JP2017154577A - 無人航空機を用いた施設内点検システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検査機器を搭載した無人航空機4を例えば焼却処理施設3内で自動飛行させて設備の点検を行うようにした施設内点検システム1であって、複数の固定器5と移動器33との間での無線信号の空中伝搬時間を利用して計測される無人航空機4の焼却処理施設3内における現在の三次元位置情報と、焼却処理施設3内における設備2の配置に基づいて定められる飛行ルートの三次元位置情報とに基づいて、無人航空機4がその飛行ルートに沿って自動飛行するように制御する。
【選択図】図1
Description
(1)広大な焼却処理施設内を巡回点検するのは作業員への負担が多く、迅速に点検できる範囲は足場を設けた場所に限られている。
(2)足場を設けていない高所などを点検する際は足場を組む作業を伴い、多大な労力、人手、時間を要する。
(3)ごみピット内は複数台の監視カメラにより監視しているが、ごみの堆積状況やごみクレーンの停止位置などによっては死角が発生し、詳細な状況を確認できない箇所が存在する。
(4)ごみクレーンが異常停止した時等、ごみピット内での作業は臭気の兼ね合いもあり、作業員への肉体的、精神的負担が甚大なものになる。
(5)高圧蒸気や薬品の類が漏れ出している空間には、作業員は防護服を着用しなければ近づくことができず、現場確認を行う前に準備時間を要する。
(6)現場点検した記録をデータとして保存するには、管理パソコンなどに手入力、または記録用紙(原紙)をスキャニングするなど、作業員による手間が発生する。
検査機器を搭載し所定の飛行制御信号に従って飛行制御される無人航空機を、点検を要する設備が収容された施設の内部で自動飛行させることにより、前記設備の点検を行うようにした無人航空機を用いた施設内点検システムであって、
前記施設内の三次元的に異なる所定位置に配される複数の固定器と、
前記無人航空機に搭載される移動器と、
前記無人航空機に対し所定の飛行制御信号を送信して前記無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段とを備え、
前記固定器と前記移動器との間で無線信号を伝搬可能とし、
前記飛行制御手段は、前記固定器と前記移動器との間での無線信号の空中伝搬時間を利用して計測される前記無人航空機の前記施設内における現在の三次元位置情報と、前記施設内における前記設備の配置に基づいて定められる飛行ルートの三次元位置情報とに基づいて、前記無人航空機が前記飛行ルートに沿って自動飛行するよう演算処理を行ってその演算結果に従った飛行制御信号を前記無人航空機へと送信して、前記無人航空機が前記飛行ルートに沿って自動飛行するように制御することを特徴とするものである(第1発明)。
なお、衝突回避した後の無人航空機の動作については、飛行制御手段(より具体的には、後述する「制御用PC10」)にて任意に決定できるようにする(例:安全な場所に停止する、もしくは安全を確認でき次第、自動飛行を継続する等)のが好ましい。
ここで、上記データ保存・管理手段としては、例えば、後述する中央制御室11内に配置されるサーバ9などが挙げられ、このサーバ9にはデータシートを用意しておき、受信した計測データをデータシート上における該当するタグナンバーの該当欄に自動的に記入するようにするのがより好ましい。
図1に示される無人航空機を用いた施設内点検システム(以下、単に「施設内点検システム」と称する。)1は、点検を要する設備2(図4(a)および(b)参照)が収容された焼却処理施設3内で三次元的な移動が可能な無人航空機4と、焼却処理施設3内の三次元的に異なる所定位置に配される複数の固定器5と、これら固定器5に有線(例えばUSBケーブル等)にて接続されるハブ6およびWiFi(登録商標)方式の無線通信機(以下、「WiFiルータ」と称する。)7と、ハブ6に対し通信ネットワーク8を介して接続されるサーバ9および制御用パーソナルコンピュータ(以下、「制御用PC」と称する。)10とを備えている。
図2(a)および(b)に示されるように、無人航空機4は、その本体部分を構成する航空機本体12と、航空機本体12から四方に水平に張り出される4つのアーム13と、各アーム13の端部に設置されるモータ14と、各モータ14によって回転駆動されるプロペラ15とを備えて構成されている。
このような構成の無人航空機4は、複数(本例では4つ)のプロペラ15を回転させることで離着陸が可能であり、シングルローターの所謂ヘリコプタータイプのものと比べ、より大きな積載量が期待でき、更に、ホバリング能力(空中で停止する能力)が高く、安定性があり、細かな飛行もできるため、本実施形態の施設内点検システム1の用途に最も適している。
