JP2017169036A - 信号処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】音質への影響を抑えつつ、音像の大きさを調整する。【解決手段】音処理部23は、右チャンネルの音信号のうち高域の成分を通過させるHPF2302Rと、右チャンネルの音信号のうち低域の成分を通過させるLPF2308Rと、左チャンネルの音信号のうち高域の成分を通過させるHPF2302Lと、左チャンネルの音信号のうち低域の成分を通過させるLPF2308Lと、右チャンネルの音信号に、左チャンネルのうちLPF2301Lを通過した成分の音信号を加算する加算器2311Rと、左チャンネルの音信号に、右チャンネルのうちHPF2302Rを通過した成分の音信号を加算する加算器と2311Lとを有する。【選択図】図3
Description
本発明は、音像の大きさを制御する技術に関する。
電子ピアノ等の電子楽器をコンサート等で使用する場合、スピーカは一般的には、ステージの両端に置かれる。例えば電子ピアノの音をスピーカから出力した場合、その音像は2つのスピーカ間の距離程度の大きさとなる。この音像は、ステージ上の電子ピアノに対し非常に大きく、観客に違和感を与える場合があった。
例えば、特許文献1には、電子楽器において、左右のスピーカの間隔を変えた場合でも、最適なパンニングを行うことが記載されている。特許文献2には、電子楽音発生装置において、内蔵スピーカとライン出力とを備え、別々にパンニングデータを設定することにより、演奏者と聴衆の両者を同時に満足させる音像の楽音を発生させることが記載されている。
特許文献1に記載の技術においては、全周波数帯域の信号に対して同じパンニング処理を行っているため、音質に影響が出やすいという問題があった。また、特許文献2に記載の技術においては、信号を低域と高域とに分割しているものの、両者に対してパンニング処理を行っているため、音質に影響が出やすいという問題があった。
これに対し本発明は、音質への影響を抑えつつ、音像の大きさを調整する技術を提供する。
本発明は、第1チャンネルの音信号のうち高域の第1成分を通過させる第1フィルタと、前記第1チャンネルの音信号のうち低域の第2成分を通過させる第2フィルタと、第2チャンネルの音信号のうち高域の第3成分を通過させる第3フィルタと、前記第2チャンネルの音信号のうち低域の第4成分を通過させる第4フィルタと、前記第1チャンネルの音信号に、前記第2チャンネルのうち前記第3フィルタを通過した前記第3成分の音信号を加算する第1加算器と、前記第2チャンネルの音信号に、前記第1チャンネルのうち前記第1フィルタを通過した前記第1成分の音信号を加算する第2加算器とを有する信号処理装置を提供する。
この信号処理装置は、前記第1フィルタを通過した前記第1成分の出力を遅延させて出力する第1遅延回路と、前記第3フィルタを通過した前記第3成分の出力を遅延させて出力する第2遅延回路とを有し、前記第1加算器は、前記第1フィルタを通過した前記第1成分の音信号および前記第2フィルタを通過した前記第2成分の音信号に、前記第2遅延回路から出力された前記第3成分の音信号を加算し、前記第2加算器は、前記第3フィルタを通過した前記第3成分の音信号および前記第4フィルタを通過した前記第4成分の音信号に、前記第1遅延回路から出力された前記第1成分の音信号を加算してもよい。
この信号処理装置は、前記第1遅延回路の出力信号に係数を乗算して前記第2加算器に出力する第1乗算器および前記第2遅延回路の出力信号に係数を乗算して前記第1加算器に出力する第2乗算器を有してもよい。
本発明によれば、音質への影響を抑えつつ、音像の大きさを調整することができる。
1.構成
図1は、一実施形態に係る電子楽器1の外観を例示する図である。この例で、電子楽器1は、本体11、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を有する電子鍵盤楽器である。本体11は、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を含む他の構成要素を収容するものであり、例えばアップライトピアノを模した形状の筐体を含む。鍵盤12は、演奏者(ユーザ)による演奏操作を受け付ける操作子の一例であり、複数の鍵を含む。鍵が操作されると、操作された鍵に応じた音信号を音源(図1では不図示)が生成する。音信号は音処理部(図1では不図示)で処理される。スピーカ13およびスピーカ14は、音処理部により処理された音信号に応じた音を出力する。この例で、スピーカ13およびスピーカ14は、鍵盤12よりも下側に設けられている。なお、スピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも下側にあるとは、電子楽器1を使用状態に置いたときにスピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも低い位置にあることをいう。
