JP2016006221A - 竪型炉における溶滓量計測方法、及びその計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の竪型炉31における溶滓量計測方法は、竪型炉31に備えられた出銑口35から吐出され、且つ溶銑Xと溶滓Yとが混在する流れである出銑滓流Zに含まれる溶滓Yの溶滓量Msを計測するに際し、出銑口35から吐出される出銑滓流Zを撮像する撮像手段2を設けておき、撮像手段2にて、出銑滓流Zの画像を撮像し、撮像された画像を用いて、出銑滓流Zの流れ方向に垂直な断面の半径rを求め、求めた半径rと、出銑滓流Zの速度vとを基に、竪型炉31から吐出される溶滓量Msを算出する。
【選択図】図1
Description
炉内装入物の装入位置や粒度を適切に調整したり、高炉下部に設置された羽口からの送風条件(送風温度や送風湿分など)を適切に制御したりすることで、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応が効率よく進行させ、所望とする銑鉄の温度(出銑温度)が確保できるように操業を行っている。
その一方で、出銑滓流中の溶滓の量は、常に計測される状況とはなっていない。
高炉において安定した操業を行うためには、出銑滓流中の溶滓の量を常時且つ正確に知ることは非常に重要である。そのため、通常時(定常操業時)には、高炉鋳床にて分別された溶滓は、溶滓処理設備(水砕設備)などでその量を計量されるようになっている。
かかる状況下において、出銑滓流中の溶滓の量を正確に知るといった要求に寄与できそうな技術として、特許文献1の技術が考えられる。
つまり、出銑滓流中の溶滓の量を正確に知るといった要求に答えることのできる技術は、未だ開発されるに至っていないのが実情である。
本発明にかかる竪型炉における溶滓量計測方法は、竪型炉に備えられた出銑口から吐出され、且つ溶銑と溶滓とが混在する流れである出銑滓流に含まれる前記溶滓の溶滓量Msを計測するに際し、前記出銑口から吐出される前記出銑滓流を撮像する撮像手段を設けておき、前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を撮像し、撮像された前記画像を用いて、前記出銑滓流の流れ方向に垂直な断面の半径rを求め、求めた前記半径rと、前記出銑滓流の速度vとを基に、前記竪型炉から吐出される前記溶滓量Msを算出することを特徴とする。
好ましくは、前記速度vと前記半径r及び、別の手段で求められた「単位時間当たり吐出される前記溶銑の吐出量mf」を基に、式(1)から「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を算出し、算出された前記「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を時間積分することで、前記溶滓の溶滓量Msを算出するとよい。
好ましくは、前記補正係数kは、0≦k≦1の範囲内とされているとよい。
好ましくは、前記補正係数kは、前記速度vと前記半径rの少なくとも一方の値を用いて算出するとよい。
本発明にかかる竪型炉における溶滓量計測装置は、竪型炉に備えられた出銑口から吐出され、且つ溶銑と溶滓とが混在する流れである出銑滓流の画像を撮像する撮像手段と、撮像された前記画像を用いて、前記出銑滓流の流れ方向に垂直な断面の半径rを求める出銑滓流算出部と、求めた前記半径rと、前記出銑滓流の速度vとを基に、前記竪型炉から吐出される前記溶滓量Msを算出する溶滓量算出部と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記溶滓の吐出量msを算出する吐出量算出部を有し、前記吐出量算出部は、前記速度vと前記半径r及び、別の手段で求められた「単位時間当たり吐出される前記溶銑の吐出量mf」を基に、式(1)から「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を算出し、前記溶滓量算出部は、前記吐出量算出部にて算出された前記「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を時間積分することで、前記溶滓の溶滓量Msを算出するとよい。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
