JP2017166514A - 自動変速機の手動変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバーの意図に合った変速を早期の段階で行えるようにして、自動変速機の手動変速モード時の変速応答性を向上させるとともに、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない変速(特に2段変速)が行われるのを抑制する。【解決手段】手動変速操作部材のシフトアップ操作(シフトダウン操作)の操作途中における操作速度が所定のシフトアップ判定値(所定のシフトダウン判定値)以上になったときに、自動変速機に対してシフトアップ(シフトダウン)の変速指令を出力し(ステップS7)、手動変速モード時でかつ自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいては、上記操作速度が上記シフトアップ判定値(上記シフトダウン判定値)以上になっても、シフトアップ操作(シフトダウン操作)の操作完了が検出されない限り、シフトアップ(シフトダウン)の変速指令を出力しない(ステップS3,S4,S6)。【選択図】図6
Description
本発明は、自動変速機の手動変速制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、例えば特許文献1に示されているように、車両に搭載される自動変速機として、該車両の走行状態に応じて変速段を自動的に切り換える自動変速モードと、該車両のドライバーの操作により変速段を手動で切り換える手動変速モードとを備えたものが知られている。特許文献1の自動変速機では、シフトレバーの操作位置として、自動変速モード選択用のDレンジ位置に加えて、手動変速モード選択用のMレンジ位置が設定され、シフトレバーがMレンジ位置にあるときに、車両のドライバーがシフトレバーに対して所定のシフトアップ操作(特許文献1では、車両後側にシフトする操作)を1回行うと、該シフトアップ操作の直前に設定された変速段から1段シフトアップすることができ、シフトレバーに対して所定のシフトダウン操作(特許文献1では、車両前側にシフトする操作)を1回行うと、該操作の直前に設定された変速段から1段シフトダウンすることができるようになっている。
また、特許文献1では、ステアリングホイールに、シフトアップ操作可能なシフトアップ操作部材と、シフトダウン操作可能なシフトダウン操作部材とが設けられており、これらシフトアップ操作部材及びシフトダウン操作部材の操作により、シフトレバーをDレンジ位置にしたまま、自動変速モードから手動変速モードに一時的に切り換えられて、変速段を手動で切り換えることが可能になっている。
上記特許文献1のように、シフトレバーや、ステアリングホイールに設けられた手動変速操作部材により、自動変速機の変速段を手動で切り換えるようにする場合、ドライバーによるシフトアップ操作やシフトダウン操作の操作完了位置に設けられた電気スイッチがONとなることで、コントローラが、シフトレバーによるシフトアップ操作又はシフトダウン操作がされたことを検出して、この検出により、自動変速機に対して変速段のシフトアップ又はシフトダウンの変速指令を出力し、これにより、自動変速機において、変速機構でのシフトアップ動作又はシフトダウン動作が開始することになる。
ここで、自動変速機の手動変速モード時の変速応答性を出来る限り向上させる観点からは、上記のような、ドライバーがシフトアップ操作やシフトダウン操作を完了したときに自動変速機に対して変速段のシフトアップ又はシフトダウンの変速指令を出力する構成に代えて、シフトアップ操作やシフトダウン操作の操作途中の段階で、自動変速機に対して変速指令を出力する構成を採用することが考えられる。
しかし、この場合、ドライバーの意図に反して変速を行ってしまう可能性があり、単純に、操作途中の段階で自動変速機に対して変速指令を出力する構成を採用することはできない。
そこで、ドライバーによる上記手動変速操作部材のシフトアップ操作及びシフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出して、その操作速度が所定の判定値以上であれば、ドライバーが変速する意図があると考えられるので、上記操作速度が所定の判定値以上になったときに、シフトアップ又はシフトダウンの変速指令を出力することで、ドライバーの意図に合った変速を、変速操作の途中という早期の段階で行うことができるようになる。
ところで、自動変速機が手動変速モードである場合には、ドライバーがシフトレバー等の手動変速操作部材を操作しなければ、基本的には、ドライバーの操作により最後に変速されたときの変速段(自動変速モードから手動変速モードに切り換えられた直後では、該切り換え時の変速段である)が維持されるが、この変速段を維持することが困難な状況になったときには、変速段が自動でシフトアップ又はシフトダウンされる場合がある。例えば、上記変速段をそのまま維持しておいたのでは、自動変速機に連結されているエンジンの回転数が許容上限回転数よりも高い回転数か、又は許容下限回転数よりも低い回転数で該エンジンが運転される場合には、上記変速段を維持することが困難であるとして、変速段が自動でシフトアップ又はシフトダウンされる。
