電磁弁用コアの製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、電磁弁100の一種である電磁スプール弁に備えられる固定コア1の製造を例として説明する。
図1に示すように、本実施形態の電磁弁100は、ソレノイド部SLと、当該ソレノイド部SLによって駆動されるとともに油圧を調圧して出力するバルブ部VLとを備えている。ソレノイド部SLは、固定コア1と、固定コア1の径方向外側に配置された筒状コイル3と、固定コア1の径方向内側に配置された可動コア(プランジャ)4とを備えている。固定コア1、筒状コイル3、及び可動コア4は、有底筒状のケース5内に収容されている。ソレノイド部SLは、筒状コイル3に通電することによって発生する磁力を利用して可動コア4を軸方向Lに移動させる電磁駆動装置として構成されている。固定コア1、可動コア4、及びケース5は、磁性材料を用いて形成されている。本実施形態では、固定コア1が「電磁弁用コア」に相当する。
固定コア1は、磁性材料を用いて円筒状に形成されたコア本体部10と、このコア本体部10の軸方向Lの一方の端部から径方向に延びるフランジ部13とを備えている。以下の説明では、固定コア1のコア本体部10におけるフランジ部13が設けられた側を軸方向Lの「フランジ側Lf」と言い、それとは反対側のフランジ部13が設けられていない側を「軸端側Le」と言う。本実施形態では、フランジ側Lfが「軸方向第一側」に相当し、軸端側Leが「軸方向第二側」に相当する。コア本体部10は、軸方向Lに分割されており、軸端側Leに配置された第一筒状部11とフランジ側Lfに配置された第二筒状部12とを備えている。第一筒状部11と第二筒状部12とは同軸状に配置されている。第二筒状部12における第一筒状部11とは反対側の端部に、フランジ部13が設けられている。
可動コア4は、その外周面が固定コア1の第一筒状部11の内周面に接する状態で、第一筒状部11の径方向内側に配置されている。可動コア4は、第一筒状部11の内周面に摺接しつつ軸方向Lに沿って移動自在となっている。可動コア4のフランジ側Lfの端面には、円柱状部材からなるシャフト45が当接している。シャフト45は、その外周面が固定コア1の第二筒状部12の内周面に接する状態で、第二筒状部12の径方向内側に配置されている。シャフト45は、第二筒状部12の内周面に摺接しつつ軸方向Lに沿って移動自在となっている。
バルブ部VLは、円筒状のスリーブ6と、スリーブ6の内部に配置されたスプール7と、スリーブ6のソレノイド部SLとは反対側の端部に固定されたエンドプレート8と、スプール7とエンドプレート8との間に配置されたスプリング9とを備えている。スリーブ6には、入力ポートや出力ポート、ドレンポート、フィードバックポート等の各種ポートが形成されている。スリーブ6は、ソレノイド部SL側の端部において、ケース5に固定(本例ではかしめ固定)されている。
スプール7は、その外周面がスリーブ6の内周面に接する状態で、スリーブ6の径方向内側に配置されている。スプール7のソレノイド部SL側の端面には、シャフト45が当接している。スプール7は、スプリング9によってソレノイド部SL側に付勢されているとともに、筒状コイル3に通電された際の可動コア4の軸方向移動に連動して、スプリング9の付勢力に抗して軸方向Lにおけるエンドプレート8側に向かって移動自在となっている。本実施形態の電磁弁(電磁スプール弁)100は、例えば車両用駆動装置に備えられる摩擦係合装置の油圧制御用のリニアソレノイドバルブとして用いられる。
かかる構成の電磁弁100の性能を向上させるためには、固定コア1の磁気特性を向上させる必要がある。そこで、本実施形態の固定コア1は、コア本体部10における軸方向Lの中間部に磁気抵抗部18を備えている。磁気抵抗部18は、周方向に連続する環状に形成されている。磁気抵抗部18は、非磁性材料を用いて形成されている。磁気抵抗部18は、コア本体部10を構成する第一筒状部11と第二筒状部12とを接続するように、第一筒状部11と第二筒状部12との間に設けられている。本実施形態では、磁気抵抗部18は、コア本体部10の内周面10a及び外周面10bの両方に露出する状態に設けられている(図12を参照)。
固定コア1の製造方法は、準備工程S1と、充填工程S4と、加圧工程S6と、固化工程S7と、切削工程S10とを含む(図5及び図6を参照)。本実施形態では、固定コア1の製造方法は、予加熱工程S2と、保温工程S3と、減圧工程S5と、磁気焼鈍工程S8と、冷却工程S9とをさらに含む。準備工程S1、予加熱工程S2、保温工程S3、充填工程S4、固化工程S7、磁気焼鈍工程S8、冷却工程S9、及び切削工程S10は、記載の順に実施される。また、減圧工程S5は充填工程S4中に当該充填工程S4と並行して実施され、加圧工程S6は減圧工程S5の後に充填工程S4と固化工程S7とに亘って当該充填工程S4及び固化工程S7と並行して実施される。
