JP2017151147A - 磁性トナー、及び磁性トナーの製造方法 - Google Patents

磁性トナー、及び磁性トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する磁性トナーを提供する。
【解決手段】磁性トナーは、複数のトナー粒子を含有する。トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含む。結晶化抑制剤は、磁性粉の表面に付着している。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁性トナー、及び磁性トナーの製造方法に関する。
画像形成装置に用いられる磁性トナーは、一定以上の磁性の保持を必要とする傾向にある。現像スリーブの現像領域への磁性トナーの搬送及び現像スリーブ上での磁性トナーによる薄層(トナー薄膜)の形成のためである。磁性の強さは、例えば、磁性トナーに含まれる磁性粉の添加量によって決定される。磁性粉の添加量が多くなると、記録媒体への磁性トナーの耐オフセット性が低下する場合がある。また、磁性粉は導電性を有するため、磁性粉の添加量は磁性トナーの帯電量に影響を与え易い。そのため、磁性トナー粒子における磁性粉の添加量は、制限される傾向にある。したがって、磁性粉の添加量を一定に保持しつつ、画像の品質を向上させることが望まれる。例えば、特許文献1には、平均円形度0.950以上の磁性トナーが記載されている。
特開2006−78983号公報
しかし、特許文献1に記載の磁性トナーでは、帯電安定性及び耐オフセット性は十分ではなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有するトナーを提供することを目的とする。また、本発明は、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する磁性トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁性トナーは、複数のトナー粒子を含有する。前記トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含む。前記結晶化抑制剤は、前記磁性粉の表面に付着している。
本発明の磁性トナーの製造方法は、上述の磁性トナーを製造する方法である。本発明の磁性トナーの製造方法は、付着工程と、混練工程と、粉砕工程とを含む。前記付着工程は、前記磁性粉の前記表面に前記結晶化抑制剤を付着させる。前記混練工程は、前記結晶化抑制剤が付着した前記磁性粉及び前記結着樹脂を混練して混練物を得る。前記粉砕工程は、前記混練物を粉砕する。
本発明によれば、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する磁性トナーを提供することができる。また、本発明によれば、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する磁性トナーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定しない。
<第一実施形態:磁性トナー>
第一実施形態に係る磁性トナー(以下、単に「トナー」と記載することがある)は、静電潜像現像用トナーである。第一実施形態に係るトナーは、多数のトナー粒子から構成される粉体である。第一実施形態に係るトナーは、例えば、電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
電子写真装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。現像工程では、感光体に形成された静電潜像に、帯電したトナーを付着させてトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナー像を加熱及び加圧して、記録媒体にトナー像を定着させる。
第一実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)を有する。
構成(1):トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含む。結晶化抑制剤は磁性粉の表面に付着している。
本発明で規定する「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示す。具体的には、「結晶性」とは、昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以下であることを意味する。一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を超えるポリエステル樹脂又は明確な吸熱ピークが認められないポリエステル樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
本明細書において、トナーの帯電安定性は、帯電の維持し易さを示すトナーの性質である。帯電安定性は、帯電させた後一定時間経過させた際に存在する帯電トナーの割合で評価できる。具体的な評価方法の詳細は実施例にて後述する。また、耐オフセット性は、画像形成装置における定着可能な温度(最高定着温度)と、標準定着温度との差で評価することができる。この差が大きいことは耐オフセット性に優れることを示す。具体的な評価方法の詳細は実施例にて後述する。
磁性粉の表面への結晶化抑制剤の付着は、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて確認することができる。確認方法の詳細は、実施例で後述する。
構成(1)は、トナーの帯電安定性及び耐オフセット性の向上に有益である。構成(1)を有するトナーでは、結晶化抑制剤は磁性粉の表面に付着している。このため、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が、磁性粉の表面で抑制される傾向にある。一方、結晶性ポリエステル樹脂が結晶化すると電気抵抗が低下する。このため、磁性粉の表面での結晶化したポリエステル樹脂の存在を低減することで、磁性粉から電荷の放出は効率的に抑制される傾向にある。よって、構成(1)を有するトナーは、帯電安定性の低下を抑制することができる。また、構成(1)を有するトナーでは、結晶化抑制剤が磁性粉の表面に付着している。このため、画像形成工程の定着工程におけるトナーが溶融される際に、トナーの凝集力が低下しない傾向にある。よって、構成(1)を有するトナーは、耐オフセット性の低下を抑制することができる。したがって、構成(1)を有するトナーは、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する。
