JP2011008994A - アルカリ蓄電池およびアルカリ蓄電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の水素吸蔵合金は一般式がLnl-xMgxNiy-a-bAlaMb(ただし、式中、LnはLaを含む希土類元素であり、MはCo,Mn,Znから選択された少なくとも1種の元素であり、0.1≦x≦0.2、0.1≦a≦0.2、0≦b≦0.1)と表され、希土類元素とMgとからなるA成分と、NiとAlとMとからなるB成分とからなるとともに、A成分に対するB成分の量論比(B/A)は3.5以上で3.7以下(3.5≦y≦3.7)で、水素吸蔵時のプラトー性の範囲P(MPa/水素化当量)が0.35(MPa/水素化当量)以上で0.80(MPa/水素化当量)以下である。
【選択図】 図1
Description
そして、本発明の水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金負極の場合、負極容量が10Ah以下となるような電池容量のより小さい系でさらに効果を発揮することとなる。これは、放電電流はこれまでどおりの電流値を用い、電池容量を削減すると、単位容量当たりの負荷が必然的に増加し、低SOC領域での性能低下が顕著になるためである。このため、このような電池容量を削減したような電池、即ち、負極容量が10Ah以下となるような電池の場合においては、上述のような一般式で表され、かつ上述のような条件を満たす水素吸蔵合金を用いるのが望ましい。
なお、実用的には、充電深度(SOC)が20%相当の電圧に達すると放電を停止して充電を開始し、充電深度(SOC)が80%相当の電圧に達すると充電を停止して放電を開始するように部分充放電制御がなされるのが好ましい。これは、プラトー性が良好で、SOCが低下しても、ある一定以上の出力が取り出せる範囲であると共に、SOC20%より低い領域になると、正極の容量不足による出力低下が顕著になってくるためである。
水素吸蔵合金は以下のようにして作製されている。この場合、例えば、ネオジウム(Nd)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)を所定のモル比の割合で混合し、この混合物をアルゴンガス雰囲気中で溶解させ、これを溶湯急冷して一般式がLnl-xMgxNiy-a-bAlaMb(ただし、式中Lnはランタン(La)を含む希土類元素から選択された元素で、MはCo,Mn,Znから選択される少なくとも1種の元素)と表される水素吸蔵合金α1〜α8のインゴットを作製する。ついで、得られた各水素吸蔵合金α1〜α8について、DSC(示差走査熱量計)を用いて融(Tm)を測定した。その後、これらの水素吸蔵合金α1〜α8の融点(Tm)よりも30℃だけ低い温度(Ta=Tm−30℃)で所定時間(この場合は10時間)の熱処理を行った。
この後、これらの各水素吸蔵合金α1〜α8の塊を粗粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で平均粒径が25μmになるまで機械的に粉砕して水素吸蔵合金粉末を作製した。ついで、水素吸蔵合金粉末α1〜α8を温度が40℃の環境雰囲気中で、水素吸蔵量(H/M)が0.2および0.5の時の解離圧を水素平衡圧として測定した。この場合、各水素吸蔵合金粉末α1〜α8の水素平衡圧(MPa)は、JIS H7201(1991)「水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定法」に基づいて測定(なお、測定温度は一般的な使用環境において電池が示す実使用温度の平均値である40℃とした。)し、水素吸蔵量(H/M)が0.2(水素化当量)および0.5(水素化当量)のときの水素平衡圧(MPa)を直線で結び、その直線の傾きの大きさをプラトー性(MPa/水素化当量)として示すと、下記の表1に示すような結果となった。
水素吸蔵合金負極11はパンチングメタルからなる負極芯体に水素吸蔵合金スラリーが充填されて形成されている。この場合、上述のように作製された水素吸蔵合金のインゴットを、1000℃のアルゴンガス雰囲気で10時間の熱処理を行ってインゴットにおける結晶構造を調整した。この水素吸蔵合金を不活性雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400メッシュ〜200メッシュの間に残る合金粉末を選別した。なお、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定すると、質量積分50%にあたる平均粒径は25μmであった。これを水素吸蔵合金粉末とした。