ここで、手動変速モード時でかつ変速段の上記自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときに、ドライバーがシフトアップ操作やシフトダウン操作したときには、変速段は、自動のシフトアップ又はシフトダウンに加えて、更にドライバーの操作によりシフトアップ又はシフトダウンされることになる。特に自動のシフトアップ中にドライバーがシフトアップ操作したときや、自動のシフトダウン中にドライバーがシフトダウン操作したときには、2段シフトアップ又は2段シフトダウン(以下、これらを2段変速ともいう)が行われることになる。このような2段変速がドライバーの意図通りに行われるのであれば問題はないが、上記のように自動変速機の手動変速モード時の変速応答性を出来る限り向上させる観点から操作途中の段階で変速指令を出力する構成を採用した場合において、上記操作速度が上記所定の判定値以上であったとしても、ドライバーが変速する意図が確実にあるとは必ずしも言えず、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない変速(特に2段変速)が行われる可能性がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドライバーの意図に合った変速を、変速操作の途中という早期の段階で行えるようにして、自動変速機の手動変速モード時の変速応答性を出来る限り向上させるとともに、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない変速(特に2段変速)が行われるのを抑制しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、車両に搭載されかつ手動変速モードを有する自動変速機の手動変速制御装置を対象として、上記手動変速モード時に上記車両のドライバーにより操作初期位置から操作完了位置まで所定のシフトアップ操作又は所定のシフトダウン操作がされて、上記自動変速機の変速段を、該操作の直前に設定された変速段からシフトアップ又はシフトダウンさせるための手動変速操作部材と、上記ドライバーによる上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出するとともに、該シフトアップ操作及び該シフトダウン操作の操作完了を検出する操作検出手段と、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が所定のシフトアップ判定値以上になったときには、上記自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトアップの変速指令を出力するとともに、上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が所定のシフトダウン判定値以上になったときには、上記自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトダウンの変速指令を出力する手動変速制御手段とを備え、上記手動変速制御手段は、上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の、上記手動変速操作部材の操作によらない自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいては、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされている、という構成とした。
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされている、という構成とした。
上記の構成により、手動変速操作部材のシフトアップ操作の操作途中における操作速度が所定のシフトアップ判定値以上になったときに、自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトアップの変速指令を出力するとともに、シフトダウン操作の操作途中における操作速度が所定のシフトダウン判定値以上になったときに、自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトダウンの変速指令を出力するので、手動操作による変速を、変速操作の途中という早期の段階で行うことができるとともに、ドライバーが変速する意図がなくて、無意識に又は意識的に手動変速操作部材を僅かに操作した程度では、誤って変速するようなことはない。また、手動変速モード時でかつ自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいては、手動変速操作部材のシフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、操作検出手段により手動変速操作部材のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない、及び/又は、手動変速操作部材のシフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、操作検出手段により手動変速操作部材のシフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しないので、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない変速(特に2段変速)が行われるのを抑制することができる。一方、手動変速操作部材のシフトアップ操作又はシフトダウン操作が完了したときには、ドライバーは意識的に変速操作していることになるので、手動操作による変速を行っても問題はない。
上記自動変速機の手動変速制御装置において、上記手動変速制御手段は、
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトアップ中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトダウン中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされている、ことが好ましい。
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトアップ中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトダウン中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされている、ことが好ましい。
このことにより、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない、2段シフトアップ又は2段シフトダウンが行われるのを抑制することができる。
