JP4721457B2 - 焼結軟磁性体、およびそれを用いた焼結可動鉄心、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

焼結軟磁性体、およびそれを用いた焼結可動鉄心、ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れた磁気特性とともに高い機械的強さ(特に、疲れ強さ)を有する焼結軟磁性体、焼結軟磁性体による焼結可動鉄心、焼結軟磁性体の製造方法、および焼結可動鉄心の製造方法に係る。
近年、自動車等においては、電子制御部品の比率が格段に増えてきており、このため電子制御に用いられる軟磁性部品の点数も増えてきている。また、このような軟磁性部品において、焼結軟磁性体を用いたものは、ニアネットシェイプに造形できるため、その適用が広がってきている(例えば、特許文献1等)。
このような焼結軟磁性体を用いた電子制御部品の一つに電磁アクチュエータ等の電磁弁に用いられる焼結可動鉄心がある(例えば、特許文献2、3等)。可動鉄心は、ソレノイドコイルが巻回された固定鉄心に対向して配置され、弁座と隣接する弁体を備えて、固定鉄心とともに電磁弁を構成する部品である。このような構造の電磁弁においては、ソレノイドコイルに電流を供給することにより、固定鉄心と可動鉄心との間に発生する磁力によって可動鉄心がその長手方向に進退し、弁の開閉が行われる。このような可動鉄心には、磁束密度が高いことが要求される。また、可動鉄心の軸部材は、軸方向に往復移動させる際に、この軸方向軌道を安定させるための軸支部と摺動するとともに、軸部材の反固定鉄心側への移動時の他部材との衝突(可動鉄心と弁体とを一体化させた電磁弁における弁座との衝突など)を繰り返す。このため、軸部材には、優れた耐摩耗性および繰り返し衝撃に対する優れた疲れ強さが要求される。そのような要求に応えるため、近年では、高速度工具鋼(例えばJIS規格のSKH51材)、軸受鋼(例えばJIS規格のSUJ2材)、ステンレス鋼(例えばJIS規格のSUS304材やSUS440C材)等の優れた機械的特性を有する溶製鋼からなる軸部材と、高磁気特性を有する軟磁性材部材との別個の部材から構成された焼結可動鉄心が提案されている。
図1は、上記したような別個の部材から構成された焼結可動鉄心を備える電磁弁の代表的な構造を示す側面図である。この図に示すように、電磁弁は、可動鉄心3が、その一端に弁座(図示略)と離接する弁体(図示略)を備える軸部材1の他端側に、通常円筒状の軟磁性部材2を備え、軸部材1の長手方向において可動鉄心3と対向する位置に固定鉄心4が配置され、この固定鉄心4にはソレノイドコイル5が巻回された構造となっている。図1の電磁弁においては、固定鉄心4に巻回されたソレノイドコイル5に電流を供給することによって、可動鉄心3が固定鉄心4側に磁力吸引されて弁が開くとともに、固定鉄心4に巻回されたソレノイドコイル5に流れる電流を遮断することによって、図示しないばねの復帰力により可動鉄心3が元の位置に復帰し、弁が閉じられる。このような焼結可動鉄心には、図2のように、軟磁性部材2に凹部2aを形成したものがある。この凹部2aは、電磁弁が突出する流体の流れによる抵抗を軽減する作用、漏れ磁束を抑制して不要な磁気回路を遮蔽する作用、および切り欠きにより渦電流を抑制する作用を有し、これらの作用により可動鉄心の応答性を高めることができる。
特開2005−060830号公報 特開2000−087117号公報 国際公開WO2005/029515号公報
ところで、上記のような焼結可動鉄心は、軸部材が溶製鋼から構成されているため、耐摩耗性および繰り返し衝撃に対する疲れ強さは充分であると考えられていた。そのため、焼結可動鉄心の軟磁性部材は、専ら磁気特性に主眼をおいて選定されてきた。ところが、この軟磁性部材は直接固定鉄心等に接触しないが、軸部材の弁体が弁座に繰り返し衝突する際に、軟磁性部材にも衝突の衝撃が伝播される。このため、電磁弁を使用していると、繰り返し衝撃による応力が蓄積されて、軟磁性部材で疲れ破壊する場合が生じることがわかってきた。特に、図2のように焼結可動鉄心の軟磁性部材に凹部が形成された形状のものにおいては、応力が凹部に集中し易いため、この傾向が一層顕著である。
そこで、本発明は、磁気特性に優れ、機械的強さの高い焼結軟磁性体を提供するとともに、焼結軟磁性体を用いた焼結可動鉄心、およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
上記のような破壊が生じた軟磁性体について本発明者等が検討した結果、破壊の生じた軟磁性体の結晶粒が大きく成長していること、破壊は結晶粒内で生じており、脆性破壊していることから機械的強さが低いことを突き止めた。本発明者等はこのような知見の下、研究を重ね、結晶粒の成長を抑制することで、結晶粒内部での脆性破壊を回避して粒界破壊とすることができ、機械的強さが向上することを見出した。併せて本発明者等は、結晶粒の成長を抑制する方策について、成分元素の含有量を調整すること、および成形条件、焼結条件等の製造条件を最適化することにより、磁気特性と機械的強さを兼ね備えた軟磁性体とすることができることを見出した。本発明はこれらの検討の結果、得られたものである。
具体的には、本発明の焼結軟磁性体は、応力が集中する凹部を有する焼結軟磁性体であって、全体組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなるとともに、少なくとも表層から1mm以下の表層部を除いた内部の結晶粒径が700μm以下であり、かつ前記表層部が除去され、表層から内部の全ての箇所で結晶粒径が700μm以下であることを特徴とする。また、密度比を93%以上とすることを好ましい態様とする。
本発明の焼結可動鉄心は、軟磁性部材からなる外側部材の内孔に鋼材からなる軸部材の一端を嵌合させ、両者を拡散接合して形成される。本発明の焼結可動鉄心は、前記外側部材が、応力が集中する凹部を有する形状のものとした場合であっても、疲れ破壊が生じないという優れた効果を奏するものである。
本発明の焼結軟磁性体の製造方法は、上記の焼結軟磁性体の製造方法であり、原料粉末を所望の形状に圧粉成形する成形工程と、成形工程により得られた成形体を焼結する焼結工程を有する。焼結軟磁性体の製造方法において、平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末、Pの含有量が3〜30質量%のFe−P合金粉末、および平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を用いるとともに、前記純鉄粉末に、少なくとも前記シリコン粉末を被覆して与え、組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなる前記原料粉末を用いる。前記成形工程において、成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形し、前記焼結工程において、1100〜1190℃の温度範囲で焼結するとともに、前記焼結工程の後、表層から1mm以下の表層部を除去する加工工程を追加することを特徴とする
