JP2008227681A - 音響特性補正システム - Google Patents

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Abstract

【課題】信号のクリップを発生させず、利用者に不快感を与えない音響特性を効果的に実現することができる音響特性補正システムを提供する。
【解決手段】この音響特性補正システムでは、スピーカ15からの放音をマイク16で収音し、現状の音響特性250を取得する。CPU11は、ディップを検出すると、ディップの部分周波数帯域での所望音響特性260との差分値を算出し、当該差分値が予め部分周波数帯域毎に設定した下限閾値未満であるかどうかを判断する。CPU11は、差分値が下限閾値であれば、算出した差分値を下限閾値に設定する。CPU11は、このような測定処理が行われた差分値に基づいて補正値を設定し、イコライジング処理部12への初期パラメータを設定する。イコライジング処理部12は、与えられた初期パラメータに基づいて放音用信号の補正を行う。
【選択図】 図5

Description

この発明は、スピーカから聴者位置までの伝送特性を測定して所望とする特性に補正する周波数特性補正システムに関するものである。
現在、一般の人々が気軽に音楽を楽しむ環境が様々ある。その一例として、カラオケボックスがある。カラオケボックスでは、さほど広くない閉空間内に歌唱者が使用するマイクと、マイクで収音した音声や、カラオケ演奏の楽曲音等をミキシングした音を放音するスピーカとが設置されている。このような環境では、環境に応じた固有の音響特性が存在し、利用者に好まれない音響特性を有することがある。また、このような環境では、音の伝送の閉ループが形成され、特定の周波数帯域の信号レベルが極端に高くなりハウリングが発生することもある。これらの問題に対しては、カラオケ装置内等にイコライザを設置し、当該イコライザにより音響特性を補正している。例えば、特許文献1は、ハウリングとなる周波数帯域の信号レベルを減衰させるようにイコライザを設定するものであり、特許文献2は、音声特性の補正は行うが、補正後の特性が極端なものにならないように、操作者によって補正レベルおよび補正周波数帯域を適宜設定するものである。
特開平8−84394号公報 特開平7−38988号公報
ところが、前述の特許文献1の音響特性補正システムは、IIRフィルタを用いることで、処理演算の構成が容易であるが、ハウリングを抑圧することを目的として信号レベルを低下させるだけのものであり、音響特性にディップが存在する場合に、信号レベルを増強することができない。また、特許文献2は、信号レベルの低下、増強がともにできるが、ユーザの操作入力により行うため適当な値を設定することが難しい。さらに、このような手動入力により、癖のある音響特性ができてしまうのを防止するために補正レベルの上限値、下限値が設定されているが、これら上限値および下限値は、一意的に設定されている。
したがって、本発明の目的は、ディップの補正による信号レベルの過剰な増強により波形のクリップの発生する可能性が高くなることを防止する設定をより詳細に行うことができる音響特性補正システムを提供することにある。
(1) この発明は、マイクとスピーカとが設置された所定空間内で、スピーカから放音された音がマイク位置まで伝搬される系の音響特性を所望音響特性に補正する音響特性補正システムに関するものである。この発明の音響特性補正システムは、マイクの収音信号を複数の周波数帯域成分に分け、各周波数帯域成分での所望音響特性との差分値を算出し、該差分値に基づく補正特性を演算する補正特性演算手段を備える。そして、この補正特性演算手段は、差分値の算出時に下限閾値を周波数帯域成分毎に個別に設定し、該下限閾値以下の差分値が算出された周波数帯域成分に対する差分値を下限閾値に設定する、ことを特徴としている。
この構成では、例えば、複数のPEQ(パラメトリックイコライザ)をカスケード接続したイコライジング手段でマイクの収音信号を複数の部分周波数帯域に分割して、各部分周波数帯域成分の信号レベルを調整することで、音響特性を補正する。信号レベルの調整は、信号レベルを高くする補正(増強補正)と信号レベルを低くする補正(抑圧補正)とがあり、本発明の音響特性補正システムでは、増強補正を行う部分周波数帯域成分を算出する際に参酌する収音信号の信号レベルと所望音響特性の信号レベルとの差分値に下限値を設定する。この下限値は、全帯域で一意的なものではなく、部分周波数帯域毎に設定されており、補正レベルの設定時に細かい設定が行える。このように差分値の下限値が設定されることにより、増強補正の上限が設定される。これにより、過剰な増強補正により適正なダイナミックレンジを越えて信号が増幅されて信号波形が歪む、いわゆるクリップを防止することができる。
