JP2017150662A - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下に、必要により添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
表層は、親水性樹脂及びバインダー樹脂を含み、圧縮層(圧縮ゴム層)の摩擦伝動面を被覆している。詳しくは、親水性樹脂とバインダー樹脂とが一体化した状態で表層を形成し、圧縮層の摩擦伝動面に固着されており、親水性樹脂の親水作用により、摩擦伝動面の乾燥状態(Dry)と被水状態(Wet)とで摩擦係数の差が小さくなり、ベルトとプーリとの間でスティック−スリップ音を長期間抑制できる。このような耐発音性が発現する理由は、次のように推定できる。
親水性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの親水性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性樹脂のうち、親水性(水との濡れ性)及び耐摩耗性に優れる点から、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
さらに、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、耐発音性と耐摩耗性とを高度に両立できる点から、高い方が好ましく、例えば90モル%以上(例えば90〜99.99モル%)、好ましく92モル%以上(例えば92〜99.9モル%)、さらに好ましくは95モル%以上(例えば95〜99.5モル%)程度であり、完全ケン化物が特に好ましい。なお、完全ケン化物のケン化度は97.5モル%以上(特に98モル%以上)であってもよい。
バインダー樹脂としては、ベルトの加硫温度で溶融又は軟化することにより前記親水性樹脂と一体化して親水性樹脂を摩擦伝動面に固着できるバインダー性能を有していればよい。さらに、バインダー樹脂としては、溶融変形して親水性樹脂を固着できる点や、親水性樹脂が粒状であり、バインダー樹脂で被覆されていても、ベルト走行中には、粒状親水性樹脂を表層(摩擦伝動面)から脱離することなく、保持できる点から、ベルトの走行温度以上であり、かつベルトの加硫温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂が好ましく利用できる。
表層は、後述する圧縮層の項で例示される補強材、添加剤(又は配合剤)をさらに含んでいてもよい。
(ポリマー成分)
圧縮層は、ポリマー成分を含むゴム組成物で形成されている。ポリマー成分としては、公知のゴム成分及び/又はエラストマー、例えば、ジエン系ゴム[天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)など]、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのポリマー成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリマー成分のうち、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)が好ましい。
圧縮層のゴム組成物は、機械的強度を向上させるために、補強材を含んでいてもよい。補強材には、慣用の充填剤及び補強繊維などが含まれる。
ゴム組成物は、必要により、慣用の添加剤又は配合剤を含んでいてもよい。配合剤としては、例えば、加硫剤又は架橋剤[例えば、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)、有機過酸化物(ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイドなど)など]、共架橋剤又は加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、可塑剤、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィンなど)、老化防止剤(芳香族アミン系、ベンズイミダゾール系老化防止剤など)、接着性改善剤[レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメラミン樹脂、これらの共縮合物(レゾルシン−メラミン−ホルムアルデヒド共縮合物など)など]、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などが例示できる。これらの配合剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、ポリマー成分の種類や用途、性能に応じて適宜選択して用いられる。
芯体としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定の間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線は、高モジュラスな繊維、例えば、ポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、アラミド繊維などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用され、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維)、アラミド繊維が好ましい。繊維はマルチフィラメント糸、例えば、繊度2000〜10000デニール(特に4000〜8000デニール)程度のマルチフィラメント糸であってもよい。
伸張層は、圧縮層と同様のゴム組成物で形成してもよく、帆布などの布帛(補強布)で形成してもよい。布帛(補強布)としては、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材などが挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90〜120°程度の広角度帆布や編布などが好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記圧縮層の補強繊維の項で例示された繊維などを利用できる。