本発明の焼結可動鉄心の製造方法は、上記の焼結可動鉄心の製造方法であり、原料粉末を、内孔を有するとともに、外側部材の形状に圧粉成形する成形工程と、成形工程により得られた外側部材の内孔に鋼材からなる軸部材の一端を嵌合して一体化する嵌合工程と、嵌合工程により一体化された外側部材と軸部材を加熱して、外側部材の焼結を行うとともに、外側部材と軸部材を拡散接合する焼結工程と、拡散接合された外側部材と軸部材を熱処理して軸部材を調質する熱処理工程を有する。焼結可動鉄心の製造方法において、平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末、Pの含有量が3〜30質量%のFe−P合金粉末、および平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を用いるとともに、前記純鉄粉末に、少なくとも前記シリコン粉末を被覆して与え、組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなる前記原料粉末を用いる。前記成形工程において、成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形し、前記焼結工程において、1100〜1190℃の温度範囲で焼結し、前記熱処理工程において、軸部材の焼き入れ可能温度以上、かつ焼結温度以下の温度に加熱して焼き入れし、その後焼き戻すとともに、前記焼結工程の後、表層から1mm以下の表層部を除去する表層部除去工程を追加することを特徴とする。また、応力が集中する凹部を焼結可動鉄心の軟磁性材部に形成する場合、前記成形工程において、外側部材に凹部を形成する、もしくは前記焼結工程の後に機械加工によって、外側部材に凹部を形成してもよい。さらに、表層部除去工程を機械加工で行うとともに、同時に外側部材に上記凹部を形成してもよい。
本発明の焼結軟磁性体は、Si:3.0質量%以下、P:0.5質量%以下および残部がFeと不可避不純物からなる構成としたことにより優れた磁気特性を示すとともに、内部の結晶粒径を700μm以下に抑制したことにより高い機械的強さを示すものである。また、本発明の焼結軟磁性体を、溶製鋼材からなる軸部材と焼結軟磁性体からなる軟磁性部材とにより構成された焼結可動鉄心に適用した場合には、電磁弁の使用時における繰り返し衝突の衝撃に耐え、疲れ破壊が生じない優れた焼結可動鉄心とすることができる。
[焼結軟磁性体]
本発明は、上記のように結晶粒の成長を抑制することで機械的強さを向上させたものである。本発明者等の検討の結果、焼結軟磁性体の結晶粒の粒径を700μm以下とすることで、例えば、繰り返し衝突の衝撃が軟磁性部材に伝播、作用する焼結可動鉄心としての使用においても、実用上問題なく使用できることを見出した。また、上記結晶粒径を実現できる成分組成について検討した結果に基づき、本発明の焼結軟磁性体は、結晶粒径を700μm以下とすることを必須の要件とする。
本発明の焼結軟磁性体は、SiおよびPを必須成分として含有し、残部をFeと不可避不純物からなる組成とする。Feは、軟磁気特性を担う軟磁性焼結部材に必須の元素であり、Fe分が多いほど飽和磁束密度が高くなる。このためFeを主成分として用いる。
FeにSiを添加すると、ヒステリシス損が減少し、また電気抵抗が増加するので渦電流損が減少して鉄損が減少するとともに、透磁率が向上して電磁弁の応答性を改善する作用を有する。またFe中へのSiの添加は、磁性の経時変化による劣化を抑える作用も有する。さらに、Siは焼結を活性にする作用を有し、焼結軟磁性体を緻密化して飽和磁束密度の向上にも寄与する。このため本発明の焼結軟磁性体においては、Siを必須成分として含有する。この作用は少量の添加で得ることができるが、Si量が増加するほど上記作用は顕著となる。このため磁気特性の点から、Siの含有量は、1.0質量%以上とする。ただし、飽和磁束密度は材料中のFeの占積率に依存する。そのため、Si量が増加すると、材料中のFe分が減少してFeの占積率が低下し、飽和磁束密度が低下することとなる。また、Siは焼結を活性にするが、同時に結晶粒を成長させる作用も有するため、過度に添加すると結晶粒径が700μmを超えて機械的強さが低下することとなる。これらの観点より、Si量の上限を3.0質量%とする必要がある。
Pは、焼結を活性にする活性剤として作用し、鉄粉の焼結による緻密化に寄与して磁束密度を向上させる作用を有する。さらに、Pは、Fe基地の結晶粒を成長させて透磁率を向上させる作用を有する。この作用は少量の添加で得ることができるが、P量が増加するほど上記作用は顕著となる。このため、磁気特性の点から、Pの含有量は、0.2質量%以上とする。ただし、これらの作用が過剰に発揮されると、結晶粒径が700μmを超えて粗大化するため、P量の上限を0.5質量%とする必要がある。
以上より、結晶粒の粒径を700μm以下とする本発明の焼結軟磁性体は、機械的強さの観点より、全体組成を、Si:3.0質量%以下およびP:0.5質量%以下とし、残部をFeと不可避不純物からなるものとする。また、磁気特性の観点より、前記全体組成において、Si:1.0質量%以上、P:0.2質量%以上とする。
また、磁束密度は、軟磁性体に占めるFeの占積率に比例することから、上記の焼結軟磁性体においては、密度比を93%以上とすることを好ましい態様とする。密度比を93%以上とすれば、例えば焼結可動鉄心としての使用においても充分な磁束密度が得られ、良好な焼結可動鉄心の磁気吸引力を得ることができる。
なお、焼結軟磁性体は、原料粉末を金型に充填して圧縮成形して得られた成形体を焼結して得られる。この焼結体の表層近傍は、焼結雰囲気等の影響を受け易く、表層部で一部の結晶粒が700μmを超える粒径に成長することがある。しかし、このような粒径が700μmを超える結晶粒を含む層は、焼結軟磁性体の表層から1mm以内であり、表層から1mm以下の表層部を除いた内部では、結晶粒径が700μm以下となる。このため、表層部で粒内破壊(脆性破壊)となっても内部では粒界破壊となるため、充分な機械的強さを得ることができる。
また、より一層の機械的強さの向上を望む場合には、上記の700μmを超える結晶粒を含む表層部を、機械加工により除去したり、酸による溶解により除去を行う。これによって、焼結軟磁性体の全ての部分で結晶粒径を700μm以下とすることができ、機械的強さが向上する。
以上により構成される本発明の焼結軟磁性体は、高い磁束密度と透磁率を有するとともに、高い機械的強さを有するものであり、例えば、焼結可動鉄心に用いた場合、高い磁気吸引力と応答性を兼ね備え、電磁弁として繰り返し使用した際にも疲れ破壊が生じることのない優れたものとなる。
[焼結可動鉄心]
本発明の焼結可動鉄心は、上記のように構成した焼結軟磁性体を用い、これを外側部材とし、その内孔に鋼材からなる軸部材の一端を嵌合させ、両者を拡散接合したものである。本発明の焼結可動鉄心は、上記の構成により機械的強さを有するものであり、電磁弁の使用時の繰り返し衝撃にも耐える充分な機械的強さ(疲れ強さ)を有する。また、外側部材に応力が集中する凹部を形成した形状のものにおいても、上記のように結晶粒の粒径を700μm以下に形成してあるため、凹部に電磁弁の使用時の繰り返し衝撃による繰り返し応力が集中しても疲れ破壊を生じない、充分な疲れ強さを有している。
なお、焼結可動鉄心の軸部材は、弁座と繰り返し衝突する弁体がその端部に形成される。このことから、硬さがHv600以上の溶製鋼材を用いることが好ましく、上記特許文献2、3等に記載の溶製鋼材を用いることができる。すなわち、高速度工具鋼(例えばJIS規格のSKH51材)、軸受鋼(例えばJIS規格のSUJ2材)、ステンレス鋼(例えばJIS規格のSUS304材やSUS440C材)等を用いることが好ましい。
[焼結軟磁性体の製造方法]
上記の焼結軟磁性体の製造方法において、原料粉末は、上記の焼結軟磁性体の組成、すなわち、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物となるよう調整したものを用いる。
ここで、SiはFeのフェライト硬化能が高い元素であるため、鉄粉に上記の成分量のSiを固溶して与えると鉄粉が硬くなる。その結果、原料粉末の圧縮性が低下することから、Siを鉄粉に固溶させて与えることは得策ではない。そこで、SiはFe中への拡散が速いことから、Siはシリコン粉末を純鉄粉末に添加する形態で付与することとする。
