JP2003222194A - 動力伝達ベルト、動力伝達ベルト用帆布および動力伝達ベルトの製造方法 - Google Patents
動力伝達ベルト、動力伝達ベルト用帆布および動力伝達ベルトの製造方法Info
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Abstract
げ頻度が高い場合でも走行寿命を伸ばすことを可能とす
る。 【解決手段】 動力伝達ベルト10はポリマーから成る
ベルト本体12を有する。ベルト本体12の一方の面に
圧縮ゴム層14を設け、他方の面を帆布16によって被
覆する。圧縮ゴム層14と帆布16との間に接着ゴム層
18を設ける。帆布16をベルト長手方向に延在する経
糸30とベルト幅方向に延在する緯糸32とから製織す
る。経糸30に捲縮加工により伸縮性を持たせた脂肪族
ポリアミド繊維加工糸を使用し、緯糸32に表面の粗い
綿糸を使用する。接着ゴム層18を帆布16に圧着した
後に圧縮ゴム層14に加硫接着する。
Description
によって駆動力を伝達する動力伝達ベルトに関し、特に
その動力伝達ベルトに適用される帆布に関するものであ
る。
コグドVベルトやVリブドベルトが知られており、これ
らは例えば自動車においてエアコンプレッサ、オルタネ
ータおよびパワーステアリング等の補機を一本の無端ベ
ルトにより駆動する多軸駆動型ベルトシステムに適用さ
れる。動力伝達ベルトは、主に、一方の面に圧縮ゴム層
が形成されたベルト本体と、ベルト本体に埋設されてベ
ルト長手方向の張力を一定に保つ心線と、ベルト本体の
背面を被覆してベルト本体の耐縦裂性および耐磨耗性を
維持する帆布とから構成される。
リアミドやポリエステル等と綿との混紡糸から成る平織
布をその織り方向がベルト長手方向に対して傾斜するよ
うに配した所謂バイアス布が用いられていた。帆布を構
成する繊維自体には伸縮性は殆どなく、経糸および緯糸
の物理的な微小位置ずれによって、帆布に実質的な長手
方向の伸縮性が与えられる。即ち帆布の伸縮性はベルト
長手方向に対する織り方向の傾斜角度に依存している。
要求され、動力伝達ベルトに作用する曲げ応力が大きく
なると共に、動力伝達ベルトの曲げ頻度も高くなってき
ている。特にサーペンタイン式ベルトシステムのように
動力伝達ベルトの背面にもプーリが当接するような複雑
なレイアウトの場合には、動力伝達ベルトの正逆曲げが
頻繁に起こるため、従来のバイアス布では対応できなく
なってきている。具体的には、大きな曲げ応力および高
い曲げ頻度に対して帆布の伸縮性が十分でないと、帆布
とベルト本体あるいは心線とベルト本体との間で早期剥
離が生じ、走行寿命の低下を招くという問題が生じる。
帆布の伸縮性を向上させるためには、ベルト長手方向に
対する帆布の織り方向の傾斜角度を小さくすればよい
が、その反面帆布の織り構成が崩れて破断し易くなって
しまうため、帆布の伸縮性の向上には一定の限界があ
る。
に鑑みて成されたものであり、曲げ応力が大きくかつ曲
げ頻度が高い動力伝達ベルトにおいて帆布および心線と
ベルト本体との早期剥離や帆布自体の破断を防止するこ
とにより、動力伝達ベルトの走行寿命を向上させること
を課題としている。
ルトは、一方の面に圧縮ゴム層が形成されたベルト本体
と、ベルト本体における圧縮ゴム層の反対側の面を被覆
する帆布とを備え、帆布がベルト長手方向に延在する伸
縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸を有することを最も主
要な特徴とする。伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸を
ベルト長手方向に配することによって動力伝達ベルトの
曲げ剛性を低下させることができ、その結果帆布および
心線とベルト本体との間の早期剥離を防止できる。
布がベルト長手方向に伸張されて破断する際のその伸び
が元の長さの10から70%であることが好ましく、こ
れにより動力伝達ベルトの長い走行寿命を得るのに最適
な伸縮性を有する帆布が得られる。また、帆布に用いる
伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸は具体的には脂肪族
ポリアミド繊維の捲縮糸であることが好ましく、容易な
加工で帆布の伸縮性を所望の値に設定できる。
むことが好ましく、繊維表面が粗い綿糸を織り込むこと
によってベルト本体に対する接着性を向上でき、かつ安
価に製造できる。さらにこの綿糸がベルト幅方向に延在
していることが好ましく、低伸縮性かつ剛性に優れた綿
糸をベルト幅方向に設けることによりベルト本体のベル
ト幅方向に関する剛性を高めることができる。
有している場合、この接合部において帆布の2つの端面
が互いに対向して密着していることが好ましい。これに
より接合部における帆布の厚みを一定にでき、帆布また
は心線とベルト本体との早期剥離を防止できる。接合部
において帆布の2つの端面がベルト幅方向に平行であっ
てもよく、この場合製造工程数および時間が低減でき
る。
布と圧縮ゴム層との間に介在する接着ゴム層を備え、帆
布が圧着された接着ゴム層が圧縮ゴム層に加硫接着され
てもよく、接着ゴムの圧着処理を加硫接着処理の前に行
うことにより、ベルト走行中に発生する熱による帆布お
よびベルト本体間の接着強度低下を防止できる。
が、レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックスおよび
ゴム糊の少なくとも何れか一方により被覆されてもよ
く、これにより帆布およびベルト本体間の接着強度が増
加される。
は、動力伝達ベルトにおいて圧縮ゴム層と反対側の背面
を被覆する帆布であって、動力伝達ベルトの長手方向に
延在する伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸を有するこ
とを特徴とする。
法は、伸縮性脂肪族ポリアミド加工糸と綿糸とを製織し
て帆布を得る第1ステップと、帆布の表面をレゾルシン
−ホルムアルデヒド−ラテックス層およびゴム糊層の少
なくとも何れか一方で被覆する第2ステップと、第2ス
テップにより得られた帆布の一方の表面に接着ゴム用の
未加硫ゴムシートを圧着することにより接着ゴム層を形
成する第3ステップと、第3ステップにより得られた接
着ゴム層付き帆布を2つの端面を対向させて接合するこ
とにより、脂肪族ポリアミド加工糸が周方向に延びかつ
接着ゴム層が外側に配された円筒状の接着ゴム層付き帆
布を得る第4ステップと、円筒状の接着ゴム層付き帆布
の外側に心線を巻き付けて、さらにその外側に圧縮ゴム
用の未加硫ゴムシートを巻き付けて加硫成型することに
より圧縮ゴム層が形成された動力伝達ベルトを得る第5
ステップとを備えることを特徴とする。これにより、ベ
ルト長手方向に十分な伸縮性を与えることができると共
に、作業効率を向上できる。
添付図面を参照して説明する。
達ベルトの一部を破断して示す斜視図である。動力伝達
ベルト10は、ベルト本体12の一方の面にベルト長手
方向に延びるV溝が形成されたVリブドベルトであり、
図示しない自動車用エンジンの多軸駆動型ベルトシステ
ムに適用される。
る圧縮ゴム層14が形成され、圧縮ゴム層14の反対側
の背面には帆布16が設けられる。帆布16と圧縮ゴム
層14との間には接着ゴム層18が介在しており、この
接着ゴム層18と圧縮ゴム層14との境界部分にはベル
ト長手方向に延びる複数の心線20が設けられる。帆布
16は、接着ゴム層18との接着性を向上させるために
レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(以下、R
FLと略記する)およびゴム糊により被覆処理される。
圧縮ゴム層14、接着ゴム層18、心線20および帆布
16は加硫により一体成型される。
経糸30と、ベルト幅方向に沿って延びる緯糸32とを
有する平織布である。経糸30は伸縮性脂肪族ポリアミ
ド繊維加工糸、具体的には引張強度に優れた脂肪族ポリ
アミド繊維を捲縮加工することにより長手方向に伸縮性
が与えられた紡績糸であり、緯糸32は非伸縮性の綿糸
である。本実施形態では帆布16の織り方は平織である
