JP4371935B2 - 軟磁性焼結部材の製造方法 - Google Patents

軟磁性焼結部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4371935B2
JP4371935B2 JP2004218375A JP2004218375A JP4371935B2 JP 4371935 B2 JP4371935 B2 JP 4371935B2 JP 2004218375 A JP2004218375 A JP 2004218375A JP 2004218375 A JP2004218375 A JP 2004218375A JP 4371935 B2 JP4371935 B2 JP 4371935B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
soft magnetic
raw material
material powder
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004218375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005060830A (ja
Inventor
礼 濱野
一夫 浅香
千生 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Powdered Metals Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Powdered Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Powdered Metals Co Ltd filed Critical Hitachi Powdered Metals Co Ltd
Priority to JP2004218375A priority Critical patent/JP4371935B2/ja
Publication of JP2005060830A publication Critical patent/JP2005060830A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4371935B2 publication Critical patent/JP4371935B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明は、軟磁性焼結材料の製造方法に係り、とくに、優れた焼結体密度と各種磁気特性とを発揮する軟磁性焼結部材の製造技術に関する。
珪素鋼板に代表される軟磁性部材は、飽和磁束密度が大きく、また電気抵抗率が高く、さらに鉄損が小さいため、リレーやトランスなどの鉄芯(コア、ヨーク)等として広く使用されている。また、軟磁性材料を、電気エネルギーを駆動エネルギーに変換するアクチュエータの電磁駆動部品として用いた場合には、他の材料を使用する場合に比して上記変換効率を大幅に向上させることができる。
一方、FeにSiを添加すると、飽和磁束密度が減少するが、固有抵抗が大きくなって鉄損を小さくすることができる。このため、Siを添加したFeは、とくに交流磁場の中で優れた磁気特性を発揮する。しかしながら、Fe中のSi含有量が多くなるにつれて硬くかつ脆い合金となる。よって、Siを過度に添加したものは、冷間圧延などの塑性加工が困難ないわゆる難加工性材料となる。
そこで、ニアネットシェイプつまり最終製品形状とほぼ同じ形状が得られ、塑性加工が不要な粉末冶金法による軟磁性焼結部材の製造方法、すなわち、焼結後に所定の成分組成となるように通常150μm以下のFe粉末とSi粉末またはFe−Si系粉末とを混合し、圧粉成形した後、焼結することによってSi含有量の多いFe−Si系軟磁性焼結部材を得る方法が提案されている。しかしながら、Fe粉末とFe−Si系粉末とを混合して圧粉成形した後、焼結してSi含有量の多いFe−Si系軟磁性焼結部材を得る方法では、Fe−Si粉末が硬くなり、これによりFe−Si粉末においては、成形時に優れた圧縮性能を発揮することができない。このため、気孔が不可避的に残存して密度比を高くすることができない。また、Fe粉末とSi粉末とを混合した場合には、焼結時にSiがFe基地中に拡散し、Si粉末が存在した箇所にはカーケンダルボイドが残留して、密度比を高めることができず、本来の磁気特性が得られない、といった問題がある。
