JP2017168362A - アルカリ蓄電池用負極及びその製造方法並びにアルカリ蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】価格の安定性に優れ、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有し、高い放電容量を長期間に亘って維持することができるアルカリ蓄電池用負極及びその製造方法並びにアルカリ蓄電池を提供する。【解決手段】負極1は、集電体2と、結着剤3と、結着剤3を介して集電体2に保持された粉末状の活物質4とを有している。活物質4は、組成がZr(1-x)TixNiy(0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金から構成されたコア部412と、Niの水酸化物を含有し、コア部412の表面に存在する表面層411とを有している。表面層411中に含まれるZr、Ti及びNiの量が下記式を満たしている。[Ni]/([Zr]+[Ti])≧1.5上記式中[X]は元素Xの量を原子%で表した値である。【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ蓄電池用負極及びその製造方法並びにアルカリ蓄電池に関する。
例えば、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車等の車載用電源、鉄道用定置電源及び小型電気機器用の電源等には、ニッケル水素電池等のアルカリ蓄電池が広く使用されている。ニッケル水素電池の負極活物質には、水素吸蔵合金が用いられている。
水素吸蔵合金は、水素との親和力が高いA元素群と、水素との親和力が低いB元素群との合金から構成されており、AB5型、AB2型及びAB型等が知られている。例えば、複数の希土類金属を含むミッシュメタル(Mm)と、ニッケル(Ni)との合金であるMmNi5は、ニッケル水素電池用の負極活物質として既に実用化されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1の水素吸蔵合金を用いたアルカリ蓄電池の放電容量は、既に理論容量に近い値に到達している。そのため、特許文献1の水素吸蔵合金を用いる場合、アルカリ蓄電池の放電容量を更に高くすることは難しい。
アルカリ蓄電池の放電容量を更に高くするためには、より水素吸蔵量の高い水素吸蔵合金を負極活物質として使用する必要がある。このような水素吸蔵合金として、AB型の組成を有するZrNi合金がある(非特許文献1)。ZrNi合金の水素吸蔵量は、MmNi5合金よりも60%程度高い。そのため、ZrNi合金を負極活物質として使用することにより、アルカリ蓄電池の理論容量をより高くし、ひいてはエネルギー密度をより高くすることが期待できる。
しかし、ZrNi合金は、吸蔵した水素と反応することにより、ZrNiH3やZrNiHなどの水素化物を生成する。これらの水素化物は化学的な安定性が高いため、水素化物から水素を脱離させることが難しい。それ故、ZrNi合金を負極活物質として使用する場合には、充放電サイクルを繰り返すと水素吸蔵量が急激に低下し、放電容量の低下を招くという問題があった。
そこで、ZrNi合金からの水素の放出を促進させるために、Zrの一部をTiで置換するとともに、Niの一部をバナジウム(V)で置換した4元系の水素吸蔵合金(特許文献2)が提案されている。
特開2008−210809号公報 特開平5−239574号公報
Dantzer P, Millet P, Flanagan TB. Thermodynamic Characterization of Hydride Phase Gas Growth in ZrNi-H2. Metall Mater Trans A. 2001;32A:29-38
非特許文献1や特許文献2に記載された水素吸蔵合金は、充放電サイクルの初回においては放電容量が低く、サイクルが進むにつれて徐々に高くなるという特性を有している。しかし、実用的には、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有し、かつ、充放電を繰り返した際に、高い放電容量を長期間に亘って維持することのできる水素吸蔵合金が望まれている。
また、特許文献2の水素吸蔵合金は、Niに比べて高価なVを含んでいるため、原料コストの低減が難しい。また、Vは、産出地域の偏在性が高いため、社会情勢等の変化に応じて価格が変動し易い。そのため、特許文献2の水素吸蔵合金は、原料コストの変動が比較的大きいという問題がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、価格の安定性に優れ、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有し、高い放電容量を長期間に亘って維持することができるアルカリ蓄電池用負極及びその製造方法並びにこの負極を有するアルカリ蓄電池を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、導体からなる集電体と、結着剤と、該結着剤を介して上記集電体に保持された粉末状の活物質とを有するアルカリ蓄電池用負極であって、
