JP6733233B2 - 電子鍵盤楽器 - Google Patents

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Description

本発明は、音像の定位を制御する技術に関する。
スピーカを有する電子鍵盤楽器が知られている。このような電子鍵盤楽器においては、設計の制約によりスピーカが鍵盤の下方に設けられていることがある。例えばアコースティックのグランドピアノでは弦およびハンマーは鍵盤のやや奥に、またアップライトピアノでは鍵盤のやや上に、それぞれ位置しており、打鍵に応じた音は弦から発せられる。これに対してスピーカが鍵盤の下方に設けられた電子鍵盤楽器では打鍵に応じた音が下から聞こえるため、演奏時の音像の位置や音の広がりがアコースティック楽器とは異なったものとなってしまう。
上記の問題に対して特許文献1には、本体下部に設けたメインスピーカに加えて、本体内部に前向きのスピーカを設け、さらに本体のうち鍵盤上部に開口部を設けて音響再生空間を広げる技術が記載されている。また、特許文献2には、電子鍵盤楽器に関するものではないが、テレビ放送のコンテンツにおいて人間の会話音声の定位位置を上昇させる技術が記載されている。
実用新案登録第2555069号公報 特開2014−168228号公報
特許文献1に記載の技術においては、スピーカやアンプの数が多くなるのでコストが増加するだけでなく、本体に開口部を設けるため本体の外観形状が制限されるという問題があった。
これに対し本発明は、よりアコースティック楽器に近い音像位置を有する電子鍵盤楽器を提供する。
本発明は、鍵盤と、前記鍵盤の操作に応じた音信号を出力する音源と、前記音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第1成分を通過させる第1フィルタと、前記音信号のうち前記第1成分よりも低い周波数帯域の音信号である第2成分を通過させる第2フィルタと、前記第2フィルタの出力を遅延させて出力する第1遅延回路と、前記第1遅延回路により遅延された前記第2成分を、前記第1フィルタを通過した前記第1成分と加算して出力する加算部と、前記鍵盤よりも下側に設けられ、前記加算部から出力された音信号に応じた音を出力するスピーカとを有する電子鍵盤楽器を提供する。
この電子鍵盤楽器は、前記加算部から出力される音信号の周波数特性を、前記第1フィルタのカットオフ周波数、前記第2フィルタのカットオフ周波数、および前記第1遅延回路における遅延量に応じて補正して出力する補正部を有し、前記スピーカは、前記補正部により補正された音信号に応じた音を出力してもよい。
この電子鍵盤楽器は、前記音信号のうち前記第1成分よりも低くかつ前記第2成分よりも高い周波数帯域の音信号である第3成分を通過させる第3フィルタと、前記第3フィルタの出力を遅延させて出力する第2遅延回路とを有し、前記第1遅延回路は、前記第2フィルタの出力を前記第3フィルタの出力よりも遅延させ、前記加算部は、前記第1成分、前記第1遅延回路により遅延された前記第2成分、および前記第2遅延回路により遅延された前記第3成分を加算してもよい。
本発明によれば、電子鍵盤楽器の音像位置を、よりアコースティック楽器に近づけることができる。
一実施形態に係る電子鍵盤楽器1の外観を例示する図。 一実施形態に係る電子鍵盤楽器1の構成を例示する図。 PEQ171による補正を例示する図。 一実施形態に係る音像位置の概要を示す図。 変形例1に係る音処理部17の構成を例示する図。 変形例2に係る電子鍵盤楽器1の構成を例示する図。
1.構成
図1は、一実施形態に係る電子鍵盤楽器1の外観を例示する図である。電子鍵盤楽器1は、本体11、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を有する。本体11は、鍵盤12、スピーカ13、およびスピーカ14を含む他の構成要素を収容するものであり、例えばアップライトピアノを模した形状の筐体を含む。鍵盤12は、演奏者(ユーザ)による演奏操作を受け付ける操作子の一例であり、複数の鍵を含む。鍵が操作されると、操作された鍵に応じた音信号を音源(図1では不図示)が生成する。音信号は音処理部(図1では不図示)で処理される。スピーカ13およびスピーカ14は、音処理部により処理された音信号に応じた音を出力する。この例で、スピーカ13およびスピーカ14は、鍵盤12よりも下側に設けられている。なお、スピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも下側にあるとは、電子鍵盤楽器1を使用状態に置いたときにスピーカ13およびスピーカ14が鍵盤12よりも低い位置にあることをいう。