このような問題に対し特許文献1には、鉄粉を有機液体で被覆した後、その鉄粉より細かい平均粒径30μm以下の金属珪素粉と混合し、成形し、焼結することからなる軟質焼結磁性材の製造方法が提案されている。
特許第2599284号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、予め鉄粉を有機液体(実施例ではスピンドル油)で被覆した後、微粒の金属珪素粉末と混合するため、有機液体の粘性あるいは表面張力により鉄粉どうしが付着・凝集し易く、1個の鉄粉表面に均一かつきれいに金属珪素粉を被覆することが難しく、かつ、有機液体により金属珪素粉自体も凝集し易いことから、従来のようにカーケンダルボイドが残留し易い。また、上記方法には、混合粉末自体に有機液体を含むことから、粉末流動性、成形性の低下の問題もあり、効率的に生産できないという課題もある。さらに、このような有機液体を含有する原料粉末を高密度に成形した場合、油分の除去が不十分となるとともに残留した油分のCがFe基地に拡散することによる磁気特性の低下が生じ易いという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形時の優れた圧縮性能が得られること、軟磁性原料粉末表面へのSiの被覆が均一であること、および焼結時にカーケンダルボイドが残留しないことにより、高い密度比を実現することができ、かつ優れた磁気特性が得られる軟磁性焼結部材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の軟磁性焼結部材の製造方法は、原料粉末を所定の形状に圧粉成形した後、焼結する軟磁性焼結部材の製造方法であって、前記原料粉末として、平均粒径が10〜150μmの軟磁性原料粉末表面に、平均粒径が1〜45μmであって、前記軟磁性原料粉末に対し1.0〜6.5質量%のSi粉末を被覆する工程により得られ、常温で乾燥状態のSi微粉被覆軟磁性粉末を用いるとともに、前記軟磁性原料粉末の成分が、
(a)Feおよび不可避的不純物、(b)P:0.2〜1.2質量%、残部:Feおよび不可避的不純物となる成分を有するFe−P粉末、純鉄粉とFe−P粉末の混合粉末、および純鉄粉表面にFe−P粉末を部分的に拡散付着させた部分拡散合金粉末、のいずれか、であり、前記Si粉末を被覆する工程が、(1)水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を用い、軟磁性原料粉末を前記分散液に浸漬し、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、(2)軟磁性原料粉末に、水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を少量ずつ徐々に添加しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、(3)軟磁性原料粉末に、水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を噴霧しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、のいずれかであることを特徴としている。
本発明の軟磁性焼結部材の製造方法においては、Siが微粉末として乾燥状態で、1個の軟磁性粉末表面に薄く被覆されているので、Si被覆軟磁性粉末の硬さは、Fe−Si粉末のような過度に硬い粉末と異なり、軟磁性粉末の硬さとほぼ同じであるとともに、その取り扱いは通常の粉末冶金法によるものと同等である。このため、原料粉末の流動性および成形時の圧縮性は損なわれず、高密度の圧粉成形が可能である。また、Siが微粉末として軟磁性原料粉末表面に薄く被覆されているので、焼結時にSiが基地中に拡散しても、粗大なカーケンダルボイドが残留しないため、高密度化が可能となる。さらに、Siが微粉末として軟磁性原料粉末表面に薄く被覆されているので、合金中のFe分の減少を抑制することができ、軟磁性焼結部材の優れた磁気特性が得られる。なお、本発明における乾燥状態とは、極微量、すなわち原料粉末に対して0.1質量%程度の液体成分を含んでいても上記効果が得られるのでかまわない。
ここで、軟磁性原料粉末の平均粒径が通常用いられる10〜150μmの場合には、Si粉末は、その平均粒径が1〜45μmの微細なものを用いる。ただし、Si粉末の平均粒径は、軟磁性原料粉末の平均粒径と同等か、それより小さいことが必要である。軟磁性原料粉末の平均粒径が10μmを下回ると、原料粉末の流動性が低下するとともに、成形性も低下して、高密度の圧粉成形が不可能となる。また、軟磁性原料粉末の平均粒径が10μmを下回ると、焼結後の収縮量も大きくなるため、複雑形状の成形を行う場合には、その形状の維持が困難となり、ニアネットシェイプの製品形状を得るという粉末冶金法の特徴が活かせなくなる。一方、軟磁性原料粉末の平均粒径が150μmを超えると、Siの拡散が不十分となり均一な相が得られない。さらに、Si粉末の平均粒径が45μmを超えると、焼結後に粗大なSiの消失孔が残留し、密度比が低下する。一方、Si粉末の平均粒径が1μmを下回ると、Si粉末は、工業的に割高となる。