上記自動変速機の手動変速制御装置の一実施形態において、上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトアップは、上記手動変速モード時に、上記自動変速機に連結されているエンジンの回転数が許容上限回転数よりも高い回転数で該エンジンが運転されるのを回避するためのシフトアップである。
このことで、手動変速モードであっても、エンジンの回転数が許容上限回転数よりも高くなるのを防止して、エンジンを保護することができる。
上記自動変速機の手動変速制御装置の別の実施形態において、上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトダウンは、上記手動変速モード時に、上記自動変速機に連結されているエンジンの回転数が許容下限回転数よりも低い回転数で該エンジンが運転されるのを回避するためのシフトダウンである。
これにより、手動変速モードであっても、エンジンの回転数が許容下限回転数よりも低くなるのを防止して、エンジンが停止するのを防止することができる。
以上説明したように、本発明の自動変速機の手動変速制御装置によると、ドライバーの意図に合った変速を、変速操作の途中という早期の段階で行うことができて、自動変速機の手動変速モード時の変速応答性を出来る限り向上させることができ、また、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない変速(特に2段変速)が行われるのを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機3の手動変速制御装置が搭載された車両1(ここでは、自動車)の前側部分を示す。この車両1の前部のエンジンルーム内には、エンジン2と自動変速機3とで構成されたパワーユニット4が搭載されている。エンジン2の出力軸(クランク軸)は、自動変速機3の入力軸と連結されている。また、上記エンジンルームの車両後側に位置する車室内の前部には、運転席シート7と助手席シート8とが車幅方向に並んで設けられている。
運転席シート7及び助手席シート8の車両前側(車室の車両前側端)には、図示を省略するインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設けられ、このインストルメントパネルにおける運転席シート7の車両前側の部分に、ステアリングシャフト11を回転自在に支持するステアリングコラム(図示せず)が設けられている。このステアリングシャフトの車両後側の端部に、車両1のドライバー(以下、単にドライバーという)が操作するステアリングホイール12が設けられている。また、上記インストルメントパネルにおける上記ステアリングコラムの上側の部分には、メータユニット14が配設されている。
運転席シート7と助手席シート8との間には、自動変速機3の変速レンジを切り換えるためのシフトレバー21が設けられている。このシフトレバー21の上端部には、ドライバーが把持するシフトノブ21aが設けられている(図2参照)。
シフトレバー21は、図2及び図3に示すように、ガイド部材22のガイド孔22aによって画定された概略L字状の操作経路に沿って操作されるようになっており、その操作経路上に、Pレンジ位置、Rレンジ位置、Nレンジ位置、Dレンジ位置及びMレンジ位置が設けられている。Pレンジ位置、Rレンジ位置、Nレンジ位置及びDレンジ位置は、車両前側からこの順に車両前後方向に並んでいる。Mレンジ位置は、Dレンジ位置に対して運転席シート7側の側方に位置しており、シフトレバー21の車幅方向の操作により、Dレンジ位置とMレンジ位置(後述の中立位置)とに切り換えることができるようになっている。
シフトレバー21がDレンジ位置にあるときには、自動変速機3の変速段が、車両1の走行状態に応じて自動的に切り換わる自動変速モードに設定される。一方、シフトレバー21がMレンジ位置にあるときには、自動変速機3の変速段がドライバーの手動操作によって切り換わる手動変速モードに設定される。
上記手動変速モードでは、ドライバーがシフトレバー21を操作しなければ、基本的には、Mレンジ位置でドライバーの操作により最後に変速されたときの変速段(Dレンジ位置からMレンジ位置に切り換えられた直後では、該切り換え時の変速段である)が維持される。但し、この変速段を維持することが困難な状況になったときには、後述のコントロールユニット31によって変速段が自動でシフトアップ又はシフトダウンされる場合がある。本実施形態では、上記変速段をそのまま維持しておいたのでは、エンジン2の回転数が許容上限回転数よりも高い回転数でエンジン2が運転されることになる場合に、それを回避するために自動でシフトアップする。また、上記変速段をそのまま維持しておいたのでは、エンジン2の回転数が許容下限回転数よりも低い回転数でエンジン2が運転されることになる場合に、それを回避するために自動でシフトダウンする。
Mレンジ位置は、車両前後方向に長いMレンジ操作領域22bを有し、ドライバーは、該Mレンジ操作領域22bの中央にある中立位置から車両前側又は後側にシフトレバー21を操作することが可能になっている。シフトレバー21は、Mレンジ操作領域22bにおける上記中立位置から外れた位置にあるときには、不図示の付勢手段によって該中立位置に戻るように付勢されており、これにより、シフトレバー21は、Mレンジ位置(Mレンジ操作領域22b)でドライバーにより操作されていない状態では、常に上記中立位置に位置することになる。
本実施形態では、ドライバーがシフトレバー21を上記中立位置から車両後側に操作することで、自動変速機3の変速段を、該操作の直前に設定された変速段(現時点の変速段)からシフトアップすることが可能であり、ドライバーがシフトレバー21を上記中立位置から車両前側に操作することで、自動変速機3の変速段を、該操作の直前に設定された変速段(現時点の変速段)からシフトダウンすることが可能になっている。すなわち、シフトレバー21は、手動変速操作部材に相当し、シフトレバー21のMレンジ操作領域22bでの上記中立位置から後述のシフトアップ操作完了位置までの車両後側への操作は、所定のシフトアップ操作に相当し、上記中立位置から後述のシフトダウン操作完了位置までの車両前側への操作は、所定のシフトダウン操作に相当する。また、上記中立位置は、シフトアップ操作の操作初期位置(以下、シフトアップ操作初期位置という)であるとともに、シフトダウン操作の操作初期位置(以下、シフトダウン操作初期位置という)でもある。