また、Siを焼結軟磁性体のFe基地中に均一に拡散させるため、およびシリコン粉末が拡散して消失することによりシリコン粉末が存在していた箇所に気孔が残留することを防ぐため、シリコン粉末は、平均粒径が1〜45μmの微細なものとし、このような微細なシリコン粉末を純鉄粉末の表面に被覆して与えることとする。また、上記のように微細なシリコン粉末を純鉄粉末の表面に被覆して与えたことにより、微細なシリコン粉末を単に純鉄粉末に添加した場合と異なり、微細なシリコン粉末が凝集して、焼結後に凝集したシリコン粉末が消失した箇所に気孔が残留することを避けることができるという効果も奏する。上記のシリコン粉末の平均粒径が45μmを超える場合は、焼結後に粗大なSiの消失孔が残留して密度比が低下することとなる。一方、シリコン粉末の平均粒径が1μmを下回る場合、シリコン粉末は工業的に割高となる。ここで、被覆とは、鉄粉表面を完全に覆う状態ではなく、微細なシリコン粉末が純鉄粉末の表面に薄く付着している状態を指すものであり、必ずしも純鉄粉末の表面の全面が覆われていなくてもよい。
シリコン粉末が被覆される純鉄粉末については、粒径が小さすぎるものを用いると、原料粉末の流動性が低下するとともに、充填時にブリッジングが生じ易くなる。これにより、成形体密度が低下し、焼結軟磁性体の密度比が低下することとなる。一方、純鉄粉末の粒径が大きすぎるものを用いると、純鉄粉末表面に被覆したSiが純鉄粉末の中心まで拡散することが難しくなり、焼結軟磁性体中にSiを均一に分散させることが難しくなる。これらの観点から純鉄粉末は平均粒径が10〜150μmを用いる。
Pは、Siと同様にFeの硬化能が高いことから、Pについても全量を鉄粉に固溶させて与えることは得策ではない。またPは単体では取扱いが難しいことから、PはFe−P合金粉末を軟質な純鉄粉末に添加する形態で付与することとする。PをFe−P合金粉末の形態で用いるにあたっては、Fe−P合金粉末中のP量を3〜30質量%とする。PはFe中への拡散が速いことに加えて、Fe−P合金粉末においては焼結中に液相を発生させることにより焼結軟磁性体の緻密化に寄与する。この液相発生の効果を得るためFe−P合金粉末においてP量が3質量%以上とする。一方、P量が30質量%を超えるとFe−P合金粉末の硬さが硬くなり過ぎて、原料粉末の圧縮性が低下することとなる。
上記のFe−P合金粉末は、上記のように液相を発生して焼結軟磁性体の収縮を促すものである。そのため、シリコン粉末とは異なり、焼結後に粉末の存在していた箇所に気孔を残留させるものではないことから、Fe−P合金粉末の平均粒径については特に限定するものではない。Fe−P液相の発生が成形体の各所で均一に生じると、焼結時の液相収縮が各所で均一に行われる。このことから、上記のシリコン粉末と同様に、平均粒径が1〜45μmのものを用いて純鉄粉末の表面に被覆して与えることが好ましい。
以上の観点から、本発明の焼結軟磁性体の製造方法においては、組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなり、平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末とFe−P合金粉末に、平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を被覆した原料粉末を用いることとする。
上記の原料粉末は、所望の形状の成形体を得るため、所望の形状の型孔を有する金型と、型孔と摺動自在に嵌合する上パンチと下パンチとを備える成形装置の、金型の型孔と下パンチとにより形成されるキャビティに充填される。その後、上下パンチにより圧粉成形される成形工程を経て成形体とされる。この成形工程において上記の原料粉末は成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形する。成形体密度が6.6Mg/mを下回ると、焼結後の焼結軟磁性体の密度が低くなって、磁束密度が低いものとなる。一方、成形体密度が6.8Mg/mを超えると、結晶粒が成長し易くなって焼結軟磁性体の結晶粒径が700μmを超えるものとなり易い。このため上記の原料粉末を圧粉成形するにあたっては、成形体密度を6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形する必要がある。
上記の成形工程により得られた成形体は、焼結されて焼結軟磁性体となる。この焼結工程における焼結温度は、1100〜1190℃の温度範囲とする必要がある。焼結温度が1100℃に満たない場合は、焼結による緻密化が不充分となり、得られる焼結軟磁性体の密度比が小さくなって、磁束密度が低下することとなる。一方、1190℃を超える温度で焼結を行った場合は、結晶粒が成長し易く、得られる焼結軟磁性体の結晶粒径が700μmを超えて粗大化することとなる。このため、焼結温度として1100〜1190℃の温度範囲で焼結を行う必要がある。
なお、焼結時に使用する雰囲気ガスについては、酸化性の雰囲気とすると、軟磁性部材のFe分が酸化により減少して磁気特性を低下させるため、非酸化性の雰囲気とする必要がある。しかしながら、非酸化性の雰囲気であっても、浸炭性の雰囲気ガスは、雰囲気中のCが軟磁性部材のFe中に拡散して磁気特性を低下させるとともに、上記Cの拡散により軟磁性部材が焼結時に膨張する傾向を示して軸部材との接合が不十分となる。したがって、焼結雰囲気は、浸炭ガス雰囲気を除く非酸化性雰囲気とする必要がある。
以上の工程により得られる焼結軟磁性体は、上記のように表層部に、一部、結晶粒径が700μmを超えるものが形成される。このような粗大な結晶粒を含む表層部は、焼結工程の後に除去工程を追加することにより除去される。これによって、焼結軟磁性体の全ての箇所で結晶粒径が700μm以下となり、機械的強さをより一層向上させることができる。粗大な結晶粒を含む部分は表層から1mm以内であるため、表層部の除去工程においては表層から最大1mmの範囲を除去すればよい。この除去工程では、表層部は切削加工や研削加工等の機械加工により除去してもよく、また酸により溶解除去してもよい。
[焼結可動鉄心の製造方法]
上記のように本発明の焼結可動鉄心は、本発明の焼結軟磁性体を焼結可動鉄心に適用したものである。また、焼結可動鉄心の製造方法において、焼結軟磁性体からなる外側部材については、上記の焼結軟磁性体の製造方法に準拠するものである。すなわち、本発明の焼結可動鉄心の製造方法において、外側部材として原料粉末は内孔を有する形状に圧粉成形される。このとき、組成が、Si:1.0〜3.0質量%以下、P:0.2〜0.5質量%以下、および残部がFeと不可避不純物からなり、平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末とFe−P合金粉末に、平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を被覆した原料粉末を用いる。成形工程では、成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形することを要件とする。
上記のようにして圧粉成形された外側部材は、内孔を有する形状を有し、この外側部材の内孔に別途用意した鋼材からなる軸部材の一端を嵌合して一体化する。軸部材を構成する鋼材は、上記のように、硬さがHv600以上の溶製鋼材を用いることが好ましく、上記特許文献2、3等に記載の溶製鋼材を用いることができる。すなわち、高速度工具鋼(例えばJIS規格のSKH51材)、軸受鋼(例えばJIS規格のSUJ2材)、ステンレス鋼(例えばJIS規格のSUS304材やSUS440C材)等を用いることが好ましい。
また、軸部材と軟磁性部材とを嵌め合わせる際の嵌め合い寸法差(圧粉体の孔の内径寸法と軸部材の外径寸法との差)としては、軸部材の外径寸法を大きく(締まり嵌め)設定して圧粉体の孔に圧入することが好ましい。この締め代が大きいほど、軸部材と軟磁性部材との密着度は高くなる。ただし、強度が低い圧粉体からなる軟磁性部材の引張り応力による破損を避けるため、締め代を20μm以内、好ましくは10μm以内に止めることが好ましい。また、通り嵌めを選択する場合であっても、隙間は小さいほど良好であるため、30μm以下、好ましくは20μm以下に止めることが好ましい。
