JP2024042564A - 電気炉のスラグ流出量推定システム及び電気炉における精錬方法 - Google Patents

電気炉のスラグ流出量推定システム及び電気炉における精錬方法 Download PDF

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Yusuke Harada
慎平 小野
Shinpei Ono
昭英 開澤
Akihide Kaizawa
鉄平 田村
Teppei Tamura
昌平 柿本
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Abstract

【課題】連続的な操業が可能な方法であり、かつ、高い精度で電気炉からのスラグ流出量を推定することができる電気炉のスラグ流出量推定システムを提供する。【解決手段】電気炉から流出するスラグ流を検知する検知部と、スラグ流を検知した場合にスラグ流を撮影する撮影部と、撮影された画像からスラグ流の体積流量を求める演算部と、体積流量を基に、電気炉から流出するスラグ量を推定する推定部と、を有する、電気炉のスラグ流出量推定システムである。【選択図】図3

Description

本開示は、電気炉スラグ流出量の推定方法及び電気炉における精錬方法に関する。
現在、日本の粗鋼生産の多くは高炉-転炉法によって製造されているが、近年、世界的なゼロカーボン社会への関心の高まりから、電気炉による粗鋼生産量が増加傾向にある。
電気炉では、炉内に装入したスクラップ等の鉄源の精錬時に生成したスラグの流滓(オペレータが意図せず、スラグ量の増加やスラグフォーミングによってスラグ排出用のドアから突発的かつ断続的にあふれ出ること)により、精錬中の炉内のスラグ量が常に変化する。また、掻き出し排滓(水冷のデレッキ・パイプ等によりスラグを機械的に掻き出して排出させること)や傾動排滓(電気炉を傾動させ、炉内のスラグを排出すること)も行う。
そのため、精錬工程の安定化、つまり製造する鋼の品質の安定化のためには、炉内のスラグ量や流出したスラグ量の把握が重要である。
しかし、炉内は高温・粉じん環境となっており、炉内スラグ量のセンシングは容易ではない。そこで、流出したスラグ量の把握によって、炉内に残留したスラグ量の推定が行われている。各種精錬容器において、流出したスラグ量の定量評価方法及び推定方法を開示する文献として、特許文献1~3が知られている。
特許文献1には、電気炉において、スラグ排出部に、所望する排出量毎にあらかじめ決定しておいたリング状の治具を取り付け、スラグ排出流量を制御して排出量をコントロールする方法が開示されている。特許文献2には、転炉において、炉内の形状と炉の傾動角から計算される排出量からスラグの排出量を見積もる方法が開示されている。特許文献3には、転炉において、スラグパンに設置した秤量機を用いて排滓量を直接秤量し、精錬反応によるスラグ発生量と、直接秤量した排滓量から炉内残留スラグ量を推定する方法が開示されている。
特開昭63-12338号 特開2018-119195号 特開平7-041813
ところで、特許文献1では、所望する排出量毎にスラグ排出部へのリング状の治具の取り換えが必要であり、連続的な操業が困難という課題がある。一方、特許文献2では、スラグの排出量を、装入溶融金属量や精錬容器内耐火物の幾何学的形状を用いて求めるため、炉内耐火物の損耗状態及びスラグと高温溶融物(溶銑)の状態の影響を強く受け、これに起因して排滓量の推定精度が低いという課題がある。また、特許文献3では、受滓台車等に取り付けた秤量機による計測では、秤量機自体が高額である点や、秤量機と高温溶融物(溶融スラグや溶融金属)との接触による故障のリスクが課題であった。
そこで本開示の主な目的は、上記実情を鑑み、連続的な操業が可能な方法であり、かつ、高い精度で電気炉からのスラグ流出量を推定することができる電気炉のスラグ流出量推定システム及びこれを用いた電気炉の精錬方法を提供することである。
本開示は、上記課題を解決するための一態様として、電気炉から流出するスラグ流を検知する検知部と、スラグ流を検知した場合にスラグ流を撮影する撮影部と、撮影された画像からスラグ流の体積流量を求める演算部と、体積流量を基に、電気炉から流出するスラグ量を推定する推定部と、を有する、電気炉のスラグ流出量推定システムを提供する。
