで伝搬する出力光ファイバ14から出力される。
以上説明したように、本実施形態1に係るクラッド励起型の光ファイバ増幅器100では、光増幅ファイバ7が、異なるコア部群7d、7eにそれぞれ属するコア部7aaとコア部7akとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部7aaとコア部7ak同士が直列接続されており、コア部7aaが1段目、コア部7akが2段目である多段光増幅ファイバ構造15を構成している。このように、マルチコアファイバである光増幅ファイバ7に含まれるコア部7aaとコア部7ak同士を直列接続しているので、光ファイバ増幅器100は2段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部7aaとコア部7akとをクラッド励起により一括励起しているので、2段光増幅ファイバ構造を有しながら励起光源5の数は1個、すなわち2段光増幅ファイバ構造の段数である2より少ない個数でよく、光ファイバ増幅器100は低消費電力化が可能である。
なお、コア部7aa〜7alのうち隣接するコア部間の距離は、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが好ましい。以下に示す光増幅ファイバの他の構成例の場合も同様である。
(光増幅ファイバの構成例)
つぎに、光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えて使用できる光増幅ファイバの構成例について説明する。
(構成例1)
図3は、光増幅ファイバの構成例1の模式的な断面図である。光増幅ファイバ7Aは、Erが添加された6個のコア部7Aaa〜7Aafと、Erとイッテルビウム(Yb)とが共添加された6個のコア部7Aag〜7Aalと、コア部7Aaa〜7Aalの外周に形成された内側クラッド部7Abと、内側クラッド部7Abの外周に形成された外側クラッド部7cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部7Aaa〜7Aalは、6個のコア部7Aaa〜7Aafで構成されるコア部群7Adと、6個のコア部7Aag〜7Aalで構成されるコア部群7Aeとからなる。コア部群7Adのコア部7Aaa〜7Aaf、コア部群7Aeのコア部7Aag〜7Aalはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部7Abは、コア部7Aaa〜7Aalの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部7cは、内側クラッド部7Abよりも屈折率が低い。
上記屈折率の関係を実現するために、コア部7Aaa〜7Aalは、Geが添加された石英ガラスからなり、内側クラッド部7Abは、純石英ガラスからなり、外側クラッド部7cは低屈折率の樹脂材料からなる。ただし、これらの材料は例示であって、上記屈折率の関係を実現できる材料であれば特に限定はされない。
ここで、光増幅ファイバ7Aでは、コア直径および内側クラッド部7Abに対する比屈折率差については、コア部7Aaa〜7Aalの全てで略等しい。また、Erの添加濃度については、コア部7Aaa〜7Aafの全てで略等しい。また、ErおよびYbの添加濃度については、コア部7Aag〜7Aalの全てで略等しい。
光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えてこの光増幅ファイバ7Aを使用した場合について説明する。なお、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ7Aのコア部7Aaaに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7Aの接続がなされる。また、コア部7Aaaから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9aから出力されるように、光増幅ファイバ7Aおよび光合分波器9の接続がなされる。また、接続光ファイバ11を伝搬して光合分波器3の入力側光ファイバ3kに入力された信号光が、光増幅ファイバ7Aのコア部7Aakに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7Aの接続がなされる。さらに、コア部7Aakから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9kから出力されるように、光増幅ファイバ7Aおよび光合分波器9の接続がなされる。これにより、異なるコア部群7Ad、7Aeにそれぞれ属するコア部7Aaaとコア部7Aakとは、直列接続され、多段光増幅ファイバ構造を構成することとなる。
光増幅ファイバ7Aは、励起光を内側クラッド部7Abによってマルチモードで伝搬する。なお、内側クラッド部7Abの屈折率は、光増幅ファイバ7Aの長手方向に垂直な断面において略均一であるため、当該断面における励起光の強度分布も略均一となる。すると、光増幅ファイバ7Aのコア部7Aaa〜7Aafのそれぞれに添加されたErは励起光を吸収し、光励起される。一方、コア部7Aag〜7Aalでは、それぞれに添加されたYbが主に励起光を吸収して光励起し、YbからErにエネルギー移動が起こるためにErが励起される。そこに、信号光がコア部7Aaaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ7Aは増幅した信号光を光合分波器9に出力する。
さらに、信号光は、接続光ファイバ11を伝搬してコア部7Aakに入力される。そして、信号光がコア部7Aakによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅され、最終的に出力光ファイバ14から出力される。
ここで、コア部7Aaa〜7Aafにおいて励起光を吸収するErの励起光に対する吸収係数はたとえば5〜10dB/m程度であるが、コア部7Aag〜7Aalにおいて励起光を主に吸収するYbの励起光に対する吸収係数はたとえば50〜100dB/m程度とできる。その結果、コア部7Aakは、コア部7Aaaよりも、励起光をより多く吸収し、より強く励起された状態となる。その結果、異なるコア部群7Ad、7Aeにそれぞれ属するコア部7Aaaとコア部7Aakとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部7Aakの方がコア部7Aaaよりも、信号光に対して与える利得が高い。コア部7Aaaとコア部7Aakとの間の利得差はたとえば3〜4dB程度であり、5dB以上が好ましいが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差はコア部群7AdにおけるErの添加濃度、コア部群7AeにおけるErおよびYbの添加濃度、または励起光強度などにより調整することができる。
以上説明したように、光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えて光増幅ファイバ7Aを使用した光ファイバ増幅器では、光増幅ファイバ7Aが、異なるコア部群7Ad、7Aeにそれぞれ属するコア部7Aaaとコア部7Aakとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部7Aaaとコア部7Aak同士が直列接続されており、コア部7Aaaが1段目、コア部7Aakが2段目である2段光増幅ファイバ構造を構成している。これにより、このファイバ増幅器は2段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部7Aaaとコア部7Aakとをクラッド励起により一括励起しているので、この光ファイバ増幅器は低消費電力化が可能である。
なお、上記構成例1の光増幅ファイバ7Aでは、異なるコア部群7Ad、7Aeにそれぞれ属するコア部7Aaa〜7Aaf、7Aag〜7AalにそれぞれEr、ErとYbを添加し、添加されている希土類元素の種類を互いに異ならせることによって、信号光に与える利得が互いに異なるようにしている。しかし、本発明がこれに限らず、異なるコア部群にそれぞれ属するコア部にいずれもEr、またはErとYbとを添加するが、Er、またはErとYbとの添加濃度をコア部群の間で互いに異ならせることにより、信号光に与える利得が互いに異なるようにしてもよい。
(構成例2)
図4は、光増幅ファイバの構成例2の模式的な断面図である。光増幅ファイバ7Bは、Erが添加された12個のコア部7Baa〜7Balと、コア部7Baa〜7Balの外周に形成された内側クラッド部7Bbと、内側クラッド部7Bbの外周に形成された外側クラッド部7cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部7Baa〜7Balは、6個のコア部7Baa〜7Bafで構成されるコア部群7Bdと、6個のコア部7Bag〜7Balで構成されるコア部群7Beとからなる。コア部群7Bdのコア部7Baa〜7Baf、コア部群7Beのコア部7Bag〜7Balはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部7Bbは、コア部7Baa〜7Balの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部7cは、内側クラッド部7Bbよりも屈折率が低い。