図2に示すように、準備工程S1では、固定コア1(具体的には、コア本体部10及びフランジ部13)の元となる粗部材20を準備する。準備工程S1では、最終的に得られる固定コア1よりもひと回り大きい外形形状を有する粗部材20を準備する。粗部材20は、磁性材料を用いて形成されている。「磁性材料」とは、いわゆる強磁性材料のことであり、本実施形態では透磁率が高い軟磁性材料である。粗部材20は、例えば、フェライト系ステンレス鋼や析出硬化系ステンレス鋼等のステンレス鋼、磁性軟鉄、鉄−ニッケル系合金、機械構造用炭素鋼鋼材等を用いて形成することができる。粗部材20は、中空部を有する円筒状に形成されていても良いし、中空部を有さない円柱状(棒状)に形成されていても良い。
本実施形態では、粗部材20は、円筒状に形成された筒状本体部21と、この筒状本体部21の軸方向Lの一方の端部から径方向に延びるフランジ部23とを備えている。粗部材20は、筒状本体部21の軸方向Lの中間部に、外周面20bから軸心X側に向かって窪む環状溝25を有している。環状溝25は、軸心X側に向かって窪むように形成されているだけであり、軸心X側の空間には連通していない。環状溝25は、周方向に連続するように形成されている。
環状溝25の形状は、周方向全域に亘って一様となっている。本実施形態では、環状溝25は、直角台形状の縦断面形状を有するように形成されている。環状溝25は、軸方向Lに互いに対向する第一側面25a及び第二側面25bと、これら両側面25a,25bから連なる底面25cとによって区画形成されている。第一側面25aは、特定の軸方向位置において径方向に平行に延びるように形成されている。底面25cは、特定の径方向位置において軸方向Lに平行に延びるように形成されている。第二側面25bは、第一側面25aよりもフランジ側Lfの所定の軸方向領域において、径方向に対して傾斜して延びる部分を有するように形成されている。本実施形態では、第二側面25bは、フランジ側Lfに向かうに従って径方向外側に向かう傾斜面を有するように形成されている。なお、第二側面25bは、径方向に対して傾斜して延びる部分に加え、図2に示すように径方向に平行に延びる部分をも有するように形成されても良い。
粗部材20は、例えば鍛造、鋳造、切削、及びこれらの組み合わせ等によって形成することができる。
本実施形態では、図3に示すように、準備工程S1において、粗部材20に加え、固定コア1(具体的には磁気抵抗部18)の元となる充填材28を準備する。充填材28は、非磁性材料を用いて形成されている。「非磁性材料」とは、磁性材料に比べて磁界によって磁化しにくい材料のことであり、弱磁性材料を含む概念として用いる。本実施形態では、非磁性材料として透磁率が小さい材料を用いる。また、充填材28は、粗部材20を構成する材料よりも低融点の材料を用いて形成されている。充填材28は、例えば純銅、銅合金、純銀、及び銀合金等を用いて形成することができる。粗部材20の構成材料と充填材28の構成材料との好ましい組み合わせの一例としては、磁性軟鉄と純銅との組み合わせが挙げられる。これらは、入手が容易であるとともに、膨張係数が互いに近い値であるため熱膨張・収縮による接合面への影響が小さく抑えられる。
充填材28は、例えば予めワイヤ状に形成されたものを粗部材20の環状溝25の周方向長さに応じて切断して得ることができる。その後、ワイヤ状の充填材28の両端部を突き合わせて環状に成形して、その環状の充填材28を粗部材20の環状溝25に嵌め込む。なお、ワイヤ状の充填材28を環状に成形しながら環状溝25に嵌め込んだ後に、環状溝25の周方向長さに応じて充填材28を切断しても良い。その後、必要に応じて、ロール圧延機やプレス機等を用いて、環状溝25内で充填材28を圧縮しても良い。
このようにして準備された粗部材20及び充填材28が、後工程に供される。このとき、粗部材20及び充填材28は、図4に示すように、粗部材20の軸心Xが上下方向(鉛直方向)に沿い、且つ、フランジ部23が上側に位置するように起立した姿勢で、後工程に供される。この場合、環状溝25の第一側面25aは水平となるように配置され、第二側面25bは第一側面25aよりも上側において径方向外側に向かうに従って上側に向かって傾斜する部分を有するように配置される。本実施形態では、第二側面25bが「軸方向第一側の側面」に相当し、第一側面25aが「軸方向第二側の側面」に相当する。