上記推定システムにおいて、検知部は、256階調で表現される輝度値を測定し、背景よりも輝度値が30以上高い高輝度値物質をスラグ流として検知してもよい。
上記推定システムにおいて、演算部は、下記式(1)によりスラグ流の体積流量Q(m/s)を求めてもよい。
Q=SV=αD・V (1)
Q:スラグ流の体積流量(m/s)
S:幅Dの計測位置におけるスラグ流の断面積(m
V:幅Dの計測位置におけるスラグ流の流速V(m/s)
α:スラグ流の断面形状を補正するパラメータ
D:スラグ流が撮影された画像から算出されたスラグ流の幅(m)
上記推定システムにおいて、推定部は、下記式(2)によりスラグの嵩密度ρ(kg/m)を求め、下記式(3)によりスラグ流の重量M(kg)を求めてもよい。
ρ=ρ・(100-φ)/100 (2)
M=ρ・Σ(Δt・Q) (3)
ρ:スラグの嵩密度(kg/m
ρ:均一液相スラグの密度(kg/m
φ:電気炉における通電開始時からスラグ流出時までのスラグ高さの変化から計算したスラグ中の気相率
Δt:画像の撮影時刻の間隔(s)
上記推定システムにおいて、演算部は、スラグ流の幅Dの計測位置から電気炉におけるスラグ流の流出開始位置までの鉛直方向の距離H(m)を求め、幅Dの計測位置における流速V(m/s)をスラグ流の自由落下と仮定して(2gH)0.5として求めてもよい。あるいは、演算部は、スラグ流の移動距離を少なくとも2枚以上の画像からパターンマッチングにより求め、移動距離を求めた画像の撮影時刻の差(s)でスラグ流の移動距離を割ることで、幅Dの計測位置における流速V(m/s)を求めてもよい。
上記推定システムにおいて、演算部は、スラグを構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量器によって計測した流出スラグ量(kg)を真値として、パラメータフィッティングによりパラメータαを決定してもよい。
本開示は、上記電気炉のスラグ流出量推定システムで推定されたスラグ流出量に基づいて、電気炉内に添加する精錬材の種類及び添加量、並びに電圧、電流、及び電極高さのうち少なくとも1つを調整する、電気炉の精錬方法を提供する。
本開示の推定システムによれば、連続的な操業が可能な方法であり、かつ、高い精度で電気炉からのスラグ排出量を推定することができる。
本開示の精錬方法は、上述の推定システムによって高精度に推定されたスラグ流出量に基づいて、電気炉内に添加する精錬材の種類及び添加量、並びに電圧、電流、及び電極高さのうち少なくとも1つを調整するものである。従って、本開示の精錬方法によれば、電気炉において、適切に高温溶融物の精錬を実施することができる。
電気炉1の概略図である。 電気炉1の傾動排滓の様子を示した概略図である。 推定システム10がスラグ流8を検知し、その流出量を推定している様子を示した概略図である。 試験例1~10のうちの1つのスラグ流出速度の計測結果である。 試験例1~10のうちの1つの累積スラグ流出量の計測結果である。 スラグ流出実績量と実施例により求めたスラグ流出推定量との関係を示した結果である。
[電気炉のスラグ流出量推定システム]
本開示の電気炉のスラグ流出量推定システムについて、一実施形態である電気炉のスラグ流出量推定システム10(以下、「推定システム10」ということがある。)を用いて説明する。
まず、電気炉1について説明する。図1に一例である電気炉1の概略図を示した。電気炉1は、複数の電極2を用いて、精錬材と共に高温溶融物3(例えば、溶鋼、溶銑等)を加熱し、精錬を実施する装置である。図1に示した通り、電極2は高温溶融物3に浸漬しており、電極2に電流を流すことにより高温溶融物3を加熱し、脱炭等の精錬を実施する。この際、副生成物としてスラグ4が生成する。生成されたスラグ4はスラグドア5を通って外部に適宜流出(排出)される。スラグ4の流出は、例えば流滓や掻き出し排滓、傾動排滓等により実施される。図2に傾動排滓を実施している電気炉1の様子の概略図を示した。このように、傾動排滓では、電気炉1を所定の角度θに傾動させることにより、スラグ4をスラグドア5から外部に流出させることができる。流出したスラグ4は下部に配置されたスラグパン6等で回収される。
一実施形態の推定システム10は、スラグドア5から流出したスラグ4を非接触で、検知し、その流出量を推定するものである。図3に、推定システム10により流出したスラグ4(スラグ流8)を検知し、その流出量を推定する様子を示した。
