JP2017163730A - 永久磁石式回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転が可能で、トルクをアップさせ、かつトルク脈動を改善する。
【解決手段】IPMモータ10は、固定子12と、ロータコア16の複数の磁石挿通孔16aに挿通されて固定された複数の永久磁石20,21を有する。永久磁石20,21は、固定子12側がN極の3個以上のN極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第1の組と、固定子12側がS極の3個以上のS極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第2の組とが、同一円周上に各々一つずつ配置されるようにロータコア16に固定されている。ロータコア16における磁石挿通孔16aよりも回転軸17の径方向外側の部分である外周部は、N極磁石のうちS極磁石と隣り合わないN極磁石に対応する箇所の少なくとも一部分の幅が、N極磁石のうちS極磁石と隣り合うN極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成される。S極磁石に対応する箇所も同様に形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石式回転電機に係り、詳しくは複数の永久磁石がロータコアに埋め込まれた永久磁石式回転電機に関する。
三相交流誘導モータの回転数は、極数に反比例するため、高速回転を行うためには2極が好ましい。高速回転する2極のIPMモータ(磁石埋め込み型モータ)においては、磁石からロータコアにかかる遠心応力が大きくなり、埋め込まれた永久磁石とロータコア表面(コア外周)との間の厚さが薄いとコアが破壊する。
応力を低減するために、永久磁石とロータコア表面(コア外周)との間の厚みを増すとトルクが下がる。また、ロータコアが大型化し、IPMの体格が大きくなる。2個の永久磁石をそれぞれ分割して実質2極の状態で各永久磁石1個当たりの遠心力を減らすことが考えられる。しかし、磁石を分割すると漏れ磁束が多くなり、トルクが低下する。
減磁作用を抑制し、トルク向上と共に回転性能を向上させるため、ロータコアの周方向にN極のマグネットが複数埋め込まれてマグネット磁極部が構成されたロータを有するブラシレスモータが開示されている(特許文献1参照)。このロータの各マグネット磁極部間には、ロータコアに形成されたコア磁極部がそれぞれマグネット磁極部との各境界部に空隙を以て配置され、コア磁極部をS極として機能させるように構成されている。そして、マグネット磁極部とコア磁極部との間の空隙は、マグネット磁極部のマグネットの径方向外側(径方向ステータ側)まで延長された空隙延長部を有する。
特開2012−110214号公報
特許文献1のモータではロータコアに複数のN極の永久磁石が隣り合う状態で配置されているが、N極の永久磁石の間にはS極として機能するコア磁極部が存在する。そして、モータの極数は、マグネット磁極部とコア磁極部との合計となるため、特許文献1の構成では、実質2極のモータを製造することはできない。即ち、特許文献1は、2個の永久磁石をそれぞれ分割して実質2極の状態のモータを製造することや、磁石を分割すると漏れ磁束が多くなり、トルクが低下することに対する対策を示唆することはなんら記載されていない。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高速回転が可能で、トルクをアップさせ、かつトルク脈動を改善することができる永久磁石式回転電機を提供することにある。
上記課題を解決する永久磁石式回転電機は、固定子と、複数の磁石挿通孔を有するロータコアと、前記磁石挿通孔に挿通されて前記ロータコアに固定された複数の永久磁石と、前記ロータコアに固定される回転軸と、を有する永久磁石式回転電機である。そして、前記複数の永久磁石は、前記固定子側がN極のN極磁石と、前記固定子側がS極のS極磁石とを備えるとともに、3個以上の前記N極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第1の組と、3個以上の前記S極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第2の組とが、同一円周上に各々一つずつ配置されるように前記ロータコアに固定されている。