JP2017160498A - 竪型炉における溶融物レベルの推定方法、及びその推定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
炉内装入物の装入位置や粒度を適切に調整したり、高炉下部に設置された羽口からの送風条件(送風温度や送風湿分など)を適切に制御したりすることで、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応が効率よく進行させ、所望とする銑鉄の温度(出銑温度)が確保できるように操業を行っている。
その一方で、高炉内に残留している溶銑及び溶滓のレベルは、常に計測される状況とはなっていない。
かかる状況下において、高炉内における溶融物のレベルを推定する技術として、例えば、特許文献1、2に開示されているものがある。
特許文献1は、高炉炉底電位差測定装置において、高炉炉底レンガに複数個の電位測定点を高さ方向に間隔を開けて設け、前記電位測定点から高炉炉体外部まで延びる導線を設け、該導線を用いて前記電位測定点の間の電位差を測定することを目的としている。
また、特許文献1、2の技術は、高炉炉体に電極設置用の開口を設けたり、費用の嵩む信号発生源(装置)や高電圧電源装置などを準備したりする必要があるので、準備に手間がかかってしまい簡便な手法とは言えない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、高炉などの竪型炉内に残留している溶銑と溶滓が混在する溶融物のレベル(残銑滓量)を正確且つ容易に推定することができる竪型炉における溶融物レベルの推定方法、及びその推定装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる竪型炉における溶融物レベルの推定方法は、竪型炉内に残留している溶銑と溶滓とが混在する溶融物のレベルを推定するに際しては、前記竪型炉に備えられた出銑口から吐出される、前記溶融物の流れである出銑滓流を撮像する撮像手段を設けておき、前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上撮像し、撮像された2枚以上の前記画像を用いて、前記出銑滓流の速度を求め、求めた前記出銑滓流の速度を基に、前記竪型炉内に残留している溶融物のレベルを推定することを特徴とする。
本発明にかかる竪型炉における溶融物レベルの推定装置は、竪型炉に備えられた出銑口から吐出される、溶銑と溶滓とが混在する溶融物の流れである出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上を撮像する撮像手段と、撮像された2枚以上の前記画像を用いて、前記出銑滓流の速度を求める出銑滓流算出部と、求めた前記出銑滓流の速度を基に、前記竪型炉内に残留している溶融物のレベルを推定する溶融物レベル推定部と、を有することを特徴とする。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
また、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に示す如く、高炉設備10は、その中核としての高炉11(高炉本体)と、高炉鋳床14とを有している。
高炉11は、外部が鋼板製の鉄皮で覆われ、且つ内部が耐火物(耐火煉瓦)で内張りされた竪型円筒状の炉体を有している。
上記した高炉11の内部では、高炉11の付帯設備の一つである装入装置により供給された、鉄鉱石とコークスなどの燃料を兼ねる還元材、及び不純物を除去するための石灰石に対して、羽口12から熱風を吹き入れて内部のコークスを燃焼させ、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応を行わせ、溶銑Xを製造する。製造された溶銑Xは、炉床部の側壁の出銑口13より、溶滓Yと混在された状態、すなわち出銑滓流Qで取り出される。
この高炉鋳床14は、高炉11の出銑口13から出銑された溶銑Xが流れる出銑樋15を有している。
この出銑樋15は、水平方向に長尺で、且つ長手方向の両側、及び幅方向の出銑口13側に所定の高さを有する側壁が形成された運河状の流路である。
また、出銑樋15の最下流側(出銑口13の反対側)には、潜り堰17で分別された溶銑Xを、トピードカー19に装入するため傾注樋18が配備されている。一方で、出銑口13近傍の出銑樋15の上部には、吐出された出銑滓流Qが外部に飛散することを防止するための出銑樋カバー(図示せず)が設けられている。
さて、本願発明は、高炉11の出銑口13から吐出された出銑滓流Qを基に、その高炉11内に残留している、溶銑Xと溶滓Yとが混在する溶融物Mのレベル(残銑滓量)を正確に推定することを可能とする技術である。
図1に示すように、溶融物レベル推定装置1は、出銑口13近傍に設けられた撮像手段2を用いて、当該出銑口13から吐出された出銑滓流Q(溶銑Xと溶滓Yとが混在する流れ)の画像を撮像し、撮像された画像を用いて、「出銑滓流Qの速度v」を求め、その出銑滓流Qの速度vから、高炉11内に残留している「溶融物Mのレベル」を推定・評価するものである。すなわち、本願発明は、高炉11外部の状況(出銑滓流Qの速度v)から、高炉11内部の状況(溶融物Mのレベル)を推定することにある。
溶融物レベル推定装置1は、高炉11に備えられた出銑口13から吐出される、溶銑Xと溶滓Yとが混在する溶融物Mの流れである出銑滓流Qの画像を、少なくとも2枚以上を撮像する撮像手段2と、撮像された2枚以上の画像を用いて、高炉11内に残留している溶融物Mのレベルを推定する処理装置3とを有する。