トナーの帯電安定性及び耐オフセット性のうち少なくとも一方を更に向上させるためには、トナーは、構成(1)に加えて、次に示す構成(2)、(3)及び(4)のうち少なくとも1つを有することが好ましい。
構成(2):結晶化抑制剤は、ニグロシンを含む。
構成(3):トナー粒子は、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を更に含む。
構成(4):結晶化抑制剤は、結着樹脂中に実質的に存在しない。
構成(2)は、トナーの帯電安定性及び耐オフセット性の向上に有益である。構成(2)を有するトナーでは、結晶化抑制剤がニグロシンを含む。ニグロシンは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を抑制し易い。このため、構成(2)を有するトナーは、帯電安定性及び耐オフセット性を向上させ易い。
構成(3)を有するトナーは、帯電安定性及び耐オフセット性の向上に有益である。構成(3)を有するトナーは、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を更に含む。非結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの定着温度幅を拡大させる。
構成(4)において、「結晶化抑制剤は、結着樹脂中に実質的に存在しない」とは、本発明に係るトナーにおいて、結晶化抑制剤はトナー粒子中で孤立した状態で分散しておらず、実質的に磁性粉の表面に付着した態様でのみ存在することを意味する。
構成(4)は、帯電安定性及び耐オフセット性の向上に有益である。構成(4)を有するトナーでは、結晶化抑制剤は結着樹脂中に存在しない。すなわち、結晶化抑制剤は、実質的に磁性粉の表面にのみ存在する。構成(4)を有するトナーでは、結晶化抑制剤を結着樹脂中に分散させないため、画像形成工程の定着工程においてトナーが溶融する際に、トナーの凝集力が低下しにくい。このため、構成(4)を有するトナーは、耐オフセット性の低下を抑制し易い。また、結晶化抑制剤は、実質的に磁性粉の表面に付着した態様でのみ存在するため、磁性粉近傍でのみ結晶化を抑制する傾向にある。このため、トナーの帯電安定性を制御し易い。したがって、構成(4)を有するトナーは、帯電安定性及び耐オフセット性を向上させることができる。
第一実施形態に係るトナーは、構成(1)を有するトナー粒子(以下、第一実施形態のトナー粒子と記載することがある)を、複数有する。第一実施形態のトナー粒子を有するトナーは優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する。なお、トナーは、80質量%以上の割合で第一実施形態のトナー粒子を有することが好ましく、90質量%以上の割合で第一実施形態のトナー粒子を有することがより好ましく、100質量%の割合で第一実施形態のトナー粒子を有することが更に好ましい。
トナー粒子は、必要に応じて任意の成分(例えば、帯電制御剤、離型剤又は外添剤)を含んでもよい。例えば、トナー粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子をトナー母粒子と記載することがある。なお、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。以下、結着樹脂、磁性粉、結晶化抑制剤及び任意の成分を順に説明する。
[1.結着樹脂]
既に述べたように、トナー粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含む。また、トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂以外の他の結着樹脂(以下、他の結着樹脂と記載することがある)を含んでもよい。以下、結晶性ポリエステル樹脂及び他の結着樹脂を説明する。
[1−1.結晶性ポリエステル樹脂]
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られる。アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールA又はポリオキシプロピレンビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
これらのアルコール成分の中では、炭素原子数2以上8以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素原子数が2以上8以下であるα,ω−アルカンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルコール成分中の炭素原子数2以上10以下の脂肪族ジオールの割合が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、アルコール成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸又はイソドデセニルコハク酸)のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸又はエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、カルボン酸ハライド、カルボン酸無水物又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性誘導体に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数が1以上6以下であるアルキル基を意味する。