図4は、シフトレバー21がMレンジ位置(Mレンジ操作領域22b)にあるときの、図3のIV−IV線に沿って切断したときの概略の断面図である。シフトレバー21は、略球状のピボット部21bを介して、不図示の固定部材に揺動自在に支持されていて、この揺動により、上記操作経路に沿って操作可能に構成されているとともに、Mレンジ操作領域22bにおいて上記中立位置から車両前側又は後側に操作可能になっている。
ガイド部材22におけるMレンジ操作領域22bの車両前側及び後側には、該Mレンジ操作領域22bの前端及び後端をそれぞれ画定する前側ストッパ部材23及び後側ストッパ部材24がそれぞれ設けられている。ドライバーの上記シフトアップ操作は、シフトレバー21が後側ストッパ部材24に当接したときに完了し、上記シフトダウン操作は、シフトレバー21が前側ストッパ部材23に当接したときに完了する。すなわち、シフトレバー21が後側ストッパ部材24に当接する位置が、シフトアップ操作の操作完了位置(以下、シフトアップ操作完了位置という)であり、シフトレバー21が前側ストッパ部材23に当接する位置が、シフトダウン操作完了位置の操作完了位置(以下、シフトダウン操作完了位置という)である。
本実施形態では、Mレンジ操作領域22bでのシフトレバー21の上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作方向の位置を検出するポジションセンサ27が設けられている。このポジションセンサ27は、例えば、可変抵抗を用いて、シフトレバー21の位置に対応した抵抗での出力電圧により、シフトレバー21の位置を検出する。ポジションセンサ27は、このような可変抵抗式に限らず、光学式や静電容量式等といった種々のものを用いることができる。ポジションセンサ27により、シフトレバー21が上記シフトアップ操作又は上記シフトダウン操作がされたことを検出することができるとともに、シフトレバー21が、上記中立位置や、シフトアップ操作完了位置又はシフトダウン操作完了位置(後側ストッパ部材24又は前側ストッパ部材23に当接する位置)に位置することを検出することができる。さらに、ポジションセンサ27により、シフトレバー21の上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作方向の位置を検出することができるとともに、その位置の変化から、上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出することも可能である。このことで、ポジションセンサ27は、上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出するとともに、該シフトアップ操作及び該シフトダウン操作の操作完了を検出する操作検出手段を構成することになる。
メータユニット14には、車速計やエンジン回転計等が設けられているともに、シフトレバー21が位置するレンジ位置が表示される表示部が設けられている。この表示部は、シフトレバー21がMレンジ位置にあるときには、自動変速機1の現時点の変速段を表示するようになっており、この表示により、ドライバーは、現時点の変速段を確認することができる。
次に、自動変速機3の変速段を制御する制御系の構成について、図5により説明する。
車両1には、自動変速機3の変速段を制御するコントロールユニット31が設けられている。このコントロールユニット31は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
コントロールユニット31には、車両1の車速を検出する車速センサ32からの信号と、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ33からの信号と、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数センサ35からの信号と、シフトレバー21のレンジ位置を検出するレンジ位置センサ36からの信号と、上記ポジションセンサ27からの信号とが入力されるようになっている。
そして、コントロールユニット31は、上記入力した信号に基づいて、自動変速機3に対して変速指令を出力するとともに、メータユニット14(上記表示部)に対して表示指令を出力する。
すなわち、コントロールユニット31は、シフトレバー21がDレンジ位置にあるとき(自動変速モード時)には、自動変速機3の変速段を、車速センサ32からの信号とアクセル開度センサ33からの信号とに応じて設定して、該設定した変速段に対応した変速指令を自動変速機3に出力する。この変速指令を受けた自動変速機3においては、該自動変速機3の変速機構における複数の摩擦締結要素(クラッチ及びブレーキ)の少なくとも1つが、油圧駆動されて、やがて、上記複数の摩擦締結要素が、上記設定された変速段に対応した締結状態又は非締結状態になる。
また、コントロールユニット31は、シフトレバー21がMレンジ位置にあるとき(手動変速モード時)には、自動変速機3の変速段を、基本的には、ポジションセンサ27からの信号に応じて設定して、該設定した変速段に対応した変速指令を自動変速機3に出力するとともに、該設定した変速段に対応する表示指令をメータユニット14(上記表示部)に出力する。
具体的には、コントロールユニット31は、シフトレバー21がMレンジ位置にあるときに、ポジションセンサ27からの信号により、ドライバーによるシフトレバー21の上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出する。そして、コントロールユニット31は、シフトレバー21の上記シフトアップ操作のシフトアップ操作初期位置からシフトアップ操作完了位置までの操作途中における操作速度が、所定のシフトアップ判定値以上になったときには、自動変速機3の変速段を、該シフトアップ操作の直前に設定された変速段から1段シフトアップした変速段に設定して、自動変速機3に対して、該設定した変速段に変更させる変速指令を出力する。また、コントロールユニット31は、シフトレバー21の上記シフトダウン操作のシフトダウン操作初期位置からシフトダウン操作完了位置までの操作途中における操作速度が、所定のシフトダウン判定値以上になったときには、自動変速機3の変速段を、該シフトダウン操作の直前に設定された変速段から1段シフトダウンした変速段に設定して、自動変速機3に対して、該設定した変速段に変更させる変速指令を出力する。