前記ロータコアにおける前記磁石挿通孔よりも前記回転軸の径方向外側の部分である外周部は、前記N極磁石のうち前記S極磁石と隣り合わない前記N極磁石に対応する箇所の少なくとも一部分の幅が、前記N極磁石のうち前記S極磁石と隣り合う前記N極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されるとともに、前記S極磁石のうち前記N極磁石と隣り合わない前記S極磁石に対応する箇所の少なくとも一部の幅が、前記S極磁石のうち前記N極磁石と隣り合う前記S極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成される。ここで、「幅」とは、回転軸の径方向の長さを意味する。また、「N極磁石に対応する箇所」とは、そのN極磁石の回転軸の径方向に延びる2つの面の間で、かつ回転軸に対して遠い側の面に対向する部分を意味し、「S極磁石に対応する箇所」とは、そのS極磁石の回転軸の径方向に延びる2つの面の間で、かつ回転軸に対して遠い側の面に対向する部分を意味する。
この構成の永久磁石式回転電機は、永久磁石の合計が6個以上であるが、N極が固定子側となるように設けられた永久磁石同士が隣り合い、S極が固定子側となるように設けられた永久磁石同士が隣り合う状態で設けられているため、実質2極の回転電機として機能する。そのため、高速回転に適する。また、ロータコア部分の厚さが大きく(厚く)なっている部分と対向する状態で、N極が固定子側となるように設けられた永久磁石から固定子側に向かう磁束の流れが、他の永久磁石から他のロータコア部分に向かう磁束の流れより集中的に流れるため、トルクが大きくなる。したがって、この発明の永久磁石式回転電機は、高速回転が可能で、トルクをアップさせることができる。
前記ロータコア部分の厚さは、回転方向先端側が大きく形成されていることが好ましい。N極が固定子側となるように設けられた永久磁石から固定子側に向かう磁束の流れは、ロータコアの部分から均等に固定子側に向かって流れるのではなく、回転方向先端側に集中する。そのため、ロータコア部分の厚さを均一に大きく(厚く)するのではなく、回転方向先端側を大きくする方が、ロータコア部分の厚さを均一に大きく(厚く)する場合に比べて、ロータコアを軽くして同じトルクアップ効果を発揮することができる。
前記永久磁石式回転電機は、遠心圧縮機用の回転電機であることが好ましい。上記の永久磁石式回転電機は、高速回転に適しているため、遠心圧縮機用の回転電機として有効に使用できる。
本発明によれば、高速回転が可能で、トルクをアップさせ、かつトルク脈動を改善することができる。
(a)は回転電機の模式断面図、(b)はロータの部分拡大図。 (a)は厚みが一定の場合の表面力のベクトル図、(b)は一部の厚みが増した場合の表面力のベクトル図。 回転角とティーストルクとの関係を示す模式図。 別の実施形態のロータの部分模式図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、永久磁石式回転電機としてのIPMモータ(永久磁石埋め込み型回転電機)10は、ハウジング11の内周面に、固定子(ステータ)12が固定されている。固定子12は、円筒状で内側に複数のティース13が等間隔で設けられている。ティース13にはコイル(巻線)14が巻かれている。
固定子12の内側には、回転子(ロータ)15が配置されている。回転子15は、円板状の電磁鋼板を複数枚(例えば数十枚)積層してロータコア16が構成されている。ロータコア16の中心に回転軸17が一体回転可能に嵌合固定されるとともに、回転軸17が図示しない軸受けを介してハウジング11に回転可能に支持されている。ロータコア16は複数の磁石挿通孔16aを有し、磁石挿通孔16aには永久磁石20,21が挿通されて、固定されている。即ち、IPMモータ10は、固定子12と、複数の磁石挿通孔16aを有するロータコア16と、磁石挿通孔16aに挿通されてロータコア16に固定された複数の永久磁石20,21と、ロータコア16に固定される回転軸17と、を有する。
ロータコア16には、ロータコア16の半分に、複数の永久磁石20が、N極が固定子12側となるよう同一円周上に設けられ、残りの半分に複数の永久磁石21が、S極が固定子12側となるよう同一円周上に設けられている。即ち、ロータコア16には、複数の永久磁石20,21が同一円周上に配置され、N極が固定子12側となるように設けられたN極磁石としての永久磁石20同士が隣り合い、S極が固定子12側となるように設けられたS極磁石としての永久磁石21同士が隣り合うように設けられている。複数の永久磁石20,21は、N極磁石(永久磁石20)同士が隣り合って配置されて構成される第1の組と、S極磁石(永久磁石21)同士が隣り合って配置されて構成される第2の組とが、同一円周上に各々一つずつ配置されるようにロータコア16に固定されている。永久磁石20,21は同じ大きさに形成され、永久磁石20及び永久磁石21はロータコア16上の対称位置に設けられている。永久磁石20,21はそれぞれ3個以上、この実施形態では4個ずつ設けられている。