(2) この発明の音響特性補正システムの補正特性演算手段は、下限閾値の絶対値を低域側から高域側へ徐々に大きく設定することを特徴としている。
この構成では、下限値の設定の具体的な例として、カラオケボックス内のように人が歌唱するような場合で一般的な20Hz〜20kHzの間では、低域側の音圧レベルが高くなり、高域側の音圧レベルが低くなる傾向があるので、低域側の補正下限値を高め(絶対値レベルであれば低め)に設定し、高域側の補正下限値を低め(絶対値レベルであれば高め)に設定する。これにより、高域側の補正のマージンが低域側の設定に影響されないので、例えば、高域側で低域の下限値を超えるような差分値が発生しても、高域側の差分値に達していなければ、当該差分値に応じた補正レベルを設定することができる。この結果、増強補正の制限付きで、より詳細に補正レベルを設定することができる。
(3) また、この発明の音響特性補正システムの補正特性演算部は、所望音響特性に対して周波数帯域成分が低い側となる場合に、該周波数帯域成分を持ち上げる補正を実行する周波数範囲に上限または下限の少なくとも一方を設定することを特徴としている。
この構成では、音響特性は、一般に後述するスピーカ特性等により、中域の信号レベル一定部分から低域側および高域側の端に信号レベルの低下する領域が存在する。そして、これらの低下した領域は、歌唱者等の聴覚特性に対する影響が少ない。したがって、この発明では、信号レベルが低下する領域を除外することで、より有効な補正レベルの設定が可能となる。
(4) また、この発明の音響特性補正システムの補正特性演算部は、周波数範囲の上限または下限を、少なくともスピーカ装置の放音特性に基づいて設定することを特徴としている。
この構成では、具体的な上限、下限の設定として、影響の大きいスピーカ装置の特性を参照する。
この発明によれば、抑圧方向の補正に制限を設定せず、増強方向の補正に制限を加えることで、補正によりクリップが発生することを防止できるとともに、増強方向の補正限度を、周波数帯域毎に設定することが可能であるので、クリップを防止しながら、より所望音響特性に近い音響特性を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る音響特性補正システムについて、図を参照して説明する。
図1は、本実施形態の音響特性補正システムの構成を示すブロック図であり、(A)は音響特性補正設定モードでの構成を示し、(B)は通常使用モードでの構成を示す。
図2(A)は特性測定部22の構成を示すブロック図であり、図2(B)は周波数帯域の分割概念を示す図である。
図3はイコライジング処理部12の構成を示すブロック図である。
図1(A)に示すように、本実施形態の音響特性補正システムは、音響特性補正設定モードでは、CPU11、イコライジング処理部12、D/Aコンバータ13、パワーアンプ14、スピーカ15、マイク16、エコー処理部17、A/Dコンバータ18、テスト音源21、特性測定部22を備える。
CPU11は図示しない操作部等を介して音響特性補正設定開始の入力を受け付けると、テスト音源21へテスト音発生開始制御を与える。テスト音源21は、テスト音源発生開始制御を受け付けると、予め設定された信号もしくはCPU11により指定された音響特性測定用信号、例えば、ホワイトノイズ信号やピンクノイズ信号を生成する。D/Aコンバータ13は、ディジタル形式の音響特性測定用信号をアナログ信号に変換して、パワーアンプ14へ与える。パワーアンプ14は、予め設定したもしくはCPU11により指定された所定増幅率で音響特性測定用信号を増幅してスピーカ15へ与え、スピーカ15はこの音響特性測定用信号を、音響特性を測定する部屋内へ放音する。例えば、カラオケボックスの音響特性を測定する場合には、カラオケボックスに設置されているスピーカから音響特性測定用信号による音を放音する。
マイク16は、スピーカ15と同じ部屋の予め設定された位置に設置されている。例えば、カラオケボックスでは、歌唱者が通常立つ、立ち位置に設置されている。マイク16は、スピーカ15から放音された音響特性測定用信号による音を収音して、エコー処理部17に与える。エコー処理部17は、後述する通常使用モードでは歌唱者の好みのエコーを付加するが、音響特性補正設定モードではエコー処理を行わずにA/Dコンバータ18へ出力する。A/Dコンバータ18は、マイク16の収音した音をアナログ形式からディジタル形式へ変換し、特性測定部22へ与える。
