JP2017149635A - 酸化黒鉛誘導体 - Google Patents
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以上のようにして本発明者らは上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、本発明者らは、酸化黒鉛を、炭素数6以上、10以下の炭化水素基をもつ官能基を有する誘導体としても、炭素数6以上、10以下とすることでケトン系、エステル系、アミド系溶媒等の両親媒性分散媒に対する親和性を付与することができ、良好な分散性を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
本発明はまた、炭素数6以上、10以下の炭化水素基をもつ官能基を有することを特徴とする酸化黒鉛誘導体でもある。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
酸化黒鉛は、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料を酸化することにより酸素が結合したものであり、該酸素は黒鉛質の炭素材料に対しカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の置換基として存在している。本発明の酸化黒鉛誘導体の一形態では、更に、酸化黒鉛の炭素原子に、炭素数13以上の炭化水素基をもつ官能基又は炭素数6以上、10以下の炭化水素基をもつ官能基が結合した構造を有する。
上記酸化黒鉛誘導体は、更に、硫黄含有基、窒素含有基等の官能基を有していてもよいが、炭素、水素、及び、酸素のみを構成元素とするものであるか、又は、炭素、水素、酸素、及び、窒素のみを構成元素とするものであることが更に好ましい。
FT−IR法では後述する実施例の通り、例えば酸化黒鉛誘導体が末端に炭化水素基を有する場合は、本発明の酸化黒鉛誘導体は炭化水素基に由来するC−Hのピークの出現により容易に分析できる。
上記アルキル基としては、例えば、n−テトラデシル基、sec−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、sec−オクタデシル基、n−エイコシル基、sec−エイコシル基、2−オクチルドデシル基、n−ドコシル基、sec−ドコシル基、2−オクチルテトラデシル基、n−テトラコシル基、sec−テトラコシル基、2−オクチルヘキサデシル基、n−ヘキサコシル基、sec−ヘキサコシル基、n−オクタコシル基、sec−オクタコシル基、n−トリアコンチル基、sec−トリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、sec−ドトリアコンチル基、n−テトラトリアコンチル、sec−テトラトリアコンチル、n−ヘキサトリアコンチル、sec−ヘキサトリアコンチル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
炭素数6以上、10以下とすることで、上述したように、ケトン系、エステル系、アミド系溶媒などの両親媒性分散媒に対する親和性を付与することができ、良好な分散性を達成できる。よって、上記酸化黒鉛誘導体は、様々な樹脂への添加剤として適用が可能である。
上記炭素数6以上、10以下の炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基やシクロアルキル基等の飽和脂肪族炭化水素基;アルキニル基やアルケニル基等の非環式不飽和脂肪族炭化水素基;アリール基等の芳香族炭化水素基等のいずれであってもよいが、中でも飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、sec−オクチル基、n−ノニル基、sec−ノニル基、2−オクチルドデシル基、n−デシル基、sec−デシル基等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
また上記酸化黒鉛誘導体は、例えば酸化黒鉛とアミンとを反応させることにより得られるものである場合は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子以外のその他の原子の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記酸化黒鉛誘導体は、その他の原子を有しないことが特に好ましい。言い換えれば、上記酸化黒鉛誘導体は、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。その他の原子としては、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記平均粒子径は、3μm以上であることがより好ましい。該平均粒子径は、60μm以下であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
なお、本発明の酸化黒鉛誘導体の生成は、実施例の方法に沿って赤外線吸収スペクトルを測定することにより確認される。
該塩基触媒の使用量は、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。また、該使用量は、500質量%以下であることがより好ましい。
本明細書中、塩基触媒の使用量とは、上記混合液を作製するために用いられた塩基触媒の仕込み量を言う。
上記使用量は、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが一層好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、30質量%以上であることが更に一層好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが特に一層好ましい。また、該使用量は、700質量%以下であることがより好ましく、500質量%以下であることが更に好ましく、200質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、酸触媒の使用量とは、上記混合液を作製するために用いられた酸触媒の仕込み量を言う。
また炭化水素基含有化合物がアミン以外の化合物である場合、酸化黒鉛は本質的に自身が酸性の物質であり、自触媒的に反応が進行する。前述のとおり硫酸等の酸触媒を添加することがより好ましいが、触媒を添加せずとも自触媒的に反応を進行させることも可能である。
該使用量は、350質量%以上であることがより好ましく、400質量%以上であることが更に好ましく、450質量%以上であることが一層好ましく、500質量%以上であることが特に好ましい。また、該使用量は、8000質量%以下であることがより好ましく、6000質量%以下であることが更に好ましく、3000質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、混合液中の炭素数13以上又は炭素数6以上、10以下の炭化水素基含有化合物の使用量とは、混合液を作製するために用いられた炭素数13以上又は炭素数6以上、10以下の炭化水素基含有化合物の仕込み量を言う。