ロータコア16の外周部には、永久磁石20と永久磁石21との間に対応する箇所に略V字状の溝部23が設けられている。また、ロータコア16の外周部には、N極が固定子12側となるように設けられた隣り合う永久磁石20に挟まれた3箇所と対応する箇所のうちの中央の箇所に略V字状の溝部24aが設けられ、両側の2箇所には溝部24aより幅が狭く形成された溝部24bが設けられている。
溝部23,24a,24bは、底面が複数の永久磁石20,21の外周面側を結ぶ仮想線25より外側となる形状に形成されている。
図1(b)に示すように、溝部24aは、円弧面状の底面26と、底面26に連続する2個の側面27とを備えている。各側面27は、底面26の円弧面に滑らかに連続する一平面で構成されている。即ち、溝部24aは、断面略V字状に形成されている。溝部24bは、溝部24aの曲率半径と同じ曲率半径の底面26を有し、溝幅を溝部24aの溝幅より狭くするため、固定子12と対向する側の幅が、溝部24aの固定子12と対向する側の幅より狭い断面略U字状に形成されている。詳述すると、溝部24bの側面27は、溝部24aと同じ円弧面状の底面26に滑らかに連続する平面と、溝部24bを2等分する仮想平面と平行に延びる平面との2つの平面で構成されている。
ロータコア16は、N極が固定子側となるように設けられ、かつ両隣にも永久磁石20が配置された2個の永久磁石20のうち図1(a)で右側に位置する永久磁石20と対向するロータコア部分28aの厚さが、図1(b)に示すように、少なくとも一部が、隣り合う永久磁石20と対向するロータコア部分28bの厚さより大きく(厚く)形成されている。この実施形態では、ロータコア部分28aの厚さは、回転方向後端側と回転方向先端側との中央付近までは、ロータコア部分28bの厚さと同じ一定の厚さで形成され、中央付近から回転方向先端側が次第に大きくなるように形成されている。ロータコア16のS極が固定子側となるように設けられた永久磁石21と対向する部分は、N極が固定子側となるように設けられた永久磁石20と対向する部分と対称に形成されている。
即ち、ロータコア16における磁石挿通孔16aよりも回転軸17の径方向外側の部分である外周部は、N極磁石(永久磁石20)のうちS極磁石(永久磁石21)と隣り合わないN極磁石に対応する箇所の少なくとも一部分の幅、即ち回転軸17の径方向の長さが、N極磁石のうちS極磁石と隣り合うN極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されている。また、前記外周部は、S極磁石のうちN極磁石と隣り合わないS極磁石に対応する箇所の少なくとも一部の幅が、S極磁石のうちN極磁石と隣り合うS極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されている。
なお、「N極磁石に対応する箇所」とは、そのN極磁石の回転軸17の径方向に延びる2つの面の間で、かつ回転軸17に対して遠い側の面に対向する部分、即ち溝部24aと溝部24bとに挟まれたロータコア部分28aを意味する。同様に、「S極磁石に対応する箇所」とは、そのS極磁石の回転軸17の径方向に延びる2つの面の間で、かつ回転軸17に対して遠い側の面に対向する部分、即ち溝部24aと溝部24bとに挟まれたロータコア部分を意味する。
次に前記のように構成されたIPMモータ10の作用を説明する。
IPMモータ10が負荷状態で駆動される場合は、固定子12のコイル14に電流が供給されて固定子12に回転磁界が発生し、回転子15に回転磁界が作用する。そして、回転磁界と永久磁石20,21との間の磁気的な吸引力及び反発力により回転子15が回転磁界と同期して回転する。
N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20で発生した磁束が回転子15の回転に効率よく寄与するためには、永久磁石20で発生した磁束がティース13に入力されるとともに、入力されたティース13と異なるティース13を経てS極が固定子12側となるように設けられた永久磁石21に流入する必要がある。
ロータコア16の外周面に溝部24a,24bが設けられていない場合は、永久磁石20から発生した磁束の一部が、ロータコア16の表面と、永久磁石20の固定子12側の表面との間のロータコア16の部分を流れ易くなる。しかし、ロータコア16の外周面に溝部24a,24bが設けられている場合は、永久磁石20から発生した磁束が、溝部24a,24bの存在により、ロータコア16の周方向へ行き難くなって、固定子12側へ効率良く流れる。また、ティース13から回転子15に流入する磁束が、S極が固定子12側となるように設けられた永久磁石21に向かってロータコア16内を流れ易くなる。また、同極間の磁路Dが狭くなることで漏れ磁束を低減できる。そのため、永久磁石20から発生した磁束が、固定子12側へ効率良く流れるため、トルクをアップさせる。