少なくとも予加熱工程S2、保温工程S3、充填工程S4、減圧工程S5、加圧工程S6、固化工程S7、及び磁気焼鈍工程S8は、密封式の加熱炉(図示せず)を用いて、当該加熱炉内で実施することができる。冷却工程S9は、加熱炉から取り出した後に実施しても良いが、本実施形態では加熱炉内で実施するものとされている。加熱炉は、温度調節可能に構成されているとともに、本実施形態ではその内圧(加熱炉の内部の気圧)をも調節可能に構成されている。
予加熱工程S2、保温工程S3、充填工程S4、減圧工程S5、加圧工程S6、固化工程S7、磁気焼鈍工程S8、及び冷却工程S9は、図6に示す温度プロファイル及び圧力プロファイルに従って実施される。
予加熱工程S2では、粗部材20及び充填材28を、充填材28を構成する非磁性材料の融点Tm付近の温度(例えば充填材28の融点Tmよりも30℃〜70℃程度低い温度)まで加熱する。本実施形態では、この予加熱工程S2において、粗部材20及び充填材28の予加熱と共に、加熱炉内を真空吸引して加熱炉の内圧を低下させる。この真空吸引により、加熱炉内を、例えば内圧が0.1Pa以上100Pa未満の中真空状態、又は0.1Pa未満の高真空状態とする。こうして、充填工程S4の開始前に実施される予加熱工程S2において、粗部材20及び充填材28の周辺気圧を真空(ここでは絶対真空;0Pa)に近づける。本実施形態では、予加熱と共に真空吸引をも行う予加熱工程S2が「真空化工程」に相当する。
加熱炉内を高温真空雰囲気とすることで、加熱炉内が還元作用を発揮し得る状態となるので、粗部材20及び充填材28の表面に存在していた薄い酸化被膜等の軽微な汚れを、還元除去することができる。よって、粗部材20及び充填材28の表面の濡れ性を高めることができる。
保温工程S3では、粗部材20及び充填材28を、所定時間、充填材28の融点Tm付近の温度(予加熱工程S2の完了時の温度と同程度の温度であって良い)に保持させる。これにより、粗部材20及び充填材28の温度を極力ムラなく均一にすることができる。例えば加熱炉内で複数組の粗部材20及び充填材28を加熱する場合であっても、各組の粗部材20及び充填材28の温度を極力均一化することができる。
本実施形態では、この保温工程S3において、粗部材20及び充填材28の保温と共に、予加熱工程S2の終了時には中真空状態又は高真空状態となっていた加熱炉内に不活性ガスを注入して、加熱炉の内圧を上昇させる。注入される不活性ガスは、例えば窒素ガスであっても良いし、アルゴンガスやクリプトンガス等の希ガス等であっても良い。このガス注入により、加熱炉内を、例えば内圧が100Pa以上10000Pa未満の低真空状態、又は10000Pa以上大気圧未満の低圧状態とする。なお、本実施形態における低圧状態は、JISで定義された「低真空」の状態のうち、相対的に真空度が低く大気圧に近い状態であり、本実施形態における低真空状態は、同「低真空」の状態のうち相対的に真空度が高く中真空状態に近い状態である。こうして、充填工程S4の開始前に実施される保温工程S3において、粗部材20及び充填材28の周辺に不活性ガスを注入して充填材28の周辺気圧を上昇させる。本実施形態では、保温と共に不活性ガスのガス注入をも行う保温工程S3が「ガス注入工程」に相当する。
充填工程S4では、粗部材20及び充填材28を、充填材28の融点Tm以上であって粗部材20の融点未満の温度(例えば充填材28の融点Tmよりも10℃〜70℃程度高い温度)まで加熱した後、所定時間、その温度に保持させる。これにより、充填材28だけを溶融状態として、当該溶融状態の充填材28を粗部材20の環状溝25に充填する。このとき、先行する予加熱工程S2において粗部材20及び充填材28の表面の軽微な汚れが還元除去されて濡れ性が高められているので、環状溝25と溶融した充填材28との境界部位にボイド(空隙)Vが生じる可能性を低減することができる。
但し、環状溝25の表面に比較的大きな錆や頑固な汚れ等があると、予加熱工程S2による還元作用だけではそれらを十分に除去することができない場合がある。そのような場合には、充填工程S4において、環状溝25と溶融した充填材28との境界部位に比較的大きなボイドVが発生してしまう場合がある(図7を参照)。
そこで本実施形態では、充填工程S4中に、当該充填工程S4と並行して減圧工程S5が実施される。減圧工程S5は、例えば充填工程S4において加熱炉内の温度が充填材28の融点Tm以上の目標温度に達した後、予め定められた第一待機時間が経過した後に開始することができる。第一待機時間は、例えば3分以上20分未満の長さに設定されていることが好ましい。但しそのような構成に限定されることなく、例えば充填工程S4の開始時から所定時間が経過した後に減圧工程S5を開始するようにしても良い。
