次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、レーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2と、記録シートの一例としての用紙Pを給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4と、制御部100とを備えている。
フィーダ部3は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。給紙機構32は、給紙ローラ32Aと、分離ローラ32Bと、分離パッド32Cと、紙粉取りローラ32Dと、レジストローラ32Eとを備えている。レジストローラ32Eは、用紙Pの先端位置を揃えるローラであり、制御部100によって適宜停止・回転が切り替えられるようになっている。
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写部材の一例としての転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体の一例としての感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光ドラム61と、図示しない帯電器と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部62と、トナー収容部62内のトナーを感光ドラム61に供給する供給ローラ63および現像ローラ64を備えている。
このプロセスカートリッジ6では、図示せぬ帯電器が、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して、感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
次いで、回転駆動される現像ローラ64が、感光ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、用紙Pが感光ドラム61と転写ローラTRの間で搬送される際に、転写ローラTRに引き寄せられて用紙P上に転写する。
定着装置7は、帯電された定着液Lを静電噴霧により用紙P上のトナー像に供給することで、用紙P上にトナー像を定着させる装置である。なお、定着装置7の構成については、後で詳述する。
定着装置7の下流側には、定着装置7から排出された用紙Pを挟持して下流側に搬送するための一対の下流側搬送ローラ81が設けられている。下流側搬送ローラ81によって搬送された用紙Pは、排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に排出される。
次に、定着装置7の構成について詳細に説明する。
定着装置7は、用紙P上のトナー像に向けて定着液Lを噴霧するための定着ヘッド71と、定着ヘッド71の下で用紙Pを支持する第2電極72とを備えている。
定着液Lは、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたもの使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。つまり、本実施形態では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶または難溶な溶質を水に分散した定着液を用いている。溶質としては、脂肪族モノカルボン酸エステル系として、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、脂肪族ジカルボン酸エステル系として、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、脂肪族トリカルボン酸エステル系として、oアセチルクエン酸トリエチル、oアセチルクエン酸トリブチル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル系としてコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、炭酸エステル系として炭酸エチレン、炭酸プロピレンを使用することができる。これらの溶質はトナーを軟化させる機能を有する。
また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良く、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。アニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類を使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩を使用することができる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル類を使用することができる。
定着ヘッド71は、図2(a)に示すように、幅方向に千鳥状に並ぶ、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71B、第3定着ヘッド71C、第4定着ヘッド71Dおよび第5定着ヘッド71Eを有している。第1定着ヘッド71A、第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eは、前後方向、つまり用紙Pの搬送方向において略同じ位置に配置され、左右方向、つまり用紙Pの幅方向において間隔を空けて配置されている。第2定着ヘッド71Bは、搬送方向において第1定着ヘッド71Aおよび第3定着ヘッド71Cの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第1定着ヘッド71Aと第3定着ヘッド71Cとの間に配置されている。第4定着ヘッド71Dは、搬送方向において第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第3定着ヘッド71Cと第5定着ヘッド71Eとの間に配置されている。
第1定着ヘッド71Aは、定着液Lを内部に収容する収容部73と、収容部73に連通し、トナー像に向けて定着液Lを噴霧する複数のノズルNと、収容部73内および各ノズルN内の定着液Lに電圧を印加する第1電極74と、を備えている。なお、その他の定着ヘッド71B〜71Eは、第1定着ヘッド71Aと略同様の構成となっているため、その他の定着ヘッド71B〜71Eを構成する部材には第1定着ヘッド71Aを構成する部材と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
収容部73は、幅方向に長尺となる矩形の絶縁性の容器であり、上壁73A、前壁73B、後壁73C、左壁73D、右壁73Eおよび下壁73Fを有している。図2(b)に示すように、各定着ヘッド71A〜71Eにおける複数のノズルNは、それぞれ収容部73の下壁73Fから下方に向けて突出しており、下方に向かう程、徐々に縮径している。複数のノズルNは、幅方向に複数配列されるとともに、搬送方向に複数配列されている。
詳しくは、複数のノズルNは、搬送方向に並ぶ第1千鳥配列群U1および第2千鳥配列群U2を構成している。図3に示すように、第1千鳥配列群U1は、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第1ノズルN1と、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第2ノズルN2とからなり、幅方向の一方側から他方側に向けて、第1ノズルN1と第2ノズルN2とが搬送方向の一方側と他方側に交互に配置されている。