あるステータティース1本にかかる表面力の回転方向成分の総和であるティーストルクをベクトル線で示すと、溝部24a,24bと対応する箇所においてベクトル線の大きさ及び向きが変化する。そして、溝部24a,24bと対応する箇所におけるベクトルの大きさは、断面略V字状の溝部24aと対応する箇所に比べて、溝部24aより溝幅が狭い断面略U字状の溝部24bと対応する箇所の方が大きくなり、かつ固定子12側に向かって立ち上がる状態になる。
また、ロータコア16に同じ断面略U字状の溝部24bが形成されている場合であっても、溝部24bを挟んだロータコア16の外周までの距離が同じ場合に比べて、同じ断面略U字状の溝部24b挟んだロータコア16の外周までの距離が異なる場合では、溝部24bと対応する箇所におけるベクトル線の大きさ及び向きが変化する。
図2(a)は溝部24bを挟んだロータコア16の外周までの距離が同じ場合の、溝部24bと対応する箇所及びその前後におけるベクトルを示す。図2(b)は溝部24bを挟んだロータコア16の外周までの距離が異なり、溝部24bの回転方向上流側に、回転方向先端側が次第に大きく(厚く)形成されているロータコア部分28aが位置し、回転方向下流側にロータコア部分28bが位置する場合の、溝部24bと対応する箇所におけるベクトルを示す。
図2(a)、図2(b)から、断面形状が略U字状の溝部24bと対応する箇所におけるベクトルは、いずれも回転方向上流側(左側)の側面27より上流側と対応するベクトルが他の箇所より大きい。しかし、2つの側面27の高さが異なる図2(b)では、2つの側面27の高さが同じ図2(a)に比べて、ベクトルが大きい。そのため、図2(b)に示すように、2つの側面27の高さが異なる溝部24bが存在する場合は、高さが高い側面27側は、表面力(ティーストルク)の+θ方向が強くなる。その結果、永久磁石20から発生した磁束が、ロータコア部分28aの厚さが厚い角部から固定子12側へ集中的に流れるため、トルクをアップさせる。
ティーストルクと、回転角との関係を図に示すと、図3に示すようになる。図3において太線は理想線を示し、細線は実際の線を示す。図2(b)に示すように、2つの側面27の高さが異なる溝部24bが存在する場合、高さが高い側面27側は、表面力(ティーストルク)の+θ方向が強くなり、高さが低い側面27側は、表面力の−θ方向が抑制されるため、図3において実際の線の矢印で示す箇所の値が大きくなり、理想線に近くなる。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)IPMモータ(永久磁石式回転電機)10は、複数の永久磁石20,21がロータコア16に埋め込まれた回転子15を備えた永久磁石式回転電機である。そして、複数の永久磁石20,21は同一円周状に配置され、N極が固定子12側となるように設けられた3個以上の永久磁石20同士が隣り合い、S極が固定子側となるように設けられた3個以上の永久磁石21同士が隣り合うように設けられている。同じ極が固定子12側となるように設けられた隣り合う3個の永久磁石20の中央に位置する永久磁石20と対向するロータコア部分28aの厚さは、少なくとも一部が、隣り合う永久磁石20と対向するロータコア部分28bの厚さより大きく形成されている。
(1)IPMモータ(永久磁石式回転電機)10は、固定子12と、複数の磁石挿通孔16aを有するロータコア16と、磁石挿通孔16aに挿通されてロータコア16に固定された複数の永久磁石20,21と、ロータコア16に固定される回転軸17と、を有する永久磁石式回転電機である。そして、複数の永久磁石20,21は、固定子12側がN極のN極磁石(永久磁石20)と、固定子12側がS極のS極磁石(永久磁石21)とを備えるとともに、3個以上のN極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第1の組と、3個以上のS極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第2の組とが、同一円周上に各々一つずつ配置されるようにロータコア16に固定されている。ロータコア16における磁石挿通孔16aよりも回転軸17の径方向外側の部分である外周部は、N極磁石のうちS極磁石と隣り合わないN極磁石に対応する箇所の少なくとも一部分の幅が、N極磁石のうちS極磁石と隣り合うN極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されるとともに、S極磁石のうちN極磁石と隣り合わないS極磁石に対応する箇所の少なくとも一部の幅が、S極磁石のうちN極磁石と隣り合うS極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成される。