が、綾織、朱子織等であってもよく、特に限定されな
い。
50においては帆布16の2つの端面が対向するように
接合され、その接合面はベルト長手方向に対して垂直、
即ちベルト幅方向に対して平行である。
糸をベルト長手方向に配した帆布16を用いることによ
って、従来のバイアス帆布を用いた時よりも帆布16の
伸縮性が向上し動力伝達ベルト10の曲げ剛性を低下さ
せることができる。その結果、帆布16とベルト本体1
2との間の早期剥離を防止でき、また帆布16の伸張が
十分であるためベルト屈曲時に心線20あるいはベルト
本体12に作用する圧力が小さくなって心線20とベル
ト本体12間の早期剥離をも防止できる。また帆布16
の伸張時に繊維の織り構成が崩れることもないため帆布
16の破断も防止できる。
の粗い綿糸を用いているので、従来の捲縮加工していな
い合成繊維から製織された帆布と比較すると繊維の表面
積が大きくなり、接着剤であるRFLおよびゴム糊の付
着量が相対的に多く、また接着ゴム層18に対するアン
カー効果も大きい。従って、帆布16とベルト本体12
との接着力が向上され、両者間の早期剥離が防止され
る。
10は、伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸を帆布16
のベルト長手方向に沿って延びる経糸30として用いる
ことにより帆布16および心線20とベルト本体12と
の早期剥離や帆布16自体の破断を防止しており、これ
により動力伝達ベルト10に作用する曲げ応力が大きく
かつその曲げ頻度が高いレイアウトのベルトシステムに
おいて、動力伝達ベルト10の走行寿命を向上させるこ
とができる。
としては、例えば天然ゴムや、スチレン−ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化
ポリエチレン(以下、ACSMと略記する)、エチレン
−プロピレン−ジエン三元共重合体配合物(EPD
M)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、水素添加
ニトリルゴム(H−NBR)等の合成ゴムの単体あるい
はこれらゴム材の混合物や、EPDMまたはEPRまた
はH−NBRと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマ
ー等が好適に用いられる。この主成分ポリマーには必要
に応じて加硫剤、硬化剤等の種々の添加剤が添加され
る。
にも上記したようなゴム材および混合ポリマーが好適に
用いられ、目的に応じた添加剤が添加される。接着ゴム
層18には、圧縮ゴム層14に用いた主成分ポリマーと
同じ種類のポリマーが好適に用いられるが、圧縮ゴム層
14に対する接着が良好なポリマーであればよく、特に
同じ種類に限定されない。
短繊維34が混入され、この短繊維34はその長手方向
がベルト幅方向に沿うように配向されている。短繊維3
4としては、パラ系アラミド繊維例えばトワロン(帝人
トワロン社製)、ケブラー(デュポン社製)またはテク
ノーラ(帝人社製)や、ナイロンミクロファイバ等を単
独で使用してもよい。また、上記2種の短繊維にメタ系
アラミド繊維であるノーメックス(デュポン社製)およ
びコーネックス(帝人社製)や、ポリアミド繊維、ポリ
エステル繊維、ポリビニルアルコール繊維および綿繊維
等の短繊維を混合したものを短繊維34として使用して
もよい。
面、即ちベルト本体12の側面は研磨により短繊維34
の一部がベルト幅方向に突出しており、これによりプー
リに対する摩擦係数、ひいては伝動効率が調整される。
00重量部に対して2から30重量部であることが好ま
しく、特に4から25重量部であれば最適の屈曲性を動
力伝達ベルト10に与えることができる。2重量部より
少なければ所望の強度が得られずベルト本体12の亀裂
や破損が生じ易くなり、30重量部より多ければベルト
本体12の屈曲性が悪化し、適切な駆動力伝達が行えな
い。
体的には帆布16はレゾルシンとホルマリンとの初期縮
合物をラテックスに混合したRFL溶液に浸漬された
後、乾燥・加熱されて、RFLの固形成分が帆布16即