ニッケル正極12は、基板となるニッケル焼結基板の多孔内に水酸化ニッケルと水酸化亜鉛とが所定の充填量となるように充填されて形成されている。
この場合、ニッケル焼結基板は以下のようにして作製されたものを用いている。例えば、ニッケル粉末に、増粘剤となるメチルセルロース(MC)と高分子中空微小球体(例えば、孔径が60μmのもの)と水とを混合、混練してニッケルスラリーを作製する。ついで、ニッケルめっき鋼板からなるパンチングメタルの両面にニッケルスラリーを塗着した後、還元性雰囲気中で1000℃で加熱して、増粘剤や高分子中空微小球体を消失させるとともにニッケル粉末同士を焼結することにより作製される。
ついで、上述のようにして作製された水素吸蔵合金負極11(x1〜x8)とニッケル正極12とを用い、これらの間に、目付が55g/cm2のポリオレフィン製不織布からなるセパレータ13を介在させて渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。なお、このようにして作製された渦巻状電極群の下部には水素吸蔵合金電極11の芯体露出部11cが露出しており、その上部にはニッケル正極12の芯体露出部12cが露出している。ついで、得られた渦巻状電極群の下端面に露出する芯体露出部11cに負極集電体14を溶接するとともに、渦巻状電極群の上端面に露出するニッケル電極12の芯体露出部12cの上に正極集電体15を溶接して、電極体とした。
(1)活性化処理
これらの各電池A,B,C,D,E,F,G,Hを用い、25℃の温度雰囲において、電池容量(公称容量)に対して、1Itの充電電流で電池容量の120%まで充電(SOC120%充電)し、1時間休止した後、70℃の温度雰囲で24時間放置した。その後、45℃の温度雰囲で1Itの放電電流で電池電圧が0.3Vになるまで放電させた。このような充電・休止・放置・放電を2サイクル繰り返して行って、各電池A,B,C,D,E,F,G,Hの活性化処理を行った。
また、上述のように活性化した後、これらの各電池A,B,C,D,E,F,G,Hを、25℃の温度雰囲気で、1Itの充電電流でSOC(State Of Charge :充電深度)の50%まで充電(SOC50%充電)した後、−10℃の温度雰囲気で3時間休止させる。ついで、−10℃の温度雰囲気で、任意の充電レートで20秒間充電させた後、−10℃の温度雰囲気で30分間休止させる。この後、−10℃の温度雰囲気で、任意の放電レートで10秒間放電させた後、−10℃の温度雰囲気で30分間休止させる。このような−10℃の温度雰囲気で、任意の充電レートでの20秒間充電、30分の休止、任意の放電レートで10秒間放電、−10℃の温度雰囲気での30分の休止を繰り返した。
そして、上述と同様にSOC20%時の−10℃アシスト出力として求め、求めたSOC20%時の−10℃アシスト出力において、電池AのSOC20%時の−10℃アシスト出力を基準(100)とし、これとの相対比をSOC20%時の−10℃アシスト出力比(対電池A)として算出すると、下記の表2に示すような結果となった。
さらに、上述のように活性化した後、これらの各電池A,B,C,D,E,F,G,Hを用い、55℃の温度雰囲において、8.3Itの充電電流にて、上記初期容量に対するSOC(State Of Charge:充電深度)が80%となる電圧まで充電した後、8.3Itの放電電流にてSOCが20%となる電圧まで放電させるというサイクルを繰り返す8.3Itの間欠充放電を2ヶ月間繰り返すサイクル試験を行った。その後、上述と同様にして−10℃電池出力(アシスト出力)の評価行い、活性化直後からの劣化度合を確認した。そして、求めた劣化度合において、電池Aの劣化度合を100とし、他の電池の劣化度合をそれとの比(対電池A)として求めると下記の表3に示すような結果となった。