永久磁石20,21の合計が6個以上であるが、N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20同士が隣り合い、S極が固定子12側となるように設けられた永久磁石21同士が隣り合う状態で設けられているため、実質2極の回転電機として機能する。そのため、高速回転に適する。また、ロータコア16における外周部は、S極磁石と隣り合わないN極磁石に対応する箇所(ロータコア部分28a)の少なくとも一部分の幅が、S極磁石と隣り合うN極磁石に対応する箇所(ロータコア部分28b)の幅よりも長く形成されるとともに、N極磁石と隣り合わないS極磁石に対応する箇所の少なくとも一部の幅が、N極磁石と隣り合うS極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されている。そのため、N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20から固定子12側に向かう磁束の流れが、他の永久磁石20から他のロータコア部分28bに向かう磁束の流れより集中的に流れるため、トルクが大きくなる。したがって、IPMモータ10は、高速回転が可能で、トルクをアップさせ、かつトルク脈動を改善することができる。
(2)ロータコア部分28aの厚さは、回転方向先端側が大きく形成されている。N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20から固定子12側に向かう磁束の流れは、ロータコア16の部分から均等に固定子12側に向かって流れるのではなく、回転方向先端側に集中する。そのため、ロータコア部分28aの幅(厚さ)を均一に大きく(厚く)するのではなく、回転方向先端側を大きくする方が、ロータコア部分28aの厚さを均一に大きく(厚く)する場合に比べて、損失を抑えつつロータコア16を軽くして同じトルクアップ効果を発揮することができる。
(3)ロータコア16の外周部には、N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20間及びS極が固定子12側となるように設けられた永久磁石21間に溝部24a,24bが設けられている。そのため、永久磁石20から固定子12側に向かう磁束の流れがロータコア16の周方向へ行き難くなって、固定子12側へ効率良く流れる。また、同極間の磁路Dが狭くなることで漏れ磁束を低減できる。したがって、IPMモータ10のトルクをアップさせかつトルク脈動を改善することができる。
(4)同極が固定子12側となるように設けられた隣り合う永久磁石20(永久磁石21)に挟まれた永久磁石20(永久磁石21)と、その両側に配置された永久磁石20(永久磁石21)との間に対応する状態でロータコア16の外周面に設けられた2個の溝部24a,24bのうちの一方の溝部24bの幅が他方の溝部24aの幅より狭くなるように形成されている。その結果、両方の溝部24a,24bが同じ幅の場合に比べて、トルク脈動が小さくなる。
(5)溝部24a,24bは、円弧面状の底面26と、底面26に連続する平面状の側面27とを備えている。溝部24a,24bの底面26を円弧面状とすることにより応力集中を緩和する効果が大きくなる。
(6)溝部24a,24bの底面26は、同じ曲率半径の円弧面状に形成されている。底面26の曲率半径の大きさによって応力緩和効果が異なるため、溝部24a,24bの底面26の曲率半径の大きさを異なる値とした場合は、一方の溝部24a,24bの底面26の曲率半径を応力緩和効果が最高の状態となる値に設定すると、他方は応力緩和効果が一方より劣る状態になる。しかし、溝部24a,24bの底面26を、同じ曲率半径の円弧面状に形成すれば、両方の応力緩和効果を同じにすることができる。
(7)溝部24a,24bは、底面26が複数の永久磁石20,21の外周面側を結ぶ仮想線25より外側となる形状に形成されている。溝部24a,24bを、溝部24a,24bの底面26が仮想線25の内側まで入り込む形状とした場合は、ロータコア16の回転により永久磁石20,21に加わる遠心力による、溝部24a,24bの底面26と対向するロータコア16の支持点での応力が急激に増加する。そのため、溝部24a,24bは、その底面26が複数の永久磁石20,21の外周面側を結ぶ仮想線25より外側となる形状に形成されていることが好ましい。
(8)IPMモータ10は、遠心圧縮機用の回転電機である。上記の永久磁石式回転電機は、高速回転に適しているため、遠心圧縮機用の回転電機として有効に使用できる。
