JP2017151147A - 磁性トナー、及び磁性トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性トナーは、複数のトナー粒子を含有する。トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含む。結晶化抑制剤は、磁性粉の表面に付着している。
【選択図】なし
Description
第一実施形態に係る磁性トナー(以下、単に「トナー」と記載することがある)は、静電潜像現像用トナーである。第一実施形態に係るトナーは、多数のトナー粒子から構成される粉体である。第一実施形態に係るトナーは、例えば、電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
構成(1):トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含む。結晶化抑制剤は磁性粉の表面に付着している。
構成(2):結晶化抑制剤は、ニグロシンを含む。
構成(3):トナー粒子は、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を更に含む。
構成(4):結晶化抑制剤は、結着樹脂中に実質的に存在しない。
既に述べたように、トナー粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含む。また、トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂以外の他の結着樹脂(以下、他の結着樹脂と記載することがある)を含んでもよい。以下、結晶性ポリエステル樹脂及び他の結着樹脂を説明する。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られる。アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールA又はポリオキシプロピレンビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
他の結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂又はビニルアルコール系樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナーの帯電安定性を向上させる観点から、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。以下、非結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
磁性粉としては、例えば、強磁性金属、複数種の強磁性金属の合金、強磁性金属を主成分とした磁性粉、コバルト若しくはニッケルを酸化鉄にドーピングした磁性粉、強磁性金属元素を含まないが熱処理により強磁性を示すようになる合金又は二酸化クロムが挙げられる。強磁性金属としては、例えば、鉄、コバルト又はニッケルが挙げられる。鉄は、酸化鉄(例えば、マグネタイト又はフェライト)の形態で使用されてもよい。磁性粉は、これらの磁性粉の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。トナー粒子の帯電量を調整し易いことから、磁性粉としては、マグネタイトが好ましい。
結晶化抑制剤としては、例えば、ニグロシンが挙げられる。ニグロシンとは、アニリン又はアニリンの塩酸塩とニトロベンゼンとに塩酸を加え、触媒の存在下で酸化還元縮合反応させて得られる多種のアジン系化合物の混合物である。ニグロシンとしては、例えば、C.I.ソルベントブラック7、C.I.ソルベントブラック5又はC.I.アシッドブラック2が挙げられる。
[4−1.帯電制御剤]
トナー粒子は、必要に応じて帯電制御剤を含んでもよい。帯電制御剤は、トナーの帯電レベル、及びトナーの帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、耐久性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。
離型剤は、通常、トナーの耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
外添剤としては、例えば、金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸バリウム等)の微粒子又はシリカの微粒子が挙げられる。例えば、カップリング剤により外添剤の表面改質(より具体的には、疎水化処理又は正帯電処理等)をしてもよい。
第二実施形態に係るトナーの製造方法は、第一実施形態に係るトナーを製造する方法である。第二実施形態に係るトナーは、以下の構成(5)を有する。
構成(5):付着工程では、磁性粉の表面に結晶化抑制剤を付着させる。混練工程では、結晶化抑制剤が付着した磁性粉及び結着樹脂を混練して混練物を得る。
付着工程では、磁性粉の表面に結晶化抑制剤を付着させる。結晶化抑制剤を付着させる方法としては、混合機(例えば、FMミキサー)を用いて、磁性粉と結晶化抑制剤とを混合する方法が挙げられる。混合する条件としては、例えば、回転数300rpm以上2500rpm以下又は回転時間1分以上10分以下が挙げられる。
混練工程では、結晶化抑制剤が付着した磁性粉及び結着樹脂を混練して混練物を得る。混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて混合することにより、混合物を得る。混合物には、必要に応じて、帯電制御剤及び/又は離型剤が更に添加されてもよい。続けて、得られた混合物を、2軸押出機(例えば、株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融し混練する。混練時の温度は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。これにより、混練物が得られる。
