JP2017165856A - 防火木材用接着剤及び合板並びに合板の製造方法 - Google Patents

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雅也 中井
智也 藤田
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智也 藤田
万代 修作
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修作 万代
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Abstract

【課題】防火木材に対して塗工性及び接着性に優れる防火木材用接着剤を提供する。
【解決手段】変性量が0.1〜20モル%である変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)と多価イソシアネート化合物(B)を含有する防火木材用接着剤。前記変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂であり、1,2−ジオール構造を有し、エチレン変性のポリビニルアルコール系樹脂である防火木材用接着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂という。)と多価イソシアネート化合物を含有する防火木材用接着剤に関するものであり、更に詳しくは、防火木材に対する接着性に優れる防火木材用接着剤に関するものである。
木材は、感触や香りが良く、また、外気の温度や湿度が急激に変化したとしても、内部まで伝わりにくく、調温性、調湿性にも優れている。このようなことから、木材は、建築物や家具、玩具などの材料として広く利用されている。
しかしながら、木材は、燃焼するという短所があり、かかる短所を改善するために、木材にジシアンジアミドやリン酸、ホウ酸などの防火薬剤を含浸させ、不燃化、難燃化した防火木材が用いられている。
ところが、防火木材は、防火薬剤を含有しているため、従来から用いられているような木材用接着剤、例えば、酢酸ビニル系エマルジョンや尿素メラミン系化合物では、接着性が低下したり、塗工性が低下したりして、接着が困難であった。
かかる問題を解決するために、水性高分子イソシアネート系接着剤又はアクリル樹脂系接着剤によって接着することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、フェノール樹脂を接着剤として用いた防火木材の加工方法も提案されており、この場合は、フェノール樹脂と防火薬剤との硬化促進が起こり、塗工性が低下するため、シランカップリング剤で木材をプライマー処理し、その上にフェノール樹脂を含有する接着剤を塗布することとなる(例えば、特許文献2参照。)。
更に、木材の貼り合わせ面に繊維系多孔質材料を貼り合わせることも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平02−277601号公報 特開2005−288956号公報 特開2007−168410号公報
しかしながら、特許文献1に開示の接着剤では、水性高分子としては、一般的にPVA系樹脂が用いられており、PVA系樹脂はホウ酸との反応性が高く、塗工する際には硬化が起こり、塗工が困難になるといった問題がある。
さらに、特許文献2及び3に開示の接着方法では、塗工性が悪いことを解決するために接着工程に余分な工程が入り、操作が煩雑となり、不効率で生産性に劣るものであった。
そこで、本発明は、このような背景下において、防火木材に対して塗工性及び接着性に優れる防火木材用接着剤を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、防火木材用の接着剤として、特定変性量の変性PVA系樹脂と多価イソシアネート化合物を含有させることで、防火木材に対して塗工性及び接着性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、変性量が0.1〜20モル%である変性PVA系樹脂(A)と多価イソシアネート化合物(B)を含有する防火木材用接着剤に関するものである。
また、本発明では、前記防火木材用接着剤を用いてなる合板、更には合板の製造方法も提供するものである。
本発明の防火木材用接着剤は、ホウ酸などの防火薬剤を含有する木材であっても、塗工中にゲル化することなく、塗工性に優れ、更には防火木材に対しても接着性に優れた効果を有するものであり、防火木材を接着してなる合板の製造に非常に有用である。
本発明においては、PVA系樹脂の変性基が障害となって、PVA系樹脂の水酸基と多価イソシアネート化合物のイソシアネート基との反応速度を低下させたため、塗工性に優れる接着剤となり、防火木材への浸透性が向上し、接着力も向上したものであると推測される。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の防火木材用接着剤は、変性PVA系樹脂(A)と多価イソシアネート系化合物(B)を含有するものである。
まずは、変性PVA系樹脂(A)について、説明する。
〔変性PVA系樹脂(A)〕
本発明に用いられる変性PVA系樹脂(A)は、変性量が0.1〜20モル%であり、好ましくは1〜18モル%、特に好ましくは3〜15モル%である。変性量が大きすぎると水溶性が低下することとなり、小さすぎると防火薬剤との反応性が高くなり、塗工性が低下することとなる。
本発明に用いられる変性PVA系樹脂(A)のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80〜99モル%、85〜99モル%、95〜99モル%である。かかるケン化度が小さすぎると水溶性が低下する傾向がある。
また、変性PVA系樹脂(A)の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常100〜5000、好ましくは200〜3000、特に好ましくは500〜2500、更に好ましくは1000〜2000である。
かかる平均重合度が小さすぎると多価イソシアネート化合物(B)との相溶性が低下する傾向があり、大きすぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
上記変性PVA系樹脂(A)は、ビニルエステル系モノマーとその他の不飽和単量体との重合体をケン化して得られる共重合変性PVA系樹脂や、未変性のPVAを後変性して得られる後変性PVA系樹脂が挙げられる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸等が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、実用上は、経済性の観点から、酢酸ビニルが好適に用いられる。
上記その他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
また、共重合変性PVA系樹脂として、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(A1)を用いることもできる。一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。例えば、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。