特性測定部22は、予め設定された測定周波数範囲FZを所定数mで分割した各部分周波数帯域FB1〜FBmの信号レベルを検出してCPU11へ出力する。具体的に、部分周波数帯域FB1〜FBmは、予めスピーカ特性やマイク特性等から設定した測定すべき周波数帯域に相当する測定周波数範囲FZを、例えば対数軸において等間隔の周波数帯でm個に分割した帯域からなり、低域側から順に、FB1,FB2,・・・FBmに設定されている。特性測定部22は、部分周波数帯域の個数m個分のバンドパスフィルタ(BPF)221,222〜22mと、各部分周波数帯域の信号レベルを検出する信号レベル検出部231,232〜23mとを備える。それぞれの部分周波数帯域に対応するBPFと信号レベル検出部とは直列接続され、各部分周波数帯域に対するBPFと信号レベル検出部との直列回路が並列接続される構成からなる。例えば、具体的に、第1部分周波数帯域FB1に対するFB1帯域用BPF221と、FB1信号レベル検出部231とが直列接続され、FB1信号検出用直列回路が形成される。同様に、第2部分周波数帯域FB2に対するFB2帯域用BPF222と、FB2信号レベル検出部232とが直列接続され、FB2信号検出用直列回路が形成され、第m部分周波数帯域FBmに対するFBm帯域用BPF22mと、FBm信号レベル検出部23mとが直列接続され、FBm信号検出用直列回路が形成される。そして、このようなFBm信号検出用直列回路群がA/Dコンバータ18とCPU11との間で並列接続される構成となる。このような構成により、A/Dコンバータ18から入力された収音信号は、各BPF221〜22mでそれぞれの帯域成分に分解される。各BPF221〜22mで生成された部分周波数帯域成分信号は、各信号レベル検出部231〜23mでレベル検出され、このレベル値が部分周波数帯域情報とともにCPU11へ出力される。また、特性測定部22は、測定周波数範囲FZでの信号レベルを検出する全帯域信号レベル検出部230を備える。全帯域信号レベル検出部230は、各直列回路と並列に接続され、A/Dコンバータ18から入力される収音信号の信号レベルを検出して、元信号レベル値としてCPU11へ出力する。
CPU11は、各部分周波数帯域成分信号のレベル値を元信号レベル値で正規化する。CPU11は、正規化された部分周波数帯域信号のレベル値(正規化部分帯域信号レベル)と、図示しないメモリに予め設定記憶されていた正規化された所望音響特性(所望周波数特性)とをそれぞれの部分周波数帯域で差分して差分値を算出し、所望音響特性に対するピークおよびディップを検出する。ここで、ピークとは、差分値が「+」となる、すなわち所望音響特性に比較して正規化部分帯域信号レベルが高い部分を示し、ディップとは、差分値が「−」となる、すなわち所望音響特性に比較して正規化部分帯域信号レベルが低い部分を示す。CPU11は、具体的には後述するが、ディップを検出すると、ディップの部分周波数帯域の差分値が、予め設定した下限閾値レベルThL未満であるかどうかを識別する。CPU11は、差分値が下限閾値レベルThL未満であれば、当該差分値を下限閾値ThLに設定する。CPU11は、このように算出・設定した差分値の逆符号を取ることで補正値を算出し、補正値に基づいてイコライジング処理部12の各PEQ121〜12nの補正パラメータを設定する。この際、CPU11は、ディップの信号レベルを増強する増強方向補正周波数範囲と、ピークの信号レベルを抑圧する抑圧方向補正周波数範囲とを異ならせて設定してもよい。この場合、CPU11は、スピーカ15の放音特性を主として、マイク16の収音特性等を考慮し、測定周波数範囲FZの高域側端部の所定幅の周波数領域および低域側端部の所定幅の周波数領域での増強方向補正を禁止するように設定する。すなわち、CPU11は、増強方向補正周波数範囲を抑圧方向補正周波数範囲よりも狭く設定する。これにより、元々、放音、収音レベルが低い領域での無理な増強方向補正を行うことを防止することができ、補正が必要な領域での有効な補正を行うことができる。
イコライジング処理部12は、PEQの多段カスケード接続からなり、図3の例では、n個のPEQ121〜12nのカスケード接続からなる。各PEQ121〜12nは、CPU11から補正パラメータが与えられており、当該補正パラメータによりイコライジング処理を行う。これにより、スピーカ15とマイク16とが設置された部屋の音響特性を所望音響特性に補正して放音させるイコライジング処理部12を形成することができる。
このような設定を行った後、実使用時(通常モード)には、図1(B)に示すような回路構成からなる装置を用いる。以下の説明では、カラオケボックスでのカラオケシステムの場合を示す。なお、カラオケシステムのシステム構成は既知であるので、詳細な説明は省略する。