また、各第2ノズルN2は、幅方向において2つの第1ノズルN1の間に配置されている。そして、幅方向で隣り合う2つの第1ノズルN1と、これら2つの第1ノズルN1の間に配置される第2ノズルN2とを結んだ形状は、正三角形または二等辺三角形となっている。また、幅方向で隣り合う2つの第2ノズルN2と、これら2つの第2ノズルN2の間に配置される第1ノズルN1とを結んだ形状も、正三角形または二等辺三角形となっている。
第2千鳥配列群U2は、第1千鳥配列群U1と同じ構造となっている。本実施形態においてノズルピッチ(隣接するノズルの外径間の最短距離)は、1mm以上、14mm以下の範囲で設定すればよい。
また、幅方向で隣接する2つの定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71Aと第2定着ヘッド71B)は、搬送方向から見て各収容部73が重なるように配置されている。具体的には、所定の定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71A)における複数のノズルNの幅方向における最小ピッチ(例えば、第1ノズルN1と第2ノズルN2間のピッチ)は、Daとなっている。これに対し、所定の定着ヘッドの幅方向の最も一方側のノズルN(例えば第1定着ヘッド71Aの最も図示左側の第1ノズルN1)から当該所定の定着ヘッドの一方側に隣接する定着ヘッド(例えば第2定着ヘッド71B)の幅方向の最も他方側のノズルN(例えば第2定着ヘッド71Bの最も図示右側の第1ノズルN1)までの距離Dbが、最小ピッチDaよりも小さくなっている。
つまり、定着ヘッド71A〜71Eごとに設定される各定着領域A1〜A5(各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNによって用紙Pに対して定着液Lが噴霧される領域)が、搬送方向から見て重なるように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されている。なお、本実施形態では、各定着ヘッド71A〜71Eの各定着領域A1〜A5を、便宜上、各収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置として説明する。
より詳しくは、第1定着ヘッド71Aから定着液Lが噴霧される領域である第1定着領域A1は、第2定着ヘッド71Bから定着液Lが噴霧される領域である第2定着領域A2に搬送方向から見て重なっている。第5定着ヘッド71Eから定着液Lが噴霧される領域である第5定着領域A5は、第4定着ヘッド71Dから定着液Lが噴霧される領域である第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。
第3定着ヘッド71Cから定着液Lが噴霧される領域である第3定着領域A3は、第2定着領域A2および第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。このように各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eの間に、定着液Lが噴霧されない領域が生じるのを抑えることが可能となっている。
第1定着ヘッド71Aは、レーザプリンタ1で印刷を行うことが可能な複数種類の用紙Pのうち最も幅狭の第1用紙P1に対して定着液Lを噴霧するためのヘッドであり、第1用紙P1の幅よりも小さな幅で形成されている。第1定着ヘッド71Aは、第1用紙P1の左右両端よりも左右方向内側に配置されている。詳しくは、第1定着ヘッド71Aの第1定着領域A1が、第1用紙P1の画像が形成される領域である画像形成領域の幅以上の幅となるような大きさに形成され、第1定着領域A1の幅内に画像形成領域の全幅が入るように配置されている。
なお、本実施形態では、図3に示すように、用紙幅の異なる用紙P1〜P5は、左側の端部を基準として搬送されるようになっている。詳しくは、本体筐体2内には、各用紙P1〜P5の左側の端部に接触して当該左端部をガイドする図示せぬガイド部材が設けられている。
第2定着ヘッド71Bは、第1定着ヘッド71Aに対して右側(幅方向の一方側)に隣接しており、第1用紙P1よりも幅広の第2用紙P2の右側の端部よりも左側(他方側)に配置されている。詳しくは、第2定着ヘッド71Bの第2定着領域A2の右側端部が、第2用紙P2の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第2用紙P2の画像形成領域の左側端部は、第1用紙P1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bが配置されることで、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bは、第2用紙P2の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第3定着ヘッド71Cは、第2定着ヘッド71Bに対して右側に隣接しており、第2用紙P2よりも幅広の第3用紙P3の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第3定着ヘッド71Cの第3定着領域A3の右側端部が、第3用紙P3の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第3用紙P3の画像形成領域の左側端部は、第1用紙P1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cが配置されることで、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cは、第3用紙P3の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第4定着ヘッド71Dは、第3定着ヘッド71Cに対して右側に隣接しており、第3用紙P3よりも幅広の第4用紙P4の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第4定着ヘッド71Dの第4定着領域A4の右側端部が、第4用紙P4の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第4用紙P4の画像形成領域の左側端部は、第1用紙P1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Dが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Dは、第4用紙P4の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第5定着ヘッド71Eは、第4定着ヘッド71Dに対して右側に隣接しており、第4用紙P4よりも幅広の第5用紙P5の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第5定着ヘッド71Eの第5定着領域A5の右側端部が、第5用紙P5の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第5用紙P5の画像形成領域の左側端部は、第1用紙P1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eは、第5用紙P5の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