減圧工程S5では、保温工程S3の終了時及び充填工程S4の開始時には低真空状態又は低圧状態となっていた加熱炉内を真空吸引して、加熱炉の内圧を再度低下させる。この真空吸引により、加熱炉内を、例えば上述した中真空状態(内圧が0.1Pa以上100Pa未満の状態)又は高真空状態(内圧が0.1Pa未満の状態)とする。減圧工程S5での加熱炉の内圧は、例えば先行する予加熱工程S2での加熱炉の内圧と同程度とすることができる。こうして、充填材28が溶融状態の間であって加圧工程S6の開始前に実施される減圧工程S5において、充填材28の周辺気圧を充填工程S4の開始時の周辺気圧よりも低下させる。
減圧工程S5では、加熱炉内を中真空状態又は高真空状態とした後、所定時間、その内圧に保持させる。粗部材20及び充填材28の雰囲気を真空雰囲気とすることで、仮に充填工程S4の初期段階において環状溝25と溶融した充填材28との境界部位にボイドVが発生したとしても、当該ボイドVの容積を小さくすることができる。この点について補足すると、先行する保温工程S3で加熱炉内が低真空状態又は低圧状態とされるため、溶融状態の充填材28の内部に発生したボイドVの内圧は100Pa以上である。これに対して、減圧工程S5において加熱炉内が中真空状態又は高真空状態とされて、充填材28の周辺気圧が100Pa未満とされる。このような負の気圧差を生じさせることで、溶融状態の充填材28の内部でボイドVを膨張させ、その少なくとも一部を溶融状態の充填材28から雰囲気中に脱出させることができる(図8を参照)。よって、仮に充填工程S4の初期段階でボイドVが発生したとしても、減圧工程S5で脱泡した分だけ、ボイドVの容積を小さくすることができる(図9を参照)。
なお、粗部材20は、環状溝25の第二側面25bが第一側面25aよりも上側において径方向外側に向かうに従って上側に向かって傾斜する部分を有するように配置されているので、膨張したボイドVは、傾斜面(第二側面25b)に沿って案内されて溶融状態の充填材28から雰囲気中に脱出しやすい。よって、減圧工程S5において、ボイドVの容積を効率的に小さくすることができる。
減圧工程S5においては、充填材28の周辺気圧を当該減圧工程S5の開始時の周辺気圧に対して1/100以下に低下させることが好ましく、1/1000以下に低下させることがさらに好ましい。温度が一定であれば、理論上は気体の容積は圧力に反比例するため、充填材28の周辺気圧を上記のように低下させることで、ボイドVを大きく膨張させることができる。よって、ボイドVの大部分を溶融状態の充填材28から雰囲気中に脱出させることができ、残留するボイドVの容積を小さくすることができる。
充填工程S4中、減圧工程S5の後に充填工程S4と並行して実施される加圧工程S6では、減圧工程S5の終了時には中真空状態又は高真空状態となっていた加熱炉内に不活性ガスを注入して、加熱炉の内圧を再度上昇させる。注入される不活性ガスは、例えば窒素ガスや希ガス等であって良い。また、注入される不活性ガスは、予加熱工程S2において注入された不活性ガスと同種であっても良いし、異種であっても良い。このガス注入により、加熱炉内を、例えば上述した低真空状態(内圧が100Pa以上10000Pa未満の状態)又は低圧状態(内圧が10000Pa以上大気圧未満の状態)とする。加圧工程S6での加熱炉の内圧は、例えば先行する保温工程S3での加熱炉の内圧と同程度とすることができる。こうして、充填材28が溶融状態となっている充填工程S4と並行して実施される加圧工程S6において、粗部材20及び充填材28の周辺に不活性ガスを注入して、充填材28の周辺気圧を上昇させる。
粗部材20及び充填材28の雰囲気をそれ以前に比べて高圧雰囲気とすることで、仮に減圧工程S5の終了後においても環状溝25と溶融した充填材28との境界部位にボイドVが僅かに残留したとしても、当該ボイドVの容積をさらに小さくすることができる。この点について補足すると、先行する減圧工程S5で加熱炉内が中真空状態又は高真空状態とされるため、溶融状態の充填材28の内部に残留するボイドVの内圧は100Pa未満である。これに対して、加圧工程S6において加熱炉内が低真空状態又は低圧状態とされて、充填材28の周辺気圧が100Pa以上とされる。このような正の気圧差を生じさせることで、溶融状態の充填材28の内部でボイドVを圧縮することができる(図10を参照)。よって、仮に減圧工程S5の終了後にボイドVが僅かに残留したとしても、当該ボイドVの容積をさらに小さくすることができる。
加圧工程S6においては、充填材28の周辺気圧を当該加圧工程S6の開始時の周辺気圧に対して100倍以上に高めることが好ましく、1000倍以上に高めることがさらに好ましい。このようにすれば、加圧工程S6の前後での気圧差を102以上のオーダーで大きくすることができるので、ボイドVを大幅に圧縮することができ、最終的に残留するボイドVをほとんど無視できる程度に小さくすることができる。