ち経糸30および緯糸32の表面に固着させられる。こ
れにより帆布16の耐磨耗性が向上させられると共に、
接着ゴム層18に対する接着強度が増加させられる。R
FL溶液のラテックスには帆布16あるいは後述するゴ
ム糊との接着性が良好なものが選択され、具体的にはク
ロロプレン、スチレン−ブタジエン−ビニリピリジン三
元共重合体、EPDM、H−NBR、クロロスルフォン
化ポリエチレン(CSM)等のラテックスが好適に用い
られる。
ム糊処理を受ける、具体的には接着ゴム層18の主成分
ポリマーと同じポリマーを溶剤に溶かして得られるゴム
糊に浸漬された後、乾燥・加熱され、RFL膜の外側に
ゴム糊膜が形成される。これによりRFL膜付きの帆布
16と接着ゴム層18との接着強度が増加させられる。
なお、浸漬によってゴム糊膜を帆布16の両面に設けて
もよいが、リバースコータを用いて帆布16の片面にの
みゴム糊を塗布してベルト本体12側の面にのみゴム糊
膜を設けてもよい。
およびゴム糊処理は、帆布16が本体ゴム12に加硫接
着される前に行われる。従来の帆布では、その経糸およ
び緯糸にはナイロンまたはポリエステルと綿との混紡糸
が用いられることが多かった。このような混紡糸は繊維
表面が滑らかなために、ベルト本体のポリマーとの接着
性が良好ではなかった。しかし本実施形態においては、
帆布16には繊維面積の大きい捲縮糸(30)および繊
維表面が粗い綿糸(32)が織り込まれているので、ポ
リマーに接する繊維表面積が大きく、ベルト本体12に
対するアンカー効果が大きく、帆布16とベルト本体1
2との接着性が良好である。また綿糸は相対的に安価な
素材であり、製造コストを低下させることができる。
糊膜の双方により帆布16を被覆して帆布16およびベ
ルト本体12(接着ゴム層18)間の接着強度を増加し
ているが、RFL膜またはゴム糊膜の一方だけで十分な
接着力が得られる場合には何れか一方のみを形成するだ
けでもよい。
縮性および可撓性に優れ、かつベルト幅方向に関する剛
性が高い素材、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ナイロンお
よび芳香族ナイロン等の素材が好適に用いられる。これ
ら素材を所定の撚糸条件で撚ってコード部材を得、この
コード部材をイソシアネート系接着剤によりプレディッ
プ処理した後、RFL溶液に浸漬後所定条件で熱延し、
さらにその外側に接着ゴム層18の主成分ポリマーと同
じポリマーを溶剤に溶かして得られるゴム糊を塗布し、
乾燥・熱処理を施す。以上の接着処理を施したコード部
材が心線20として、ベルト幅方向に複数本並べられて
接着ゴム層18内部に埋設される。なお、本実施形態で
は心線20を圧縮ゴム層14と接着ゴム層18との境界
面に配設しているが、接着ゴム層18の内部に埋設して
もよい。
ルト10の製造方法について説明する。まず、第1工程
では、伸縮性脂肪族ポリアミド加工糸130と綿糸13
2とから連続した平織布161(以下、連続帆布と記載
する)を製織する。
着剤となるべきRFL膜およびゴム糊膜を形成する。詳
述すると、連続帆布161をRFL溶液が入った容器に
搬送し、連続帆布161の両面をRFL溶液に浸漬す
る。そして容器から取り出した連続帆布161を一対の
ロールで絞って所定条件で乾燥・加熱することにより一
定の厚みのRFL膜を生成し、RFL膜付の連続帆布1
61をロールに巻き取る。さらに、RFL膜付の連続帆
布161をゴム糊が入った容器に搬送し、同様の手法で
ゴム糊膜を形成する。以上のようにして接着剤となるべ
きRFL膜およびゴム糊膜が形成された連続帆布即ち接
着剤付き連続帆布162を得る。
未加硫の接着ゴムシート118を接着剤付き連続帆布1
62の一方の面に圧着する、具体的には接着剤付き連続
帆布162と接着ゴムシート118とを重ねて一対のカ
レンダーロール170、172の間に搬送し、カレンダ
ーロール170および172によって接着ゴムシート1
18を圧延しつつ接着剤付き連続帆布162に圧着し、
厚さが均一の接着ゴムシート付き連続帆布163を得
る。