図1に戻って、第1電極74は、収容部73内の定着液Lに電圧を印加して各ノズルNの先端に電界を発生させるための電極である。第1電極74は、収容部73の上壁73Aを上から下に貫通するように設けられ、下端部が収容部73内の定着液L内に配置されて定着液Lに接触し、上端部が、図示せぬ電圧印加部を有する制御部100に接続されている。第1電極74に印加される電圧は、1kV〜10kVであることが好ましい。
各定着ヘッド71A〜71Eには、圧力付与手段の一例としての加圧装置75が接続されている。加圧装置75は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに圧力をかける装置であり、各定着ヘッド71A〜71E内に定着液Lを送り込むことで加圧するポンプと、各定着ヘッド71A〜71E内から定着液Lを逃がすことで減圧する減圧弁とを有している。また、各定着ヘッド71A〜71Eには、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lの圧力を検出する圧力センサSP(1つのみを代表して図示)がそれぞれ設けられている。
第2電極72は、用紙Pに接触して、ノズルN内の定着液Lと用紙Pとの間に電位差を形成するための電極であり、各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNの先端から所定距離離れるように、各定着ヘッド71A〜71Eの下に配置されている。ここで、所定距離は、用紙Pの厚さよりも大きな距離であり、実験やシミュレーション等によって静電噴霧を好適に行うことが可能な距離に設定されている。
第2電極72は、接地されている。なお、第2電極72は、必ずしも接地させる必要はなく、例えば第1電極74に印加される電圧よりも小さな電圧を第2電極72に印加してもよい。第2電極72は、ノズルNの先端との間で電界を形成している。
第1電極74に電圧が印加されるとノズルNの先端付近の空間に電界が形成される。第2電極72は、定着液Lが加圧装置75によってノズルNの先端に向けて供給されているので、ノズルNの先端の定着液Lとの間に電界を形成する。すると、ノズルNの先端では、定着液Lが電界に引っ張られていわゆるテイラーコーンが形成される。このテイラーコーンの先端から定着液Lが引きちぎられることによって微細な液滴が生成される。
ノズルNから噴霧された液滴状の定着液Lは、正に帯電している。これに対し、用紙Pは実質的にゼロ電位状態になっている。このため、液滴状の定着液Lは、クーロン力によって用紙Pに向かって飛んでゆき、用紙P上やトナー像上に付着する。
電流センサSAは、第1電極74に流れる電流を検出することで、定着液Lに流れる電流を間接的に検出するセンサであり、各第1電極74に対応して設けられている。電流センサSAは、ノズルNから用紙Pに定着液Lが噴霧された際に第1電極74に流れる電流を検出し、その検出値を制御部100に出力している。ここで、第1電極74に電圧が印加されても、ノズルNから定着液Lが噴霧されていないときには、第1電極74には電流が流れず、ノズルNから定着液Lが噴霧されること、つまり帯電された定着液LがノズルNから用紙Pに移動することによって、第1電極74に電流が流れるようになっている。
このように構成された第1電極74および第2電極72は、ノズルN内の定着液Lと、ノズルNから離れた位置で搬送される用紙Pとの間に電位差を形成するための電位差形成部となっている。
制御部100は、RAMやROMなどからなる記憶部110、CPU、入出力回路などを備えており、外部から入力されてくる画像データや、各センサSP,SAからの信号に基づいて、加圧装置75の制御や第1電極74に印加する電圧の制御を実行する機能を有している。
具体的に、制御部100は、印刷制御中において、圧力センサSPからの情報に基づいて、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに加える圧力を一定に維持するように構成されている。なお、定着液Lに加える圧力は、例えば、第1電極74に電圧を印加していない状態において、ノズルNの先端の定着液Lの空気との界面が定着液L側に凹んだ状態となるような所定圧力値に設定することができる。ここで、ノズルNの先端の定着液Lの界面は、圧力が小さい場合には、定着液L側に凹んだ略半球面形状となり、この状態から圧力を徐々に高くしていくと、界面が外側に移動していって徐々に平面に近い形状となり、さらに圧力を高くしていくと、界面がさらに外側に移動していって徐々に外側に凸となる略半球面形状となるようになっている。そして、界面は、平面に近い形状となったときに、その表面積が最小になっている。なお、界面の表面積が大きいほど、ノズルNの先端の定着液Lが乾きやすくなり、ノズルNの先端が詰まるおそれがあるため、表面積は小さい方が望ましい。
制御部100は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに印加する電圧を個別に制御するように構成されている。詳しくは、制御部100は、待機状態において、各定着ヘッド71A〜71Eの各第1電極74にかける電圧Vを、それぞれノズルNから定着液Lが噴霧されない大きさの第1電圧V1とし、印刷制御において、用紙Pの先端が各定着領域A1〜A5に到達する前の所定のタイミングで、電圧Vを、定着ヘッド71A〜71Eごとに、第1電圧V1よりも大きな第2電圧V2にする機能を有している。言い換えると、制御部100は、各定着領域A1〜A5から上流側に所定の第1距離D1(図9(b),(c)参照)だけ離れた第1位置に用紙Pの先端が到達したとき、つまり用紙Pの先端から各定着領域A1〜A5までの距離が第1距離D1になったときに、電圧Vを、定着ヘッド71A〜71Eごとに、第1電圧V1よりも大きな第2電圧V2にする機能を有している。
なお、第1電圧V1は、0よりも大きな電圧値に設定することができ、例えば圧力を前述したような所定圧力値に設定した場合には、電圧の印加によりノズルNの先端の定着液Lの空気との界面の表面積が最大値よりも小さな値(例えば最小値)となるような電圧値に設定することができる。また、第2電圧V2は、所望の噴霧量には満たないが、噴霧は行われている電圧値に設定することができる。
詳しくは、制御部100は、待機状態において、第2電極72に流れる電流と第1電極74に印加する電圧の関係式を算出し、関係式に基づいて第2電圧V2を決定するように構成されている。より詳しくは、制御部100は、図4に示すように、待機状態において、まず、電流センサSAで検出した電流の値が第1電流値Iaとなるように各第1電極74に印加する電圧Vを制御する。そして、電流の検出値が第1電流値Iaとなったときの第1測定電圧VaをIaとともに記憶する。
次いで、制御部100は、電流の検出値が第1電流値Iaとは異なる第2電流値Ibとなるように各第1電極74に印加する電圧Vを制御する。そして、制御部100は、電流の検出値が第2電流値Ibとなったときの第2測定電圧VbをIbとともに記憶する。