固化工程S7は、加圧工程S6の開始後に当該加圧工程S6と並行して実施される。固化工程S7は、例えば加圧工程S6において加熱炉の内圧が目標圧力に達した後、予め定められた第二待機時間が経過した後に開始することができる。第二待機時間は、例えば3分以上20分未満の長さに設定されていることが好ましい。但しそのような構成に限定されることなく、例えば加圧工程S6の開始時から所定時間が経過した後に固化工程S7を開始するようにしても良い。
固化工程S7では、充填工程S4において充填材28の融点Tm以上に保持されていた加熱炉内の温度を、充填材28の融点Tm以下の温度(例えば充填材28の融点Tmよりも50℃〜150℃程度低い温度)まで低下させて、溶融していた充填材28を固化させる。但し、加熱炉内の温度は、粗部材20を構成する磁性材料の変態点Ar以上の温度(例えば粗部材20の変態点Arよりも20℃〜100℃程度高い温度)に維持させる。このとき、加熱炉内を低真空状態又は低圧状態に維持したままで、充填材28をその融点Tm以下に冷却して固化させる。これにより、加圧工程S6において極めて小さくなっているボイドVを、そのままの大きさで、環状溝25と固化した充填材28との接合部位に固定することができる。
磁気焼鈍工程S8では、粗部材20の磁気焼鈍処理を行う。本実施形態では、磁気焼鈍工程S8において、加熱炉に備えられた気圧調節機能を利用して、加熱炉の内圧(粗部材20の周辺気圧)を制御して粗部材20及び固化した充填材28を徐冷することによって磁気焼鈍処理を行う。例えば加熱炉内が中真空状態(但し、減圧工程S5における内圧よりも高くて良い)となるようにその内圧を低下させて、粗部材20及び固化した充填材28を徐冷することにより、磁気焼鈍処理を行う。磁気焼鈍処理は、例えば850℃〜950℃の温度域を0.5〜3時間かけてゆっくりと冷却させるように実施することができる。このような磁気焼鈍工程S8を実施することで、粗部材20を構成する磁性材料の内部歪みを除去したり、再結晶化を促進したりすることができる。よって、粗部材20の透磁率を高めたり保磁力を小さくしたりすることができ、粗部材20の磁気特性を高めることができる。
冷却工程S9では、磁気焼鈍処理後の粗部材20及び充填材28をさらに冷却する。冷却工程S9では、例えばその初期段階において不活性ガスによるパージを行って加熱炉内を急速に冷却することができる。やがて加熱炉内の温度が例えば150℃〜250℃程度まで低下すると、その後はガスパージを終了して自然放冷させることができる。
切削工程S10では、常温付近まで冷却された粗部材20及び固化した充填材28に対して、粗部材20における軸心X(図4を参照)側の部分と外面側の部分とを切削する。本実施形態では、切削工具が取り付けられた工作機械を用いて、筒状に形成された粗部材20の内周面20a及び外周面20bの両方を切削する(図11を参照)。なお、図11においては、切削前の内周面20a及び外周面20bを実線で示すとともに、切削後の内周面20a及び外周面20bを破線で示している。
図11に示すように、粗部材20の軸心X側においては、環状溝25の底面25cよりも径方向外側の部分を含むように、粗部材20の内周面20aが切削される。これにより、環状溝25内で固化した充填材28を、切削後の内周面20aに露出させる。なお、切削後の内周面20aは最終的に得られる固定コア1のコア本体部10の内周面10aとなり、固化した充填材28は固定コア1の磁気抵抗部18となる(図12を参照)。
上述したように、本実施形態では、固化工程S7の終了時に仮に環状溝25と固化した充填材28との接合部位にボイドVが残留したとしても、その残留ボイドVは極めて小さい。このため、残留ボイドVは、切削工程S10において粗部材20の軸心X側の他の部位と共に削出されてしまい、最終的に得られる固定コア1に残留ボイドVが影響を与えることがない。これにより、粗部材20の軸心X側における削り代を少なく抑えつつ、磁気抵抗部18の内周面も含めて、固定コア1のコア本体部10の内周面10aを平滑に仕上げることができる。
また、粗部材20の外面側においては、溶融状態での充填材28の表面張力によって不可避的に生じる充填材28の凹み(縮径部28r)の底部よりも径方向内側の部分を含むように、粗部材20の外周面20bが切削される。これにより、磁気抵抗部18の外周面も含めて、最終的に得られる固定コア1のコア本体部10の外周面10bを平滑に仕上げることができる。
なお、切削工程S10では、粗部材20における軸心X側の部分を穴あけ加工して、シャフト45が挿通される挿通孔12aをも形成する。