接着層は、前記の通り、必ずしも必要ではない。接着層(接着ゴム層)は、例えば、前記圧縮層(圧縮ゴム層)と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)で構成できる。接着層のゴム組成物は、さらに接着性改善剤(レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、アミノ樹脂など)を含んでいてもよい。
本発明では、表層と圧縮層との間にさらにアンカー層を介在させ、表層を圧縮層の摩擦伝動面に強固に一体化してもよい。
本発明の摩擦伝動ベルトの製造方法は、円筒状ドラムに圧縮層を形成するための未加硫ゴムシートを巻き付ける圧縮層巻付工程、前記未加硫ゴムシートを金型に押し付けて加硫する加硫成形工程を含む方法を採用でき、前記圧縮層巻付工程及び前記加硫成形工程のいずれかの工程で表層を形成する表層形成工程をさらに含む。また、アンカー層を形成する場合は、表層を形成する前に、熱可塑性樹脂を含むアンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆するアンカー層形成工程をさらに含む。
表層形成工程は、このような慣用の方法において、圧縮層巻付工程及び加硫成形工程のいずれかの工程に組み込むことができ、例えば、(1)圧縮層巻付工程において、未加硫ゴムシートの摩擦伝動面(又はアンカー層前駆体面)に親水性樹脂の前駆体粒子及びバインダー樹脂の前駆体粒子を付着させる方法、(2)加硫成形工程において、金型として、未加硫ゴムシートとの接触面(又はアンカー層前駆体面)に親水性樹脂の前駆体粒子及びバインダー樹脂の前駆体粒子を付着させた金型を用いる方法などが挙げられる。
前記アンカー層形成工程において、アンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆する方法としては、熱可塑性樹脂で形成された粒子を摩擦伝動面に付着させる方法、熱可塑性樹脂で形成されたシートを摩擦伝動面に積層する方法、熱可塑性樹脂で形成された布帛を摩擦伝動面に積層する方法などが挙げられる。
(ゴム組成物の原料)
EPDM1:三井化学(株)製「EPT2060M」
EPDM2:ダウ・ケミカル社製「ノーデルIP4640」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」、平均粒径28nm
老化防止剤A(ジフェニルアミン系老化防止剤):大内新興化学工業(株)製「ノクラックCD」
老化防止剤B(メルカプトベンゾイミダゾール系老化防止剤):大内新興化学工業(株)製「ノクラックMB」
軟化剤(パラフィンオイル):出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
エーテルエステル系可塑剤:(株)ADEKA製「RS−700」
ナイロンフロック:ニシヨリ(株)製「ナイロンカット糸」繊維長約0.5mm
固体潤滑剤:オリエンタル産業(株)製「グラファイトAT−20」
有機過酸化物:ジクミルパーオキサイド
共架橋剤:大内新興化学工業(株)製、「バルノックDGM」。
PVA−A(部分ケン化ポリビニルアルコール粒子):デンカ(株)製「B-05S」、ケン化度約86.5〜89.5モル%、粘度平均重合度600、融点193℃
PVA−B(低ケン化ポリビニルアルコール粒子):日本酢ビ・ポバール(株)製「JMR−10MD」、ポリビニルアルコール低ケン化品、ケン化度約70モル%、粘度平均重合度100〜400、融点156℃
PVA−C(完全ケン化ポリビニルアルコール粒子):デンカ(株)製「K−17C」、ケン化度約98.7〜99.7モル%、粘度平均重合度1700、融点220℃
PE−D(ポリエチレン粒子):(株)セイシン企業製「SK−PE−20L」、平均粒径約20μm、融点110℃
PP−E(ポリプロピレン粒子):(株)セイシン企業製「PPW−5」、平均粒径約5μm、融点165℃
PET−F(ポリエチレンテレフタレート粒子):(株)セイシン企業製「SK−RP−150−W−01」、平均粒径約5μm、融点250℃。
ポリエチレン不織布:出光ユニテック(株)製「ストラテックLL」、融点約110℃
ポリプロピレン不織布:金星製紙(株)製「WJ55P100」、融点約160℃。
表1に示すゴム組成物A及びBをバンバリーミキサーでゴム練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの未加硫圧延ゴムシート(圧縮層用シート)を作製した。なお、ゴム組成物Aで形成された圧縮層用シートは、比較例1〜3及び実施例1〜12の圧縮層用シートとして用い、ゴム組成物Bで形成された圧縮層用シートは、比較例4の圧縮層用シートとして用いた。また、表1に示すゴム組成物Cを用い、同様にして、伸張層用シートを作製した。さらに、表1に示すゴム組成物Dを用い、同様にして、接着層用シートを作製した。
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製「JSM5900LV」)を用いて、原料のポリビニルアルコール粒子を、倍率300倍にて撮影後、画像解析ソフトを使用して、ポリビニルアルコール粒子の粒径(長径及び短径)を測定し、ポリビニルアルコール粒子の平均粒径及びアスペクト比を算出した。結果を表2に示す。
ミスアライメント発音評価試験(発音限界角度)は、図2にレイアウトを示すように、直径101mmの駆動プーリ(Dr.)、直径80mmのアイドラープーリ(IDL.1)、直径128mmのミスアライメントプーリ(W/P)、直径80mmのアイドラープーリ(IDL.2)、直径61mmのテンションプーリ(Ten.)、直径80mmのアイドラープーリ(IDL.3)を順に配置した試験機を用いて行い、アイドラープーリ(IDL.1)とミスアライメントプーリの軸離(スパン長)を135mmに設定し、全てのプーリが同一平面上(ミスアライメントの角度0°)に位置するように調整した。
摩擦係数の測定には、図3にレイアウトを示すように、直径121.6mmの駆動プーリ(Dr.)、直径76.2mmのアイドラープーリ(IDL.1)、直径61.0mmのアイドラープーリ(IDL.2)、直径76.2mmのアイドラープーリ(IDL.3)、直径77.0mmのアイドラープーリ(IDL.4)、直径121.6mmの従動プーリ(Dn.)を順に配置した試験機を用いた。
T2=180(N/6Rib)
α=π/9(rad)(式中、radはラジアンを意味する)。