その後、制御部100は、各測定電圧Va,Vbおよび各電流値Ia,Ibに基づいて、図4に示すような電流と電圧の関係を示す関係式を算出する。そして、制御部100は、関係式から、電流が0になるときの電圧(切片)を求め、この電圧を第2電圧V2として設定し、第2電圧V2よりも小さな値を第1電圧V1として設定する。
制御部100は、前述した関係式の算出を、待機状態において所定条件が満たされた場合に実行している。ここで、所定条件は、温度などの環境が変わった可能性があることを示す条件であれば、どのような条件であってもよい。例えば、所定条件として、前回の印刷制御を終了してから所定の規定時間が経過したことや、図示せぬ温度センサで検出した温度と、前回の関係式の算出時における温度との温度差が所定量以上になったことや、定着ヘッド71に定着液Lを供給する図示せぬ定着液カートリッジが交換されたこと、などを設定することができる。
電圧Vを第1電圧V1から第2電圧V2に切り替える所定のタイミングは、用紙Pの先端が感光ドラム61と転写ローラTRとの間を通過した後のタイミングに設定されている。なお、この所定のタイミングは、所定の起点となる時刻から所定の第1時間(各用紙Pに対応した時間)が経過したときの時刻である。所定の起点となる時刻は、例えば給紙ローラ32Aによって給紙を開始した時刻であってもよいし、レジストローラ32Eによって一旦停止させた用紙Pの搬送を再開するときの時刻であってもよいし、定着装置7よりも上流側で、かつ、レジストローラ32Eよりも下流側に設けられる、図示せぬ通紙センサによって用紙Pの先端の通過を検知した時刻であってもよい。
また、所定のタイミングは、所定の起点となる初期位置(例えば通紙センサの位置)から前述した第1位置までの距離と、用紙Pの搬送速度に依存しているため、例えば搬送速度が変更された場合には、搬送速度に応じて適宜変更すればよい。詳しくは、前述した第1時間を、距離/搬送速度で算出すればよい。なお、以下の説明では、電圧Vを第1電圧V1から第2電圧V2に切り替えるための複数の所定のタイミングを、複数の第1時刻t1として説明する。
また、制御部100は、用紙P上のトナー像(以下、「画像」ともいう。)が各定着領域A1〜A5に到達する以前に、電圧Vを、トナーの定着が可能となる電圧であり、かつ、第2電圧V2よりも大きな第3電圧V3にするように構成されている。言い換えると、制御部100は、各定着領域A1〜A5から上流側に所定の第2距離D2(第1距離D1より短い距離:図9(d),(e)等参照)だけ離れた第2位置に画像が到達したとき、つまり画像と各定着領域A1〜A5までの距離が第2距離D2になったときに、電圧を、定着ヘッド71A〜71Eごとに、第2電圧V2よりも大きな第3電圧V3にする機能を有している。
ここで、第3電圧V3は、画像の定着に必要な量の定着液Lを噴霧するために必要な大きさの電圧値に設定される。そのため、制御部100は、まず、例えば画像濃度に応じて定着液Lの目標供給量を設定し、目標供給量に応じて、図4に示すような目標電流値Ixを設定する。そして、制御部100は、目標電流値Ixと図4の関係式とに基づいて、第3電圧V3を設定する。
なお、各画像が各定着領域A1〜A5に到達する以前のタイミングは、前述したような所定の起点となる時刻から所定の第2時間(各画像や各定着領域A1〜A5に対応した時間)が経過したときの時刻である。なお、以下の説明では、電圧Vを第2電圧V2から第3電圧V3に切り替える複数のタイミングを、複数の第2時刻t2として説明する。
また、制御部100は、各定着領域A1〜A5に対応する画像(各定着領域A1〜A5の幅内に入る画像)が、所定の用紙P上において搬送方向に離れて複数配置され、複数のうち2つの画像間の距離が、ある程度短い第3距離D3(図8参照)よりも大きい場合には、2つのうち下流側の画像が定着領域を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える機能を有している。つまり、制御部100は、例えば図8に示すように、第1定着領域A1に対応する2つの画像G2,G3間の距離が第3距離D3よりも大きいと判断すると、下流側の第2画像G2が第1定着領域A1を通り抜けたときに、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える。言い換えると、制御部100は、第2画像G2が第1定着領域A1を抜けた後、次の画像G3が第1定着領域A1に到達するまでの時間が第1閾値以上である場合に、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える。
第1閾値は、例えば、制御部100が第1電極74に印加する電圧を第3電圧V3から第2電圧V2に変更するときに、電圧を変更する制御を開始してから第2電圧V2に安定するまでの時間とし、実験的に求めることができる。距離D3は、用紙の搬送速度と第1閾値から求めることができる。
また、制御部100は、各定着領域A1〜A5に対応する画像が、所定の用紙P上において搬送方向に離れて複数配置され、複数のうち2つの画像間の距離がある程度短い第3距離D3(図8参照)以下である場合には、2つの画像を1つの画像として認識する機能を有している。つまり、制御部100は、例えば図8に示すように、第1定着領域A1に対応する2つの画像G1,G2間の距離が第3距離D3以下であると判断すると、2つの画像G1,G2を1つの画像として認識するので、2つの画像G1,G2間で電圧Vを落とすことなく、第3電圧V3のままに維持する。言い換えると、制御部100は、画像G1が第1定着領域A1を抜けた後、次の第2画像G2が第1定着領域A1に到達するまでの時間が第1閾値未満である場合に、電圧Vを、第3電圧V3に維持する。
また、制御部100は、所定の用紙P上における搬送方向の最も上流側の画像(例えばG3)が定着領域(例えばA1)を抜けた場合に、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1または第2電圧V2に変更する機能を有している。詳しくは、制御部100は、例えば、所定の用紙Pにおける最上流側の画像G3の後端から次の用紙Pの先端までの距離が、第4距離D4より大きい場合には、最上流側の画像G3が第1定着領域A1を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替える。言い換えると、制御部100は、例えば、所定の用紙Pにおける最上流側の画像G3が第1定着領域A1を抜けてから次の用紙Pの先端が第1定着領域A1に到達するまでの時間が第2閾値より大きい場合には、最上流側の画像G3が第1定着領域A1を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替える。
第2閾値は、例えば、制御部100が第1電極74に印加する電圧を第3電圧V3から第1電圧V1に変更するときに、電圧を変更する制御を開始してから第1電圧V1に安定するまでの時間とし、実験的に求めることができる。距離D4は、用紙の搬送速度と第2閾値から求めることができる。
また、制御部100は、所定の定着領域に対応した最上流側の画像に対して次の用紙Pが存在しない場合、または、次の用紙Pに所定の定着領域に対応した画像が存在しない場合にも、最上流側の画像が定着領域を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替えるように構成されている。具体的には、例えば、第1定着領域A1に対応した最上流側の画像G3が形成される所定の用紙Pに続いて搬送される次の用紙P上に、第1定着領域A1に対応した画像が存在しない場合には、制御部100は、画像G3が第1定着領域A1を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替える。