上記の嵌合工程を経て一体化した外側部材と軸部材は、外側部材を焼結して焼結軟磁性体とするため、上記温度範囲で焼結される。このとき、上記の焼結軟磁性体からなる外側部材はFe−P液相により収縮するため、軸部材が嵌合された外側部材の内孔は収縮して、軸部材の外周表面に密着する。さらに、外側部材と軸部材の界面で拡散接合が行われて、焼結軟磁性体からなる外側部材と溶製鋼材からなる軸部材が強固に一体化する。
上記の焼結工程の後、軸部材に高い耐摩耗性と、繰り返し衝撃に対する高い疲れ強さとを付与するため、焼き入れおよび焼き戻しの熱処理工程を行い軸部材の調質を行う。この熱処理工程における焼き入れ温度が、用いる軸部材の焼き入れ可能温度に満たない場合、軸部材の調質が不充分となり、所望の耐摩耗性と疲れ強さが得られない。一方、焼き入れ温度が焼結温度を超えると、焼結軟磁性体から構成された外側部材において、結晶粒の成長が生じて、外側部材の機械的強さが低下する。このため焼き入れ温度は、軸部材の焼き入れ可能温度以上、かつ焼結温度以下とする必要がある。
なお、上記により得られる焼結可動鉄心は、表層部に結晶粒径が700μmを超える結晶粒を一部含み、このような表層部は表層から1mm以内の範囲である。それを超える深さの内部では、結晶粒の粒径は700μm以下となっているため、高い機械的強さは保たれている。なお一層の機械的強さの向上を求める場合、焼結工程の後に、結晶粒径が700μmを超える結晶粒を含む表層部を除去すればよい。この除去工程において、表層部は切削加工や研削加工等の機械加工により除去してもよく、また酸により溶解除去してもよい。なお、表層部の除去工程を機械加工により行う場合、外側部材の加工面に加工歪みが残留して、ヒステリシス損が増加する懸念がある。そのため、焼結工程の後で、熱処理工程の前に行うことが好ましい。すなわち、焼結工程、機械加工による表層部除去工程、熱処理工程の順で製造すると、表層部除去工程において外側部材の加工面に残留した加工歪みが、その後の熱処理工程の加熱時に開放され、歪みが除去されるため、ヒステリシス損の増加が生じない。
外側部材に凹部を形成した焼結可動鉄心を得る場合には、成形工程において得られる成形体の外形は、成形金型の型孔により付与されるものであるから、所望の形状の凹部を有する成形体となるよう、成形金型の型孔に凹部に対応する凸部を形成して、成形工程において付与することができる。
また、成形工程において外側部材に凹部を形成する方法に替えて、成形工程において付与する外側部材の外径を円形等の単純形状としておき、焼結工程の後に、機械加工によって凹部形状を付与してもよい。この場合、上記の機械加工による表層部除去工程と同じ理由から、機械加工による凹部形成は、焼結工程の後で、熱処理工程の前に行うことが好ましい。また、この機械加工による凹部形成を上記の機械加工による表層部除去工程と併せて同時に行えば効率的に機械加工が行うことができる。
[実施例1:全体組成中のSi量の影響、および表層部の除去の効果]
原料粉末として、平均粒径が75μmの純鉄粉末、平均粒径が5μmのシリコン粉末、平均粒径が20μmであり、P量が20質量%で、残部がFeと不可避不純物からなるFe−P合金粉末を用意した。次いで、原料粉末に対して0.25質量%のPVPを溶解させたPVP溶液中に、シリコン粉末とFe−P合金粉末を分散させた。この分散液を純鉄粉末に噴霧しながら流動させ、溶媒成分を揮発させて乾燥させ、純鉄粉末の表面に、表1に示す量のシリコン粉末と、1.75質量%のFe−P合金粉末が被覆されるよう原料粉末を調整した。この原料粉末を用いて成形体密度6.75Mg/mに成形して、外径20mm、内径4mm、高さ4mmの円環状成形体を作製した。得られた成形体を0.13Paの減圧雰囲気中で焼結温度1180℃で焼結を行った。得られた焼結体について、表層から1mmを機械加工により除去するとともに、図3に示す形状に機械加工を行った(試料番号01〜04、06〜08)。また、焼結後に図3の形状となるよう金型の型孔に凸部を形成して、成形工程で凹部形状を付与し、上記と同じ条件で焼結したものを用意した(試料番号05)。この成形により凹部を形成したものについては、機械加工を行わなかった。これらの焼結体については、焼結可動鉄心としての使用を考慮して、1150℃に加熱した後、油中に焼き入れし、その後、550℃で焼き戻して試料番号01〜08の試料を作製した。
これらの試料について、アルキメデス法により焼結体密度を測定するとともに、測定した焼結体密度の理論密度に対する比(密度比)を算出した。また、試料の表層部および内部について断面方向から顕微鏡観察することにより、結晶粒径を測定した。さらに、島津製作所製オートグラフを用いて、試料の羽根部を固定するとともに、中央部を外径7mmの鋼材で押圧して曲げ試験を行い、破壊したときの加重から曲げ強さを求めた。くわえて、磁化力2000A/mの時の直流磁束密度、最大透磁率の各磁気特性と、電気特性である比抵抗について測定した。これらの結果を表2及び図4〜7に示す。
Figure 0004721457
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試料番号01〜04および06〜08の試料を比較することで、全体組成におけるSi量の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)Si量が1.0質量%に満たない試料(試料番号01)では、焼結体密度が低い値を示している。しかしSi量が1.0質量%の試料(試料番号02)では、成形体密度が同一に設定してあるにもかかわらず、Siにより焼結が活性となり、焼結体密度が7.2Mg/mを超える値まで向上している。また、Si量の増加にしたがい、Si量が2.0質量%まで(試料番号03、04)は焼結体密度は増加する。Si量が2.0質量%を超える(試料番号06、07)と、焼結体密度は若干の低下傾向を示し、3.0質量%を超える試料(試料番号08)では、この焼結体密度はさらに低下する。この焼結体密度の低下は、軽元素であるSiの増加により理論密度が低下することに起因する。そのため、密度比としては低下しておらず、この範囲では増加傾向にある。
(2)結晶粒径は、Si量の増加にしたがい僅かな増加傾向を示すが、その増加量は本発明において問題とならない程度と判断される。このことから、Si量が3.5質量%までの範囲では、結晶粒径に与える影響は無視できると考えられる。
(3)曲げ強さは、Si量が1.0質量%に満たない試料(試料番号01)では、600MPaに満たない値であるが、Si量が1.0質量%の試料(試料番号02)では、SiによるFe基地の強化の作用が顕著となり600MPaを超える値となる。また、Si量が2.5質量%まで(試料番号03、04、06)は、Si量の増加にしたがいFe基地が強化されて曲げ強さが向上する。ただし、SiはFe基地を脆化させる作用も有するため、Si量が2.5質量%を超える試料(試料番号07、08)では、曲げ強さは若干の減少傾向を示す。
(4)磁束密度は材料中のFeの占積率に依存する。このことから、焼結体密度の向上にともない、Si量が2.0質量%までの試料(試料番号01〜04)では、Si量の増加にしたがい磁束密度の向上がみられる。しかし、Si量が2.5質量%を超える試料(試料番号07、08)では、材料中のSi量が増加することによるFe量の低下の影響が大きくなって、磁束密度は低下傾向を示す。
(5)最大透磁率は、Si量の増加にしたがい、増加する傾向を示す。
(6)比抵抗は、Si量の増加にしたがい、増加する傾向を示す。