上記屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ7Bの構成材料の例は構成例1の光増幅ファイバ7Aの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ7Bでは、Erの添加濃度および内側クラッド部7Bbに対する比屈折率差については、コア部7Baa〜7Balの全てで略等しい。ただし、コア直径については、コア部7Baa〜7Bafの全てで略等しく、コア部7Bag〜7Balの全てで略等しいが、コア部7Baa〜7Bafとコア部7Bag〜7Balとでは互いに異なる。具体的には、コア部7Baa〜7Bafよりもコア部7Bag〜7Balの方が、コア直径が大きい。
光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えてこの光増幅ファイバ7Bを使用した場合について説明する。なお、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ7Bのコア部7Baaに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7Bの接続がなされる。また、コア部7Baaから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9aから出力されるように、光増幅ファイバ7Bおよび光合分波器9の接続がなされる。また、接続光ファイバ11を伝搬して光合分波器3の入力側光ファイバ3kに入力された信号光が、光増幅ファイバ7Bのコア部7Bakに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7Bの接続がなされる。さらに、コア部7Bakから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9kから出力されるように、光増幅ファイバ7Bおよび光合分波器9の接続がなされる。これにより、異なるコア部群7Bd、7Beにそれぞれ属するコア部7Baaとコア部7Bakとは、直列接続され、多段光増幅ファイバ構造を構成することとなる。
光増幅ファイバ7Bは、励起光を内側クラッド部7Bbによってマルチモードで伝搬する。なお、内側クラッド部7Bbの屈折率は、光増幅ファイバ7Bの長手方向に垂直な断面において略均一であるため、当該断面における励起光の強度分布も略均一となる。すると、光増幅ファイバ7Bのコア部7Baa〜7Balのそれぞれに添加されたErは励起光を吸収し、光励起される。そこに、信号光がコア部7Baaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ7Bは増幅した信号光を光合分波器9に出力する。
さらに、信号光は、接続光ファイバ11を伝搬してコア部7Bakに入力される。そして、信号光がコア部7Bakによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅され、最終的に出力光ファイバ14から出力される。
ここで、上述したように、コア部7Baa〜7Bafよりもコア部7Bag〜7Balの方が、コア直径が大きい。その結果、コア部7Bakは、コア部7Baaよりも、励起光をより多く吸収し、より強く励起された状態となる。その結果、異なるコア部群7Bd、7Beにそれぞれ属するコア部7Baaとコア部7Bakとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部7Bakの方がコア部7Baaよりも、信号光に対して与える利得が高い。コア部7Baaとコア部7Bakとの間の利得差はたとえば3〜4dB程度であり、5dB以上が好ましいが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差はErの添加濃度、コア直径または励起光強度などにより調整することができる。
以上説明したように、光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えて光増幅ファイバ7Bを使用した光ファイバ増幅器では、光増幅ファイバ7Bが、異なるコア部群7Bd、7Beにそれぞれ属するコア部7Baaとコア部7Bakとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部7Baaとコア部7Bak同士が直列接続されており、コア部7Baaが1段目、コア部7Bakが2段目である2段光増幅ファイバ構造を構成している。これにより、このファイバ増幅器は2段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部7Baaとコア部7Bakとをクラッド励起により一括励起しているので、この光ファイバ増幅器は低消費電力化が可能である。
(構成例3)
図5は、光増幅ファイバの構成例3の模式的な断面図である。光増幅ファイバ7Cは、Erが添加された12個のコア部7Caa〜7Calと、コア部7Caa〜7Calの外周に形成された内側クラッド部7Cbと、内側クラッド部7Cbの外周に形成された外側クラッド部7cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部7Caa〜7Calは、6個のコア部7Caa〜7Cafで構成されるコア部群7Cdと、6個のコア部7Cag〜7Calで構成されるコア部群7Ceとからなる。コア部群7Cdのコア部7Caa〜7Caf、コア部群7Ceのコア部7Cag〜7Calはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部7Cbは、2個の内側副クラッド部7Cba、7Cbbを有し、異なるコア部群7Cd、7Ceに属するコア部7Caa〜7Caf、7Cag〜7Calは、それぞれ異なる内側副クラッド部7Cba、7Cbbに囲まれている。具体的には、コア部群7Cdに属するコア部7Caa〜7Cafは、断面円形の内側副クラッド部7Cbaに囲まれており、コア部群7Ceに属するコア部7Cag〜7Calは、内側副クラッド部7Cbaの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部7Cbbに囲まれている。
また、光増幅ファイバ7と同様に、内側クラッド部7Cbは、コア部7Caa〜7Calの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部7cは、内側クラッド部7Cbよりも屈折率が低い。また、内側副クラッド部7Cba、7Cbbは、互いに屈折率が異なる。具体的には、内側副クラッド部7Cbbの方が内側副クラッド部7Cbaよりも屈折率が高い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ7Cの構成材料の例は光増幅ファイバ7の場合と同様である。
また、光増幅ファイバ7Cでは、コア直径、Erの添加濃度、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差については、コア部7Caa〜7Calの全てで略等しい。なお、たとえば、コア直径は2〜6μmであり、Erの添加濃度は300〜3000ppmであり、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差は0.3〜1.5%である。
光増幅ファイバ7と光増幅ファイバ7Cとを比較すると、光増幅ファイバ7Cの内側副クラッド部7Cbaの外径が、光増幅ファイバ7の内側副クラッド部7baの外径よりも大きい。また、光増幅ファイバ7Cの内側副クラッド部7Cbbの径方向における幅Dが、光増幅ファイバ7の内側副クラッド部7bbの径方向における幅よりも小さい。
内側副クラッド部7Cbbは、たとえば純石英ガラスからなるが、その幅Dは、光増幅ファイバ7Cの直径(外側クラッド部7cの外径)に対して10〜90%の大きさとなるように自由に選択できる。
内側副クラッド部7Cbaの外径や内側副クラッド部7Cbbの径方向における幅Dを調整することにより、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが容易になる。
光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えて光増幅ファイバ7Cを使用した光ファイバ増幅器においても、2段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能であり、かつ低消費電力化が可能である。
(構成例4)