なお、次の用紙Pの先端との距離が第4距離D4よりも大きくなる最上流側の各画像が各定着領域A1〜A5を抜けるタイミングや、次の用紙Pが存在しない、または、次の用紙Pに画像が存在しない最上流側の各画像が各定着領域A1〜A5を抜けるタイミングは、前述したような所定の起点となる時刻から所定の第4時間(各画像や各定着領域A1〜A5に対応した時間)が経過したときの時刻である。なお、以下の説明では、電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に切り替える複数のタイミングを、複数の第4時刻t4として説明する。
また、制御部100は、例えば、所定の用紙Pにおける最上流側の第4画像G4の後端から次の用紙Pの先端までの距離が、第4距離D4以下である場合には、最上流側の第4画像G4が第5定着領域A5を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える。言い換えると、制御部100は、例えば、所定の用紙Pにおける最上流側の画像G4が第5定着領域A5を抜けてから次の用紙Pの先端が第5定着領域A5に到達するまでの時間が第2閾値以下である場合には、最上流側の画像G4が第5定着領域A5を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える。
なお、次の用紙Pの先端との距離が第4距離D4以下となる最上流側の各画像が各定着領域A1〜A5を抜けるタイミングは、前述したような所定の起点となる時刻から所定の第3時間(各画像や各定着領域A1〜A5に対応した時間)が経過したときの時刻である。なお、以下の説明では、電圧Vを第3電圧V3から第2電圧V2に切り替える複数のタイミングを、複数の第3時刻t3として説明する。
また、制御部100は、所定の用紙Pの画像形成領域のうち所定の定着領域(例えば、A3)に対応した所定領域中に画像が存在しないと判断した場合には、所定領域に対応した所定の定着ヘッド(例えば、71C)内の定着液Lに印加する電圧Vを、第1時刻t1以降で、かつ、所定の用紙Pが所定の定着ヘッドに対応した定着領域を通過する間、第1電圧V1に維持するように構成されている。つまり、図8に示す図示左側の用紙Pの画像形成領域のうち第3定着領域A3の幅内には、画像が存在しないので、この場合、制御部100は、第3定着ヘッド71Cに対して第1時刻t1(すなわち、第1電圧V1から第2電圧V2に切り替えるタイミング)を設定しないように構成されている。これにより、図示左側の用紙Pが第3定着領域A3を通過する間、第3定着ヘッド71Cに印加する電圧Vが、第1電圧V1に維持される。
なお、前述した各距離D1〜D4、各時刻t1〜t4、各電圧V1〜V3等は、実験やシミュレーション等によって適宜設定される。
次に、制御部100の動作を詳細に説明する。なお、制御部100は、図5〜図7に示すフローチャートを各定着ヘッド71A〜71Eに対してそれぞれ実行している。以下の説明では、第1定着ヘッド71Aについての制御を代表して説明する。図5に示すフローチャートは、定着制御を行う直前の準備状態において各時刻t1〜t4を設定する処理を示している。また、図6に示すフローチャートは、待機状態における電圧制御を示し、図7に示すフローチャートは、印刷制御における電圧制御を示している。なお、図6に示すフローチャートは、待機状態において繰り返し実行され、図7に示すフローチャートは、印刷制御において繰り返し実行される。
ここで、定着制御とは、印刷指令における最初の用紙Pの画像に対して定着液Lの噴霧を開始してから最後の用紙Pの画像に対する噴霧が終了するまでの制御をいう。また、準備状態とは、印刷指令を受けてから最初の用紙Pの画像に対する噴霧が開始されるまでの状態をいう。また、待機状態とは、レーザプリンタ1の電源がONの状態で、かつ、印刷指令を受けていない状態をいう。
図5に示すように、制御部100は、待機状態において印刷指令を受けると(START)、まず、印刷データに基づいて、第1定着ヘッド71Aに対応した画像(以下、「対象画像」ともいう。)が存在するか否かを判断する(S1)。ステップS1において対象画像が存在しないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS1において対象画像が存在すると判断した場合には(Yes)、制御部100は、画像間隔が第3距離D3以下となる、つまり画像間隔が短い2つの対象画像を1つの対象画像として設定する(S2)。なお、以下の説明では、ステップS2で設定した複数の対象画像の個数をk個とし、1〜k番目の対象画像のうち任意の対象画像を「対象画像m」として説明する。
ステップS2の後、制御部100は、対象画像mごとに電圧Vを第2電圧V2から第3電圧V3に切り替えるタイミングである第2時刻t2を複数設定する(S3)。ステップS3の後、制御部100は、対象画像mが用紙Pの最後の画像であるか、つまり最上流側の画像であるか否かを判断する(S4)。
ステップS4において対象画像mが最上流側の画像でないと判断した場合には(No)、制御部100は、最上流側の画像でない対象画像mごとに電圧Vを第3電圧V3から第2電圧V2に切り替えるタイミングである第3時刻t3を複数設定する(S5)。つまり、ステップS4:No→S5の処理を経ることで、同一の用紙P上における最上流側以外の対象画像mが第1定着領域A1から抜けた後は、電圧Vが第3電圧V3から第2電圧V2に下げられるようになっている。
ステップS4において対象画像mが最上流側の画像であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、対応する最上流側の対象画像mに対して次の用紙Pが存在しないか否かを判断する(S9)。ステップS9において対象画像mに対して次の用紙Pが存在しないと判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS7に移行して、対応する最上流側の対象画像m、すなわち最後の対象画像kに対して、電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に切り替えるタイミングである第4時刻t4を設定する。つまり、ステップS9:Yes→S7の処理を経ることで、対象画像mが最後の対象画像kである場合、すなわち最後の対象画像kへの噴霧が完了する場合には、電圧Vが待機状態の第1電圧V1に戻されるようになっている。
ステップS9において対象画像mに対して次の用紙Pが存在すると判断した場合には(No)、制御部100は、最上流側の対象画像mの後端から次の用紙Pの先端までの距離が第4距離D4より長いか否かを判断する(S6)。ステップS6において距離が第4距離D4よりも長いと判断した場合には(Yes)、制御部100は、対応する最上流側の対象画像mごとに電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に切り替えるタイミングである第4時刻t4を複数設定する(S7)。つまり、ステップS6:Yes→S7の処理を経ることで、最上流側の対象画像mが第1定着領域A1を抜けてから、次の用紙Pの先端が第1位置に到達するまでの時間が比較的長い時間となる場合には、電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に下げて、電力消費を抑えることが可能となっている。