図2は、一実施形態に係る電子鍵盤楽器1の構成を例示する図である。電子鍵盤楽器1は、押鍵センサ15、発音制御部16、音処理部17、および増幅器18を有する。押鍵センサ15は、鍵盤12の複数の鍵のうちどの鍵が押鍵されているか検知し、押鍵された鍵を示す信号を出力する。この信号は、各鍵の押鍵量(鍵がどのくらい押し込まれているか)を示す情報を含んでいてもよい。押鍵センサ15は、例えば、LEDおよびフォトダイオードを用いた光学式のセンサである。
発音制御部16は、鍵盤12の操作に応じて、すなわち押鍵センサ15から出力される信号に応じて音信号を生成する。発音制御部16は、音源161および音信号生成部162を有する。音源161は、各鍵に対応する音データを記憶している。ある鍵に対応する音データは、その鍵を押鍵したときに発生する音の立ち上がりから消え際までの音波形を示すデータである。各鍵に対応する音データは、右チャンネルのデータおよび左チャンネルのデータを含む。音信号生成部162は、押鍵センサ15から出力された信号に応じた音データを音源161から読み出し、読み出された音データに応じた音信号を出力する。
音処理部17は、発音制御部16から出力された音信号を処理する。この例で、音処理部17は、音像の位置を上に持ち上げる処理、すなわち音像をスピーカ位置より上方に定位させる処理を行う。ここでは、音像をスピーカ位置より上方に定位させるために、人間の聴覚特性を利用する。人間の聴覚には、音高が高い音は上から、音高が低い音は下から聞こえるように感じるという特徴がある。また、複数の音源から音が出力された場合に、先に聞こえた方に音像を感じるという特徴(ハース効果)もある。本実施形態においては、音信号を低域と高域に分割し、低域の信号を高域の信号よりも遅らせて出力することで、スピーカから出力される音がより高い位置から聞こえるように感じられる効果を奏する。音処理部17は、人間の聴覚のこのような特性を利用して音像をより上方に定位させる。
音処理部17は、PEQ(パラメトリックイコライザ)171、HPF(High Pass Filter、高域通過フィルタ)172、遅延回路173、乗算器174、LPF(Low Pass Filter、低域通過フィルタ)175、遅延回路176、乗算器177、加算器178を有する。この例で、音処理部17は、右チャンネルの音信号および左チャンネルの音信号をそれぞれ処理する。右チャンネルの処理系と左チャンネルの処理系とを区別するときは添字RおよびLを用い、両者を区別しないときは添字を用いない。HPF172、遅延回路173、および乗算器174は高域の処理系であり、LPF175、遅延回路176、および乗算器177は低域の処理系である。
発音制御部16から出力された音信号は、まずPEQ171に入力される。PEQ171は、音処理部17から出力される音信号の周波数特性(例えばピークやディップ)を補正するための補正部の一例である。音信号の周波数特性については後述する。PEQ171から出力された音信号は2分割され、HPF172およびLPF175に入力される。HPF172は、音信号のうち高域の第1成分を通過させる第1フィルタの一例であり、この例ではカットオフ周波数fH以下の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fH以上の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。遅延回路173は、HPF172を通過した音信号(高域成分)を遅延させて出力する。乗算器174は、遅延回路173から出力された音信号に所定の係数を乗算して出力する。LPF175は、音信号のうち第1成分より低域の第2成分を通過させる第2フィルタの一例であり、この例ではカットオフ周波数fL以上の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fL以下の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。遅延回路176(第1遅延回路の一例)は、LPF175を通過した音信号(低域成分)を遅延させて出力する。