以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。図2は、図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。図3は、図1に示す印刷装置の変位センサ近傍の拡大図である。以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る印刷装置1は、巻き出し部2と、プリンタ部3と、巻き取り部4と、制御部5とを備える。
巻き出し部2は、紙、フィルム等からなる長尺状の印刷媒体であるウェブWをプリンタ部3へ巻き出すものである。巻き出し部2は、ウェブロール11を支持するウェブロール支持軸12を図1における時計回りに回転させるとともに、一対のアウトフィードローラ13によりウェブWをニップしつつ右方向へ搬送することで、ウェブWをプリンタ部3へ巻き出す。ウェブロール11は、ウェブWがロールされたものである。
プリンタ部3は、ウェブWを搬送しつつ、ウェブWに画像を印刷する。プリンタ部3は、巻き出し部2に対してウェブWの搬送方向における下流側(右側)に隣接して配置されている。プリンタ部3は、搬送部21と、ブレーキ22と、張力センサ23と、ローラエンコーダ24と、モータエンコーダ25と、変位センサ26と、印刷部27とを備える。
搬送部21は、一対のブレーキローラ31と、張力検出ローラ32と、張力検出補助ローラ33,34と、上流側ガイドローラ35〜37と、9本のヘッド下支持部材38と、下流側ガイドローラ39,40と、一対の搬送ローラ41と、搬送モータ42とを備える。搬送部21は、巻き出し部2から巻き出されたウェブWを、ブレーキローラ31、張力検出ローラ32、張力検出補助ローラ33,34、上流側ガイドローラ35〜37、下流側ガイドローラ39,40、および搬送ローラ41の各ローラと、ヘッド下支持部材38とに沿って搬送する。
一対のブレーキローラ31は、ウェブWに張力を付与するものである。一対のブレーキローラ31は、プリンタ部3の最上流部に配置されている。一対のブレーキローラ31は、ウェブWをニップしつつ、搬送されるウェブWに従動回転する。一方のブレーキローラ31にブレーキ22によりブレーキがかけられることで、搬送ローラ41とブレーキローラ31との間のウェブWに張力が付与される。
張力検出ローラ32は、張力センサ23によるウェブWの張力検出のために、ウェブWが巻き掛けられるものである。張力検出ローラ32には、上からウェブWが巻き掛けられている。張力検出ローラ32は、搬送されるウェブWに従動回転する。
張力検出補助ローラ33,34は、張力検出ローラ32へのウェブWの巻き掛けを補助するものである。張力検出補助ローラ33,34は、張力検出ローラ32を挟んで左右方向に互いに離間して、張力検出ローラ32より下方に配置されている。張力検出補助ローラ33,34は、それぞれ張力検出ローラ32の上流側(左側)、下流側(右側)において、ウェブWを上から押さえている。 張力検出補助ローラ33,34は、搬送されるウェブWに従動回転する。
上流側ガイドローラ35〜37は、張力検出補助ローラ34とヘッド下支持部材38との間でウェブWをガイドする。上流側ガイドローラ35〜37は、搬送されるウェブWに従動回転する。
ヘッド下支持部材38は、印刷部27の下方においてウェブWを支持する。9本のヘッド下支持部材38は、上に凸のアーチを描くように、等間隔で配置されている。ヘッド下支持部材38は、前後方向に細長い円柱形状の部材である。ヘッド下支持部材38は、ウェブWに従動回転しないように印刷装置1内に固定されている。
下流側ガイドローラ39,40は、ヘッド下支持部材38と搬送ローラ41との間でウェブWをガイドする。下流側ガイドローラ39,40は、搬送されるウェブWに従動回転する。
一対の搬送ローラ41は、ウェブWをニップしつつ、巻き取り部4へウェブWを搬送する。一対の搬送ローラ41は、プリンタ部3の最下流部に配置されている。一方の搬送ローラ41が搬送モータ42により回転駆動され、他方の搬送ローラ41がウェブWを介して一方の搬送ローラ41に従動回転する。
搬送モータ42は、一方の搬送ローラ41を回転駆動させる。搬送モータ42の回転軸と一方の搬送ローラ41に連結されたプーリ(図示せず)との間に環状のベルト(図示せず)が掛け渡され、このベルトにより、搬送モータ42の回転駆動力が一方の搬送ローラ41に伝達される。
ブレーキ22は、一方のブレーキローラ31にブレーキをかける。ブレーキ22のブレーキ力に応じてウェブWの張力が調整される。ブレーキ22は、例えば、パウダーブレーキからなる。ブレーキ22は、請求項の張力調整部に相当する。
張力センサ23は、ウェブWの張力に応じた荷重を張力検出ローラ32から受けて検出することで、ウェブWの張力を検出する。
ローラエンコーダ24は、上流側ガイドローラ36の所定の回転角度ごとにパルス信号を出力する。ローラエンコーダ24の出力パルス信号は、後述する印刷部27のインクジェットヘッド47によるインク吐出タイミングの制御に用いられる。
モータエンコーダ25は、搬送モータ42の回転軸の回転角度ごとにパルス信号を出力する。モータエンコーダ25の出力パルス信号は、搬送モータ42の駆動制御に用いられる。
変位センサ26は、いずれか2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの下方に配置され、その位置からのZ方向におけるウェブWとの間の距離を検出し、検出結果を示す信号を出力する。Z方向は、図3に示すように、変位センサ26を挟む2本の隣接するヘッド下支持部材38間に張られたウェブWのなす平面に直交する方向である。変位センサ26は、光学式の測距センサからなる。変位センサ26は、請求項の振幅検出部に相当する。