次に、Si粉末の量が軟磁性原料粉末に対して1.0質量%に満たない場合には、固有抵抗を増加して鉄損を減少させる効果に乏しい。一方、Si粉末の量が軟磁性原料粉末に対して6.5質量%を超えると、飽和磁束密度が低下し、磁性体として十分な機能を維持できない。
このような軟磁性焼結部材の製造方法においては、軟磁性原料粉末の成分が、Feおよび不可避的不純物であること、または軟磁性原料粉末の成分が、P:0.2〜1.2質量%、残部:Feおよび不可避的不純物であることが必須である。なお、軟磁性原料粉末は、合金粉末であっても混合粉末であってもよい。Feは、軟磁気特性を担う軟磁性焼結部材に必須の元素であり、Fe分が多いほど飽和磁束密度が高くなるため、純鉄粉末を用いることが好ましい。また、Pを含有することでFe分が減少する結果、飽和磁束密度は低下するが、PにはFe基地の結晶粒を粗大化する効果があるため、透磁率が向上するので、Fe−P粉末、純鉄粉とFe−P粉末の混合粉末、および純鉄粉表面にFe−P粉末を部分的に拡散付着させた部分拡散合金粉末、等を用いることも好ましい。ただし、P量が0.2質量%に満たない場合には透磁率改善の効果が乏しく、一方1.2質量%を超える場合には基地の脆化が著しくなるため好ましくない。
上記のようなSi微粉末被覆軟磁性粉末は、Si粉末が軟磁性原料粉末表面に常温で固体状のバインダを介して被覆されることで、より均一に軟磁性原料粉末表面にSi微粉末を被覆することができる。また、上記のようなSi微粉末被覆軟磁性粉末は、水またはエタノール中にSi微粉末を分散させた分散液を用い、この分散液と軟磁性原料粉末とを混合、乾燥することで、より均一に軟磁性原料粉末表面にSi微粉末を被覆することができる。このようなSi微粉末分散液と軟磁性原料粉末とを混合、乾燥する方法としては、(1)軟磁性原料粉末を上記分散液に浸漬し、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する方法、(2)軟磁性原料粉末に、Si微粉末分散液を少量ずつ徐々に添加しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する方法、および(3)軟磁性原料粉末に、Si微粉末分散液を噴霧しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する方法のいずれかとする。上記(1)〜(3)の方法においては、(3)、(2)、(1)の順により均一なSi微粉末の被覆が得られるが、(3)、(2)、(1)の順に工程および装置が複雑化するため、これらの方法は、生産規模等により適宜選択することが望ましい。
上記のような分散液を用いるSi微粉末の軟磁性原料粉末表面への被覆は、ファンデルワールス力による被覆であり、十分実用に耐えるものである。さらに、上記Si微粉末分散液中にバインダ成分を添加して乾燥させた場合には、Si微粉末の軟磁性原料粉末表面への被覆がバインダによっても行われるため、好適である。バインダ成分は、常温で固体であるとともに焼結時の昇温過程で揮発し、最終製品に残留しないものであれば足りる。常温で液体のものは、鉄粉どうし、またはSi微粉末どうしが凝集し易く、好ましくない。このような、常温で固体であるとともに焼結時の昇温過程で揮発し、最終製品に残留しないものとして、例えば、PVP、PVA等を用いることが好ましく、その他に各鉄粉メーカーで無偏析処理のため使用されているバインダも使用可能である。ただし、バインダ成分としてPVPを用いた場合には、成形密度を6.9g/cm程度より高くすると、単なる焼結時の昇温過程では揮発除去し難いため、焼結時の昇温過程において400〜500℃程度で一旦10〜60分程度保持して十分にバインダ成分を揮発除去することが必要である。成形密度が上記より低い場合や、バインダ成分としてPVPよりも低い温度で熱分解が始まり揮発除去が容易なPVAを用いる場合には、上記バインダ除去過程はとくに必要ない。また、バインダ成分の添加量としては、0.5質量%以下が好ましい。0.5質量%を超えて添加すると、成形体密度の低下により、焼結後の密度が低下して磁気特性を低下させる。また、0.5質量%を超えて添加すると、バインダ成分の揮発除去が困難となり、残留したバインダ成分がCとしてFe基地に拡散し、磁気特性を低下させるおそれがある。