遅延回路176は、低域成分を高域成分よりも相対的に遅延させる。高域成分に対する低域成分の相対的な遅延量は、ハース効果を生じさせる程度の遅延量、具体的には、例えば、1〜5msec以下である。乗算器177は、遅延回路176から出力された音信号に所定の係数を乗算して出力する。乗算器174の係数と乗算器177の係数とは、典型的には等しい値(例えば両者ともに1.0)に設定されるが、音源の種類に応じて互いに異なるゲインに設定されてもよい。例えば、高域成分が少ない音源の場合、高域成分にゲインを持たせる(乗算器174の係数を1.0よりも大きくする)ことにより音像移動の効果を大きくすることができる。なお、HPF172のカットオフ周波数fHとLPF175のカットオフ周波数fLとは通常は等しい値に設定されるが、fH=fLに限定されない。例えば、音源の周波数特性に応じて異なる関係に設定されてもよい。すなわち、音信号の倍音構造に基づいて、高域と低域を分離できるようなカットオフ周波数、例えば、fL<fH<2fLの関係を満たすようなfLおよびfHが選択されてもよい。
HPF172のカットオフ周波数fHとLPFのカットオフ周波数fLは等しい値に設定されるが、フィルタの通過域外の周波数帯域であっても、おのおののフィルタのロールオフ特性に応じたレベルの信号が通過する。HPF172が通過させる周波数帯域とLPF175が通過させる周波数帯域とが一部重なっていると、重なっている周波数帯域で信号強度が増大するピークや信号強度が減衰するディップが生じる可能性がある。これらのピークやディップの周波数や振幅は、遅延回路173および遅延回路176における遅延量にも依存する。PEQ171は、HPF172、遅延回路173、LPF175、および遅延回路176の特性に応じて生じるピークやディップを補正して出力する。すなわち、PEQ171は、加算器178から出力される音信号の周波数特性を、第1フィルタのカットオフ周波数、第2フィルタのカットオフ周波数、および第1遅延回路における遅延量に応じて補正するものである。
高域と低域との境界は、例えば、対応するアコースティック楽器(例えばグランドピアノ)における弦の長さに応じて設定される。具体的には、グランドピアノにおける弦の長さがしきい値よりも長い鍵域に対応する音が低域となり、弦の長さがしきい値よりも短い鍵域に対応する音が高域となるように設定される。
図3は、PEQ171による補正を例示する模式図である。この図において、横軸は周波数を、縦軸は信号強度を、それぞれ示している。曲線Coは、発音制御部16から出力される音信号の周波数特性を示している。曲線Ccは、比較例に係る周波数特性を示している。ここで比較例とは、音処理部17のうちPEQ171を用いない例をいう。曲線Ccにおいては、曲線Coと比較して周波数fD近傍にディップ、この例では信号強度が減衰するディップが生じている。例えば人間の声のような特定の周波数帯域の音のみを出力する系では、このようなディップの発生は問題にならない場合も多い。しかし、電子楽器のように比較的広い周波数帯域に渡って平坦な周波数特性が要求される場合、このようなディップの発生は音質の劣化として認識されてしまう。一方、曲線Cpは、本実施形態に係る周波数特性を示している。PEQ171の補正により、曲線Ccと比較してディップは改善されている。すなわち、音質が改善されている。
再び図2を参照する。加算器178は、第1成分の音信号および第1成分から相対的に遅延された第2成分の音信号を加算して出力する加算部の一例である。
増幅器18は、加算器178すなわち音処理部17から出力された音信号を増幅して出力する。スピーカ13およびスピーカ14は、増幅器18により増幅された音信号に応じた音を出力する。
図4は、一実施形態に係る音像位置の概要を示す図である。音像Scは、比較例に係る音像位置であり、鍵盤の中央付近の鍵を押鍵したときの音像を示している。ここで比較例とは、低域の音信号を高域の音信号に対して相対的に遅延させない例をいう。音像Spは、本実施形態に係る音像位置を示している。音像Spは、音像Scよりも相対的に上に移動している。これにより、電子鍵盤楽器1は、演奏者に対しよりアコースティック楽器に近い位置に定位された音像を提供することができる。
2.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
2−1.変形例1