即ち、SOC50%の充電においては、電池C,Dのようにプラトー性が0.88(MPa/水素化当量)以上と劣っていても、−10℃アシスト出力はそれほど低下していないことが分かる。ところが、SOC20%の充電においては、電池C,Dのようにプラトー性が0.88(MPa/水素化当量)以上と劣っていると、−10℃アシスト出力の低下割合が大きいことが分かる。これは、水素吸蔵合金のプラトー性が0.88(MPa/水素化当量)以上と大きくなると、蓄積された水素量が比較的少ないSOC20%領域では、元々の水素吸蔵圧力が低下していること、および水素吸蔵合金に蓄積された水素の放出に伴う、圧力の変動も大きくなることから、負極の抵抗が増大し、電位変動が大きくなるためと考えられる。
本発明のアルカリ蓄電池システムにおいては、上述したアルカリ蓄電池の複数個を組み合わせた組電池とし、この組電池を部分充放電制御するようになされている。この場合、一般的な部分充放電制御の条件としては、複数の電池を組み合わせた組電池とした場合に各電池間にバラツキが生じない電圧(この場合は、充電深度(SOC)が10%相当の電圧)に達すると放電を停止して充電を開始させ、酸素過電圧に到達する前の電圧(この場合は、充電深度(SOC)が95%相当の電圧)に達すると充電を停止して放電を開始させると定義することができるが、実用的には、充電深度(SOC)が20%相当の電圧に達すると放電を停止して充電を開始し、充電深度(SOC)が80%相当の電圧に達すると充電を停止して放電を開始するように部分充放電制御がなされるのが好ましい。これは、プラトー性が良好で、SOCが低下しても、ある一定以上の出力が取り出せる範囲であると共に、SOC20%より低い領域になると、正極の容量不足による出力低下が顕著になってくるためである。
ところが、本発明の水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金負極の場合、負極容量が10Ah以下となるような電池容量のより小さい系でさらに効果を発揮することとなる。これは、放電電流はこれまでどおりの電流値を用い、電池容量を削減すると、単位容量当たりの負荷が必然的に増加、低SOC領域での性能低下が顕著になるためである。
このため、上述のような電池容量を削減したような電池、すなわち負極容量が10Ah以下となるような電池の場合は、当該発明で提案した水素吸蔵合金を用いることが望ましい。
Claims (5)
- 水素吸蔵合金を負極活物質とする水素吸蔵合金負極と水酸化ニッケルを主正極活物質とするニッケル正極とセパレータとからなる電極群をアルカリ電解液とともに外装缶内に備えたアルカリ蓄電池であって、
前記水素吸蔵合金は一般式がLnl-xMgxNiy-a-bAlaMb(ただし、式中、LnはLaを含む希土類元素であり、MはCo,Mn,Znから選択された少なくとも1種の元素であり、0.1≦x≦0.2、0.1≦a≦0.2、0≦b≦0.1)と表され、
前記希土類元素とマグネシウムとからなるA成分と、前記ニッケルとアルミニウムと元素MとからなるB成分からなるとともに、前記A成分に対する前記B成分の量論比(B/A)は3.5以上で3.7以下(3.5≦y≦3.7)で、水素吸蔵時のプラトー性の範囲P(MPa/水素化当量)が0.35(MPa/水素化当量)以上で0.80(MPa/水素化当量)以下(0.35(MPa/水素化当量)≦P≦0.80(MPa/水素化当量))であることを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 前記水素吸蔵合金は希土類元素としてLa以外に、SmあるいはNdから選択される少なくとも一元素を含有しているとともに、当該希土類元素に含まれるLaの含有量は50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
- 前記水素吸蔵合金負極の極板容量は10Ah以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアルカリ蓄電池。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池を備えたアルカリ蓄電池システムであって、部分充放電制御するようになされていることを特徴とするアルカリ蓄電池システム。
- 前記部分充放電制御は、充電深度(SOC)が20%相当の電圧に達すると放電を停止して充電を開始し、充電深度(SOC)が80%相当の電圧に達すると充電を停止して放電を開始するようになされていることを特徴とする請求項4に記載のアルカリ蓄電池システム。
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