一方、前記の後変性PVA系樹脂は、未変性のPVAを後変性することにより製造することができる。かかる後変性の方法としては、未変性のPVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、リン酸エステル化する方法等が挙げられる。
上記の変性PVA系樹脂の中でも、多価イソシアネート化合物との反応性の点から、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(A1)、エチレン変性PVA系樹脂(A2)が好ましく、特に好ましくは側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(A1)であり、更に好ましくは側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)である。
以下に、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)について詳細に説明する。
側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するもので、一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
特に、一般式(1)で表わされる構造単位中のR1〜R3及びR4〜R6がすべて水素原子であり、Xが単結合であるものが好ましく、下記式(2)で表わされる構造単位を有する、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。
なお、かかる一般式(1)で表わされる構造単位中のR1〜R3及びR4〜R6は、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば、炭素数1〜4のアルキル基でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等挙げられる。かかるアルキル基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で、単結合であるものが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい。)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、また、mは自然数である。)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で、炭素数6以下のアルキレン、特にメチレン、あるいは−CH2OCH2−が好ましい。
本発明に用いられる側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)において、変性量は、0.1〜20モル%であり、好ましくは1〜18モル%、特に好ましくは3〜15モル%である。変性量が大きすぎると製造が困難となり、小さすぎると防火薬剤との反応性が高くなり、塗工性が低下することとなる。
上記の側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80〜99モル%、85〜99モル%、95〜99モル%である。
かかるケン化度が小さすぎると水溶性が低下する傾向がある。
また、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常100〜5000、好ましくは200〜3000、特に好ましくは500〜2500、更に好ましくは1000〜2000である。
かかる平均重合度が小さすぎると多価イソシアネート化合物(B)との相溶性が低下する傾向があり、大きすぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1)の製造方法は、特開2015−120827の明細書段落〔0018〕〜〔0037〕に記載の公知方法で製造することが出来る。
〔多価イソシアネート化合物(B)〕
本発明に用いられる多価イソシアネート化合物(B)について説明する。
多価イソシアネート化合物(B)としては、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して用いてもよい。
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシネ−ト、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等が挙げられる。
また、本発明では、多価イソシアネート化合物(B)としては、前記例示の芳香族、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族イソシアネート化合物による二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)等も用いることができる。これらのなかでも、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが、コストの安さ、取り扱いのしやすさの点から好ましい。
〔防火木材用接着剤〕
本発明の防火木材用接着剤は、上記の変性PVA系樹脂(A)と多価イソシアネート化合物(B)を含有するものであり、変性PVA系樹脂(A)を含有する主剤に、多価イソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤を配合することにより、変性PVA系樹脂(A)と多価イソシアネート化合物(B)が反応し硬化して、部材と被着部材(例えば、防火木材同士)を接着するものである。
主剤の中には、変性PVA系樹脂(A)以外の成分として、水性エマルジョン(C)を含有することが好ましい。また、充填剤、凍結防止剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、着色剤、溶剤、増粘剤等などを含有しても良い。
硬化剤の中には、多価イソシアネート化合物(B)以外の成分として、主剤の変性PVA系樹脂(A)以外の成分と同様のものを含有することができる。
上記の水性エマルジョン(C)としては、例えば、酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジョン、アクリルスチレンエマルジョン、SBR(スチレン−ブタジエン共重合体)ラテックス、クロロプレンラテックス、天然ゴムラテックス等を用いることができる。コストと接着性能の観点から用途により使いわけられるが、エチレン−酢酸ビニルエマルジョンとアクリルスチレンエマルジョンの併用がコストと性能のバランスの点から好ましい。
前記充填剤としては、例えば、小麦粉、大豆粉、血粉、木粉、クルミ殻粉等の有機系充填剤、クレー、カオリン、ゼオライト、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機系充填剤等を挙げることができる。前記充填剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