このようにして得られる固定コア1は、図12に示すように、磁性材料を用いて円筒状に形成され、軸方向Lに分割されたコア本体部10と、コア本体部10における分割部分(第一筒状部11,第二筒状部12)を接続するように環状に設けられた非磁性材料製の磁気抵抗部18とを備えている。固定コア1がコア本体部10の軸方向Lの中間部に磁気抵抗部18を有するので、電磁弁100において筒状コイル3への通電によって発生した磁束が、コア本体部10の内部を通って第一筒状部11から第二筒状部12へと直接流れることが制限される。このため、発生した磁束は、“ケース5→第一筒状部11→可動コア4→第二筒状部12→フランジ部13→ケース5”の順に、筒状コイル3の周囲を周回する。固定コア1の第一筒状部11から可動コア4へと磁束が受け渡され、さらに可動コア4から固定コア1の第二筒状部12へと磁束が受け渡されることにより、固定コア1と可動コア4との間に効率的に磁気吸引力を作用させることができる。よって、固定コア1の磁気特性を向上させることができ、電磁弁100の性能を向上させることができる。
かかる固定コア1において、磁気抵抗部18は、コア本体部10の内周面10aに露出しているとともに、その内周面がコア本体部10の内周面10aに連なる平滑面に形成されている。よって、本実施形態の固定コア1を備えた電磁弁100を長期間に亘って継続的に使用する場合にも、バルブスティック等の不具合の発生を有効に抑制することができる。
また、コア本体部10を構成する第一筒状部11及び第二筒状部12のそれぞれと磁気抵抗部18との間には、軸方向Lの2箇所の接合面(第一接合面11j,第二接合面12j)が形成されている。これら2箇所の接合面のうち、フランジ側Lfとなる第二筒状部12と磁気抵抗部18との間の第二接合面12jは、フランジ側Lfに向かうに従って径方向外側に向かう傾斜面を有するように形成されている。このため、可動コア4から固定コア1の第二筒状部12へと流れる磁束を、円滑に軸方向Lに沿って流れるように導くことができる。よって、可動コア4を軸方向Lに沿って移動させる駆動力を向上させることができ、電磁弁100の性能を向上させることができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、準備工程S1で準備される粗部材20が、直角台形状の縦断面形状の環状溝25を有する構成を例として説明した。そして、環状溝25の第一側面25aが径方向に平行に延びるように形成され、第二側面25bがフランジ側Lfに向かうに従って径方向外側に向かう傾斜面を有するように形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第二側面25bが、フランジ側Lfに向かうに従って段階的に径方向外側に向かうように階段状に形成されたり、径方向に平行に延びるように形成されたりしても良い。或いは、例えば第一側面25aが、軸端側Leに向かうに従って径方向外側に向かう傾斜状又は階段状に形成されても良い。
(2)上記の実施形態では、予加熱工程S2において、加熱炉の内圧を低下させて中真空状態又は高真空状態とすることによって粗部材20及び充填材28の表面の還元処理を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば水素ガス等の還元性ガスを加熱炉内に注入することによって粗部材20及び充填材28の表面の還元処理を行っても良い。或いは、表面状態が良好な粗部材20及び充填材28を継続的に入手可能な場合には、予加熱工程S2では、真空吸引や還元性ガス等による還元処理を伴うことなく、専ら粗部材20及び充填材28の予加熱だけを行っても良い。
(3)上記の実施形態では、予加熱工程S2での加熱炉の内圧と減圧工程S5での加熱炉の内圧とが同程度とされるとともに、保温工程S3での加熱炉の内圧と加圧工程S6での加熱炉の内圧とが同程度とされる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図13に示すように、予加熱工程S2での加熱炉の内圧と減圧工程S5での加熱炉の内圧とが互いに異なるように設定されても良い。また、保温工程S3での加熱炉の内圧と加圧工程S6での加熱炉の内圧とが互いに異なるように設定されても良い。
(4)上記の実施形態では、減圧工程S5において、加熱炉の内圧を減圧工程S5の開始時の内圧に対して1/100以下に低下させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、加熱炉の内圧を、減圧工程S5の開始時の内圧に対して例えば1/100〜1/10に低下させても良い。或いは、加熱炉の内圧を、減圧工程S5の開始時の内圧に対して例えば1/10〜1/2に低下させても良い。