さらに、上記分散液が、分散剤、界面活性剤および防錆剤の少なくとも1種を含む場合には、以下に示す種々の効果を発揮するため、さらに優れた圧縮性能や磁気特性等を得る効果が大きい。具体的には、分散剤を用いた場合には、Si微粉末の溶液中への分散性が高められ、Si微粉末の沈降が防止される。このため、Si微粉末の軟磁性原料粉末への均一な被覆を実現することができる。また、界面活性剤を用いた場合には、軟磁性原料粉末表面とSi微粉末分散液との濡れ性が高められることにより、Si微粉末の軟磁性原料粉末への均一な被覆を実現することができる。さらに、防錆剤を用いた場合には、分散媒が水である場合に、軟磁性原料粉末の発錆が抑制される。
上記により得られたSi微粉末被覆軟磁性粉末を原料として用い、所定の形状に圧粉成形した後、焼結することにより、密度比が高く、しかも磁気特性に優れた軟磁性焼結部材を製造することができる。なお、圧粉成形においては、通常の粉末冶金法で行われるように、原料粉末に成形潤滑剤を添加する内部潤滑法、または金型壁面に潤滑剤を塗布する金型潤滑法等の潤滑手段を用いることができる。一般の粉末冶金法で用いられる成形潤滑剤は、焼結時の昇温過程で揮発除去され、最終製品には残留しない。なお、焼結は、不活性ガス雰囲気、減圧雰囲気、真空雰囲気、アンモニア分解ガス雰囲気のいずれかの雰囲気の下で行う。浸炭性ガス雰囲気は、磁気特性を低下させるCが基地中に拡散するので好ましくない。
本発明の軟磁性焼結部材の製造方法では、微細なSi粉末を軟磁性原料粉末表面に乾燥状態で被覆された粉末を原料粉末として用いるので、成形時の優れた圧縮性能により気孔が不可避的に残存せず、またSiの拡散に起因する粗大なカーケンダルボイドが存在しない。よって、本発明の製造方法では、高密度かつ優れた磁気特性を兼備する軟磁性焼結部材が得られる。
表1に示す平均粒径のFe−P粉末(P量が0質量%の試料番号01〜20の試料の場合は純鉄粉末)と、同表に示す平均粒径のSi粉末とを用い、同表に示す配合比でSi粉末を被覆したものを原料粉末として用い、成形圧力:686MPaで試験片形状に圧粉成形して、成形体(φ30mm×φ20mm×t5mm)を作製した。この成形体について成形体密度を測定した結果を表1に併記する。
次いで、上記のように作製した成形体を10−3Torrの減圧ガス雰囲気中で1200℃×60分間焼結し、試料番号01〜26の試料を得た。これらの試料について、焼結後の密度を測定した結果を表1に併記する。また、これらの試料について、磁化力2000A/mの時の直流磁束密度B、最大透磁率の各磁気特性、および電気特性である比抵抗を測定した結果を表1に併記する。
なお、表1中、被覆工程の記号で、(A)は乾式混合による被覆工程、(B)はSi粉末を水中に分散させた分散液中に軟磁性原料粉末を浸漬して流動させながら水を揮発乾燥させた被覆工程、(C)はSi粉末を水中に分散させた分散液を少量ずつ軟磁性原料粉末に滴下しつつ流動させながら水を揮発させて乾燥させた被覆工程、(D)は、Si粉末を水中に分散させた分散液を軟磁性原料粉末に噴霧しつつ流動させながら水を揮発させて乾燥させた被覆工程、および(E)は上記(D)の被覆工程において分散液中にバインダ成分として原料粉末を100質量%として0.25質量%のPVPを添加したものを用いた被覆工程である。
Figure 0004371935
表1の試料番号01〜05の試料を比較することで、同じ平均粒径の軟磁性粉末(純鉄粉)に対するSi粉末の平均粒径の影響を調べることができる。これらの試料により、Si粉末の平均粒径が大きくなるにつれて、焼結体密度が低下し、直流磁束密度および最大透磁率も低下する傾向を示しており、平均粒径が45μmを超える試料番号05の試料では急激に直流磁束密度および最大透磁率が減少していることが判る。この結果により、Si粉末の平均粒径については、45μm以下のものが各種磁気特性に優れているといえる。