上記反応工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記反応工程は、その圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。反応温度は、例えば60〜200℃とすればよい。反応温度を60℃以上とすることにより、反応が効率的に進行する。また、反応温度を200℃以下とすることにより、副反応を抑制できる。反応時間は、例えば3〜120時間とすればよい。
上記精製工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
本発明の酸化黒鉛誘導体はまた、炭素数6以上、10以下の炭化水素基をもつ官能基を有する場合、両親媒性分散媒中での分散性に優れるため、様々な樹脂への添加剤として特に好適に使用できる。
本発明はまた、酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなる分散体でもある。
本発明の分散体は、本発明の酸化黒鉛誘導体を、非極性分散媒等の分散媒中に分散させて得ることができる。
非極性分散媒としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、シクロヘキシルベンゼン、ジヒドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の炭素数6〜14の芳香族炭化水素系分散媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン等の炭素数4〜6の芳香族複素環化合物系分散媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、シクロヘキサン等の炭素数5以上の脂肪族炭化水素系分散媒等が挙げられ、また、鉱物油、合成油等の分散媒も挙げられる。これらの1種又は2種以上を混合したものを使用できる。
両親媒性分散媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系分散媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド、ラクタム系分散媒、アセトン、ブタノン、ペンタノン等のケトン系分散媒、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル等のグリコ―ル、グリコールエーテル系分散媒等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものを使用できる。
分散には、公知の撹拌機、公知の超音波発生装置等を使用できる。例えば、酸化黒鉛誘導体と分散媒との混合物に30分〜2時間超音波をかけて分散体を調製することが好ましい。
<FT−IRの測定方法>
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Nicolet NEXUS670 FTIRを用いて、酸化黒鉛誘導体をKBrと混合しペレット化することで測定した。測定範囲は900〜4000cm−1で分解能は1cm−1とした。
<分散性の評価方法>
APEL社製比色計AP−1000Mを用いて、0.1mg/mlの酸化黒鉛誘導体の分散液における、波長660nmの光の透過率の時間推移を測定した。光の透過が確認できる時間(透過率が0%→1%となる時間)が1時間以上のものに対して分散性が良好であるとした。最大測定時間を6時間とした。
<元素分析の分析方法>
elementer社製vario EL cube CHNSを用いてCHNOの質量濃度を測定した。
〔OGO20−Bの合成〕
非特許文献(Karthikeyan K, et.al, Carbon, 53, (2013), 38-49)に記載の方法を参考に原料となる酸化黒鉛を合成した。この酸化黒鉛(200mg)と2−オクチル−1−ドデカノール(東京化成工業社製、10ml)、硫酸(和光純薬工業社製、200mg)を混合し、100℃で24時間反応させた。反応後、反応液にアセトンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO20−Bを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。また、ヘキサン−メタノールの混合溶媒へ加え1時間超音波をかけ、ヘキサン層に分散するかメタノール層へ分散するかを確認したところ、ヘキサン層に分散したことから非常に良好な疎水特性があることがわかった。
図2にFT−IRチャートを示した。原料のFT−IRチャート(図1)と比較し、C−Hに由来するピーク(2900cm−1前後)の出現、及びC−O−Cに由来するピーク(1200cm−1前後)のシフトが確認できることから、アルコールが導入されたことが確認できた。なお、図1は、原料である酸化黒鉛のFT−IRチャートであり、図2は、実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は95.66%であり、Nの質量濃度は0.01%であった。
〔OGO20−Sの合成〕
酸化黒鉛(200mg)、1−エイコサノール(東京化成工業社製、8g)、硫酸(200mg)を混合し、反応後、反応液に50℃に加温したヘキサンを投入し、熱時ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO20−Sを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。また、ヘキサン−メタノールの混合溶媒へ加え1時間超音波をかけ、ヘキサン層に分散するかメタノール層へ分散するかを確認したところ、ヘキサン層に分散したことから非常に良好な疎水特性があることがわかった。
図3にFT−IRチャートを示した。なお、図3は、実施例2で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.12%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
〔OGO14−Sの合成〕
用いたアルコールを2−オクチル−1−ドデカノールから1−テトラデカノール(東京化成工業社製、10ml)に変えた以外は実施例1に記載の方法と同様に合成しOGO14−Sを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。また、ヘキサン−メタノールの混合溶媒へ加え1時間超音波をかけ、ヘキサン層に分散するかメタノール層へ分散するかを確認したところ、ヘキサン層に分散したことから非常に良好な疎水特性があることがわかった。
図4にFT−IRチャートを示した。なお、図4は、実施例3で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.95%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
〔OGO20−B−BAの合成〕
酸化黒鉛(200mg)と2−オクチル−1−ドデカノール(東京化成工業社製、10ml)、水酸化カリウム(和光純薬工業社製、200mg)を混合し、100℃で24時間反応させた。反応後、反応液にアセトンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち1%硫酸水で洗浄した。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。有機層をろ過し、OGO20−B―BAを得た。
図5にFT−IRチャートを示した。なお、図5は、実施例4で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は95.51%であり、Nの質量濃度は0.01%であった。