(5)上記の実施形態では、加圧工程S6において、加熱炉の内圧を加圧工程S6の開始時の内圧に対して100倍以上に高める構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、加熱炉の内圧を、加圧工程S6の開始時の内圧に対して例えば10倍以上100倍未満に高めても良い。或いは、加熱炉の内圧を、加圧工程S6の開始時の内圧に対して例えば2倍以上10倍未満に高めても良い。
(6)上記の実施形態では、磁気焼鈍工程S8において、加熱炉の内圧を制御することにより、粗部材20及び固化した充填材28を徐冷する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば加熱炉に備えられた温度調節機能を利用して、加熱炉内の温度変化を直接的に制御することにより、粗部材20及び固化した充填材28を徐冷しても良い。
(7)上記の実施形態では、予加熱工程S2の終了後から加圧工程S6の開始までの間に、保温工程S3において加熱炉の内圧を一旦上昇させるとともに、減圧工程S5において加熱炉の内圧を再度低下させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図14に示すように、予加熱工程S2の終了後から加圧工程S6の開始までの間、予加熱工程S2の終了時における加熱炉の内圧をそのまま維持させても良い。
(8)上記の実施形態では、固化工程S7と冷却工程S9との間に磁気焼鈍工程S8を実施する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば固化工程S7の終了後、直ちに冷却工程S9を開始しても良い。
(9)上記の実施形態では、電磁スプール弁(スプール式の電磁弁100)用の固定コア1の製造を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばポペット式やスライド式等の他の方式の電磁弁100用の固定コア1に関しても、上記の実施形態と同様の製法によって製造することができる。
(10)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る電磁弁用コアの製造方法は、好適には、以下の各構成を備える。
電磁弁(100)用コア(1)の製造方法であって、
磁性材料を用いて円筒状又は円柱状に形成されており、外周面(20b)から軸心(X)側に向かって窪むとともに周方向に連続する環状溝(25)を軸方向(L)中間部に有する粗部材(20)を準備する準備工程(S1)と、
前記粗部材(20)よりも低融点の非磁性材料からなる充填材(28)を、溶融状態として前記環状溝(25)に充填する充填工程(S4)と、
前記充填材(28)が溶融状態の間に前記充填材(28)の周辺気圧を上昇させる加圧工程(S6)と、
前記加圧工程(S6)の後、前記充填材(28)を当該充填材(28)の融点(Tm)以下に冷却して固化させる固化工程(S7)と、
前記固化工程(S7)の後、前記粗部材(20)における少なくとも軸心(X)側の部分を切削して、前記環状溝(25)内で固化した前記充填材(28)を切削後の内周面(20a)に露出させる切削工程(S10)と、
を含む。
この構成によれば、準備工程(S1)、充填工程(S4)、固化工程(S7)、及び切削工程(S10)を経ることで、磁性材料製のコア本体部の軸方向(L)中間部に非磁性材料製の磁気抵抗部を有する電磁弁(100)用コア(1)を製造することができる。このとき、充填材(28)が溶融状態の間に加圧工程(S6)を実施して充填材(28)の周辺気圧を上昇させることで、仮に充填工程(S4)において粗部材(20)と溶融した充填材(28)との境界部位にボイドが発生したとしても、当該ボイドを圧縮してその容積を小さくすることができる。このため、切削工程(S10)の後に最終的に得られる電磁弁(100)用コア(1)における、充填材(28)に由来する磁気抵抗部にはボイドがほとんど残留せず、或いは仮に残留したとしても非常に小さいものとなる。従って、磁性材料製のコア本体部の軸方向(L)中間部に非磁性材料製の磁気抵抗部を有する電磁弁(100)用コア(1)を、磁気抵抗部が平滑な内周面を有するように製造することができる。
一態様として、
前記充填材(28)が溶融状態の間であって前記加圧工程(S6)の開始前に、前記充填材(28)の周辺気圧を前記充填工程(S4)の開始時の周辺気圧よりも低下させる減圧工程(S5)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、仮に充填工程(S4)において粗部材(20)と溶融した充填材(28)との境界部位にボイドが発生したとしても、充填材(28)の周辺気圧を低下させることでボイドを膨張させ、その少なくとも一部を溶融した充填材(28)から雰囲気中に脱出させることができる。よって、ボイドの容積を小さくすることができる。その後、加圧工程(S6)においてボイドを圧縮することで、その容積をさらに小さくすることができる。こうして、減圧工程(S5)とそれに引き続く加圧工程(S6)とが相俟って、仮に充填工程(S4)中にボイドが発生したとしても、最終的に残留するボイドを大幅に小さくすることができる。