表1の試料番号02の試料と試料番号06〜10の試料とを比較することで、同じ平均粒径のSi粉末に対する純鉄粉末の平均粒径の影響を調べることができる。表1により、軟磁性粉末の粒径が増加するにつれて、焼結体密度、直流磁束密度、および最大透磁率はともに減少する傾向を示し、軟磁性粉末の平均粒径が5μmの試料番号06の試料が最も良好な各種特性を示す。また、試料番号06の試料は、軟磁性原料粉末の粒径が小さ過ぎることにより、成形性が悪く、成形体密度が極めて低い値となっているが、表面積が大きいために焼結による緻密化が急激に進行し、焼結体密度が最も高くなっていることが判る。この急激な緻密化の進行により、試料番号06の試料では試料の変形が生じた。このことより、軟磁性原料粉末の粒径があまりに小さ過ぎると、ニアネットシェイプの製品が得られるという粉末冶金法のメリットが活かせないことが判る。なお、軟磁性原料粉末の平均粒径が10μmの試料番号07の試料では、焼結による緻密化は生じるものの、試料番号06のような極端な変形は認められなかった。一方、軟磁性原料粉末の平均粒径が150μmを超える試料番号10の試料では、逆に成形体密度は高く、成形性は優れているが、粉末の表面積が小さく焼結による緻密化が進行しない結果、焼結体密度があまり高くなく、各種磁気特性も著しく低い。したがって、軟磁性原料粉末の平均粒径については、10〜150μmのものが好適であるといえる。
表1の試料番号02の試料と試料番号11〜16の試料とを比較することで、Si粉末の添加量の影響を調べることができる。表1により、Si粉末添加量が5.0質量%の試料番号14の試料において焼結体密度が最も高くなり、直流磁束密度および最大透磁率も最大となっていることが判る。また、Si粉末添加量が1.0〜6.5質量%の範囲で高い直流磁束密度および優れた磁気特性を示すことが判る。したがって、Si粉末の添加量については、1.0〜6.5質量%のものが好適であるといえる。
表1の試料番号02の試料と試料番号17〜20の試料とを比較することで、Si粉末の被覆方法が各種特性に与える影響について調べることができる。表1により、(A):単純な乾式混合による被覆工程(試料番号17)では、被覆が不十分となり、Si微粉末の凝集が発生したことにより、カーケンダルボイドが発生して焼結体密度および各種磁気特性が低い。これに対し、本発明の(B):Si微粉末分散液中に軟磁性原料粉末を浸漬して乾燥する被覆工程(試料番号18)、(C):Si微粉末分散液を軟磁性原料粉末に少量ずつ滴下しつつ乾燥する被覆工程(試料番号19)、(D):Si微粉末分散液を噴霧乾燥する被覆工程(試料番号02)、および(E):分散剤および界面活性剤を添加したSi微粉末分散液を噴霧乾燥する被覆工程(試料番号20)は、いずれも上記(A):単純な乾式混合による被覆工程よりも、(B)、(C)、(D)、(E)の順に、Si微粉末の被覆が一層改善され、焼結体密度が向上するとともに、磁気特性が向上していることが判る。
表1の試料番号02の試料と試料番号21〜26の試料とを比較することで、P量の影響を調べることができる。表1により、Pを添加することで最大透磁率が向上しており、P量が増加するにつれて最大透磁率は増大することが判る。ただし、Fe−P粉末中のP量が1.0質量%を超えると最大透磁率は逆に減少する傾向を示し、P量が1.2質量%を超えると急激にその値が低下している。以上より、Pを含有させる場合、0.2質量%の添加で最大透磁率向上の効果が認められるが、Fe−P粉末として付与するP量が1.2質量%を超えると、逆に透磁率の低下が著しいため、その添加は1.2質量%以下に止めるべきである。
PVPの濃度を変えた水溶液中に、平均粒径が10μmのSi粉末を2質量%分散させた分散液を用意し、その分散液を平均粒径が65μmで、P量が0.6質量%のFe−P粉末に噴霧しつつ流動させながら水を揮発乾燥させて得られた、表2に示すバインダ成分量の異なるSi微粉被覆軟磁性粉末を用い、第1実施例と同じ条件で成形、焼結して試料27〜30を作製した。これらの試料について第1実施例と同様に直流磁束密度、最大透磁率、および比抵抗を測定した結果を表2に併記する。
Figure 0004371935
表2より、バインダ成分を0.5質量%以下添加することにより、Si微粉末の被覆が一層改善されて、焼結体密度が向上するとともに、直流磁束密度および最大透磁率が向上していることが判る。比抵抗はほぼ一定であり、バインダ量による影響は見られない。一方、バインダ成分量が0.5質量%を超えると、成形体密度が低下する結果、焼結体密度が低下して、直流磁気特性および最大透磁率の低下が生じることが判る。よってバインダ成分の添加はSi微粉末の被覆の改善に効果があり、磁気特性を改善できるが、その成分量は0.5質量%以下に止めるべきである。
本発明は、電気エネルギーを駆動エネルギーに変換するアクチュエータの電磁駆動部品や各種センサー部品等のように、近年益々優れた磁気特性が要求される部材の製造技術として活用することができる。

Claims (3)

  1. 原料粉末を所定の形状に圧粉成形した後、焼結する軟磁性焼結部材の製造方法であって、
    前記原料粉末として、平均粒径が10〜150μmの軟磁性原料粉末表面に、平均粒径が1〜45μmであって、前記軟磁性原料粉末に対し1.0〜6.5質量%のSi粉末を被覆する工程により得られ、常温で乾燥状態のSi微粉被覆軟磁性粉末を用いるとともに、