以上より、全体組成中のSi量は、機械的強さ(曲げ強さ)の点から1.0質量%以上とする必要があり、2.0〜3.5質量%とすると好適である。一方、磁束密度の点からSi量は1.0〜3.0質量%とする必要がある。すなわち、機械的強さと磁束密度を兼ね備えたものとするためには、Si量を1.0〜3.0質量%とすればよく、好ましくは2.0〜3.0質量%とすればよいことがわかる。また、この範囲では、最大透磁率および比抵抗も高い値を示しており、密度比は93%以上であればよいとわかる。
以上の試料番号01〜04および06〜08の試料は、表層部1mmの範囲を機械加工により除去したものであり、表層と内部の結晶粒径が同じ大きさとなっている。一方、試料番号05の試料は、試料番号04と同じ配合比であるが、機械加工により表層部の除去を行っていない試料である。この試料では、内部の結晶粒径は試料番号04と同等であるが、表層部の結晶粒径は800μmと粗大化している。この結果、試料番号04と比べ、試料番号05の試料では、磁気特性および電気特性については同等であるが、曲げ強さは充分に高い値ではあるものの若干低くなっている。このことから、さらに機械的強さの向上を望む場合には、表層部を除去することが有効であることがわかる。この場合、表層部の除去は1mm程度で充分であることもわかる。
[実施例2:全体組成中のP量の影響]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および表3に示す配合割合のFe−P合金粉末を実施例1と同様にして被覆して原料粉末を調整した。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形、焼結、機械加工、熱処理を行って、試料番号09〜14の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表4及び図8〜11に示す。なお、表3、4及び図8〜11には、実施例1の試料番号04の試料についても併せて記載した。
Figure 0004721457
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試料番号04および09〜14の試料を比較することで、全体組成におけるP量の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)P量が0.2質量%に満たない試料(試料番号09)では、焼結体密度が低い値を示している。しかし、P量が0.2質量%の試料(試料番号10)では、Fe−P液相の発生量が増加することにより、焼結体密度が7.2Mg/mを超える値まで向上している。また、P量の増加にしたがい、Fe−P液相の発生量が増加することから、焼結体密度は向上する傾向を示す。ただし、P量が0.4質量%を超えると焼結体密度の増加傾向は緩やかとなっている。また、密度比は、P量の増加に従い増加傾向を示す。
(2)結晶粒径は、P量が0.35質量%までの試料(試料番号04、09〜11)では、ほぼ同等の大きさである。一方、P量が0.4質量%以上の試料(試料番号12〜14)では、結晶粒径が急激に大きくなる傾向を示す。特に、0.5質量%を超える試料(試料番号14)では、結晶粒径が2000μmにまで粗大化している。
(3)曲げ強さは、0.35質量%まで(試料番号04、09〜11)は、P量の増加に伴う焼結体密度の向上の効果によって向上する。しかし、P量が0.4質量%以上の試料(試料番号12〜14)では、結晶粒径の増大に伴い曲げ強さが低下する傾向を示す。特に、P量が0.5質量%を超える試料(試料番号14)では、結晶粒の粗大化にともない曲げ強さが著しく低下している。
(4)磁束密度は、材料中のFeの占積率に依存することから、P量の増加にともなう焼結体密度の向上にともない、増加する傾向を示す。
(5)最大透磁率は、P量の増加にしたがい、増加する傾向を示す。
(6)比抵抗は、P量の過多によらず、ほぼ同等である。
以上より、全体組成中のP量は、機械的強さ(曲げ強さ)の点から0.5質量%以下とする必要があり、0.2〜0.4質量%とすると好適である。一方、磁束密度および透磁率の点からP量は0.2質量%以上とする必要があり、機械的強さと磁気特性を兼ね備えたものとするためには、P量を0.2〜0.5質量%とすればよく、好ましくは0.2〜0.4質量%とすればよいことがわかる。
また、結晶粒径が700μmにおいては、曲げ強さは低下するものの、未だ曲げ強さは充分な値を示す。このことから、結晶粒径を700μm以下とすれば、充分な機械的強さが得られることがわかる。
[実施例3:シリコン粉末の粒径の影響]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、表5に示す平均粒径が1〜50μmのシリコン粉末、実施例1と同じFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様な方法で被覆し、原料粉末を調整した。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形、焼結、機械加工、熱処理を行って、試料番号15〜22の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表6及び図12〜14に示す。なお、表5、6及び図12〜14には、実施例1の試料番号04の試料についても併せて記載した。
Figure 0004721457
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試料番号04および15〜22の試料を比較することで、シリコン粉末の平均粒径の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)焼結体密度は、シリコン粉末の平均粒径が大きくなるにしたがい(試料番号04、15〜22)低下する傾向を示している。シリコン粉末の凝集による粗大気孔の発生を防止するため、シリコン粉末は純鉄粉末表面に被覆された状態で用いられる。この場合、成形体中の純鉄粉末の界面に介在するシリコン粉末が大きくなると、純鉄粉末間のギャップが大きくなり緻密化しにくくなる。また、シリコン粉末の粒径が大きくなると、成形体中のシリコン粉末が局所的に分散するようになって、成形体全体にSiによる焼結促進の効果を及ぼし難くなる。以上の理由から、上記焼結体の密度が低下する傾向を示すと考えられる。このためシリコン粉末の平均粒径が45μmを超える試料(試料番号22)では、この焼結体密度低下の傾向が著しくなっている。
(2)結晶粒径は、シリコン粉末の平均粒径によらず、ほぼ一定の大きさを示す。
(3)曲げ強さは、シリコン粉末の平均粒径が大きくなるにしたがい、焼結体密度が低下するため、低下する傾向を示している。
(4)磁束密度は、材料中のFeの占積率に依存することから、シリコン粉末の平均粒径が大きくなるにしたがって低下する焼結体密度の影響により、低下する傾向を示している。
(5)最大透磁率は、シリコン粉末の平均粒径が大きくなるにしたがって、Fe基地中のSiの分散状態が徐々に不均一な状態となること、および焼結体密度が低下することのの影響により、シリコン粉末の平均粒径が大きくなるにしたがって低下する傾向を示している。
(6)比抵抗は、シリコン粉末の平均粒径によらずほぼ一定の値を示す。
以上より、純鉄粉末表面に被覆するシリコン粉末の平均粒径は、機械的強さおよび磁気特性の点から45μm以下とする必要があることがわかる。また、シリコン粉末の平均粒径は小さいほどよいことがわかる。ただし、非常に微細な粉末は、工業的に高価となる。このため、シリコン粉末の平均粒径は、充分な機械的強さおよび磁気特性の得られる5μm以上であればよい。
[実施例4:純鉄粉末の粒径の影響]