また、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に示す如く、高炉設備30は、その中核としての高炉31(高炉本体)と、高炉鋳床36とを有している。
高炉31は、外部が鋼板製の鉄皮で覆われ、且つ内部が耐火物(耐火煉瓦)で内張りされた竪型円筒状の炉体を有している。
上記した高炉31の内部では、高炉31の付帯設備の一つである装入装置により供給された、鉄鉱石とコークスなどの燃料を兼ねる還元材、及び不純物を除去するための石灰石に対して、羽口34から熱風を吹き入れて内部のコークスを燃焼させ、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応を行わせ、溶銑Xを製造する。製造された溶銑Xは、炉床部の側壁の出銑口35より、溶滓Yと混在された状態(出銑滓流Z)で取り出される。
この高炉鋳床36は、高炉31の出銑口35から出銑された溶銑Xが流れる出銑樋37を有している。
この出銑樋37は、水平方向に長尺で、且つ長手方向の両側、及び幅方向の出銑口35側に所定の高さを有する側壁が形成された運河状の流路であって、出銑口35の反対側、すなわち出銑樋37の最下流側には、トピードカー42に溶銑Xを装入するため傾注樋38が配備されている。
そして、出銑樋37の分岐部分、すなわち排滓樋39の下流近傍には、溶滓Y(溶融スラグ)が排滓樋39に流れるように案内する潜り堰40が設けられている。
また、出銑口35近傍の出銑樋37の上部には、吐出された出銑滓流Zが外部に飛散することを防止するための出銑樋カバー(図示せず)が設けられている。
溶銑Xと溶滓Yとが混在する状態で流れる出銑滓流Zは、排滓樋39近傍の潜り堰40で溶銑Xと溶滓Yとが分別され、分別された溶銑Xはそのまま出銑樋37の下流側に向かって流れる。その後、溶銑Xは、傾注樋38を介してトピードカー42に装入される。トピードカー42が停止するステーション(場所)には、トピードカー42及び内部に装入された溶銑Xの重量を計測するための計量手段7(ロードセル)が設けられており、高炉31から「単位時間当たり吐出される溶銑Xの吐出量mf」が計測可能となっている。
次に、本発明にかかる溶滓量計測装置について説明する。
図1に示すように、溶滓量計測装置1は、出銑口35近傍に設けられた撮像手段2を用いて、当該出銑口35から吐出された出銑滓流Z(溶銑Xと溶滓Yとが混在する流れ)の画像を撮像し、撮像された画像を用いて、「単位時間当たり吐出される溶滓Yの吐出量ms」を求め、求められた溶滓Yの吐出量msから出銑滓流Zに含まれる「溶滓量Ms」を算出するものである。
処理装置3は、撮像された2枚以上の画像を用いて、出銑滓流Zの速度vと流れ方向に垂直な断面の半径rを求める出銑滓流算出部4と、求めた速度vと前記半径r及び、別の手段7で求められた「単位時間当たり吐出される溶銑Xの吐出量(すなわち、溶銑Xの出銑速度)mf」を基に、「単位時間当たり吐出される溶滓Yの吐出量(すなわち、溶滓Yの出滓速度)ms」を算出する吐出量算出部5と、算出された単位時間当たり吐出される溶滓Yの吐出量msを時間積分することで、高炉31から吐出される出銑滓流Zに含まれる溶滓量Msを算出する溶滓量算出部6と、を有する。
以降、本発明の計測装置の詳細について説明する。なお、説明にあたっては、「単位時間当たり吐出される溶銑Xの吐出量mf」を、単に「溶銑Xの吐出量mf」と呼び、「単位時間当たり吐出される溶滓Yの吐出量ms」を単に「溶滓Yの吐出量ms」と呼ぶこととする。また、「高炉31から吐出される出銑滓流Zに含まれる溶滓量Ms」を単に「溶滓量Ms」と呼ぶこととする。
本実施形態の撮像手段2は、CCDカメラ(エリアカメラ)を採用している。また、撮像手段2へのダメージ低減のため赤外線カットフィルタを装着している。
なお、図2は、出銑滓流Zの画像の一例を示す図であり、画像左側が出銑口35側(高炉31側)を示し、右側が出銑樋カバー側(高炉鋳床36側)を示している。すなわち、出銑口35から吐出された出銑滓流Zは、上流を示す左側から下流を示す右側へ流れている。
上記のようにして撮像された複数の出銑滓流Zの画像は、処理装置3内の記憶部(図示せず)などに記憶される。処理装置3内には、記憶部の他、次に詳しく述べる出銑滓流算出部4、吐出量算出部5、溶滓量算出部6を備えている。処理装置3は、パソコンと当該パソコン内部で実行されるプログラムとから構成されている。
まず、撮像された画像から、出銑滓流Zの速度vを算出する過程について、述べる。