図6は、光増幅ファイバの構成例4の模式的な断面図である。光増幅ファイバ7Dは、Erが添加された6個のコア部7Daa〜7Dafと、ErとYbとが共添加された6個のコア部7Dag〜7Dalと、コア部7Daa〜7Dalの外周に形成された内側クラッド部7Dbと、内側クラッド部7Dbの外周に形成された外側クラッド部7cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部7Daa〜7Dalは、6個のコア部7Daa〜7Dafで構成されるコア部群7Ddと、6個のコア部7Dag〜7Dalで構成されるコア部群7Deとからなる。コア部群7Ddのコア部7Daa〜7Daf、コア部群7Deのコア部7Dag〜7Dalはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部7Dbは、コア部7Daa〜7Dalの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部7cは、内側クラッド部7Dbよりも屈折率が低い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ7Dの構成材料の例は光増幅ファイバ7Aの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ7Dでは、コア直径および内側クラッド部7Dbに対する比屈折率差については、コア部7Daa〜7Dalの全てで略等しい。また、Erの添加濃度については、コア部7Daa〜7Dafの全てで略等しい。また、ErおよびYbの添加濃度については、コア部7Dag〜7Dalの全てで略等しい。
光増幅ファイバ7Aと光増幅ファイバ7Dとを比較すると、光増幅ファイバ7Aでは、径方向に並んでいるコア部、たとえばコア部7Aaaとコア部7Aagとは、光増幅ファイバ7Aの中心軸から径方向に等間隔に並んでいる。これに対して、光増幅ファイバ7Dでは、たとえばコア部7Daaとコア部7Dagとは、光増幅ファイバ7Dの中心軸から径方向に不等間隔に並んでいる。
このように、径方向に並んでいるコア部の間隔を調整することにより、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが容易になる。
光ファイバ増幅器100において光増幅ファイバ7に代えて光増幅ファイバ7Dを使用した光ファイバ増幅器においても、2段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能であり、かつ低消費電力化が可能である。
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る光ファイバ増幅器の模式的な構成図である。図7に示すように、光ファイバ増幅器100Aは、図1に示す光ファイバ増幅器100に、入力光ファイバ1Aと、光アイソレータ2Aと、光アイソレータ10Aと、接続光ファイバ11Aと、ASEカットフィルタ12Aと、光アイソレータ13Aと、出力光ファイバ14Aとを追加した構成を有する。
入力光ファイバ1Aは、入力光ファイバ1に入力される信号光(以下、第1信号光とする)とは別の信号光(以下、第2信号光とする)の入力を受け付け、シングルモードで伝搬する。第2信号光はたとえば光通信で用いられる1.55μm波長帯や1.57μm波長帯に含まれる信号光である。なお、第2信号光は単一波長の信号光でもよいし、異なる波長の信号光が波長多重されたWDM信号光でもよい。
光アイソレータ2Aは、入力光ファイバ1Aを光合分波器3に向けて伝搬する第2信号光を通過させるとともに、光合分波器3から入力光ファイバ1Aに向けて伝搬する光を遮断する機能を有する。入力光ファイバ1Aは光アイソレータ2Aを経由して光合分波器3の入力側光ファイバ3bに接続している。
光ファイバ増幅器100Aでは、入力光ファイバ1Aから入力された第2信号光が、光増幅ファイバ7のコア部7abに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7の接続がなされている。
光増幅ファイバ7は、第2信号光をコア部7abによってシングルモードで伝搬する。その結果、コア部7abに添加され、光励起されたErによって誘導放出現象が発生し、第2信号光は光増幅される。光増幅ファイバ7は増幅した第2信号光を光合分波器9に出力する。
光ファイバ増幅器100Aでは、光増幅ファイバ7のコア部7abから出力された第2信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9bから出力されるように、光増幅ファイバ7および光合分波器9の接続がなされている。これにより、光合分波器9は、光増幅ファイバ7のコア部7abから出力された第2信号光を出力側光ファイバ9bに出力する。
光アイソレータ10Aは、光合分波器9の出力側光ファイバ9bと接続光ファイバ11Aとの間に接続されている。光アイソレータ10Aは、出力側光ファイバ9bから出力された第2信号光を接続光ファイバ11Aに向けて通過させるとともに、接続光ファイバ11A側から出力側光ファイバ9bに向けて伝搬する光を遮断する機能を有する。なお、光アイソレータ10Aは、残留励起光処理部8で除去できなかった残留励起光が接続光ファイバ11Aに向けて通過することを防止するような波長依存光損失特性を有することが好ましい。
接続光ファイバ11Aは、光合分波器9の出力側光ファイバ9bと光合分波器3の入力側光ファイバ3lとを接続し、第2信号光をシングルモードで伝搬するシングルモード光ファイバである。接続光ファイバ11Aは出力側光ファイバ9bから出力された信号光を光合分波器3の入力側光ファイバ3lに入力させる。
なお、ASEカットフィルタ12Aは接続光ファイバ11Aの途中に介挿されている。ASEカットフィルタ12Aは、第2信号光を通過させるとともに、光増幅ファイバ7のコア部7abで発生したASE光を遮断する機能を有しており、たとえばバンドパスフィルタにより構成される。ただし、ASEカットフィルタ12Aの介挿位置はこれに限られず、たとえば出力側光ファイバ9bと光アイソレータ10Aとの間でもよい。
光ファイバ増幅器100Aでは、光合分波器3の入力側光ファイバ3lに入力された信号光が、光増幅ファイバ7のコア部7alに入力されるように、光合分波器3、WDMカプラ4および光増幅ファイバ7の接続がなされている。これにより、異なるコア部群7d、7eにそれぞれ属し、互いに利得が異なるコア部7abとコア部7alとは、直列接続され、多段光増幅ファイバ構造15Aを構成することとなる。その結果、添加されたErが光励起されたコア部7alによって、第2信号光がシングルモードで伝搬されるので、誘導放出現象が発生し、第2信号光は再び光増幅される。
さらに、光ファイバ増幅器100Aでは、光増幅ファイバ7のコア部7alから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ9lから出力されるように、光増幅ファイバ7および光合分波器9の接続がなされている。その結果、コア部7alにより光増幅された第2信号光は、光合分波器9の出力側光ファイバ9lから出力され、光アイソレータ13Aを通過して、第2信号光をシングルモードで伝搬する出力光ファイバ14Aから出力される。
なお、第1信号光については、光ファイバ増幅器100と同様に、コア部7aaとコア部7akとが構成する多段光増幅ファイバ構造15により光増幅される。
本実施形態2に係るクラッド励起型の光ファイバ増幅器100Aでは、光増幅ファイバ7が、異なるコア部群7d、7eにそれぞれ属するコア部7aaとコア部7akとの間、およびコア部7abとコア部7alとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部7aaとコア部7ak同士が直列接続されており、コア部7aaが1段目、コア部7akが2段目である2段光増幅ファイバ構造15を構成している。さらに、コア部7abとコア部7al同士が直列接続されており、コア部7abが1段目、コア部7alが2段目である2段光増幅ファイバ構造15Aを構成している。このように、マルチコアファイバである光増幅ファイバ7に含まれるコア部7aaとコア部7ak同士を直列接続し、かつコア部7abとコア部7al同士を直列接続しているので、光ファイバ増幅器100は2段光増幅ファイバ構造を2個有しながら小型化が可能である。さらに、コア部7aa、コア部7ak、コア部7ab、およびコア部7alをクラッド励起により一括励起しているので、2段光増幅ファイバ構造を2個有しながら励起光源5の数は1個でよく、光ファイバ増幅器100Aは低消費電力化が可能である。
さらに、光ファイバ増幅器100Aに、入力光ファイバ、光アイソレータ、接続光ファイバ、ASEカットフィルタ、および出力光ファイバを適宜追加することにより、2段光増幅ファイバ構造を6個有する光ファイバ増幅器を構成することができる。これにより、より一層の小型化、低消費電力化がなされた光ファイバ増幅器を実現できる。なお、このような光ファイバ増幅器において、多段光増幅ファイバ構造における段数は2であり、6個の多段光増幅ファイバ構造を有し、光増幅ファイバのコア部の数は2×6=12である。
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係る光ファイバ増幅器の模式的な構成図である。図3に示すように、光ファイバ増幅器200は、入力光ファイバ1と、光アイソレータ2と、光合分波器23と、WDMカプラ24と、励起光源5と、マルチモード光ファイバ6と、光増幅ファイバ27と、残留励起光処理部8と、光合分波器29と、光アイソレータ10と、接続光ファイバ11、31と、ASEカットフィルタ12、32と、光アイソレータ13と、出力光ファイバ14と、を備えている。