ステップS6において距離が第4距離D4以下であると判断した場合には(No)、制御部100は、対応する最上流側の対象画像mの次の用紙P上に対象画像m+1が存在しないか否かを判断する(S8)。ステップS8において次の用紙P上に対象画像m+1が存在しないと判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS7に移行して、対応する最上流側の対象画像mごとに第4時刻t4を設定する。つまり、ステップS8:Yes→S7の処理を経ることで、次の用紙P上に対象画像m+1が存在しない場合、すなわち第1定着ヘッド71Aで次の用紙P上に定着液Lを噴霧する必要がない場合には、最上流側の対象画像mが第1定着領域A1を抜けてから、少なくとも次の用紙Pが第1定着領域A1を抜けるまでの間、電圧Vを第1電圧V1に維持して、電力消費を抑えることが可能となっている。
ステップS8において次の用紙P上に対象画像m+1が存在すると判断した場合には(No)、ステップS5に移行して、対応する対象画像mごとに第3時刻t3を設定する。つまり、ステップS6:No→S8:No→S5の処理を経ることで、最上流側の対象画像mの後端から次の用紙Pの先端までの距離が第4距離D4以下と短い場合には、電圧Vを第3電圧V3から第2電圧V2に変更することで、紙間(対象画像mが形成された所定の用紙と次の用紙との間)において電圧Vを第1電圧V1から第2電圧V2に切り替える必要がなくなっている。
ここで、電圧Vを第1電圧V1から第2電圧V2に切り替えるときには、ノズルNから定着液Lが液滴となって落ちる現象が生じる場合がある。また、最上流側の対象画像mの後端から次の用紙Pの先端までの距離が第4距離D4以下と短い場合において、例えば搬送速度を大きくすると、最上流側の対象画像mが第1定着領域A1を抜けてから次の用紙Pの先端が第1定着領域A1に到達するまでの時間が非常に短くなることがある。この場合に、対象画像mが第1定着領域A1を抜けた後に電圧Vを第1電圧V1にし、紙間で第1電圧V1から第2電圧V2に切り替えようとすると、ノズルNから落ちた定着液Lが次の用紙Pに付着するおそれがある。これに対し、距離が第4距離D4以下と短い場合に、紙間において電圧Vを第2電圧V2に維持することで、第1電圧V1から第2電圧V2への切り替え時に生じる液だれを抑えることができるので、滴状の定着液Lが用紙Pに付着するのを抑えることが可能となっている。
ステップS7の後、または、ステップS5の後、制御部100は、対象画像mを含む各用紙Pについて、電圧Vを第1電圧V1から第2電圧V2に切り替えるタイミングである第1時刻t1を複数設定して(S10)、本制御を終了する。
図6に示すように、制御部100は、レーザプリンタ1の電源がONになると(START)、所定条件を満たしたか否かを判断することで、環境が変わった可能性があるか否かを判断する(S21)。ステップS21において所定条件を満たした、つまり環境が変わった可能性があると判断した場合には(Yes)、制御部100は、図4に示すように、電圧Vを各電流値Ia,Ibとなるように制御して、関係式を算出する(S22)。
ステップS22の後、制御部100は、関係式から第1電圧V1および第2電圧V2を設定する(S23)。ステップS23の後、または、ステップS21でNoと判断した場合、制御部100は、電圧Vを第1電圧V1に設定して(S24)、本制御を終了する。これにより、待機状態においては、基本的に、電圧Vが第1電圧V1に設定される。
図7に示すように、制御部100は、印刷指令を受けると(START)、まず、所定の起点となる時刻を基準とする時刻t、つまり所定の起点となる時刻からカウントアップされていく時刻tが、第1時刻t1になったか否かを判断する(S31)。ステップS31においてt=t1である場合には(Yes)、制御部100は、電圧Vを第2電圧V2に設定する(S32)。詳しくは、ステップS32において、制御部100は、電圧Vを、第1電圧V1から第2電圧V2に上げる。
ステップS31においてt=t1ではない場合には(No)、制御部100は、時刻tが第2時刻t2になったか否かを判断する(S33)。ステップS33においてt=t2である場合には(Yes)、制御部100は、電圧Vを第3電圧V3に設定する(S34)。詳しくは、ステップS34において、制御部100は、電圧Vを、第2電圧V2から第3電圧V3に上げる。
ステップS33においてt=t2ではない場合には(No)、制御部100は、時刻tが第3時刻t3になったか否かを判断する(S35)。ステップS35においてt=t3である場合には(Yes)、制御部100は、電圧Vを第2電圧V2に設定する(S36)。詳しくは、ステップS36において、制御部100は、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に下げる。
ステップS35においてt=t3ではない場合には(No)、制御部100は、時刻tが第4時刻t4になったか否かを判断する(S37)。ステップS37においてt=t4である場合には(Yes)、制御部100は、電圧Vを第1電圧V1に設定する(S38)。詳しくは、ステップS38において、制御部100は、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に下げる。
ステップS37においてt=t4ではない場合(No)、または、ステップS32,S34,S36,S38の後、制御部100は、印刷制御が終了したか否かを判断する(S39)。ステップS39において印刷制御が終了していない場合には(No)、制御部100は、ステップS31の処理に戻る。ステップS39において印刷制御が終了した場合には(Yes)、制御部100は、本制御を終了する。
次に、図8〜図10を参照して、制御の一例を説明する。
図8は、タイミングチャートの時間軸を位置に対応させて図示したものであり、第1定着ヘッド71A、第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eの制御を代表して図示している。なお、第2定着ヘッド71Bについては、対象画像が、第1定着ヘッド71Aについての対象画像G1〜G3と同じ大きさ・配置となっているため、第1定着ヘッド71Aと略同様な制御が行われる。また、第4定着ヘッド71Dについては、対象画像が、第5定着ヘッド71Eについての対象画像G4〜G7と同じ大きさ・配置となっているため、第5定着ヘッド71Eと略同様な制御が行われる。なお、以下の説明においては、便宜上、対象画像G1〜G7を、順に第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3、第4画像G4、第5画像G5、第6画像G6、第7画像G7とも称する。
最初に、図8を参照して、第1定着ヘッド71Aの制御について説明する。
図8に示すように、印刷制御における最初の用紙Pの先端から第1定着領域A1までの距離が第1距離D1となる第1時刻t1になると、制御部100は、待機状態において第1電圧V1に設定していた電圧Vを、第2電圧V2に上げる。最初の用紙Pの第1画像G1の先端から第1定着領域A1までの距離が第2距離D2となる第2時刻t2になると、制御部100は、電圧Vを、第2電圧V2から第3電圧V3に上げる。
