JP2017159484A - 不燃性膜材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機織物にシリコーンエラストマーを含浸被覆してなる膜材で、折り曲げなどのストレスで、被覆物が剥離や脱落などを生じることなく、膜材の光透過外観に白化痕筋の発生が目立たない建築構造物用の不燃膜材とその製造方法の提供。【解決手段】無機繊維を糸条とする布帛で、かつビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤による表面処理が施された布帛を基材として、その少なくとも片面にシリコーンエラストマー含浸被覆層が形成された可撓性複合体において、シリコーンエラストマー含浸被覆層が、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含み、シリコーンエラストマー含浸被覆層と基材との接着界面に架橋結合を生成させる。【選択図】なし

Description

本発明は建築構造物用の不燃性膜材に関するもので、詳しくは無機織物にシリコーンエラストマーを含浸被覆してなる、可撓性及び耐候性に優れた不燃性膜材で、特に膜材料の縫製工程や建築構造物施工の取り扱い時に膜材を折り曲げたり、不慮に膜材に建築資材をぶつけたとしても、シリコーンエラストマー被覆物が剥離したり、脱落などを生じることなく、更に膜材の外観及び光透過外観において白化痕筋を発現することのない(効果的に抑止された)建築構造物用の膜材と、その製造方法に関する。
以前本出願人は、建築基準法の燃焼試験に適合し、屋外設置による汚れ防止効果、及び雨筋汚れ防止性を有する不燃性膜材として、不燃繊維(例えばガラス繊維)を含む布帛上にシリコーンエラストマー組成物による防水被覆層と、その上に光触媒物質成分と、必要に応じてポリイソシアネート化合物を含有する滑性表面層を設けてなる可撓性防汚不燃膜材(特許文献1)、また不燃繊維(例えばガラス繊維)を含む布帛上にシリコーンエラストマー組成物による防水被覆層と、この防水被覆層の上にシリコーン成分含有樹脂、反応性シロキサン化合物、必要に応じてポリイソシアネート化合物を含む組成物からなる中間層と、この中間層の上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層を設けてなる可撓性防汚不燃膜材料(特許文献2)を検討した。特許文献1及び2の膜材は確かに、不燃性と防汚性を兼備可能な可撓性膜材であるが、不燃繊維(例えばガラス繊維)による布帛とシリコーンエラストマー組成物との接着性に劣り、膜材を強く折り曲げた時に白化痕筋の光透過傷(繊維表面からシリコーンエラストマーが微細に部分剥離し、剥離部分が微細に空気と置換することで屈折率が変化して生じる白化傷)を生じ易いこと、更には膜材を繰り返し折り曲げた時にシリコーンエラストマー層が剥離、脱落を生じ易いことが最近明らかとなり、その改善が望まれている。
特開2006−272651号公報 特開2006−272660号公報
本発明は、無機織物にシリコーンエラストマーを含浸被覆してなる不燃性膜材で、可撓性及び耐候性に優れ、特に膜材料の縫製工程や建築構造物施工の取り扱い時に膜材を折り曲げたり、不慮に膜材に建築資材をぶつけたとしても、シリコーンエラストマー被覆物が極度に剥離したり、脱落などを生じることなく、更に膜材の外観及び光透過外観において白化痕筋の発生を目立たなくする(効果的に抑止された)、テント構造物、テント倉庫、日除けモニュメント、工場内間仕切り、防煙垂壁、光壁膜、光天井膜などの建築構造物用に適する膜材を提供しようとするものである。
本発明は上記の現状に鑑みて研究、検討を重ねた結果、無機繊維を糸条とする表面処理布帛を基材に、シリコーンエラストマー含浸被覆層が形成された可撓性複合体において、シリコーンエラストマー含浸被覆層と前記基材との接着界面に架橋結合を生成させることで、上記従来技術で問題となった、膜材を強く折り曲げた時の白化痕筋の光透過傷や、膜材を繰り返し折り曲げた時のシリコーンエラストマー層の剥離、脱落が効果的に抑止されることを見い出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の不燃性膜材は、無機繊維を糸条とする布帛で、かつビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤による表面処理が施された布帛を基材として、その少なくとも片面にシリコーンエラストマー含浸被覆層が形成された可撓性複合体であって、前記シリコーンエラストマー含浸被覆層が、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含み、前記シリコーンエラストマー含浸被覆層と前記基材との接着界面に架橋結合を生成させることが好ましい。これによって、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解物が布帛の無機繊維表面と結合し、一方ビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基は、シリコーンエラストマー含浸被覆層に含まれるアクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基と反応して架橋結合を生成することによって無機繊維布帛とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面接着力を向上させ、より屈曲強さに優れる不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明の不燃性膜材は、前記アクリレート系化合物が、分子構造の一部に、アルキル鎖、ヒドロキシアルキル鎖、アルキレンオキサイド、アルキレングリコール、ペンタエリスリトール、及びトリメチロールアルカンから選ばれた何れか1種以上の構造成分を含有することが好ましい。アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物の使用によって、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解物が布帛の無機繊維表面と結合し、一方ビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基はシリコーンエラストマー含浸被覆層に含まれるアクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基と反応して架橋結合を生成することによって無機繊維布帛とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面接着力を向上させ、より屈曲強さに優れる不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明の不燃性膜材は、前記無機繊維が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、アルミナ−ジルコニア繊維、ジルコニア繊維、バサルト繊維、炭化ケイ素系繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによってより屈曲強さに優れた不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明の不燃性膜材は、前記布帛の基本組織が、平織、三軸織、三軸バスケット織、2〜5×2〜5斜子織、3/1斜文(四枚綾)、3/1破れ斜文(四枚綾)、3/2斜文(五枚綾)、4/1斜文(五枚綾)、5/1斜文(六枚綾)、4/2斜文(六枚綾)、1・3/1・1斜文(六枚綾)、2飛び4/1朱子(五枚朱子)、3飛び4/1朱子(五枚朱子)、2飛び3/2朱子(五枚朱子)、3飛び3/2朱子(五枚朱子)から選ばれた1種であることが好ましい。これによってより屈曲強さに優れた不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明の不燃性膜材は、前記シリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に,酸化チタン、過酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらのドーピング物質から選ばれた1種以上の光触媒性物質が露出していることが好ましい。これによって防汚性に優れた不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明の不燃性膜材の製造方法は、無機繊維を糸条とする布帛を用い、この布帛の片面または両面にシリコーンエラストマー含浸被覆層を形成する工程において、前記布帛にビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤の加水分解物による表面処理を施し、ビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基を有するシラン加水分解物を前記布帛全体に固着させ、この布帛にアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含有するシリコーンエラストマー組成物を塗工・加熱してシリコーンエラストマー含浸被覆層を形成すると同時に、前記シラン加水分解物のビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基と前記アクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を反応させることによって、前記布帛に前記シリコーンエラストマー含浸被覆層を接着することが好ましい。これによって、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解物が布帛の無機繊維表面と結合し、一方ビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基は、シリコーンエラストマー含浸被覆層に含まれるアクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基と反応して架橋結合を生成することによって無機繊維布帛とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面接着力を向上させ、より屈曲強さに優れる不燃性膜材を得ることを可能とする。
本発明によれば、無機織物にシリコーンエラストマーを含浸被覆してなる膜材で、可撓性不燃性、及び耐候性を有し、特に膜材料の縫製工程や建築構造物施工の取り扱い時に膜材を折り曲げたり、不慮に膜材に建築資材をぶつけたとしても、シリコーンエラストマー被覆物が極度に剥離したり、脱落などを生じることなく、更に膜材の外観及び光透過外観において白化痕筋の発生を目立たなくする(効果的に抑止された)ので、テント構造物、テント倉庫、日除けモニュメント、工場内間仕切り、防煙垂壁、光壁膜、光天井膜などの建築構造物用の膜材に適するものである。
本発明の不燃性膜材は、無機繊維を糸条とする布帛で、かつビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤による表面処理が施された布帛を基材として、その少なくとも片面にシリコーンエラストマー含浸被覆層が形成され、シリコーンエラストマー含浸被覆層がアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含み、シリコーンエラストマー含浸被覆層と基材との接着界面に架橋結合を生成させたもので、必要に応じてシリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に光触媒性物質が露出する態様である。
本発明に使用する基材としての布帛の基本組織は、平織、三軸織、三軸バスケット織、2〜5×2〜5斜子織(2×2、3×3、4×4などの正則斜子織、3×2、4×2、4×3、5×3、2×3、2×4、3×4、3×5などの不規則斜子織)、3/1斜文(四枚綾)、3/1破れ斜文(四枚綾)、3/2斜文(五枚綾)、4/1斜文(五枚綾)、5/1斜文(六枚綾)、4/2斜文(六枚綾)、1・3/1・1斜文(六枚綾)、2飛び4/1朱子(五枚朱子)、3飛び4/1朱子(五枚朱子)、2飛び3/2朱子(五枚朱子)、3飛び3/2朱子(五枚朱子)から選ばれた1種で、経糸条群及び緯糸条群と、これら糸条群による交差隙間の総和面積率0〜10%を有する織物、及び経糸条群、及びバイアス糸条群と、これら糸条群による交差隙間の総和面積率0〜10%を有する三軸織物である。上記布帛(織物)の経糸及び緯糸、あるいは経糸及びバイアス糸の打込み密度に制限は無く、用いる糸条の太さ(デニール)に応じて任意の設計が可能であるが、糸条群による交差隙間の総和面積率0〜10%の範囲となる打込み密度で、目付量100〜500g/mの布帛が不燃性膜材の基材に適している。上記布帛(織物)には精練、撥水処理、吸水防止、バインダー樹脂固着、接着剤塗布などの公知の繊維処理加工を単数、または複数施したものが使用できる。