図3に示した通り、電気炉1のスラグドア5から流出したスラグ4は、電気炉1よりも下側に配置されたスラグパン6に回収される。スラグパン6は受滓台車7に載置されており、回収したスラグ4を適宜別の場所に移送することができる。一実施形態の推定システム10は、スラグ4がスラグドア5からスラグパン6に流下する間に、流出したスラグ4(スラグ流8)を検知し、スラグ4の流出量を推定する。
推定システム10は、撮影装置11とコンピュータ12とを備えている。撮影装置11は、電気炉1から流出するスラグ流8を検知する検知部と、スラグ流8を検知した場合にスラグ流8を撮影する撮影部と、を備えている。コンピュータ12は、撮影された画像からスラグ流8の体積流量を求める演算部と、体積流量を基に、電気炉1から流出するスラグ量を推定する推定部と、を備えている。
<撮影装置11>
まず、撮影装置11について説明する。撮影装置11はスラグ流8を検知・撮影することができる装置であれば特に限定されない。例えばCMOSカメラ等の撮影装置が挙げられる。撮影装置11はスラグドア5の正面側に配置し、スラグ流8を正面から検知・撮影する。撮影装置11は、上述した通り、検知部と撮影部とを備えている。
(検知部)
検知部は電気炉1から流出するスラグ流8を検知するものである。スラグ流8の検知は、少なくともスラグ4が流出されうる領域(領域X)を監視することにより実施できる。検知部は、スラグ流8を検知する際、光学フィルタ等を用いて照明等の光を遮断してもよい。
「スラグ4が流出されうる領域(領域X)」とは、スラグ4が電気炉1から流出した場合に、それを検知部が検知できる領域をいう。領域Xの水平方向の範囲は流出されうるスラグ4の幅を含み、かつ、鉛直方向の範囲はスラグ排出口であるスラグドア5からスラグパン6の上端までの間の少なくとも一部を含む。「流出されうるスラグ4の幅」とは、電気炉1からスラグ4が流出した場合に、推定されるスラグ流8の水平方向の長さである。スラグ流の幅の推定値は、実験的に又はシミュレーションにより得ることができる。
スラグ流8の誤検出を防止する観点から、領域Xの水平方向の範囲は、スラグ流8の幅以上としてもよく、スラグ流8の幅の1500%以下としてもよい。同様に、スラグ流8の誤検出を防止する観点から、領域Xの鉛直方向の範囲は、スラグドア5からスラグパン6の上端までの間の長さの10%以上としてもよく、500%以下としてもよい。図3に領域Xの一例を示している。
スラグ流8の検知は、上記領域X内に現れる高輝度値物質を検知することにより実施できる。すなわち、検知部は領域X内の輝度値を測定している。検知部は、輝度値として、256階調で表現される輝度値(0~255)を採用している。
「高輝度値物質」とは、上記領域Xにおいて、背景よりも輝度値が高い物質であり、具体的にはスラグ流8である。例えば、輝度値が30以上255以下である場合、検知部は高輝度値物質をスラグ流8として検知してもよい。「背景」とは、領域Xにおいて、高輝度値物質以外の部分をいい、例えば輝度値が0以上29以下の部分である。このように検知部は、領域X内の輝度値を監視し、背景よりも輝度値が高い高輝度値物質(スラグ流8)を検知する。
ここで、高輝度値物質は背景よりも輝度値が高ければよいが、高輝度値物質と背景との輝度値の差が小さい場合、スラグ流8を適切に検知できない場合がある。そこで、スラグ流8を容易に検出する観点から、検知部は背景よりも輝度値が30以上高い高輝度物質をスラグ流8と判定してもよい。より検知精度を高める観点から、検知部は背景よりも輝度値が50以上高い高輝度物質をスラグ流8と判定してもよい。
また、誤検出を防止する観点から、領域Xの全面積に対し高輝度値物質の面積が0.1%以上となった場合に、高輝度値物質がスラグ流8であると検知してもよい。さらに誤検出を防止する観点から、領域Xの全面積に対し高輝度値物質の面積が0.5%以上となった場合に、高輝度値物質がスラグ流8であるとして検知してもよい。
(撮影部)
撮影部は、検知部がスラグ流8を検知した場合にスラグ流8を撮影するものである。撮影部によるスラグ流8の撮影は、検知部がスラグ流8を検知できなくなるまで続けてもよい。撮影された画像はコンピュータ12(演算部)に送信される。送信される画像の枚数は特に限定されないが、少なくとも2枚としてよい。