複数の画像から任意の画像を1つのフレーム画像として抽出し、その画像を「フレーム1」とする。加えて、「フレーム1」に続くフレーム画像(1つ後のフレーム)を「フレーム2」とする。
パターンマッチング手法により得られた「フレーム1における追跡領域Ga」の位置と「フレーム2における追跡領域Ga」の位置とを基に、フレーム1〜フレーム2間における追跡領域Gaが移動した画素数ΔL(pixel)を算出する。
溶滓Yが撮像されている複数の画像から、任意の画像を1枚(1つのフレーム)だけ抽出し、その画像を「フレーム3」とする。なお、「フレーム3」として、上記した出銑滓流Zの速度vを求める際に抽出した画像(フレーム1)を用いてもよいし、別の画像(例えば、フレーム2)を抽出してもよい。
図3に示すように、フレーム3において設定された投影領域Gbにおいて、水平方向にプロジェクション(輝度の加算)をとり、予め設定しておいた閾値より大きい輝度値を求め、閾値以上の輝度値が存在する領域の長さ(上下方向に沿った画素数)から出銑滓流Zの半径rを算出する。そして、出銑滓流Zの半径rより、流れ方向に垂直な断面の面積Sも算出する。なお、本実施形態においては、出銑滓流Zの流れ方向に垂直な断面を略真円として、半径r及び断面積Sを算出している。
詳しくは、予め別の手段7、例えば計量手段(ロードセル)により、トピードカー42及び内部に装入された溶銑Xの重量を計測して、溶銑Xの吐出量mf(出銑量)を求めておく。また、溶銑Xの比重ρfは予めわかっており、溶滓Yの比重ρsは実績値より予め求めておく。
なお、補正係数kは、出銑滓流Zにおける表面と内部の速度誤差や、出銑滓流Zの断面を略真円として考慮しているための誤差、出銑滓流Z内部における溶滓Yの充填率(出銑滓流Z内部の空隙率)などによる影響を補正するためのものである。
なお、この補正係数kは、定数(過去実績などに基づく所定値)を採用してもよく、出銑滓流Zの状況を反映した値としてもよい。例えば、補正係数kを出銑滓流Zの速度vと半径rの少なくとも一方の値を用いて算出することは非常に好ましい。この場合、補正係数kは、出銑滓流Zの速度vの計測値や半径rの計測値を用いた回帰分析(多変量の回帰分析)から算出することができる。
例えば、実際の操業においては、出銑滓流Zの半径rが逐次変わっているので、出銑滓流Z内部における溶滓Yの充填率も変わる。例えば、出銑滓流Zの半径rが大きくなると、溶滓Yの充填率が低くなる、つまり出銑滓流Z内部の空隙が多くなる。空隙が多くなると断面積は広くなるが、溶滓Yは密の状態となっていない(疎の状態)ため、出銑滓流Zの断面積S、すなわち半径rをそのまま用いることはできない。
詳しくは、溶滓Yの吐出量msを、式(5)に代入して、式(6)に変形し、溶滓量Msを算出する。
まず、例えば、撮像速度150fpsで動作するように設定された撮像手段2にて、出銑滓流Zの画像を少なくとも2枚以上撮像する。
次に、出銑滓流算出部4において、複数の画像から任意の画像を1つの画像として抽出し、その画像に続く画像も抽出する。これら抽出された2枚の画像を用いて、画像処理(例えば、パターンマッチング手法)を行う。画像処理で得られた結果を用いて、出銑滓流Zの速度vを求める。また、抽出された1つの画像において、水平方向にプロジェクションをとって、閾値より大きい輝度値を求め、その輝度値が存在する領域から出銑滓流Zの半径rを算出する。
以上述べたように、出銑口35から吐出された溶滓Yが、高炉鋳床36の排滓樋39を経て、水砕設備など溶滓処理設備に送られる際に、出銑口35近傍に設けられた撮像手段2にて、溶銑Xと溶滓Yが混在する出銑滓流Zが撮像され、出銑滓流算出部4により、撮像された出銑滓流Zの画像を画像処理して出銑滓流Zの速度vと半径rが求められ、その出銑滓流Zの速度v及び半径rと、予め計測された溶銑量Mfを基に、吐出量算出部5により溶滓Yの吐出量msを算出し、溶滓量算出部6により、溶滓Yの吐出量msを時間積分することで、出銑滓流Zに含まれる溶滓量Msを正確且つ容易に計測することが可能となる。
また、時間経過による出銑滓流Zの表面パターンの変動に対応するために、撮像手段2の撮像速度を50fps以上としているので、パターンマッチングの精度が向上することとなる。それ故、出銑滓流Zの計測精度、及び計測安定性が向上する。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 撮像手段(CCDカメラ)