更に、前記充填剤の分散剤を含有させることもでき、かかる分散剤としては、例えば、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム等の無機系分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の高分子系分散剤、第四級アンモニウム塩を含むカチオン系分散剤等を挙げることができる。前記充填剤の分散剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられ、界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
防火木材用接着剤全体の固形分濃度は、通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。かかる濃度が高すぎると塗工性が低下する傾向があり、低すぎると乾燥に時間を要し、不効率となる傾向がある。
次に本発明の防火木材用接着剤の各成分の含有量について説明する。
変性PVA系樹脂(A)の含有量は、通常、防火木材用接着剤全体の固形分(主剤と硬化剤を併せた固形分量)の0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。かかる量が多すぎると耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると接着強度が低下する傾向がある。
また、変性PVA系樹脂(A)の含有量は、通常、主剤の固形分全体では、0.1〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。かかる量が多すぎると耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると接着強度が低下する傾向がある。
多価イソシアネート化合物(B)の含有量は、通常、主剤全体100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは3〜30重量%である。かかる量が多すぎると耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると接着強度が低下する傾向がある。
また、多価イソシアネート化合物(B)の含有量は、通常、硬化剤全体に対して90重量%以上である。
かかる量が多すぎると耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると接着強度が低下する傾向がある。
また、多価イソシアネート化合物(B)の含有量は、変性PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常1〜2000重量部、好ましくは5〜1000重量部、更に好ましくは8〜500重量部である。
かかる量が多すぎるとコスト高く、主剤と硬化剤との混合が困難となる傾向があり、少なすぎると反応性が低く、耐水性が低下する傾向がある。
水性エマルジョン(C)の含有量は、通常、主剤中の5〜99重量%、好ましくは10〜95重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。
また、水性エマルジョンの含有量は、変性PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常100〜2000重量部、好ましくは200〜1500量部、特に好ましくは300〜1000重量部である。
かかる量が多すぎると接着力が低下する傾向があり、少なすぎると接着強度・耐水性が低下する傾向がある。
また更に、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤を水性エマルジョン(C)に配合することができる。これらの充填剤は使用目的により配合量が異なるが、一般的には、水性エマルジョン(C)100重量部に対して、500重量部以下が好ましく、さらに好ましくは300重量部以下、特に好ましくは200重量部以下である。
また、上記の成分の混合方法としては、(i)各成分を水に溶解又は分散させて水溶液又は水分散液として混合する方法、(ii)特定の成分を水に溶解又は分散させた水溶液又は水分散液にその他の成分を配合する方法等が挙げられる。
中でも(ii)の方法が好ましく、変性PVA系樹脂(A)を含有する主剤に各種添加剤を配合して水溶液又は水分散液としておき、それに多価イソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤を接着する直前(1〜3時間以内)に配合することが好ましい。
上記の接着剤を使用する場合には、コールドプレス(常温・圧締処理)のみで十分接着できるが、更に生産性を向上する目的で、熱プレス(加熱板で圧締処理)で加工することもできる。
かくして得られた防火木材用接着剤は、防火木材を接着するための接着剤として有用であり、部材と被着部材の接着、例えば、防火木材/防火木材の接着、防火木材/プラスチック素材の接着、防火木材/コンクリート部材の接着、防火木材のチップの接着に用いることができる。中でも、本発明の防火木材用接着剤を防火木材に塗布し、部材と被着部材、例えば防火木材同士を接着することにより、防火性能に優れた合板を製造することができる。
本発明においては、防火木材に限らず通常の木材に対しても充分な接着性を有するものであるが、特に防火木材に対しても塗工性及び接着性に優れた効果を有するものである。
上記防火木材としては、例えば、国土交通大臣が定める不燃材料、準不燃材料又は難燃材料であり、中でも、防火薬剤としてホウ酸が含有された防火木材である場合においても、接着性を低下させることなく、本発明の効果を顕著に発揮する。
かかる防火木材におけるホウ酸の含有量は、通常1〜500kg/m3であり、好ましくは20〜400kg/m3であり、更に好ましくは50〜300kg/m3である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
〔側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−1)の作製〕
まず、酢酸ビニル100部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン15部(6モル%対仕込み酢酸ビニル)、メタノール4.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.04部を準備した。