撮影部によるスラグ流8の撮影形式は静止画でもよく、動画でもよい。静止画を撮影する場合、少なくとも毎秒1枚の速度で画像を撮影する。スラグ4の流出量の推定精度を向上する観点から、毎秒10枚以上の静止画を撮影してもよい。動画を撮影する場合、撮影した動画から1秒間に少なくとも1枚の静止画を抽出する。スラグ4の流出量の推定精度を向上する観点から、撮影した動画から1秒間に10枚以上の静止画を抽出してもよい。
<コンピュータ12>
コンピュータ12は一般的なコンピュータと同様の構成を有していればよい。撮影装置11から画像データを取得するために、コンピュータ12は有線又は無線で撮影装置と接続されている。コンピュータ12は、上述した通り、演算部及び推定部を備えている。
(演算部)
演算部は、撮影部により撮影された画像からスラグ流8の体積流量を求めるものである。撮影部により撮影された「画像」とは、撮影部がスラグ流の静止画を撮影した場合は、その静止画自体であり、スラグ流の動画を撮影した場合は、動画から抽出された静止画を意味する。
演算部は、下記式(1)によりスラグ流の体積流量Q(m/s)を求めてもよい。
Q=SV=αD・V (1)
Q:スラグ流8の体積流量(m/s)
S:幅Dの計測位置におけるスラグ流8の断面積(m
V:幅Dの計測位置におけるスラグ流8の流速V(m/s)
α:スラグ流8の断面形状を補正するパラメータ
D:スラグ流8が撮影された画像から算出されたスラグ流の幅(m)
幅D(m)はスラグ流8を撮影した画像(静止画)から演算部により計測される。具体的には、幅Dは、スラグ流8を撮影した静止画において、鉛直方向の任意の位置におけるスラグ流8の幅である。任意の位置は演算部が決定してもよく、推定システム10の使用者が決定してもよい。幅Dの計測は、撮影した撮影機器11の倍率及び撮影機器11とスラグ流8との距離から幾何学的に算出される静止画1画素当たりの距離を基に、任意の位置におけるスラグ流8の水平方向の画素数から計測する。このとき、スラグ流8が水平方向に分断された場合、各スラグ流8の幅D1~Dn(nはスラグ流8の水平方向の分断数)の合計値を当該静止画の幅Dとする。
スラグ流8の断面積S(m)は、幅Dの計測位置におけるスラグ流8の断面積(水平方向断面積)であり、αDとして求められる。
パラメータαは、スラグ流8の断面形状を補正するパラメータである。パラメータαは、スラグ4を構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量器によって計測した流出スラグ量(kg)を真値として、パラメータフィッティングにより決定されてもよい。秤量器は、例えば受滓台車7等に取り付けたロードセル型の秤量器としてもよい。パラメータフィッティングはスラグ流8の断面形状が楕円形状であるとみなして実施してもよい。
スラグ流8の流速V(m/s)は、幅Dの計測位置におけるスラグ流8の流速であり、演算部により決定される。演算部は、スラグ流8の幅Dの計測位置から電気炉1におけるスラグ流8の流出開始位置(スラグドア5)までの鉛直方向の距離H(m)を求め、幅Dの計測位置における流速V(m/s)をスラグ流8の自由落下と仮定して(2gH)0.5として求めてもよい。あるいは、演算部は、スラグ流8の移動距離を少なくとも2枚以上の画像(静止画)からパターンマッチングにより求め、移動距離を求めた画像の撮影時刻の差(s)でスラグ流8の移動距離を割ることで、幅Dの計測位置における流速V(m/s)を求めてもよい。
(推定部)
推定部は、演算部において求めた体積流量を基に、電気炉1から流出するスラグ量を推定するものである。
推定部は、下記式(2)によりスラグの嵩密度ρ(kg/m)を求め、下記式(3)によりスラグ流の重量M(kg)を求めてもよい。
ρ=ρ・(100-φ)/100 (2)
M=ρ・Σ(Δt・Q) (3)
ρ:スラグ4の嵩密度(kg/m
ρ:均一液相スラグの密度(kg/m
φ:電気炉1における通電開始時(処理開始時)からスラグ流出時までのスラグ高さの変化から計算したスラグ中の気相率
Δt:画像の撮影時刻の間隔(s)(静止画で撮影した場合は、2枚の静止画の撮影時刻の間隔である。動画で撮影した場合は、動画から抽出された2枚の静止画の撮影時刻の間隔である。)
なお、スラグの気相率φは、以下の式(4)で求められる。
φ=(h-h)/h・100 (4)
:通電開始時のスラグ高さ(m)
h:幅D計測時におけるスラグ高さ(m)
ここで、均一液相スラグの密度ρは、スラグ4の成分組成から求めることができる。気相率φにおけるスラグ高さは、電極2を上昇又は下降させることによる通電状況の変化から求めてもよく、スラグ測深棒を用いて直接測定してもよい。