なお、図3に示すX方向は、図1の紙面に直交する方向である前後方向に平行な方向である。Y方向は、変位センサ26を挟む2本の隣接するヘッド下支持部材38間に張られたウェブWのなす平面に平行かつX方向に直交する方向である。Z方向は、X方向、Y方向の双方と直交する方向である。
印刷部27は、搬送部21により搬送されるウェブWにインクを吐出して画像を印刷する。印刷部27は、4つのヘッドユニット46を備える。
4つのヘッドユニット46は、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。4つのヘッドユニット46は、それぞれ複数のインクジェットヘッド47を有する。各ヘッドユニット46において、それぞれ前後方向に沿って配置された複数のインクジェットヘッド47からなる2列のヘッド列が形成されている。
インクジェットヘッド47は、複数のノズル(図示せず)を有し、ノズルからインクを吐出する。インクジェットヘッド47は、隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWに対向して配置されている。
巻き取り部4は、プリンタ部3で印刷されたウェブWを巻き取るものである。巻き取り部4は、プリンタ部3の下流側(右側)に隣接して配置されている。巻き取り部4は、一対のインフィードローラ51によりウェブWをニップしつつ右方向へ搬送するとともに、巻き取り軸52を図1における時計回りに回転させることで、巻き取り軸52にウェブWを巻き取って保持する。
制御部5は、印刷装置1全体の動作を制御する。制御部5は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
制御部5は、印刷を行う際、巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4においてウェブWを搬送させつつ、インクジェットヘッド47からインクを吐出させてウェブWに印刷させる。印刷中において、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWのZ方向の振幅に基づき、ウェブWの張力を調整するようブレーキ22を制御する。
次に、印刷装置1の動作について説明する。
図4は、第1実施形態における印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図4のフローチャートの処理は、印刷装置1に印刷ジョブが入力されることにより開始となる。
図4のステップS1において、制御部5は、ウェブWの搬送を開始させる。具体的には、制御部5は、巻き出し部2のウェブロール支持軸12およびアウトフィードローラ13の回転駆動を開始させる。また、制御部5は、プリンタ部3の搬送モータ42を起動させて搬送ローラ41の回転駆動を開始させるとともに、ブレーキ22を起動させる。ここで、ウェブWの搬送開始時には、ウェブWの張力の設定値としてデフォルト値がセットされている。制御部5は、ブレーキ22のブレーキ力を、ウェブWの張力のデフォルト値に応じた値に設定する。また、制御部5は、巻き取り部4のインフィードローラ51および巻き取り軸52の回転駆動を開始させる。
これにより、巻き出し部2から巻き取り部4へ向かってウェブWが搬送され始める。搬送開始後、制御部5は、ウェブWの搬送速度を加速するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
次いで、ステップS2において、制御部5は、モータエンコーダ25の出力パルス信号に基づき、ウェブWの搬送速度が所定の印刷搬送速度に到達したか否かを判断する。ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達していないと判断した場合(ステップS2:NO)、制御部5は、ステップS2を繰り返す。
ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達したと判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部5は、印刷部27による印刷を開始させる。具体的には、制御部5は、印刷対象の画像データおよびローラエンコーダ24の出力パルス信号に基づき、インクジェットヘッド47を駆動制御してインクを吐出させる。
ここで、ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達した後は、制御部5は、ウェブWの搬送速度を印刷搬送速度に維持するように、モータエンコーダ25の出力パルス信号に基づき、搬送モータ42の回転数を制御する。
ウェブWの搬送中、プリンタ部3では、ブレーキローラ31にブレーキ22によりブレーキがかけられることでウェブWに張力が付与されつつ、搬送ローラ41によりウェブWが搬送される。
図4の説明に戻り、ステップS4において、制御部5は、演算タイミングになったか否かを判断する。この演算タイミングは、ウェブWの振幅を算出するタイミングであり、ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達した時点から所定時間ごとに設定される。この演算タイミングで算出されるウェブWの振幅は、インクジェットヘッド47に対向する位置における、ウェブWのなす平面に直交する方向であるヘッド高さ方向におけるウェブWの振動による振幅である。換言すれば、演算タイミングで算出される振幅は、2本の隣接するヘッド下支持部材38間におけるヘッド高さ方向におけるウェブWの振動による振幅である。