これらのカルボン酸成分の中では、炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数が2以上16以下であるα,ω−アルカンジカルボン酸がより好ましい。また、カルボン酸成分には、更に1価のカルボン酸を含んでもよい。1価のカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン酸成分中の炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、カルボン酸成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が1質量部以上15質量部以下であると、トナーの耐オフセット性が向上する。
[1−2.他の結着樹脂]
他の結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂又はビニルアルコール系樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナーの帯電安定性を向上させる観点から、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。以下、非結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
非結晶性ポリエステル樹脂を調製する場合、得られるポリエステル樹脂の結晶性を抑制する必要がある。ポリエステル樹脂の結晶性の抑制方法は、特に限定されないが、結晶性の抑制方法として、例えば以下の方法(イ)〜(ハ)が挙げられる。
方法(イ):結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を向上させるアルコール及びカルボン酸を少量だけ使用するか、使用しない方法。
方法(ロ):アルコール及びカルボン酸として、それぞれ2種以上の化合物を使用する方法。
方法(ハ):ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のようなアルコール又は、アルキル置換コハク酸のようなカルボン酸を使用して結晶化を抑制する方法。
これらの結晶化の抑制方法の中では、単量体の種類が少なく非結晶性ポリエステル樹脂の調製が容易であることから、方法(ハ)がより好ましい。方法(ハ)では、アルコール(例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物)及びカルボン酸(例えば、アルキル置換コハク酸)の使用量を増やすほど結晶化を抑制しやすい。しかし、これらの単量体の使用量は、得られるポリエステル樹脂の結晶性指数と、他の物性とを考慮して、適宜調整されることが好ましい。なお、非結晶性ポリエステル樹脂は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子100質量部に対して30質量部以上90質量部以下であることが好ましく、35質量部以上85質量部以下であることがより好ましい。
[2.磁性粉]
磁性粉としては、例えば、強磁性金属、複数種の強磁性金属の合金、強磁性金属を主成分とした磁性粉、コバルト若しくはニッケルを酸化鉄にドーピングした磁性粉、強磁性金属元素を含まないが熱処理により強磁性を示すようになる合金又は二酸化クロムが挙げられる。強磁性金属としては、例えば、鉄、コバルト又はニッケルが挙げられる。鉄は、酸化鉄(例えば、マグネタイト又はフェライト)の形態で使用されてもよい。磁性粉は、これらの磁性粉の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。トナー粒子の帯電量を調整し易いことから、磁性粉としては、マグネタイトが好ましい。
磁性粉には、磁性粉の結着樹脂への分散性及び磁性粉の耐久性を向上させるために、表面処理が行われてもよい。磁性粉を表面処理する場合、表面処理剤の例としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、シアネート系樹脂又はウレタン樹脂が挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[3.結晶化抑制剤]
結晶化抑制剤としては、例えば、ニグロシンが挙げられる。ニグロシンとは、アニリン又はアニリンの塩酸塩とニトロベンゼンとに塩酸を加え、触媒の存在下で酸化還元縮合反応させて得られる多種のアジン系化合物の混合物である。ニグロシンとしては、例えば、C.I.ソルベントブラック7、C.I.ソルベントブラック5又はC.I.アシッドブラック2が挙げられる。
C.I.ソルベントブラック7としては、例えば、スピリットブラック(Spirit Black)SB、スピリットブラック(Sprit Black)SSBB、スピリットブラック(Sprit Black)AB、スピリットブラック(Sprit Black)ABL、ヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)NH−805又はヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)NH−815の商品名で市販されているC.I.ソルベントブラック7(何れもオリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。
また、C.I.ソルベントブラック5としては、例えば、ニグロシンベース(Nigrosine Base)SA、ニグロシンベース(Nigrosine Base)SAP、ニグロシンベース(Nigrosine Base)SAPL、ニグロシンベース(Nigrosine Base)EE、ニグロシンベース(Nigrosine Base)EEL、ニグロシンベース(Nigrosine Base)EX、ニグロシンベース(Nigrosine Base)EXBP、スペシャルブラック(Special Black)EB、ヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)TN−870、ヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)TN−877、ヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)TN−807、ヌービアンブラック(NUBIAN(登録商標) BLACK)TH−827又はヌービアングレー(NUBIAN(登録商標) GRAY)IR−Bの商品名で市販されているC.I.ソルベントブラック5(何れもオリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。