上記布帛を構成する糸条は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、アルミナ−ジルコニア繊維、ジルコニア繊維、バサルト繊維、炭化ケイ素系繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の無機繊維で構成され、これらはフィラメント直径が1〜10μm、フィラメント単糸0.1〜10デニール、繊度138〜2223dtex、特に277〜1112dtexのマルチフィラメントで、フィラメント数50〜500本を集束してなる糸条で、10〜40回/mの弱撚糸、または41〜200回/mの普通撚糸に束ね、あるいは無撚のまま、またはこれらの糸条2乃至3本の合撚糸(上記した異種の繊維糸条同士の合撚であってもよい)が使用できる。ガラス繊維は、Eガラス(例えば、SiO50〜63質量%、Al12〜16質量%、B8〜13%質量%、CaO+MgO15〜20質量%、NaO+KO微量)が好ましく、Cガラス、Gガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、DEガラスなど何れも使用できる。シリカ繊維は、シリカ(SiO)を主成分として95〜100質量%含み、副成分に酸化ホウ素(B)を0〜5質量%含むもの、アルミナ繊維は、アルミナ(Al)を65〜75質量%とシリカ(SiO)を25〜35質量%を主成分とし、副成分に酸化ホウ素(B)を0〜10質量%含むものが好ましい。アルミナ−ジルコニア繊維は、アルミナ源とジルコニア源及びジルコニアの安定化剤を含む粘稠液を紡糸し、加熱焼成したもの、ジルコニア繊維は、ジルコニア源及びジルコニアの安定化剤を含む粘稠液を紡糸し、加熱焼成したものが使用できる。バサルト繊維は、斜長石:Na(AlSi)−Ca(AlSiO)、輝石:(Ca,Mg,Fe2+,Fe3+,Al,Ti)[(Si,Al)]、カンラン石:(Fe,Mg)SiOを主構成鉱物とする玄武岩を原料に溶融紡糸したものが好ましい。炭化ケイ素系繊維は、炭素−ケイ素−酸素から構成されるもの、炭素−チタン及び/又はジルコニウム−ケイ素−酸素から構成されるチラノ繊維(宇部興産株式会社:登録商標)が好ましく、ポリカルボシラン、ポリチタノカルボシランあるはポリジルコノカルボシランのような有機ケイ素重合体を紡糸し、紡糸繊維を酸素含有ガス雰囲気中での加熱あるいは電離放射線照射で不融化し、1000〜1400℃で加熱することによって得られる。炭素繊維は、PAN(ポリアクリロニトリル黒鉛化)系、メソフェーズピッチ系、等方性ピッチ系の何れの炭素繊維も使用できる。
本発明に使用する布帛は、ビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤の加水分解物による表面処理が施されたものが好ましく、これによって、無機繊維からなる布帛とシリコンエラストマー(組成物)による含浸被覆層との接着力を向上させる効果を発現すること、詳しくはビニルシラン、メタクリロキシシラン、アクロロキシシランなどのアルコキシ基の加水分解物が布帛の無機繊維表面と結合し、一方ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基などはシリコーンエラストマー(組成物)に含まれるアクリレート系化合物のアクリロイル基、メタクリロイル基などと反応し、それによって無機繊維布帛とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面の接着力を強固とすることで、より屈曲強さに優れた不燃性膜材を得ることができる。これらのビニルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどのシランカップリング剤による無機繊維布帛への表面処理は、シランカップリング剤を1〜10質量%濃度で含み、アルコキシ基の加水分解物を含む水溶液中に無機繊維布帛を浸漬し、無機繊維布帛全体にアルコキシ基の加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ無機繊維布帛を構成する繊維表面にアルコキシ基の加水分解物を付着させたものを、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、80〜200℃の熱処理を施す方法が挙げられるが、この方法に限定されるものではない。
ビニルシランとしては具体的に、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリフェントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリペンチルオキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリカルボキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン及びトリ(イソプロポキシ)ビニルシランまたはこれらの混合物が例示できるが、ビニル基および加水分解性基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。またメタクリロキシシランとしては具体的に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリストリメチルシリルオキシシランなどが例示できるが、メタクリロキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物であれば特に制限はない。またアクリロキシシランとしては具体的に、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、アクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン、アクリロキシプロピルトリクロロシラン、アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、アクリロキシプロピルトリストリメチルシリルオキシシランなどが例示できるが、アクリロキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物であれば特に制限はない。
シリコーンエラストマー含浸被覆層を形成するシリコーンエラストマーは、付加反応硬化型、縮合反応硬化型、ラジカル(パーオキサイド架橋)反応硬化型などのシリコーンエラストマーが使用でき、特にトルエン等で希釈してコーティングが可能で、しかも低温硬化ができる付加反応硬化型が好ましい。付加反応硬化型は、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基が付加反応により結合して架橋しエラストマー化するもので、これらは例えば、ビニル基やヘキセニル基のような脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金族化合物系触媒からなる組成物が挙げられる。脂肪族不飽和基含有オルガノポリシロキサンとしては、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ビニルメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが挙げられる。縮合反応硬化型は、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基、またはオルガノポリシロキサンとシリカやシラン等のケイ素化合物中の官能基が縮合反応により結合して架橋しエラストマー化するもの、ラジカル反応硬化型は、オルガノポリシロキサン、補強性充填剤および有機過酸化物によりエラストマー化するものである。上記のシリコーンエラストマーには、増量充填剤、難燃剤、有機顔料、無機顔料、有機溶剤などを含有することができる。
アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物は、分子構造の一部に、アルキル鎖、ヒドロキシアルキル鎖、アルキレンオキサイド、アルキレングリコール、ペンタエリスリトール、及びトリメチロールアルカンから選ばれた何れか1種以上の構造成分を含有し、かつ1分子当たりアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を1〜6個有するアクリレート化合物、またはメタクリレート化合物である。具体的にアクリロイル基を1個有するアクリレート化合物として、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどの炭素数5〜20のアルキルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどの水酸基を有する炭素数1〜5のアルキルアクリレート、及びジメチロールシクロヘキシルモノアクリレート、ヒドロキシカプロラクトンアクリレート、ウレタンアクリレートなど、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキサイド変性オクチルオキシ化リン酸アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニルアクリレートなどのポリアルキレングリコールアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルグリシジルアクリレート、トリシクロデカンアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチルアクリレートなどの環状骨格を有するアクリレートなどが挙げられる。
また具体的にメタクリロイル基を1個有するメタアクリレート化合物として、イソオクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどの炭素数5〜20のアルキルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどの水酸基を有する炭素数1〜5のアルキルメタクリレート、及びジメチロールシクロヘキシルモノメタクリレート、ヒドロキシカプロラクトンメタクリレート、ウレタンメタクリレートなど、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸メタクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸メタクリレート、エチレンオキサイド変性オクチルオキシ化リン酸メタクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性メタクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性メタクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性メタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニルメタクリレートなどのポリアルキレングリコールメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルグリシジルメタクリレート、トリシクロデカンメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチルメタクリレートなどの環状骨格を有するメタクリレートなどが挙げられる。
具体的にアクリロイル基を2個有するアクリレート化合物として、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレートなどが挙げられる。具体的にアクリロイル基を3個有するアクリレート化合物として、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールオクタントリアクリレートなどのトリメチロールC2〜C10アルカントリアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリアクリレートなどのトリメチロールC2〜C10アルカンポリアルコキシトリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸トリス(エチルオキシアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートなどのアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。具体的にアクリロイル基を4個以上有するアクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが挙げられる。ペンタエリスリトールポリエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを挙げることができる。
具体的にメタクリロイル基を2個有するメタアクリレート化合物として、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジメタクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレートなどが挙げられる。具体的にメタクリロイル基を3個有するメタアクリレート化合物として、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールオクタントリメタクリレートなどのトリメチロールC2〜C10アルカントリメタクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリメタクリレートなどのトリメチロールC2〜C10アルカンポリアルコキシトリメタクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸トリス(エチルオキシメタクリレート)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。具体的にメタクリロイル基を4個以上有するメタアクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどが挙げられる。ペンタエリスリトールポリエトキシテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどを挙げることができる。