図1は、一実施形態に係る電子楽器1の外観を例示する図である。この例で、電子楽器1は、本体11、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を有する電子鍵盤楽器である。本体11は、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を含む他の構成要素を収容するものであり、例えばアップライトピアノを模した形状の筐体を含む。鍵盤12は、演奏者(ユーザ)による演奏操作を受け付ける操作子の一例であり、複数の鍵を含む。鍵が操作されると、操作された鍵に応じた音信号を音源(図1では不図示)が生成する。音信号は音処理部(図1では不図示)で処理される。スピーカ13およびスピーカ14は、音処理部により処理された音信号に応じた音を出力する。この例で、スピーカ13およびスピーカ14は、鍵盤12よりも下側に設けられている。なお、スピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも下側にあるとは、電子楽器1を使用状態に置いたときにスピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも低い位置にあることをいう。
図2は、一実施形態に係る電子楽器1の構成を例示する図である。電子楽器1は、押鍵センサ15、発音制御部16、出力調整部21、操作子22、音処理部17、増幅器18、音処理部23、スピーカ13、およびスピーカ14を有する。押鍵センサ15は、鍵盤12の複数の鍵のうちどの鍵が押鍵されているか検知し、押鍵された鍵を示す信号を出力する。この信号は、各鍵の押鍵量(鍵がどのくらい押し込まれているか)を示す情報を含んでいてもよい。押鍵センサ15は、例えば、LEDおよびフォトダイオードを用いた光学式のセンサである。
発音制御部16は、鍵盤12の操作に応じて、すなわち押鍵センサ15から出力される信号に応じて音信号を生成する。発音制御部16は、音源161および音信号生成部162を有する。音源161は、各鍵に対応する音データを記憶している。ある鍵に対応する音データは、その鍵を押鍵したときに発生する音の立ち上がりから消え際までの音波形を示すデータである。各鍵に対応する音データは、基音および倍音を含んでいる。基音とは、鍵盤12の各鍵が押鍵されたときに発する音の音高を決定する周波数の音で、鍵ごとに定まっている。基音は、押鍵に応じて音源161から読み出される音データのうち最も低い周波数の音である。倍音とは基音の周波数の整数倍の周波数の音をいう。楽器の音色は倍音成分によって特徴付けられる。各鍵に対応する音データは、右チャンネル(第1チャンネルの一例)のデータおよび左チャンネル(第2チャンネルの一例)のデータを含む。音信号生成部162は、押鍵センサ15から出力された信号に応じた音データを音源161から読み出し、読み出された音データに応じた音信号を出力する。この例で、音信号生成部162は、右チャンネルの音信号および左チャンネルの音信号を出力する。
出力調整部21は、音の出力先を調整する。この例で、電子楽器1は、内蔵スピーカ(スピーカ13およびスピーカ14)から音を出力する出力系と、外部のスピーカから音を出力するためのいわゆるライン出力の出力系とを有する。出力調整部21は、発音制御部16から入力された音信号を分岐し、分岐された音信号を、音処理部17および音処理部23に出力する。出力調整部21は、音処理部17に出力される音信号、および音処理部23に出力される音信号のゲインをそれぞれ調整する。
操作子22は、電子楽器1から出力される音に関するパラメーター、例えば、使用される音源の種類や、内蔵スピーカまたはライン出力のゲインを調整するための指示入力を受け付ける。操作子22は、例えば、ボタン、スイッチ、レバー、ダイヤル、キーパッド、およびタッチスクリーンの少なくとも1つを含む。発音制御部16および出力調整部21は、操作子22を介して入力された指示に応じて、それぞれの処理に用いられるパラメーターを調整する。
音処理部17は、発音制御部16から入力され、内蔵スピーカ(スピーカ13およびスピーカ14)に出力される音信号を処理する。この例で、音処理部17は、音像の位置を上に持ち上げる処理、すなわち音像をスピーカ位置より上方に定位させる処理を行う。ここでは、音像をスピーカ位置より上方に定位させるために、人間の聴覚特性を利用する。人間の聴覚には、音高が高い音は上から、音高が低い音は下から聞こえるように感じるという特徴がある。また、複数の音源から音が出力された場合に、先に聞こえた方に音像を感じるという特徴(ハース効果)もある。本実施形態においては、音信号を低域と高域に分割し、低域の信号を高域の信号よりも遅らせて出力することで、スピーカから出力される音がより高い位置から聞こえるように感じられる効果を奏する。音処理部17は、人間の聴覚のこのような特性を利用して音像をより上方に定位させる。