    前記軟磁性原料粉末の成分が、
    (a)Feおよび不可避的不純物、
    (b)P:0.2〜1.2質量%、残部:Feおよび不可避的不純物となる成分を有するFe−P粉末、純鉄粉とFe−P粉末の混合粉末、および純鉄粉表面にFe−P粉末を部分的に拡散付着させた部分拡散合金粉末、
    のいずれか、であり、
    前記Si粉末を被覆する工程が、
    (1)水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を用い、軟磁性原料粉末を前記分散液に浸漬し、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、
    (2)軟磁性原料粉末に、水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を少量ずつ徐々に添加しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、
    (3)軟磁性原料粉末に、水またはエタノール中にSi粉末を分散させた分散液を噴霧しつつ、流動させながら水またはエタノールを蒸発または揮発させて乾燥する工程、
    のいずれかであることを特徴とする軟磁性焼結部材の製造方法。
  2. 前記分散液にバインダ成分を添加するとともに、前記乾燥工程後にSi微粉末が軟磁性原料粉末表面にバインダを介して被覆されていることを特徴とする請求項に記載の軟磁性焼結部材の製造方法。
  3. 前記分散液が、分散剤、界面活性剤および防錆剤の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の軟磁性焼結部材の製造方法。
JP2004218375A 2003-07-31 2004-07-27 軟磁性焼結部材の製造方法 Active JP4371935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004218375A JP4371935B2 (ja) 2003-07-31 2004-07-27 軟磁性焼結部材の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003283302 2003-07-31
JP2004218375A JP4371935B2 (ja) 2003-07-31 2004-07-27 軟磁性焼結部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005060830A JP2005060830A (ja) 2005-03-10
JP4371935B2 true JP4371935B2 (ja) 2009-11-25

Family

ID=34380219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004218375A Active JP4371935B2 (ja) 2003-07-31 2004-07-27 軟磁性焼結部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4371935B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4327214B2 (ja) * 2007-05-21 2009-09-09 三菱製鋼株式会社 焼結軟磁性粉末成形体
JP5470683B2 (ja) * 2007-05-31 2014-04-16 Jfeスチール株式会社 圧粉磁心用金属粉末および圧粉磁心の製造方法
JP4721457B2 (ja) * 2007-07-13 2011-07-13 日立粉末冶金株式会社 焼結軟磁性体、およびそれを用いた焼結可動鉄心、ならびにそれらの製造方法
JP4422773B2 (ja) 2008-04-18 2010-02-24 トヨタ自動車株式会社 圧粉磁心用粉末とその製造方法
JP5325799B2 (ja) * 2009-01-22 2013-10-23 日本碍子株式会社 小型インダクタ及び同小型インダクタの製造方法
DE102012211053A1 (de) * 2012-06-27 2014-01-02 Robert Bosch Gmbh Weichmagnetische Komponente und Verfahren zur Herstellung einer solchen