上記アクリレート系化合物は、加熱、紫外線照射(例えば光増幅剤としてベンゾフェノンを併用する)、電子線、触媒(例えばバナジウム系を併用する加熱硬化)、過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル)などによるアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基の開裂により、アクリロイル基同士、またはメタクリロイル基同士が付加重合、或いはアクリロイル基とメタクリロイル基とが付加重合することで緻密な架橋網目立体構造をシリコーンエラストマー含浸被覆層全体に生成すると同時に、シランカップリング剤の加水分解物による表面処理が施された布帛表面のビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基などとの架橋結合を成し、それによってシリコーンエラストマー含浸被覆層と布帛との界面を強固に接着する。段落〔0019〕〜〔0022〕に記載のアクリレート系化合物から選ばれた1種以上を、シリコーンエラストマー組成物の配合時に、シリコーンエラストマー100質量部に対して1〜20質量部、特に3〜10質量部含むことが好ましい。これによって、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解物が布帛の無機繊維表面と結合し、一方ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基などはシリコーンエラストマー含浸被覆層に含まれるアクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基と反応して架橋結合を生成することによって無機繊維布帛とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面接着力を向上させ、より屈曲強さに優れる不燃性膜材を得ることができる。
また、本発明の不燃性膜材の態様の1つとして、シリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に,酸化チタン、過酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらのドーピング物質から選ばれた1種以上の光触媒性物質が露出していることが得られる不燃性膜材に防汚性を附帯させるために好ましい。ドーピング物質は、金、銀、銅、プラチナ、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、クロム、ニオブ、マンガン、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、窒素、炭素、硫黄、リン、ホウ素、フッ素などが例示でき、これらのドーピングによって光触媒活性を向上し、或いは可視光による光触媒活性を発現させることを可能とする。光触媒性物質としては、酸化チタン、酸化チタンゾル、アナターゼ型ペルオキソチタン酸が好ましく、これら酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも使用できるが、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾルが好ましい。また、酸化チタン粒子表面をシリカ、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、ヒドロキシアパタイト、シリカアルミナ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの無機化合物で部分被覆してなる光触媒活性コントロールタイプの酸化チタン複合粒子であってもよい。さらにこれら光触媒性物質を担持する無機系多孔質微粒子を使用することもでき、無機系多孔質微粒子とは具体的に、シリカ、(合成)ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、シリカアルミナ、ケイ酸カルシウム、ケイソウ土などである。
光触媒性物質はシリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に露出していれば、シリコーンエラストマー含浸被覆層の表面近傍のみに光触媒性物質が偏在したもの、或いはシリコーンエラストマー含浸被覆層全体に均一分散した態様の何れであってもよい。前者はシリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に光触媒性物質を含有する塗工液を塗布することで光触媒性物質含有薄膜を形成すること、例えば光触媒性物質の粒子またはゾルと結着剤とを含む塗布剤の塗布、光触媒性物質の溶液からのゾルゲル法が例示できる。結着剤としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルフッ素共重合樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂などのバインダー、ポリシラザン、有機シリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)などによるケイ素化合物縮合物で、これらにシリカゾル、アルミナゾル、チタンゾルなどを含むことができる。光触媒性物質含有薄膜には光触媒性物質の粒子またはゾルを20〜60質量%含有することが好ましい。後者はシリコーンエラストマー含浸被覆層を形成するシリコーンエラストマー組成物中に光触媒性物質を5〜30質量%配合して用いることで形成することができる。
次ぎに実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、不燃性膜材の揉み屈曲強さの評価は以下の試験方法による。
(1)屈曲強さ(JIS L1096.8.19 B法)
試験膜材片を荷重500gf条件で装着し、300回の揉み屈曲を行い、膜材外
観を観察し、白化痕筋の発生、布帛(基材)からシリコーンエラストマー含浸被
覆層の剥離、及び脱落の有無を判定した。
1:外観に変化を認めない
2:白化痕筋の発生以外は異常を認めない
3:布帛(基材)からシリコーンエラストマー含浸被覆層が剥離
(部分的な剥離を含む)
4:布帛(基材)からシリコーンエラストマー含浸被覆層が脱落