増幅器18は、音処理部17から出力された音信号を増幅する。スピーカ13およびスピーカ14は、増幅器18により増幅された音信号に応じた音を出力する。
音処理部23は、発音制御部16から入力され、ライン出力端子24およびライン出力端子25を介して外部スピーカ(スピーカ53およびスピーカ54)に出力される音信号を処理する。この例で、音処理部23は、音像の大きさを小さくする処理、すなわち右チャンネルの音信号と左チャンネルの音信号との相関を高める処理を行う。音処理部23は、本発明に係る信号処理装置の一例である。
図3は、音処理部23の構成を例示する図である。音処理部23は、PEQ(パラメトリックイコライザ)2301、HPF(High Pass Filter、高域通過フィルタ)2302、遅延回路2303、乗算器2304、乗算器2305、遅延回路2306、乗算器2307、LPF(Low Pass Filter、低域通過フィルタ)2308、遅延回路2309、乗算器2310、加算器2311、入力部2318、および出力部2319を有する。以下において、左チャンネルおよび右チャンネルに対応する要素を区別するときは、添字LおよびRを用いる。HPF2302、遅延回路2303、乗算器2304、乗算器2305、遅延回路2306、および乗算器2307は高域の処理系であり、LPF2308、遅延回路2309、および乗算器2310は低域の処理系である。
高域と低域との境界は、例えば、対応するアコースティック楽器(例えばグランドピアノ)における弦の長さに応じて設定される。具体的には、グランドピアノにおける弦の長さがしきい値よりも長い鍵域に対応する音が低域となり、弦の長さがしきい値よりも短い鍵域に対応する音が高域となるように設定される。
発音制御部16から出力された音信号は、入力部2318を介して音処理部23に入力される。入力部2318Rは第1チャンネルの音信号を入力するための第1入力部の一例であり、入力部2318Lは第2チャンネルの音信号を入力するための第2入力部の一例である。入力部2318は、少なくとも音信号の入力を受け付けるための端子を含む。音処理部23に入力された音信号は、まずPEQ2301に入力される。PEQ2301は、音処理部23から出力される音信号の周波数特性(例えばピークやディップ)を補正するための補正部の一例である。
図4は、PEQ2301による補正を例示する模式図である。この図において、横軸は周波数を、縦軸は信号強度を、それぞれ示している。曲線Coは、発音制御部16から出力される音信号の周波数特性を示している。曲線Ccは、比較例に係る周波数特性を示している。ここで比較例とは、音処理部23のうちPEQ2301を用いない例をいう。曲線Ccにおいては、曲線Coと比較して周波数fD近傍にディップ、この例では信号強度が減衰するディップが生じている。例えば人間の声のような特定の周波数帯の音のみを出力する系では、このようなディップの発生は問題にならない場合も多い。しかし、電子楽器のように比較的広い周波数帯域に渡って平坦な周波数特性が要求される場合、このようなディップの発生は音質の劣化として認識されてしまう。一方、曲線Cpは、本実施形態に係る周波数特性を示している。PEQ2301の補正により、曲線Ccと比較してディップは改善されている。すなわち、音質が改善されている。
再び図3を参照する。PEQ2301から出力された信号は2分割され、HPF2302およびLPF2308に入力される。HPF2302は、音信号のうち特定の周波数帯域の音信号を通過させるフィルタの一例であり、具体的には、例えばカットオフ周波数fHo以下の周波数帯の信号を減衰させ、カットオフ周波数fHo以上の周波数帯の信号を通過させるフィルタである。遅延回路2303は、HPF2302を通過した音信号(高域成分)を遅延させる。乗算器2304は、遅延回路2303から出力された音信号に所定の係数を乗算する。
ここで、「特定の周波数帯域」とは、例えば音色への影響が少ない周波数帯域をいい、具体的には鍵盤12の中心付近の鍵の基音を含まない周波数帯域をいう。一例として鍵盤12および音源161がアコースティックピアノに対応するものであり、音処理部23が鍵盤12の全鍵域に対して処理を行う場合、49番目の鍵盤の「ラ」の音が基音であり、その周波数は440Hzである。