2つの画像G1,G2の間隔は、第3距離D3以下であるため、制御部100は、第1画像G1の先端が第1定着領域A1に到達してから、第2画像G2が第1定着領域A1を抜けるまでの間、電圧Vを、第3電圧V3に維持する。第2画像G2が第1定着領域A1を抜ける第3時刻t3になると、制御部100は、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に下げる。詳しくは、第2画像G2が最上流側の画像に相当しないため、制御部100は、第2画像G2の後端が第1定着領域A1を抜けた後に、電圧Vを、第3電圧V3から第2電圧V2に下げる。
その後は、同様に、制御部100は、最上流側の第3画像G3に対して設定した第2時刻t2になると、電圧Vを、第2電圧V2から第3電圧V3に上げる。最上流側の第3画像G3が第1定着領域A1を抜ける第4時刻t4になると、制御部100は、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に下げる。詳しくは、最上流側の第3画像G3が形成される最初の用紙Pの次の用紙P上に、第1定着領域A1に対応した画像がないため、制御部100は、電圧Vを、第3電圧V3から第1電圧V1に下げる。
次に、第3定着ヘッド71Cの制御について説明する。
最初の用紙P上には、第3定着ヘッド71Cに対応する画像がないため、制御部100は、最初の用紙Pに対して第1時刻t1を設定しない。これにより、制御部100は、最初の用紙Pの先端から第3定着領域A3までの距離が第1距離D1となっても、電圧Vを、待機状態のときの第1電圧V1のままに維持する。
次の用紙P上には、第3定着ヘッド71Cに対応する画像G5,G6があるため、制御部100は、次の用紙Pに対して第1時刻t1を設定する。これにより、制御部100は、次の用紙Pの先端から第3定着領域A3までの距離が第1距離D1となる第1時刻t1になると、電圧Vを、第1電圧V1から第2電圧V2に上げる。
その後は、第1定着ヘッド71Aの制御と同様に、第2時刻t2において電圧Vを第2電圧V2から第3電圧V3に上げ、第4時刻t4において電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に下げる。なお、画像G5,G6についても間隔が第3距離D3以下であるため、各画像G5,G6間において、制御部100は、電圧Vを第3電圧V3に維持する。
最後に、第5定着ヘッド71Eの制御について説明する。
最初の用紙Pの先端から第5定着領域A5までの距離が第1距離D1となる第1時刻t1になると、制御部100は、待機状態において第1電圧V1に設定していた電圧Vを、第2電圧V2に上げる。最初の用紙Pの第4画像G4の先端から第5定着領域A5までの距離が第2距離D2となる第2時刻t2になると、制御部100は、電圧Vを、第2電圧V2から第3電圧V3に上げる。
ここで、最初の用紙P上における第5定着領域A5に対応した画像は、第4画像G4の1つのみなので、第4画像G4は最上流側の画像に相当する。第4画像G4の後端から次の用紙Pの先端までの距離は、第4距離D4以下となっているため、制御部100は、第4画像G4が第5定着領域A5を抜ける第3時刻t3になると、電圧Vを、第3電圧V3から、第1電圧V1まで下げずに、第2電圧V2に下げる。
これにより、最初の用紙P上の第4画像G4が第5定着領域A5を抜けてから次の用紙Pの第5画像G5が第5定着領域A5の直前の位置まで到達するまでの間、電圧Vが第2電圧V2に維持される。その後は、その後は、第1定着ヘッド71Aの制御と同様に、第2時刻t2において電圧Vを第2電圧V2から第3電圧V3に上げ、第4時刻t4において電圧Vを第3電圧V3から第1電圧V1に下げる。なお、画像G5,G6,G7についてもそれぞれ間隔が第3距離D3以下であるため、各画像G5,G6,G7間において、制御部100は、電圧Vを第3電圧V3に維持する。
次に、図9および図10を参照して各定着ヘッド71A〜71Eにかかる電圧Vが切り替わる様子を説明する。
図9(a),(b)に示すように、最初の用紙Pの先端が、第2定着領域A2および第4定着領域A4から上流側に第1距離D1だけ離れた位置に到達すると、第2定着ヘッド71Bおよび第4定着ヘッド71Dに印加される各電圧Vが、第1電圧V1から第2電圧V2に切り替わる。
図9(c)に示すように、最初の用紙Pの先端が、第1定着領域A1、第3定着領域A3および第5定着領域A5から上流側に第1距離D1だけ離れた位置に到達すると、第1定着ヘッド71Aおよび第5定着ヘッド71Eに印加される各電圧Vが、第1電圧V1から第2電圧V2に切り替わる。なお、最初の用紙Pには、第3定着ヘッド71Cに対応する画像がないため、第3定着ヘッド71Cに印加される電圧Vは、第1電圧V1のまま維持される。
図9(d)に示すように、第2定着ヘッド71Bに対応する第1画像G1が、第2定着領域A2から上流側に第2距離D2だけ離れた位置に到達すると、第2定着ヘッド71Bに印加される電圧Vが、第2電圧V2から第3電圧V3に切り替わる。図9(e)に示すように、第1定着ヘッド71Aに対応する第1画像G1が、第1定着領域A1から上流側に第2距離D2だけ離れた位置に到達すると、第1定着ヘッド71Aに印加される電圧Vが、第2電圧V2から第3電圧V3に切り替わる。
図9(f)に示すように、第4定着ヘッド71Dに対応する第4画像G4が、第4定着領域A4から上流側に第2距離D2だけ離れた位置に到達すると、第4定着ヘッド71Dに印加される電圧Vが、第2電圧V2から第3電圧V3に切り替わる。図9(g)に示すように、第5定着ヘッド71Eに対応する第4画像G4が、第5定着領域A5から上流側に第2距離D2だけ離れた位置に到達すると、第5定着ヘッド71Eに印加される電圧Vが、第2電圧V2から第3電圧V3に切り替わる。
図9(h)に示すように、第2画像G2が第2定着領域A2から抜けると、第2定着ヘッド71Bに印加される電圧Vが、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替わる。図10(a)に示すように、第2画像G2が第1定着領域A1から抜けると、第1定着ヘッド71Aに印加される電圧Vが、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替わる。
その後は、各定着ヘッド71A,71Bに対応する第3画像G3と各定着領域A1,A2との距離がそれぞれ前述した第2距離D2になったタイミングで、図10(b),(c)に示すように、各定着ヘッド71A,71Bに印加される各電圧Vが、それぞれ第2電圧V2から第3電圧V3に切り替わる。図10(d)に示すように、第3画像G3が第2定着領域A2を抜けると、第2定着ヘッド71Bに印加される電圧Vが、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替わる。つまり、次の用紙Pに第2定着領域A2に対応する画像がないため、第2定着ヘッド71Bに印加される電圧Vが、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替わる。同様にして、第1定着ヘッド71Aに印加される電圧Vも、図10(e)に示すように、第3画像G3が第1定着領域A1を抜けると、第3電圧V3から第1電圧V1に切り替わる。