はじめに、光増幅ファイバ27の構成について説明する。図9は、光増幅ファイバ27の模式的な断面およびB−B線断面における屈折率プロファイルを示す図である。光増幅ファイバ27は、Erが添加された18個のコア部27aa〜27arと、コア部27aa〜27arの外周に形成された内側クラッド部27bと、内側クラッド部27bの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27aa〜27arは、6個のコア部27aa〜27afで構成されるコア部群27dと、6個のコア部27ag〜27alで構成されるコア部群27eと、6個のコア部27am〜27arで構成されるコア部群27fとからなる。コア部群27dのコア部27aa〜27af、コア部群27eのコア部27ag〜27al、コア部群27fのコア部27am〜27arはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27bは、3個の内側副クラッド部27ba、27bb、27bcを有し、異なるコア部群27d、27e、27fに属するコア部27aa〜27af、27ag〜27al、27am〜27arは、それぞれ異なる内側副クラッド部27ba、27bb、27bcに囲まれている。具体的には、コア部群27dに属するコア部27aa〜27afは、断面円形の内側副クラッド部27baに囲まれており、コア部群27eに属するコア部27ag〜27alは、内側副クラッド部27baの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部27bbに囲まれており、コア部群27fに属するコア部27am〜27arは、内側副クラッド部27bbの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部27bcに囲まれている。
また、屈折率プロファイルP2が示すように、外側クラッド部27c、内側副クラッド部27ba、内側副クラッド部27bb、内側副クラッド部27bc、コア部27aa〜27af、コア部27ag〜27al、コア部27am〜27arの屈折率は、それぞれ、n11、n12、n13、n14、n15、n16、n17である。したがって、内側クラッド部27bは、コア部27aa〜27arの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27bよりも屈折率が低い。また、内側副クラッド部27ba、27bb、27bcは、互いに屈折率が異なる。具体的には、内側副クラッド部27bbの方が内側副クラッド部27baよりも屈折率が高く、内側副クラッド部27bcの方が内側副クラッド部27bbよりも屈折率が高い。
上記屈折率の関係を実現するために、コア部27aa〜27amは、Geが添加された石英ガラスからなり、内側副クラッド部27baは、Fが添加された石英ガラスからなり、内側副クラッド部27bbは、内側副クラッド部27baよりも低い添加濃度でFが添加された石英ガラスからなり、内側副クラッド部27bcは、純石英ガラスからなり、外側クラッド部27cは低屈折率の樹脂材料からなる。ただし、これらの材料は例示であって、上記屈折率の関係を実現できる材料であれば特に限定はされない。
また、光増幅ファイバ27では、コア直径、Erの添加濃度、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差については、コア部27aa〜27arの全てで略等しい。なお、たとえば、コア直径は2〜6μmであり、Erの添加濃度は300〜3000ppmであり、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差は0.3〜1.5%である。
つぎに、図8に戻って光ファイバ増幅器200について説明する。以下では、光ファイバ増幅器100の各構成要素とその機能について、入力光ファイバ1側から、接続された順に説明する。ただし、入力光ファイバ1、光アイソレータ2、励起光源5、マルチモード光ファイバ6、残留励起光処理部8、光アイソレータ10と、接続光ファイバ11、ASEカットフィルタ12、光アイソレータ13、および出力光ファイバ14については、図1に示す光ファイバ増幅器100の対応する構成要素と同じものなので、適宜説明を省略する。
光合分波器23は、ファイババンドル型の光合分波器であって、本実施形態1では18本の入力側光ファイバ23a〜23rと、1本の出力側マルチコア光ファイバ23sとを備えている。入力側光ファイバ23a〜23rはいずれも信号光をシングルモードで伝搬する。入力光ファイバ1は光アイソレータ2を経由して入力側光ファイバ23aに接続している。
出力側マルチコア光ファイバ23sは光増幅ファイバ27と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバである。入力側光ファイバ23a〜23rのコア部はそれぞれ、出力側マルチコア光ファイバ23sのコア部のいずれかと接続している。出力側マルチコア光ファイバ23sはWDMカプラ24に接続している。これにより、光合分波器23は入力光ファイバ1から入力された信号光をWDMカプラ24に出力する。なお、本実施形態3では光合分波器23はファイババンドル型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型の光合分波器を用いてもよい。
励起光源5は、波長が980nm帯のマルチモード励起光を出力する、1つの高出力の半導体LDで構成されている。励起光源5は、光増幅ファイバ27の内側クラッド部27bに、Erを光励起する励起光を供給するためのものである。
マルチモード光ファイバ6は、励起光源5から出力された励起光をマルチモードで伝搬し、WDMカプラ24に出力する。
WDMカプラ24は、信号光と、励起光源5から出力された励起光とを合波し、接続点CP1にて光増幅ファイバ27に融着接続された出力側マルチコア光ファイバ24aに出力する。出力側マルチコア光ファイバ24aは、光増幅ファイバ27と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバであり、かつダブルクラッド構造を有している。出力側マルチコア光ファイバ24aのコア部はそれぞれ、光増幅ファイバ27のコア部のいずれかと接続している。出力側マルチコア光ファイバ24aは、信号光をコア部によってシングルモードで伝搬し、励起光を内側クラッド部によってマルチモードで伝搬し、光増幅ファイバ27に出力する。本実施形態3ではWDMカプラ24はファイバ型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型のWDMカプラを用いてもよい。
なお、光ファイバ増幅器200では、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ27のコア部27aaに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27の接続がなされている。
光増幅ファイバ27は、励起光を内側クラッド部27bによってマルチモードで伝搬する。すると、光増幅ファイバ27のコア部27aa〜27arのそれぞれに添加されたErは光励起される。そこに、信号光がコア部27aaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ27は増幅した信号光を光合分波器29に出力する。
なお、上述したように、内側クラッド部27bにおいて内側副クラッド部27bbの方が内側副クラッド部27baよりも屈折率が高いため、励起光は、内側副クラッド部27baよりも内側副クラッド部27bbにおいて、より強いパワーで偏在する。同様に、内側副クラッド部27bcの方が内側副クラッド部27bbよりも屈折率が高いため、励起光は、内側副クラッド部27bbよりも内側副クラッド部27bcにおいて、より一層強いパワーで偏在する。その結果、内側副クラッド部27bbに囲まれているコア部群27eのコア部27ag〜27alの方が、内側副クラッド部27baに囲まれているコア部群27dのコア部27aa〜27afよりも、励起光によってより強く励起された状態となっている。また、内側副クラッド部27bcに囲まれているコア部群27fのコア部27am〜27arの方が、内側副クラッド部27bbに囲まれているコア部群27eのコア部27ag〜27alよりも、励起光によってより一層強く励起された状態となっている。
光合分波器29は、ファイババンドル型の光合分波器であって、本実施形態3では1本の入力側マルチコア光ファイバ29sと、18本の出力側光ファイバ29a〜29rとを備えている。入力側マルチコア光ファイバ29sは光増幅ファイバ27と同じコア配置を有するマルチコア光ファイバである。入力側マルチコア光ファイバ29sのコア部はそれぞれ、光増幅ファイバ27のコア部のいずれかと接続している。
出力側光ファイバ29a〜29rはいずれも信号光をシングルモードで伝搬する。出力側光ファイバ29a〜29rのコア部はそれぞれ、入力側マルチコア光ファイバ29sのコア部のいずれかと接続している。光ファイバ増幅器200では、光増幅ファイバ27のコア部27aaから出力された信号光が、出力側光ファイバ29aから出力されるように、光増幅ファイバ27および光合分波器29の接続がなされている。これにより、光合分波器29は、光増幅ファイバ27のコア部27aaから出力された信号光を出力側光ファイバ29aに出力する。なお、本実施形態3では光合分波器9はファイババンドル型であるが、本発明はこれに限らず、空間結合型の光合分波器を用いてもよい。