一態様として、
前記充填工程(S4)の開始前に、前記充填材(28)の周辺に不活性ガスを注入して前記充填材(28)の周辺気圧を上昇させるガス注入工程(S3)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、充填工程(S4)及び減圧工程(S5)の開始前に不活性ガスによるガス注入工程(S3)を実施することで、粗部材(20)の表面状態を維持させたまま、減圧工程(S5)の前後での気圧差を容易に大きくすることができる。例えば前工程において粗部材(20)の還元処理を行った場合に、その表面の濡れ性を高く維持してその後の充填工程(S4)中にボイドが発生する可能性を低減しつつ、仮にボイドが発生したとしても減圧工程(S5)においてボイドを大きく膨張させてその大部分を溶融した充填材(28)から雰囲気中に脱出させることができる。よって、最終的に残留するボイドをほとんど無視することができる程度に小さくすることができる。
一態様として、
前記環状溝(25)における軸方向第一側(Lf)の側面(25b)が、当該軸方向第一側(Lf)に向かうに従って径方向外側に向かう傾斜面を有するように形成され、
前記傾斜面が軸方向第二側(Le)の側面(25a)よりも上側に位置するように前記粗部材(20)を起立させた状態で、前記充填工程(S4)から前記固化工程(S7)までを行うことが好ましい。
この構成によれば、環状溝(25)における軸方向第一側(Lf)の側面(25b)が径方向外側に向かうに従って上側に向かうように傾斜する状態で、充填工程(S4)から固化工程(S7)までが行われる。このため、減圧工程(S5)中にボイドが膨張した際に、当該ボイドが環状溝(25)の上向き傾斜面に沿って充填材(28)から雰囲気中に脱出しやすい。よって、減圧工程(S5)において、ボイドの容積を効率的に小さくすることができる。
一態様として、
前記充填工程(S4)の開始前に、前記粗部材(20)の周辺気圧を真空に近づける真空化工程(S2)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、準備工程(S1)で準備された粗部材(20)の表面に存在していた薄い酸化被膜等を、真空雰囲気による還元作用によって低減することができる。よって、粗部材(20)の表面の濡れ性を高めることができ、充填工程(S4)中に粗部材(20)と溶融した充填材(28)との境界部位にボイドが発生する可能性を低減することができる。
一態様として、
前記固化工程(S7)の後、前記切削工程(S10)の開始前に、前記粗部材(20)の磁気焼鈍処理を行う磁気焼鈍工程(S8)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、例えば粗部材(20)を構成する磁性材料の内部歪みを除去したり再結晶化を促進したりして、電磁弁(100)用コア(1)の透磁率を高めたり保磁力を小さくしたりすることができる。よって、電磁弁(100)用コア(1)の磁気特性を高めることができる。
一態様として、
前記磁気焼鈍工程(S8)において、前記充填材(28)の周辺気圧を制御して前記粗部材(20)を徐冷することによって前記磁気焼鈍処理を行うことが好ましい。
本実施形態の電磁弁(100)用コア(1)の製造方法は加圧工程(S6)という特有の工程を含み、この加圧工程(S6)を行うためには充填材(28)の周辺気圧を制御する(ここでは特に気圧を上昇させる)ための設備が必要である。この点に注目し、上記の構成によれば、加圧工程(S6)を実施するために必要な気圧制御用の設備を利用しつつ、充填材(28)の雰囲気の気圧制御という比較的簡易な手法により、粗部材(20)をゆっくりと冷却して電磁弁(100)用コア(1)の保磁力を小さくすることができる。よって、制御性に優れた電磁弁(100)に適したコア(1)を、良好に製造することができる。
一態様として、
前記加圧工程(S6)において、前記充填材(28)の周辺気圧を当該加圧工程(S6)の開始時の周辺気圧に対して100倍以上に高めることが好ましい。
この構成によれば、加圧工程(S6)の前後での気圧比を100倍以上に大きくすることができる。よって、仮に充填工程(S4)中にボイドが発生したとしても、加圧工程(S6)においてボイドを大きく圧縮して、最終的に残留するボイドの容積を大幅に小さくすることができる。
本開示に係る電磁弁用コアの製造方法は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。