次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニルとメタノールとAIBNの全量、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの80%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残量(20%)を5.5時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が69%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を濃度35%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分が2%のメタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して2.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。粘度上昇を確認後に水酸化ナトリウム中のナトリウム分が2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して1ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別、メタノールで充分洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、側鎖1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(a1−1)を得た。
得られた側鎖1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(a1−1)のケン化度は、残存酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ99モル%であり、重量平均分子量は、JIS K 6726に準じて測定したところ1200であった。また、側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測定して算出したところ6モル%であった。
〔防火木材用接着剤1の作製〕
上記で得られた側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−1)の15%水溶液を100部と、多価イソシアネート化合物(B)としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、「ミリオネートMR−200」)1.5部を混合し、10分間撹拌し、防火木材用接着剤1を得た。
上記で得られた防火木材用接着剤1をすぐに、防火木材(越井木材工業社製、NM−1031、スギ、不燃木材/国土交通大臣認定)に200g/m2となるように2cm2(1cm×2cm)の範囲に塗工し、その後、もう1つの防火木材を重ね合わせて、1MPaの圧力を24時間かけた後、圧力を開放し、23℃、50%RHで1週間放置し、防火木材同士の積層体1を得た。
得られた防火木材用接着剤1及び積層体1について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
〔防火木材への塗工性評価〕
上記積層体1の製造において、防火木材用接着剤1を防火木材に塗工した際の、塗工面を目視で観察して以下の基準で評価した。
〇;ゲル化せずに塗工完了し、塗工面にムラはなかった
×;途中でゲル化し塗工面にムラができた
〔接着性の評価〕
上記の積層体1において、オートグラフ(島津製作所製 AG−IS)により、引っ張りせん断試験(クロスヘッドスピード50mm/min)で接着強度を測定した。
〔剥離性の評価〕
上記の接着性の評価において、木材と木材が剥離した際の剥離面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
木材破壊:剥離面の全面もしくは一部分の木材が破壊することにより剥離した
界面剥離:剥離面の木材の破壊は見られず、接着界面で剥離した
実施例2
実施例1において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−1)を側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−2)(ケン化度99モル%、変性量3モル%、重合度1200)に変えた以外は、実施例1と同様に防火木材用接着剤2を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、木材を準不燃木材(越井木材工業社製、QM−0429、スギ、準不燃木材/国土交通大臣認定)に変えた以外は、実施例1と同様にして、積層体3を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−1)を未変性PVA系樹脂(ケン化度99モル%、重合度1200)に変えた以外は、実施例1と同様にして、防火木材用接着剤及び積層体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例3において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(a1−1)を未変性PVA系樹脂(ケン化度99モル%、重合度1200)に変えた以外は、実施例1と同様にして、防火木材用接着剤及び積層体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
本発明の防火木材用接着剤を用いた実施例1〜3は塗工性及び接着性に優れるものであった。一方、変性されていない通常のPVAを用いた比較例1及び2においては、防火木材に対しては塗工性に劣るものであり、かつ、接着性にも劣るものであった。
本発明の防火木材用接着剤は、ホウ酸などの防火薬剤を含有する木材であっても、塗工中にゲル化することなく、塗工性に優れ、更には接着性に優れるものであり、防火木材を接着してなる合板の製造に非常に有用である。

Claims (7)

  1. 変性量が0.1〜20モル%である変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)と多価イソシアネート化合物(B)を含有することを特徴とする防火木材用接着剤。
  2. 変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A1)であることを特徴とする請求項1記載の防火木材用接着剤。
  3. 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A1)が、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂(a1)であることを特徴とする請求項2記載の防火木材用接着剤。
  4. 変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、エチレン変性ポリビニルアルコール系樹脂(A2)であることを特徴とする請求項1記載の防火木材用接着剤。
  5. 防火木材が、国土交通大臣が定める不燃材料、準不燃材料又は難燃材料であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の防火木材用接着剤。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の防火木材用接着剤により、防火木材が接着されてなることを特徴とする合板。
  7. 請求項1〜5いずれか記載の防火木材用接着剤を部材に塗布し、被着部材を接着することを特徴とする合板の製造方法。
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