なお、入力側マルチコア光ファイバ29sと光増幅ファイバ27とは接続点CP2にて融着接続している。接続点CP2には残留励起光処理部8が設けられている。
光アイソレータ10は、光合分波器29の出力側光ファイバ29aと接続光ファイバ11との間に接続されている。接続光ファイバ11は、光合分波器29の出力側光ファイバ29aと光合分波器23の入力側光ファイバ23kとを接続し、信号光をシングルモードで伝搬する。接続光ファイバ11は出力側光ファイバ29aから出力された信号光を光合分波器23の入力側光ファイバ23kに入力させる。
光ファイバ増幅器200では、光合分波器23の入力側光ファイバ23kに入力された信号光が、光増幅ファイバ27のコア部27akに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27の接続がなされている。その結果、添加されたErが光励起されたコア部27akによって、信号光がシングルモードで伝搬されるので、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。
さらに、光ファイバ増幅器200では、光増幅ファイバ27のコア部27akから出力された信号光が、出力側光ファイバ29kから出力されるように、光増幅ファイバ27および光合分波器29の接続がなされている。これにより、光合分波器29は、光増幅ファイバ27のコア部27akから出力された信号光を出力側光ファイバ29kに出力する。
光アイソレータ30は、光合分波器29の出力側光ファイバ29kと接続光ファイバ31との間に接続されている。なお、光アイソレータ30は、残留励起光処理部8で除去できなかった残留励起光が接続光ファイバ31に向けて通過することを防止するような波長依存光損失特性を有することが好ましい。
接続光ファイバ31は、光合分波器29の出力側光ファイバ29kと光合分波器3の入力側光ファイバ23rとを接続し、信号光をシングルモードで伝搬するシングルモード光ファイバである。接続光ファイバ31は出力側光ファイバ29kから出力された信号光を光合分波器3の入力側光ファイバ23rに入力させる。
なお、ASEカットフィルタ32は接続光ファイバ31の途中に介挿されている。ASEカットフィルタ32は、信号光を通過させるとともに、光増幅ファイバ27のコア部7akで発生したASE光を遮断する機能を有しており、たとえばバンドパスフィルタにより構成される。ただし、ASEカットフィルタ32の介挿位置はこれに限られず、たとえば出力側光ファイバ29kと光アイソレータ30との間でもよい。
光ファイバ増幅器200では、光合分波器23の入力側光ファイバ23rに入力された信号光が、光増幅ファイバ27のコア部27arに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27の接続がなされている。これにより、異なるコア部群27d、27e、27fにそれぞれ属するコア部27aaとコア部27akとコア部27arとは、直列接続され、3段である多段光増幅ファイバ構造25を構成することとなる。その結果、添加されたErが光励起されたコア部27arによって、信号光がシングルモードで伝搬されるので、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。
ここで、上述したように、コア部27akは、コア部27aaよりも、励起光によってより強く励起された状態となっており、コア部27arは、コア部27akよりも、励起光によってより強く励起された状態となっている。その結果、異なるコア部群27d、27e、27fにそれぞれ属するコア部27aaとコア部27akとコア部27arとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部27akの方がコア部27aaよりも、信号光に対して与える利得が高く、コア部27arの方がコア部27akよりも、信号光に対して与える利得が高い。コア部27aaとコア部27akとの間の利得差、コア部27akとコア部27arとの間の利得差は、それぞれ、たとえば3〜4dB程度であり、5dB以上が好ましいが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差は内側副クラッド部27baと内側副クラッド部27bbと内側副クラッド部27bcとの屈折率差や励起光強度などにより調整することができる。
さらに、光ファイバ増幅器200では、光増幅ファイバ27のコア部27arから出力された信号光が、光合分波器29の出力側光ファイバ29rから出力されるように、光増幅ファイバ27および光合分波器29の接続がなされている。その結果、コア部27arにより光増幅された信号光は、光合分波器29の出力側光ファイバ29rから出力され、光アイソレータ13を通過して、信号光をシングルモードで伝搬する出力光ファイバ14から出力される。
以上説明したように、本実施形態3に係るクラッド励起型の光ファイバ増幅器200では、光増幅ファイバ27が、異なるコア部群27d、27e、27fにそれぞれ属するコア部27aaとコア部27akとコア部27arの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部27aaとコア部27akとコア部27ar同士が直列接続されており、コア部27aaが1段目、コア部27akが2段目、コア部27arが3段目であるである多段光増幅ファイバ構造25を構成している。このように、マルチコアファイバである光増幅ファイバ27に含まれるコア部27aaとコア部27akとコア部27ar同士を直列接続しているので、光ファイバ増幅器200は3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部27aaとコア部27akとコア部27arとをクラッド励起により一括励起しているので、3段光増幅ファイバ構造を有しながら励起光源5の数は1個でよく、光ファイバ増幅器200は低消費電力化が可能である。
なお、本実施形態3に係る光ファイバ増幅器200に、図7に示す光ファイバ増幅器100Aの場合と同様に、入力光ファイバ、光アイソレータ、接続光ファイバ、ASEカットフィルタ、および出力光ファイバを適宜追加することにより、3段光増幅ファイバ構造を6個有する光ファイバ増幅器を構成することができる。これにより、より一層の小型化、低消費電力化がなされた光ファイバ増幅器を実現できる。なお、このような光ファイバ増幅器において、多段光増幅ファイバ構造における段数は3であり、6個の多段光増幅ファイバ構造を有し、光増幅ファイバにおけるコア部の数は3×6=18である。
(光増幅ファイバの構成例)
つぎに、光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて使用できる光増幅ファイバの構成例について説明する。
(構成例5)
図10は、光増幅ファイバの構成例5の模式的な断面図である。光増幅ファイバ27Aは、Erが添加された6個のコア部27Aaa〜27Aafと、ErとYbとが共添加された12個のコア部27Aag〜7Aarと、コア部27Aaa〜27Aarの外周に形成された内側クラッド部27Abと、内側クラッド部27Abの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27Aaa〜27Aarは、6個のコア部27Aaa〜27Aafで構成されるコア部群27Adと、6個のコア部27Aag〜27Aalで構成されるコア部群27Aeと、6個のコア部27Aam〜27Aarで構成されるコア部群27Afとからなる。コア部群27Adのコア部27Aaa〜27Aaf、コア部群27Aeのコア部27Aag〜27Aal、コア部群27Afのコア部27Aam〜27Aarはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27Abは、コア部27Aaa〜27Aarの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27Abよりも屈折率が低い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ27Aの構成材料の例は構成例1の光増幅ファイバ7Aの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ27Aでは、コア直径および内側クラッド部27Abに対する比屈折率差については、コア部27Aaa〜27Aarの全てで略等しい。また、Erの添加濃度については、コア部27Aaa〜27Aafの全てで略等しい。また、ErおよびYbの添加濃度については、コア部27Aag〜27Aalの全てで略等しく、コア部27Aam〜27Aarの全てで略等しく、かつコア部27Aag〜27Aalよりもコア部27Aam〜27AarのErおよびYbの添加濃度の方が高い。