(効果)
上述した通り、推定システム10では、電気炉1から流出するスラグ4を画像解析によって推定している。従来は、スラグ流出部への治具の取り付けによるスラグ排出量の制御や炉内の形状等を考慮した幾何学的計算によるスラグ排出量の推定がなされてきた。これらは連続的な操業が困難である点や、炉内形状やスラグ・溶融金属の変化の影響を大きく受けることによる推定誤差が課題であった。また、受滓台車等に取り付けた秤量機による計測では、秤量機自体が高額である点や、秤量機と高温溶融物(溶融スラグや溶融金属)との接触による故障のリスクが課題であった。
これに対し、一実施形態の推定システム10はこれらの課題を全て解決することができる。すなわち、一実施形態の推定システム10によれば、排出ノズルへの治具取り付けの場合と比べて連続的な操業が可能な方法であり、かつ、排滓量を幾何学的もしくは経験的な実測値によって求める場合と比べて高い精度で、電気炉からのスラグ排出量を推定することができる
以上、本開示の推定システムについて、好適な実施形態である推定システム10を用いて説明した。ただし、本開示の推定システムはかかる例に限定されない。
例えば、本開示の推定システムは、転炉における排滓やスロッピング(突発的に転炉炉口から地金を含むスラグがあふれ出ること)量の推定に用いることも可能である。
また、本開示の推定システムは検知部、撮影部、演算部、及び推定部を備えていればよく、それを実現する装置の構成は特に限定されるものではない。一実施形態では検知部及び撮影部は同一の装置に設けられているが、本開示の推定システムはそれを必須としていない。検知部及び撮影部は別々の装置(例えば、別々の撮影装置)に設けられていてもよい。同様に、一実施形態では演算部及び推定部は同一の装置に設けられているが、本開示の推定システムはそれを必須としていない。演算部及び推定部は別々の装置(例えば、別々のコンピュータ)に設けられていてもよい。
[電気炉のスラグ流出量推定方法]
本開示の電気炉のスラグ流出量推定方法は、電気炉から流出するスラグ流を検知する検知工程と、前記スラグ流を検知した場合に前記スラグ流を撮影する撮影工程と、撮影された画像から前記スラグ流の体積流量を求める演算工程と、前記体積流量を基に、前記電気炉から流出するスラグ量を推定する推定工程と、を有する。
本開示の推定方法は本開示の推定システムにより実施可能である。本開示の推定方法の各構成については、上述したため、ここでは説明を省略する。
[電気炉における精錬方法]
本開示の電気炉における精錬方法は、上述した本開示の推定システム又は推定方法で推定されたスラグ流出量に基づいて、電気炉内に添加する精錬材の種類及び添加量、並びに電圧、電流、及び電極高さのうち少なくとも1つを調整するものである。精錬材は、高温溶融物の精錬に使用される部材である。精錬材の種類は特に限定されない。例えば、生石灰等のCaO源が挙げられる。
本開示の推定システム又は推定方法はスラグの流出量を高精度に推定することができるため、結果として電気炉内に残留しているスラグ量についても高精度に推定することができる。従って、本開示の電気炉における精錬方法では、高精度に推定されたスラグ流出量又はスラグ残留量に基づいて、電気炉内に添加する精錬材の種類及び添加量、並びに電圧、電流、及び電極高さのうち少なくとも1つを調整することにより、適切に高温溶融物の精錬を実施することができる。
例えば、精錬材としてCaO源を用いる場合、電気炉から流出した推定スラグ量が想定より少なく、あらかじめ準備しておいたCaO源の量では高温溶融物の塩基度が想定より低くなることが想定される場面がある。この場合、過剰なフォーミングや脱りん反応不足の懸念が生じるため、CaO源の追加投入が必要となる。このように、高精度に推定されたスラグ流出量に基づいて、精錬材の添加量を調整することにより、精錬反応に適するスラグ組成を得ることが可能となる。
また、電気炉の操業においてアーク発生のための電圧、電流及び電極高さも重要な指標の一つである。電力原単位の低下による効率的な通電のためには、スラグ量に応じた電圧、電流及び電極高さの制御が必要である。本開示では、高精度に推定されたスラグ流出量に基づいて、炉内のスラグ量の把握が可能であるため、その情報に基づいて電圧、電流及び電極高さの調整できる。これにより、効率的に通電を実施できるため、適切に高温溶融物を精錬することができる。