上記活物質は、
組成がZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金から構成されているコア部と、
Niの水酸化物を含有し、上記コア部の表面に存在する表面層とを有しており、
該表面層中に含まれるZr、Ti及びNiの量が下記式(1)を満たしている、アルカリ蓄電池用負極にある。
[Ni]/([Zr]+[Ti])≧1.5 ・・・(1)
但し、上記式(1)中、[X]は元素Xの量を原子%で表した値である。
本発明の他の態様は、上記の態様のアルカリ蓄電池用負極を有するアルカリ蓄電池にある。
本発明の更に他の態様は、組成がZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金の鋳塊を準備し、
上記鋳塊を粉砕して粉末状の活物質を作製し、
導体からなる集電体に、結着剤を介して上記活物質を保持させることにより電極部材を作製し、
強アルカリ水溶液中で煮沸する活性化処理を上記電極部材に施すことにより、上記活物質の表面にNiの水酸化物を含む表面層を形成する、アルカリ蓄電池用負極の製造方法にある。
上記アルカリ蓄電池用負極(以下、適宜「負極」ということがある。)は、上記集電体と、上記集電体に保持された粉末状の上記活物質とを有している。上記活物質は、上記特定の組成及び結晶構造を有する水素吸蔵合金からなるコア部と、Niの水酸化物を含有する上記表面層とを有している。そして、上記表面層中に含まれるZr、Ti及びNiの量が上記式(1)を満たしている。このように構成された上記活物質を上記負極に適用することにより、上記負極の放電容量を、充放電サイクルの初回から高くすることができる。
また、上記コア部は、上記特定の組成及び結晶構造、即ち、ZrNi合金におけるZrの一部がTiに置換された結晶構造を有している。そのため、上記活物質は、ZrNi合金と同じB33型の結晶構造に起因する高い水素吸蔵量を有している。さらに、上記活物質は、Zrの一部がTiに置換されていることにより、ZrNi合金に比べて水素の放出を促進させることができる。このように、上記活物質は、アルカリ蓄電池の負極用として好適な特性を有している。それ故、上記活物質が保持された上記負極は、高い放電容量を長期間に亘って維持することができる。
また、上記活物質には、V(バナジウム)等のような、Niに比べて原料コストが高く、価格が不安定な金属が含まれていない。そのため、上記活物質の原料コストを容易に低くすることができるとともに、原料コストの乱高下を容易に回避することができる。その結果、上記負極は、価格の安定性に優れている。
以上のように、上記活物質を用いることにより、価格の安定性に優れ、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有し、高い放電容量を長期間に亘って維持することができる負極を得ることができる。
上記負極は、上述したように、アルカリ蓄電池用として好適な充放電特性を有している。そのため、上記負極を有するアルカリ蓄電池は、より放電容量を高くすることができ、ひいてはよりエネルギー密度を高くすることができる。
上記負極は、例えば、上記の態様の製造方法により作製することができる。上記製造方法においては、上記特定の組成及び結晶構造を有する水素吸蔵合金の鋳塊を粉砕することにより、粉末状の活物質が作製される。そして、上記活物質を上記集電体に保持させて上記電極部材を作製した後、該電極部材に上記活性化処理が施される。これにより、上記活物質の表面に、Niの水酸化物を含む上記表面層を形成することができる。その結果、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有する上記負極を作製することができる。
上記活性化処理により充放電サイクル特性が改善する理由としては、例えば以下のような理由が考えられる。上記鋳塊を粉砕した後、活物質の表面には、ZrO2やTiO2などの絶縁性化合物が自然に形成される。従来のZrNi系合金を用いた負極は、この絶縁性化合物の存在により、充放電サイクルの初回における放電容量の低下を招いていたと考えられる。
これに対し、上記製造方法では、上記活性化処理を行うことにより、上記活物質の表面に存在するZrO2やTiO2を除去することができる。また、上記活性化処理により、活物質の表面に存在するNiが水酸化物となる。そして、Niの水酸化物を含む表面層は、活物質の内部に存在するZrやTiの酸化を抑制することができる。以上の結果、上記活性化処理を施すことにより、ZrO2やTiO2等の絶縁性化合物による悪影響を抑制することができ、ひいては充放電サイクル特性を改善することができると考えられる。