原料粉末として、表7に示す平均粒径が5〜200μmの純鉄粉末、実施例1と同じシリコン粉末、実施例1と同じFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末の表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様な方法で被覆し、原料粉末を調整した。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形、焼結、機械加工、熱処理を行って、試料番号23〜30の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表7及び図15〜17に示す。なお、表7、8及び図15〜17には、実施例1の試料番号04の試料についも併せて記載した。
Figure 0004721457
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試料番号04および23〜30の試料を比較することで、純鉄粉末の平均粒径の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。なお、実施例4においては、純鉄粉末の平均粒径が5μmの試料(試料番号23)では、原料粉末の圧縮性が低くなりすぎて、成形体密度が6.75Mg/mの成形体試料を成形できなかった。このため製造を中止するとともに、各種測定についても中止した。
(1)焼結体密度は、純鉄粉末の平均粒径が大きくなるにつれて徐々に低下する傾向を示している。純鉄粉末の平均粒径が大きくなるにつれ、原料粉末中に粗大な粉末の量が多くなり、その比表面積が減少する。この結果、焼結が進み難くなるため、焼結体密度が低下すると考えられる。
(2)結晶粒径は、純鉄粉末の平均粒径が150μmまで(試料番号04、24〜29)は、純鉄粉末の平均粒径の増加にしたがい、若干大きくなる傾向を示している。一方、平均粒径が150μmを超える試料(試料番号30)では、急激な結晶粒径の増加を示している。
(3)曲げ強さは、純鉄粉末の平均粒径が150μmまで(試料番号04、24〜29)は徐々に低下している。一方、純鉄粉末の平均粒径が150μmを超える試料(試料番号30)では、曲げ強さが急激に低下している。この曲げ強さの急激な低下は、純鉄粉末の平均粒径が大きくなるにしたがって、焼結体密度が低下することや、Siが純鉄粉末中に均一に拡散し難くなることの影響によると考えられる。
(4)磁束密度は、焼結体密度の低下の影響により、低下する傾向を示している。
(5)最大透磁率は、純鉄粉末の平均粒径が125μm(試料番号04、24〜28)までは、結晶粒径が大きくなることの影響を受けて、平均粒径が大きくなるにしたがって向上している。しかし、純鉄粉末の平均粒径が大きくなるにしたがって、Siが純鉄粉中に均一に拡散し難くなる。このため、純鉄粉末の平均粒径が150μmの試料(試料番号29)では、最大透磁率の低下が認められる。特に、純鉄粉末の平均粒径が150μmを超える試料(試料番号30)では、最大透磁率が著しく低下している。
(6)比抵抗は、純鉄粉末の平均粒径によらず、ほぼ一定の値を示す。
以上より、純鉄粉末の平均粒径は、成形性の点から10μm以上とする必要があるといえる。また、機械的強さおよび磁気特性の点から150μm以下とする必要があることがわかる。なお、機械的特性の点からは純鉄粉末の平均粒径を125μm以下とすることが好ましい。ただし、平均粒径が小さくなると、成形可能ではあっても原料粉末の流動性、充填性が低下する。また、純鉄粉末の平均粒径がある程度大きいものの方が最大透磁率は大きい値を示す。これらのことから、純鉄粉末の平均粒径は、50〜125μmとすることがより好ましい。
[実施例5:成形体密度の影響]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末の表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様の方法で被覆し、原料粉末を調整した(実施例1の試料番号04の原料粉末に相当)。この原料粉末を用いて、成形体密度を表9に示すように6.5〜6.9Mg/mと変えて成形し、その後、実施例1と同様の条件で焼結、機械加工、熱処理を行って、試料番号31〜36の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表9及び図18〜20に併せて示す。なお、表9及び図18〜20には、実施例1の試料番号04の試料についても併せて記載した。
Figure 0004721457
試料番号04および31〜36の試料を比較することで、成形体密度の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)焼結体密度は、成形体密度が増加するにしたがい、増加する傾向を示す。ただし、成形体密度が6.8Mg/mを超える試料(試料番号36)では、焼結体密度向上の効果が小さくなっている。
(2)結晶粒径は、成形体密度が6.8Mg/mまで(試料番号04、31〜35)は、ほぼ一定の値である。一方、成形体密度が6.8Mg/mを超える試料(試料番号36)では、結晶粒径が急激に大きくなっている。これは、成形体密度がある程度以上高くなると、成形体中で純鉄粉末が密着して、結晶粒が成長し易い状態となるためと考えられる。
(3)曲げ強さは、成形体密度が6.8Mg/mまで(試料番号04、31〜35)は、焼結体密度向上の効果により増加する傾向を示す。しかし成形体密度が6.8Mg/mを超える試料(試料番号36)では、結晶粒粗大化の影響により、曲げ強さが著しく低下している。
(4)磁束密度は、焼結体密度の影響を受けるため、成形体密度が増加するにしたがって増加する傾向を示している。
(5)最大透磁率も、成形体密度が増加するにしたがって増加する傾向を示している。
(6)比抵抗は、成形体密度によらず、ほぼ一定の値である。
以上より、成形体密度は、機械的強さおよび磁気特性の点からある程度以上とする必要がある。しかし、高密度にし過ぎると結晶粒が成長して機械的強さの低下を招くことから、6.6〜6.8Mg/mとする必要があることがわかる。
[実施例6:焼結温度の影響]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末の表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様の方法で被覆し、原料粉末を調整した(実施例1の試料番号04の原料粉末に相当)。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形し、表10に示すように焼結温度を1050〜1200℃まで変えて焼結した。その後、実施例1と同様の条件で機械加工、熱処理を行って、試料番号37〜43の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表10及び図21〜23に併せて示す。なお、表10及び図21〜23には、実施例1の試料番号04の試料についても併せて記載した。
Figure 0004721457
試料番号04および37〜43の試料を比較することで、焼結温度の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)焼結温度は高くなるほど焼結が進行し緻密化するため、焼結体密度は、焼結温度が高くなるにしたがい、増加する傾向を示す。
(2)結晶粒径は、焼結温度が1180℃までの試料(試料番号04、37〜41)では、ほぼ一定の値を示す。焼結温度が1190℃の試料(試料番号42)では、結晶粒径が非常に大きくなっている。さらに、焼結温度が1190℃を超える試料(試料番号43)では、結晶粒径が急激に粗大化し、1200μmにもなっている。