乗算器2304から出力された信号は2分割され、乗算器2305および遅延回路2306に入力される。乗算器2305は、入力された音信号に所定の係数を乗算する。遅延回路2306は、入力された音信号を、乗算器2304から分割された他の一部(乗算器2305に入力される音信号)よりも遅延させる。遅延回路2306Rは第1フィルタを通過した第1成分の出力を遅延させて出力する第1遅延回路の一例であり、遅延回路2306Lは第3フィルタを通過した第3成分の出力を遅延させて出力する第2遅延回路の一例である。乗算器2307は、遅延回路2306から出力された信号に所定の係数を乗算する。乗算器2307Rは第1遅延回路の出力信号に係数を乗算して第2加算器に出力する第1乗算器の一例であり、乗算器2307Lは第2遅延回路の出力信号に係数を乗算して第1加算器に出力する第2乗算器の一例である。
LPF2308は、音信号のうち特定の周波数帯域以外の周波数帯域の音信号を通過させるフィルタの一例であり、具体的には、例えばカットオフ周波数fLo以上の周波数帯の信号を減衰させ、カットオフ周波数fLo以下の周波数帯の信号を通過させるフィルタである。カットオフ周波数fLoは、例えば、カットオフ周波数fHoと等しい。遅延回路2309は、LPF2308を通過した音信号(低域成分)を高域成分の音信号に対して遅延させて出力する。高域成分に対する低域成分の相対的な遅延量は、ハース効果を生じさせる程度の遅延量、具体的には、例えば、1〜5msec以下である。乗算器2310は、遅延回路2309から出力された音信号に所定の係数を乗算する。乗算器2304の係数と乗算器2310の係数とは、典型的には等しい値(例えば両者ともに1.0)に設定されるが、音源の種類に応じて互いに異なるゲインに設定されてもよい。例えば、高域成分が少ない音源の場合、高域成分にゲインを持たせる(乗算器2304の係数を1.0よりも大きくする)ことにより音像移動の効果を大きくすることができる。なお、HPF2302のカットオフ周波数fHoとLPF2308のカットオフ周波数fLoとの関係は、fHo=fLoに限定されない。例えば、音源の周波数特性に応じて異なる関係に設定されてもよい。すなわち、音信号の倍音構造に基づいて、高域と低域を分離できるようなカットオフ周波数が選択されてもよい。
HPF2302Rは、第1チャンネル(この例では右チャンネル)の音信号のうち高域の第1成分の音信号を通過させる第1フィルタの一例である。LPF2308Rは、第1チャンネルの音信号のうち低域の第2成分の音信号を通過させる第2フィルタの一例である。HPF2302Lは、第2チャンネル(この例では左チャンネル)の音信号のうち高域の第3成分の音信号を通過させる第3フィルタの一例である。LPF2308Lは、第2チャンネルの音信号のうち低域の第4成分の音信号を通過させる第4フィルタの一例である。
加算器2311Rは、乗算器2305Rから出力された音信号、乗算器2310Rから出力された音信号、および乗算器2307Lから出力された音信号を加算する。加算器2311Rは、第1フィルタを通過した第1成分の音信号、第2フィルタを通過した第2成分の音信号、および第3フィルタを通過した第3成分の音信号を加算する第1加算器の一例である。加算器2311Lは、乗算器2305Lから出力された音信号、乗算器2310Lから出力された音信号、および乗算器2307Rから出力された音信号を加算する。加算器2311Lは、第1フィルタを通過した第1成分の音信号、第3フィルタを通過した第3成分の音信号、および第4フィルタを通過した第4成分の音信号を加算する第2加算器の一例である。加算器2311Rは、第1チャンネル(この例では右チャンネル)の音信号に、第2チャンネル(この例では左チャンネル)の音信号のうちHPF2302Lを通過した成分の音信号を加算する第1加算器の一例である。加算器2311Lは、第2チャンネルの音信号に、第1チャンネルの音信号のうちHPF2302Rを通過した成分の音信号を加算する第2加算器の一例である。加算器2311Rから出力された音信号は、右チャンネルの音信号として、出力部2319Rを介して音処理部23の外部に出力される。加算器2311Lから出力された音信号は、左チャンネルの音信号として、出力部2319Lを介して音処理部23の外部に出力される。出力部2319Rは第1チャンネルの音信号を出力するための第1出力部の一例であり、出力部2319Lは第2チャンネルの音信号を出力するための第2出力部の一例である。出力部2319は、少なくとも音信号を出力するための端子を含む。出力部2319を介して音処理部23から出力された右チャンネル、左チャンネルの音信号はそれぞれ、ライン出力端子24およびライン出力端子25を介して電子楽器に接続された増幅器52、51で増幅され、外部スピーカ53および外部スピーカ54から出力される。