WO2023068010A1 (ja) * 2021-10-18 2023-04-27 株式会社レゾナック 軟磁性焼結部材及び軟磁性焼結部材の製造方法
CN114160788A (zh) * 2021-10-28 2022-03-11 广东聚石科技研究有限公司 软磁复合材料用绝缘包覆铁粉及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005060830A (ja) 2005-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5504278B2 (ja) 拡散合金化された鉄又は鉄基粉末を製造する方法、拡散合金化粉末、該拡散合金化粉末を含む組成物、及び該組成物から製造した成形され、焼結された部品
JP4548795B2 (ja) 焼結軟磁性部材の製造方法
KR101213856B1 (ko) 소결 연자성 분말성형체
JP5113555B2 (ja) 鉄基焼結合金およびその製造方法
US20200395153A1 (en) Method for manufacturing rare earth permanent magnet
WO2011101276A1 (en) Ferromagnetic powder composition and method for its production
WO2014157517A1 (ja) リアクトル用圧粉磁心
JP2006233331A (ja) 鉄基焼結合金およびその製造方法
WO2012173239A1 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法、ならびに圧粉磁心
JP4371935B2 (ja) 軟磁性焼結部材の製造方法
JP2008507623A (ja) ナノ寸法の金属粉末のフィードストックを調製する方法及び該フィードストックを用いた焼結体を製造する方法。
JP2007092162A (ja) 高圧縮性鉄粉、およびそれを用いた圧粉磁芯用鉄粉と圧粉磁芯
JP2010189769A (ja) 高圧での成形による鉄系構成部品の製造方法
CN105873697B (zh) 软磁粉末混合料
JP2006332328A (ja) 低磁歪体及びこれを用いた圧粉磁芯
JP2011171346A (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末の製造方法並びに圧粉磁心
JP4721457B2 (ja) 焼結軟磁性体、およびそれを用いた焼結可動鉄心、ならびにそれらの製造方法
JP2008214664A (ja) 焼結体の製造方法および焼結体
Mani et al. Structural and magnetic characterization of spark plasma sintered Fe-50Co alloys
JP2005079511A (ja) 軟磁性材料およびその製造方法
US6001150A (en) Boric acid-containing lubricants for powered metals, and powered metal compositions containing said lubricants
Shin et al. Densification and magnetic properties of injection molded gas-and water-atomized Fe–Si alloys and effect of Fe-10.2 wt% P addition
JPH1046201A (ja) 粉末冶金用添加剤並びに焼結体の製造方法
JP2019151910A (ja) 複合焼結部材の製造方法及び複合焼結部材
WO2023068010A1 (ja) 軟磁性焼結部材及び軟磁性焼結部材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090415

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090901

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090901

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4371935

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130911

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350