光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えてこの光増幅ファイバ27Aを使用した場合について説明する。なお、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ27Aのコア部27Aaaに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Aの接続がなされる。また、コア部27Aaaから出力された信号光が、光合分波器29の出力側光ファイバ29aから出力されるように、光増幅ファイバ27Aおよび光合分波器29の接続がなされる。また、接続光ファイバ11を伝搬して光合分波器23の入力側光ファイバ23kに入力された信号光が、光増幅ファイバ27Aのコア部27Aakに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Aの接続がなされる。さらに、コア部27Aakから出力された信号光が、光合分波器29の出力側光ファイバ29kから出力されるように、光増幅ファイバ27Aおよび光合分波器29の接続がなされる。また、接続光ファイバ31を伝搬して光合分波器23の入力側光ファイバ23rに入力された信号光が、光増幅ファイバ27Aのコア部27Aarに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Aの接続がなされる。さらに、コア部27Aarから出力された信号光が、光合分波器29の出力側光ファイバ29rから出力されるように、光増幅ファイバ27Aおよび光合分波器29の接続がなされる。これにより、異なるコア部群27Ad、27Ae、27Afにそれぞれ属するコア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aarは、直列接続され、多段光増幅ファイバ構造を構成することとなる。
光増幅ファイバ27Aは、励起光を内側クラッド部27Abによってマルチモードで伝搬する。なお、内側クラッド部27Abの屈折率は、光増幅ファイバ27Aの長手方向に垂直な断面において略均一であるため、当該断面における励起光の強度分布も略均一となる。すると、光増幅ファイバ27Aのコア部27Aaa〜27Aafのそれぞれに添加されたErは励起光を吸収し、光励起される。一方、コア部27Aag〜27Aarでは、それぞれに添加されたYbが主に励起光を吸収して光励起し、YbからErにエネルギー移動が起こるためにErが励起される。そこに、信号光がコア部27Aaaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ27Aは増幅した信号光を光合分波器29に出力する。
さらに、信号光は、接続光ファイバ11を伝搬してコア部27Aakに入力される。そして、信号光がコア部27Aakによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。さらに、信号光は、接続光ファイバ31を伝搬してコア部27Aarに入力される。そして、信号光がコア部27Aarによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。最終的に出力光ファイバ14から出力される。
ここで、光増幅ファイバ27Aでは、コア部27Aag〜27Aalにおける励起光の吸収係数が、コア部27Aaa〜27Aafにおける励起光の吸収係数よりも大きい。さらに、コア部27Aam〜27Aarにおける励起光の吸収係数が、コア部27Aag〜27Aalにおける励起光の吸収係数よりも大きい。その結果、コア部27Aakは、コア部27Aaaよりも、励起光をより多く吸収し、より強く励起された状態となる。同様に、コア部27Aarは、コア部27Aakよりも、励起光をより一層多く吸収し、より一層強く励起された状態となる。その結果、異なるコア部群27Ad、27Ae、27Afにそれぞれ属するコア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aarとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部27Aakの方がコア部27Aaaよりも、信号光に対して与える利得が高く、コア部27Aarの方がコア部27Aakよりも、信号光に対して与える利得が高い。コア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aarの間の利得差はたとえば3〜4dB程度であり、5dB以上が好ましいが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差はコア部群27AdにおけるErの添加濃度、コア部群27Ae、27AfにおけるErおよびYbの添加濃度、または励起光強度などにより調整することができる。
以上説明したように、光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて光増幅ファイバ27Aを使用した光ファイバ増幅器では、光増幅ファイバ27Aが、異なるコア部群27Ad、27Ae、27Afにそれぞれ属するコア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aarとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aar同士が直列接続されており、コア部27Aaaが1段目、コア部27Aakが2段目、コア部27Aarが3段目である3段光増幅ファイバ構造を構成している。これにより、この光ファイバ増幅器は3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部27Aaaとコア部27Aakとコア部27Aarとをクラッド励起により一括励起しているので、この光ファイバ増幅器は低消費電力化が可能である。
なお、本発明は上記構成例5の構成の光増幅ファイバに限らず、異なるコア部群にそれぞれ属するコア部にいずれもEr、またはErとYbとを添加するが、Er、またはErとYbとの添加濃度をコア部群の間で互いに異ならせることにより、信号光に与える利得が互いに異なるようにしてもよい。
(構成例6)
図11は、光増幅ファイバの構成例6の模式的な断面図である。光増幅ファイバ27Bは、Erが添加された18個のコア部27Baa〜27Barと、コア部27Baa〜27Barの外周に形成された内側クラッド部27Bbと、内側クラッド部27Bbの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27Baa〜27Barは、6個のコア部27Baa〜27Bafで構成されるコア部群27Bdと、6個のコア部27Bag〜27Balで構成されるコア部群27Beと、6個のコア部27Bam〜27Barで構成されるコア部群27Bfとからなる。コア部群27Bdのコア部27Baa〜27Baf、コア部群27Beのコア部27Bag〜27Bal、コア部群27Bfのコア部27Bam〜27Barはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27Bbは、コア部27Baa〜27Barの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27Bbよりも屈折率が低い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ27Bの構成材料の例は構成例1の光増幅ファイバ7Aの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ27Bでは、Erの添加濃度および内側クラッド部27Bbに対する比屈折率差については、コア部27Baa〜27Barの全てで略等しい。ただし、コア直径については、コア部27Baa〜27Bafの全てで略等しく、コア部27Bag〜27Balの全てで略等しく、コア部27Bam〜27Barの全てで略等しいが、コア部27Baa〜27Bafとコア部27Bag〜27Balとコア部27Bam〜27Barでは互いに異なる。具体的には、コア部27Baa〜27Bafよりもコア部27Bag〜27Balの方が、コア直径が大きく、コア部27Bag〜27Balよりもコア部27Bam〜27Barの方が、コア直径が大きい。
光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ7に代えてこの光増幅ファイバ27Bを使用した場合について説明する。なお、入力光ファイバ1から入力された信号光が、光増幅ファイバ27Bのコア部27Baaに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Bの接続がなされる。また、コア部27Baaから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ29aから出力されるように、光増幅ファイバ27Bおよび光合分波器9の接続がなされる。また、接続光ファイバ11を伝搬して光合分波器3の入力側光ファイバ23kに入力された信号光が、光増幅ファイバ27Bのコア部27Bakに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Bの接続がなされる。さらに、コア部27Bakから出力された信号光が、光合分波器9の出力側光ファイバ29kから出力されるように、光増幅ファイバ27Bおよび光合分波器9の接続がなされる。また、接続光ファイバ31を伝搬して光合分波器23の入力側光ファイバ23rに入力された信号光が、光増幅ファイバ27Bのコア部27Barに入力されるように、光合分波器23、WDMカプラ24および光増幅ファイバ27Bの接続がなされる。さらに、コア部27Barから出力された信号光が、光合分波器29の出力側光ファイバ29rから出力されるように、光増幅ファイバ27Bおよび光合分波器29の接続がなされる。これにより、異なるコア部群27Bd、27Be、27Bfにそれぞれ属するコア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Barとは、直列接続され、多段光増幅ファイバ構造を構成することとなる。