実施形態は前記両実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ ロータコア部分28aは、一部の厚さが、隣り合う永久磁石20と対向するロータコア部分28bの厚さより大きく形成された構成に限らない。例えば、図4に示すように、ロータコア部分28aの全体の厚さがロータコア部分28bの厚さより大きく、かつ一定の厚さに形成されていてもよい。
○ ロータコア部分28aの全体の厚さがロータコア部分28bの厚さより大きく形成される場合、ロータコア部分28aの厚さが、回転方向後端側から回転方向先端側に向かって次第に大きくなるように形成されていてもよい。
○ ロータコア部分28aの一部の厚さが、隣り合う永久磁石20と対向するロータコア部分28bの厚さより大きく形成される構成として、厚さが大きな部分が非連続状態で複数形成されてもよい。厚さが大きな部分は一定の厚さでも、厚さが変化する状態であってもよい。
○ ロータコア16は、同じ極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20及び永久磁石21の数はそれぞれ3個以上であればよく、例えば、図4に示すように、3個であってもよい。
○ 溝部24bは、溝部24aより溝幅が狭く形成されていればよく、底面26の曲率半径は溝部24aの底面26の曲率半径と異なっていてもよい。
○ 溝部24bは、側面27が1つあるいは2つの平面で形成された形状に限らず、途中で屈曲した3つ以上の平面で構成されてもよい。
○ 溝部24bは、側面27が平面と曲面とが連続する形状であってもよい。例えば、底面26の接線方向に対して交差する方向に延びるように形成された平面と、その平面と底面とを滑らかに接続する曲面で接続した形状であってもよい。
○ 溝部24a,24bの両側面27は、底面26を2等分し、ロータコア16の回転中心を通る仮想平面に対して対称あるいは非対称のいずれであってもよい。
○ 永久磁石20,21の形状は、実施形態で図示された形状のように、固定子12と対応する側の両端が反対側の両端に比べて曲率半径が大きな形状に限らない。例えば、長方形状や長方形の四隅に曲率半径の小さな面取りが施された形状、あるいは長方形の両端を円弧状にした形状であってもよい。
○ 溝部24a,24bに代えて全て溝部23と同じ溝部を設けてもよい。また、溝部24aと溝部23は同じ形状でも、そうでなくても良い。
○ ロータコア16の外周部の、N極が固定子12側となるように設けられた永久磁石20間及びS極が固定子12側となるように設けられた永久磁石21間に設けられた溝部24a,24bは、必ずしも全ての永久磁石20,21間に設ける必要はなく、例えば、一部の溝部24a,24bを省略してもよい。また、溝部24a,24bを全てなくしてもよい。
10…永久磁石式回転電機としてのIPMモータ、12…固定子、15…回転子、16…ロータコア、16a…磁石挿通孔、17…回転軸、20…N極磁石としての永久磁石、21…S極磁石としての永久磁石。

Claims (2)

  1. 固定子と、複数の磁石挿通孔を有するロータコアと、前記磁石挿通孔に挿通されて前記ロータコアに固定された複数の永久磁石と、前記ロータコアに固定される回転軸と、を有する永久磁石式回転電機であって、
    前記複数の永久磁石は、前記固定子側がN極のN極磁石と、前記固定子側がS極のS極磁石とを備えるとともに、3個以上の前記N極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第1の組と、3個以上の前記S極磁石同士が隣り合って配置されて構成される第2の組とが、同一円周上に各々一つずつ配置されるように前記ロータコアに固定され、
    前記ロータコアにおける前記磁石挿通孔よりも前記回転軸の径方向外側の部分である外周部は、前記N極磁石のうち前記S極磁石と隣り合わない前記N極磁石に対応する箇所の少なくとも一部分の幅が、前記N極磁石のうち前記S極磁石と隣り合う前記N極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されるとともに、前記S極磁石のうち前記N極磁石と隣り合わない前記S極磁石に対応する箇所の少なくとも一部の幅が、前記S極磁石のうち前記N極磁石と隣り合う前記S極磁石に対応する箇所の幅よりも長く形成されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 前記永久磁石式回転電機は、遠心圧縮機用の回転電機である請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
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