このように、一方のチャンネルの音信号が他方のチャンネルの音信号に加算されることで、両チャンネルの相関が高められる。右チャンネルと左チャンネルとの相関が高められるということは、音の広がりが減少すること、すなわち、音像が小さくなることを意味する。
図5は、一実施形態に係る音像位置の概要を示す図である。ここでは、ステージS上に、スピーカ53、スピーカ54、および電子楽器1が配置されている例を示している。音像Scは、比較例に係る音像位置であり、鍵盤の中央付近の鍵を押鍵したときの音像を示している。ここで比較例とは、右チャンネルの音信号と左チャンネルの音信号との相関を高める処理を行わない例をいう。音像Spは、本実施形態に係る音像位置を示している。音像Spは、音像Scよりも小さくなっている。これにより、電子楽器1は、聴衆に対し楽器の大きさにより整合した大きさの音像を提供することができる。このとき、音信号のうち低音成分については、右チャンネルと左チャンネルとの相関を高める処理が行われていない。相関を高める処理が行われる周波数帯域を、電子楽器1の鍵盤の中心付近の鍵の基音を含まない周波数帯域に絞ることにより、音色の変化が抑制される。
なお、乗算器2305のゲイン、乗算器2307のゲイン、および遅延回路2306の遅延量により、音像の大きさの変化の程度を制御することができる。例えば、乗算器2305のゲインの乗算器2307のゲインに対する比が大きくなるように設定すると、音像の大きさの変化が抑制される。また、遅延回路2306の遅延量を大きくすると、右チャンネルと左チャンネルとの相関が低くなるので、音像の大きさの変化が抑制される。これらのパラメーターは、例えば、操作子22を介したユーザの指示入力により設定される。別の例として、遅延回路2306の遅延時間を例えば0とし、乗算器2305の係数と乗算器2307の係数をいずれも例えば0.5とすることで、高域の音信号をモノラル化し、これにより音像を小さくすることができる。また、さらに他の例として、遅延回路2306の遅延時間を例えば0.1msec程度、乗算器2305の係数を例えば0.5、乗算器2307の係数を例えば−0.25とするとモノラル感が緩和され、音像がやや大きく感じられるようになる。なおここで説明した係数および遅延量はあくまで例示である。このように、乗算器2305、乗算器2307、遅延回路2306のパラメーターは、電子楽器1の設置条件(2つの外部スピーカ(スピーカ53およびスピーカ54)間の距離等)やユーザの好みに応じて設定することができる。
また、この例では、遅延回路2309により付与されるハース効果により音像の位置がより上方に定位されている。
図6は、音処理部17の構成を例示する図である。音処理部17は、PEQ171、HPF172、遅延回路173、乗算器174、LPF175、遅延回路176、乗算器177、加算器178を有する。この例で、音処理部17は、右チャンネルの音信号および左チャンネルの音信号をそれぞれ処理する。HPF172、遅延回路173、および乗算器174は高域の処理系であり、LPF175、遅延回路176、および乗算器177は低域の処理系である。
発音制御部16から出力された音信号は、まずPEQ171に入力される。PEQ171は、音処理部17から出力される音信号の周波数特性(例えばピークやディップ)を補正するための補正部の一例である。音信号の周波数特性については後述する。PEQ171から出力された信号は2分割され、HPF172およびLPF175に入力される。HPF172は、音信号のうち高域の第1成分の音信号を通過させるフィルタの一例であり、この例ではカットオフ周波数fHi以下の周波数帯の信号を減衰させ、カットオフ周波数fHi以上の周波数帯の信号を通過させるフィルタである。遅延回路173は、HPF172を通過した音信号(高域成分)を遅延させる。乗算器174は、遅延回路173から出力された音信号に所定の係数を乗算する。LPF175は、音信号のうち第1成分より低域の第2成分の音信号を通過させるフィルタの一例であり、この例ではカットオフ周波数fLi以上の周波数帯の信号を減衰させ、カットオフ周波数fLi以下の周波数帯の信号を通過させるフィルタである。カットオフ周波数fLiは、例えば、カットオフ周波数fHiと等しい。また、fHiおよびfLiは、それぞれ、例えばfHoおよびfLoと等しい。遅延回路176は、LPF175を通過した音信号(低域成分)を遅延させる。遅延回路176は、低域成分を高域成分よりも相対的に遅延させる。高域成分に対する低域成分の相対的な遅延量は、ハース効果を生じさせる程度の遅延量である。乗算器177は、遅延回路176から出力された音信号に所定の係数を乗算する。乗算器174の係数と乗算器177の係数とは、典型的には等しい値(例えば両者ともに1.0)に設定されるが、音源の種類に応じて互いに異なるゲインに設定されてもよい。例えば、高域成分が少ない音源の場合、高域成分にゲインを持たせる(乗算器174の係数を1.0よりも大きくする)ことにより音像移動の効果を大きくすることができる。なお、HPF172のカットオフ周波数fHiとLPF175のカットオフ周波数fLiとの関係は、fHi=fLiに限定されない。例えば、音源の周波数特性に応じて異なる関係に設定されてもよい。すなわち、音信号の倍音構造に基づいて、高域と低域を分離できるようなカットオフ周波数が選択されてもよい。