光増幅ファイバ27Bは、励起光を内側クラッド部27Bbによってマルチモードで伝搬する。なお、内側クラッド部27Bbの屈折率は、光増幅ファイバ27Bの長手方向に垂直な断面において略均一であるため、当該断面における励起光の強度分布も略均一となる。すると、光増幅ファイバ27Bのコア部27Baa〜7Barのそれぞれに添加されたErは励起光を吸収し、光励起される。そこに、信号光がコア部27Baaによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は光増幅される。光増幅ファイバ27Bは増幅した信号光を光合分波器9に出力する。
さらに、信号光は、接続光ファイバ11を伝搬してコア部27Bakに入力される。そして、信号光がコア部27Bakによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。さらに、信号光は、接続光ファイバ31を伝搬してコア部27Barに入力される。そして、信号光がコア部27Barによってシングルモードで伝搬されることにより、誘導放出現象が発生し、信号光は再び光増幅される。最終的に出力光ファイバ14から出力される。
ここで、上述したように、コア部27Baa〜27Bafよりもコア部27Bag〜27Balの方が、コア直径が大きく、コア部27Bag〜7Balよりもコア部27Bam〜27Barの方が、コア直径が大きい。その結果、コア部27Bakは、コア部27Baaよりも、励起光をより多く吸収し、より強く励起された状態となる。同様に、コア部27Barは、コア部27Bakよりも、励起光をより多く吸収し、より強く励起された状態となる。その結果、異なるコア部群27Bd、27Be、27Bfにそれぞれ属するコア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Barとの間で信号光に与える利得が互いに異なる。具体的には、コア部27Bakの方がコア部27Baaよりも、信号光に対して与える利得が高く、コア部27Barの方がコア部27Bakよりも、信号光に対して与える利得が高い。コア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Barとの間の利得差はたとえば3〜4dB程度であり、5dB以上が好ましいが、利得差の値はこれに限られない。また、利得差はErの添加濃度、コア直径または励起光強度などにより調整することができる。
以上説明したように、光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて光増幅ファイバ27Bを使用した光ファイバ増幅器では、光増幅ファイバ27Bが、異なるコア部群27Bd、27Be、27Bfにそれぞれ属するコア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Barとの間で信号光に与える利得が互いに異なるように構成されており、かつ、コア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Bar同士が直列接続されており、コア部27Baaが1段目、コア部27Bakが2段目、コア部27Barが3段目である3段光増幅ファイバ構造を構成している。これにより、この光ファイバ増幅器は3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能である。さらに、コア部27Baaとコア部27Bakとコア部27Barとをクラッド励起により一括励起しているので、この光ファイバ増幅器は低消費電力化が可能である。
(構成例7)
図12は、光増幅ファイバの構成例7の模式的な断面図である。光増幅ファイバ27Cは、Erが添加された6個のコア部27Caa〜27Cafと、ErとYbとが共添加された12個のコア部27Cag〜27Carと、コア部27Caa〜27Carの外周に形成された内側クラッド部27Cbと、内側クラッド部27Cbの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27Caa〜27Carは、6個のコア部27Caa〜27Cafで構成されるコア部群27Cdと、6個のコア部27Cag〜27Calで構成されるコア部群27Ceと、6個のコア部27Cam〜27Carで構成されるコア部群27Cfとからなる。コア部群27Cdのコア部27Caa〜27Caf、コア部群27Ceのコア部27Cag〜27Cal、コア部群27Cfのコア部27Cam〜27Carはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27Cbは、コア部27Caa〜27Carの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27Cbよりも屈折率が低い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ27Cの構成材料の例は光増幅ファイバ27Aの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ27Cでは、コア直径および内側クラッド部27Cbに対する比屈折率差については、コア部27Caa〜27Carの全てで略等しい。また、Erの添加濃度については、コア部27Caa〜27Cafの全てで略等しい。また、ErおよびYbの添加濃度については、コア部27Cag〜27Calの全てで略等しく、コア部27Cam〜27Carの全てで略等しくかつコア部27Cag〜27Calよりも添加濃度が高い。
光増幅ファイバ27Aと光増幅ファイバ27Cとを比較すると、光増幅ファイバ27Aでは、コア部27Aaa〜27Aafが形成する六角形と、コア部27Aag〜27Aalが形成する六角形と、コア部27Aam〜27Aarが形成する六角形とが、光増幅ファイバ27Aの中心軸を中心として、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっている。これに対して、光増幅ファイバ27Cでは、コア部27Caa〜27Cafが形成する六角形と、コア部27Cam〜27Carが形成する六角形とは、光増幅ファイバ27Cの中心軸を中心として、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっているが、コア部27Cag〜27Calが形成する六角形は、これらの六角形に対して中心軸回りに時計回りに30°回転させた配置となっている。
このように、各コア部群27Cd、27Ce、27Cfに属するコア部が形成する六角形の少なくとも1つを中心軸回りに回転させるようにコア部を配置することで、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが容易になる。
光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて光増幅ファイバ27Cを使用した光ファイバ増幅器においても、3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能であり、かつ低消費電力化が可能である。
(構成例8)
図13は、光増幅ファイバの構成例8の模式的な断面図である。光増幅ファイバ27Dは、Erが添加された18個のコア部27Daa〜27Darと、コア部27Daa〜27Darの外周に形成された内側クラッド部27Dbと、内側クラッド部27Dbの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27Daa〜27Darは、6個のコア部27Daa〜27Dafで構成されるコア部群27Ddと、6個のコア部27Dag〜27Dalで構成されるコア部群27Deと、6個のコア部27Dam〜27Darで構成されるコア部群27Dfとからなる。コア部群27Ddのコア部27Daa〜27Daf、コア部群27Deのコア部27Dag〜27Dal、コア部群27Dfのコア部27Dam〜27Darはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27Dbは、3個の内側副クラッド部27Dba、27Dbb、27Dbcを有し、異なるコア部群27Dd、27De、27Dfに属するコア部27Daa〜27Daf、27Dag〜27Dal、27Dam〜27Darは、それぞれ異なる内側副クラッド部27Dba、27Dbb、27Dbcに囲まれている。具体的には、コア部群27Ddに属するコア部27Daa〜27Dafは、断面円形の内側副クラッド部27Dbaに囲まれており、コア部群27Deに属するコア部27Dag〜27Dalは、内側副クラッド部27Dbaの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部27Dbbに囲まれており、コア部群27Dfに属するコア部27Dam〜27Darは、内側副クラッド部27Dbbの外周に形成されたリング状の内側副クラッド部27Dbcに囲まれている。