粉砕工程では、混練物を粉砕する。粉砕工程では、まず、得られた混練物を一次粉砕することにより、一次粉砕物を得る。具体的には、得られた混練物を、ドラムフレーカーを用いて冷却する。冷却した混練物を、ハンマーミルを用いて一次粉砕する。ハンマーミルには、ふるい(例えば、目開き5mm)がセットされてもよい。これにより、一次粉砕物が得られる。得られた一次粉砕物の体積中位径(D50)は100μm以上1mm以下であることが好ましい。
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる方法の例としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることにより、トナー粒子を含むトナーが得られる。
[1−1.磁性粉の調製]
(磁性粉Aの調製)
磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)40質量部とニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)に投入し、回転数500rpm及び回転時間5分間の条件で内容物を攪拌した。その結果、ニグロシンが表面に付着した磁性粉Aを得た。
ニグロシンの含有量を3質量部から1質量部に変更した以外は、磁性粉Aの調製方法と同様にして、磁性粉Bを調製した。
回転数を500rpmから2,000rpmに変更した以外は、磁性粉Aの調製方法と同様にして、磁性粉Cを調製した。
ニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部をエタノール100質量部に溶解し、エタノール溶液を調製した。流動層スプレーコート装置(フロイント産業株式会社製「SPIR−A−FLOW(登録商標)」)を用いて、調製したエタノール溶液を磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)に塗布し、乾燥した。その結果、磁性粉Dを得た。得られた磁性粉A〜Dの組成及びニグロシンの付着方法を表1に示す。
1,6−ヘキサンジオール132質量部、1,10−デカンジカルボン酸230質量部、触媒(酸化ジブチル錫)1質量部、及びハイドロキノン0.3質量部を反応容器に仕込んだ。次に、反応容器内を窒素雰囲気とし、反応容器の内容物を攪拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度(200℃)で副生水を留去しながら、5時間重合反応を行った。次いで、反応容器内の圧力を5〜20mmHgに減圧して、重合反応を継続し、同温度(200℃)で1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1575質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物163質量部、フマル酸377質量部、及び触媒(酸化ジブチル錫)4質量部を反応容器に仕込んだ。次に、反応容器内を窒素雰囲気とし、反応容器の内容物を攪拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。次いで、同温度(220℃)で8時間反応を行った後、反応容器内の圧力を60mmHgに減圧して1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、無水トリメリット酸無水物336質量部を反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、3時間同温度(210℃)で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
[1−4.トナー母粒子の調整]
結着樹脂として上記調製した結晶性ポリエステル樹脂7質量部及び非結晶性ポリエステル樹脂40質量部と、磁性粉A 43質量部と、離型剤(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックスNo.1」)5質量部と、帯電制御剤(オリヱント化学工業株式会社「ボントロン(登録商標)P−51」)5質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)に投入し、内容物を予備混合した。次いで、2軸混練機(池貝鉄工株式会社製「PCM−30」)を用いて、混合物を混練した。次いで、混練物を冷却した。次いで、粗粉砕機(ホソカワケミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、冷却した混練物を一次粉砕した。次いで、得られた一次粉砕物を微粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「T−250」)を用いて、得られた一次粉砕物を二次粉砕した。エルボージェット分級機を用いて、得られた二次粉砕物を分級し、トナー母粒子を得た。トナー母粒子の体積中位径は、8.0μmであった。
トナー母粒子100質量部と、外添剤(クラリアントジャパン社製「HDK H3050 VP」 シリカ)0.3質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)に投入した。内容物を混合し、トナーAを得た。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
磁性粉A 43質量部を磁性粉B 41質量部及びニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)2質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーBを得た。トナーBの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中の結晶化抑制剤が確認された。
磁性粉A 43質量部を磁性粉C 43質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーCを得た。トナーCの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