図10(e)に示すように、第4定着ヘッド71Dに対応する第4画像G4が第4定着領域A4を抜けると、第4定着ヘッド71Dに印加される電圧Vが第3電圧V3から第2電圧V2に切り替わる。つまり、第4画像G4と次の用紙Pの先端との距離が第4距離D4以下であるため、第4定着ヘッド71Dに印加される電圧Vが第3電圧V3から第2電圧V2に切り替わる。同様にして、第5定着ヘッド71Eに印加される電圧Vも、図10(f)に示すように、第4画像G4が第5定着領域A5を抜けると、第3電圧V3から第2電圧V2に切り替わる。
なお、図8〜図10においては、最も幅広の第5用紙P5に対する各定着ヘッド71A〜71Eの制御を説明したが、前述した制御は、他の幅の用紙P1〜P4についても同様に行われる。ただし、他の幅の用紙P1〜P4について制御を行う場合には、その用紙の画像形成領域の幅から外れた定着ヘッド(例えば第4用紙P4に対する第5定着ヘッド71E)については、当該定着ヘッドに印加する電圧は、印刷制御中、第1電圧V1に維持される。
詳しくは、例えば第4用紙P4について印刷制御を行う場合には、第4用紙P4の画像形成領域の幅から外れた第5定着ヘッド71Eに対応する対象画像が存在しないので、第5定着ヘッド71Eについての図6に示す処理では、ステップS1においてNoと判定される。これにより、第5定着ヘッド71Eについては、電圧Vを変更するための各時刻t1〜t4が設定されないので、第5定着ヘッド71Eに印加する電圧は、印刷制御中、第1電圧V1に維持される。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
用紙Pの先端が定着領域A1〜A5に到達する前に、電圧を第1電圧V1から第2電圧V2に上げるので、第1電圧V1から第2電圧V2の切り替え時にノズルNから落ちる滴状の定着液Lが用紙Pに付着するのを抑えることができる。
第3電圧V3の印加前に第3電圧V3よりも小さな第2電圧V2とするので、例えば用紙Pの先端が定着領域A1〜A5に到達する前に第1電圧から一気に第3電圧に変更する形態に比べ、消費電力を抑えることができる。
画像間隔が長い各画像G2,G3間において、電圧を第3電圧V3から第2電圧V2に下げるので、例えば各画像G2,G3間で電圧を第3電圧V3に維持する形態に比べ、消費電力を抑えることができる。
画像間隔が短い各画像G1,G2間において、電圧を第3電圧V3に維持するので、第1画像G1の次の第2画像G2を定着する際の噴霧状態を安定させることができる。
最上流側の第3画像G3が第1定着領域A1を抜けた後に、電圧を第1電圧V1に下げるので、最初の用紙Pと次の用紙Pとの間で無駄な電力を消費するのを抑えることができる。
最上流側の第4画像G4が第5定着領域A5を抜けた後に、電圧を、第1電圧V1まで下げずに、第2電圧V2にするので、紙間において第5定着ヘッド71Eから液だれが生じるのを抑えることができる。
待機状態において算出した関係式に基づいて第2電圧V2を決定するので、第2電圧V2を環境に応じた適正な値に設定することができる。
幅方向に並べた複数の定着ヘッド71A〜71Eを個別に制御するので、例えば第3定着ヘッド71Cに対応する画像が用紙Pに存在しない場合には第3定着ヘッド71Cを非作動状態にすることができ、第3定着ヘッド71Cからの無駄な噴霧を抑えることができる。
用紙Pの幅の違いに応じて各定着ヘッド71A〜71Eを制御するので、例えば最も幅狭の第1用紙P1に対して印刷制御を行う場合には、第1用紙P1の画像形成領域に対応しない各定着ヘッド71B〜71Eを非作動状態として、各定着ヘッド71B〜71Eから定着液Lを無駄に噴霧するのを抑えることができる。
第1定着ヘッド71Aの幅を、第1用紙P1の幅よりも小さくし、他の定着ヘッド71B〜71Eを、対応する各用紙P2〜P5の幅外にはみ出さないような小さな幅で構成したので、各定着ヘッド71A〜71Eを小型化することができ、ひいては定着装置7を小型化することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、2つの画像間の距離が第3距離D3よりも大きい場合に、電圧Vを第2電圧V2(テイラーコーンが発生し始める電圧値)に変更したが、本発明はこれに限定されず、第3電圧V3よりも小さく、かつ、第1電圧V1よりも大きな値であれば、どのような電圧値であってもよい。
前記実施形態では、最上流側の第4画像G4の後端から次の用紙Pの先端までの距離が第4距離D4以下である場合には、最上流側の第4画像G4が第5定着領域A5を抜けた後に、電圧Vを、第2電圧V2に設定したが、本発明はこれに限定されず、第1電圧V1よりも大きな値であれば、どのような電圧値であってもよい。
前記実施形態では、印刷制御において、電圧Vを、待機状態の第1電圧V1から一旦第2電圧V2に上げた後、定着用の第3電圧V3に上げるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、用紙Pの先端が定着領域に到達する前において、電圧Vを、第1電圧V1から一気に第3電圧V3まで上げてもよい。
前記実施形態では、第1電極74を収容部73の内部に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えばノズルおよび収容部を金属等の導電性部材で形成して、ノズルまたは収容部に対して電圧を印加してもよい。なお、この場合には、電圧が印加されるノズルまたは収容部が、第1電極として機能する。また、この場合には、複数の導電性の収容部を互いに離間させたり、各収容部の間に絶縁性の部材を設けたりすることで、各収容部間での電荷の移動を遮断させるとよい。また、収容部を樹脂等の非導電性の部材で形成し、ノズルを金属等の導電性の部材で形成し、ノズルに電圧を印加するようにしてもよい。なお、この場合には、ノズルが第1電極として機能する。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、感光体として感光ドラム61を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
前記実施形態では、転写部材として転写ローラTRを例示したが、本発明はこれに限定されず、転写部材は、導電性ブラシや導電性板バネなど、転写バイアスが印加されるものであればよい。
前記実施形態では、圧力付与手段として、ポンプや減圧弁を有する加圧装置75を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、各ヘッド内の空気を加圧または減圧するシリンダなどであってもよい。
前記実施形態では、定着ヘッド71を5つの定着ヘッド71A〜71Eで構成したが、本発明はこれに限定されず、1つの定着ヘッドで構成してもよいし、2〜4つまたは6つ以上の定着ヘッドで構成してもよい。
前記実施形態では、ステップS2,S6の処理を、距離によって判断したが、本発明はこれに限定されず、時間によって判断してもよい。
前記実施形態では、待機状態において電圧を印加したが、本発明はこれに限定されず、待機状態において電圧を印加しなくてもよい。
前記実施形態では、説明の便宜上、定着領域A1〜A5を収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置としたが、本発明はこれに限定されず、定着領域は、収容部の下面よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。つまり、定着領域は、用紙上における噴霧される定着液の前後方向および左右方向に幅によって定義すればよい。