(部分的な剥離、部分的な脱落を含む)
[実施例1]
ガラスマルチフィラメント繊維糸条(685dtex:フィラメント本数400)を経糸及び緯糸とするガラス繊維布帛:経糸打込密度42本/2.54cm×緯糸打込密度32本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量205g/mを、シランカップリング剤(ビニルシラン)として、ビニルトリエトキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にビニルシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にビニルシランの加水分解物を付着させた(ビニル基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(1)を基材として、その両面に下記〔配合1〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(1)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(1)に含有するアクリレート系化合物(1)と、接着処理布帛(1)のビニル基とを反応させ、接着処理布帛(1)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量483g/mの膜材を得た。
〔配合1〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(1)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(1) 10質量部
※トリプロピレングリコールジアクリレート(アクリロイル基:2個)
CH=CHCO(OCHH)OCOCH=CH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量485g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[実施例2]
ガラスマルチフィラメント繊維糸条(685dtex:フィラメント本数400)を経糸及び緯糸とするガラス繊維布帛:経糸打込密度42本/2.54cm×緯糸打込密度32本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量205g/mを、シランカップリング剤(メタクリロキシシラン)として、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にメタクリロキシシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にメタクリロキシシランの加水分解物を付着させた(メタクリロキシ基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(2)を基材として、その両面に下記〔配合2〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(2)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(2)に含有するアクリレート系化合物(2)と、接着処理布帛(2)のメタクリロキシ基とを反応させ、接着処理布帛(2)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量488g/mの膜材を得た。
〔配合2〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(2)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(2) 10質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(アクリロイル基:3個〕
〔CH=CHCOOCHCCHCH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量490g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[実施例3]
アルミナマルチフィラメント繊維糸条(2000dtex:フィラメント本数960)を経糸及び緯糸とするアルミナ繊維布帛:経糸打込密度26本/2.54cm×緯糸打込密度26本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量280g/mを、シランカップリング剤(ビニルシラン)として、ビニルトリイソプロポキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にビニルシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にビニルシランの加水分解物を付着させた(ビニル基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(3)を基材として、その両面に下記〔配合3〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(3)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(3)に含有するアクリレート系化合物(3)と、接着処理布帛(3)のビニル基とを反応させ、接着処理布帛(3)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量486g/mの膜材を得た。
〔配合3〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(3)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(3) 10質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(アクリロイル基:3個)
(CH=CHCOOCHCCHCH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量488g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[実施例4]