(3)曲げ強さは、焼結温度が1180℃までの試料(試料番号04、37〜41)は、増加する傾向を示す。しかし、焼結温度が1190℃の試料(試料番号42)では、結晶粒径が大きくなることによる曲げ強さの低下が生じている。特に、焼結温度が1190℃を超える試料(試料番号43)では、結晶粒径が粗大であるため、曲げ強さが著しく低下している。なお、焼結温度が1120℃までの試料(試料番号37〜39)の曲げ強さの増加の割合に比して、焼結温度が1140℃の試料(試料番号40)では、曲げ強さが急激に高くなっている。これは、焼結温度が1120℃まではSiが純鉄粉中に均一に拡散しておらず、Siによる機械的強さ向上の効果が充分に得られていないためと考えられる。そして、焼結温度が1140℃ではSiがFe基地全体に均一に拡散したため、Siによる機械的強さ向上の効果が充分に得られたと考えられる。
(4)磁束密度は、焼結体密度の影響を受けるため、焼結温度が高くなるにしたがって増加する傾向を示している。
(5)最大透磁率も、焼結温度が高くなるにしたがって増加する傾向を示している。
(6)比抵抗は、焼結温度によらず、ほぼ一定の値である。
以上より、焼結温度は機械的強さの点から1100〜1190℃以下とする必要があることがわかる。また、この範囲で磁気特性、電気特性とも良好な値を示している。さらに、焼結温度を1140〜1190℃とすると、機械的強さがより高く、磁束密度および最大透磁率の磁気特性も高くなるため好ましい。
[実施例7:熱処理温度の影響]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末の表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様の方法で被覆し、原料粉末を調整した(実施例1の試料番号04の原料粉末に相当)。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形、焼結(焼結温度1180℃)、機械加工を行った。次に、表11に示すように焼き入れ温度を1000〜1200℃まで変えて焼き入れし、その後550℃で焼き戻しする熱処理を行って、試料番号44〜47の試料を作製した。
これらの試料について、実施例1と同様に、焼結体密度および結晶粒径を測定するとともに、曲げ強さ、直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗について測定した。これらの結果を表11及び図24〜26に併せて示す。なお、表11及び図24〜26には、実施例1の試料番号04の試料についても併せて記載した。
Figure 0004721457
試料番号04および44〜47の試料を比較することで、熱処理温度の影響を調べることができる。これらより、以下のことがわかる。
(1)熱処理温度が高くなると、焼結体密度が若干上昇する傾向を示している。これは熱処理温度が高くなると、いわゆる再焼結と同じ状態となり焼結が進行して緻密化することによるものである。特に、熱処理温度が焼結温度(1180℃)を超える試料(試料番号47)において、この傾向が顕著である。
(2)結晶粒径は、熱処理温度が1150℃の試料(試料番号04、44、45)まではほぼ一定の値である。ただし、熱処理は再焼結として作用するため、焼き入れ温度が上昇すると、結晶粒が成長して結晶粒径が大きくなる。そのため、特に、熱処理温度が焼結温度(1180℃)を超える試料(試料番号47)においては、結晶粒径が1900μmにも成長している。
(3)曲げ強さは、熱処理温度が1150℃の試料(試料番号04、44、45)までは一定である。熱処理温度が1180℃の試料(試料番号46)では、結晶粒径が大きくなったことにより、若干低下している。また、熱処理温度が焼結温度(1180℃)を超える試料(試料番号47)においては、結晶粒が粗大化したことの影響により曲げ強さが著しく低下している。
(4)磁束密度は、焼結体密度の影響により、熱処理温度が高くなるにしたがって若干の増加傾向を示している。
(5)最大透磁率も、熱処理温度が高くなるにしたがって増加する傾向を示している。
(6)比抵抗は、熱処理温度によらず、一定の値である。
以上より、熱処理温度は、焼結温度以上とすると結晶粒の成長が生じて、機械的強さが著しく低下することから、焼結温度(この場合は1180℃)以下とする必要があることがわかる。
[実施例8:焼結可動鉄心の耐久試験]
原料粉末として、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用意した。用意した純鉄粉末表面に、2.0質量%のシリコン粉末、および1.75質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様の方法で被覆し、原料粉末を調整した(実施例1の試料番号04の原料粉末に相当)。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形し、円環状成形体を作製した。この軟磁性圧粉体に、φ4×15のJIS規格のSKH51材相当の鋼軸を嵌合させた。このときの嵌合いは、隙間が10μmの隙間嵌めである。嵌合させた軟磁性圧粉体と鋼軸を実施例1と同じ条件で焼結し、軟磁性部材を実施例1と同様に機械加工を行った。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行い焼結可動鉄心Aを作製した。
また、比較のため、実施例1と同じ純鉄粉末、シリコン粉末、およびFe−P合金粉末を用いて、純鉄粉末表面に2.0質量%のシリコン粉末と、3.0質量%のFe−P合金粉末を実施例1と同様の方法で被覆し、原料粉末を調整した。この原料粉末の組成は、Si:2.0質量%、P:0.6質量%および残部がFeと不可避不純物となる。この原料粉末を用いて、実施例1と同様の条件で成形し、円環状成形体を作製した。この軟磁性圧粉体に、φ4×15のJIS規格のSKH51材相当の鋼軸を嵌合させた。このときの嵌合いは、隙間が10μmの隙間嵌めである。嵌合させた軟磁性圧粉体と鋼軸を実施例1と同じ減圧雰囲気中、1200℃の温度で焼結し、軟磁性部材を実施例1と同様に機械加工を行った。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行い焼結可動鉄心Bを作製した。すなわち、上記焼結可動鉄心Aと比べ、焼結可動鉄心BはP量が過多であるとともに焼結温度が高いものであり、結晶粒が粗大化したものである。
上記のようにして作製した焼結可動鉄心A、Bを、それぞれ3質量%珪素鋼製φ18のポットコイル型固定鉄心と組み合わせて電磁弁を作製し、これらについて、実機を模した耐久試験を行った。この結果、本発明例である焼結可動鉄心Aについて、本耐久試験において1×10回の繰り返し試験を行ったところ、焼結可動鉄心Aは、焼結可動鉄心Bに対して疲れ強さが1.5倍となることが確認された。このことから、本発明の焼結軟磁性体は、焼結可動鉄心として好適なものであることが確認された。