HPF172のカットオフ周波数fHiとLPFのカットオフ周波数fLiは等しい値に設定されるが、フィルタの通過域外の周波数帯域であっても、おのおののフィルタのロールオフ特性に応じたレベルの信号が通過する。HPF172が通過させる周波数帯とLPF175が通過させる周波数帯とが一部重なっていると、重なっている周波数帯で信号強度が増大するピークや信号強度が減衰するディップが生じる可能性がある。これらのピークやディップの周波数や振幅は、遅延回路173および遅延回路176における遅延量にも依存する。PEQ171は、HPF172、遅延回路173、LPF175、および遅延回路176の特性に応じて生じるピークやディップを補正する。
加算器178は、第1成分の音信号および第1成分から相対的に遅延された第2成分の音信号を加算する。加算器178の出力が、音処理部17の出力である。
2.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
音処理部23の具体的構成は図3に例示したものに限定されない。例えば、音処理部23は、PEQ2301を含んでいなくてもよい。各フィルタおよび遅延回路の特性によっては、音源の周波数特性の変化が問題とならないレベルであることもある。このような場合、PEQ2301は不要である。
音処理部23は、音信号を2つの周波数帯域に分割するものに限定されず、3つ以上の周波数帯域に分割してもよい。例えば、3つの周波数帯域に分割する場合において、高域の音信号についてのみ右チャンネルと左チャンネルとの相関を高める処理が行われてもよいし、高域および中域の音信号についてのみ右チャンネルと左チャンネルとの相関を高める処理が行われてもよい。あるいは、操作子22を介したユーザの指示入力により指定される周波数帯域の音信号についてのみ、右チャンネルと左チャンネルとの相関を高める処理が行われてもよい。
音処理部23において、LPFおよびHPFに代えてBPF(Band Pass Filter、帯域通過フィルタ)が用いられてもよい。例えば、図3のHPF2302に代えてBPFが用いられてもよい。この場合、BPFの中心周波数およびバンド幅は、高音鍵の倍音成分に応じて決められる。倍音成分がほとんど存在しない高域の音信号は通過しなくてもよい。あるいは、音信号が3帯域に分割して処理される場合において、低域を通過させるLPF、中域を通過させるBPF、および高域を通過させるHPFを用いて音信号を分割してもよい。
音処理部23において、遅延回路2303および遅延回路2309の少なくとも一方は省略されてもよい。さらに、図3の例で、PEQ2301はHPF2302およびLPF2308の前段に配置されていたが、加算器2311の後段等、別の位置に配置されていてもよい。要は、2以上の周波数帯域に分割された音信号のうち高域の音信号の相関が高められるように処理されるのであれば、具体的な回路構成はどのようなものであってもよい。
電子楽器1において、音処理部17は省略されてもよい。電子楽器1は、外部に出力される音信号における音像の大きさを調整するものであれば、内蔵スピーカから出力される音を調整しなくてもよい。
音源161は、複数の楽器(例えば、グランドピアノ、アップライトピアノ、およびチェンバロ)にそれぞれ対応する複数セットの音データを有していてもよい。この場合、音処理部17および音処理部23のそれぞれにおいて、各フィルタのカットオフ周波数および遅延回路の遅延量は、楽器の種類(音源の種類)に応じて変えられてもよい。
電子楽器1は、鍵盤楽器に限定されない。電子楽器1は、打楽器、管楽器、弦楽器等、鍵盤楽器以外の電子楽器であってもよい。また、音処理部23すなわち信号処理装置は、電子楽器に用いられるものに限定されない。音処理部23は、電子楽器以外の装置における音信号の処理に用いられてもよい。