ここで、ウェブWの振動は、搬送部21における回転する各ローラ(各ブレーキローラ31、張力検出ローラ32、張力検出補助ローラ33,34、上流側ガイドローラ35〜37、下流側ガイドローラ39,40、各搬送ローラ41)の偏芯や搬送モータ42の回転軸の偏芯等に起因して生じる。この振動による振幅は、各インクジェットヘッド47に対向する位置において、同程度の大きさになる。そこで、本実施形態では、代表して1つのインクジェットヘッド47に対向する位置におけるウェブWの振幅を、変位センサ26を用いて検出する。
演算タイミングになったと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部5は、今回の検出期間におけるウェブWの振幅Zppを算出する。今回の検出期間は、前の演算タイミング(今回が最初の演算タイミングの場合はウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達した時点)から今回の演算タイミングまでの間の期間である。
具体的には、制御部5は、所定のサンプリングタイミングごとに、変位センサ26の出力信号を取得する。変位センサ26の出力信号は、変位センサ26からウェブWまでのZ方向(ヘッド高さ方向)における距離の検出値(検出距離)を示す。制御部5は、今回の検出期間の各サンプリングタイミングにおける変位センサ26の検出距離のうちの最大値と最小値との差を、今回の検出期間におけるウェブWの振幅Zppとして算出する。
次いで、ステップS6において、制御部5は、ステップS5で算出したウェブWの振幅Zppが、所定の閾値(振幅閾値)Ztを超えているか否かを判断する。振幅Zppが閾値Zt以下であると判断した場合(ステップS6:NO)、制御部5は、ステップS4へ戻る。
振幅Zppが閾値Ztを超えていると判断した場合(ステップS6:YES)、ステップS7において、制御部5は、ウェブWの張力を現在の張力から1段階上げても、張力が予め設定された上限値を超えないか否かを判断する。
ウェブWの張力を1段階上げても張力が上限値を超えないと判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、制御部5は、ウェブWの張力を1段階だけ上げるようブレーキ22を制御する。これにより、ウェブWの張力が大きくなることで、振幅が低減される。この後、制御部5は、ステップS4へ戻る。
ウェブWの張力を1段階上げると張力が上限値を超えると判断した場合(ステップS7:NO)、ステップS9において、制御部5は、エラー対応動作を行うよう各部を制御する。具体的には、制御部5は、印刷部27による印刷を停止するとともに、ウェブWの搬送を停止するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
次いで、ステップS10において、制御部5は、ウェブWの張力の設定値としてデフォルト値をセットする。これにより、一連の動作が終了となる。ステップS10においてウェブWの張力の設定値としてデフォルト値をセットすることで、次回の印刷動作の際のウェブWの搬送開始時における張力の設定値がデフォルト値となる。
ステップS4において、演算タイミングになっていないと判断した場合(ステップS4:NO)、ステップS11において、制御部5は、印刷ジョブに基づく印刷が終了したか否かを判断する。印刷が終了していないと判断した場合(ステップS11:NO)、制御部5は、ステップS4へ戻る。
印刷が終了したと判断した場合(ステップS11:YES)、ステップS12において、制御部5は、ウェブWの搬送を終了するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。この後、制御部5は、上述したステップS10の処理を行う。これにより、一連の動作が終了となる。
以上説明したように、印刷装置1では、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppに基づき、ブレーキ22を制御してウェブWの張力を調整する。具体的には、制御部5は、検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超える場合、ウェブWの張力を上げるようブレーキ22を制御する。これにより、ウェブWの振動による振幅を低減できる。この結果、インクの着弾ずれによる印刷画質の低下を軽減できる。
また、印刷装置1では、ウェブWの振幅の検出と張力の調整によりウェブWの振幅を低減するので、ウェブWの振動の発生を抑えるための、各ローラ等の部品の加工や組み付けの高精度化が抑えられる。
したがって、印刷装置1によれば、部品の加工や組み付けの高精度化を抑えつつ、ウェブWへの印刷画質の低下を軽減できる。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、制御部5は、変位センサ26の出力信号に基づきウェブWの振動の周波数fzを算出するとともに、ローラエンコーダ24(請求項の搬送速度検出部に相当)の出力パルス信号に基づきウェブWの搬送速度の変動(速度変動)の周波数fsを算出する。そして、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの張力を変更するようブレーキ22を制御する。また、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属さない場合、エラー対応動作を行うよう各部を制御する。