すなわち、ドライバーが変速する意図がある場合には、通常、シフトレバー21が上記中立位置から操作途中の位置に至るまでは、車両後側又は前側へ行くに従って、上記操作速度が徐々に増大して、それ以降はその操作速度が維持されるか又は更に増大し続ける一方、ドライバーが変速する意図がなくて、無意識に又は意識的にシフトレバー21を僅かに操作した程度では、上記操作速度が遅いままである。したがって、上記シフトアップ判定値及び上記シフトダウン判定値を、ドライバーが変速する意図があるときの操作により生じるような操作速度(以下、基本値という)に予め設定しておけば、上記のような手動変速モード時の制御により、手動操作による変速を、変速操作の途中という早期の段階で行うことができるようになる。このように、コントロールユニット31は手動変速制御手段を構成することになる。
コントロールユニット31は、シフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値よりも小さい状態で、ポジションセンサ27からの信号により、シフトレバー21がシフトアップ操作完了位置に達したことが検出されたときにも、自動変速機3の変速段を、該シフトアップ操作の直前に設定された変速段から1段シフトアップした変速段に設定して、自動変速機3に対して、該設定した変速段に変更させる変速指令を出力する。また、コントロールユニット31は、シフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値よりも小さい状態で、ポジションセンサ27からの信号により、シフトレバー21がシフトダウン操作完了位置に達したことが検出されたときにも、自動変速機3の変速段を、該シフトダウン操作の直前に設定された変速段から1段シフトダウンした変速段に設定して、自動変速機3に対して、該設定した変速段に変更させる変速指令を出力する。
コントロールユニット31は、上記手動変速モード時であっても、上記のように、エンジン2の回転数が許容上限回転数よりも高い回転数でエンジン2が運転されるのを回避するため、及び、エンジン2の回転数が許容下限回転数よりも低い回転数でエンジン2が運転されるのを回避するために、エンジン回転数センサ35からの信号によるエンジン2の回転数が許容上限回転数よりも高くなった場合には、自動変速機3に対して1段シフトアップを行わせる変速指令を出力し、エンジン2の回転数が許容下限回転数よりも低くなった場合には、自動変速機3に対して1段シフトダウンを行わせる変速指令を出力し、これにより、上記手動変速モード時であっても、自動変速機3の変速段が、シフトレバー21の操作によらないで自動でシフトアップ又はシフトダウンする。
尚、シフトレバー21がDレンジ位置からMレンジ位置に切り換えたときに、自動変速機3の変速段を、Dレンジ位置での該切り換え時の変速段のままとする代わりに、Dレンジ位置での該切り換え時の変速段から自動で1段シフトダウンするように構成することが可能であり、このような構成の場合、コントロールユニット31は、シフトレバー21のDレンジ位置からMレンジ位置への切り換え時に、シフトレバー21の操作によらない自動のシフトダウンの変速指令を出力することになる。
コントロールユニット31は、このようなシフトレバー21の操作によらない自動のシフトアップ又はシフトダウンの変速指令を出力したときには、同時にメータユニット14(上記表示部)に対して表示指令を出力し、これにより、上記自動のシフトアップ又はシフトダウン中であっても、上記表示部に自動のシフトアップ又はシフトダウン後の変速段が表示される。
そして、コントロールユニット31は、上記手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の上記自動のシフトアップ中であるときにおいては、シフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作完了(シフトレバー21がシフトアップ操作完了位置に達したこと)が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しないとともに、上記手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の上記自動のシフトダウン中であるときにおいては、シフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作完了(シフトレバー21がシフトダウン操作完了位置に達したこと)が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しないように構成されている。
コントロールユニット31は、上記自動のシフトアップ又はシフトダウンの変速指令を出力してから、予め設定された設定時間が経過するまでを自動のシフトアップ又はシフトダウン中と判断している。上記設定時間は、自動変速機3の変速機構における上記摩擦締結要素の締結/非締結状態の切り換えが完全に終了するような時間に設定されている。
上記手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の上記自動のシフトアップ中であるときにおいて、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されたときには、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令が出力され、これを受けて、自動変速機3においては、変速段の上記自動のシフトアップの終了直後に、更にもう1段のシフトアップがなされることになる。また、上記手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の上記自動のシフトダウン中であるときにおいて、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されたときには、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令が出力され、これを受けて、自動変速機3においては、変速段の上記自動のシフトダウンの終了直後に、更にもう1段のシフトダウンがなされることになる。