1…電子楽器、11…本体、12…鍵盤、13…スピーカ、14…スピーカ、15…押鍵センサ、16…発音制御部、17…音処理部、18…増幅器、21…出力調整部、22…操作子、23…音処理部、24…ライン出力端子、25…ライン出力端子、51…増幅器、52…増幅器、53…スピーカ、54…スピーカ、161…音源、162…音信号生成部、171…PEQ、172…HPF、173…遅延回路、174…乗算器、175…LPF、176…遅延回路、177…乗算器、178…加算器、2301…PEQ、2302…HPF、2303…遅延回路、2304…乗算器、2305…乗算器、2306…遅延回路、2307…乗算器、2308…LPF、2309…遅延回路、2310…乗算器、2311…加算器
Claims (3)
- 第1チャンネルの音信号を入力するための第1入力部と、
第2チャンネルの音信号を入力するための第2入力部と、
前記第1チャンネルの音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第1成分を通過させる第1フィルタと、
前記第1チャンネルの音信号のうち前記第1成分よりも低い周波数帯域の音信号である第2成分を通過させる第2フィルタと、
前記第2チャンネルの音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第3成分を通過させる第3フィルタと、
前記第2チャンネルの音信号のうち前記第3成分よりも低い周波数帯域の音信号である第4成分を通過させる第4フィルタと、
前記第1フィルタを通過した前記第1成分の音信号、前記第2フィルタを通過した前記第2成分の音信号、および前記第3フィルタを通過した前記第3成分の音信号を加算する第1加算器と、
前記第1フィルタを通過した前記第1成分の音信号、前記第3フィルタを通過した前記第3成分の音信号、および前記第4フィルタを通過した前記第4成分の音信号を加算する第2加算器と
前記第1加算器の加算結果を出力する第1出力部と、
前記第2加算器の加算結果を出力する第2出力部と
を有する信号処理装置。 - 前記第1フィルタを通過した前記第1成分の出力を遅延させて出力する第1遅延回路と
前記第3フィルタを通過した前記第3成分の出力を遅延させて出力する第2遅延回路と
を有し、
前記第1加算器は、前記第1フィルタを通過した前記第1成分の音信号および前記第2フィルタを通過した前記第2成分の音信号に、前記第2遅延回路から出力された前記第3成分の音信号を加算し、
前記第2加算器は、前記第3フィルタを通過した前記第3成分の音信号および前記第4フィルタを通過した前記第4成分の音信号に、前記第1遅延回路から出力された前記第1成分の音信号を加算する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 前記第1遅延回路の出力信号に係数を乗算して前記第2加算器に出力する第1乗算器と
前記第2遅延回路の出力信号に係数を乗算して前記第1加算器に出力する第2乗算器と
を有する請求項2に記載の信号処理装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016052346A JP2017169036A (ja) | 2016-03-16 | 2016-03-16 | 信号処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016052346A JP2017169036A (ja) | 2016-03-16 | 2016-03-16 | 信号処理装置 |
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JP2017169036A true JP2017169036A (ja) | 2017-09-21 |
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JP (1) | JP2017169036A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021049424A1 (ja) * | 2019-09-12 | 2021-03-18 | ヤマハ株式会社 | 音信号発生方法、音信号発生装置、音信号発生プログラムおよび電子音楽装置 |
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2016
- 2016-03-16 JP JP2016052346A patent/JP2017169036A/ja active Pending
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CN114375474A (zh) * | 2019-09-12 | 2022-04-19 | 雅马哈株式会社 | 声音信号发生方法、声音信号发生装置、声音信号发生程序及电子音乐装置 |
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