図5は、変形例1に係る音処理部17の構成を例示する図である。音信号の分割方法は、実施形態で説明した2つの周波数帯域に分割するものに限定されず、3つ以上の周波数帯域に分割されてもよい。ここでは、低域、中域、および高域の3つの周波数帯域に音信号を分割する例を示している。図面を簡単にするため、図5は1つのチャンネルの音信号の処理系のみを示している。変形例1に係る音処理部17は、PEQ1701、LPF1702、遅延回路1703、乗算器1704、HPF1705、PEQ1706、LPF1707、遅延回路1708、乗算器1709、HPF1710、乗算器1711、および加算器1712を有する。LPF1702、遅延回路1703、および乗算器1704は低域の処理系であり、HPF1705、PEQ1706、LPF1707、遅延回路1708、および乗算器1709は中域の処理系であり、HPF1710、および乗算器1711は高域の処理系である。
発音制御部16から出力された音信号は、まずPEQ1701に入力される。PEQ1701は、音処理部17から出力される音信号の周波数特性を補正するための補正部の一例である。PEQ1701から出力された信号は2分割され、LPF1702およびHPF1705に入力される。LPF1702は、カットオフ周波数fL1以上の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fL1以下の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。遅延回路1703(第2遅延回路の一例)は、LPF1702を通過した音信号(低域成分)を遅延させる。乗算器1704は、遅延回路1703から出力された音信号に所定の係数を乗算する。
HPF1705は、カットオフ周波数fH1以下の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fH1以上の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。PEQ1706は、音処理部17から出力される音信号の周波数特性を補正するための補正部の一例である。PEQ1706から出力された信号は2分割され、LPF1707およびHPF1710に入力される。LPF1707は、音信号のうち中域の第3成分を通過させる第2フィルタの一例であり、この例ではカットオフ周波数fL2以上の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fL2以下の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。カットオフ周波数fL2は、fL2>fL1を満たす。遅延回路1708(第1遅延回路の別の例)は、LPF1707を通過した音信号(中域成分)を遅延させる。乗算器1709は、遅延回路1708から出力された音信号に所定の係数を乗算する。
HPF1710は、カットオフ周波数fH2以下の周波数帯域の信号を減衰させ、カットオフ周波数fH2以上の周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。カットオフ周波数fH2は、fH2>fH1を満たす。乗算器1711は、HPF1710から出力された音信号を増幅する。カットオフ周波数fL1、fL2、fH1、およびfH2は、それぞれ、相対的に低域、中域、および高域の音信号を分離できるように設計される。そのカットオフ周波数はfL1=fH1、fL2=fH2の関係となる。乗算器1711は、HPF1710から出力された音信号に所定の係数を乗算する。乗算器1704、1709および1711の係数は上記の例と同様に、典型的には互いに等しい値(例えば1.0)に設定されるが、音源の種類に応じて互いに異なるゲインに設定されてもよい。また、PEQ1701およびPEQ1706は、LPF1702、遅延回路1703、HPF1705、LPF1707、遅延回路1708、およびHPF1710の特性に応じて生じるピークやディップを補正する。