また、これら以外には、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−01、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−04、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−07、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−09、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−21、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−71、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−75、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))N−79の商品名で市販されているニグロシン(何れもオリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。
[4.任意の成分]
[4−1.帯電制御剤]
トナー粒子は、必要に応じて帯電制御剤を含んでもよい。帯電制御剤は、トナーの帯電レベル、及びトナーの帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、耐久性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。
正帯電させたトナーを用いて現像する場合には、正帯電性の帯電制御剤を使用することが好ましい。一方、負帯電させたトナーを用いて現像する場合には、負帯電性の帯電制御剤を使用することが好ましい。ただし、トナーにおいて十分な帯電量が確保される場合には、帯電制御剤を使用しなくてもよい。
正帯電性の帯電制御剤の例としては、アジン系化合物、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド又は4級アンモニウム塩(より具体的には、ボントロン(登録商標)(BONTRON(登録商標))P−51の商品名で市販されている4級アンモニウム塩等)が挙げられる。
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩又はカルボキシル基を有する樹脂も、正帯電性の帯電制御剤として使用できる。良好なトナーの帯電立ち上がり特性を得るためには、ニグロシン化合物が特に好ましい。帯電制御剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上の帯電制御剤を併用してもよい。
[4−2.離型剤]
離型剤は、通常、トナーの耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の例としては、脂肪族炭化水素ワックス、脂肪族炭化水素ワックスの酸化物、植物由来のワックス、動物由来のワックス、鉱物由来のワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス又は脂肪酸エステルの一部若しくは全部が脱酸化されたワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレワックス(例えば、低分子量ポリエチレン)、ポリプロピレンワックス(例えば、低分子量ポリプロピレン)、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素ワックスの酸化物の例としては、酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンのブロック共重合体が挙げられる。植物由来のワックスの例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう又はライスワックスが挙げられる。動物由来のワックスの例としては、みつろう、ラノリン又は鯨ろうが挙げられる。鉱物由来のワックスの例としては、オゾケライト、セレシン又はペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするワックスの例としては、モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部若しくは全部が脱酸化されたワックスの例としては、脱酸カルナバワックスが挙げられる。
離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
離型剤の融点は、50℃以上150℃以下であることが好ましい。離型剤の融点がこのような範囲内であると、離型剤を含有するトナーの低温定着性が向上し、トナーの高温でのオフセットの発生が抑制される傾向にある。離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定される。
以上説明したように、第一実施形態に係るトナーは、優れた帯電安定性及び耐オフセット性を有する。このため、第一実施形態に係るトナーは、種々の画像形成装置で好適に使用することができる。
[4−3.外添剤]
外添剤としては、例えば、金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸バリウム等)の微粒子又はシリカの微粒子が挙げられる。例えば、カップリング剤により外添剤の表面改質(より具体的には、疎水化処理又は正帯電処理等)をしてもよい。
<第二実施形態:トナーの製造方法>
第二実施形態に係るトナーの製造方法は、第一実施形態に係るトナーを製造する方法である。第二実施形態に係るトナーは、以下の構成(5)を有する。
構成(5):付着工程では、磁性粉の表面に結晶化抑制剤を付着させる。混練工程では、結晶化抑制剤が付着した磁性粉及び結着樹脂を混練して混練物を得る。