アルミナマルチフィラメント繊維糸条(2000dtex:フィラメント本数960)を経糸及び緯糸とするアルミナ繊維布帛:経糸打込密度26本/2.54cm×緯糸打込密度26本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量280g/mを、シランカップリング剤(メタクリロキシシラン)として、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にメタクリロキシシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にメタクリロキシシランの加水分解物を付着させた(メタクリロキシ基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(4)を基材として、その両面に下記〔配合4〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(4)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(4)に含有するアクリレート化合物(4)と、接着処理布帛(4)のメタクリロキシ基とを反応させ、接着処理布帛(4)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量481g/mの膜材を得た。
〔配合4〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(4)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(4) 10質量部
テトラエチレングリコールジアクリレート(アクリロイル基:2個)
CH=CHCO(OCHCHOCOCH=CH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量483g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[実施例5]
炭化ケイ素(炭素−チタン−ジルコニウム−ケイ素−酸素から構成)マルチフィラメント繊維糸条(2000dtex:フィラメント本数800)を経糸及び緯糸とする炭化ケイ素繊維布帛:経糸打込密度26本/2.54cm×緯糸打込密度26本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量225g/mを、シランカップリング剤(ビニルシラン)として、ビニルトリエトキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にビニルシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にビニルシランの加水分解物を付着させた(ビニル基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(5)を基材として、その両面に下記〔配合5〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(5)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(5)に含有するアクリレート系化合物(5)と、接着処理布帛(5)のビニル基とを反応させ、接着処理布帛(5)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量486g/mの膜材を得た。
〔配合5〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(5)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(5) 10質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(アクリロイル基:3個〕〔CH=CHCO(OCH)OCHCCHCH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量488g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[実施例6]
炭化ケイ素(炭素−チタン−ジルコニウム−ケイ素−酸素から構成)マルチフィラメント繊維糸条(2000dtex:フィラメント本数800)を経糸及び緯糸とする炭化ケイ素繊維布帛:経糸打込密度26本/2.54cm×緯糸打込密度26本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量225g/mを、シランカップリング剤(アクリロキシラン)として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを10質量%濃度で含み、この加水分解物を含む常温水溶液中に布帛を浸漬し、布帛全体にアクリロキシシランの加水分解物を含む水溶液を含浸、かつ布帛を構成する繊維表面にアクリロキシシランの加水分解物を付着させた(アクリロキシ基を有する)布帛を、ニップロールで絞り、余分な溶液を除去した後、100℃×3分間熱風乾燥して、布帛全体に接着処理を施した接着処理布帛(6)を基材として、その両面に下記〔配合6〕のシリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(6)のペーストをナイフコーティングし、180℃×5分間の熱処理を行い、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとの付加重合を完結させると同時に、シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(6)に含有するアクリレート化合物(6)と、接着処理布帛(6)のアクリロキシ基とを反応させ、接着処理布帛(6)とシリコーンエラストマー含浸被覆層との界面に架橋接着を形成し、厚さ0.56mm、質量484g/mの膜材を得た。
〔配合6〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(6)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 0.3質量部
アクリレート系化合物(6) 10質量部
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(アクリロイル基:2個)
C(CH(CH=CHCO(OCHO(CH
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
※光触媒物質含有防汚層の形成
下記光触媒性物質含有層形成用の塗工液を80メッシユのグラビアロールを有するコーターで15g/m塗布(wet)し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ光触媒性物質含有層をゾルゲル形成(固形分付着量2g/m)し、厚さ0.56mm、質量486g/mの膜材を得た。
〈光触媒性物質含有層形成用の塗工液〉