第2実施形態における印刷装置1の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
図5のステップS21〜S24の処理は、前述した図4のステップS1〜S4の処理と同様である。
ステップS24において、演算タイミングになったと判断した場合(ステップS24:YES)、ステップS25において、制御部5は、今回の検出期間におけるウェブWの振幅Zpp、ウェブWの振動の周波数fz、およびウェブWの速度変動の周波数fsを算出する。
具体的には、制御部5は、前述したステップS5と同様の算出方法により、ウェブWの振幅Zppを算出する。また、制御部5は、今回の検出期間の各サンプリングタイミングにおける変位センサ26の検出距離のデータに対してフーリエ変換を行うことで、ウェブWの振動の周波数fzを算出する。また、制御部5は、今回の検出期間におけるローラエンコーダ24の出力パルス信号からウェブWの搬送速度を求め、その搬送速度のデータに対してフーリエ変換を行うことで、ウェブWの速度変動の周波数fsを算出する。
ここで、1回分の検出期間における変位センサ26の検出距離の変動およびウェブWの搬送速度の変動の一例を図6に示す。図6において、縦軸は、変位センサ26の検出距離の当該検出期間における平均距離との差分およびウェブWの搬送速度の当該検出期間における平均速度との差分を示している。図6の例では、振幅Zppは閾値Ztを超えている。
図6に示す変位センサ26の検出距離のデータおよびウェブWの搬送速度のデータに対してそれぞれフーリエ変換を行った結果を図7に示す。図7において、横軸は周波数を示し、縦軸はウェブWの速度変動幅および振幅を示す。変位センサ26の検出距離のデータに対するフーリエ変換の結果における最大の振幅に対応する周波数が、ウェブWの振動の周波数fzとなる。また、ウェブWの搬送速度のデータに対するフーリエ変換の結果における最大の速度変動幅に対応する周波数が、ウェブWの速度変動の周波数fsとなる。
図5に戻り、ステップS25に続いて、ステップS26において、制御部5は、ステップS25で算出したウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超えているか否かを判断する。振幅Zppが閾値Zt以下であると判断した場合(ステップS26:NO)、制御部5は、ステップS24へ戻る。
振幅Zppが閾値Ztを超えていると判断した場合(ステップS26:YES)、ステップS27において、制御部5は、ステップS25で算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属するか否かを判断する。具体的には、制御部5は、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとの差が閾値(周波数差閾値)ft以下であるか否かを判断する。ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとの差が閾値ft以下である場合、制御部5は、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属すると判断する。
ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属すると判断した場合(ステップS27:YES)、制御部5は、ステップS28へ進む。ステップS28,S29の処理は、前述した図4のステップS7,S8の処理と同様である。ステップS29の後、制御部5は、ステップS24へ戻る。
ここで、ウェブWの振動および速度変動に共通の主な要因として、搬送部21における回転する各ローラ(各ブレーキローラ31等)や搬送モータ42の回転軸の偏芯がある。このため、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属している場合、閾値Ztを超える振幅Zppが検出されたウェブWの振動の主な要因は、回転する各ローラや搬送モータ42の回転軸の偏芯であると考えられる。このような搬送部21の構成に起因するウェブWの振動は、ウェブWの張力を上げることで低減できる。
そこで、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属する場合(ステップS27:YES)、制御部5は、ウェブWの張力が上限値を超えない限り、張力を1段階上げる(ステップS29)。
ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属さないと判断した場合(ステップS27:NO)、制御部5は、ステップS30へ進む。また、ステップS28において、ウェブWの張力を1段階上げると張力が上限値を超えると判断した場合(ステップS28:NO)、制御部5は、ステップS30へ進む。ステップS30,S31の処理は、前述した図4のステップS9,S10の処理と同様である。ステップS31が終了すると、一連の動作が終了となる。
ここで、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属さない場合(ステップS27:NO)、搬送部21における回転する各ローラや搬送モータ42の回転軸の偏芯以外の、突発的な要因で、閾値Ztを超える振幅Zppの振動が生じている可能性がある。この場合、ウェブWの張力を上げることで振幅を低減できるか否か不明である。そこで、ウェブWの振動の周波数fzと速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属さない場合(ステップS27:NO)、制御部5は、エラー動作を行う(ステップS30)。