また、光増幅ファイバ27と同様に、内側クラッド部27Dbは、コア部27Daa〜7Dalの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27Dbよりも屈折率が低い。また、内側副クラッド部27Dba、27Dbb、27Dbcは、互いに屈折率が異なる。具体的には、内側副クラッド部27Dbbの方が内側副クラッド部27Dbaよりも屈折率が高く、内側副クラッド部27Dbcの方が内側副クラッド部27Dbbよりも屈折率が高い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ27Dの構成材料の例は光増幅ファイバ27の場合と同様である。
また、光増幅ファイバ27Dでは、コア直径、Erの添加濃度、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差については、コア部27Daa〜27Darの全てで略等しい。なお、たとえば、コア直径は2〜6μmであり、Erの添加濃度は300〜3000ppmであり、および囲まれているクラッド部に対する比屈折率差は0.3〜1.5%である。
光増幅ファイバ27と光増幅ファイバ27Dとを比較すると、光増幅ファイバ27Dの内側副クラッド部27Dba、27Dbbの外径が、それぞれ、光増幅ファイバ27の内側副クラッド部27ba、27bbの外径よりも大きい。また、コア部27Daa〜27Daf、コア部27Dag〜27Dalの光増幅ファイバ27Dの中心軸からの距離も、コア部27aa〜27af、コア部27ag〜27alの光増幅ファイバ27の中心軸からの距離よりもそれぞれ大きい。また、光増幅ファイバ27Dの内側副クラッド部27Dbcの径方向における幅が、光増幅ファイバ27の内側副クラッド部27bcの径方向における幅よりも小さい。内側副クラッド部27Dbcは、たとえば純石英ガラスからなるが、その幅は、光増幅ファイバ27Dの直径(外側クラッド部27cの外径)に対して10〜90%の大きさとなるように自由に選択できる。また、光増幅ファイバ27では、コア部27aa〜27afが形成する六角形と、コア部27ag〜27alが形成する六角形と、コア部27am〜27arが形成する六角形とが、光増幅ファイバ27の中心軸を中心とし、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっている。これに対して、光増幅ファイバ27Dでは、コア部27Daa〜27Dafが形成する六角形と、コア部27Dam〜27Darが形成する六角形とは、光増幅ファイバ27Dの中心軸を中心として、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっているが、コア部27Dag〜27Dalが形成する六角形は、これらの六角形に対して中心軸回りに時計回りに30°回転させた配置となっている。
内側副クラッド部27Dba、27Dbbの外径を調整したり、各コア部群27Dd、27De、27Dfに属するコア部が形成する六角形の少なくとも1つを中心軸回りに回転させるようにコア部を配置したりすることにより、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが容易になる。
光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて光増幅ファイバ27Dを使用した光ファイバ増幅器においても、3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能であり、かつ低消費電力化が可能である。
(構成例9)
図14は、光増幅ファイバの構成例9の模式的な断面図である。光増幅ファイバ27Eは、Erが添加された18個のコア部27Eaa〜27Earと、コア部27Eaa〜27Earの外周に形成された内側クラッド部27Ebと、内側クラッド部27Ebの外周に形成された外側クラッド部27cと、を有するダブルクラッド構造の光増幅ファイバである。
コア部27Eaa〜27Earは、6個のコア部27Eaa〜27Eafで構成されるコア部群27Edと、6個のコア部27Eag〜27Ealで構成されるコア部群27Eeと、6個のコア部27Eam〜27Earで構成されるコア部群27Efとからなる。コア部群27Edのコア部27Eaa〜27Eaf、コア部群27Eeのコア部27Eag〜27Eal、コア部群27Efのコア部27Eam〜27Earはそれぞれ六角形状に配置されている。
また、内側クラッド部27Ebは、コア部27Eaa〜27Earの屈折率よりも屈折率が低い。また、外側クラッド部27cは、内側クラッド部27Ebよりも屈折率が低い。このような屈折率の関係を実現するための光増幅ファイバ27Eの構成材料の例は構成例6の光増幅ファイバ27Bの場合と同様である。
ここで、光増幅ファイバ27Eでは、Erの添加濃度および内側クラッド部27Ebに対する比屈折率差については、コア部27Eaa〜27Earの全てで略等しい。ただし、コア直径については、コア部27Eaa〜27Eafの全てで略等しく、コア部27Eag〜27Ealの全てで略等しく、コア部27Eam〜27Earの全てで略等しいが、コア部27Eaa〜27Eafとコア部27Eag〜27Ealとコア部27Eam〜27Earでは互いに異なる。具体的には、コア部27Eaa〜27Eafよりもコア部27Eag〜27Ealの方が、コア直径が大きく、コア部27Eag〜27Ealよりもコア部27Eam〜27Earの方が、コア直径が大きい。
光増幅ファイバ27Bと光増幅ファイバ27Eとを比較すると、コア部27Eaa〜27Eaf、コア部27Eag〜27Ealの光増幅ファイバ27Eの中心軸からの距離が、コア部27Baa〜27Baf、コア部27Bag〜27Balの光増幅ファイバ27Bの中心軸からの距離よりもそれぞれ大きい。また、光増幅ファイバ27Bでは、コア部27Baa〜27Bafが形成する六角形と、コア部27Bag〜27Balが形成する六角形と、コア部27Bam〜27Barが形成する六角形とが、光増幅ファイバ27Bの中心軸を中心として、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっている。これに対して、光増幅ファイバ27Eでは、コア部27Eaa〜27Eafが形成する六角形と、コア部27Eam〜27Earが形成する六角形とは、光増幅ファイバ27Eの中心軸を中心として、頂点が径方向に沿って並んでいる同心となっているが、コア部27Eag〜27Ealが形成する六角形は、これらの六角形に対して中心軸回りに時計回りに30°回転させた配置となっている。
各コア部群27Ed、27Ee、27Efに属するコア部が形成する六角形の少なくとも1つを中心軸回りに回転させるようにコア部を配置したりすることにより、隣接するコア部間での信号光のクロストークが−40dB以下となるような距離に設定することが容易になる。
光ファイバ増幅器200において光増幅ファイバ27に代えて光増幅ファイバ27Eを使用した光ファイバ増幅器においても、3段光増幅ファイバ構造を有しながら小型化が可能であり、かつ低消費電力化が可能である。
また、上記実施形態では、光ファイバ増幅器が有する多段光増幅ファイバ構造の段数は2段または3段であり、多段光増幅ファイバ構造の数は6個であるが、より多数の段数の多段光増幅ファイバ構造をより多く有することができるように設計された光増幅ファイバを用いれば、より多段かつ多くの多段光増幅ファイバ構造を有する光ファイバ増幅器を実現できる。たとえば、n、mを2以上の整数として、多段光増幅ファイバ構造における段数をnとし、光増幅ファイバにおけるコア部群の数をn以上とし、光増幅ファイバにおけるコア部の数をn×mとすると、光ファイバ増幅器はm個の多段光増幅ファイバ構造を有することができる。また、このとき励起光源の数をmより小さくすると、励起光源の数を多段光増幅ファイバ構造の数よりも少なくできるので、低消費電力の点で好適である。
また、上記実施形態では、利得がより大きいコア部をより後段に接続し、多段光増幅ファイバ構造を構成しているが、本発明はこれに限られない。すなわち、光ファイバ増幅器の設計や仕様に応じて、利得がより小さいコア部をより後段に接続したり、利得の大きさに依存しない順番でコア部を接続したりして、多段光増幅ファイバ構造を構成してもよい。
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、光増幅ファイバにおける異なるコア部群に属するコア部は、(1)互いに屈折率が異なる複数の内側副クラッド部に囲まれている、(2)希土類元素の添加濃度が互いに異なる、(3)添加されている希土類元素の種類が互いに異なる、(4)コア直径が互いに異なる、の(1)〜(4)の特性を適宜組み合わせた特性を有するものとできる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。