ここで、上記コントロールユニット31による、手動変速モード時の制御(手動変速制御)について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1で、各種センサからの信号を読み込み、次のステップS2で、ポジションセンサ27からの信号により、ドライバーによるシフトレバー21のシフトアップ操作又はシフトダウン操作があるか否かを判定する。このステップS2の判定がNOであるときには、そのままリターンする一方、ステップS2の判定がYESであるときには、ステップS3に進む。
ステップS3では、シフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が、シフトアップ判定値以上になったか、又は、シフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が、シフトダウン判定値以上になったか否かを判定する。このステップS3の判定がNOであるときには、ステップS6に進む一方、ステップS3の判定がYESであるときには、ステップS4に進む。
ステップS4では、自動変速中(自動のシフトアップ又はシフトダウン中)であるか否かを判定する。このステップS4の判定がNOであるときには、ステップS7に進む一方、ステップS4の判定がYESであるときには、ステップS5に進む。
ステップS5では、自動変速と手動変速とが同一方向であるか否か、すなわち、自動のシフトアップ中にシフトアップ操作されたか、又は、自動のシフトダウン中にシフトダウン操作されたか否かを判定する。このステップS5の判定がNOであるときには、ステップS7に進む一方、ステップS5の判定がYESであるときには、ステップS6に進む。
ステップS6では、ドライバーによる上記シフトアップ操作又は上記シフトダウン操作が完了したか(シフトレバー21がシフトアップ操作完了位置又はシフトダウン操作完了位置に達したか)否かを判定する。このステップS6の判定がNOであるときには、そのままリターンする一方、ステップS6の判定がYESであるときには、ステップS7に進む。
ステップS7では、自動変速機3の変速段を、現時点の変速段(自動変速中であるときには、自動変速後の変速段)から1段シフトアップ又は1段シフトダウンした変速段に設定して、自動変速機3に対して、該設定した変速段に変更させる変速指令を出力するとともに、メータユニット14(上記表示部)に対して、該設定した変速段に対応する表示指令を出力し、しかる後にリターンする。
したがって、本実施形態では、コントロールユニット31が、シフトレバー21のシフトアップ操作の操作途中における操作速度が所定のシフトアップ判定値以上になったときには、自動変速機3に対して該自動変速機3の変速段のシフトアップの変速指令を出力するとともに、シフトレバー21のシフトダウン操作の操作途中における操作速度が所定のシフトダウン判定値以上になったときには、自動変速機3に対して該自動変速機3の変速段のシフトダウンの変速指令を出力するように構成されているので、ドライバーの意図に合った変速を、変速操作の途中という早期の段階で行うことができて、自動変速機3の手動変速モード時の変速応答性を出来る限り向上させることができる。
また、本実施形態では、コントロールユニット31が、手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の自動のシフトアップ中であるときにおいては、シフトレバー21のシフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しないとともに、手動変速モード時でかつ自動変速機3の変速段の自動のシフトダウン中であるときにおいては、シフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しないように構成されているので、自動のシフトアップ又はシフトダウンに伴って、ドライバーの意図しない2段変速が行われるのを抑制することができる。すなわち、上記操作速度が上記シフトアップ判定値以上又は上記シフトダウン判定値以上であったとしても、ドライバーが変速する意図が確実にあるとは必ずしも言えず、ドライバーの意図しない2段変速が行われる可能性があるが、シフトアップ操作又はシフトダウン操作が完了するまでは手動操作による変速を行わないようにすることで、ドライバーの意図しない2段変速が行われるのを抑制することができる。一方、シフトレバー21のシフトアップ操作又はシフトダウン操作が完了したときには、ドライバーは意識的に変速操作していることになるので、2段変速が行われても問題はない。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、自動のシフトアップ中であるときにおいては、シフトアップ操作の操作途中における操作速度がシフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しないとともに、自動のシフトダウン中であるときにおいては、シフトレバー21のシフトダウン操作の操作途中における操作速度がシフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しないようにしたが、自動のシフトアップ中であるときにおいて、シフトアップ操作の操作途中における操作速度がシフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しないことに加えて、シフトダウン操作の操作途中における操作速度がシフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しないようにしてもよい。また、同様に、自動のシフトダウン中であるときにおいて、シフトダウン操作の操作途中における操作速度がシフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しないことに加えて、シフトアップ操作の操作途中における操作速度がシフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しないようにしてもよい。