ステップS24において、演算タイミングになっていないと判断した場合(ステップS24:NO)、制御部5は、ステップS32へ進む。ステップS32,S33の処理は、前述した図4のステップS11,S12の処理と同様である。ステップS33の後、ステップS31の処理が行われると、一連の動作が終了となる。
上述した動作により張力が変更された後のウェブWにおける変位センサ26の検出距離の変動および搬送速度の変動の一例を図8に示す。図8は、図6に示した振動および速度変動が生じていたウェブWに対して張力変更を行った後の振動および搬送速度の測定結果を示すものである。また、図8に示す変位センサ26の検出距離のデータおよびウェブWの搬送速度のデータに対してそれぞれフーリエ変換を行った結果を図9に示す。図8、図9に示すように、図6、図7と比較して、ウェブWの振幅が低減する効果が得られている。
以上説明したように、第2実施形態では、制御部5は、変位センサ26の出力信号に基づきウェブWの振動の周波数fzを算出するとともに、ローラエンコーダ24の出力パルス信号に基づきウェブWの速度変動の周波数fsを算出する。そして、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの張力を変更するようブレーキ22を制御する。これにより、搬送部21の構成に起因するウェブWの振動による振幅を低減できる。この結果、インクの着弾ずれによる印刷画質の低下を軽減できる。
また、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの速度変動の周波数fsとが同じ周波数帯域に属さない場合、エラー対応動作を行うよう各部を制御する。これにより、突発的な要因でウェブWに振動が生じた状況に対処できる。
(第3実施形態)
次に、上述した第2実施形態の一部を変更した第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、制御部5は、変位センサ26の出力信号に基づきウェブWの振動の周波数fzを算出する。そして、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzと2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの張力を変更するようブレーキ22を制御する。また、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzと2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さない場合、エラー対応動作を行うよう各部を制御する。
2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの固有振動数fは、2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWが振動しやすい振動数である。この固有振動数fは、下記の式(1)で表される。
ここで、aは、図10に示すように、ウェブWの搬送方向における2本の隣接するヘッド下支持部材38間の距離である。bは、ウェブWの幅である。mは、ウェブWの搬送方向の次数である。nは、ウェブWの幅方向の次数である。Tは、ウェブWの張力である。ρは、ウェブWの面密度である。kは、ウェブWの種類等に応じた係数である。印刷装置1では、ウェブWの幅方向の両端は自由端であるため、次数n=0である。また、本実施形態では、次数m=1とする。
印刷装置1では、各ヘッド下支持部材38間の距離は均等である。このため、いずれの2本の隣接するヘッド下支持部材38間においてもaの値は同じであり、ウェブWの固有振動数fは同じになる。
なお、ウェブWの幅方向は、図1の紙面に直交する方向である前後方向に平行な方向である。2本の隣接するヘッド下支持部材38間におけるウェブWの搬送方向は、当該2本の隣接するヘッド下支持部材38間に張られたウェブWのなす平面に平行かつ幅方向に直交する方向である。
第3実施形態における印刷装置1の動作について、図11のフローチャートを参照して説明する。
図5のステップS41〜S43の処理は、前述した図4のステップS1〜S3の処理と同様である。
ステップS43に続いて、ステップS44において、制御部5は、現在のウェブWの張力に応じた、2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの固有振動数fを算出する。
次いで、ステップS45において、制御部5は、演算タイミングになったか否かを判断する。
演算タイミングになったと判断した場合(ステップS45:YES)、ステップS46において、制御部5は、今回の検出期間におけるウェブWの振幅Zppおよび振動の周波数fzを算出する。
次いで、ステップS47において、制御部5は、ステップS46で算出したウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超えているか否かを判断する。振幅Zppが閾値Zt以下であると判断した場合(ステップS47:NO)、制御部5は、ステップS45へ戻る。