実施例における、アルカリ蓄電池用負極の要部を示す一部断面図である。 実施例における、充放電サイクル試験の結果を示す説明図である。 実施例における、試験体3の活物質表面のSEM像である。 実施例における、試験体8の活物質表面のSEM像である。
上記負極において、集電体としては、例えば、金属箔、パンチングメタル、エキスパンデッドメタル及び金属メッシュ等の種々の態様の導体を適用することができる。
結着剤は、集電体と活物質との間に介在することにより、活物質を集電体に保持する作用を有している。結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール等を用いることができる。また、結着剤中には、必要に応じて、増粘剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
負極中には、必要に応じて、Cu(銅)粉末などの公知の導電剤や導電助剤が含まれていてもよい。これらの導電剤や導電助剤は、活物質と同様に、結着剤を介して集電体に保持されている。
活物質を構成する個々の粒子は、コア部と、コア部の表面に存在する表面層とを有している。コア部は、組成がZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金から構成されている。上記組成式中のxの値、即ちTiの置換量を上記特定の範囲とすることにより、B33型の結晶構造を維持しつつ、ZrNi合金におけるZrの一部をTiに置換することができる。
上記組成式中のxの値が0.05未満の場合には、Tiの原子数比率が小さいため、水素が活物質から放出されにくくなるおそれがある。従って、水素の放出を促進し、負極の放電容量を高くする観点から、xの値は0.05以上とする。同様の観点から、xの値は0.20以上であることが好ましい。
一方、上記組成式中のxの値が0.40を超える場合には、上記コア部中に、例えばTiNi相やZr9Ni11相等の第二相が形成されるおそれがある。これらの第二相は、主相であるZr(1-x)TixNiy相に比べて水素吸蔵量が低い。それ故、xの値が0.40を超える場合には、第二相の存在により水素吸蔵量が低下し、ひいては放電容量が低下するおそれがある。従って、負極の放電容量を高くする観点から、上記組成式中のxの値は0.40以下とする。同様の観点から、xの値は0.30以下であることが好ましい。
また、上記組成式中のyの値、即ちZrとTiとの合計に対するNiの比率を上記特定の範囲とすることにより、B33型の結晶構造を容易に実現することができる。yの値が上記特定の範囲外である場合には、上記コア部がB33型の結晶構造を有さなくなるおそれがある。その結果、活物質の水素吸蔵量が低くなり、放電容量の低下を招くおそれがある。
なお、上記の「B33型の結晶構造」は、例えば「金属 vol.80(2010)No.7 32頁」等で明らかにされているCrB型構造と同一である。
コア部の表面には、Niの水酸化物を含む表面層が存在している。表面層には、Niの水酸化物の他に、Niの酸化物や、活性化処理後に残留したZrO2、TiO2等の絶縁性化合物が含まれることがある。また、表面層は、Niの水酸化物を含む微粒子から構成されていてもよい。
上記表面層中に含まれるZr、Ti及びNiの量は、下記式(1)を満たしている。
[Ni]/([Zr]+[Ti])≧1.5 ・・・(1)
但し、上記式(1)中[X]は元素Xの量を原子%で表した値である。また、上記式(1)における[Zr]、[Ti]及び[Ni]の値は、例えば、EDX(エネルギー分散型X線分析)を用いて表面層を分析することにより得ることができる。
上記式(1)を満足する活物質が保持された負極は、充放電サイクルの初回から高い放電容量を有している。一方、上記式(1)を満たさない場合、即ち[Ni]/([Zr]+[Ti])の値が1.5未満の場合には、充放電サイクルの初回における放電容量が低下するおそれがある。
これは、上記式(1)における[Ni]/([Zr]+[Ti])の値が、表面層中に残留したZrO2やTiO2等の絶縁性化合物の量の指標となっているためと推測される。即ち、[Ni]/([Zr]+[Ti])の値が大きくなるほど、表面層中のZrO2及びTiO2の量が少ないことを示していると推測される。
上記負極は、例えば以下の方法により製造することができる。まず、上記特定の組成を有する水素吸蔵合金を鋳造する。鋳造時の組成を上記特定の範囲とすることにより、B33型の結晶構造を容易に実現することができる。次いで、得られた鋳塊を粉砕して粉末状の活物質を作製する。このとき、鋳塊を粉砕する前に、不活性ガス雰囲気中において鋳塊を加熱することにより、上記特定の結晶構造を維持しつつ、凝固過程などにおいて生じた転位や欠陥を除去することができる。そして、転位等が除去された水素吸蔵合金を用いて負極を作製することにより、上記負極の放電容量をより高くすることができる。