布163を所定長さに裁断し、さらに得られた長方形帆
布164の対向する2辺を接合することにより接着ゴム
シート付き円筒状帆布165を形成する。この接着ゴム
シート付き円筒状帆布165の周方向は動力伝達ベルト
10のベルト長手方向となるので、伸縮性脂肪族ポリア
ミド加工糸130の長手方向が周方向に一致するよう
に、かつ接着ゴムシート118が外側に配されるように
接合する。接着ゴムシート付き円筒状帆布165の周長
さは製造すべき動力伝達ベルト10の設計に応じて適宜
変更され得るため、接着ゴムシート付き円筒状帆布16
5の周長さが長方形帆布164の辺長さより長い場合に
は複数枚の長方形帆布164を繋ぎ合せる。接合処理で
は、ミシン掛けまたは超音波溶着によって接着ゴムシー
ト付き円筒状帆布165の2つの端面を互いに対向させ
た状態で接合する。
帆布165を円筒形モールド174に被せ、その外側に
心線20となるべき接着処理されたコード部材120を
一定の張力を作用させながら螺旋状に巻きつけ、さらに
その外側に圧縮ゴム層14となるべき未加硫の圧縮ゴム
シート114を一回(必要に応じて複数回)巻きつけ
る。そして加硫用スリーブ176を嵌合して全体を覆
い、公知のスチーム加硫釜178を用いて所定条件(温
度、圧力および時間)下で加硫する。これにより帆布1
61、接着ゴムシート118、コード部材120および
圧縮ゴムシート114を一体的に加硫成型する。加硫処
理については従来公知であるため、ここでは説明を省略
する。
取り出した円筒状のベルト材166から動力伝達用ベル
ト10を得る。具体的には、離型した円筒状ベルト材1
66を所定幅に切断し、さらに円筒状ベルト材166の
圧縮ゴム層側を所定の厚みにまで研磨した後、V溝を形
成することにより複数本の動力伝達用ベルト10を得
る。図2では切断する工程のみを示す。個々の動力伝達
ベルト10は研磨により外形が整えられるとともに、短
繊維34がベルト側面から突出させられる。ベルト材1
66の帆布161、接着ゴムシート118、コード部材
120および圧縮ゴムシート114は、それぞれ個々の
動力伝達ベルト10を構成する帆布16、接着ゴム層1
8、心線20および圧縮ゴム層14に相当する。
おいては、第1にバイアス帆布ではなくベルト長手方向
に伸縮する伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸130と
綿糸132とから成る帆布161を用いた点と、第2に
加硫処理前に帆布(162)の片面に未加硫の接着ゴム
シート118を予め圧着させるという点と、第3に帆布
(165)の2つの端面を対向させて接合するという点
とが特徴として挙げられる。
とポリアミドやポリエステル等との混紡糸から成る平織
布が、その織り方向がベルト長手方向に対して傾斜する
ように裁断してこれをまた繋ぎ合わせたバイアス帆布が
用いられていた。このバイアス帆布を構成する繊維自体
には伸縮性は殆どなく、経糸および緯糸の物理的な微小
位置ずれによって帆布は長手方向に伸縮していた。この
ようなバイアス帆布の伸縮性はベルト長手方向に対する
織り方向の傾斜角度に依存しており、所望の伸縮性を得
るためには帆布をバイアス状に裁断する工程や加硫時の
円筒形モールドに取付ける工程ではバイアス角度の精度
が要求され、多くの時間や手間を要する作業であった。
また、バイアス帆布を製造する工程においても裁断と縫
合が多く、結果として接合部の多い帆布が使用されてい
た。
16’の接合部50’では、帆布16’の2つの縁部5
2’、54’を一部重ねあわせ、その重複部分をミシン
掛けあるいは超音波溶着によって接合していた。即ち接
合部50’では帆布厚みが通常の2倍となっていた。従
ってバイアス帆布のように接合部が多い帆布16’を使
用すれば、均等な心線ピッチラインが確保できず、走行
時に圧縮ゴム層側に屈曲する場合には帆布16’に押さ
れて心線20’に不均一な圧力が作用し、心線20’と
ベルト本体12’との間で早期剥離を生じ易いという問
題があった。また、接合部50’では帆布16’とベル
ト本体12’間に加硫時にポリマーが入りきれない隙間