構成(5)は、帯電安定性及び耐オフセット性に優れるトナーの提供に有益である。構成(5)を有するトナーの製造方法において、付着工程では、磁性粉の表面に結晶化抑制剤を付着させる。混練工程は、結晶化抑制剤が付着した磁性粉及び結着樹脂を混練して混練物を得る。このような工程を経ることで、結晶化抑制剤は、トナー粒子中で実質的に磁性粉の表面に付着して存在し、結着樹脂中には実質的に存在しない。結晶化抑制剤を結着樹脂中で分散させないため、画像形成工程の定着工程においてトナーが溶融する際に、トナーの凝集力が低下しにくい。このため、構成(5)を有するトナーの製造方法は、耐オフセット性に優れるトナーを提供できる。また、結晶化抑制剤は、実質的に磁性粉の表面に付着してのみ存在するため、磁性粉近傍でのみ結晶化を抑制する傾向にある。このため、トナーの帯電安定性を制御し易い。よって、構成(5)を有するトナーの製造方法は、帯電安定性に優れるトナーを提供できる。したがって、構成(5)を有するトナーの製造方法は、帯電安定性及び耐オフセット性に優れるトナーを提供できる。
また、構成(5)を有するトナーの製造方法では、結晶化抑制剤はトナー粒子中で実質的に磁性粉の表面に付着してのみ存在し、結着樹脂中には実質的に存在しない。このため、構成(5)を有するトナーの製造方法は、構成(4)を有するトナーを提供し易い。
第二実施形態に係るトナーの製造方法は、付着工程と、混練工程と、粉砕工程とを含む。第二実施形態に係るトナーの製造方法は、外添工程を更に含んでもよい。以下、第二実施形態に係るトナーの製造方法の一例を挙げて、付着工程、混練工程、粉砕工程及び外添工程を説明する。
[1.付着工程]
付着工程では、磁性粉の表面に結晶化抑制剤を付着させる。結晶化抑制剤を付着させる方法としては、混合機(例えば、FMミキサー)を用いて、磁性粉と結晶化抑制剤とを混合する方法が挙げられる。混合する条件としては、例えば、回転数300rpm以上2500rpm以下又は回転時間1分以上10分以下が挙げられる。
[2.混練工程]
混練工程では、結晶化抑制剤が付着した磁性粉及び結着樹脂を混練して混練物を得る。混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて混合することにより、混合物を得る。混合物には、必要に応じて、帯電制御剤及び/又は離型剤が更に添加されてもよい。続けて、得られた混合物を、2軸押出機(例えば、株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融し混練する。混練時の温度は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。これにより、混練物が得られる。
[3.粉砕工程]
粉砕工程では、混練物を粉砕する。粉砕工程では、まず、得られた混練物を一次粉砕することにより、一次粉砕物を得る。具体的には、得られた混練物を、ドラムフレーカーを用いて冷却する。冷却した混練物を、ハンマーミルを用いて一次粉砕する。ハンマーミルには、ふるい(例えば、目開き5mm)がセットされてもよい。これにより、一次粉砕物が得られる。得られた一次粉砕物の体積中位径(D50)は100μm以上1mm以下であることが好ましい。
次いで、一次粉砕物を粉砕(二次粉砕)する。これにより、トナー粒子を得る。具体的には、得られた一次粉砕物を、機械式粉砕機(例えば、フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル T250」)を用いて二次粉砕する。例えば、二次粉砕は、回転速度5,000rpm以上15,000rpm以下で行うことが好ましい。次いで、得られた二次粉砕物を、分級機(例えば、風力分級機)を用いて分級する。これにより、トナー母粒子が得られる。得られたトナー母粒子の体積中位径(D50)は10.0μm未満であることが好ましく、5.0μm以上9.0μm以下であることがより好ましい。
[4.外添工程]
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる方法の例としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることにより、トナー粒子を含むトナーが得られる。
トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性に応じて任意に変更することができる。また、付着工程、混練工程及び粉砕工程以外の工程、及び必要のない操作は割愛してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
以上説明したように、第二実施形態に係るトナーの製造方法は、優れた帯電安定性及び付着性を有するトナーを提供できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[1.トナーの調製]
[1−1.磁性粉の調製]
(磁性粉Aの調製)
磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)40質量部とニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)に投入し、回転数500rpm及び回転時間5分間の条件で内容物を攪拌した。その結果、ニグロシンが表面に付着した磁性粉Aを得た。
(磁性粉Bの調整)
ニグロシンの含有量を3質量部から1質量部に変更した以外は、磁性粉Aの調製方法と同様にして、磁性粉Bを調製した。
(磁性粉Cの調製)
回転数を500rpmから2,000rpmに変更した以外は、磁性粉Aの調製方法と同様にして、磁性粉Cを調製した。
(磁性粉Dの調製)
ニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部をエタノール100質量部に溶解し、エタノール溶液を調製した。流動層スプレーコート装置(フロイント産業株式会社製「SPIR−A−FLOW(登録商標)」)を用いて、調製したエタノール溶液を磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)に塗布し、乾燥した。その結果、磁性粉Dを得た。得られた磁性粉A〜Dの組成及びニグロシンの付着方法を表1に示す。
[1−2.結晶性ポリエステル樹脂の調製]