高温高張力逆曲げ試験は、図5にレイアウトを示すように、直径120mmの駆動プーリ(Dr.)、直径75mmのアイドラープーリ(IDL.)、直径120mmの従動プーリ(Dn.)、直径60mmのテンションプーリ(Ten.)を順に配置した試験機を用いて行った。詳しくは、試験機の各プーリにVリブドベルトを掛架し、駆動プーリの回転数を4900rpm、アイドラープーリ及びテンションプーリへのベルト巻き付け角度を90°、従動プーリ負荷を10.4kWとし、一定荷重[91kg/6Rib(リブ)]を付与してベルトを雰囲気温度120℃で走行させた。走行時間は、400時間で打ち切りとし、リブ表面に外観異常が発生した時間と、異常の態様を、以下の基準で評価した。さらに、異常の有無に拘わらず、400時間走行させ、走行試験前後のベルトの質量を測定し、質量減量から摩耗量を算出した。
A:400時間まで表層剥離なく走行したが、微小なクラックあり
B:48時間で表層剥離
C:24時間で表層剥離。
外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫の伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体となる心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫の圧縮層用シートを巻き付けて積層体を作製した。次に、巻き付けた圧縮層用シートの摩擦伝動面に、粉体塗装装置(ノードソン(株)製「アンコールXT ハンドガン」)を用いて、吹付け量50g/m2の条件で、部分ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−A)を吹き付けた。
部分ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−A)の代わりにポリエチレン粒子(PE−D)を用いる以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面にはポリエチレン粒子で形成された表層(単一層)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、粉体塗装装置を用いて、部分ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−A)とポリエチレンテレフタレート(PET)粒子(PET−F)とを、50:50の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には部分ケン化ポリビニルアルコール粒子とPET粒子とで形成された表層が積層されていた。
心線をスピニングした後、接着層用シートを巻き付け、さらにゴム組成物Bで形成された圧縮層用シートを巻き付けた後、部分ケン化ポリビニルアルコール粒子を吹き付けない以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。すなわち、得られたVリブドベルトには、表層は積層されていない。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、部分ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−A)とポリエチレン(PE)粒子(PE−D)とを、50:50の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には部分ケン化ポリビニルアルコール粒子とPE粒子とで形成された表層(平均厚み50μm、部分ケン化ポリビニルアルコール粒子の平均粒径30μm)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、低ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−B)とポリエチレン粒子(PE−D)とを、50:50の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPE粒子とで形成された表層(平均厚み50μm)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、低ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−B)とポリプロピレン(PP)粒子(PP−E)とを、50:50の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み48μm)が積層されていた。
アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を用いないこと以外は、実施例3と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み40μm)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、低ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−B)とポリプロピレン粒子(PP−E)とを、75:25の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み40μm)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、低ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−B)とポリプロピレン粒子(PP−E)とを、25:75の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み48μm)が積層されていた。
アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を用いないこと以外は、実施例6と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には低ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み40μm)が積層されていた。