〔OGO12−Sの合成〕
用いたアルコールを2−オクチル−1−ドデカノールから1−ドデカノール(東京化成工業社製、10ml)に変えた以外は実施例1に記載の方法と同様に合成しOGO12−Sを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。また、ヘキサン−メタノールの混合溶媒へ加え1時間超音波をかけ、ヘキサン層に分散するかメタノール層へ分散するかを確認したところ、エマルジョンになり、すぐに2層には分離しなかったこと、疎水性が充分でないため、ヘキサン層に良好に分散せず界面に被膜が生じたことから、実施例1、3に比較して疎水特性に劣ることが確認できた。この点、特に実施例3と比較例1との比較から、疎水特性は炭化水素基が炭素数14の場合と炭素数12の場合とで劇的に異なることが証明された。また得られた固体をNMPへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が10分以下であり、両親媒性分散媒への良好な分散性は確認できなかった。
図6にFT−IRチャートを示した。なお、図6は、比較例1で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
図8にヘキサン−メタノール分液の実際の画像を示した。すなわち、図8は、実施例1、実施例3、比較例1のヘキサン−メタノール分液の実際の画像である。比較例1のみヘキサン層への分散性がないことがわかる。また、界面に泡状の被膜が生じ、疎水性が低いことがうかがえる(上部がヘキサン層、下部がメタノール層、左から実施例1、実施例3、比較例1)。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は97.47%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
〔rGOの合成〕
アルコールの代わりにヘキサデカン(東京化成工業社製、10ml)に変えた以外は実施例1に記載の方法と同様に合成しrGOを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が20分であり、良好な分散性が確認できなかった。
図7にFT−IRチャートを示した。なお、図7は、比較例2で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.94%であり、Nの質量濃度は0.01%であった。
〔OGO24−B−100の合成〕
酸化黒鉛(2g)と2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化社製、10g)、硫酸(和光純薬工業社製、2g)を混合し、100℃で24時間反応させた。反応後、反応液にヘキサンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO24−B−100を得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。
図9にFT−IRチャートを示した。なお、図9は、実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.73%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
〔OGO24−B−150の合成〕
酸化黒鉛(2g)と2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化社製、10g)、硫酸(和光純薬工業社製、2g)を混合し、150℃で5時間反応させた。反応後、反応液にヘキサンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO24−B−150を得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。
図10にFT−IRチャートを示した。なお、図10は、実施例6で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.30%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
〔OGO8−B−150の合成〕
酸化黒鉛(2g)と2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業社製、10g)、硫酸(和光純薬工業社製、2g)を混合し、150℃で5時間反応させた。反応後、反応液にヘキサンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO8−B−150を得た。得られた固体をNMPへ加え、1時間超音波をかけ、分散性を評価したところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。比較例1と比較しアルキル鎖が短いことで両親媒性分散媒への分散性が向上することがわかった。この点、特に実施例7と比較例1との比較から、両親媒性分散媒への分散特性は炭化水素基が炭素数12の場合と炭素数8の場合とで劇的に異なることが証明された。
図11にFT−IRチャートを示した。なお、図11は、実施例7で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.66%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
実施例1〜6で得られた酸化黒鉛誘導体は、非極性分散媒中で充分に分散するため、機械用の潤滑油の添加剤、さまざまな樹脂と複合化できる樹脂への添加剤等として好適に使用できると考えられる。実施例7で得られた酸化黒鉛誘導体は、両親媒性分散媒中で充分に分散するため、さまざまな樹脂と複合化できる樹脂への添加剤等として好適に使用できると考えられる。
Claims (10)
- 炭素数13以上の炭化水素基をもつ官能基を有することを特徴とする酸化黒鉛誘導体。
- 前記炭化水素基は、炭素数が36以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化黒鉛誘導体。
- 前記炭化水素基は、炭素数が20以上、28以下であることを特徴とする請求項2に記載の酸化黒鉛誘導体。
- 炭素数6以上、10以下の炭化水素基をもつ官能基を有することを特徴とする酸化黒鉛誘導体。
- 末端に前記炭化水素基をもつ官能基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体。
- 前記炭化水素基は、アルキル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体。
- 前記炭化水素基は、直鎖であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体。
- 前記炭化水素基は、分岐鎖であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体。
- 窒素原子の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなることを特徴とする分散体。
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