航空機本体12には、図3に示されるようなコントローラ20が内蔵されており、コントローラ20は、主として、CPU(中央演算処理装置)21、種々のデータや所定プログラム等を記憶するメモリ22、およびその他の電気回路等のハードウェア(図示省略)により構成されている。
コントローラ20には、4つのモータ14、無線インターフェイス23、撮像装置24、障害物検知器25および各種センサ26がそれぞれ所定信号を伝達可能に接続されている。
UWBとは、数GHzにわたる帯域を使用する通信方式である。詳細な通信方法はインパルス方式を採用する。これは、例えば、パルス幅が0.2nsec程度のパルスを0.5nsec間隔で、固定器5と移動器33との間にて信号をやり取りする方式で、パルスの空中伝搬時間を利用して高精度な三次元の測位・測距センサが実現できる。電波を利用するため、照度、温度、風等の外乱の影響を受けることなく計測が可能な技術である。
焼却処理施設3内に設置されている複数個の固定器5と測定対象である無人航空機4に搭載する移動器33との距離を信号到達時間により計算して、空間的な位置を測定する。数nsec程度の非常に短いパルス電波を使用することで、リアルタイムに誤差最大数cm以内という精度にて現在位置を測定することができる。
GPSを利用した位置測定の誤差が10m以上であるのに対し、UWBは上記のように非常に高精度での位置測定を行える。固定器5からの測定可能距離は30m程度であり、固定器5を複数個要所に配置すれば、焼却処理施設3内の領域は網羅できる。また、送信出力が非常に小さいため、消費電力がほとんどない点も特徴である。
また、撮像装置24は、設備2に付設される計器を撮像しその計器が示す数値を数値データとして認識する機能を有している。
撮像装置24からの画像データや数値データは、無線通信機34から無線送信され、WiFiルータ7を経由してサーバ9に送信される。
CPU21においては、メモリ22からプログラムを適宜に読み込んで実行することにより、ルート飛行制御部35、衝突判断部36、自立飛行制御部37、撮像制御部38などの種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御を行っている。
衝突判断部36は、障害物検知器25からの検知信号に基づいて飛行ルートの近くに障害物が接近しているか否かを判断する。
自立飛行制御部37は、飛行ルートの近くに障害物が接近していると衝突判断部36が判断したときに、制御用PC10からの飛行制御信号に基づくルート飛行制御部35による飛行制御とは独立して優先的に、障害物との衝突を回避するように無人航空機4を制御する役目をする。
撮像制御部38は、撮像装置24のフォーカスやズーム、レンズ方向を調整する機能を有している。
なお、無人航空機4に搭載した駆動用バッテリーは充電する必要があるため、無人航空機4を自動化するにはワイヤレス給電による自動給電システムが望まれる。そこで、ワイヤレス給電するために、図1に示されるように、焼却処理施設3内の一角に電磁誘導方式または磁界共鳴方式の給電台40を設置し、給電台40には移動器33と同様の発信器を装備し、制御用PC10にて位置情報を判断できるようにしておく。そして、無人航空機4の充電が少なくなった場合や、自動飛行が終了後には給電台40に着陸させて、ワイヤレスにて給電する。
以上より、充電の際には有線接続等の物理的な接続をする手間を省略することができ、全自動化を実現できる。
複数の固定器5と移動器33との間の距離を測定する際は、移動器33が複数の固定器5との間でUWB信号の伝播時間を測定し、距離a〜fを求める。この時点において、各固定器5からの距離情報は移動器33が持っており、移動器33が取得した距離情報を、WiFiルータ7を経由させてサーバ10へ伝送する。
制御用PC10は、移動器33より受信した各固定器5からの距離情報をもとに、移動器33の現在位置、つまり無人航空機4の現在位置を算出する。算出された位置データは制御用PC10内のマップにプロットされ、画面上で確認することも可能となる。なお、このマップはCAD等の3D空間を作成できる市販ソフトウェアを用いて作成したものに、位置測定情報をプロットできると仮定する。マップ内の任意の点(x、y、z)は、各固定器5の距離情報により判別することができる。
以上により、移動器33を搭載した無人航空機4の焼却処理施設3内における現在の位置情報が制御用PC10によって把握される。
図4(a)に示される焼却処理施設3内を上から見た平面図において、焼却処理施設3内における設備2の配置に基づいて定められる飛行ルートに沿って、すなわち図4(a)中(1)〜(5)で示される複数の地点を昇順で白抜き矢印で示される経路に従って無人航空機4を自動飛行させる制御を行うとする。