磁性粉A 43質量部を磁性粉D 43質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーDを得た。トナーDの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
磁性粉A 43質量部を磁性粉D 40質量部及びニグロシン(オリエント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーEを得た。磁性粉Dは、磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)である。結着樹脂中の結晶化抑制剤は確認された。
(2−1.トナーの体積中位径、及び粒度分布)
トナー母粒子の体積中位径(D50)を、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて測定した。なお、体積中位径(D50)は、コールターカウンター法を用いて、体積基準で算出されたメディアン径である。
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて、結晶化抑制剤が磁性粉の表面に付着していること、及び結着樹脂中に含まれることを確認した。
<トナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法>
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物から、ミクロトーム(ライカ株式会社製「EM UC6」)を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて倍率10000倍で観察し、結晶化抑制剤が結着樹脂中に含まれているか、及び、磁性粉近傍に磁性粉に付着していた結晶化抑制剤が存在しているかを確認した。
[5−1.トナーの帯電安定性の評価]
高温高湿環境(温度:32.5℃ 湿度:80%RH)で試料(トナー)を24時間暴露しつつ放置した。以下、この操作を高温高湿環境放置と記載することがある。高温高湿環境放置後の試料5質量部とフェライトキャリア100質量部とを、ターブラー(登録商標)・シェーカー・ミキサー(株式会社シンマルエンタープライゼス製「T2F型」)を用いて通常環境(温度:25℃ 湿度:50%RH)下にて、30秒間摩擦帯電させた。吸引式帯電量測定装置(トレック社製「Medel 210HS」)を用いて、上記摩擦帯電した際のトナーの帯電量(μC/g)を測定した。得られたトナーの帯電量を高温高湿環境放置後のトナーの帯電量とした。また、高温高湿環境放置前の試料(トナー)の帯電量(μC/g)は、高温高湿環境放置後のトナーの帯電量と同様の方法で測定した。得られたトナーの帯電量を高温高湿環境放置前のトナーの帯電量とした。得られたトナーの帯電量から数式(6)を用いて、帯電維持率を算出した。
帯電維持率(%)=[高温高湿環境放置後のトナーの帯電量/高温高湿環境放置前のトナーの帯電量]×100・・・(6)
得られた帯電維持率から下記基準にしたがって、トナーの帯電安定性を評価した。
○(良い):帯電維持率が70%以上であった。
×(悪い):帯電維持率が70%未満であった。
評価機として、プリンター(京セラドキュメントソリューシュンズ株式会社製「FS−4020DN」)の改造機を用いた。この評価機は上記プリンターの定着制御温度を可変できるようにした改造機である。この評価機に各試料(トナー)を投入した。評価機を用い、定着温度を標準制御温度より10℃高く設定し、評価用画像を印刷した。評価用画像は、形状が正方形のソリッド画像であった。評価用紙の定着ローラ1周下流側にソリッド画像の汚れがないか確認した。汚れが確認されない場合、「良い」と判断した。汚れが確認された場合、「良くない」と判断した。判断結果が良いであった場合、定着温度を更に10℃上げたこと以外は上記と同様の操作を行った。「良くない」との判断結果が出るまで、上記と同様の操作を行った。判断結果が「良くない」となった定着温度を「オフセット発生温度」とした。得られたオフセット発生温度から、数式(7)を用いて、標準制御温度との差を求めた。
差(℃)=オフセット発生温度−標準制御温度・・・(7)
差から以下の基準に基づき、トナーの耐オフセット性を評価した。
○(良い):差が+50℃以上であった。
×(悪い):差が+50℃未満であった。
Claims (5)
- 複数のトナー粒子を含有する磁性トナーであって、
前記トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含み、
前記結晶化抑制剤は、前記磁性粉の表面に付着している、磁性トナー。 - 前記結晶化抑制剤は、ニグロシンを含む、請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記トナー粒子は、前記結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を更に含む、請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記結晶化抑制剤は、前記結着樹脂中に実質的に存在しない、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁性トナー。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の磁性トナーの製造方法であって、
前記磁性粉の前記表面に前記結晶化抑制剤を付着させる付着工程と、
前記結晶化抑制剤が付着した前記磁性粉及び前記結着樹脂を混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を粉砕する粉砕工程と
を含む、磁性トナーの製造方法。
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