図1(B)に示すように、通常使用モードでは、本実施形態の音響特性補正システムは、CPU11、イコライジング処理部12、D/Aコンバータ13、パワーアンプ14、スピーカ15、マイク16、エコー処理部17、A/Dコンバータ18、ミキサ19、音源20を備える。
音源20は、例えば既知のカラオケ用の音源であり、カラオケ曲の楽曲データに基づいてディジタル形式の楽曲音信号を生成してミキサ19へ出力する。マイク16は、歌唱者の歌唱音を収音して収音信号をエコー処理部17へ出力する。エコー処理部17は、歌唱者等から別途設定されたエコー指示内容に従って収音信号にエコー処理を加え、A/Dコンバータ18へ出力する。A/Dコンバータ18は、エコー処理後の収音信号をディジタル形式に変換してミキサ19へ出力する。ミキサ19は、楽曲音信号とエコー処理後の収音信号とをミキシングして放音用信号を生成し、イコライジング処理部12へ出力する。
イコライジング処理部12は、上述の音響特性補正モードで設定された各PEQ121〜12nにより、放音用信号を補正し、D/Aコンバータ13へ出力する。D/Aコンバータ13は、音響特性が補正された放音用信号(音響特性補正放音信号)をディジタル形式からアナログ形式に変換し、パワーアンプ14へ出力する。パワーアンプ14は、音響特性補正放音信号を増幅してスピーカ15に与え、スピーカ15は、この増幅された音響特性補正放音信号に基づいて駆動し、部屋内へ放音する。このような構成を用いることで、スピーカ15から放音された楽曲音および歌唱音が、所望の音響特性に補正されて、マイク16を把持している歌唱者へ到達する。なお、この際、前述のように、補正レベル算出の際に差分値の下限が設定されることで、増強方向補正に制限が加わることになる。このため、ディップ発生の部分周波数帯域付近では所望音響特性よりも信号レベルが低くなるが、クリップが発生する可能性は低くなる。これにより、無理な増強補正による信号のクリップを防ぐことができる。
次に、具体的な音響特性補正の方法を図4〜図6を参照して説明する。
図4は、音響特性補正システムによる音響特性補正方法のシステムフローを示す図である。
図5は音響特性補正の方法および概念を説明するための周波数特性図である。各図において、(A)はホワイトノイズをスピーカ15から放音し、マイク16で収音した場合の収音信号の正規化された周波数特性250を示し、(B)は収音信号の周波数特性250と、予め設定される所望音響特性260とに基づくピークおよびディップの概念、および下限閾値の周波数特性270を示し、(C)は差分値レベルの周波数特性概要を示し、(D)は補正値レベルの周波数特性概要を示し、(E)は(D)で示す補正値を用いた補正後の音響環境の周波数特性(補正後音響環境特性)を示す。
図6は下限閾値ThLの周波数特性を示す図であり、(A)が部分周波数帯域毎に下限閾値ThLが異なる場合の周波数特性図であり、(B)が下限閾値ThLの周波数特性が一定の場合の周波数特性図である。
この音響特性補正システムは、音響特性補正設定モードが実行されると、特性測定部22で各部分周波数帯域FB1〜FBmの帯域成分信号のレベル値を検出する(S101)。これにより、図5(A),(B)に示すような周波数特性250が得られる。
CPU11は、各帯域成分信号のレベル値と、所望音響特性の各帯域成分信号レベル(所望信号レベル)とを差分して、絶対値である差分値と差分方向(「+」or「−」)を算出する(S102)。図5(B)の例であれば、測定した収音信号レベルの周波数特性250と、予め設定された所望音響特性260との各部分周波数帯域成分同士を差分する。これにより、図5(C)に示すような差分値レベルの周波数特性350が得られる。CPU11は、各部分周波数帯域FB1〜FBmの差分値と差分方向とから、差分値列の周波数特性のピークおよびディップを検出する(S103)。すなわち、CPU11は、差分値列の周波数特性における所望音響特性から高いレベル側の極大値と、所望音響特性から低いレベル側の極小値とを抽出し、各極大値、極小値に対する部分周波数帯域を関連付けして取得する。