3 処理装置
4 出銑滓流算出部
5 吐出量算出部
6 溶滓量算出部
7 別の手段(計量手段、ロードセル)
30 高炉設備
31 高炉(高炉本体)
34 羽口
35 出銑口
36 高炉鋳床
37 出銑樋(溶銑流路)
38 傾注樋
39 排滓樋
40 潜り堰
40a 配備された堰
40b 立設された堰
42 トピードカー
Ga 追跡領域
Gb 投影領域
X 溶銑(銑鉄)
Y 溶滓(溶融スラグ)
Z 出銑滓流
Claims (10)
- 竪型炉に備えられた出銑口から吐出され、且つ溶銑と溶滓とが混在する流れである出銑滓流に含まれる前記溶滓の溶滓量Msを計測するに際し、
前記出銑口から吐出される前記出銑滓流を撮像する撮像手段を設けておき、
前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を撮像し、
撮像された前記画像を用いて、前記出銑滓流の流れ方向に垂直な断面の半径rを求め、
求めた前記半径rと、前記出銑滓流の速度vとを基に、前記竪型炉から吐出される前記溶滓量Msを算出する
ことを特徴とする竪型炉における溶滓量計測方法。 - 前記出銑滓流の速度vは、
前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上撮像し、撮像された2枚以上の前記画像を用いて求める
ことを特徴とする請求項1に記載の竪型炉における溶滓量計測方法。 - 前記速度vと前記半径r及び、別の手段で求められた「単位時間当たり吐出される前記溶銑の吐出量mf」を基に、式(1)から「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を算出し、
算出された前記「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を時間積分することで、前記溶滓の溶滓量Msを算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の竪型炉における溶滓量計測方法。
- 前記撮像手段にて、前記出銑滓流の画像を撮像する際には、当該撮像手段の撮像速度を50fps以上として、連続撮像することを特徴とする請求項1〜3に記載の竪型炉における溶滓量計測方法。
- 前記補正係数kは、0≦k≦1の範囲内とされていることを特徴とする請求項3に記載の竪型炉における溶滓量計測方法。
- 前記補正係数kは、前記速度vと前記半径rの少なくとも一方の値を用いて算出することを特徴とする請求項3又は5に記載の竪型炉における溶滓量計測方法。
- 前記「単位時間当たり吐出される前記溶銑の吐出量mf」を求める前記別の手段として、前記溶銑が装入されたトピードカーの重量を計測するロードセルを用いていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の竪型炉における溶滓量計測方法。
- 竪型炉に備えられた出銑口から吐出され、且つ溶銑と溶滓とが混在する流れである出銑滓流の画像を撮像する撮像手段と、
撮像された前記画像を用いて、前記出銑滓流の流れ方向に垂直な断面の半径rを求める出銑滓流算出部と、
求めた前記半径rと、前記出銑滓流の速度vとを基に、前記竪型炉から吐出される前記溶滓量Msを算出する溶滓量算出部と、を有する
ことを特徴とする竪型炉における溶滓量計測装置。 - 前記撮像手段は、前記出銑滓流の画像を少なくとも2枚以上撮像し、
前記出銑滓流算出部は、前記撮像手段にて撮像された2枚以上の前記画像を用いて、前記出銑滓流の速度vを求める
ことを特徴とする請求項8に記載の竪型炉における溶滓量計測装置。 - 前記溶滓の吐出量msを算出する吐出量算出部を有し、
前記吐出量算出部は、前記速度vと前記半径r及び、別の手段で求められた「単位時間当たり吐出される前記溶銑の吐出量mf」を基に、式(1)から「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を算出し、
前記溶滓量算出部は、前記吐出量算出部にて算出された前記「単位時間当たり吐出される前記溶滓の吐出量ms」を時間積分することで、前記溶滓の溶滓量Msを算出する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の竪型炉における溶滓量計測装置。
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