次に、上記集電体に、上記結着剤を介して上記活物質を保持させることにより、電極部材を作製する。その後、強アルカリ水溶液中で煮沸する活性化処理を電極部材に施す。これにより、活物質を構成する個々の粒子の表面に上記表面層を形成することができる。強アルカリ水溶液としては、例えば、温度105℃以上、pH14以上の水溶液を使用することができる。
上記負極及びその製造方法の実施例について、図を用いて説明する。図1に示すように、本例の負極1は、導体からなる集電体2と、結着剤3と、結着剤3を介して集電体2に保持された粉末状の活物質4とを有しており、アルカリ蓄電池用負極として構成されている。活物質4を構成する個々の粒子41は、水素吸蔵合金からなるコア部412と、Niの水酸化物を含有し、コア部412の表面に存在する表面層411とを有している。表1に示すように、コア部412の組成はZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造はB33型である。
また、表2に示すように、表面層411中に含まれるZr、Ti及びNiの量は下記式(1)を満たしている。
[Ni]/([Zr]+[Ti])≧1.5 ・・・(1)
但し、上記式(1)中[X]は元素Xの量を原子%で表した値である。また、上記式(1)における[Zr]、[Ti]及び[Ni]は、EDX(エネルギー分散型X線分析)を用いて表面層411を分析することにより得られる値である。
本例では、まず、組成及び作製条件を表1に示すように種々変更して粉末状の活物質4を作製した。次いで、別途準備した集電体2に結着剤3を介して活物質4を保持させることにより電極部材を作製した。その後、電極部材に後述の活性化処理を施すことにより、活物質4を構成する個々の粒子41の表面に表面層411を形成した。以上により、負極1(試験体1〜8)を作製した。以下に、負極1の製造方法をより詳細に説明する。
[活物質の作製]
アーク溶解炉を用いて、Zr(株式会社高純度化学研究所製、ワイヤーカット品、純度98.0%)、Ti(株式会社高純度化学研究所製、粉末、純度99.0%)及びNi(株式会社高純度化学研究所製、粉末、純度99.9%)を溶融させ、表1に示す組成を有する水素吸蔵合金の鋳塊を作製した。この鋳塊をアルゴン雰囲気中で400〜500℃に加熱し、鋳塊内の転位や欠陥を低減させた。
湿式切断機を用いて得られた鋳塊を二等分し、一方の鋳塊を用いて比重の測定及び組織観察を行った。また、他方の鋳塊にディスクミルによる粗粉砕、タングステンカーバイド製乳鉢による微粉砕及び篩い分けを順次行うことにより、粉末状の活物質4を作製した。活物質を構成する個々の粒子41の直径は20〜40μmであった。
次に、得られた活物質4と、Cu粉末と、結着剤3としてのポリビニルアルコールとを85:10:5の質量比で混合し、ペースト状の負極合剤を調製した。この負極合剤を、別途準備した集電体2としてのNiメッシュに充填した。その後、ロールプレスを用いてNiメッシュを圧延し、負極合剤をNiメッシュに密着させた。以上により、電極部材を作製した。
その後、6mol/Lの水酸化カリウム水溶液中で4時間煮沸する活性化処理を電極部材に施し、活物質4を構成する個々の粒子41の表面に表面層411を形成した。以上により、試験体1〜6を得た。なお、水酸化カリウム水溶液の温度は105℃であった。
本例においては、試験体1〜6との比較のため、活性化処理の条件を変更した試験体7及び活性化処理を行っていない試験体8を準備した。試験体7は、試験体1〜6と同様の手順により電極部材を作製した後、得られた電極部材を80℃の6mol/Lの水酸化カリウム水溶液中に4時間浸漬することにより作製した試験体である。また、試験体8は、試験体1〜6と同様に電極部材を作製した後、強アルカリ水溶液への浸漬を行っていない試験体である。
以上により得られた負極(試験体1〜8)を、市販のNi(OH)2/NiOOH正極及びHg/HgO参照極と組み合わせ、6mol/Lの水酸化カリウム及び1mol/Lの水酸化リチウムを含む電解液を用いて三極式の電池セルを構成した。ポテンショスタット(Bio−Logic社製 VMP3)を用いて電池セルの充放電及び放電容量の測定を行うことにより、負極の電気化学評価を行った。
[電気化学評価]
60℃の温度で充放電を繰り返す充放電サイクル試験を行い、各充放電サイクルにおける放電容量を測定した。1回の充放電サイクルは、電流密度100mA/gで5時間充電を行うステップと、10分休止をして電位を安定させるステップと、電流密度25mA/gでHg/HgOを基準として−0.5Vの電位まで放電するステップとから構成されている。図2に、各充放電サイクルにおける放電容量の測定結果を示す。なお、図2の縦軸は放電容量(mAh/g)であり、横軸はサイクル数(回)である。