また、自動のシフトアップ中であるときにおいて、シフトアップ操作の操作途中における操作速度がシフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、自動のシフトダウン中であるときにおいて、シフトレバー21のシフトダウン操作の操作途中における操作速度がシフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しない構成のいずれか一方の構成としてもよい。
或いは、自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいて、シフトアップ操作の操作途中における操作速度がシフトアップ判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいて、シフトダウン操作の操作途中における操作速度がシフトダウン判定値以上になっても、ポジションセンサ27によりシフトレバー21のシフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、自動変速機3に対してシフトダウンの変速指令を出力しない構成のいずれか一方の構成としてもよい。
さらに、上記実施形態では、ドライバーによるシフトレバー21のシフトアップ操作及びシフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出するとともに、該シフトアップ操作及び該シフトダウン操作の操作完了を検出するようにしたが、ステアリングホイール12に、手動変速操作部材が設けられている場合には、その手動変速操作部材のシフトアップ操作及びシフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出しかつ該シフトアップ操作及び該シフトダウン操作の操作完了を検出して、コントロールユニット31が、該シフトアップ操作の操作速度が所定のシフトアップ判定値以上になったときに、自動変速機3に対して該自動変速機3の変速段のシフトアップの変速指令を出力するとともに、該シフトダウン操作の操作途中における操作速度が所定のシフトダウン判定値以上になったときに、自動変速機3に対して該自動変速機3の変速段のシフトダウンの変速指令を出力するようにすることも可能である。そして、上記手動変速操作部材の操作によらない自動のシフトアップ又はシフトダウン中における手動変速制御についても、上記実施形態と同様にすることが可能である。
尚、ステアリングホイール12の上記手動変速操作部材は、シフトレバーがMレンジ位置にあるときに、シフトレバー21の代わりに、自動変速機3の変速段を手動で切り換えることを可能にするものであることに加えて、シフトレバーがDレンジ位置にあるときにも、変速段を手動で切り換えることを可能にするものであり、シフトレバーがDレンジ位置にあるときにおいては、手動変速操作部材の操作により、自動変速モードから手動変速モードに一時的に切り換えられ、手動変速操作部材の操作を止めてから所定時間が経過すると、自動変速モードに切り換わる。
ここで、ステアリングホイール12に設けられる上記手動変速操作部材の一例を、図7及び図8により説明する。
ステアリングホイール12は、該ステアリングホイール12の中央に位置しかつステアリングシャフト11に連結固定されたパドル部12aと、ドライバーがその手で握るホイール部12bと、パドル部12aとホイール部12bとを接続する複数のスポークとで構成されている。本例では、これら複数のスポークは、車両1が直進状態にあるときにステアリングホイール12の正面から見て、パドル部12aから車両左側に延びる左スポーク12c、車両右側に延びる右スポーク12d、及び、下側に延びる下スポーク12eである。そして、左スポーク12c及び右スポーク12dの車両前側の面に、手動変速操作部材18,19がそれぞれ設けられている。これら手動変速操作部材18,19は、ホイール部12bを握ったドライバーの左右の手の親指以外の指の近傍に位置する操作部18a,19aをそれぞれ有している。各操作部18a,19aは、ドライバーの手の親指以外の全ての指で操作できるように、上下方向に延びている。各操作部18a,19aは、支持部18b,19bにより左スポーク12c及び右スポーク12dに、車両前後方向に揺動可能にそれぞれ支持されていて、ドライバーが親指以外の指を該操作部18a,19aの車両前側の面に当接させた状態で車両後側(図8の矢印参照)に押圧する(所定のシフトアップ操作又は所定のシフトダウン操作する)ことで、シフトアップ操作又はシフトダウン操作が可能になっている。本例では、車両左側の手動変速操作部材18は、シフトダウン操作用の操作部材であり、車両右側の手動変速操作部材19は、シフトアップ操作用の操作部材である。各操作部18a,19aの揺動範囲は制限されており、各操作部18a,19aは、操作初期位置と操作完了位置との間で移動し、上記押圧により操作初期位置から操作完了位置へ移動することになる。各操作部18a,19aは、操作初期位置に戻るように付勢されており、操作されていない状態では、常に操作初期位置に位置する。また、左スポーク12c及び右スポーク12dには、各操作部18a,19aの操作方向の位置(揺動位置)を検出する、ポジションセンサ27と同様のポジションセンサ28,29がそれぞれ設けられ、ポジションセンサ28により、操作部18aのシフトダウン操作の操作方向の位置(シフトダウン操作初期位置及びシフトダウン操作完了位置を含む)や、操作部18aのシフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出することができ、また、ポジションセンサ29により、操作部19aのシフトアップ操作の操作方向の位置(シフトアップ操作初期位置及びシフトアップ操作完了位置を含む)や、操作部19aのシフトアップ操作の操作途中における操作速度を検出することができる。したがって、ポジションセンサ28,29は、ポジションセンサ27と同様に、操作検出手段を構成することになる。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、車両の走行状態に応じて変速段を自動的に切り換える自動変速モードと、該車両のドライバーの操作により変速段を手動で切り換える手動変速モードとを備えた自動変速機の手動変速制御装置に有用である。