まず、(1)地点から自動飛行を開始することを前提とする。(1)地点の位置情報は、複数の固定器5からの距離a,b,c,dにより判断している。次に、(2)地点へ向かうとする。(2)地点の位置情報は、複数の固定器5からの距離a´,b´,c´,d´により判断できる。取得した(2)地点の位置情報は、制御用PC10上で認識している。制御用PC10により(2)地点へ向かって前進、減速、停止、ホバリング等の一連の動作指示を無人航空機4に出力する。動作指示のタイミングは、無人航空機4の位置情報により判断する。
ここで、制御PC10から無人航空機4への動作指示の出力について、より具体的には、(1)地点の位置情報と、(2)地点の位置情報とに基づいて、無人航空機4が(1)地点から(2)地点に向かって白抜き矢印で示される経路に沿って前進し、その後、減速、停止、ホバリング等の一連の動作を伴って自動飛行するように制御用PC10が演算処理を行い、その演算結果に従った飛行制御信号を制御用PC10からWiFiルータ7,無線通信機34(図3参照)を介して無人航空機4のコントローラ20に送信することによって行われる。そして、コントローラ20のルート飛行制御部35は、各種センサ26からの検出信号をリアルタイムで読み込みながら制御用PC10からの飛行制御信号に従って、各モータ14の回転を制御し、無人航空機4を(2)地点へと直線的に自動飛行させる。(2)地点以降も同じように自動飛行させると、予定の飛行ルートに沿って無人航空機4を正確に自動飛行させることができる。
また、図4(b)に示される焼却処理施設3内を横から見た断面図において、異なる所定高さ位置に複数(本例では3個)の固定器5を配置することにより、距離a,b,cから高さも含めた地点を指定できる。前述の平面的な二次元での位置制御に加え、この三次元要素を付加することにより、高さも含めた三次元での位置制御を行うことができる。
以上より、GPSでの制御では不可能であった高精度の自動飛行が可能となり、平面方向、高さ方向ともに指定した空間を自動飛行させることが可能になる。また、足場を設けていない高所なども、座標を入力するだけで容易に点検することが可能となる。
前述したように、UWBを利用することで飛行精度は格段に向上するものの、それでも誤差最大数cm以内という精度である。それでは障害物の多い空間においては、無人航空機4を安全に自動飛行させるには不安が残る。そこで、さらに安全性を向上させるために、障害物検知器25による無人航空機4の衝突回避制御を行うものとする。かかる衝突回避制御について、主に図3の機能ブロック図および図5に示されるフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図5中記号「S」はステップを表す。
ステップS2において、飛行ルートの近くに障害物が接近していないと判断した場合には、自動飛行制御を引き続き実行する。一方、飛行ルートの近くに障害物が接近していると判断した場合には、移動器33は、障害物検知器25からの検知信号に基づいて無人航空機4と障害物との位置関係を演算処理し、演算結果に基づき両者の位置関係を把握する(S3)。
次いで、自立飛行制御部37は、ステップS3において把握した無人航空機4と障害物との位置関係に基づいて、障害物との衝突を回避するため、無人航空機4が障害物から遠ざかるように飛行を制御する(S4)。この衝突回避動作を行った位置情報や、衝突回避動作の結果等を無線通信機34からWiFiルータ7を経由させてサーバ9へ伝送し、無人航空機4の飛行状態を遠隔からでも把握できるようにする。また、衝突回避した後の無人航空機の動作については、例えば、安全な場所に停止する、もしくは安全を確認でき次第、自動飛行を継続するなど、制御用PC10にて任意に決定できるようにする(S5)。
こうして、無人航空機4が障害物に近づくと、レーザースキャナー等の障害物検知器25で障害物を検知し、この検知信号をCPU21で判断し、速やかに障害物を回避させる。これにより、制御用PC10で判断させるよりも伝送距離を短縮できるため、反応速度が向上し、安全性が向上する。
なお、人やごみクレーンなど、移動する障害物に対しては、移動器33と同様の発信器を持たせることで、制御用PC10にて移動する障害物の位置情報を把握し、予め障害物を回避させるものとする。
以上より、GPSでの制御では困難であった障害物の多い空間においても、安全に無人航空機4を自動飛行させることが可能になる。また、これまで人がごみピット内に入って作業していたクレーンの点検作業等も、障害物検知器25を無人航空機4に搭載することにより、より安全に、かつ人の労力を要さずに可能となる。
次に、無人航空機4の巡回点検により収集した現場計器等の映像データに対し、撮像装置24が有する数字認識機能により数値データ化し、無線などを利用して中央制御室11などの遠隔地へデータ伝送するための制御方法について以下に説明する。
以上より、これまで手入力などで対応してきた現場計器の計測データを、自動的に保存することが可能となる。