56’を生む原因にもなり、帆布16’およびベルト本
体12’間の早期剥離を招いていた。
イアス布ではなく1枚の平布を用いることにより接合箇
所数を減少させ、作業工程の簡略化および作業時間の短
縮化を図ると共に均一な心線ピッチラインを確保してい
る。さらに、図3(b)に示すように、帆布16の接合
部50では両端部52、54を重ね合わせずに互いの端
面を対向させており、これにより接合部50であっても
帆布厚みが一定に保たれるので均一な心線ピッチライン
が確保されて心線12およびベルト本体12間の早期剥
離は防止される。また帆布16およびベルト本体12間
の隙間も生じ難くなるため両者の接着性も向上する。
果が小さいため接着ゴムシートをトッピングすることは
難しく、加硫時には帆布および接着ゴムシートは別体で
用意されていた。即ち、円筒状帆布が円筒金型に被せら
れ、その外側に未加硫の接着ゴムシート、心線コード、
および未加硫の圧縮ゴムシートが順に巻きつけられてい
た。このような手順で行う場合、巻き付け工程数は多
く、特に加硫時に心線の内側に位置する接着ゴムシート
の巻き付けに際しては、均一な心線ピッチラインを得る
ために接着ゴムシートの厚みを周方向に一定にしなけれ
ばならず、接着ゴムシートの両端部の接合に要する作業
工程数および作業時間は極めて多いものであった。
61)を繊維面積の大きい捲縮糸(30)および繊維表
面が粗い綿糸(32)により製織しているので、ポリマ
ーに接する繊維表面積が大きなってアンカー効果も増大
し、接着ゴムシート118を帆布(162)にトッピン
グすることができる。さらに接着ゴムシート118の両
端部は帆布(162)の接合と同時に、即ち円筒形モー
ルド174に取付ける前に接合されているので、大幅に
作業工程数を減少でき、作業時間も短縮される。
10によると、ベルト長手方向に延びる伸縮性脂肪族ポ
リアミド繊維加工糸を有する帆布をベルト背面に設ける
ため、動力伝達ベルトの曲げ剛性が低下し、曲げ応力お
よび曲げ頻度が高い場合でも走行寿命を伸ばすことがで
きる。また本実施形態の動力伝達ベルト10の製造方法
によると、心線ピッチラインが均一な動力伝達ベルト1
0を得ることができ、動力伝達ベルト10の長寿命化が
図れる。また製造に要する作業工程数および製造コスト
を低減できかつ作業時間を短縮できる。
Vリブドベルトであるが、図4に示すように、圧縮ゴム
層34にベルト長手方向に沿って所定の間隔で並ぶ突起
即ちコグが形成されたコグドVベルト200であっても
よいし、圧縮ゴム層34の断面が台形のVベルトであっ
てもよい。コグドVベルトの場合、製造方法の第5工程
においてコグに対応した溝が外周面に形成された円筒形
モールドまたはコグに対応した溝が内周面に形成された
加硫用スリーブを用いて加硫を行う点が異なる。なお、
図4において、図1に示すVリブドベルト10の各構成
に対応するものについては符号に200を加算して図示
している。
ルトは、ベルト長手方向に延びる伸縮性脂肪族ポリアミ
ド繊維加工糸を有する帆布をベルト背面に設けるため、
動力伝達ベルトの曲げ剛性が低下し、曲げ応力および曲
げ頻度が高い場合でも走行寿命を伸ばすことができると
いう利点がある。また、その製造工程数を少なくでき、
製造コストを下げることができる。
破断して示す斜視図である。
示す図である。
図であって、従来の接合部と本実施形態の接合部との違
いを比較した図である。
例を示す斜視図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 一方の面に圧縮ゴム層が形成されたベル
ト本体と、前記ベルト本体における前記圧縮ゴム層の反
対側の面を被覆する帆布とを備え、前記帆布がベルト長
手方向に延在する伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸を
有することを特徴とする動力伝達ベルト。 - 【請求項2】 前記帆布がベルト長手方向に伸張されて
破断する際のその伸びが元の長さの10から70%であ
ることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項3】 前記伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加工糸
が脂肪族ポリアミド繊維の捲縮糸であることを特徴とす
る請求項1に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項4】 前記帆布が綿糸を含むことを特徴とする
請求項1に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項5】 前記綿糸がベルト幅方向に延在している
ことを特徴とする請求項4に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項6】 前記帆布が少なくとも1箇所の接合部を
有し、前記接合部において前記帆布の2つの端面が互い
に対向して密着していることを特徴とする請求項1に記
載の動力伝達ベルト。 - 【請求項7】 前記接合部において、前記帆布の接合面
がベルト幅方向に対して平行であることを特徴とする請
求項6に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項8】 前記ベルト本体が前記帆布と前記圧縮ゴ
ム層との間に介在する接着ゴム層を備え、前記帆布が圧
着された接着ゴム層が前記圧縮ゴム層に加硫接着される
ことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達ベルト。 - 【請求項9】 前記帆布の表面が、レゾルシン−ホルム
アルデヒド−ラテックスおよびゴム糊の少なくとも何れ
か一方により被覆されることを特徴とする請求項1に記
載の動力伝達ベルト。 - 【請求項10】 動力伝達ベルトにおいて圧縮ゴム層の
反対側の面を被覆する帆布であって、前記動力伝達ベル
トの長手方向に延在する伸縮性脂肪族ポリアミド繊維加
工糸を有することを特徴とする動力伝達ベルト用帆布。 - 【請求項11】 伸縮性脂肪族ポリアミド加工糸と綿糸
とを製織して帆布を得る第1ステップと、 前記帆布の表面をレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテ
ックス層およびゴム糊層の少なくとも何れか一方で被覆
する第2ステップと、 前記第2ステップにより得られた帆布の一方の表面に接
着ゴム用の未加硫ゴムシートを圧着することにより接着
ゴム層を形成する第3ステップと、 前記第3ステップにより得られた接着ゴム層付き帆布を
2つの端面を対向させて接合することにより、前記脂肪
族ポリアミド加工糸が周方向に延びかつ前記接着ゴム層
が外側に配された円筒状の接着ゴム層付き帆布を得る第
4ステップと、 前記円筒状の接着ゴム層付き帆布の外側に心線を巻き付
けて、さらにその外側に圧縮ゴム用の未加硫ゴムシート
を巻き付けて加硫成型することにより圧縮ゴム層が形成
された動力伝達ベルトを得る第5ステップとを備えるこ
とを特徴とする動力伝達ベルトの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2002019838A JP2003222194A (ja) | 2002-01-29 | 2002-01-29 | 動力伝達ベルト、動力伝達ベルト用帆布および動力伝達ベルトの製造方法 |
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JP2002019838A JP2003222194A (ja) | 2002-01-29 | 2002-01-29 | 動力伝達ベルト、動力伝達ベルト用帆布および動力伝達ベルトの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2002
- 2002-01-29 JP JP2002019838A patent/JP2003222194A/ja active Pending
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