振幅Zppが閾値Ztを超えていると判断した場合(ステップS47:YES)、ステップS48において、制御部5は、ステップS46で算出したウェブWの振動の周波数fzと、ステップS44で算出した固有振動数fとが同じ周波数帯域に属するか否かを判断する。具体的には、制御部5は、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとの差が閾値(周波数差閾値)ft以下であるか否かを判断する。ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとの差が閾値ft以下である場合、制御部5は、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属すると判断する。
ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属すると判断した場合(ステップS48:YES)、制御部5は、ステップS49へ進む。ステップS49,S50の処理は、前述した図4のステップS7,S8の処理と同様である。ステップS50の後、制御部5は、ステップS44へ戻る。
ここで、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの振幅が増幅される。このため、閾値Ztを超える振幅Zppが発生したと考えられる。
固有振動数fは、式(1)から分かる通り、ウェブWの張力を変更することで、変化させることができる。そこで、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合(ステップS48:YES)、制御部5は、ウェブWの張力が上限値を超えない限り、張力を1段階上げる(ステップS50)。これにより、変位センサ26で検出されたウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないようにすることができる。
ここで、前述のように、ウェブWの振動は、搬送部21における回転する各ローラ(各ブレーキローラ31等)の偏芯や搬送モータ42の回転軸の偏芯等に起因して生じる。この振動の周波数は、各ヘッド下支持部材38間に共通である。このため、変位センサ26で検出されたウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないようにすることで、各ヘッド下支持部材38間において、ウェブWの振動の周波数と固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないようにすることができる。これにより、各ヘッド下支持部材38間のウェブWの振幅を低減できる。
ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないと判断した場合(ステップS48:NO)、制御部5は、ステップS51へ進む。また、ステップS49において、ウェブWの張力を1段階上げると張力が上限値を超えると判断した場合(ステップS49:NO)、制御部5は、ステップS51へ進む。ステップS51,S52の処理は、前述した図4のステップS9,S10の処理と同様である。ステップS52が終了すると、一連の動作が終了となる。
ここで、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さない場合、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが重なること以外の、突発的な要因で、閾値Ztを超える振幅Zppの振動が生じている可能性がある。この場合、固有振動数fを変化させることでウェブWの振幅を低減できるか否か不明である。そこで、ウェブWの振動の周波数fzと固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さない場合(ステップS48:NO)、制御部5は、エラー動作を行う(ステップS51)。
ステップS45において、演算タイミングになっていないと判断した場合(ステップS45:NO)、制御部5は、ステップS53へ進む。ステップS53,S54の処理は、前述した図4のステップS11,S12の処理と同様である。ステップS54の後、ステップS52の処理が行われると、一連の動作が終了となる。
以上説明したように、第3実施形態では、制御部5は、変位センサ26の出力信号に基づきウェブWの振動の周波数fzを算出する。そして、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの張力を変更するようブレーキ22を制御する。これにより、ウェブWの振動の周波数と固有振動数とが重ならないようにすることで、ウェブWの振動による振幅を低減できる。この結果、インクの着弾ずれによる印刷画質の低下を軽減できる。
また、ウェブWの振幅の検出と張力の調整によりウェブWの振幅を低減するので、ウェブWの振動の発生を抑えるための、各ローラ等の部品の加工や組み付けの高精度化が抑えられる。
したがって、第3実施形態でも、部品の加工や組み付けの高精度化を抑えつつ、ウェブWへの印刷画質の低下を軽減できる。
また、制御部5は、変位センサ26により検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、算出したウェブWの振動の周波数fzとウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さない場合、エラー対応動作を行うよう各部を制御する。これにより、突発的な要因でウェブWに振動が生じた状況に対処できる。
(第4実施形態)