図5において、HPF1710は、音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第1成分を通過させる第1フィルタの一例であり、LPF1702は、音信号のうち低い周波数帯域の音信号である第2成分を通過させる第2フィルタの一例であり、HPF1705およびLPF1707の組み合わせは、音信号のうち中間の周波数帯域の音信号である第3成分(第1成分よりも低くかつ第2成分よりも高い周波数帯域)を通過させる第3フィルタの一例である。なお第3フィルタとしては、HPFおよびLPFの組み合わせに代えて、BPF(Band Pass Filter、帯域通過フィルタ)が用いられてもよい。また、図5の例では音信号をまず高中域と低域とに分割した後、高中域をさらに高域と中域に分割していたが、これを、音信号をまず高域と中低域とに分割した後、中低域をさらに中域と低域に分割する構成に改変してもよい。
遅延回路1703および遅延回路1708はそれぞれ、低域成分を中域成分に対して遅延させ、中域成分を高域成分に対して遅延させる。遅延回路1703および遅延回路1708における遅延量は、全体としてハース効果を生じさせる程度の遅延量、具体的には、例えば、高域成分に対する低域成分の遅延が1〜5msec以下となる遅延量である。加算器1712は、第1成分、第2成分、および第3成分の音信号を加算する加算部の一例である。加算部により加算された音信号は増幅器(図5では略)により増幅され、スピーカ(図5では略)から音として出力される。図5の音処理部17を用いた電子鍵盤楽器1は、演奏者に対し図2の構成を有する電子鍵盤楽器1が提供する音像に対して、よりアコースティック楽器に近い位置に定位された音像を提供することができる。
2−2.変形例2
図6は、変形例2に係る電子鍵盤楽器1の構成を例示する図である。この例では、鍵盤12が、それぞれ連続する複数の鍵からなる複数の鍵域、具体的には鍵域12A、12B、12C、および12Dの4つの鍵域に分割されている。これらの鍵域はそれぞれ音高が異なっており、鍵域12Aの音高が最も低く、鍵域12Dの音高が最も高い。発音制御部16および音処理部17は鍵域毎に設けられている。鍵域12A、12B、12C、および12Dに対応するものをそれぞれ、添字A〜Dを用いて表す。例えば、鍵域12Aに含まれる鍵の押鍵に応じて生成された音信号は、音処理部17Aに入力される。音処理部17A〜Dの構成は例えば図2で説明したとおりであるが、処理に用いられるパラメーター(具体的には高域の音信号に対する低域の音信号の相対遅延量Δτ)がそれぞれ異なっている。なお図6では図面を簡単にするため1つのチャンネルの処理系のみ示している。
例えば、音処理部17A〜Dにおける相対遅延量ΔτA〜Dは、
ΔτA>ΔτB>ΔτC>ΔτD …(1)
となるように設定される。なお、鍵盤の押鍵に応じて生成された音信号は、音処理部17A〜Dのうち対応する音処理部において低域の音信号および高域の音信号に分割され、低域の音信号が高域の音信号に対して相対的に遅延するように処理される。各処理部において処理する音信号のうち低域の音信号および高域の音信号をそれぞれ添字LおよびHを用いて表すと、遅延量τは、
τAL>τAH>τBL>τBH>τCL>τCH>τDL>τDH …(2)
となるように設定される。音処理部17で処理された音信号は加算器19で加算され、増幅器18で増幅された後、スピーカ13(スピーカ14)から音が出力される。
この例によれば、より低域の鍵ほど上方への音像移動の程度を大きくすることができる。低域の鍵はそもそも音高が低いので、聴感上音像がより下方に定位する傾向があるが、本実施形態によれば全ての鍵に一様に処理を行う場合と比較してよりアコースティック楽器に近い位置に定位された音像を提供することができる。なお、分割された複数の鍵域のうち、音像の移動量が少ない鍵域における遅延量はゼロであってもよい。
2−3.変形例3
音源161は、複数の楽器(例えば、グランドピアノ、アップライトピアノ、およびチェンバロ)にそれぞれ対応する複数セットの音データを有していてもよい。この場合、各フィルタのカットオフ周波数および遅延回路の遅延量は、楽器の種類(音源の種類)に応じて変えられてもよい。
2−4.他の変形例
音処理部17の具体的構成は図2および図5に例示したものに限定されない。例えば、音処理部17は、PEQを含んでいなくてもよい。各フィルタおよび遅延回路の特性によっては、音源の周波数特性の変化が問題とならないレベルであることもある。このような場合、PEQは不要である。