1,6−ヘキサンジオール132質量部、1,10−デカンジカルボン酸230質量部、触媒(酸化ジブチル錫)1質量部、及びハイドロキノン0.3質量部を反応容器に仕込んだ。次に、反応容器内を窒素雰囲気とし、反応容器の内容物を攪拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度(200℃)で副生水を留去しながら、5時間重合反応を行った。次いで、反応容器内の圧力を5〜20mmHgに減圧して、重合反応を継続し、同温度(200℃)で1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
[1−3.非結晶性ポリエステル樹脂の調製]
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1575質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物163質量部、フマル酸377質量部、及び触媒(酸化ジブチル錫)4質量部を反応容器に仕込んだ。次に、反応容器内を窒素雰囲気とし、反応容器の内容物を攪拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。次いで、同温度(220℃)で8時間反応を行った後、反応容器内の圧力を60mmHgに減圧して1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、無水トリメリット酸無水物336質量部を反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、3時間同温度(210℃)で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
実施例1
[1−4.トナー母粒子の調整]
結着樹脂として上記調製した結晶性ポリエステル樹脂7質量部及び非結晶性ポリエステル樹脂40質量部と、磁性粉A 43質量部と、離型剤(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックスNo.1」)5質量部と、帯電制御剤(オリヱント化学工業株式会社「ボントロン(登録商標)P−51」)5質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)に投入し、内容物を予備混合した。次いで、2軸混練機(池貝鉄工株式会社製「PCM−30」)を用いて、混合物を混練した。次いで、混練物を冷却した。次いで、粗粉砕機(ホソカワケミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、冷却した混練物を一次粉砕した。次いで、得られた一次粉砕物を微粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「T−250」)を用いて、得られた一次粉砕物を二次粉砕した。エルボージェット分級機を用いて、得られた二次粉砕物を分級し、トナー母粒子を得た。トナー母粒子の体積中位径は、8.0μmであった。
[1−5.トナー粒子]
トナー母粒子100質量部と、外添剤(クラリアントジャパン社製「HDK H3050 VP」 シリカ)0.3質量部とをFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)に投入した。内容物を混合し、トナーAを得た。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
実施例2
磁性粉A 43質量部を磁性粉B 41質量部及びニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)2質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーBを得た。トナーBの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中の結晶化抑制剤が確認された。
実施例3
磁性粉A 43質量部を磁性粉C 43質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーCを得た。トナーCの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
実施例4
磁性粉A 43質量部を磁性粉D 43質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーDを得た。トナーDの体積中位径は、8.0μmであった。磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していることが確認され、結着樹脂中に結晶化抑制剤は確認されなかった。すなわち、結晶化抑制剤が結着樹脂中に実質的に存在しないことが確認された。
比較例1
磁性粉A 43質量部を磁性粉D 40質量部及びニグロシン(オリエント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」)3質量部に変更した以外は、トナーAの製造方法と同様にして、トナーEを得た。磁性粉Dは、磁性粉(チタン工業株式会社製「BL−100」)である。結着樹脂中の結晶化抑制剤は確認された。
各試料(実施例1〜4及び比較例1のトナー)を表2に示す。なお、表2中のN−01はオリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)N−01」を表し、P−51はオリヱント化学工業株式会社製「ボントロン(登録商標)P−51」を表し、カウナウバワックスは株式会社加藤洋行製「カウナウバワックスNo.1」を表す。
[2.測定方法]
(2−1.トナーの体積中位径、及び粒度分布)
トナー母粒子の体積中位径(D50)を、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて測定した。なお、体積中位径(D50)は、コールターカウンター法を用いて、体積基準で算出されたメディアン径である。
(2−2.結晶化抑制剤の存在)
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて、結晶化抑制剤が磁性粉の表面に付着していること、及び結着樹脂中に含まれることを確認した。
<トナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法>