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、制御部5は、搬送部21における回転する各ローラ(各ブレーキローラ31、張力検出ローラ32、張力検出補助ローラ33,34、上流側ガイドローラ35〜37、下流側ガイドローラ39,40、各搬送ローラ41)の偏芯周波数、および搬送モータ42(請求項の駆動源に相当)の回転軸の偏芯による搬送ローラ41の回転変動周波数のそれぞれと、2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの設定張力に応じた固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、プリンタ部3における印刷時のウェブWの搬送速度(印刷搬送速度)を設定する。そして、制御部5は、設定した印刷搬送速度でウェブWを搬送するよう搬送モータ42を制御する。
ここで、各ブレーキローラ31および各搬送ローラ41の直径がΦ1、上流側ガイドローラ36の直径がΦ2、張力検出ローラ32、張力検出補助ローラ33,34、上流側ガイドローラ35,37、および下流側ガイドローラ39,40の直径がΦ3であるとする。
ウェブWの搬送速度をVとすると、各ブレーキローラ31および各搬送ローラ41の偏芯周波数fbは、下記の式(2)で表される。上流側ガイドローラ36の偏芯周波数fgは、下記の式(3)で表される。張力検出ローラ32、張力検出補助ローラ33,34、上流側ガイドローラ35,37、および下流側ガイドローラ39,40の偏芯周波数frは、下記の式(4)で表される。
fb=V/Φ1 …(2)
fg=V/Φ2 …(3)
fr=V/Φ3 …(4)
また、搬送モータ42の回転軸と搬送ローラ41との間の減速比をRとすると、搬送モータ42の回転軸の偏芯による搬送ローラ41の回転変動周波数fmは、下記の式(5)で表される。
fm=(V/Φ1)×R …(5)
次に、第4実施形態における印刷装置1の動作について説明する。
印刷装置1の動作を開始する際、制御部5は、巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御してウェブWの搬送を開始させる。この際、制御部5は、ブレーキ22のブレーキ力を、ウェブWの張力のデフォルト値(設定張力)に応じた値に設定する。搬送開始後、制御部5は、ウェブWの搬送速度を加速するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達すると、制御部5は、その印刷搬送速度を維持するように、モータエンコーダ25の出力パルス信号に基づき、搬送モータ42の回転数を制御する。この印刷搬送速度は、偏芯周波数fb、fg、fr、および回転変動周波数fmのそれぞれと、ウェブWの張力のデフォルト値に対応するウェブWの固有振動数fとの差が、閾値ftより大きくなるように、予め設定された速度である。ウェブWの固有振動数fは、前述の式(1)により算出されるものである。
ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達した後、制御部5は、印刷部27による印刷を行う。印刷が終了すると、制御部5は、ウェブWの搬送を終了するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
以上説明したように、第4実施形態では、制御部5は、搬送部21における回転する各ローラの偏芯周波数fb、fg、fr、および搬送モータ42の回転軸の偏芯による搬送ローラ41の回転変動周波数fmのそれぞれと、ウェブWの設定張力に応じた固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、ウェブWの搬送速度を設定する。これにより、ローラの偏芯周波数等とウェブWの固有振動数fとが重ならないようにすることで、ウェブWの振動による振幅を抑えることができる。この結果、インクの着弾ずれによる印刷画質の低下を軽減できる。
また、ウェブWの搬送速度の設定によりウェブWの振動を抑えるので、ウェブWの振動の発生を抑えるための、各ローラ等の部品の加工や組み付けの高精度化が抑えられる。
したがって、第4実施形態でも、部品の加工や組み付けの高精度化を抑えつつ、ウェブWへの印刷画質の低下を軽減できる。
(第5実施形態)
次に、上述した第4実施形態の一部を変更した第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、制御部5は、所定の印刷搬送速度(設定搬送速度)に応じた偏芯周波数fb、fg、fr、および回転変動周波数fmのそれぞれと、2本の隣接するヘッド下支持部材38間のウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、プリンタ部3における印刷時のウェブWの張力を設定する。そして、制御部5は、ウェブWの張力が設定した張力となるようブレーキ22を制御する。
第5実施形態における印刷装置1の動作について説明する。
印刷装置1の動作を開始する際、制御部5は、ウェブWの搬送を開始するとともに、ウェブWの搬送速度を加速するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
この際、制御部5は、ブレーキ22のブレーキ力を、設定したウェブWの張力に応じた値に設定する。この張力は、所定の印刷搬送速度に応じた偏芯周波数fb、fg、fr、および回転変動周波数fmのそれぞれと、ウェブWの固有振動数fとの差が、閾値ftより大きくなるように設定した張力である。この張力は、前述の式(1)〜式(5)を用いて算出できる。この張力は、プリンタ部3におけるウェブWの張力の適正範囲内の値となるよう算出される。
ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達すると、制御部5は、その印刷搬送速度を維持するように、モータエンコーダ25の出力パルス信号に基づき、搬送モータ42の回転数を制御する。ウェブWの搬送速度が印刷搬送速度に到達した後、制御部5は、印刷部27による印刷を行う。印刷が終了すると、制御部5は、ウェブWの搬送を終了するよう巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を制御する。
以上説明したように、第5実施形態では、制御部5は、所定の印刷搬送速度に応じた偏芯周波数fb、fg、fr、および回転変動周波数fmのそれぞれと、ウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、ウェブWの張力を設定する。これにより、第4実施形態と同様に、ローラの偏芯周波数等とウェブWの固有振動数fとが重ならないようにすることで、ウェブWの振動による振幅を抑えることができる。この結果、インクの着弾ずれによる印刷画質の低下を軽減できる。
また、ウェブWの張力の設定によりウェブWの振動を抑えるので、ウェブWの振動の発生を抑えるための、各ローラ等の部品の加工や組み付けの高精度化が抑えられる。
したがって、第5実施形態でも、部品の加工や組み付けの高精度化を抑えつつ、ウェブWへの印刷画質の低下を軽減できる。
(その他の実施形態)
上述のように、本発明は第1〜第5実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
第1〜第3実施形態において、ウェブWの振幅を検出するために光学式の変位センサ26を用いたが、マイクロホンを用いて音圧を検出することにより、ウェブWの振幅を検出するようにしてもよい。
第1〜第3実施形態では、エラー対応動作として、印刷部27による印刷を停止するとともにウェブWの搬送を停止する動作を行ったが、実行中の印刷ジョブによる印刷の終了まで動作を継続してから、ウェブWの搬送を停止するようにしてもよい。
第1実施形態では、検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超える場合に、ウェブWの張力を1段階上げたが、張力の調整の仕方はこれに限らない。検出されたウェブWの振幅Zppの値に応じてウェブWの張力の値を設定するようにしてもよい。
第2実施形態において、ウェブWの搬送速度を算出するためにローラエンコーダ24の出力パルス信号を用いたが、搬送モータ42の駆動電流を検出する電流計を設け、その電流計の検出値に基づきウェブWの搬送速度を算出するようにしてもよい。また、ウェブWの搬送速度を算出するためにモータエンコーダ25の出力パルス信号を用いてもよい。
第3実施形態では、検出されたウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超え、かつ、ウェブWの振動の周波数fzとウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合に、ウェブWの張力を変更した。しかし、ウェブWの振幅Zppが閾値Ztを超えたか否かの判断を省略し、ウェブWの振動の周波数fzとウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属する場合、ウェブWの張力を変更するようにしてもよい。このようにしても、ウェブWの振動の周波数と固有振動数とが重ならないようにすることで、ウェブWの振動による振幅を低減できる。
第4実施形態では、各ブレーキローラ31等の偏芯周波数fb、上流側ガイドローラ36の偏芯周波数fg、張力検出ローラ32等の偏芯周波数fr、および搬送モータ42の回転軸の偏芯による搬送ローラ41の回転変動周波数fmと、設定張力に応じたウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、ウェブWの搬送速度を設定した。これに加えて、ウェブWの固有振動数fが搬送モータ42の脈動の周波数とも重ならないようにウェブWの搬送速度を設定してもよい。また、搬送モータ42から搬送ローラ41へ駆動力を伝達するギアを有する構成の場合、ウェブWの固有振動数fが、ギアの噛み合いによる搬送ローラ41の回転の変動の周波数とも重ならないようにウェブWの搬送速度を設定してもよい。
第5実施形態では、設定搬送速度に応じた各ブレーキローラ31等の偏芯周波数fb、上流側ガイドローラ36の偏芯周波数fg、張力検出ローラ32等の偏芯周波数fr、および搬送モータ42の回転軸の偏芯による搬送ローラ41の回転変動周波数fmと、ウェブWの固有振動数fとが同じ周波数帯域に属さないように、ウェブWの張力を設定した。これに加えて、ウェブWの固有振動数fが搬送モータ42の脈動の周波数とも重ならないようにウェブWの張力を設定してもよい。また、搬送モータ42から搬送ローラ41へ駆動力を伝達するギアを有する構成の場合、ウェブWの固有振動数fが、ギアの噛み合いによる搬送ローラ41の回転の変動の周波数とも重ならないようにウェブWの張力を設定してもよい。
第1〜第5実施形態では、印刷装置1が巻き出し部2、プリンタ部3、および巻き取り部4を有する構成を示したが、プリンタ部3に相当する印刷装置に外部装置として巻き出し装置および巻き取り装置が接続された構成でもよい。また、プリンタ部3に相当する印刷装置に、巻き出し装置、巻き取り装置以外の外部装置が接続された構成でもよい。例えば、ウェブWを断裁する断裁装置等が外部装置として印刷装置に接続された構成でもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。