1 車両
3 自動変速機
18 ステアリングホイールに設けられた手動変速操作部材
19 ステアリングホイールに設けられた手動変速操作部材
21 シフトレバー(手動変速操作部材)
27 ポジションセンサ(操作検出手段)
28 ポジションセンサ(操作検出手段)
29 ポジションセンサ(操作検出手段)
31 コントロールユニット(手動変速制御手段)
3 自動変速機
18 ステアリングホイールに設けられた手動変速操作部材
19 ステアリングホイールに設けられた手動変速操作部材
21 シフトレバー(手動変速操作部材)
27 ポジションセンサ(操作検出手段)
28 ポジションセンサ(操作検出手段)
29 ポジションセンサ(操作検出手段)
31 コントロールユニット(手動変速制御手段)
Claims (4)
- 車両に搭載されかつ手動変速モードを有する自動変速機の手動変速制御装置であって、
上記手動変速モード時に上記車両のドライバーにより操作初期位置から操作完了位置まで所定のシフトアップ操作又は所定のシフトダウン操作がされて、上記自動変速機の変速段を、該操作の直前に設定された変速段からシフトアップ又はシフトダウンさせるための手動変速操作部材と、
上記ドライバーによる上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作及び上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度を検出するとともに、該シフトアップ操作及び該シフトダウン操作の操作完了を検出する操作検出手段と、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が所定のシフトアップ判定値以上になったときには、上記自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトアップの変速指令を出力するとともに、上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が所定のシフトダウン判定値以上になったときには、上記自動変速機に対して該自動変速機の変速段のシフトダウンの変速指令を出力する手動変速制御手段とを備え、
上記手動変速制御手段は、上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の、上記手動変速操作部材の操作によらない自動のシフトアップ又はシフトダウン中であるときにおいては、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされていることを特徴とする自動変速機の手動変速制御装置。 - 請求項1記載の自動変速機の手動変速制御装置において、
上記手動変速制御手段は、
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトアップ中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作途中における操作速度が上記シフトアップ判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトアップ操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトアップの変速指令を出力しない構成、及び、
上記手動変速モード時でかつ上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトダウン中であるときにおいては、上記操作検出手段により検出された上記手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作途中における操作速度が上記シフトダウン判定値以上になっても、上記操作検出手段により該手動変速操作部材の上記シフトダウン操作の操作完了が検出されない限り、上記自動変速機に対して上記シフトダウンの変速指令を出力しない構成
の少なくとも一方の構成とされていることを特徴とする自動変速機の手動変速制御装置。 - 請求項1又は2記載の自動変速機の手動変速制御装置において、
上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトアップは、上記手動変速モード時に、上記自動変速機に連結されているエンジンの回転数が許容上限回転数よりも高い回転数で該エンジンが運転されるのを回避するためのシフトアップであることを特徴とする自動変速機の手動変速制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機の手動変速制御装置において、
上記自動変速機の変速段の上記自動のシフトダウンは、上記手動変速モード時に、上記自動変速機に連結されているエンジンの回転数が許容下限回転数よりも低い回転数で該エンジンが運転されるのを回避するためのシフトダウンであることを特徴とする自動変速機の手動変速制御装置。
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-
2016
- 2016-03-14 JP JP2016049681A patent/JP6260637B2/ja active Active
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