なお、CPU11は、図5に示すように、測定周波数帯域FZよりも狭い、比較的特性が安定する周波数帯域FBで差分値レベルを採用する。この設定される周波数帯域FBは、スピーカ15の放音特性を主として、マイク16の収音特性等を基準に設定され、元々放音レベルや収音レベルの低い測定周波数帯域FZの高域側端部の所定周波数範囲や低域側端部の所定周波数範囲に関しては、差分値の算出および補正値の算出、さらには補正には用いない。これにより、元々信号レベルが低くなる傾向にある領域での無駄な補正を防止することができる。しかしながら、この際、測定周波数帯域FZでの差分値を算出して、抑圧方向の補正のみを行うように設定しても良く、このような補正を行うことで、無駄な増強方向の補正を行うことなく、測定周波数帯域FZ全体でのクリップ防止を確実に行うことができる。なお、以下の説明では、説明を簡略化するため、周波数帯域FBで差分値を算出した場合の説明を行う。例えば、図5であれば、ディップ271,273、ピーク272を検出する。
CPU11は、ピークを検出すると(S104:Peak)、差分値レベルをそのまま利用し(S106)、当該差分値レベルの逆符号レベルからなる補正値を算出する(S108)。
一方、CPU11は、ディップを検出すると(S104:Dip)、差分値レベルが予め設定した下限閾値ThL未満であるかを判別する。具体的には、予め図6(A)に示すように周波数特性を持った下限閾値ThLが設定されて、図示しないメモリに記憶されている。CPU11は、各ディップの部分周波数帯域に対応する下限閾値ThLを読み出し、ディップの差分値レベルと比較する。
この際、下限閾値ThLに周波数特性を持たせることで、詳細な補正の設定が可能となる。例えば、図6(A)に示すように、低域側での下限閾値の絶対値を低く設定し、高域側での下限閾値の絶対値を高く設定する。このような設定を行うことで、比較的音圧の高く部分周波数成分が多い周波数帯域FB内の低音域での補正上限値が低くなり、比較的音圧の低く部分周波数成分が少ない高音域での補正上限値が高くなる。これにより、信号レベルが高くクリップが発生しやすい低域での増強量が少なく制限され、信号レベルが低くクリップの発生する可能性が比較的少ない高域での増強量の制限を緩和することができる。これにより、低域側の制限に高域側の制限が拘束されないので、信号のクリップ防止の機能を維持しながら、より所望音響特性に近い音響環境を実現することができる。なお、加減閾値ThLは、図6(B)に示すように、フラットな周波数特性370’であってもよく、このような特性とすることで、下記の差分値レベルおよび補正値レベルの設定が容易になる。
CPU11は差分値レベルが下限閾値ThL以上であれば(S105:N)、当該差分値レベルをそのまま利用し(S106)、当該差分値レベルの逆符号レベルからなる補正値を算出する(S108)。さらに、CPU11は、ディップを検出し、差分値レベルが下限閾値ThL未満であることを検出すると(S105:Y)、当該差分値レベルを下限閾値ThLの信号レベルに置き換えて(S107)、補正値を算出する(S108)。これを図5の例に当てはめて説明すると、下限閾値特性270(370)に対して、ディップ271の差分値レベルは、対応する部分周波数帯域の下限閾値ThL271よりも低いので、CPU11は、ディップ271に対する差分値レベルを、対応する部分周波数帯域の下限閾値ThL271に設定する。一方、ディップ273の差分値レベルは、対応する部分周波数帯域の下限閾値ThL273よりも高いので、CPU11は、ディップ273に対する差分値レベルを、そのまま用いる。
このような処理は、検出した全てのピークおよびディップに対して行われ、CPU11は、全てのピークおよびディップに対する補正値を算出する。これにより、図5(D)に示すような補正値レベル群が得られる。CPU11は、算出した補正値群からイコライジング処理部12に与えるパラメータリストを生成する(S109)。ここで、パラメータリストとは、イコライジング処理部12を構成する各PEQ121〜12nの初期パラメータ群を示す。すなわち、各補正値と対応する部分周波数帯域FBとに基づいて、順次各PEQの設定周波数(f)、ゲイン(G)、Q値を設定していき、これら設定されたパラメータ群からパラメータリストが形成される。CPU11は、生成したパラメータリストに基づいて、イコライジング処理部12のカスケード接続された各PEQ121〜12nへ対応する初期パラメータを送信する(S110)。
イコライジング処理部12の各PEQ121〜12nは、与えられた初期パラメータに基づいて、イコライジング処理を実行する。
これにより、予め設定された所望音響特性に近い音響環境を部屋内(スピーカからマイクへの系)に実現することができる。この際、レベルの深いディップに対しては下限閾値を設けて、補正値の上限を設定することで、図5(E)の周波数特性251に示すように、所望音響特性を忠実に再現することはできなくなる。しかしながら、あまりに深いディップは偶発的に発生することも考えられるため、このディップが無くなってしまい、該当する部分周波数帯域の信号レベルが高くなった場合に、忠実に再現する補正を行うと、信号のクリップが発生してしまうことも考えられる。これを鑑み、差分値レベルに下限を設定する、すなわち、補正値に上限を設定することで、音響環境の忠実な再現とまではいかないが、大きな違和感を与えることがなく、確実に信号のクリップを防止する所望音響特性に近い音響環境を形成することができる。