撮像手段2は、出銑口13の下流側近傍の上部に、且つ吐出された出銑滓流Qから所定の距離だけ離れた位置に少なくとも1台配備されている。例えば、撮像手段2を出銑口13の近傍に2台配備して、出銑滓流Qの水平方向と鉛直方向の2方向から撮像してもよい。
例えば、撮像速度150fps(フレーム/秒)で動作するように設定された撮像手段2にて、出銑口13から吐出された出銑滓流Qの画像を、少なくとも2枚以上撮像する。すなわち、撮像手段2にて、出銑口13近傍における溶銑Xと溶滓Yが混在する溶融物Mの状況の画像を2枚以上連続して撮像する。なお、撮像手段2の撮像速度については、一例である。
上記のようにして撮像された複数の出銑滓流Qの画像は、処理装置3内の記憶部(図示せず)などに記憶される。処理装置3内には、記憶部の他、次に詳しく述べる出銑滓流算出部4と、溶融物レベル推定部5とを備えている。処理装置3は、パソコンと当該パソコン内部で実行されるプログラムとから構成されている。
まず、出銑滓流算出部4において、撮像手段2にて撮像された画像から出銑滓流Qの速度vを算出する過程について、述べる。
複数の画像から任意の画像を1つのフレーム画像として抽出し、その画像を「フレーム1」とする。加えて、「フレーム1」に連続するフレーム画像(1つ後のフレーム)を「フレーム2」とする。
なお、追跡領域Gaの探索においては、当業者常法の画像処理手法(例えば、パターンマッチング手法)を用いるとよい。
そして、得られた画素数ΔL、撮像系の画素分解能A(m/pixel)、撮像速度B(fps)とし、画素数ΔLを用いて、出銑滓流Qの速度v(m/s)を以下に示す式で求める。
続いて、溶融物レベル推定部5において、出銑滓流算出部4にて算出された出銑滓流Qの速度vを基に、高炉11内に残留している溶融物Mのレベルを推定する過程について、述べる。
高炉11内の溶融物Mの湯面の下降速度をv1、算出された出銑滓流Qの速度をv2とする。また、高炉11内の水平方向の断面積をA1とし、出銑口13の垂直方向の断面積をA2とする。
これらパラメータを以上のように設定すると、ベルヌーイの定理により、式(1)と表される。
したがって、観測される出銑滓流Qの速度v2は、高炉11内における溶融物MのレベルZ1に比例することがわかる。
なお、以下に示す式(4)は、高炉内圧力P1と高炉外圧力P2を等しく(P1=P2)したトリチェリの定理として知られている。
また、本発明の設備に関しては、出銑口13近傍に撮像手段2を設けるのみであるので、大規模な設備投資なく且つ簡易に出銑滓流Qの速度v2を求めるとともに、溶融物MのレベルZ1を推定・評価することができる。本発明を用いれば、機械方式や超音波方式などの流量計では困難な出銑滓流Qの流速v2を、簡便に測定することができる。また、本発明では、出銑滓流Qの速度v2を求める際に、機械式などの流量計と比べて非接触であるため、長期安定性・耐久性・メンテナンス性にも優れる。
その場合、例えば、高炉11の炉内圧力P1の情報を用いて、その溶融物MのレベルZ1の誤差の補正を行うとよい。このように、溶融物MのレベルZ1の誤差を補正することで、より高精度に溶融物MのレベルZ1を推定・評価することが可能となる。
そのため、本発明を実操業に適用させる際には、高炉11の出銑毎に管理閾値を定め、閾値を超えた場合は減風処置や、ラップ出銑等の操業アクションを行うことにしてもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 撮像手段
3 処理装置
4 出銑滓流算出部
5 溶融物レベル推定部
10 高炉設備
11 高炉(竪型炉)
12 羽口
13 出銑口
14 高炉鋳床
15 出銑樋
16 排滓樋
17 潜り堰
18 傾注樋
19 トピードカー
X 溶銑(銑鉄)
Y 溶滓(溶融スラグ)
M 溶融物
Q 出銑滓流
Ga 追跡領域
Gb 投影領域
Claims (3)
- 竪型炉内に残留している溶銑と溶滓とが混在する溶融物のレベルを推定するに際しては、
前記竪型炉に備えられた出銑口から吐出される、前記溶融物の流れである出銑滓流を撮像する撮像手段を設けておき、
前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上撮像し、
撮像された2枚以上の前記画像を用いて、前記出銑滓流の速度を求め、
求めた前記出銑滓流の速度を基に、前記竪型炉内に残留している溶融物のレベルを推定する
ことを特徴とする竪型炉における溶融物レベルの推定方法。 - 前記竪型炉の炉内圧力を用いて、前記溶融物のレベルの誤差の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の竪型炉における溶融物レベルの推定方法。
- 竪型炉に備えられた出銑口から吐出される、溶銑と溶滓とが混在する溶融物の流れである出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上を撮像する撮像手段と、
撮像された2枚以上の前記画像を用いて、前記出銑滓流の速度を求める出銑滓流算出部と、
求めた前記出銑滓流の速度を基に、前記竪型炉内に残留している溶融物のレベルを推定する溶融物レベル推定部と、を有する
ことを特徴とする竪型炉における溶融物レベル推定装置。
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