上記の3ステップからなる充放電サイクルを5回繰り返した後、5サイクル後の放電容量を初回の放電容量で割ることにより、容量維持率を算出した。初回の放電容量、5サイクル後の放電容量及び容量維持率を表1に示す。
図2及び表1に示すように、上記特定の範囲の組成を有する試験体2〜6は、高い初回の放電容量を有するとともに、コア部412がZrNi合金からなる試験体1よりも容量維持率が高くなった。これらの結果から、コア部412の組成を上記特定の範囲とすることにより、優れた充放電サイクル特性を有する負極1が得られることが理解できる。
また、試験体3及び4は、初回の放電容量及び容量維持率の両方が特に優れていた。これらの結果から、Zr(1-x)TixNiyにおけるxの値の好ましい範囲は0.20以上0.30以下であることが理解できる。
試験体1は、試験体2〜6に比べて容量維持率が低かった。これは、コア部412がZrNi合金から構成されていたため、活物質4内に吸蔵された水素が水素化物として安定化し、活物質4から放出されにくくなったことが原因と考えられる。
試験体7及び8は、試験体2〜6に比べて初回の放電容量及び5サイクル後の放電容量が低かった。
図3及び図4に、試験体3及び試験体8に保持されている活物質4の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した結果を示す。また、表2に、図3に示した測定点A1〜A3及び図4に示した測定点B1〜B3の組成をEDX(エネルギー分散型X線分析)により分析した結果を示す。
図3に示すように、試験体3中の活物質4における表面層411には多孔質状の凹凸が形成されていた。この凹凸は、直径100〜500nm程度の微粒子が多数連なることにより形成されていると推定される。また、表2に示したように、試験体3においては、表面層411を測定することにより得られる[Ni]/([Zr]+[Ti])の値が1.5以上であった。さらに、試験体3中の活物質4における表面層411からは、多量のO(酸素)が検出された。
試験体3については、X線光電子分光分析法により、表面層411を更に詳細に分析した。その結果、表面層411には水酸化Niが含まれていることを確認した。
これらの結果から、電極部材に活性化処理を施すことにより、活物質4を構成する個々の粒子41の表面に、水酸化Niを含む微粒子から構成された表面層411が形成されたことが理解できる。また、表面層411中に含まれるZr、Ti及びNiの量は、上記式(1)を満足していることが理解できる。
一方、図4に示したように、活性化処理を行っていない試験体8について、試験体3と同様の分析を行ったところ、得られた[Ni]/([Zr]+[Ti])の値が1.5未満であった。
1 アルカリ蓄電池用負極
2 集電体
3 結着剤
4 活物質
41 粒子
411 表面層
412 コア部

Claims (5)

  1. 導体からなる集電体と、結着剤と、該結着剤を介して上記集電体に保持された粉末状の活物質とを有するアルカリ蓄電池用負極であって、
    上記活物質は、
    組成がZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金から構成されているコア部と、
    Niの水酸化物を含有し、上記コア部の表面に存在する表面層とを有しており、
    該表面層中に含まれるZr、Ti及びNiの量が下記式(1)を満たしている、アルカリ蓄電池用負極。
    [Ni]/([Zr]+[Ti])≧1.5 ・・・(1)
    (但し、上記式(1)中、[X]は元素Xの量を原子%で表した値である。)
  2. 上記コア部の組成は、Zr(1-x)TixNiy(但し、0.20≦x≦0.30、0.95≦y≦1.05)である、請求項1に記載のアルカリ蓄電池用負極。
  3. 上記表面層は、Niの水酸化物を含む微粒子から構成されている、請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用負極。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用負極を有するアルカリ蓄電池。
  5. 組成がZr(1-x)TixNiy(但し、0.05≦x≦0.40、0.95≦y≦1.05)であり、結晶構造がB33型である水素吸蔵合金の鋳塊を準備し、
    上記鋳塊を粉砕して粉末状の活物質を作製し、
    導体からなる集電体に、結着剤を介して上記活物質を保持させることにより電極部材を作製し、
    強アルカリ水溶液中で煮沸する活性化処理を上記電極部材に施すことにより、上記活物質の表面にNiの水酸化物を含む表面層を形成する、アルカリ蓄電池用負極の製造方法。
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