電磁弁における可動鉄心と固定鉄心との配置関係の一例を示す模式図である。 可動鉄心の形状の一例を示す模式図である。 実施例で用いた焼結軟磁性体の形状を示す模式図である。 実施例1で用いた試料(試料番号05を除く)の密度比又は焼結体密度とSi量との関係を示すグラフである。 実施例1で用いた試料(試料番号05を除く)の焼結体密度又は結晶粒径とSi量との関係を示すグラフである。 実施例1で用いた試料(試料番号05を除く)の曲げ強さ又は磁束密度とSi量との関係を示すグラフである。 実施例1で用いた試料(試料番号05を除く)の最大透磁率又は比抵抗とSi量との関係を示すグラフである。 実施例2で用いた試料の密度比又は焼結体密度とP量との関係を示すグラフである。 実施例2で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径とP量との関係を示すグラフである。 実施例2で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度とP量との関係を示すグラフである。 実施例2で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗とP量との関係を示すグラフである。 実施例3で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径とSi粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例3で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度とSi粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例3で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗とSi粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例4で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径と純鉄粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例4で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度と純鉄粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例4で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗と純鉄粉の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例5で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径と成形体密度との関係を示すグラフである。 実施例5で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度と成形体密度との関係を示すグラフである。 実施例5で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗と成形体密度との関係を示すグラフである。 実施例6で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径と焼結温度との関係を示すグラフである。 実施例6で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度と焼結温度との関係を示すグラフである。 実施例6で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗と焼結温度との関係を示すグラフである。 実施例7で用いた試料の焼結体密度又は結晶粒径と熱処理温度との関係を示すグラフである。 実施例7で用いた試料の曲げ強さ又は磁束密度と熱処理温度との関係を示すグラフである。 実施例7で用いた試料の最大透磁率又は比抵抗と熱処理温度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 軸部材
2 軟磁性部材
2a 凹部
3 可動鉄心(焼結可動鉄心)
4 固定鉄心
5 ソレノイドコイル

Claims (11)

  1. 応力が集中する凹部を有する焼結軟磁性体であって、
    全体組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなるとともに
    少なくとも表層から1mm以下の表層部を除いた内部の結晶粒径が700μm以下であり、かつ前記表層部が除去され、表層から内部の全ての箇所で結晶粒径が700μm以下とされていることを特徴とする焼結軟磁性体。
  2. 理論密度に対する密度の比が93%以上であることを特徴とする請求項1に記載の焼結軟磁性体。
  3. 軟磁性部材からなる外側部材の内孔に、鋼材からなる軸部材の一端を嵌合させ、両者を拡散接合した焼結可動鉄心において、
    前記外側部材が請求項1または2に記載の焼結軟磁性体からなることを特徴とする焼結可動鉄心。
  4. 原料粉末を、所望の形状に圧粉成形する成形工程と、成形工程により得られた成形体を焼結する焼結工程を有する請求項1または2に記載の焼結軟磁性体の製造方法であって
    平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末、Pの含有量が3〜30質量%のFe−P合金粉末、および平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を用いるとともに、前記純鉄粉末に、少なくとも前記シリコン粉末を被覆して与え、組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなる前記原料粉末を調製して用い、
    前記成形工程において、成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形し、
    前記焼結工程において、1100〜1190℃の温度範囲で焼結するとともに、
    前記焼結工程の後、表層から1mm以下の表層部を除去する加工工程を有することを特徴とする焼結軟磁性体の製造方法。
  5. 前記成形工程において、外側部材に応力が集中する凹部が形成されることを特徴とする請求項に記載の焼結軟磁性体の製造方法。
  6. 前記焼結工程の後に機械加工によって、外側部材に応力が集中する凹部が形成されることを特徴とする請求項に記載の焼結軟磁性体の製造方法。
  7. 表層部除去工程を機械加工で行うとともに、同時に外側部材に応力が集中する凹部を形成することを特徴とする請求項に記載の焼結軟磁性体の製造方法。
  8. 原料粉末を、内孔を有するとともに、外側部材の形状に圧粉成形する成形工程と、
    成形工程により得られた外側部材の内孔に、鋼材からなる軸部材の一端を嵌合して一体化する嵌合工程と、
    嵌合工程により一体化された外側部材と軸部材を加熱して、外側部材の焼結を行うとともに、外側部材と軸部材を拡散接合する焼結工程と、
    拡散接合された外側部材と軸部材を熱処理して軸部材を調質する熱処理工程を有する請求項3に記載の焼結可動鉄心の製造方法であって
    平均粒径が10〜150μmの純鉄粉末、Pの含有量が3〜30質量%のFe−P合金粉末、および平均粒径が1〜45μmのシリコン粉末を用いるとともに、前記純鉄粉末に、少なくとも前記シリコン粉末を被覆して与え、組成が、Si:1.0〜3.0質量%、P:0.2〜0.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなる前記原料粉末を調製して用い、
    前記成形工程において、成形体密度が6.6〜6.8Mg/mとなるよう圧粉成形し、
    前記焼結工程において、1100〜1190℃の温度範囲で焼結し、
    前記熱処理工程において、軸部材の焼き入れ可能温度以上、かつ焼結温度以下の温度に加熱して焼き入れし、その後焼き戻すとともに、
    前記焼結工程の後、表層から1mm以下の表層部を除去する表層部除去工程を有することを特徴とする焼結可動鉄心の製造方法。
  9. 前記成形工程において、外側部材に応力が集中する凹部が形成されることを特徴とする請求項に記載の焼結可動鉄心の製造方法。
  10. 前記焼結工程の後に機械加工によって、外側部材に応力が集中する凹部が形成されることを特徴とする請求項に記載の焼結可動鉄心の製造方法。
  11. 表層部除去工程を機械加工で行うとともに、同時に外側部材に応力が集中する凹部を形成することを特徴とする請求項に記載の焼結可動鉄心の製造方法。
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