圧縮層用シートを巻き付けた後、さらにその外周面に、アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を巻き付けた積層体に、粉体塗装装置を用いて、完全ケン化ポリビニルアルコール粒子(PVA−C)とポリプロピレン粒子(PP−E)とを、25:75の質量割合で配合した混合粉末を吹き付ける以外は比較例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には完全ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み51μm、完全ケン化ポリビニルアルコール粒子の平均粒径20μm)が積層されていた。圧縮層断面を走査型顕微鏡で観察した結果を図6に示す。図6の圧縮層表面の表層において、色の濃い部分がバインダー及びアンカー層に相当し、色の濃い部分において、白色の粒子がPVA粒子に相当する。このように、PVA粒子は、表層中において粒子状で存在していた。
アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布を用いないこと以外は、実施例8と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には完全ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み43μm、完全ケン化ポリビニルアルコール粒子の平均粒径20μm)が積層されていた。
アンカー層を形成するためのポリエチレン不織布の代わりにポリプロピレン不織布を用いること以外は、実施例8と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には完全ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み50μm、完全ケン化ポリビニルアルコール粒子の平均粒径20μm)が積層されていた。
PVA−CとPP−Eとを、50:50の質量割合で配合した混合粉末を吹き付けること以外は、実施例8と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層の表面には完全ケン化ポリビニルアルコール粒子とPP粒子とで形成された表層(平均厚み49μm、完全ケン化ポリビニルアルコール粒子の平均粒径20μm)が積層されていた。
PVA−AとPE−Dとを、25:75の質量割合で配合した混合粉末を吹き付けること以外は、実施例1と同様にしてVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトの圧縮層断面を走査型顕微鏡で観察した結果を図7に示す。図7から明らかなように、PVA粒子は、表層中において粒子状で存在していた。
2…圧縮層
3…芯体
4…伸張層
5…表層
Claims (16)
- 少なくとも一部がプーリと接触可能な摩擦伝動面を有し、かつポリマー成分を含むゴム組成物で形成された圧縮層を含む摩擦伝動ベルトであって、前記摩擦伝動面が親水性樹脂及びバインダー樹脂を含む表層で被覆されており、かつ前記バインダー樹脂がベルトの加硫温度で溶融又は軟化する樹脂である摩擦伝動ベルト。
- 親水性樹脂がポリビニルアルコール系樹脂を含む請求項1記載の摩擦伝動ベルト。
- ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が50モル%以上である請求項2記載の摩擦伝動ベルト。
- バインダー樹脂が、ベルトの走行温度以上であり、かつベルトの加硫温度以下の融点を有する熱可塑性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- バインダー樹脂がポリオレフィンである請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- ポリオレフィンがポリプロピレン系樹脂である請求項5記載の摩擦伝動ベルト。
- 親水性樹脂とバインダー樹脂との質量比が、前者/後者=80/20〜20/80である請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- 表層が、熱可塑性樹脂を含むアンカー層を介して摩擦伝動面を被覆している請求項1〜7のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- アンカー層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂である請求項8記載の摩擦伝動ベルト。
- 圧縮層が、エチレン−α−オレフィンエラストマーを含む請求項1〜9のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- さらに芯体とベルト背面を形成する伸張層とを含み、前記伸張層の一方の面に圧縮層が形成され、かつ前記伸張層と前記圧縮層との間にベルト長手方向に沿って前記芯体が埋設されている請求項1〜10のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- Vリブドベルトである請求項1〜11のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
- 円筒状ドラムに圧縮層を形成するための未加硫ゴムシートを巻き付ける圧縮層巻付工程、前記未加硫ゴムシートを金型に押し付けて加硫する加硫成形工程を含み、前記圧縮層巻付工程及び前記加硫成形工程のいずれかの工程で表層を形成する請求項1〜12のいずれかに記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
- 表層を形成する前に、熱可塑性樹脂を含むアンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆するアンカー層形成工程をさらに含み、かつ前記アンカー層前駆体が布帛である請求項13記載の製造方法。
- 圧縮層巻付工程において、未加硫ゴムシートの摩擦伝動面に親水性樹脂の前駆体粒子及びバインダー樹脂の前駆体粒子を付着させる請求項13又は14記載の製造方法。
- 加硫成形工程において、金型として、未加硫ゴムシートとの接触面に親水性樹脂の前駆体粒子及びバインダー樹脂の前駆体粒子を付着させた金型を用いる請求項13又は14記載の製造方法。
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