音処理部17において、LPFおよびHPFに代えてBPFが用いられてもよい。例えば、図2のHPF172に代えてBPFが用いられてもよい。この場合、BPFの中心周波数およびバンド幅は、高音鍵の倍音成分に応じて決められる。倍音成分がほとんど存在しない高域の音信号は通過しなくてもよい。あるいは、音信号が3帯域に分割して処理される場合において、低域を通過させるLPF、中域を通過させるBPF、および高域を通過させるHPFを用いて音信号を分割してもよい。
図2に例示した音処理部17において、遅延回路173は省略されてもよい。また、図5に例示した音処理部17において、高域の処理系に遅延回路が追加されてもよい。さらに、図2に例示した音処理部17において、PEQ171はHPF172およびLPF175の前段に配置されていたが、加算器178の後段に配置されていてもよい。図5の例においても同様である。要は、2以上の周波数帯域の音信号に分割された音信号が、より低域の音信号ほど遅延するように処理されるのであれば、具体的な回路構成はどのようなものであってもよい。
音処理部17は、電子鍵盤楽器に用いられるものに限定されない、鍵盤楽器以外の電子楽器、または電子楽器以外の装置における音信号の処理に用いられてもよい。
1…電子鍵盤楽器、11…本体、12…鍵盤、13…スピーカ、14…スピーカ、15…押鍵センサ、16…発音制御部、17…音処理部、18…増幅器、19…加算器、161…音源、162…音信号生成部、171…PEQ、172…HPF、173…遅延回路、174…乗算器、175…LPF、176…遅延回路、177…乗算器、178…加算器、1701…PEQ、1702…LPF、1703…遅延回路、1704…乗算器、1705…HPF、1706…PEQ、1707…LPF、1708…遅延回路、1709…乗算器、1710…HPF、1711…乗算器、1712…加算器

Claims (3)

  1. 鍵盤と、
    前記鍵盤の操作に応じた音信号を出力する音源と、
    前記音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第1成分を通過させる第1フィルタと、
    前記音信号のうち前記第1成分よりも低い周波数帯域の音信号である第2成分を通過させる第2フィルタと、
    前記第2フィルタの出力を遅延させて出力する第1遅延回路と、
    前記第1遅延回路により遅延された前記第2成分を、前記第1フィルタを通過した前記第1成分と加算して出力する加算部と、
    前記鍵盤よりも下側に設けられ、前記加算部から出力された音信号に応じた音を出力するスピーカと
    を有し、
    前記高い周波数帯域と前記低い周波数帯域との境界が、前記音源に記憶された音データに対応するアコースティック楽器の弦の長さに応じて設定される
    電子鍵盤楽器。
  2. 鍵盤と、
    前記鍵盤の操作に応じた音信号を出力する音源と、
    前記音信号のうち高い周波数帯域の音信号である第1成分を通過させる第1フィルタと、
    前記音信号のうち前記第1成分よりも低い周波数帯域の音信号である第2成分を通過させる第2フィルタと、
    前記音信号のうち前記第1成分よりも低くかつ前記第2成分よりも高い周波数帯域の音信号である第3成分を通過させる第3フィルタと、
    前記第2フィルタの出力を遅延させて出力する第1遅延回路と、
    前記第3フィルタの出力を遅延させて出力する第2遅延回路と
    前記第1遅延回路により遅延された前記第2成分を、前記第1フィルタを通過した前記第1成分と加算して出力する加算部と、
    前記鍵盤よりも下側に設けられ、前記加算部から出力された音信号に応じた音を出力するスピーカと
    を有し、
    前記第1遅延回路は、前記第2フィルタの出力を前記第3フィルタの出力よりも遅延させ、
    前記加算部は、前記第1成分、前記第1遅延回路により遅延された前記第2成分、および前記第2遅延回路により遅延された前記第3成分を加算す
    子鍵盤楽器。
  3. 前記加算部から出力される音信号の周波数特性を、前記第1フィルタのカットオフ周波数、前記第2フィルタのカットオフ周波数、および前記第1遅延回路における遅延量に応じて補正して出力する補正部を有し、
    前記スピーカは、前記補正部により補正された音信号に応じた音を出力する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子鍵盤楽器。
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