硝酸酸性酸化チタンゾル(酸化チタン含有量10質量%相当) 100質量部
硝酸酸性シリカゾル(酸化ケイ素含有量10質量%相当) 100質量部
[比較例1]
実施例1で用いた接着処理布帛(1)を、ガラスマルチフィラメント繊維糸条(685dtex:フィラメント本数400)を経糸及び緯糸とするガラス繊維布帛:経糸打込密度42本/2.54cm×緯糸打込密度32本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量205g/mの布帛(0)に変更し、更に実施例1で用いた〔配合1〕を下記〔配合7〕に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.56mm、質量487g/mの膜材を得た。得られた膜材の屈曲強さは接着処理布帛(1)から接着処理を省略し、シリコーンエラストマー含浸被覆層からアクリレート系化合物(1)を省略したことで屈曲部に剥離と樹脂の脱落を伴う状態であった。
〔配合7〕シリコーンエラストマー含浸被覆層形成用組成物(7)
※付加反応硬化型シリコーンエラストマー(下記2液を使用)
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 50質量部
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン 50質量部
白金族化合物(触媒) 0.2質量部
酸化チタン(白着色剤) 4質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
[比較例2]
実施例1で用いた接着処理布帛(1)を、ガラスマルチフィラメント繊維糸条(685dtex:フィラメント本数400)を経糸及び緯糸とするガラス繊維布帛:経糸打込密度42本/2.54cm×緯糸打込密度32本/2.54cm:空隙率0%の平織物:質量205g/mの布帛(0)に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.56mm、質量483g/mの膜材を得た。得られた膜材の屈曲強さは接着処理布帛(1)から接着処理を省略したことで屈曲部に剥離を伴い、含浸被覆層の一部が布帛(0)から剥離して乱反射で白化した状態であった。
[比較例3]
実施例1で用いた〔配合1〕を〔配合7〕に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.56mm、質量487g/mの膜材を得た。得られた膜材の屈曲強さはシリコーンエラストマー含浸被覆層からアクリレート系化合物(1)を省略したことで屈曲部に剥離を伴い、含浸被覆層の一部が布帛(0)から剥離して乱反射で白化した状態であった。
上記、実施例、及び比較例から明らかな様に、本発明によれば、無機織物にシリコーンエラストマーを含浸被覆してなる膜材で、可撓性不燃性、及び耐候性を有し、特に膜材料の縫製工程や建築構造物施工の取り扱い時に膜材を折り曲げたり、不慮に膜材に建築資材をぶつけたとしても、シリコーンエラストマー被覆物が極度に剥離したり、脱落などを生じることなく、更に膜材の外観及び光透過外観において白化痕筋の発生を目立たなくする(効果的に抑止された)ので、テント構造物、テント倉庫、日除けモニュメント、工場内間仕切り、防煙垂壁、光壁膜、光天井膜などの建築構造物用の膜材に適するものである。

Claims (6)

  1. 無機繊維を糸条とする布帛で、かつビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤による表面処理が施された布帛を基材として、その少なくとも片面にシリコーンエラストマー含浸被覆層が形成された可撓性複合体であって、前記シリコーンエラストマー含浸被覆層が、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含み、前記シリコーンエラストマー含浸被覆層と前記基材との接着界面に架橋結合を生成させることを特徴とする不燃性膜材。
  2. 前記アクリレート系化合物が、分子構造の一部に、アルキル鎖、ヒドロキシアルキル鎖、アルキレンオキサイド、アルキレングリコール、ペンタエリスリトール、及びトリメチロールアルカンから選ばれた何れか1種以上の構造成分を含有する請求項1に記載の不燃性膜材。
  3. 前記無機繊維が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、アルミナ−ジルコニア繊維、ジルコニア繊維、バサルト繊維、炭化ケイ素系繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上である請求項1または2に記載の不燃性膜材。
  4. 前記布帛の基本組織が、平織、三軸織、三軸バスケット織、2〜5×2〜5斜子織、3/1斜文(四枚綾)、3/1破れ斜文(四枚綾)、3/2斜文(五枚綾)、4/1斜文(五枚綾)、5/1斜文(六枚綾)、4/2斜文(六枚綾)、1・3/1・1斜文(六枚綾)、2飛び4/1朱子(五枚朱子)、3飛び4/1朱子(五枚朱子)、2飛び3/2朱子(五枚朱子)、3飛び3/2朱子(五枚朱子)から選ばれた1種である請求項1〜3の何れか1項に記載の不燃性膜材。
  5. 前記シリコーンエラストマー含浸被覆層の表面に,酸化チタン、過酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらのドーピング物質から選ばれた1種以上の光触媒性物質が露出している請求項1〜4の何れか1項に記載の不燃性膜材。
  6. 無機繊維を糸条とする布帛を用い、この布帛の片面または両面にシリコーンエラストマー含浸被覆層を形成する工程において、前記布帛にビニルシラン、メタクリロキシシラン及びアクリロキシシランから選ばれた1種以上のシランカップリング剤の加水分解物による表面処理を施し、ビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基を有するシラン加水分解物を前記布帛全体に固着させ、この布帛にアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含有するシリコーンエラストマー組成物を塗工・加熱してシリコーンエラストマー含浸被覆層を形成すると同時に、前記シラン加水分解物のビニル基及び/またはメタクリロキシ基及び/またはアクリロキシ基と前記アクリレート系化合物のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を反応させることによって、前記布帛に前記シリコーンエラストマー含浸被覆層を接着することを特徴とする不燃性膜材の製造方法。
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