なお、前述の説明では、各モード時で異なる構成要素からなる場合を示したが、図1(A)、(B)の構成を同時に有する音響特性補正システムであってもよい。すなわち、スイッチ等の回路切替部を備え、回路切替部の切替処理により、音響特性補正設定モードと通常使用モードとを使い分けるようにしてもよい。
また、前述の説明では、イコライジング処理部12をカスケード接続されたPEQで構成したが、並列接続したアナログイコライザ群でイコライジング処理部12を形成しても良い。
これらの回路によりイコライジング処理部を構成すると、イコライジング処理を行う場合にのみ、信号の部分周波数帯域毎のゲイン調整が行われるので、無処理の設定が行われた場合に、各回路要素による特性や音質が劣化する段数が減るので、前述の本発明の効果に加え、より良い音質を得ることができる。
また、本発明の音響特性補正システムでは、予めマイク16の収音特性を取得しておき、CPU11に与えておくことで、CPU11は、マイク16の収音特性をも加味した補正のパラメータをイコライジング処理部12へ設定することができる。これにより、スピーカ15からマイク16を持って歌う歌唱者までの系による音響特性を所望の特性に設定することができ、より歌唱者に最適な音響環境を実現することができる。
本実施形態の音響特性補正システムの構成を示すブロック図である。 特性測定部22の構成を示すブロック図、および、周波数帯域の分割概念を示す図である。 イコライジング処理部12の構成を示すブロック図である。 音響特性補正システムによる音響特性補正方法のシステムフローを示す図である。 音響特性補正の方法および概念を説明するための周波数特性図である。 下限閾値ThLの周波数特性を示す図である。
符号の説明
11−CPU、12−イコライジング処理部、13−D/Aコンバータ、14−パワーアンプ、15−スピーカ、16−マイク、17−エコー処理部、18−A/Dコンバータ、19−ミキサ、20−音源、21−テスト音源、22−特性測定部

Claims (4)

  1. マイクとスピーカとが設置された所定空間内で、前記スピーカから放音された音が前記マイク位置まで伝搬される系の音響特性を所望音響特性に補正する音響特性補正システムであって、
    前記マイクの収音信号を複数の周波数帯域成分に分け、各周波数帯域成分での前記所望音響特性との差分値を算出し、該差分値に基づく補正特性を演算する補正特性演算手段を備え、
    該補正特性演算手段は、前記差分値の算出時に下限閾値を前記周波数帯域成分毎に個別に設定し、該下限閾値以下の差分値が算出された周波数帯域成分に対する差分値を前記下限閾値に設定する、
    音響特性補正システム。
  2. 前記補正特性演算手段は、前記下限閾値の絶対値を低域側から高域側へ徐々に大きく設定する請求項1に記載の音響特性補正システム。
  3. 前記補正特性演算部は、前記所望音響特性に対して前記周波数帯域成分が低い側となる場合に、該周波数帯域成分を持ち上げる補正を実行する周波数範囲に上限または下限の少なくとも一方を設定する請求項1または請求項2に記載の音響特性補正システム。
  4. 前記補正特性演算部は、前記周波数範囲の上限または下限を少なくとも前記スピーカ装置の放音特性に基づいて設定する請求項3に記載の音響特性補正システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015139060A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 キヤノン株式会社 音場補正装置及びその制御方法、プログラム
JP2015180954A (ja) * 2010-05-06 2015-10-15 ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション 可搬型メディア再生装置に関するオーディオ・システム等化処理
JP2018510550A (ja) * 2015-02-12 2018-04-12 電信科学技術研究院 音色等化器(aeq)のプリセットを決定するための方法及び装置

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