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物から、ミクロトーム(ライカ株式会社製「EM UC6」)を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて倍率10000倍で観察し、結晶化抑制剤が結着樹脂中に含まれているか、及び、磁性粉近傍に磁性粉に付着していた結晶化抑制剤が存在しているかを確認した。
[5.評価方法]
[5−1.トナーの帯電安定性の評価]
高温高湿環境(温度:32.5℃ 湿度:80%RH)で試料(トナー)を24時間暴露しつつ放置した。以下、この操作を高温高湿環境放置と記載することがある。高温高湿環境放置後の試料5質量部とフェライトキャリア100質量部とを、ターブラー(登録商標)・シェーカー・ミキサー(株式会社シンマルエンタープライゼス製「T2F型」)を用いて通常環境(温度:25℃ 湿度:50%RH)下にて、30秒間摩擦帯電させた。吸引式帯電量測定装置(トレック社製「Medel 210HS」)を用いて、上記摩擦帯電した際のトナーの帯電量(μC/g)を測定した。得られたトナーの帯電量を高温高湿環境放置後のトナーの帯電量とした。また、高温高湿環境放置前の試料(トナー)の帯電量(μC/g)は、高温高湿環境放置後のトナーの帯電量と同様の方法で測定した。得られたトナーの帯電量を高温高湿環境放置前のトナーの帯電量とした。得られたトナーの帯電量から数式(6)を用いて、帯電維持率を算出した。
帯電維持率(%)=[高温高湿環境放置後のトナーの帯電量/高温高湿環境放置前のトナーの帯電量]×100・・・(6)
得られた帯電維持率から下記基準にしたがって、トナーの帯電安定性を評価した。
○(良い):帯電維持率が70%以上であった。
×(悪い):帯電維持率が70%未満であった。
[5−2.トナーの耐オフセット性の評価]
評価機として、プリンター(京セラドキュメントソリューシュンズ株式会社製「FS−4020DN」)の改造機を用いた。この評価機は上記プリンターの定着制御温度を可変できるようにした改造機である。この評価機に各試料(トナー)を投入した。評価機を用い、定着温度を標準制御温度より10℃高く設定し、評価用画像を印刷した。評価用画像は、形状が正方形のソリッド画像であった。評価用紙の定着ローラ1周下流側にソリッド画像の汚れがないか確認した。汚れが確認されない場合、「良い」と判断した。汚れが確認された場合、「良くない」と判断した。判断結果が良いであった場合、定着温度を更に10℃上げたこと以外は上記と同様の操作を行った。「良くない」との判断結果が出るまで、上記と同様の操作を行った。判断結果が「良くない」となった定着温度を「オフセット発生温度」とした。得られたオフセット発生温度から、数式(7)を用いて、標準制御温度との差を求めた。
差(℃)=オフセット発生温度−標準制御温度・・・(7)
差から以下の基準に基づき、トナーの耐オフセット性を評価した。
○(良い):差が+50℃以上であった。
×(悪い):差が+50℃未満であった。
Figure 2017151147
Figure 2017151147
各試料(実施例1〜4及び比較例1のトナー)の帯電安定性及び耐オフセット性の評価結果を表3に示す。
Figure 2017151147
表1及び2に示すように、実施例1〜4に係るトナーは、構成(1)を有していた。詳しくは、実施例1〜4に係るトナーでは、トナー粒子が結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と磁性粉と結晶化抑制剤とを含んでいた。また、磁性粉の表面に結晶化抑制剤が付着していた。また、比較例1に係るトナーは、構成(1)を有しなかった。詳しくは、比較例1に係るトナーでは、結晶化抑制剤が磁性粉の表面で確認されなかった。
表3に示すように、実施例1〜4に係るトナーでは、帯電安定性及び耐オフセット性の評価がともに○(良い)であった。また、比較例1に係るトナーでは、帯電安定性及び耐オフセット性の評価がともに×(悪い)であった。
以上から、実施例1〜4に係るトナーは、比較例1に比べ、優れた帯電安定性及び耐オフセット性が有することを示した。
表1及び表2に示すように、実施例1、3及び4に係るトナーでは、結晶化抑制剤は、実質的に磁性粉の表面にのみ存在する。また、実施例2に係るトナーでは、結晶化抑制剤は、磁性粉の表面に加え、結着樹脂中にも確認された。
表3に示すように、実施例1、3及び4に係るトナーでは、帯電維持率が85%以上であり、差が+80℃であった。実施例2に係るトナーでは、帯電維持率が82%であり、差が+60℃であった。
以上から、実施例1、3及び4に係るトナーは、実施例2に係るトナーに比べ、帯電安定性及び耐オフセット性が向上することを示した。
本発明に係る磁性トナーは、画像形成装置(例えば、複写機又はプリンター)において画像を形成するために用いることができる。

Claims (5)

  1. 複数のトナー粒子を含有する磁性トナーであって、
    前記トナー粒子は、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と、磁性粉と、結晶化抑制剤とを含み、
    前記結晶化抑制剤は、前記磁性粉の表面に付着している、磁性トナー。
  2. 前記結晶化抑制剤は、ニグロシンを含む、請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記トナー粒子は、前記結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を更に含む、請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 前記結晶化抑制剤は、前記結着樹脂中に実質的に存在しない、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁性トナー。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の磁性トナーの製造方法であって、
    前記磁性粉の前記表面に前記結晶化抑制剤を付着させる付着工程と、
    前記結晶化抑制剤が付着した前記磁性粉及び前記結着樹脂を混練して混練物を得る混練工程と、
    前記混練物を粉砕する粉砕工程と
    を含む、磁性トナーの製造方法。
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