表1に、実施した試験例1~10の条件を示した。表1中のα、H、Δtは上述の説明の通りである。また、表2に、実施例として、本開示の推定システムを用いて推定したスラグ流出量を示した。比較例として、従来技術に基づいて、電気炉の炉内形状および傾動角度等から推定したスラグ流出量を示した。相対誤差は下記式(5)から求めた。
図4は試験例1~10のうちの1つのスラグ流出速度の計測結果である。図5は試験例1~10のうちの1つの累積スラグ流出量の計測結果である。図6はスラグ流出実績量と実施例により求めたスラグ流出推定量との関係を示した結果である。
Figure 2024042564000004
表2に示されている通り、実施例は比較例よりも高精度にスラグの流出量を推定していた。また、表2、図6に示されている通り、実施例は推定量と実績量とから求められる相対誤差が小さく、この観点からもスラグ流出量を高精度に推定できることが確認できた。
1 電気炉
2 電極
3 高温溶融物
4 スラグ
5 スラグドア
6 スラグパン
7 受滓台車
8 スラグ流
10 電気炉のスラグ流出量推定システム
11 撮影装置
12 コンピュータ

Claims (8)

  1. 電気炉から流出するスラグ流を検知する検知部と、
    前記スラグ流を検知した場合に前記スラグ流を撮影する撮影部と、
    撮影された画像から前記スラグ流の体積流量を求める演算部と、
    前記体積流量を基に、前記電気炉から流出するスラグ量を推定する推定部と、を有する、
    電気炉のスラグ流出量推定システム。
  2. 前記検知部は、256階調で表現される輝度値を測定し、背景よりも輝度値が30以上高い高輝度値物質を前記スラグ流として検知する、請求項1に記載の電気炉のスラグ流出量推定システム。
  3. 前記演算部は、下記式(1)により前記スラグ流の体積流量Q(m/s)を求める、請求項1又は2に記載の電気炉のスラグ流出量推定システム。
    Q=SV=αD・V (1)
    Q:スラグ流の体積流量(m/s)
    S:幅Dの計測位置におけるスラグ流の断面積(m
    V:幅Dの計測位置におけるスラグ流の流速V(m/s)
    α:スラグ流の断面形状を補正するパラメータ
    D:スラグ流が撮影された画像から算出されたスラグ流の幅(m)
  4. 前記推定部は、下記式(2)によりスラグの嵩密度ρ(kg/m)を求め、下記式(3)により前記スラグ流の重量M(kg)を求める、請求項3に記載の電気炉のスラグ流出量の推定方法。
    ρ=ρ・(100-φ)/100 (2)
    M=ρ・Σ(Δt・Q) (3)
    ρ:スラグの嵩密度(kg/m
    ρ:均一液相スラグの密度(kg/m
    φ:電気炉における通電開始時からスラグ流出時までのスラグ高さの変化から計算したスラグ中の気相率
    Δt:画像の撮影時刻の間隔(s)
  5. 前記演算部は、前記スラグ流の幅Dの計測位置から電気炉における前記スラグ流の流出開始位置までの鉛直方向の距離H(m)を求め、
    前記幅Dの計測位置における流速V(m/s)を前記スラグ流の自由落下と仮定して(2gH)0.5として求める、
    請求項3に記載の電気炉の電気炉のスラグ流出量推定システム。
  6. 前記演算部は、前記スラグ流の移動距離を少なくとも2枚以上の画像からパターンマッチングにより求め、
    前記移動距離を求めた画像の撮影時刻の差(s)で前記スラグ流の移動距離を割ることで、幅Dの計測位置における流速V(m/s)を求める、
    請求項3に記載の電気炉の電気炉のスラグ流出量推定システム。
  7. 前記演算部は、スラグを構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量器によって計測した流出スラグ量(kg)を真値として、パラメータフィッティングにより前記パラメータαを決定する、
    請求項3に記載の電気炉のスラグ流出量推定システム。
  8. 請求項1又は2に記載の電気炉のスラグ流出量推定システムで推定されたスラグ流出量に基づいて、
    前記電気炉内に添加する精錬材の種類及び添加量、並びに電圧、電流、及び電極高さのうち少なくとも1つを調整する、電気炉における精錬方法。
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