本実施形態の施設内点検システム1によれば、焼却処理施設3内の三次元的に異なる所定位置に配される複数の固定器5とそれら固定器5との間で無線信号を伝搬可能に無人航空機4に搭載される移動器33との間での無線信号の空中伝搬時間を利用して計測される無人航空機4の焼却処理施設3内における現在の三次元位置情報と、焼却処理施設3内における設備2の配置に基づいて定められる飛行ルートの三次元位置情報とに基づいて、無人航空機4がその飛行ルートに沿って自動飛行するように制御されるので、点検を要する設備2が収容された焼却処理施設3内を所定の飛行ルートに沿って検査用の無人航空機4を正確に自動飛行させることができ、これによって作業員が現場に出向かなくても焼却処理施設3内に設置された設備2の点検をすることができる。
したがって、以下のような効果を得ることができる。
(1)焼却処理施設3内の巡回点検などに関する作業員の負担を軽減できる。
(2)高所など、足場の有無に関わらず、人が容易にアクセスできない場所の状態も確認できる。
(3)ごみクレーン異常停止時において、ごみクレーン本体へ直接接近しての確認ができる。
(4)ごみピット転落時、ごみピット火災時において、ごみピット内の詳細把握などに適応できる。
(5)高圧蒸気や薬液が漏れている箇所等、人体に危険を伴う可能性がある場所にも接近可能である。
2 設備
3 焼却処理施設
4 無人航空機
5 固定器
6 ハブ
7 WiFiルータ
9 サーバ(データ保存・管理手段)
10 制御用PC(飛行制御手段)
24 撮像装置(検査機器)
25 障害物検知器
33 移動器
34 無線通信機
35 ルート飛行制御部(飛行制御手段)
36 衝突判断部
37 自立飛行制御部
38 撮像制御部
Claims (4)
- 検査機器を搭載し所定の飛行制御信号に従って飛行制御される無人航空機を、点検を要する設備が収容された施設の内部で自動飛行させることにより、前記設備の点検を行うようにした無人航空機を用いた施設内点検システムであって、
前記施設内の三次元的に異なる所定位置に配される複数の固定器と、
前記無人航空機に搭載される移動器と、
前記無人航空機に対し所定の飛行制御信号を送信して前記無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段とを備え、
前記固定器と前記移動器との間で無線信号を伝搬可能とし、
前記飛行制御手段は、前記固定器と前記移動器との間での無線信号の空中伝搬時間を利用して計測される前記無人航空機の前記施設内における現在の三次元位置情報と、前記施設内における前記設備の配置に基づいて定められる飛行ルートの三次元位置情報とに基づいて、前記無人航空機が前記飛行ルートに沿って自動飛行するよう演算処理を行ってその演算結果に従った飛行制御信号を前記無人航空機へと送信して、前記無人航空機が前記飛行ルートに沿って自動飛行するように制御することを特徴とする無人航空機を用いた施設内点検システム。 - 前記無人航空機は、障害物を検知する障害物検知器と、前記障害物検知器からの障害物検知信号に基づいて前記飛行ルートの近くに障害物が接近しているか否かを判断する衝突判断部と、前記飛行制御手段による飛行制御とは独立して優先的に当該無人航空機を制御する自立飛行制御部とを備え、前記自立飛行制御部は、前記衝突判断部が前記飛行ルートの近くに障害物が接近していると判断したときに、障害物との衝突を回避するため、前記無人航空機が障害物から遠ざかるように飛行制御することを特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いた施設内点検システム。
- 前記無人航空機が搭載する前記検査機器としては、前記設備に付設される計器を撮像しその計器が示す数値を数値データとして認識する機能を有する撮像装置を含み、前記飛行制御手段は、前記計器の位置データに基づいて、前記撮像装置が前記計器を撮像可能となるように前記無人航空機の自動飛行を制御し、前記撮像装置による前記計器の撮像によって認識された数値データを前記無人航空機に搭載される無線通信機により無線送信して、無線送信された数値データをデータ保存・管理手段で保存・管理することを特徴とする請求項1または2に記載の無人航空機を用いた施設内点検システム。
- 前記無人航空機に対しワイヤレスで給電可能な給電台を前記施設内に設置し、前記飛行制御手段は、前記無人航空機を前記給電台に着陸するように飛行制御して、前記給電台に着陸した前記無人航空機に対しワイヤレスにて給電するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無人航空機を用いた施設内点検システム。
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